特許第6237918号(P6237918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237918
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】電子部品の冷却器
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20171120BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H01L23/46 Z
   H05K7/20 N
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-550043(P2016-550043)
(86)(22)【出願日】2015年8月21日
(86)【国際出願番号】JP2015073578
(87)【国際公開番号】WO2016047335
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2016年10月3日
(31)【優先権主張番号】特願2014-192123(P2014-192123)
(32)【優先日】2014年9月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100157772
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 武孝
(72)【発明者】
【氏名】小山 貴裕
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−058518(JP,A)
【文献】 特開2009−283559(JP,A)
【文献】 特開2005−045027(JP,A)
【文献】 特開2008−172014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁面が電子部品を冷却する冷却面となる第1壁部、前記第1壁部と対向配置された第2壁部、及び側壁部で囲まれた冷媒流路を備える冷却器本体と、
前記第1壁部の内壁中間部に設けられた複数の冷却フィンと、
前記冷却フィンの冷媒導入側開口部の並びと、前記側壁部とで挟まれた空間に設けられた冷媒導入流路と、
前記冷却フィンの冷媒導出側開口部の並びと、前記側壁部とで挟まれた空間に設けられた冷媒導出流路と、
前記冷媒導入流路の一端に位置する前記側壁部に設けられた冷媒導入管と、
前記冷媒導出流路に接続された冷媒導出管と、
前記第1壁部の前記冷媒導入流路に面する部分に設けられた第1の突出部とを備え、
前記第1の突出部が設けられた箇所の流路断面積が、前記第1の突出部前後の前記流路断面積よりも狭いことを特徴とする冷却器。
【請求項2】
前記冷媒導入管の前記第1壁部側に位置する内壁に設けられた第2の突出部を備え、前記第2の突出部が設けられた箇所の流路断面積が、前記第2の突出部前後の前記流路断面積よりも狭い請求項1に記載の冷却器。
【請求項3】
前記冷媒導入管の前記冷媒導入流路への導入口は、平面的に見たとき、前記冷媒導入流路の流れ方向に沿って伸ばすと、前記突出部に重なるような内径及び位置となるように配置されている請求項2に記載の冷却器。
【請求項4】
前記第1の突出部が、前記電子部品の下側に配置される前記冷却フィンの冷媒導入側の開口よりも上流側に配置されている請求項1に記載の冷却器。
【請求項5】
前記第1の突出部の幅は、前記冷却フィンの冷媒導入側の開口から、前記側壁部までの距離の0.1倍以上0.5倍以下の幅である請求項1に記載の冷却器。
【請求項6】
前記第1の突出部が、冷媒導入流路の前記側壁部に接している請求項1に記載の冷却器。
【請求項7】
前記第1の突出部の前記第2壁部に対向する面が平面である請求項1に記載の冷却器。
【請求項8】
前記冷媒導入流路に、複数の前記第1の突出部を備える請求項1に記載の冷却器。
【請求項9】
前記冷媒導入流路の上流側にある前記第1の突出部が、前記冷媒導入流路の下流側にある他の前記第1の突出部よりも、幅が狭い請求項に記載の冷却器。
【請求項10】
前記冷媒導入流路の上流側にある前記第1の突出部が、前記冷媒導入流路の下流側にある他の前記第1の突出部よりも、長さが短い又は高さが低い請求項8又は9に記載の冷却器。
【請求項11】
前記冷媒導入流路の上流側にある前記第1の突出部が、前記冷媒導入流路の下流側にある他の前記第1の突出部よりも、体積が小さい請求項に記載の冷却器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュール等の電子部品を冷却する冷却器に係り、特に冷媒導入流路における流速分布を改良して、電子部品の冷却効果を高めた冷却器に関する。
【背景技術】
【0002】
低炭素社会の実現に向け、エネルギー変換効率の高いインバータ回路を使用した、電源や電動機、及びそれらを応用したハイブリットカー、電気自動車等の導入が加速している。これらの分野では、大電流制御にパワー半導体素子と呼ばれる、整流ダイオード、パワーMOSFET,IGBT、サイリスタ等の電子部品が用いられている。
【0003】
パワー半導体素子ではオン抵抗を下げる設計がなされているものの、高出力化にともなう発熱量の増大は避けられず、パワー半導体素子を複数個搭載する半導体モジュール等では、すでに空冷式から液冷式の冷却器が採用されている。このような冷却器においては、冷却効率を高めるため、種々の工夫がなされている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、電子部品の被冷却部を冷却する冷却流路と、当該冷却流路に入口から冷却媒体を導入する導入流路と、前記冷却流路から前記冷却媒体を出口へ排出する排出流路とを含むとともに、前記導入流路及び前記排出流路の少なくともいずれかの流路面積は、所定位置においてよりも、前記入口又は前記出口から当該所定位置よりも遠い位置において大きいことを特徴とする冷却器が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、冷却器を構成するウォータージャケットに外部から冷媒を供給して、前記冷却器の外面に配置された半導体素子を冷却する半導体モジュールにおいて、前記半導体素子と熱的に接続されたヒートシンクと、前記ウォータージャケット内に、冷媒導入口から延在され、かつ前記ヒートシンクの一の側面に向かって前記冷媒を誘導するための傾斜した一の面、及び他の面を少なくとも有するガイド部が配置された第1流路と、前記第1流路と並列して前記ウォータージャケット内に配置され、冷媒排出口に延在され、かつ前記ヒートシンクの他の側面に平行な側壁が形成された第2流路と、前記ウォータージャケット内の前記第1流路と前記第2流路とを連通する位置に形成され、前記ヒートシンクが配置された第3流路と、を備えることを特徴とする半導体モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−174963号公報
【特許文献2】国際公開第2011/132736号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び特許文献2に記載された技術は、どちらも、導入流路から並列配置された冷却用流路に分配される、冷媒分配量の偏りを補正し、冷却面を均一に冷却することを目的にしている。
【0008】
しかしながら、上記従来技術では、冷媒導入流路断面の流速分布を改善して、冷却効率を高める方法については、検討されていなかった。
【0009】
よって、本発明の目的は、電子部品の冷却器において、冷媒導入流路断面の流速分布を改善して、冷却効率を高めるようにした電子部品の冷却器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の冷却器は、外壁面が電子部品を冷却する冷却面となる第1壁部、前記第1壁部と対向配置された第2壁部、及び側壁部で囲まれた冷媒流路を備える冷却器本体と、前記第1壁部の内壁中間部に設けられ、前記冷媒流路を冷媒導入流路及び冷媒導出流路に区分する複数の冷却フィンと、前記冷媒導入流路の一端に位置する前記側壁部に設けられた冷媒導入管と、前記冷媒導出流路に接続された冷媒導出管と、前記第1壁部の前記冷媒導入流路に面する部分に設けられた第1の突出部とを備え、前記第1の突出部が設けられた箇所の流路断面積が、前記第1の突出部前後の前記流路断面積よりも狭いことを特徴とする。
【0011】
本発明の冷却器において、前記冷媒導入管の前記第1壁部側に位置する内壁に設けられた第2の突出部を備え、前記第2の突出部が設けられた箇所の流路断面積が、前記第2の突出部前後の前記流路断面積よりも狭いことが好ましい。
【0012】
本発明の冷却器において、前記第1の突出部が、前記電子部品の下側に配置される前記冷却フィンの冷媒導入側の開口よりも上流側に配置されていることが好ましい。
【0013】
本発明の冷却器において、前記第1の突出部の幅は、前記冷却フィンの冷媒導入側の開口から、前記側壁部までの距離の0.1倍以上0.5倍以下の幅であることが好ましい。
【0014】
本発明の冷却器において、前記第1の突出部が、冷媒導入流路の前記側壁部に接していることが好ましい。
【0015】
本発明の冷却器において、前記第1の突出部の前記第2壁部に対向する面が平面であることが好ましい。
【0016】
本発明の冷却器において、前記冷媒導入流路に、複数の前記第1の突出部を備えることができる。
【0017】
本発明の冷却器において、前記冷媒導入流路の上流側にある前記第1の突出部が、前記冷媒導入流路の下流側にある他の前記第1の突出部よりも、幅が狭いことが好ましい。
【0018】
本発明の冷却器において、前記冷媒導入流路の上流側にある前記第1の突出部が、前記冷媒導入流路の下流側にある他の前記第1の突出部よりも、長さが短い又は高さが低いことが好ましい。
【0019】
本発明の冷却器において、前記冷媒導入流路の上流側にある前記第1の突出部が、前記冷媒導入流路の下流側にある他の前記第1の突出部よりも、体積が小さいことが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、冷媒導入流路の冷却面側に設置された突出部によって、該突出部に接する部分で高速となるように流速分布を形成することができるので、冷却フィンの冷媒導入側開口から流入する冷媒が、冷却面となる第1壁部に接する部分でより高速に流れるようにすることができ、それによって電子部品の冷却効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の冷却器の一実施形態を示す構造模式図である。
図2】本発明の冷却器の冷媒導入流路における流速分布の一例を示す模式図である。
図3】本発明の冷却器について、シミュレーションによって求めた、流速分布の一例を示す図面である。
図4】従来の冷却器について、シミュレーションによって求めた、流速分布の一例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本願発明による電子部品の冷却器の一実施形態を説明する。
【0023】
図1(a)には同冷却器の平面図が、同図(b)には(a)のA−A’断面図が示されている。冷却器20は、電子部品10を冷却する冷却面として機能する第1壁部21aと、第1壁部21aに対向して配置される第2壁部21bと、第1壁部21aと第2壁部21bを囲む側壁部21cとからなる冷却器本体21を有している。
【0024】
電子部品10を効率的に冷却するため、第1壁部21aの内壁面には冷却フィン22が取付られている。冷却フィン22としては、ブレードフィン、コルゲートフィン、ピンフィンなど、いずれのタイプのものも使用可能である。ブレードフィンとコルゲートフィンは、直線流路になるようにストレート形状にしてもよいが、流路が蛇行するようにフィンを波状にうねらせるウェービングフィン、フィンを長手方向に分割し横方向にオフセットをつけて配列するオフセットフィンにしてもよい。ピンフィンのピンは、円柱、四角柱等のピンを用いることができ、方形配置又は千鳥配置にすることができる。この実施形態では、冷却フィン22として、平板を並べたブレードフィンが採用されている。
【0025】
第1壁部21a及び冷却フィン22は、熱伝導性の高い材料、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属材料を用いて形成されていることが好ましく、熱伝導性を高めるために、第1壁部21aと冷却フィン22とが、溶接又は鋳造によって、一体成型されていることがより好ましい。
【0026】
冷却器20の、冷却フィン22の冷媒導入側開口部23aの並びと、冷却器20の側壁部21cとで挟まれた空間が、冷媒導入流路28をなしている。冷媒導入流路28の一端には、側壁部21cを貫通する冷媒導入口24が設けられ、該冷媒導入口24に冷媒導入管26が接続されている。
【0027】
一方、冷却フィン22の冷媒導出側開口部23bの並びと、冷却器20の側壁部21cとで挟まれた空間が、冷却フィンの冷媒導出側開口部23bから排出された冷媒を集めて排出するための、冷媒導出流路29をなしている。冷媒導出流路29の一端(この実施形態では冷媒導入口24と同じ側)には、冷媒導出口25が設けられ、該冷媒導出口25に冷媒導出管27が接続されている。ただし、冷媒導出口25は、冷媒導入口24とは反対側の端部にあってもよい。また、冷媒導出口25は、冷媒導出流路29のいずれかの箇所にある側壁部21cに設けられていればよく、必ずしも冷媒導出流路29の端部にある必要はない。
【0028】
冷媒導入流路28及び冷媒導出流路29は、必ずしも直線的である必要はなく、カーブしていてもよい。ただし、冷媒導入流路28は、流速分布を制御したい区間においては、直線的であることが好ましい。冷媒導入流路28の曲りが大きいと、渦による停留部が生じるため好ましくない。
【0029】
冷媒導入管26の断面形状は、特に限定されず、円形、矩形等の断面の冷媒導入管26を用いることができる。冷媒導入管26の出口となる冷媒導入口24の、第1壁部21a及び第2壁部21bと直交する方向の内径は、第1壁部21aと第2壁部21bとの間隔の0.5〜1.0倍であることが好ましい。冷媒導入口24の上記内径が、上記よりも小さいと、冷媒導入流路28における流速分布の制御がしにくくなる可能性がある。
【0030】
第1壁部21aの、冷媒導入流路28に面した内面には、側壁部21cに隣接して、側方から見て逆台形の形状の突出部31、32が、冷媒導入流路28の流れ方向に沿って所定間隔で設置されている。ここで、冷媒導入流路28の上流側に設置された突出部31は、電子部品10の下側に配置される冷却フィンの冷媒導入側開口部23aよりも上流側に配置されていることが好ましい。
【0031】
また、この実施形態では、冷媒導入管26の第1壁部21a側の内面にも、側方から見て台形をなす突出部30が設置されている。
【0032】
このように、突出部30、31、32を設置することによって、突出部を設置した各々の箇所では流路断面積が絞られ、突出部の前後の流路断面積よりも狭くなっている。
【0033】
第1壁部21aの冷媒導入流路28の内面から、突出部31、32の頂部までの距離で表される、突出部31、32の高さH31、H32は、第1壁部21aと第2壁部21bとの間隔の0.1〜0.5倍であることが好ましく、0.3〜0.5倍であることがより好ましい。突出部31、32の高さH31、H32が、第1壁部21aと第2壁部21bとの間隔の0.1倍よりも低いと効果が表れず、0.5倍よりも高いと流路が狭くなることで流速が急激に向上し、制御困難になる。なお、冷媒導入流路28の流れ方向に沿って、上流側に配置された突出部31の高さH31は、下流側に配置された突出部32の高さH32よりも、低いことが好ましい。冷媒導入流路28に沿って配置される突出部31,32は、2つに限らず、1つ又は3つ以上であってもよいが、その場合も冷媒導入流路28の上流側にある突出部は、冷媒導入流路28の下流側にある他の突出部よりも、高さが低いことが好ましい。
【0034】
また、平面的に見たとき、突出部31、32の幅W31、W32は、側壁部21c内面と冷却フィン22の冷媒導入側開口部23aとの間隔よりも小さくされており、それによって、突出部31、32と、冷却フィン22の冷媒導入側開口部23aとの間に、間隙51、52が形成されている。冷媒導入流路28の流れ方向に沿って、上流側に配置された突出部31の幅W31は、下流側に配置された突出部32の幅W32よりも、幅が狭いことが好ましい。更には冷媒導入流路29に沿って配置される突出部31,32は、2つに限らず、1つ又は3つ以上であってもよいが、その場合も冷媒導入流路28の上流側にある突出部は、冷媒導入流路28の下流側にある他の突出部よりも、幅が狭いことが好ましい。突出部31、32の幅W31、W32は、冷媒導入側開口部23aから側壁部21cまでの距離W0の0.1倍以上0.5倍以下の幅であることが好ましい。長い突出部を1つ設ける場合は0.1倍に近づけることが好ましく、短い突出部を複数設ける場合は0.5倍に近づけることが好ましい。なお、突出部31、32の幅W31、W32が上記よりも狭いと効果が表れず、上記よりも広いと流路が狭くなることで流速が上がり、制御困難になる。
【0035】
冷媒導入管26の出口となる冷媒導入口24は、平面的に見たとき、冷媒導入流路28の流れ方向に沿って伸ばすと、突出部31、32に重なるような内径及び位置となるように配置されていることが好ましい。それによって、冷媒導入管26を通って冷媒導入口24から流入する冷媒を、突出部31、32に効果的に衝突させることができる。
【0036】
冷媒導入流路28の流れ方向に沿って、上流側に配置された突出部31の長さL31は、下流側に配置された突出部32の長さL32よりも、長さが短いことが好ましい。冷媒導入流路28に沿って配置される突出部31,32は、2つに限らず、1つ又は3つ以上であってもよいが、その場合も冷媒導入流路28の上流側にある突出部は、冷媒導入流路28の下流側にある他の突出部よりも、長さが短いことが好ましい。突出部31,32の長さL31、L32は、特に限定されないが、両者の合計の長さが、冷媒導入流路28の長さの0.3〜0.7倍であることが好ましく、0.5倍であることがより好ましい。上記合計の長さが、上記よりも短いと効果が表れず、上記よりも長いと流路が狭くなり、流速が上がる事で制御困難となる。
【0037】
以上、冷却器20が複数の突出部を有する場合は、冷媒導入流路28の上流側にある突出部が、冷媒導入流路28の下流側にある他の突出部よりも、高さを低くするか、幅を狭くするか、又は長さを短くして、体積を小さくすることが好ましく、突出部の長さ、幅、高さ及び設置位置を適宜調整して、電子部品10を効率よく冷却しホットスポットの発生を防止することができる。
【0038】
なお、突出部31、32の形状は、特に限定されないが、第2壁部に対向する面は平面であることが好ましい。ただし、突出部31、32は、幅方向に沿って同じ高さを有する形状である必要はなく、例えば冷却フィン22の冷媒導入側開口部23a側に向けて高さが低くなるように傾斜していてもよい。
【0039】
一方、冷媒導入管26に設置された突出部30は、第1壁部21a側の内面に設けられていればよく、その形状は特に限定されないが、第2壁部に対向する面は平面であることが好ましい。突出部30の高さH30は、冷媒導入管26の、第1壁部21a、第2壁部21bに対して垂直な方向の内径の、0.1〜0.5倍であることが好ましく、0.3〜0.5倍であることがより好ましい。突出部30の高さH30が上記よりも低いと効果が得られなくなり、上記よりも高いと導入管路が狭くなる事で流速の急激な向上並びに、圧力損失が増大する。
【0040】
本発明においては、冷媒導入流路28に設けた突出部31、32と、冷媒導入管26に設けた突出部30との両方が必ずしも必要ではなく、どちらかに突出部が設けられていればよい。ただし、電子部品10を効率的に冷却するために、電子部品10の下側に配置される冷却フィンの冷媒導入側開口部23aよりも上流側に配置されていることが好ましい。
【0041】
本発明の冷却器20は、電子部品10、特に、パワー半導体素子と呼ばれる、整流ダイオード、パワーMOSFET,IGBT、サイリスタ等を搭載する半導体モジュールの冷却に好適に用いられる。電子部品10と、第1壁部21aとの接合は、例えば、電子部品10の基板の裏面に形成された導体層を、半田層を介して、第1壁部21aに直接接合したり、上記基板の裏面に形成された導体層を、同じく半田層を介して、銅又はニッケルメッキされたアルミニウム等のベース板に接合し、このベース板の裏面にサーマルグリースを塗布して、冷却器20の第1壁部21aに押し付けたりして接合することができる。
【0042】
次に、上記冷却器20の作用効果について説明する。
図示しないポンプ等により、冷媒は、冷媒導入管26を通って、冷却器20の冷媒導入流路28に流入する。冷媒は、冷媒導入管26を通るとき、冷媒導入口24の手前で、突出部30に接触し、流速分布が変化する。すなわち、突出部30に近接した部分、言い換えると第1壁部21aに近接した部分ほど、流速が早くなる。
【0043】
そして、冷媒導入流路28に流入した冷媒は、2つの突出部31,32に接触して、更に流速分布が変化する。すなわち、突出部31,32に近接した部分、言い換えると第1壁部21aに近接した部分ほど、更に流速が早くなる。また、冷媒導入流路28を通る過程で、冷却フィン22の、冷媒導入流路28に沿って並ぶ、冷媒導入側開口部23aに順次流入し、冷却フィン22の冷却流路23cを通って、冷媒導出流路29に抜ける。
【0044】
このとき、冷媒は、前記突出部30,31,32により、冷媒導入流路28において、第1壁部21aに近接した部分ほど、更に流速が早くなるように流速分布が変化しているため、冷却フィン22の冷却流路23cを通るときも、第1壁部21aに近接した部分ほど流速が早くなって通過する。
【0045】
図2(a)及び(b)は、上記説明の速度分布を視覚化した模式図である。同図(a)は側壁部21cに近く、突出部30,31,32を縦断するA−A’断面での速度分布を表す。また、同図(b)は冷媒導入側開口部23aに近く、間隙51及び52、突出部30を縦断するB−B’断面での速度分布を表す。同図において、速度はハッチングの濃淡で表されている。すなわち、ハッチングが濃くなるほど、冷媒の流れは高速であることを示す。突出部の近くで流れが速くなくなるため、同図(a)では突出部30,31,32に近接するところでハッチングが濃く描かれている。同図(b)では、冷媒導入管26から導入された冷媒は、突出部の作用によって第1壁部21aに向けられるので、ハッチングは上に向かって裾を引いており、第1壁部21aに接する場所で流速が速くなっていることを示している。
【0046】
本発明の冷却器の作用効果は、数値計算による流体解析によって、視覚的に示すことができる。
【0047】
図1に示される冷却器20の作用効果の検証には、ANSYS社製の電気・電子機器熱流体解析ソフトウエアANSYS Icepakを用いた。
【0048】
本検証において、計算条件は、
(1)冷却器20はAl材料(A6063材)からなり、
(2)冷媒導入管26には1つの突出部30が設置され、
(3)冷媒導入流路28には同形状の2つの突出部31,32が設置され、
(4)突出部31、32は側壁部21cに接し、
(5)突出部31、32の幅は、冷媒導入側開口部23aから側壁部21cまでの距離の0.5倍とし、
(6)冷媒は体積比でエチレングリコール:水=50:50の混合物からなる、
と仮定した。
【0049】
図3は、本発明の冷却器について、側壁部21cからの距離Wに位置するA−A’断面の流速分布を、W/W0=0.1,0.2,0.3,0.4,0.5,0.6,0.7,0.8,0.9の各々の位置において、0.2m/s間隔の等高線で表した図面である。側壁部21cからの距離がW/W0=0〜0.5の空間には突出部31、32が設置されており、突出部31、32の表面付近では等高線が密集して、速度勾配が急峻になっている。また、突出部31、32の後方では、等高線の稜線が第1壁部21aに向かっている。一方、W/W0=0.5〜1の空間に突出部はないが、W/W0=0〜0.5の空間における流速分布と同様に、突出部31、32の後方では等高線の稜線は第1壁部21aに向かい、第1壁部21a側に高速部が偏った流速分布が形成されている。この第1壁部21a側に高速部が偏った流速分布によって、第1壁部21aが効果的に冷却される。
【0050】
これに対し、図4は、従来の突出部をもたない冷却器について、その流速分布を9か所の断面において、0.2m/s間隔の等高線で表した図面である。いずれの断面においても、等高線の稜線は水平に真っ直ぐに伸びており、冷却効率を高める特別な効果は認められない。
【0051】
以上、本発明の冷却器における突出部の作用効果は、シミュレーションによっても、確認された。
【符号の説明】
【0052】
10:電子部品
20:冷却器
21:冷却器本体
21a:第1壁部
21b:第2壁部
21c:側壁部
22:冷却フィン
23a:冷却フィンの冷媒導入側開口部
23b:冷却フィンの冷媒導出側開口部
23c:冷却流路
24:冷媒導入口
25:冷媒導出口
26:冷媒導入管
27:冷媒導出管
28:冷媒導入流路
29:冷媒導出流路
30、31、32:突出部
41、42:突出部直下の冷媒導入流路の縊れ
51、52:間隙
C30,C31,C32:間隙の幅
H30,H31,H32:突出部の高さ
L30,L31,L32:突出部の長さ
W:側壁部21cからA−A’断面までの距離
W0:冷媒導入側開口部23aから側壁部21cまでの距離
W30,W31,W32:突出部の幅
図1
図2
図3
図4