(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記収容室は、前記電磁石ユニットを構成する、前記可動プランジャを上下方向に挿通する可動プランジャ貫通孔を有する板状の磁気ヨークと、該磁気ヨークの上面に接合され、内部に前記接点機構と前記絶縁筒部を収容する接点機構収容ケースと、前記磁気ヨークの下面に接合され、内部に前記可動プランジャを収容するキャップとで構成され、
前記仕切り部材は、前記磁気ヨークと、前記磁気ヨークの上面に固定され、前記電磁石ユニットを構成する、前記可動プランジャの周鍔部を囲むように形成された永久磁石と、該永久磁石の上面に固定され、前記電磁石ユニットを構成する、前記連結軸を上下方向に挿通する板状の補助ヨークと、前記補助ヨークの上面に固定され、前記連結軸を上下方向に挿通するとともに前記連結軸の外周面に接触する弾性を有する板状の異物侵入防止部材とで構成されて、前記仕切り部材の上方及び外側に形成された前記接点機構収容空間と前記仕切り部材の内側に形成された前記可動プランジャ収容空間とを仕切ることを特徴とする請求項1に記載の電磁接触器。
前記連通部は、前記仕切り部材を構成する前記永久磁石、前記補助ヨークあるいは前記磁気ヨークに形成された、前記仕切り部材側の接点機構収容空間と前記可動プランジャ収容空間とを連通させる溝、孔又は切欠きで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電磁接触器。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る電磁接触器は、
図1乃至
図6に示されており、電磁接触器1は、接点機構2と、接点機構2を駆動する電磁石ユニット3と、接点機構2、後述する連結軸37及び可動プランジャ35を収容する密封された収容室4とを備えている。
接点機構2は、収容室4を構成する接点機構収容ケース5内に収容されており、この接点機構収容ケース5は、金属製の角筒体6と、この角筒体6の上端を閉塞する平板状のセラミック製の絶縁基板7とを備えている。角筒体6は、下端部に外方に突出するフランジ部6aを有し、そのフランジ部6aが収容室4を構成する後述の磁気ヨーク8の上面にシール接合されている。絶縁基板7には、一対の貫通孔7a、7bが所定間隔をあけて形成されている。絶縁基板7の上面における貫通孔7a、7bの周囲及び絶縁基板7の下面における角筒体6が接触する位置には、メタライズ処理が施されている。
【0011】
接点機構2は、絶縁基板7に一対の導体部21、22(以下、第1導体部21、第2導体部22と称する)を介して固定されている一対の固定接触子23、24(以下、第1固定接触子23、第2固定接触子24と称する)と、これら第1固定接触子23及び第2固定接触子24に対して接離可能に配置されている可動接触子25とを備えている。第1導体部21は、絶縁基板7の貫通孔7aに挿通されて固定され、第2導体部22は、絶縁基板7の貫通孔7bに挿通されて固定されている。
ここで、第1固定接触子23は、銅などからなる側面視C字形状の導電板であり、絶縁基板7の下面に沿って外側に延長する上板部23aと、上板部23aの外側端部から下方に延長する中間板部23bと、中間板部23bの下端部から上板部23aと平行に内側に延長する下板部23cとを備えている。下板部23cは、可動接触子25の下方に延び、その上面に可動接触子25の第1接点部が接触する第1接点部23dを備えている。
【0012】
一方、第2固定接触子24も、第1固定接触子23と同様に、銅などからなる側面視C字形状の導電板であり、絶縁基板7の下面に沿って外側に延長する上板部24aと、上板部24aの外側端部から下方に延長する中間板部24bと、中間板部24bの下端部から上板部24aと平行に内側に延長する下板部24cとを備えている。下板部24cは、可動接触子25の下方に延び、その上面に可動接触子25の第2接点部が接触する第2接点部24dを備えている。
第1固定接触子23及び第2固定接触子24のそれぞれは、第1導体部21及び第2導体部22のそれぞれに固定されており、その固定方法としては、ろう付け、螺合等があげられる。
【0013】
また、第1固定接触子23の中間板部23bの内側面及び第2固定接触子24の中間板部24bの内側面を覆うように、平面から見てC字状の磁性体板28が装着されている。これにより、中間板部23b、24bを流れる電流によって発生する磁場をシールドすることができる。
更に、第1固定接触子23には、アークの発生を規制する合成樹脂製の絶縁カバー26が装着され、第2固定接触子24にも、アークの発生を規制する合成樹脂製の絶縁カバー27が装着されている。これにより、第1固定接触子23の内周面では下板部23cの上面側の第1接点部23dのみが露出される。また、第2固定接触子24の内周面では下板部24cの上面側の第2接点部24dのみが露出される。
【0014】
そして、可動接触子25は、銅などを材料とした
図1の左右方向に長尺な導電板であり、第1固定接触子23及び第2固定接触子24内に両端部を配置するように配設されている。この可動接触子25は、電磁石ユニット3の後述する可動プランジャ35に固定された連結軸37に支持されている。可動接触子25の中央部には、連結軸37を挿通する貫通孔が形成されている。
連結軸37の上下方向略中央部には、フランジ部37aが外方に向けて突出形成されている。可動接触子25は、その貫通孔を連結軸37の上方から挿通してフランジ部37a上に載置される。そして、連結軸37の上方から接触スプリング39を挿通し、固定部材38を連結軸37の上方から連結軸37に挿通し、接触スプリング39で所定の付勢力を得るように接触スプリング39の上端を固定部材38によって止める。
【0015】
この可動接触子25は、釈放状態で、両端の第1接点部及び第2接点部がそれぞれ第1固定接触子23の第1接点部23d及び第2固定接触子24の第2接点部24dのそれぞれと所定間隔を保って離間した状態となる。また、可動接触子25は、投入位置で、両端の第1接点部及び第2接点部がそれぞれ第1固定接触子23の第1接点部23d及び第2固定接触子24の第2接点部24dのそれぞれに、接触スプリング39による所定の接触圧力で接触するように設定されている。
また、接点機構収容ケース5の角筒体6の内周面には、
図1に示すように、有底角筒状に形成された絶縁筒部14が配設されている。この絶縁筒部14は、
図1及び
図4に示すように、中央部に連結軸37の挿通用孔14eを有する平板部14aと、平板部14aの可動接触子25が延びる方向の両端縁から下方に延びる一対の下方延出部14bと、各下方延出部14bの下端から外方に延びる一対の底壁部14cと、平板部14a、一対の下方延出部14b、及び一対の底壁部14cの周囲を囲むように上方に延びる周壁部14dとを備えている。絶縁筒部14は、絶縁性の例えば合成樹脂を成形することによって形成される。この絶縁筒部14は、金属製の角筒体6に対するアークの影響を遮断する絶縁機能を有する。
【0016】
この絶縁筒部14は、
図1に示すように、平板部14aに形成された挿通用孔14eを介して連結軸37が上下方向に挿通し、この状態で後述する仕切り部材10の上方かつ外側を覆い、且つ接点機構2の外側を覆うように接点機構収容ケース5内に配置されている。具体的に述べると、絶縁筒部14は、平板部14aで仕切り部材10を構成する異物侵入防止部材13の上側を覆い、一対の下方延出部14bで異物侵入防止部材13、補助ヨーク12及び永久磁石11の外側を覆い、かつ、周壁部14dで接点機構2の外側を覆う。
【0017】
また、電磁石ユニット3は、
図1乃至
図3に示すように、側面から見てU字形状の下部磁気ヨーク31を有し、この下部磁気ヨーク31の底板部の中央部に固定プランジャ32が配置されている。そして、固定プランジャ32の外側にスプール33が配置されている。
スプール33は、
図1に示すように、固定プランジャ32を挿通する中央円筒部33aと、中央円筒部33aの下端部から半径方向外側に突出する下フランジ部33bと、中央円筒部33aの上端部から半径方向外側に突出する上フランジ部33cとを備えている。そして、
図1乃至
図3に示すように、スプール33の中央円筒部33a、下フランジ部33b、及び上フランジ部33cで構成される収納空間に励磁コイル34が巻装されている。
【0018】
また、下部磁気ヨーク31の開放端となる上端には、板状の磁気ヨーク8が固定されている。この磁気ヨーク8の中央部には、可動プランジャ貫通孔8aが形成されている。
また、スプール33の中央円筒部33a内に配置された固定プランジャ32の上部には、有底筒状に形成されたキャップ9が配置され、このキャップ9の開放端に設けられた半径方向外側に突出するフランジ部9aが、磁気ヨーク8の下面にシール接合されている。これにより、接点機構収容ケース5及びキャップ9が磁気ヨーク8の可動プランジャ貫通孔8a介して連通される密封した容器(収容室4)が形成されている。
【0019】
そして、このキャップ9の内部には、最下部に復帰スプリング36を配置した可動プランジャ35が上下方向に移動可能に収容されている。可動プランジャ35は、キャップ9の内部に上下方向に移動可能に収容される円筒部と、この円筒部の上端に設けられた半径方向外側に突出する周鍔部35aとを備えている。可動プランジャ35の円筒部は、磁気ヨーク8の可動プランジャ貫通孔8aを上下方向に挿通し、可動プランジャ35の周鍔部35aは可動プランジャ貫通孔8aよりも大きな外径を有して磁気ヨーク8の上方に配置されている。
【0020】
また、磁気ヨーク8の上面には、
図1及び
図3に示すように、外形が方形で円形の中心開口を有して環状に形成された永久磁石11が可動プランジャ35の周鍔部35aを囲むように固定されている。永久磁石11は、上下方向即ち厚み方向に上端側を例えばN極、下端側をS極とするように着磁されている。
そして、永久磁石11の上面には、永久磁石11と同一外形で可動プランジャ35の周鍔部35aよりも小さい内径の貫通孔12aを有する補助ヨーク12が固定されている。連結軸37は、貫通孔12aを上下方向に挿通している。
【0021】
更に、補助ヨーク12の上面には、弾性を有する板状の異物侵入防止部材13が固定されている。この異物侵入防止部材13は、補助ヨーク12とほぼ同じ大きさの外形で、中央部に連結軸37を上下方向に挿通するとともに連結軸37の外周面に接触する内径を有する貫通孔13aを有する。異物侵入防止部材13は、例えばゴム製である。この異物侵入防止部材13は、第1固定接触子23の第1接点部23dや第2固定接触子24の第2接点部24d近傍で発生した溶融物や煤等の異物が絶縁筒部14の挿通用孔14eを通って下方に落下した際に、この異物が可動プランジャ35側に侵入するのを阻止する機能を有する。また、この異物侵入防止部材13は、弾性を有していて異物侵入防止部材13の上側にある絶縁筒部14を上方に付勢する機能を有する。
【0022】
そして、可動プランジャ35を上下方向に挿通する可動プランジャ貫通孔8aを有する板状の磁気ヨーク8と、磁気ヨーク8の上面に接合され、内部に接点機構2を収容する接点機構収容ケース5と、磁気ヨーク8の下面に接合され、内部に可動プランジャ35を収容するキャップ9とにより、
図1及び
図2に示すように、接点機構2、連結軸37及び可動プランジャ35を収容する密封された収容室4を構成している。密封された収容室4内には、水素ガス、窒素ガス、水素及び窒素の混合ガス、空気、SF
6等のガスが封入されている。
そして、この収容室4は、
図1に示すように、連結軸37を挿通した仕切り部材10によって接点機構2を収容する接点機構収容空間Aと可動プランジャ35を収容する可動プランジャ収容空間Bとを仕切るよう構成されている。
そして、この仕切り部材10には、接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを連通させる連通部11a設けられている。
【0023】
この仕切り部材10及び連通部11aについて詳細に説明する。
先ず、仕切り部材10は、
図1及び
図3に示すように、磁気ヨーク8と、磁気ヨーク8の上面に固定され、可動プランジャ35の周鍔部35aを囲むように形成された前述の永久磁石11と、永久磁石11の上面に固定され、連結軸37を上下方向に挿通する前述の板状の補助ヨーク12と、補助ヨーク12の上面に固定され、連結軸37を上下方向に挿通するとともに連結軸37の外周面に接触する弾性を有する板状の異物侵入防止部材13とで構成されている。そして、収容室4の内部において、仕切り部材10により、仕切り部材10の上方及び外側に形成された接点機構収容空間Aと仕切り部材10の内側に形成された可動プランジャ収容空間Bとを仕切っている。
【0024】
そして、接点機構収容ケース5の内部には、前述したように、絶縁筒部14が配設されている。この絶縁筒部14は、
図1に示すように、平板部14aに形成された挿通用孔14eを介して連結軸37が上下方向に挿通し、この状態で仕切り部材10の上方かつ外側を平板部14a及び一対の下方延出部14b及で覆い、且つ接点機構2の外側を周壁部14dで覆うように接点機構収容空間A内に配置されている。そして、この絶縁筒部14の周壁部14dの上端には、
図1及び
図4に示すように、接点機構2側の接点機構収容空間Aと仕切り部材10側の接点機構収容空間Aとを連通させる筒部連通部14fが形成されている。このため、接点機構収容空間A内における絶縁筒部14を挟む接点機構2側の接点機構収容空間Aと仕切り部材10側の接点機構収容空間Aとは筒部連通部14fを介して連通し、接点機構2側の接点機構収容空間A及び仕切り部材10側の接点機構収容空間A内の内部圧力は均一になっている。
【0025】
そして、仕切り部材10を構成する永久磁石11の下面には、
図1及び
図5に示すように、仕切り部材10側の接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを連通させる溝で構成される連通部11aが形成されている。永久磁石11の下面に形成された連通部11aは、
図1及び
図4に示すように、永久磁石11の可動接触子25が延びる方向の両端部の下面に複数(第1実施形態にあっては、各端部に2個づつで合計4個)形成されている。各連通部11aは、
図5に示すように、永久磁石11の可動接触子25が延びる方向の各端部の下面において、外端縁から内端縁に向けて連続する溝で形成されている。
【0026】
ここで、永久磁石11の下面に形成された連通部11aは、
図1に示すように、仕切り部材10側の接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを連通させる。これにより、接点機構2側の接点機構収容空間A及び仕切り部材10側の接点機構収容空間Aの内部圧力と可動プランジャ収容空間B内の内部圧力とが同等となっている。
なお、絶縁筒部14は必ずしも設ける必要はなく、絶縁筒部14を設けない場合、永久磁石11の下面に形成された連通部11aは、絶縁筒部14のない接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを連通させることになる。
【0027】
次に、第1実施形態の電磁接触器1の動作を説明する。
今、第1固定接触子23に接続された第1導体部21が例えば大電流を供給する電力供給源に接続され、第2固定接触子24に接続された第2導体部22が負荷装置に接続されているものとする。
この状態で、電磁石ユニット3における励磁コイル34が非励磁状態にあって、電磁石ユニット3で可動プランジャ35を下降させる吸引力を発生していない釈放状態にあるものとする。
【0028】
この釈放状態では、可動プランジャ35が復帰スプリング36によって、磁気ヨーク8から離れる上方向に付勢される。これと同時に、永久磁石11の磁力による吸引力が補助ヨーク12に作用し、可動プランジャ35の周鍔部35aが吸引される。このため、可動プランジャ35の周鍔部35aの上面が補助ヨーク12の下面に接触している。
このため、可動プランジャ35に連結軸37を介して連結されている接点機構2の可動接触子25の第1接点部及び第2接点部が、第1固定接触子23の第1接点部23d、第2固定接触子24の第2接点部24dに対して上方に所定距離だけ離間している。このため、第1固定接触子23及び第2固定接触子24の間の電流路が遮断状態にあり、接点機構2が開極状態となっている。
【0029】
この釈放状態において、接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとは連通部11aを介して連通しており、接点機構収容空間A内の気体と可動プランジャ収容空間B内の気体とが流通し、接点機構収容空間Aの内部圧力及び可動プランジャ収容空間Bの内部圧力は同等になっている。
この釈放状態から、電磁石ユニット3の励磁コイル34に通電すると、この電磁石ユニット3で吸引力が発生し、可動プランジャ35を復帰スプリング36の付勢力及び永久磁石11の吸引力に抗して下方に押し下げる。この可動プランジャ35の下降が、周鍔部35aの下面が磁気ヨーク8の上面に当たることで停止する。
【0030】
このように、可動プランジャ35が下降することにより、可動プランジャ35に連結軸37を介して連結されている可動接触子25も下降し、接点機構2の可動接触子25の第1接点部及び第2接点部のそれぞれが、第1固定接触子23の第1接点部23d及び第2固定接触子24の第2接点部24dのそれぞれに対して接触スプリング39の接触圧で接触する。
このため、電力供給源の大電流が、第1固定接触子23、可動接触子25、第2固定接触子24を通じて負荷装置に供給される閉極状態となる。
【0031】
この接点機構2の閉極状態においても、接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとは連通部11aを介して連通しており、接点機構収容空間Aの内部圧力及び可動プランジャ収容空間Bの内部圧力は同等になっている。
そして、接点機構2の閉極状態から、負荷装置への電流供給を遮断する場合には、電磁石ユニット3の励磁コイル34への通電を停止する。
励磁コイル34への通電を停止すると、電磁石ユニット3で可動プランジャ35を下方に移動させる吸引力がなくなることにより、可動プランジャ35が復帰スプリング36の付勢力によって上昇し、周鍔部35aが補助ヨーク12に近づくに従って永久磁石11の吸引力が増加する。
【0032】
この可動プランジャ35が上昇することにより、連結軸37を介して連結された可動接触子25が上昇する。これに応じて接触スプリング39で接触圧を与えているときは、可動接触子25の第1接点部及び第2接点部のそれぞれが、第1固定接触子23の第1接点部23d及び第2固定接触子24の第2接点部24dのそれぞれに接触している。その後、接触スプリング39の接触圧がなくなった時点で、可動接触子25が第1固定接触子23及び第2固定接触子24から上方に離間する開極開始状態となる。
このような開極開始状態となると、可動接触子25の第1接点部及び第2接点部と、第1固定接触子23の第1接点部23d及び第2固定接触子24の第2接点部24dとの間にアークが発生し、アークによって電流の通電状態が継続されることになる。
【0033】
このとき、発生したアークの熱によって第1固定接触子23の第1接点部23d及び第2固定接触子24の第2接点部24dやその周囲の絶縁物からガスが発生し、接点機構収容空間Aの内部圧力が可動プランジャ収容空間Bの内部圧力に対して高まろうとする。しかし、接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとは連通部11aを介して連通しているため、接点機構収容空間Aの内部圧力は可動プランジャ収容空間Bの内部圧力と同等であり、一方的に高まることはない。
つまり、接点機構収容空間A内における絶縁筒部14を挟む接点機構2側の接点機構収容空間Aと仕切り部材10側の接点機構収容空間Aとは筒部連通部14fを介して連通し、接点機構2側の接点機構収容空間A及び仕切り部材10側の接点機構収容空間A内の内部圧力は同等になっている。そして、連通部11aは、仕切り部材10側の接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを連通させている。このため、接点機構2側の接点機構収容空間A、仕切り部材10側の接点機構収容空間A及び可動プランジャ収容空間Bの内部圧力は同等である。つまり、
図6に示すように、接点機構2側の接点機構収容空間A内の気体は、符号Rで示すように、仕切り部材10側の接点機構収容空間A内を通って、連通部11aを介して可動プランジャ収容空間B内に流れるようになる。これにより、接点機構2側の接点機構収容空間A、仕切り部材10側の接点機構収容空間A及び可動プランジャ収容空間Bの内部圧力は同等となっている。
【0034】
このため、釈放動作の際に、可動接触子25が可動プランジャ収容空間B側(下方側)へ押し戻されることはなく、可動プランジャ35及び可動接触子25の動作を安定的に行なうことができる。
なお、
図6に示すように、第1固定接触子23の第1接点部23dや第2固定接触子24の第2接点部24d近傍で発生した溶融物や煤等の異物Dは、絶縁筒部14上に落下し、可動プランジャ収容空間B内に侵入しない。当該異物Dが絶縁筒部14の挿通用孔14eを通って下方に落下した場合には、異物侵入防止部材13によって異物Dが可動プランジャ収容空間B内に侵入するのが阻止される。また、当該異物Dは、絶縁筒部14の周壁部14dの上端に形成された筒部連通部14fから仕切り部材10側の接点機構収容空間A内に侵入することはほとんどないが、仮に侵入した場合でも、仕切り部材10側の接点機構収容空間Aは狭い通路となっているから、当該異物Dが永久磁石11の下面に形成された連通部11aまでにはほとんど至らない。このため、当該異物Dが連通部11aを通って可動プランジャ収容空間B内に侵入するおそれはない。
【0035】
そして、可動接触子25の第1接点部及び第2接点部と、第1固定接触子23の第1接点部23d及び第2固定接触子24の第2接点部24dとの間に発生したアークは、これらアークの電流の流れと、図示しないアーク消弧用永久磁石で発生した磁束との関係からフレミング左手の法則により発生したローレンツ力によって引き延ばされて消弧される。
そして、可動プランジャ35の釈放動作が終了すると、可動プランジャ35の周鍔部35aの上面が補助ヨーク12の下面に接触し、開極終了となる。
【0036】
次に、
図1に示す電磁接触器1に用いられる補助ヨーク12の変形例を
図7を参照して説明する。
図1に示す電磁接触器1においては、連通部11aは永久磁石11の可動接触子25が延びる方向の両端部の下面に複数(各端部に2個づつで合計4個)形成されており、補助ヨーク12には連通部が形成されていない。
図7に示す補助ヨーク12には、
図1に示す補助ヨーク12と異なり、補助ヨーク12の可動接触子25が延びる方向の両端部に複数(各端部に2個づつの合計4個)の連通部12bが形成されている。各連通部12bは、補助ヨーク12の可動接触子25が延びる方向の両外端縁から内側に向けて切欠かれた切欠きで形成されている。そして、各連通部12bは、仕切り部材10側の接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを連通させる。なお、この
図7に示す補助ヨーク12を用いた場合でも、
図1に示すように、永久磁石11に連通部11aを形成してもよい。
【0037】
また、
図1に示す電磁接触器1に用いられる磁気ヨーク8の変形例を
図8を参照して説明する。
図1に示す電磁接触器1においては、連通部11aは永久磁石11の可動接触子25が延びる方向の両端部の下面に複数(各端部に2個づつで合計4個)形成されており、磁気ヨーク8には連通部が形成されていない。
図8に示す磁気ヨーク8には、
図1に示す磁気ヨーク8と異なり、磁気ヨーク8の可動プランジャ貫通孔8aの可動接触子25が延びる方向の両側に複数(各側に2個づつの合計4個)の8bが形成されている。各連通部8bは、磁気ヨーク8の可動プランジャ貫通孔8aの可動接触子25が延びる方向の両側縁から外側に向けて延びる有底の溝で形成されている。そして、各連通部8bは、仕切り部材10側の接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを連通させる。なお、この
図8に示す磁気ヨーク8を用いた場合でも、
図1に示すように、永久磁石11に連通部11aを形成したり、あるいは、
図7に示す補助ヨーク12を用いたりしてもよい。
【0038】
(まとめ)
以上のように、第1実施形態に係る電磁接触器1においては、一対の固定接触子23、24及び一対の固定接触子23、24に接離可能な可動接触子25を有する接点機構2と、可動接触子25に連結軸37で連結された可動プランジャ35を有する、接点機構2を駆動する電磁石ユニット3と、接点機構2、連結軸37及び可動プランジャ35を収容する密封された収容室4とを備えている。そして、収容室4は、連結軸37を挿通した仕切り部材10によって接点機構2を収容する接点機構収容空間Aと可動プランジャ35を収容する可動プランジャ収容空間Bとを仕切るよう構成されている。そして、仕切り部材10に、接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを連通させる連通部11a、12b、8b、15を設けている。
【0039】
これにより、仕切り部材10に、接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを連通させる連通部11a、12b、8b、15を設けたので、釈放動作の際にも連通部11a、12b、8b、15を介して接点機構収容空間Aの内部圧力と可動プランジャ収容空間Bの内部圧力とが同等となる。このため、仕切り部材10によって接点機構2を収容する接点機構収容空間Aと可動プランジャ35を収容する可動プランジャ収容空間Bとを仕切るよう構成された密封された収容室4を備えた電磁接触器1において、釈放動作の際に、可動プランジャ35及び可動接触子25の動作を安定的に行なうようにした電磁接触器1を提供できる。
【0040】
また、第1実施形態に係る電磁接触器1において、収容室4は、電磁石ユニット3を構成する、可動プランジャ35を上下方向に挿通する可動プランジャ貫通孔8aを有する板状の磁気ヨーク8と、磁気ヨーク8の上面に接合され、内部に接点機構2を収容する接点機構収容ケース5と、磁気ヨーク8の下面に接合され、内部に可動プランジャ35を収容するキャップ9とで構成されている。
これにより、電磁石ユニット3を構成する磁気ヨーク8を用いた簡単な構成で収容室4を構成することができる。
【0041】
また、第1実施形態に係る電磁接触器1において、仕切り部材10は、磁気ヨーク8と、磁気ヨーク8の上面に固定され、電磁石ユニット3を構成する、可動プランジャ35の周鍔部35aを囲むように形成された永久磁石11と、永久磁石11の上面に固定され、電磁石ユニット3を構成する、連結軸37を上下方向に挿通する板状の補助ヨーク12と、補助ヨーク12の上面に固定され、連結軸37を上下方向に挿通するとともに連結軸37の外周面に接触する弾性を有する板状の異物侵入防止部材13とで構成されて、仕切り部材10の上方及び外側に形成された接点機構収容空間Aと仕切り部材10の内側に形成された可動プランジャ収容空間Bとを仕切る。
【0042】
これにより、電磁石ユニット3を構成する永久磁石11及び補助ヨーク12と、異物侵入防止部材13とを用いて簡単な構成で仕切り部材10を構成することができるとともに、異物侵入防止部材13により、一対の固定接触子の接点部近傍で発生した溶融物や煤等の異物が接点機構収容空間Aから可動プランジャ収容空間B内に侵入するのを阻止することができる。
更に、第1実施形態に係る電磁接触器1において、接点機構収容ケース5の内部には、連結軸37を上下方向に挿通した状態で仕切り部材10の上方かつ外側及び接点機構2の外側を覆うように接点機構収容空間A内に配置される有底筒状に形成された絶縁筒部14が設けられている。この絶縁筒部14により、接点機構収容ケース5が金属製の場合において、当該金属製の接点機構収容ケース5に対するアークの影響を遮断することができる。
【0043】
そして、第1実施形態に係る電磁接触器1において、絶縁筒部14には、接点機構2側の接点機構収容空間Aと仕切り部材10側の接点機構収容空間Aとを連通させる筒部連通部14fが形成されている。これにより、接点機構収容空間A内における絶縁筒部14を挟む接点機構2側の接点機構収容空間Aと仕切り部材10側の接点機構収容空間Aとは筒部連通部14fを介して連通し、接点機構2側の接点機構収容空間A及び仕切り部材10側の接点機構収容空間A内の内部圧力を均一にすることができる。
また、第1実施形態に係る電磁接触器1において、連通部11aは仕切り部材10を構成する永久磁石11に形成された、仕切り部材10側の接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを連通させる溝、連通部12bは補助ヨーク12に形成された、仕切り部材10側の接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを連通させる切欠き、連通部8bは仕切り部材10側の接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを連通させる磁気ヨーク8に形成された溝で形成されている。
【0044】
このため、連通部を仕切り部材10を構成する異物侵入防止部材13に形成する必要はない。異物侵入防止部材13に連通部を形成した場合、一対の固定接触子の接点部近傍で発生した溶融物や煤等の異物が接点機構収容空間Aから可動プランジャ収容空間B内に侵入するおそれがある。
以上、本発明の第1実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、収容室4は、一対の固定接触子23、24及び可動接触子25を有する接点機構2、連結軸37及び可動プランジャ35を収容できる密閉構造のものであれば、磁気ヨーク8と、接点機構収容ケース5と、キャップ9とで構成する必要は必ずしもない。
【0045】
また、仕切り部材10は、収容室4を接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを仕切るよう構成されているものであれば、永久磁石11と、補助ヨーク12と、異物侵入防止部材13とで構成する必要は必ずしもない。
また、絶縁筒部14は、必ずしも設けなくても良い。
更に、連通部は、接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを連通させるように仕切り部材10に形成すればよく、仕切り部材10を、永久磁石11、補助ヨーク12、異物侵入防止部材13とで構成した場合には、その形成場所は、永久磁石11、補助ヨーク12、異物侵入防止部材13のいずれであってもよい。また、連通部は、永久磁石11、補助ヨーク12、異物侵入防止部材13のうち任意の組合せの部材に形成してもよい。
【0046】
また、連通部は、接点機構収容空間Aと可動プランジャ収容空間Bとを連通させればよく、
図1乃至
図6に示した連通部11aは溝以外の孔あるいは切欠き、
図7に示した連通部12bは切欠き以外の溝又は孔、
図8に示した連通部8bは溝以外の切欠き又は孔で構成してもよい。
また、連通部の数は、任意であり、
図1乃至
図6に示した連通部11a、
図7に示した連通部12b、
図8に示した連通部8bのように4個に限られない。