特許第6237930号(P6237930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6237930
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】共用車両管理装置及び共用車両管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20171120BHJP
【FI】
   G06Q50/10
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-558522(P2016-558522)
(86)(22)【出願日】2014年11月14日
(86)【国際出願番号】JP2014080175
(87)【国際公開番号】WO2016075808
(87)【国際公開日】20160519
【審査請求日】2017年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 悟
(72)【発明者】
【氏名】知野見 聡
(72)【発明者】
【氏名】永井 友規子
【審査官】 塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−341799(JP,A)
【文献】 特開平11−265410(JP,A)
【文献】 特開2003−162576(JP,A)
【文献】 特開2014−130484(JP,A)
【文献】 特開2012−164210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の第1時刻から当該第1時刻より後の第2時刻までの営業時間と、一の前記営業時間の前記第2時刻から次の前記営業時間の前記第1時刻までの非営業時間とが予め設定され、前記営業時間中に複数のユーザに共用される複数の共用車両を管理する共用車両管理装置であって、
前記共用車両を貸出及び返却することができる複数のステーションの情報を記憶する記憶手段と、
前記営業時間に対応して設定された即時利用時間帯に、前記ユーザから、貸出時刻及び返却時刻を指定することなく、一のステーションから借り出した前記共用車両を、任意のステーションへ返却する旨の前記共用車両の即時利用の利用要求を受け付ける第1利用受付手段と、
前記営業時間の前記第1時刻を過ぎない範囲で、前記非営業時間に対応して設定された予約時間帯に、前記ユーザから、特定のステーションを出発地として指定し、且つ現在の前記予約時間帯の直後に設定された前記営業時間の開始時刻以降に前記共用車両を利用開始する旨の利用予約を受け付ける第2利用受付手段と、を備える共用車両管理装置。
【請求項2】
前記予約時間帯は、前記営業時間の終了時刻から、次の前記営業時間の開始時刻までの間におけるいずれかの時間帯である請求項1に記載の共用車両管理装置。
【請求項3】
前記営業時間以外の時間に前記共用車両の回送及び整備を行う場合の整備スケジュールを作成する整備スケジュール作成手段をさらに備え、
前記第2利用受付手段は、前記整備スケジュールに基づき、前記営業時間以外の時間に整備が行われる前記共用車両については、前記営業時間の開始時刻までに整備が完了し、前記ステーションまで回送される予定である前記共用車両についてのみ、前記ユーザによる利用予約を受け付ける請求項1又は2に記載の共用車両管理装置。
【請求項4】
前記共用車両の整備は、駆動エネルギーの補給並びに前記共用車両の点検、保守、修理及び清掃のうち、少なくとも1つを含む請求項3に記載の共用車両管理装置。
【請求項5】
前記整備スケジュール作成手段は、前記第2利用受付手段により受け付けた利用予約の内容に応じて、前記共用車両の整備スケジュールを作成する請求項3又は4に記載の共用車両管理装置。
【請求項6】
前記整備スケジュール作成手段は、前記利用予約が受け付けられた時点では、前記利用予約にて前記ユーザが前記共用車両の貸出を希望するステーションに前記共用車両が待機していない場合には、次の前記営業時間の開始時刻までに当該ステーションに前記共用車両が回送されるように前記整備スケジュールを調整する請求項5に記載の共用車両管理装置。
【請求項7】
前記整備スケジュール作成手段は、前記利用予約が受け付けられた時点では、前記利用予約にて前記ユーザが前記共用車両の返却を希望するステーションに前記共用車両を返却可能なスペースがない場合には、当該ユーザにより当該ステーションに前記共用車両が返却されるまでに、当該ステーションから前記共用車両が回収されるように前記整備スケジュールを調整する請求項5又は6に記載の共用車両管理装置。
【請求項8】
前記共用車両の駆動エネルギー残量及び保守状態を予測する予測手段をさらに備え、
前記第2利用受付手段は、次の前記営業時間の開始時刻に、前記駆動エネルギー残量が所定閾値以上であり且つ保守状態が所定基準を満たすと予測される前記共用車両についてのみ、前記ユーザによる前記共用車両の利用予約を受け付ける請求項1〜6の何れか一項に記載の共用車両管理装置。
【請求項9】
前記共用車両を利用したユーザに対して、前記共用車両の利用時間に応じて利用料を課金する課金手段をさらに備え、
前記課金手段は、
第1利用受付手段により前記ユーザの利用要求を受け付けた場合には、前記利用要求の受け付け時点から所定の第1猶予時間の間の利用時間を、前記共用車両の利用時間から除外して課金処理を行い、
第2利用受付手段により前記ユーザの利用予約を受け付けた場合には、前記共用車両の利用を開始する予定時刻から所定の第2猶予時間の間の利用時間を、前記共用車両の利用時間から除外して課金処理を行い、
前記第2猶予時間を、前記第1猶予時間より短く設定する請求項1〜7の何れか一項に記載の共用車両管理装置。
【請求項10】
所定の第1時刻から当該第1時刻より後の第2時刻までの営業時間と、一の前記営業時間の前記第2時刻から次の前記営業時間の前記第1時刻までの非営業時間とを予め設定し、前記営業時間中に複数のユーザに共用される複数の共用車両を管理するコンピュータが、
前記共用車両を貸出及び返却することができる複数のステーションの情報を記憶するステップと、
前記営業時間に対応して設定された即時利用時間帯に、前記ユーザから、貸出時刻及び返却時刻を指定することなく、一のステーションから借り出した前記共用車両を、任意のステーションへ返却する旨の前記共用車両の即時利用の利用要求を受け付けるステップと、
前記営業時間の前記第1時刻を過ぎない範囲で、前記非営業時間に対応して設定された予約時間帯に、前記ユーザから、特定のステーションを出発地として指定し、且つ現在の前記予約時間帯の直後に設定された前記営業時間の開始時刻以降に前記共用車両を利用開始する旨の利用予約を受け付けるステップと、を実行する共用車両管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザによって利用される複数の共用車両を管理する共用車両管理装置及び共用車両管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のユーザが複数の共用車両を利用するカーシェアリングシステムが知られている。このカーシェアリングシステムでは、共用車両を利用し終えたユーザが、特定のステーションへと共用車両を返却するようになっている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−215739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなカーシェアリングシステムとしては、一のステーションから借り出した共用車両を、他のステーションへ返却することが許される、いわゆる乗り捨て型のワンウェイ・カーシェアリングシステムも提案されている。
【0005】
このワンウェイ・カーシェアリングシステムでは、ユーザが共用車両を返却するステーションを任意に選択できるため、利用後の共用車両の返却場所は定まっていない。そのため、たとえば、ユーザが定刻に同じ経路で共用車両を利用するような用途(たとえば、通勤・通学等の用途)では、ユーザが共用車両を利用しようとする際に所望のステーションに共用車両が待機していない場合があり、これによりユーザが共用車両を利用できず、共用車両の稼働率が低下するという問題がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ワンウェイ・カーシェアリングシステムにおいて、ユーザの用途に合わせた共用車両の利用態様を提案し、共用車両の稼働率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、共用車両の利用可能時間帯の少なくとも一部を含む所定の即時利用時間帯には、ユーザから、共用車両の即時利用の利用要求を受け付けるとともに、所定の予約時間帯には、ユーザから、次の利用可能時間帯の開始時刻から共用車両を利用開始する旨の利用予約を受け付けることにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザから、特定の時刻に共用車両を利用開始する旨の利用予約を受け付けるため、ユーザの用途に合わせた共用車両の利用態様を提案できるようになる。その結果、カーシェアリングシステムの利便性が向上し、共用車両の稼働率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の実施形態に係る共用車両管理装置を備えた共用車両管理システムにおいて、ユーザが共用車両を利用する方法の一例を示す概要図である。
図1B】本発明の実施形態に係る共用車両管理装置を備えた共用車両管理システムの構成図である。
図2図1Bの共用車両管理システムが管理する共用車両が配置されるステーションを示す図である。
図3】ユーザから共用車両の利用予約を受け付ける方法の一例を説明するための図である。
図4】共用車両の整備スケジュールを作成する方法を説明するための図である。
図5】本発明の実施形態に係る共用車両管理装置による、共用車両の利用及び返却を管理する制御手順の一例を示すフローチャートである。
図6A】本発明の実施形態に係る共用車両管理装置による利用予約受付処理の一例を示すフローチャートである。
図6B】本発明の実施形態に係る共用車両管理装置による利用予約受付処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る共用車両管理装置について説明する。本実施形態では、共用車両管理装置を、複数のユーザが複数のステーションに配置された複数の共用車両を共用するカーシェアリングシステムを管理運営する共用車両管理システムに適用した例を用いて説明する。本実施形態のカーシェアリングシステムは、一のステーションから借り出した共用車両を、他のステーションへ返却することが許される、いわゆる乗り捨て型のワンウェイ・カーシェアリングシステムである。なお、各ステーションは、共用車両を駐車させることができ、共用車両の貸出及び返却を行ったり、利用されていない共用車両を待機させたりできる場所であり、カーシェアリングシステムのために予め用意した駐車場などが挙げられる。
【0011】
ここで、図1Aは、本実施形態の共用車両管理装置100を備えた共用車両管理システム1000において、ユーザが共用車両を利用する方法の一例を示す概要図である。本実施形態の共用車両管理システム1000においては、ユーザは、ユーザ端末装置400Xを操作することで、共用車両管理装置100が管理する複数のステーションの中から、共用車両の貸出しを希望するステーション(貸出ステーション)を選択し、選択した貸出ステーションで待機している共用車両の利用予約をする。
【0012】
たとえば、図1Aに示す場面において、ユーザU2が貸出ステーションとしてステーションST1を選択した場合には、ステーションST1で待機している共用車両V1を利用予約できる。この際には、併せて、任意のステーションを、共用車両を利用後に返却するためのステーション(帰着ステーション)として設定してもよい。あるいは、ユーザU2は、共用車両の利用予約をした後、所望のタイミングで、この帰着ステーションを設定してもよい。これにより、ユーザは、予約した共用車両に乗車して共用車両を利用できるようになり、その後、利用した共用車両を、設定した帰着ステーションに返却することで、乗り捨て型のワンウェイ・カーシェアリングシステムを利用できるようになっている。
【0013】
一方、図1Aに示す場面において、ユーザU2が貸出ステーションとしてステーションST2を選択した場合には、ステーションST2には待機している共用車両が存在しないため、共用車両管理装置100は、ステーションST2には現在利用可能な共用車両が存在せず、ステーションST2からは共用車両の貸出を行うことができない旨の情報を、ユーザU2のユーザ端末装置400Xに送信する。
【0014】
以上が本実施形態におけるワンウェイ・カーシェアリングシステムの基本構成である。本実施形態では、このようなワンウェイ・カーシェアリングシステムにおいて、共用車両管理装置100は、各ステーションの稼働率を算出し、稼働率が低いステーションを、上述した貸出ステーションや帰着ステーションとして利用したユーザに対して、所定のインセンティブ特典を付与する。これにより、本実施形態では、稼働率が低いステーションの利用をユーザに促すこととなり、ステーション間の稼働率の差を低減することができる。
【0015】
図1Bは、本実施形態の共用車両管理システム1000を示す構成図である。図1Bに示すように、本実施形態の共用車両管理システム1000は、共用車両管理装置100と、複数のユーザに利用される複数の共用車両V1〜Vn(以下、共用車両Vnと総称することもある)がそれぞれ備える車載装置200V1〜200Vn(以下、車載装置200Vnと総称することもある)と、複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末装置400X〜400Z(以下、ユーザ端末装置400Xと総称することもある)と、を有する。本実施形態の共用車両管理システム1000を構成する、車載装置200V1〜200Vn、ユーザ端末装置400X〜400Zの台数は限定されない。
【0016】
共用車両管理装置100、車載装置200V1〜200Vn及びユーザ端末装置400X〜400Zは、それぞれ通信装置(20、220、420)を備え、インターネット300などの電気通信回線網を介して相互に情報の授受が可能である。通信経路は有線であっても無線であってもよい。
【0017】
本実施形態のユーザ端末装置400Xは、本発明の本実施形態に係るユーザ端末装置400Xに適用されるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、各機能を実行させる動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。本実施形態のユーザ端末装置400Xは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はPDA(Personal Digital Assistant)その他の可搬型の端末装置であってもよい。
【0018】
本実施形態のユーザ端末装置400Xは、各ユーザによる所望の貸出ステーションの共用車両Vnの即時利用を求める利用要求や、所定時刻から共用車両Vnの利用を開始する旨の利用予約などの入力情報を受け付ける入力装置410と、共用車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置420と、各ユーザに情報を通知するための表示装置430と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置440とを備える。
【0019】
ユーザ端末装置400Xの入力装置410としては、たとえば、ユーザの手操作による入力が可能なディスプレイ画面上に配置されるタッチパネル又はジョイスティックや、ユーザの音声による入力が可能なマイクなどの装置を用いることができる。表示装置430としては、ディスプレイなどが挙げられ、タッチパネル・ディスプレイを用いる場合には、入力装置410と兼用することができる。
【0020】
本実施形態の制御装置440は、ユーザ端末装置400Xに備えられた図示しないGPS(Global Positioning System)受信機などの位置取得装置を用いて、ユーザ端末装置400Xを操作するユーザの現在位置の情報を取得し、取得した現在位置の情報を、通信装置420を介して、共用車両管理装置100に送信する。
【0021】
また、制御装置440は、各ユーザによる共用車両Vnの即時利用を求める利用要求や、所定時刻から共用車両Vnの利用を開始する旨の利用予約などの入力情報を受け付け、通信装置420を介して、共用車両管理装置100に送信する。なお、共用車両Vnの即時利用としては、たとえば、ユーザが利用要求をユーザ端末装置400Xに入力してから、短時間以内(たとえば、30分以内)に共用車両Vnの利用を開始するような利用態様をいう。また、本実施形態では、共用車両Vnの利用予約とは、次の共用車両Vnの利用可能時間帯の開始時刻から共用車両Vnの利用を開始する旨の予約をいう。たとえば、利用可能時間帯が8:00〜20:00(午前8時から午後8時)と設定されている場合には、利用予約とは、次の8:00(午前8時)から共用車両Vnの利用を開始する旨の予約をすることをいう。
【0022】
上述した利用要求や利用予約には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザが設定した貸出ステーションの情報、ユーザが利用しようとする共用車両VnのID情報、ユーザが設定した帰着ステーションの情報などが含まれる。なお、本実施形態のユーザ端末装置400Xは、必要に応じて、共用車両管理装置100から、各ステーションの情報や、各ステーションにおける利用候補の共用車両Vnの情報、後述する共用車両Vnの整備スケジュール情報などを受信する。本実施形態では、帰着ステーションの設定は、このように利用要求や利用予約を送信するタイミングで行ってもよいし、共用車両Vnの利用要求や利用予約を送信した後で、共用車両Vnを利用中の所望のタイミングで行ってもよい。
【0023】
加えて、本実施形態においては、ユーザ端末装置400Xは、ユーザに対して共用車両Vnの走行経路を案内するためのナビゲーション装置として機能するものであってもよい。この場合には、ユーザ端末装置400Xは、たとえば、予めユーザ端末装置400Xに備えられたROMなどに地図情報を記憶させておき、表示装置430に、地図情報とともに、ユーザが現在利用している共用車両Vnの現在位置と、ユーザが設定した帰着ステーションの位置とを表示し、共用車両Vnの現在位置から帰着ステーションまでの走行経路を案内するように構成することができる。
【0024】
本実施形態の車載装置200Vnは、各共用車両Vnの現在位置を検出するGPS受信機210と、共用車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置220と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置230とを備える。
この車載装置200Vnは、ユーザ端末装置400Xの機能を利用した簡易な機構にしてもよい。例えば、GPS受信機や通信装置、経路演算および経路誘導装置などがユーザ端末装置400Xに搭載されている場合はその機能を利用し、車載装置200Vnは、次に示すユーザの認証のみを行うようにしてもよい。
【0025】
本実施形態においては、制御装置230は、車載装置200Vnに備えらえた認証装置(不図示)を用いて、共用車両Vnに乗車したユーザが、該共用車両Vnの利用予約を行ったユーザと一致するか否かのユーザ認証を行う。たとえば、制御装置230は、認証装置として、NFC(Near Field Communication)による通信が可能な装置を用いて、ユーザが所有するユーザ端末装置400Xや会員カードなどからユーザのID情報を読み取り、さらに、通信装置220を介して共用車両管理装置100にアクセスして、共用車両Vnの予約情報を取得し、共用車両Vnに乗車したユーザのユーザ認証を行う。
【0026】
また、制御装置230は、GPS受信機210を用いて取得した現在位置の情報を、通信装置220を介して、共用車両管理装置100に送信する。
【0027】
さらに、制御装置230は、図示しないディスプレイやスピーカなどを用いて、共用車両管理装置100から送信された情報などを、ユーザに通知する。本実施形態では、制御装置230は、たとえば、共用車両管理装置100から、各ステーションの情報や、各ステーションにおける利用可能な共用車両Vnの情報、後述する共用車両Vnの整備スケジュール情報などを受信して、ユーザに通知する。
【0028】
なお、本実施形態においては、車載装置200Vnは、上述したユーザ端末装置400Xと同様に、共用車両Vnの現在位置から帰着ステーションまでの走行経路を案内するためのナビゲーション装置として機能するものであってもよい。
【0029】
本実施形態の共用車両管理装置100は、共用車両管理システム1000のサーバとして機能し、カーシェアリングシステムを管理運営するための制御処理を実行する制御装置10と、車載装置200Vn及びユーザ端末装置400Xとそれぞれ相互に通信可能な通信装置20と、通信装置20により受信した情報、各共用車両Vnの情報、及び各ステーションの情報などを記憶するデータベース30とを備える。
【0030】
本実施形態においては、制御装置10は、各ユーザ端末装置400X及び各車載装置200Vnから、通信装置20を介して受信した情報を、適宜データベース30に記憶させる。そして、制御装置10は、後述する各機能により、通信装置20が受信した情報、及びデータベース30に記憶させた情報に基づいて、ユーザによる共用車両Vnの利用及び返却の管理を行う。
【0031】
たとえば、本実施形態においては、図2に示すように、地図上の所定の利用領域(図2に破線で示す領域)内にて、丸印で示すステーションが複数設けられ、ユーザがステーションST1で借りた共用車両Vnを利用し、その後共用車両VnをステーションST2に返却するような場面において、制御装置10は、ユーザによる共用車両Vnの利用及び返却の管理を行うことができる。なお、図2に示す例では、隣り合うステーション間の距離が等しくなるように、各ステーションが配置されているが、配置の態様はこれに限定されるものではない。
【0032】
さらに、共用車両管理装置100は、各共用車両Vnの整備を行うための整備スケジュールを作成する。本実施形態のカーシェアリングシステムでは、共用車両管理装置100は、ユーザによる共用車両Vnの即時利用を許容する利用可能時間帯(営業時間)を設定し、この利用可能時間帯の終了時刻から、次の利用可能時間帯の開始時刻までの時間である営業時間外に、共用車両Vnの整備を行うようにしてもよい。なお、共用車両Vnの整備としては、共用車両Vnの駆動エネルギー(内燃機関で走行駆動するガソリン車等にあってはガソリンを、電気自動車にあってはバッテリの充電量を意味する。以下同じ。)の補給や、共用車両Vnの点検、保守、修理及び清掃などのうち、少なくとも1つを行うことが挙げられる。
【0033】
本実施形態のカーシェアリングシステムでは、上述したステーションの他に、共用車両Vnの整備を行うための整備場を設け、営業時間外に、カーシェアリングシステムの運営を行うスタッフ等が、共用車両Vnを整備場に移動させ、共用車両Vnの整備を行う。本実施形態では、駆動エネルギーの補給や、共用車両Vnの点検、保守、修理及び清掃などを行う整備場を、共用車両Vnの貸出及び返却を行うステーション以外に設けることにより、各ステーションに整備設備を設けることによるコストを低減できる。さらに、本実施形態では、特定の整備場にて集中的に共用車両Vnの整備を行うことで、整備を効率的に行うことができる。
【0034】
あるいは、本実施形態では、上述したステーションのうち、任意のステーションに、共用車両Vnの整備を行うための設備を設置し、当該ステーションにて共用車両Vnの整備を行うようにしてもよい。
【0035】
そして、本実施形態では、整備が行われた共用車両Vnは、必要に応じて、カーシェアリングシステムの運営を行うスタッフ等により、いずれかのステーションに回送され、次の営業時間から、ユーザによって利用できるようになる。
【0036】
本実施形態の共用車両管理装置100は、このように営業時間外に共用車両Vnの整備及び回送を行うための整備スケジュールを作成する。そして、共用車両管理装置100は、後述するように、作成した整備スケジュールに応じて、ユーザから、次の営業時間の開始時刻から共用車両Vnの利用を開始する旨の利用予約を受付けることができる。
【0037】
本実施形態の共用車両管理装置100のデータベース30は、共用車両情報31と、ステーション情報32と、ユーザから受け付けた利用要求33及び利用予約34と、地図情報35とを記憶する。なお、図1Bに示す例では、データベース30を一つだけ設けた例を示したが、本実施形態の共用車両管理装置100では、データベース30を複数設け、各データベース30に、共用車両情報31、ステーション情報32、利用要求33、利用予約34及び地図情報35を別々に記憶してもよい。
【0038】
ここで、共用車両情報31は、各共用車両Vnの情報であり、ステーション情報32は、各ステーションの情報である。
【0039】
また、利用要求33は、各ユーザがユーザ端末装置400Xを用いて、共用車両Vnの即時利用を求めるために入力した入力情報である。利用予約34は、各ユーザがユーザ端末装置400Xを用いて、次の営業時間の開始時刻から共用車両Vnを利用する旨の予約を入力した入力情報である。
【0040】
本実施形態の共用車両管理装置100の制御装置10は、図1Bに示すように、カーシェアリングシステムを管理運営する処理を実行するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、共用車両管理装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13とを備える。
【0041】
共用車両管理装置100の制御装置10は、利用要求受付機能と、整備スケジュール作成機能と、利用予約受付機能と、通知機能と、返却受付機能と、課金機能とを実現する。本実施形態に係る共用車両管理装置100の制御装置10は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実現するコンピュータである。
【0042】
以下において、共用車両管理装置100の制御装置10が実現する各機能についてそれぞれ説明する。
【0043】
まず、本実施形態の制御装置10が実行する利用要求受付機能について説明する。制御装置10は、利用要求受付機能により、ユーザ端末装置400Xから、共用車両Vnの即時利用を求める利用要求を取得し、取得した利用要求の情報を、利用要求33としてデータベース30に記憶させる。なお、利用要求には、上述したように、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザが設定した貸出ステーションの情報、ユーザが利用しようとする共用車両VnのID情報、ユーザが設定した帰着ステーションの情報などが含まれる。
【0044】
本実施形態のワンウェイ・カーシェアリングシステムでは、制御装置10は、所定の即時利用時間帯には、利用要求として、利用要求の受付時点から短時間以内(たとえば、30分間以内)に共用車両Vnを利用開始する即時利用の要求のみを受け付けている。一方、本実施形態のワンウェイ・カーシェアリングシステムでは、制御装置10は、この即時利用時間帯には、将来の共用車両Vnの利用を求める利用態様は受け付けない。具体的には、制御装置10は、この即時利用時間帯には、数時間後に共用車両Vnを利用開始する利用態様や、翌日以降に共用車両Vnを利用開始する利用態様は受け付けない。
【0045】
なお、ワンウェイ・カーシェアリングシステムでは、ユーザが共用車両Vnを返却するステーションを任意に選択できるため、利用後の共用車両Vnの返却場所は定まっていない。そのため、ワンウェイ・カーシェアリングシステムでは、通常、共用車両Vnの待機場所をコントロールする(すなわち、特定の時刻に、特定に貸出ステーションに共用車両Vnを待機させておくようにする)ことが困難である。
【0046】
なお、従来のワンウェイ・カーシェアリングシステムでは、ユーザから、将来の共用車両Vnの利用を求める利用態様を受け付けた場合には、当該ユーザが希望する時刻に、希望する貸出ステーションに共用車両Vnを待機させておく必要があり、これを実現するためには、たとえば、予め共用車両Vnを当該貸出ステーションに移動ないし待機させておき、且つ他のユーザによる利用を禁止しておく等の方法が考えられるが、この方法では、共用車両Vnを利用が禁止された状態でステーションに待機させておくため、共用車両Vnの稼働率が低下してしまう。
【0047】
そのため、本実施形態のワンウェイ・カーシェアリングシステムでは、所定の即時利用時間帯には、将来の共用車両Vnの利用を求める利用態様は受け付けずに、共用車両Vnの即時利用を求める利用態様のみ受け付けるようにし、これにより共用車両Vnの稼働率を向上させるようにしている。
【0048】
なお、本実施形態の制御装置10は、ユーザからの利用要求を、ユーザが実際に共用車両Vnを利用開始する時刻の短時間前(たとえば、30分前)から受け付けできるようにする。この際には、即時利用時間帯としては、たとえば図3に示すように、営業時間が8:00〜20:00(午前8時から午後8時)と設定されている場合には、営業時間より30分等の短時間だけ早い時間帯として7:30〜19:30を設定できる。
【0049】
続いて、本実施形態の制御装置10が実行する整備スケジュール作成機能について説明する。本実施形態では、制御装置10は、整備スケジュール作成機能により、各共用車両Vnの整備の必要性を判定し、整備が必要であると判定した共用車両Vnを営業時間外に整備するための整備スケジュールを作成する。
【0050】
たとえば、図4に示す場面を例に説明すると、まず、制御装置10は、ステーションST1で待機している共用車両V1の駆動エネルギーの残量が所定閾値未満となっていることを検知した場合には、共用車両V1について駆動エネルギーの補給(ガソリンの給油や、バッテリの充電等)が必要であると判定する。そして、制御装置10は、営業時間外に共用車両V1を整備場Mに移動させ、整備場Mにて、駆動エネルギーの補給を行い、次の営業時間の開始時刻までに共用車両V1をいずれかのステーションに回送するという整備スケジュールを作成する。
【0051】
なお、共用車両V1の回送先のステーションとしては、もともと共用車両V1が待機していたステーションST1としてもよいし、たとえば複数の共用車両Vnが特定のステーションに偏在しないようするという観点などにより、現在共用車両Vnが待機していないステーション(たとえば、図4に示すステーションST2等)としてもよい。ワンウェイ・カーシェアリングシステムでは、各ユーザが、それぞれ所望のステーションにて共用車両Vnの利用及び返却を行うため、貸出ステーションとして集中する傾向にあるステーションでは共用車両Vnが不足し、帰着ステーションとして集中する傾向にあるステーションでは共用車両Vnが過剰に存在する傾向にある。そのため、本実施形態では、営業時間外に共用車両Vnを移動させるよう整備スケジュールを調整することで、各ステーションにおける共用車両Vnの偏在を抑制できる。
【0052】
また、後述する利用予約受付機能により、あるユーザから、図4に示すステーションST2を貸出ステーションとした利用予約を受け付けた場合には、制御装置10は、整備後の共用車両V1を、ステーションST2に回送するように整備スケジュールを作成する。
【0053】
また、制御装置10は、整備の必要がないと判定した共用車両Vnについても、整備場Mに移動させるように整備スケジュールを調整してもよい。たとえば、図4に示す場面において、制御装置10が、ステーションST1で待機している共用車両V1は整備の必要がないと判定した場合であっても、後述する利用予約受付機能により、あるユーザから、ステーションST1を帰着ステーションとした利用予約を受け付けた場合には、制御装置10は、ステーションST1から整備場Mに共用車両V1を移動させ、ステーションST1に駐車スペースを確保するように整備スケジュールを調整してもよい。
【0054】
また、本実施形態では、共用車両Vnが特定のステーションに偏在してしまうことを解消する目的で、営業時間外に共用車両Vnを移動させるよう整備スケジュールを調整してもよい。
【0055】
続いて、本実施形態の制御装置10が実行する利用予約受付機能について説明する。本実施形態では、制御装置10は、利用予約受付機能により、ユーザから、次の営業時間の開始時刻から共用車両Vnを利用する旨の利用予約を受け付ける。なお、利用予約には、上述したように、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザが設定した貸出ステーションの情報、ユーザが利用しようとする共用車両VnのID情報、ユーザが設定した帰着ステーションの情報などが含まれる。
【0056】
本実施形態では、制御装置10は、ユーザのユーザ端末装置400Xから利用予約が送信された際には、上述した整備スケジュールを参照し、ユーザが設定した貸出ステーションが利用可能である場合には、当該利用予約を受け付ける。
【0057】
たとえば、制御装置10は、ユーザのユーザ端末装置400Xから利用予約が送信された時点で、ユーザが設定した貸出ステーションに共用車両Vnが待機している場合には、利用予約を受け付ける。あるいは、制御装置10は、ユーザのユーザ端末装置400Xから利用予約が送信された時点では、ユーザが設定した貸出ステーションに共用車両Vnが存在しない場合においても、上述した整備スケジュールを参照し、次の営業時間の開始時刻までに、当該貸出ステーションに共用車両Vnが回送される予定があれば、利用予約を受け付ける。
【0058】
なお、本実施形態の制御装置10は、利用予約にてユーザが設定した貸出ステーションにおいて、次の営業時間の開始時刻に共用車両Vnが待機している予定であっても、次の営業時間の開始時刻に、当該共用車両Vnの駆動エネルギー残量が所定閾値未満であるか、又は当該共用車両Vnの保守状態が所定基準を満たさないと予想される場合には、当該共用車両Vnの利用予約を受け付けないようにしてもよい。すなわち、制御装置10は、共用車両Vnについて、駆動エネルギー残量が所定閾値以上であり且つ保守状態が所定基準を満たす場合にのみ、当該共用車両Vnの利用予約を受け付けるようにしてもよい。なお、上記所定閾値としては、任意の値を設定すればよいが、たとえば、共用車両Vnの過去の利用実績に基づき、所定期間あたりの駆動エネルギーの消費量の平均値などに応じて適宜設定できる。また、所定基準としては、共用車両Vnの不具合を確認するための点検項目が全て合格であることなどが挙げられる。
【0059】
また、制御装置10は、利用予約を受け付ける際には、ユーザが設定した貸出ステーションに共用車両Vnが待機していることに加えて、ユーザが設定した帰着ステーションに、新たに共用車両Vnを返却できる駐車スペースが存在する場合にのみ、利用予約を受け付けるようにしてもよい。
【0060】
さらに、本実施形態の制御装置10は、上述したように整備スケジュールを参照して利用予約の受付可否を判定するだけでなく、送信された利用予約に応じて、利用予約を受け付けできるように整備スケジュールを変更してもよい。たとえば、利用予約が送信された時点では、ユーザが設定した貸出ステーションにおいて、次の営業時間の開始時刻に共用車両Vnが待機する予定がない場合であっても、制御装置10は、当該貸出ステーションに共用車両Vnが回送されるように整備スケジュールを変更できる。また、利用予約が送信された時点では、ユーザが設定した帰着ステーションに、共用車両Vnを返却できる駐車スペースがない場合であっても、制御装置10は、当該帰着ステーションに現在駐車されている共用車両Vnを移動させるように整備スケジュールを変更できる。
【0061】
本実施形態では、制御装置10は、予め設定した予約時間帯にのみ、このような利用予約を受け付けるようにする。予約時間帯としては、営業時間の終了時刻から、次の営業時間の開始時刻までの時間帯の少なくとも一部を含む時間帯とすることができる。具体的には、図3に示すように営業時間が8:00〜20:00と設定されている場合には、予約時間帯としては、たとえば、営業時間の終了時刻付近から、次の営業時間の開始時刻付近までの19:30〜7:30と設定できる。
【0062】
なお、図3に示す例では、予約時間帯の開始時刻を、営業時間の終了時刻の30分前(19:30)としたが、予約時間帯の開始時刻は、営業時間によらず、これより早い時刻や、これより遅い時刻としてもよい。また、予約時間帯の終了時刻は、図3に示すような営業時間の開始時刻の30分前(7:30)に限られず、営業時間の開始時刻までの任意の時刻に設定すればよい。
【0063】
さらに、図3では、ユーザの利用予約を受け付け可能な予約時間帯を、上述した即時利用時間帯の終了時刻(19:30)から開始し、即時利用時間帯の開始時刻(7:30)に終了する例を示したが、即時利用時間帯と、予約時間帯とは時間帯が重なってもよい。
【0064】
続いて、本実施形態の制御装置10が実行する通知機能について説明する。制御装置10は、通知機能により、各車載装置200Vn及び各ユーザ端末装置400Xと通信して、ユーザに対して、共用車両Vnの利用要求を受け付けた旨、共用車両Vnの利用予約を受け付けた旨、共用車両Vnの返却が完了した旨の情報などを通知する。
【0065】
また、制御装置10は、通知機能により、各車載装置200Vn及び各ユーザ端末装置400Xと通信して、ユーザに対して、上述した整備スケジュールの情報を通知してもよい。
【0066】
続いて、本実施形態の制御装置10が実行する返却受付機能について説明する。制御装置10の返却受付機能は、ユーザにより、車載装置200Vn又はユーザ端末装置400Xを介して送信される共用車両Vnの返却要求に応じて、共用車両Vnの返却を受け付ける機能である。
【0067】
たとえば、図1Aに示すように、共用車両V2の帰着ステーションがステーションST2に設定されている場合には、ユーザU1が、共用車両V2をステーションST2に停車させた後で、車載装置200V2を操作して共用車両管理装置100に返却要求を送信することで、制御装置10は、共用車両V2の返却を受け付けることができる。
【0068】
なお、ユーザが送信する返却要求には、ユーザが利用した共用車両VnのID情報及び現在位置情報が含まれており、制御装置10は、受信した返却要求に含まれる共用車両VnのID情報に基づき、データベース30に記憶された利用要求33の中から、該共用車両VnのID情報に対応する情報を読み出し、該共用車両Vnが、予め設定された帰着ステーションに位置しているか否かを判定し、共用車両Vnが帰着ステーションに位置していると判定された場合には、共用車両Vnが正しく返却されたものとして処理する。
【0069】
続いて、本実施形態の制御装置10が実行する課金機能について説明する。制御装置10の課金機能は、共用車両Vnを返却したユーザに対して、共用車両Vnの利用時間に応じて利用料を課金する機能である。
【0070】
本実施形態では、ユーザが共用車両Vnの利用要求を送信して共用車両Vnを即時利用する場合には、制御装置10は、ユーザの利用要求を受け付けた時点から、ユーザによる共用車両Vnの返却を受け付けた時点までを、共用車両Vnの利用時間として算出する。そして、制御装置10は、算出した利用時間に応じて、共用車両Vnの利用料を算出し、この利用料を、たとえばクレジットカードの引き落とし等の方法によりユーザに課金する。
【0071】
この際には、制御装置10は、ユーザの利用要求を受け付けた時点から、所定の第1猶予時間までの間の利用時間を、共用車両Vnの利用時間から除外して、利用料を算出するようにしてもよい。なお、上記第1猶予時間は、ユーザに対するサービスとして、無料の利用時間として設定されるものであり、ユーザが共用車両Vnの利用開始の準備に要する時間(たとえば、ユーザがユーザ端末装置400Xを操作して利用要求を送信した後、貸出ステーションまで徒歩等で移動し、共用車両Vnに乗車して共用車両Vnを利用開始する操作を行うまでの時間)を考慮して設定される。
【0072】
たとえば、第1猶予時間を30分間と設定した場合には、制御装置10は、ユーザの利用要求を受け付けてから30分後の時点を起点として、ユーザによる共用車両Vnの返却を受け付けた時点までの利用時間に応じて、共用車両Vnの利用料を算出する。この場合には、ユーザの利用要求を受け付けてから、第1猶予時間である30分が経過する前に、ユーザが共用車両Vnに乗車して利用を開始した場合には、制御装置10は、実際にユーザが共用車両Vnの利用を開始した時点を起点として、ユーザによる共用車両Vnの返却を受け付けた時点までの利用時間に応じて、共用車両Vnの利用料を算出してもよい。
【0073】
また、本実施形態では、ユーザが共用車両Vnの利用予約を送信して、次の営業時間の開始時刻から共用車両Vnの利用を開始する旨の予約をした場合には、制御装置10は、次の営業時間の開始時刻から、ユーザによる共用車両Vnの返却を受け付けた時点までを、共用車両Vnの利用時間として算出し、この利用時間に応じた利用料をユーザに課金する。
【0074】
この際には、制御装置10は、次の営業時間の開始時刻から、所定の第2猶予時間までの間の利用時間を、共用車両Vnの利用時間から除外して、利用料を算出するようにしてもよい。なお、第2猶予時間は、上述した第1猶予時間と同様に、ユーザに対するサービスとして設定される無料の利用時間であり、ユーザが共用車両Vnの利用開始の準備に要する時間(たとえば、ユーザが共用車両Vnに乗車して共用車両Vnを利用開始する操作を行うまでの時間)を考慮して設定される。
【0075】
たとえば、第2猶予時間を10分間と設定した場合には、制御装置10は、営業時間の開始時刻から10分後の時点を起点として、ユーザによる共用車両Vnの返却を受け付けた時点までの利用時間に応じて、共用車両Vnの利用料を算出する。この場合には、営業時間の開始時刻から、第2猶予時間である10分が経過する前に、ユーザが共用車両Vnに乗車して利用を開始した場合には、制御装置10は、実際にユーザが共用車両Vnの利用を開始した時点を起点として、ユーザによる共用車両Vnの返却を受け付けた時点までの利用時間に応じて、共用車両Vnの利用料を算出してもよい。
【0076】
本実施形態では、第2猶予時間を、第1猶予時間より短く設定することが好ましい。すなわち、共用車両Vnが利用予約される場面では、共用車両Vnの利用が開始される予定時刻(営業時間の開始時刻)には、通常、ユーザが貸出ステーションに到着していると考えられるため、この営業時間の開始時刻から開始される第2猶予時間の必要性は比較的低い。一方、共用車両Vnが即時利用される場面では、ユーザが利用要求を送信してから、貸出ステーションまで移動するのに時間を要するため、ユーザの利用要求を受け付けた時点から開始される第1猶予時間の必要性は比較的高い。そのため、第2猶予時間を、第1猶予時間より短く設定することにより、実際の共用車両Vnの利用態様に合わせて無料の利用時間を設定できる。また、第2猶予時間をより短くすることで、営業時間の開始時刻から、共用車両Vnがユーザに利用されるまで貸出ステーションにて待機する時間を短くするようユーザに促すことができ、その結果、カーシェアリングシステムにおける共用車両Vnの稼働率が向上する。
【0077】
本実施形態においては、以上のようにして、共用車両管理装置100の制御装置10が実現する各機能により、カーシェアリングシステムの管理運営が行われる。
【0078】
本実施形態によれば、共用車両管理装置100の制御装置10は、上述した即時利用時間帯には、共用車両Vnの即時利用を希望するユーザから利用要求を受け付け、上述した予約時間帯には、次の営業時間の開始時刻から共用車両Vnを利用開始する旨の利用予約を受け付けるため、カーシェアリングシステムにおける共用車両Vnの稼働率が向上する。
【0079】
なお、従来のワンウェイ・カーシェリングシステムでは、ユーザが定刻に同じ経路で共用車両Vnを利用するような用途(たとえば、通勤・通学等の用途)では、ユーザが定刻に特定のステーションから共用車両Vnを利用したいという要望がある。しかしながら、従来のワンウェイ・カーシェリングシステムでは、上述したように、共用車両Vnの稼働率を向上させる目的で、将来の共用車両Vnの利用を求める利用態様は受け付けないようにし、共用車両Vnの即時利用を求める利用態様のみ受け付けるようにしていた。そのため、ユーザが定刻に特定のステーションから共用車両Vnを利用したい場合には、実際に当該ステーションに共用車両Vnが待機している状況でなければ、ユーザが共用車両Vnの即時利用の申込みをできないようになっている。
【0080】
これに対し、本実施形態では、上述した予約時間帯には、次の営業時間の開始時刻から共用車両Vnを利用開始する旨の利用予約を受け付けるようにしたため、ユーザの用途に合わせた利用態様が提案され、カーシェアリングシステムの利便性が向上し、その結果、共用車両Vnの稼働率が向上する。
【0081】
次いで、本実施形態の動作例を説明する。図5は、本実施形態の共用車両管理装置100によるカーシェアリングシステムの制御手順を示すフローチャートである。なお、図5に示すフローチャートは、一のユーザが、一の共用車両Vnを即時利用するために利用要求を送信し、共用車両Vnを利用した後、共用車両Vnを帰着ステーションに返却するまでの制御手順を示すものである。
【0082】
まず、ステップS101では、共用車両管理装置100の制御装置10は、ユーザから、ユーザ端末装置400Xを介して利用要求が送信されたか否かを判定する。なお、利用要求には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザにより設定された貸出ステーションの情報、ユーザが利用しようとする共用車両VnのID、ユーザにより設定された帰着ステーションの情報などが含まれる。そして、ステップS101において、利用要求が送信されたと判定された場合には、ステップS102へ進む。一方、ステップS101において、利用要求が送信されていないと判定された場合には、ステップS101で待機する。
【0083】
ステップS102では、制御装置10は、ステップS101でユーザから送信された利用要求を受信し、データベース30に記憶させる。
【0084】
ステップS103では、制御装置10は、ステップS102で受信した利用要求を参照し、ユーザが設定した貸出ステーションが現在利用可能であるか否かを判定する。具体的には、貸出ステーションとして設定されたステーションに待機している共用車両Vnが存在し、且つその共用車両Vnが現在貸出を受付可能な状態であれば、現在利用可能であると判定する。なお、共用車両Vnを貸出可能な状態としては、共用車両Vnの駆動エネルギー残量が所定閾値以上であり且つ保守状態が所定基準を満たす状態が挙げられる。そして、ステップS103において、貸出ステーションが現在利用可能であると判定された場合には、ステップS104へ進む。一方、ステップS103において、貸出ステーションが現在利用可能ではないと判定された場合には、ステップS111へ進み、ステップS111では、制御装置10は、ユーザ端末装置400Xを介して、ユーザに対して貸出ステーションを再設定するよう通知し、上述したステップS101に戻る。
【0085】
ステップS104では、制御装置10は、ステップS102における利用要求を送信したユーザにより、共用車両Vnを返却するための帰着ステーションが設定されているか否かを判定する。そして、ステップS104において、帰着ステーションが設定されていると判定された場合には、ステップS105へ進む。一方、ステップS104において、帰着ステーションが設定されていないと判定された場合には、ステップS104で待機する。
【0086】
ステップS105では、制御装置10は、ユーザから、共用車両Vnを返却しようとする返却要求が送信されたか否かを判定する。なお、ユーザにより送信される返却要求には、ユーザのID情報、並びにユーザが利用した共用車両VnのID情報及び位置情報が含まれる。そして、ステップS105において、返却要求が送信されたと判定された場合には、ステップS106へ進む。一方、ステップS105において、返却要求が送信されていないと判定された場合には、ステップS105で待機する。
【0087】
ステップS106では、制御装置10は、ステップS105でユーザから送信された返却要求を受信する。
【0088】
ステップS107では、制御装置10は、ステップS106で受信した返却要求、及びデータベース30に記憶された利用要求33の情報に基づいて、ユーザにより返却されようとしている共用車両Vnが、共用車両Vnに対して設定された帰着ステーションに位置しているか否かを確認する。
【0089】
ステップS108では、制御装置10は、ステップS106で受信した返却要求、及びデータベース30に記憶された利用要求33の情報に基づいて、ユーザにより返却されようとしている共用車両VnのID情報と、該ユーザにより送信された利用要求に含まれる共用車両VnのID情報とが一致するか否かを確認する。
【0090】
ステップS109では、制御装置10は、ユーザにより返却されようとしている共用車両Vnについて、返却処理を完了することができるか否かを判定する。具体的には、制御装置10は、ステップS107及びステップS108で確認した情報に基づいて、ユーザにより返却されようとしている共用車両Vnについて、現在位置が設定された帰着ステーションの位置と一致しており、且つID情報が該ユーザにより送信された利用要求に含まれる共用車両VnのID情報と一致していると判断した場合には、共用車両Vnの返却処理を完了できると判定する。そして、ステップS109において、共用車両Vnの返却処理を完了できると判定された場合には、ステップS110へ進む。一方、ステップS109において、共用車両Vnの返却処理を完了できないと判定された場合には、ステップS112へ進み、制御装置10は、共用車両Vnの返却処理を中断して上述したステップS105に戻る。
【0091】
ステップS109において、共用車両Vnの返却処理を完了することができると判定された場合には、ステップS110へ進み、ステップS110では、制御装置10は、共用車両Vnの返却処理を完了させ、ユーザによる共用車両Vnの利用時間を算出し、算出した利用時間に応じて、ユーザに対して共用車両Vnの利用料を課金し、本処理を終了する。
【0092】
本実施形態では、以上のようにして、共用車両管理装置100が、ユーザから共用車両Vnを即時利用するための利用要求を受け付け、ユーザによる共用車両Vnの利用及び返却を管理する。
【0093】
次いで、図6Aに示すフローチャートを参照して、一のユーザが、次の営業時間の開始時刻から共用車両Vnの利用を開始する旨の予約をする際における、共用車両管理装置100による利用予約受付処理の制御手順を説明する。
【0094】
まず、図6Aに示すステップS201では、制御装置10は、ユーザから、ユーザ端末装置400Xを介して利用予約が送信されたか否かを判定する。なお、利用予約には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザにより設定された貸出ステーションの情報、ユーザが利用しようとする共用車両VnのID、ユーザにより設定された帰着ステーションの情報などが含まれる。そして、ステップS201において、利用予約が送信されたと判定された場合には、ステップS202へ進む。一方、ステップS201において、利用要求が送信されていないと判定された場合には、ステップS201で待機する。
【0095】
ステップS202では、制御装置10は、ステップS201でユーザから送信された利用予約を受信し、データベース30に記憶させる。
【0096】
ステップS203では、制御装置10は、ステップS201でユーザから送信された利用予約が、図3に示すような予約時間帯に送信されたものであるか否かを判定する。そして、ステップS203において、利用予約が予約時間帯に送信されたものであると判定された場合には、ステップS204へ進む。一方、ステップS201において、利用予約が予約時間帯に送信されたものではないと判定された場合には、ステップS209へ進み、制御装置10は、ユーザ端末装置400Xを介して、ユーザに対して共用車両Vnの利用予約ができない旨を通知して、上述したステップS201に戻る。
【0097】
ステップS203において、利用予約が予約時間帯に送信されたものであると判定された場合には、ステップS204へ進み、ステップS204では、制御装置10は、ステップS201でユーザから送信された利用予約を参照し、利用予約の内容が、次の営業時間の開始時刻から共用車両Vnの利用を希望する内容であるか否かを判定する。そして、ステップS204において、利用予約が、次の営業時間の開始時刻から共用車両Vnの利用を希望する内容であると判定された場合には、ステップS205へ進む。一方、ステップS204において、利用予約が、次の営業時間の開始時刻から共用車両Vnの利用を希望する内容ではないと判定された場合には、上述したステップS209へ進む。
【0098】
ステップS205では、制御装置10は、上述した整備スケジュール作成機能により作成した整備スケジュールを取得する。
【0099】
ステップS206では、制御装置10は、ステップS205で取得した整備スケジュールを参照し、ステップS201でユーザから送信された利用予約で設定された貸出ステーションにおいて、次の営業時間の開始時刻に利用可能な共用車両Vnが存在するか否かを判定する。具体的には、制御装置10は、共用車両Vnが既に当該貸出ステーションに待機しているか、又は共用車両Vnが営業時間外に整備されて当該貸出ステーションに回送される予定であり、さらに、その共用車両Vnについて、次の営業時間の開始時刻に、駆動エネルギー残量が所定閾値以上であり且つ保守状態が所定基準を満たすと予想される場合には、次の営業時間の開始時刻に利用可能な共用車両Vnが存在すると判定する。そして、ステップS206において、貸出ステーションにて、次の営業時間の開始時刻に利用可能な共用車両Vnが存在すると判定された場合には、ステップS207へ進む。一方、ステップS206において、貸出ステーションにて、次の営業時間の開始時刻に利用可能な共用車両Vnが存在しないと判定された場合には、ステップS210へ進み、制御装置10は、ユーザ端末装置400Xを介して、ユーザに対して貸出ステーションを変更するよう通知し、上述したステップS201に戻る。
【0100】
ステップS206において、貸出ステーションにて、次の営業時間の開始時刻に利用可能な共用車両Vnが存在すると判定された場合には、ステップS207へ進み、ステップS207では、制御装置10は、ステップS205で取得した整備スケジュールを参照し、ステップS201でユーザから送信された利用予約で設定された帰着ステーションが利用可能であるか否かを判定する。具体的には、制御装置10は、次の営業時間の開始時刻以降に、設定された帰着ステーションに、共用車両Vnを駐車可能なスペースが存在すると予測される場合には、当該帰着ステーションが利用可能であると判定する。そして、ステップS207において、設定された帰着ステーションが利用可能であると判定された場合には、ステップS208へ進む。一方、ステップS207において、設定された帰着ステーションが利用可能ではないと判定された場合には、ステップS211へ進み、制御装置10は、ユーザ端末装置400Xを介して、ユーザに対して帰着ステーションを変更するよう通知し、上述したステップS201に戻る。
【0101】
ステップS207において、設定された帰着ステーションが利用可能であると判定された場合には、ステップS208へ進み、ステップS208では、制御装置10は、ユーザによる利用予約を受け付け、利用予約が完了した旨を、ユーザ端末装置400Xを介してユーザに通知し、本処理を終了する。
【0102】
以上のとおり、図6Aに示す利用予約受付処理が行われる。
【0103】
なお、本実施形態では、上述した利用予約受付処理は、図6Bに示す方法で行ってもよい。図6Bは、利用予約受付処理の他の例を示すフローチャートである。以下、図6Bを参照して利用予約受付処理の他の例を説明する。なお、図6Bに示す動作手順は、図6Aに示す動作手順と比較して、ステップS201〜S211の手順は同じである。このため、図6Bには図6Aと同じステップ符号を付して、その説明に関する記載を本例に援用する。
【0104】
まず、図6Bに示すステップS201〜S205の処理において、制御装置10は、ユーザから利用予約を受信し、上述した整備スケジュール作成機能により作成した整備スケジュールを取得する等の処理を行う。
【0105】
続くステップS206では、制御装置10は、上述した図6Aと同様に、取得した整備スケジュールを参照し、ユーザから送信された利用予約で設定された貸出ステーションにおいて、次の営業時間の開始時刻に利用可能な共用車両Vnが存在するか否かを判定する。このステップS206において、貸出ステーションに、次の営業時間の開始時刻に利用可能な共用車両Vnが存在しないと判定された場合には、上述した図6Aの制御手順とは異なり、ステップS301へ進む。
【0106】
ステップS301では、制御装置10は、ステップS206で利用可能な共用車両Vnが存在しないと判定された貸出ステーションに、共用車両Vnを回送するよう整備スケジュールを変更できるか否かを判定する。そして、ステップS301において、共用車両Vnを回送するよう整備スケジュールを変更できると判定された場合には、ステップS207へ進む。一方、ステップS301において、共用車両Vnを回送するよう整備スケジュールを変更できないと判定された場合には、上述したステップS210へ進む。
【0107】
ステップS207では、制御装置10は、上述した図6Aと同様に、取得した整備スケジュールを参照し、ステップS201でユーザから送信された利用予約で設定された帰着ステーションが利用可能であるか否かを判定する。このステップS207において、設定された帰着ステーションが利用可能ではないと判定された場合には、上述した図6Aの制御手順とは異なり、ステップS302へ進む。
【0108】
ステップS302では、制御装置10は、ステップS207で利用可能ではないと判定された帰着ステーションから、当該帰着ステーションに駐停車されている共用車両Vnを移動させて、新たに共用車両Vnを駐車可能なスペースを確保できるよう整備スケジュールを変更できるか否かを判定する。そして、ステップS302において、帰着ステーションの共用車両Vnを移動させるよう整備スケジュールを変更できると判定された場合には、ステップS208へ進む。一方、ステップS302において、帰着ステーションの共用車両Vnを移動させるよう整備スケジュールを変更できないと判定された場合には、上述したステップS211へ進む。
【0109】
続くステップS208では、制御装置10は、上述した図6Aの制御手順と同様に、ユーザによる利用予約を受け付け、利用予約が完了した旨を、ユーザ端末装置400Xを介してユーザに通知し、本処理を終了する。
【0110】
本発明に係る共用車両管理システムの実施形態は、以上のように構成され動作するので、以下の効果を奏する。
【0111】
[1]本実施形態では、上述した即時利用時間帯には、共用車両Vnの即時利用を希望するユーザから利用要求を受け付け、上述した予約時間帯には、次の営業時間の開始時刻から共用車両Vnを利用開始する旨の利用予約を受け付ける。これにより、ユーザの用途に合わせた利用態様が提案され、カーシェアリングシステムの利便性が向上し、その結果、共用車両Vnの稼働率が向上する。
【0112】
[2]本実施形態では、上記予約時間帯を、カーシェアリングシステムの営業時間の終了時刻から、次の営業時間の開始時刻までの時間帯の少なくとも一部を含む時間帯とするため、カーシェアリングシステムの営業時間外でも、ユーザによる共用車両Vnの利用予約を受付可能となるため、カーシェアリングシステムの利便性がより向上する。
【0113】
[3]本実施形態では、共用車両Vnの回送及び整備を行う整備スケジュールを作成し、作成した整備スケジュールに応じて、営業時間外に整備が行われる共用車両Vnについては、営業時間の開始時刻までにステーションに回送される予定である共用車両Vnのみ、利用予約を受け付ける。これにより、実際に利用可能な共用車両Vnについてのみ利用予約が受け付けられ、カーシェアリングシステムの利便性がより向上する。
【0114】
[4]本実施形態では、共用車両Vnの整備として、共用車両Vnの駆動エネルギーの補給や、共用車両Vnの点検、保守、修理及び清掃のうち、少なくとも1つを行うため、ユーザが利用する共用車両Vnは、良好に整備された状態が維持され、これにより、ユーザが快適に共用車両Vnを利用でき、その結果、カーシェアリングシステムの利便性がより向上する。
【0115】
[5]本実施形態では、ユーザから送信された利用予約に応じて、共用車両Vnの整備スケジュールを調整する。具体的には、利用予約が受け付けられた時点では、当該利用予約にて設定された貸出ステーションに共用車両Vnが待機していない場合には、次の営業時間の開始時刻までに当該貸出ステーションに共用車両Vnが回送されるように整備スケジュールを調整する。また、利用予約が受け付けられた時点では、当該利用予約にて設定された帰着ステーションが利用できない場合には、当該帰着ステーションから共用車両Vnを移動させるように整備スケジュールを調整する。これにより、ユーザからの利用予約の要求に柔軟に対応することが可能となり、カーシェアリングシステムの利便性がより向上する。
【0116】
[6]本実施形態では、営業時間の開始時刻に、駆動エネルギー残量が所定閾値以上であり且つ保守状態が所定基準を満たすと予測される共用車両Vnについてのみ、ユーザによる利用予約を受け付けるため、実際に利用可能な共用車両Vnのみ利用予約が受け付けられ、カーシェアリングシステムの利便性がより向上する。
【0117】
[7]本実施形態では、利用予約時に設定される無料の利用時間である第2猶予時間を、即時利用時に設定される無料の利用時間である第1猶予時間より短くする。これにより、利用予約された共用車両Vnについて、営業時間の開始時刻から、ユーザに利用されるまで貸出ステーションにて待機する時間を短くするようユーザに促すことができ、カーシェアリングシステムにおける共用車両Vnの稼働率が向上する。
【0118】
[8]本実施形態の共用車両管理方法を実行すると、上述の作用及び効果を奏する。
【0119】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0120】
なお、上述した実施形態において、共用車両管理装置100の制御装置10は本発明の第1利用受付手段、第2利用受付手段、整備スケジュール作成手段、予測手段及び課金手段に、共用車両管理装置100のデータベース30は本発明の記憶手段に、それぞれ相当する。
【符号の説明】
【0121】
1000…共用車両管理システム
100…共用車両管理装置
10…制御装置
20…通信装置
30…データベース
V1〜Vn…共用車両
200V1〜200Vn…車載装置
300…インターネット
400X〜400Z…ユーザ端末装置
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B