(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1に記載された発明の構成では、例えば、熱伝導貫通部材のための貫通孔が多くなると基板自体の剛性が低下し、また、基板の全面にわたりソリ等の発生を抑える対策が別途必要になっていた。
【0009】
また、上記特許文献1に記載された発明の構成では、良熱伝導体からなる熱伝導貫通部材と熱伝導性の基板本体との熱膨張率の差異等により、使用環境の変化によっては上記良熱伝導体からなる熱伝導貫通部材または熱伝導性の基板本体にダメージを与える可能性が高いという問題があった。
【0010】
また、例えば、車両の電動パワーステアリング装置などに用いられる電動モータの制御装置などでは、上記装置を車両内に搭載する必要があることから装置を小型化する要請が高い。しかし、従来から、上記電動パワーステアリング装置の制御装置における、モータ駆動などを行うための大電力を扱うパワー半導体を実装する専用基板(パワー基板)と、センサ系などの情報に基づいた制御演算を行うなどの小電力を扱う制御基板とは、上記制御装置内部で別々に構成されていた。
【0011】
すなわち、従来、上記パワー基板には、アルミニウムなどからなる金属支持板上の表面に薄い絶縁体層を介して導体箔(銅製ホイル)を張り合わせて、この導体箔をエッチングすることにより配線パターンを形成する基板が用いられており、これに対して上記制御基板は、専用マイコンを搭載した4層以上の積層基板が用いられている。そして、上記制御装置では、例えば
図14に従来の制御装置1400の例を側断面図で示したように、パワー基板1410と制御基板1430との2枚の基板を上下2段に積み上げる構成となっており、これを上記2つの基板間に実装した多極コネクタ1450などで電気的に接続する構造を採用していた。
【0012】
そのため、上記のような制御装置の小型化(薄型化)には、上記のような2段2枚構成の基板を1枚の基板へ複合化する必要があったが、解決すべき課題が多かった。例えば、上記の様な構成では、配線パターンの形成をエッチングにより行うため、上記導体箔は70μm程度の薄いものが用いられるため、大電流が流れるようなパワー回路を構成する際にはその配線抵抗が問題となっていた。また、上記基板では、放熱特性は熱伝達係数の低い上記の絶縁体層により制限を受けてしまい、十分な放熱性能が得られないという課題があった。
【0013】
そこで本発明は、上記の問題や課題の解決を目的とするものであり、上記パワー半導体等が実装された基板の放熱を効率的に行うと共に、上記のように、大電力を扱うパワー半導体等を実装するような専用基板(パワー基板)と小電力を扱う制御基板とを複合化して一体の基板とした場合の放熱性等の問題を改善することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明は、部品実装面側に電子部品を実装するための回路が形成された基板と、前記基板の部品実装面側とは裏面側の全部又は一部に放熱体を配設した放熱基板であって、前記基板の裏面側から前記部品実装面側に向けて穴部を設け、前記穴部は前記穴部の前記部品実装面側で前記基板を貫通することなく、前記
基板の部品実装面側に形成された回路を構成する導体膜の下部に薄厚部を残して形成し、
前記基板の部品実装面側に配置された発熱性電子部品に前記薄厚部を介して対向するように設けられ、前記発熱性電子部品が前記基板に実装される際の接面形状に内接する円形状を有する円筒状であって、前記穴部の内側には、前記放熱体側から前記穴部の上面に向かって伝導体を立設して設け、
前記穴部の内側の内面と前記穴部の内側に立設された前記伝導体との間には、充填体が配され、前記充填体には窒化アルミニウムの粒を混入させ、前記放熱体は前記基板の裏面側の板面側では板面と平行な一体のものとして形成されることを特徴とする放熱基板を提供する。
【0015】
また、上記課題の解決は、前記放熱基板において、
前記伝導体は、前記放熱体を底面とした円柱の廻りに熱伝導板を渦巻き状に立設した形状を有することにより、或いは、前記穴部の内面は熱伝導体による被覆が施されていることにより、或いは、前記熱伝導体による被覆は、前記穴部の内面に施された銅メッキであることにより、或いは、
部品実装面側に電子部品を実装するための回路が形成された基板と、前記基板の部品実装面側とは裏面側の全部又は一部に放熱体を配設した放熱基板であって、前記基板の裏面側から前記部品実装面側に向けて穴部を設け、前記穴部は前記穴部の前記部品実装面側で前記基板を貫通することなく、前記基板の部品実装面側に形成された回路を構成する導体膜の下部に薄厚部を残して形成し、前記基板の部品実装面側に配置された発熱性電子部品に前記薄厚部を介して対向するように設けられ、前記発熱性電子部品が前記基板に実装される際の接面形状に内接する円形状を有する円筒状であって、前記穴部の内面は熱伝導体による被覆が施され、前記熱伝導体による被覆は、前記穴部の内面に施された銅メッキであり、前記穴部の内側には、前記放熱体側から前記穴部の上面に向かって伝導体を立設して設け、前記伝導体は、複数の円盤形状のフィンを中心部で結合した形状、又は、底面が星型多角形状の角柱形状であり、前記穴部の内側の内面と前記穴部の内側に立設された前記伝導体との間には、充填体が配され、前記充填体には窒化アルミニウムの粒を混入させ、前記放熱体は前記基板の裏面側の板面側では板面と平行な一体のものとして形成されることを特徴とする放熱基板により、或いは、前記伝導体は金属からなる熱伝導材料であることにより、或いは、前記伝導体の表面はアルマイト処理されたアルミニウムであることにより、更に効果的に達成される。
【0016】
また、上記課題の解決
は、前記薄厚部の厚さが0であることにより、或いは、前記基板は多層基板であることにより、更に効果的に達成される。
【0017】
また、上記課題の解決は、前記放熱基板により、モータ駆動などを行うための大電力を扱うパワー半導体等を実装する専用基板と制御基板とを一体化したことにより、或いは、前記放熱基板を有する制御装置により、或いは、前記制御装置を有する電動パワーステアリング装置により、更に効果的に達成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、従来別々の基板構成としていたパワー基板と制御基板とを、一の基板上に複合化(2枚の基板を1枚の基板へ複合化)し、上記基板上に実装されるパワー半導体等の発熱する電子部品の直下に相当する位置に、上記電子部品実装面の裏側から上記基板に穴部を設けて、その中に放熱体から立設した熱伝導材料からなる伝導体を埋め込む構成としている。そのため、本発明による放熱基板では、上記パワー半導体等が実装された基板からの放熱を従来よりも一層効率的に行うと共に、上記パワー基板と制御基板とを複合化して一体の基板とした場合の放熱性等の熱問題を改善することが可能である。
【0019】
そして、本発明による放熱基板では、上記穴部の内面に熱伝導体による被覆を設けたり、上記伝導体を金属等で構成し表面をアルマイト処理したり、上記穴部と伝導体との間に充填体を配し、上記充填体に窒化アルミニウム粒を混入したりなどすることにより、或いは、これらの構成を適宜組み合わせることにより、更に一層の放熱性の向上を図ることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の放熱基板の構成例を車両の電動パワーステアリング装置などに用いられる電動モータの制御装置に用いた場合を例として、本発明の実施形態を説明する。
【0022】
ここで、上記電動パワーステアリング装置は、車両のステアリング機構に電動モータの回転力で操舵補助力(アシスト力)を付与するものであり、モータの駆動力を減速機構を介してギア又はベルト等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に操舵補助力を付与するようになっている。そして、このような電動パワーステアリング装置(EPS)は、操舵補助力のトルクを正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。
【0023】
かかるフィードバック制御は、操舵補助指令値(電流指令値)と電動モータ電流検出値との差が小さくなるように電動モータ印加電圧を調整するものであり、電動モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデューティ(Duty)の調整で行っている。
【0024】
上記の電動パワーステアリング装置の一般的な構成を
図1に示して説明すると、ハンドル1のコラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2は減速機構3の減速ギア、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a,6bを経て、更にハブユニット7a,7bを介して操向車輪8L,8Rに連結されている。また、コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ10及び操舵角θを検出する舵角センサ14が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速機構3の減速ギア(ギア比n)を介してコラム軸2に連結されている。
【0025】
そして、上記の電動パワーステアリング装置を制御する制御装置30であるコントロールユニット(ECU)は、マイクロコントロールユニット(MCU)を基幹部品として構成され、バッテリ13から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号が入力される。
【0026】
このように構成される制御装置30では、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThと車速センサ12で検出された車速Velとに基づいてアシスト(操舵補助)指令の電流指令値の演算を行い、電流指令値に補償等を施した電圧制御指令値Vrefによって電動モータ20に供給する電流を制御する。なお、舵角センサ14は必須のものではなく、配設されていなくても良く、電動モータに連結されたレゾルバ等の回転位置センサから操舵角を取得することも可能である。
【0027】
また、上記制御装置30には、車両の各種情報を授受するCAN(Controller Area Network)50が接続されており、車速VelはCAN50から受信することも可能である。また、制御装置30には、CAN50以外の通信、アナログ/ディジタル信号、電波等を授受する非CAN51も接続されている。
【0028】
そして、上記のように構成される電動パワーステアリング装置において、上記制御装置30の内部に設けられる、本発明の放熱基板100は、例えば、次のように構成されている。なお、以下の説明では、同一の構成要素については、他の形態を採り得るものについても同一の記号を用い、重複する説明や構成については、一部省略する場合がある。また、本発明の理解を容易にするために、電子部品と放熱基板の大きさ並びに制御装置のケース等との比率や図面の縮尺は、実際のものとは適宜変更して表現する場合が有る。
【0029】
図2は、本発明の放熱基板100の例を示した側断面図である。本発明の放熱基板100は、基本的には、部品実装面130側に各種電子部品ECを実装するための回路(図示しない)が形成された基板110と、前記基板110の電子部品実装面130側とは反対側の面である裏面150側に放熱体170を配した構造を採用している。
【0030】
そして、ここで、上記基板110の種類については、特に限定を設けるものではないため、多層基板でも良く、上記実施形態では、上記基板110として多層基板を用いた例を示している。なお、上記部品実装面側130とその裏面150等の区分は本発明を説明するための便宜上のものであるため、一つの基板上の両面又はいずれの面についても上記電子部品ECを実装する領域を設けることが可能であり、そのような場合には、いずれか一方の面を上記電子部品ECを実装する領域として、その領域の裏面部分に上記放熱体170を設けるなどの構成を採用することも可能である。
【0031】
また、上記基板110には、上記基板110の裏面150側から穴部120が設けられている。上記穴部120は、上記基板110の裏面150側から上記電子部品実装面130側に向けて設けられた穴であり、上記穴部120は上記電子部品実装面130側でこれを貫通することなく、前記電子部品実装面130側との間に、上記電子部品ECを実装するための形態を維持する強度を保持できる程度の厚さの薄厚部Tを残して形成されている。なお、ここで、上記穴部120は、基板の構成や上記基板に実装される電子部品の数や種類等に応じて、一つ又は複数設けることが可能である。
【0032】
また、上記穴部120は上記電子部品実装面130側に実装された電子部品ECからの発熱を効率よく伝導することが可能なように、上記電子部品実装面130のうち、上記電子部品ECが実装された部分の裏面側のいわば直下の位置に形成するようにすることが望ましく、更に、同様の理由から、上記穴部120は、上記電子部品ECのうちでも、特に発熱量の大きいパワー半導体等の直下に形成することが更に望ましい。
【0033】
また、上記薄厚部Tは、上記電子部品実装面130側に形成された回路を構成する導体膜(銅ホイル等)113等の直下やそれ以外の部分の絶縁体115により構成されるものであり、上記絶縁体115は基板を構成する樹脂などで形成されている。そのため、上記薄厚部Tの厚さdは、本発明の趣旨からは、上記銅ホイル等の導体膜113等の直下と穴部120内との間で直接熱伝導が可能なように、d=0とするように構成する事が望ましい。しかし、上記薄厚部Tの厚さは、あまり薄くすると上記電子部品実装面130側の強度が低下することから、上記電子部品ECの実装に支障が生ずる。そのため、上記薄厚部Tの厚さdは、上記導体膜113の厚さと合わせて上記電子部品ECを実装するための上記電子部品実装面130側の形態を維持する強度を保持できると同時に、上記電子部品実装面130側から発生した熱を効率よく上記穴部120内に伝導できるように、可能な限り薄くすることが望ましい。
【0034】
なお、上記穴部120の、基板110の裏面150側に形成される開口形状は、上記電子部品ECが上記電子部品実装面130に実装される際の接面形状等に合わせて自由な形状を採用することが可能である。そのため、上記開口形状は円や四角形状等の任意の形状を選択可能であり、開口形状を円とした場合は上記穴部120は円筒状の空間となり、四角形状とした場合には上記穴部120は角柱状の空間を形成することになる。また、上記開口形状を上記電子部品ECが上記電子部品実装面130に実装される際の接面形状とは異なるものとして、(例えば、上記電子部品の実装面が四角形の場合に上記開口形状をこれに内接する円形状とし、上記穴部120の形状を円筒状としつつ上記電子部品ECの支持を当該内接する円形状の外側の基板部分で行う事で、)上記穴部120周囲の強度を維持しつつ上記薄厚部Tの厚さを薄くし、上記電子部品ECからの放熱性の向上を図ることも可能である。
【0035】
また、前記基板110の電子部品実装面130側とは反対側の面である裏面150側に配設された放熱体170は、上記基板110からの熱を上記基板110外へ伝導させる機能を有するものである。
【0036】
そのため、上記放熱体170は、金属材料や各種放熱フィラー等を含んだポリカーボネート樹脂などのエラストマ等の熱伝導材料を用いることが可能であり、特に素材に限定を設けるものではない。但し、例えば、電子部品ECとしてFETなどを実装する場合には、上記FETの放熱面がアルミニウム等のため、これらより熱伝導特性の良いものが更に望ましい。
【0037】
そして、上記放熱体170は、上記基板からの熱を上記基板外へ効率よく伝導させるために、上記裏面150側のうち、上記穴部120の開口部等に面して設けられる。そのため、上記放熱体170は、上記電子部品実装面130からの熱を前記穴部120を介して上記基板外へ伝導させることが可能な構成となっている。なお、上記放熱体170は基板110の構成や基板上に形成される回路に応じて、上記基板の裏面150の全部又は一部に配設することが可能であり、上記穴部120と、後述するように、伝導体180とを設けることにより、これらと共働して、効率的に上記基板に実装された電子部品ECからの放熱を行うことが可能である。
【0038】
また、上記放熱体170の形状は、基本的には、上記実施形態では上記基板の板面と平行に設けられた板状に形成されている。しかし、上記放熱体170の形状は、上記基板110の裏面側150の板面側では、上記基板110の板面と平行に形成して、相互に対面する場合の面積を最大化することが望ましいものの、その厚さや、上記基板110の裏面側150の板面に面しない側については形状に限定を設けるものではない。そのため、本発明の放熱基板100が設けられるケースの内面形状等に応じて、全体をブロック形状としたり、上記基板100の裏面側150の板面に面しない側について凹凸等を設けたりしたものであっても構わない。
【0039】
また、本発明では、更に、上記放熱体170から上記穴部120の内側の上記穴部120の上面(上記薄厚部T側)に向かって、伝導体180が立設して設けられている。上記伝導体180は、上記電子部品実装面130からの前記穴部120に伝導される熱を更に効率よく上記放熱体170に伝導するためのものである。そのため、上記伝導体180は、例えば、銅やアルミニウムといった金属材料などの熱伝導材料を用いることも可能であり、上記放熱体170と同一の素材により上記放熱体170の成形の際に併せて形成されたものを用いても良く、更に、後述するように表面をアルマイトなどに加工したものであっても良い。
【0040】
そして、上記伝導体180の形状は、上記穴部120の形状等に応じて任意の形状を選択することが可能である。そのため、例えば、上記放熱体170を底面とした円柱状や角柱状、或いは、
図3(A)に斜視図で示したように伝導体180の底面を星形等の多角形状等にしたり、
図3(B)に半断面斜視図で示したように複数の円盤形状を有するフィンを中心部で結合することにより立設したり、或いは、
図3(C)に斜視図で示したように上記放熱体170を底面とした円柱の廻りに渦巻き状の熱伝導板を立設するなどして、熱伝導乃至熱吸収のための表面積を増加させた形状等を採用することも可能である。
【0041】
また、本発明では、上記伝導体180と上記穴部120の内面との間には、更に充填体190を設ける構成を採用することも可能である。上記充填体190には、一般的な放熱材料(Thermal Interface Material、TIM)を用いることが可能であるが、上記放熱材料TIMのうちでも充填性の向上や、熱変形に対する緩衝性からは、熱伝導性グリースや比較的変形が容易な軟質の樹脂材料などを用いることがさらに望ましい。また、上記充填体190は、基板110と上記伝導体180乃至放熱体170との間の絶縁性の確保や、上記基板110が積層基板である場合の当該積層基板相互間の絶縁性の確保のためなどから、絶縁性のあることが望ましい。そのため、本発明では後述するように、上記充填体に窒化アルミニウム粒を混入する構成とすることも可能である。
【0042】
本発明では、このような充填体190を採用することにより、上記穴部120の内面から上記熱伝導材料等からなる伝導体180への熱伝導を促進させると共に、上記充填体190のための空間を上記伝導体180と上記穴部120の内面との間に設けることにより、上記穴部120が設けられた基板110の熱膨張率と上記伝導体180の熱膨張率との違いによる体積変化等を吸収できる構成となっている。したがって、上記充填体190を介することにより、上記基板110と上記伝導体180との構成要素間で熱膨張率の違いによる寸法の変化があったとしても、こうした変化が相互に直接影響を及ぼし合うことが無く、そのため、上記伝導体180の膨張などにより、上記基板110に変形やひび割れ乃至銅箔部の剥離などの影響が生ずることを防止することが可能である。
【0043】
また、上記充填体190は、上記伝導体180と上記穴部120との間のみならず、放熱体170の上記基板110側に面した側全体に設ける構成としても良く、これにより上記基板110側からの放熱を一層効率的に行うことが可能である。
【0044】
以上に説明した本発明の実施形態である上記放熱基板100は、いわば基本形であり、本発明では、次のように、本発明の放熱基板の各構成要素を、適宜異なる構成に変更することにより、上記放熱基板を形成することも可能である。
【0045】
例えば、
図4に記載した放熱基板400の例は、上記基板に構成された穴部120の内面に熱伝導体による被覆125を施した例を示したものである。
【0046】
上記被覆部125は、上記穴部120の内面全体を上記内面に沿って覆うように構成されるものであり、上記穴部120が複数設けられている場合には、上記基板110の裏面150側にあるこれら複数の上記穴部120の開口部間を更に覆うように延伸して設けても良い。そして、上記被覆部125を構成する上記熱伝導体には特に限定を設けるものではないが、銅などの高熱伝導性の素材を使用することも可能であり、このような場合には、上記被覆は、メッキによる加工によるものであっても良い。
【0047】
本発明では、このように上記穴部120の内面に熱伝導体による被覆部125を施すことにより、上記発熱性の電子部品EC等からの熱を、上記被覆部125により上記穴部120へ導き出し、放熱体170などが設けられた外部方向へ、より効率良く伝達させることが可能である。そのため、上記穴部120の内側に立設して設けられた伝導体180に、更に効率よく伝熱させることも可能である。
【0048】
また、同様に、上記被覆部125を施すことにより、上記穴部120の内側に充填体190を設ける構成を採用した場合には、上記充填体190の構成物質(例えば、上記熱伝導性グリース等やオイルなど)が上記多層基板110等の層間や内部に浸透することを防止することが可能となる。そのため、上記基板100の腐食等の影響が無くなることで、長期間にわたり製品の機能(品質)を安定して維持することも可能である。
【0049】
更に、上記被覆部125は、上記穴部120の内面に対し一定の強度を付与することが可能である。そのため、上記穴部120を複数設けることによる基板自体の剛性の低下や、基板の全面にわたるソリ等の発生を抑制する効果があり、それによって、上記薄厚部Tの厚さを更に減少させることができるなどの効果も有している。したがって、後述するように、上記薄厚部Tの厚さdを0とする事も可能である。
【0050】
また、例えば、
図5に記載した放熱基板500の例は、本発明を構成する伝導体180を金属で構成し、その表面をアルマイト処理されたアルミニウムで構成した例を示したものである。
【0051】
ここで、上記伝導体180は、上述したように、上記電子部品実装面130からの上記穴部120に伝導される熱を更に効率よく上記放熱体170に伝導するためのものである。そのため、上記伝導体180は、金属材料などの熱伝導材料を用いて形成されており、本実施形態に係る放熱基板600の場合には、上記金属材料としてアルミニウム(アルミニウム合金を含む)を選択し、上記伝導体180全体をアルミニウムにより構成している。そして、更に、上記アルミニウムにより構成される伝導体の上記穴部120の内面に面した部分の表面についてはアルマイト処理を施している。
【0052】
上記アルマイト処理は、一般的にはアルミニウムやその合金の表面に酸化膜の層を形成する処理であり、こうした処理により、耐食性や耐摩耗性を強化することができる他、熱の放射と吸収効率を向上させることが可能である。
【0053】
本発明の上記放熱基板500では、このようにアルマイト処理により上記伝導体180の表面にアルマイト層180Aを形成することにより、電気的な絶縁性を確保しつつ上記伝導体180による熱の吸収率を向上させ上記基板110の外部へ熱を伝導する事が可能であり、併せて、上記伝導体180の耐食性の向上を図っている。そのため、上記アルマイト層180Aは、上記基板110の表面に実装された発熱性の電子部品ECからの熱が上記穴部120の内面を介して上記穴部120内部の空間に放射された場合に、ヒートシンクとして機能する上記伝導体180の一部として、上記放射された熱を効率的に吸収して、放熱体170に伝導することが可能である。
【0054】
また、上記のように伝導体180の表面にアルマイト層180Aを形成した場合には、上述した充填体190の構成物質(例えばオイル等)との相互作用による、上記伝導体180表面での腐食の発生を防止し、長期間にわたり本発明の放熱基板100の品質を維持する事も可能である。
【0055】
なお、上記伝導体180は、上述したように、上記放熱体170と同一の素材により上記放熱体170の成形の際等に併せて形成されたものを用いても良く、上記放熱体170の表面をアルミニウムにより形成している場合には、上記
図6に示したように上記放熱体170の上記基板に面した部分についてもアルマイト処理を行い上記穴部120以外の上記基板に対向した面についてもアルマイト層180Aを形成し、電気的絶縁性と熱吸収特性の向上等とを図ることも可能である。
【0056】
なお、上記伝導体180については、
図6に示した放熱基板600の例のように構成することも可能である。すなわち、上記伝導体180の内部を銅などのアルミニウムよりも熱伝導性の高い別の熱伝導材料180Cにより構成した上で、その周囲(表面側)にアルミニウム(アルミニウム合金を含む)180Bを配して上記伝導体180を構成し、更に上記伝導体180の上記表面側に配されたアルミニウムの表面をアルマイト処理することでアルマイト層180Aを形成して、結果的に、上記伝導体180の表面をアルマイト処理されたアルミニウムとする事も可能である。そのため、このような変形によっても、本発明の放熱基板において、上記伝導体180の絶縁性の確保及び熱吸収特性の向上並びに耐食性の向上等を図ることが可能であり、これを通じて、本発明の放熱基板の更なる性能の向上を図る事が可能である。
【0057】
また、例えば、
図7に記載した放熱基板700の例は、
図4に記載した放熱基板400のように、穴部120の内面に熱伝導体による被覆125を施すと共に、
図5又は
図6に記載した放熱基板500又は600のように、伝導体180を金属で構成し、その表面をアルマイト処理されたアルミニウムで構成した例を示したものである。
【0058】
そのため、上記放熱基板700の場合には、穴部120の内面に熱伝導体による被覆125を施すことによる、充填体190の構成物質による基板110内への浸透の防止や、上記穴部120の内面に対し一定の強度を付与することによる上記穴部120を複数設けることによる基板自体の剛性の低下や、基板の全面にわたるソリ等の発生を抑制する効果があり、また、同時に、上記伝導体180の表面をアルマイト処理したことにより、電気的な絶縁性を確保しつつ上記伝導体180による熱の吸収率を向上させ上記基板110の外部へ熱を伝導する事が促進され、併せて、上記伝導体180の耐食性の向上を図るという効果をも得られるものとなっている。
【0059】
また、例えば、
図8に記載した放熱基板800の例は、上記基板に構成された穴部120の内側の内面と前記穴部120の内側に立設された伝導体180との間の充填体に窒化アルミニウム粒191を混入させた例を示したものである。
【0060】
上記窒化アルミニウムの熱伝導率は一般的に170(W/m・k)程度であり、銅(Cu)398(W/m・k)やアルミニウム(Al)236(W/m・k)に続いて大きな熱伝導率を有している。また充填体190には、熱伝導性グリース等を使用することが可能であるが、その熱伝導率は1.0(W/m・k)程度が一般的であり、2.0〜4.0(W/m・k)の高熱伝導率を有する物も存在するが、例えば基板に実装された複数のFETなどの発熱性電子部品すべてに使用するとコストが上昇してしまうという問題がある。窒化アルミニウム粒191は、高純度の窒化アルミニウム粉末(粒径:2〜4μm)にバインダーを添加して顆粒状に造粒しても良く、その平均的な粒径は100(μm)程度であり、上記伝導体180と上記穴部120の内面との間に充填体190と一緒に混ざり込み熱伝導性の更なる向上、電気的絶縁性の確保、熱伝導性グリース使用量削減の効果を向上させることが出来る。窒化アルミニウムの混ぜる量としては、適量ではあるが好ましくは体積比で30〜50%程度、より好ましくは窒化アルミニウムの粒どうしが熱伝導グリース内で連続して接触する程度の窒化アルミニウム粒の密度が良い。
【0061】
本発明では、このような充填体190と窒化アルミニウム粒191を採用することにより、上記穴部120の内面から上記熱伝導材料等からなる伝導体180への熱伝導を促進させると共に、上記充填体190のための空間を上記伝導体180と上記穴部120の内面との間に設けることにより、上記穴部120が設けられた基板110の熱膨張率と上記伝導体180の熱膨張率との違いによる体積変化等を吸収している。したがって、上述したように、上記充填体190を介することにより、上記基板110と上記伝導体180との構成要素間で熱膨張率の違いによる寸法の変化があったとしても、こうした変化が相互に直接影響を及ぼし合うことが無く、そのため、上記伝導体180の膨張などにより、上記基板110に変形やひび割れ乃至銅箔部の剥離などの影響が生ずることを防止することが可能である。また、本発明では、上記のように窒化アルミニウム粒191を適度に混ぜ込むことにより、上記伝導体180を介した(又は直接的な)放熱体170(ヒートシンク(メタル材等))への熱伝導率の向上と、上記穴部120と上記伝導体180及び放熱体170(ヒートシンク)との電気的な絶縁性を確保していることから、本発明の基板110の穴部120の内面と上記伝導体180との距離を極めて小さくすることも可能である。
【0062】
なお、上記窒化アルミニウム粒200の上記充填体190を構成する他の放熱材料(TIM)との混合比率については特に限定を設けるものではないが、上述の事項と併せて、上記充填体190の絶縁性と放熱性を確保しつつ、上記充填体190の硬さやもろさ等を含む形態維持性能や取り扱いの容易性等とのバランスを考慮して適宜選択することも可能である。
【0063】
また、例えば、
図9に記載した放熱基板900の例は、上述した基板400のように、穴部120の内面に熱伝導体による被覆125を施すことに加えて、上述した充填体190に窒化アルミニウム粒191を混入させた例を示したものである。
【0064】
そのため、上記放熱基板900の場合には、上述した
図4に示した上記放熱基板400の効果に加えて、上記窒化アルミニウム粒191の混入により、上述した
図8に示した上記放熱基板800において説明したような効果を得ることが可能である。
【0065】
すなわち、上述したように、一般的には上記AlN(窒化アルミニウム)粒は、高純度窒化アルミニウム粉末(Hグレード)を原料にバインダーを添加して顆粒状に造粒したもので、熱伝導率はアルミニウムとほぼ同等の特性を有している他、セラミックスに比べても電気絶縁性が高く、Si(シリコン)と同程度の熱膨張率で熱変形をしにくいなどの特性を有しているので、TIMに混ぜるのに最適な材料である。
【0066】
よって、上記のように充填体190に窒化アルミニウム粒191を混ぜ込むことにより、絶縁性が確保されるため、上記本発明の基板800の穴部120の内面に形成した熱伝導体による被覆125と上記伝導体180との距離を極めて小さくすることが可能である。なお、上記窒化アルミニウム粒191の上記充填体190を構成する他の放熱材料(TIM)との混合比率については特に限定を設けるものではないが、上述のように、上記充填体190の絶縁性と放熱性を確保しつつ、上記充填体190の硬さやもろさ等を含む形態維持性能や取り扱いの容易性等とのバランスを考慮して適宜選択することが可能である。
【0067】
そのため、本発明では、上記のように、上記充填体190に上記窒化アルミニウム粒191を混入させることにより、上記電子部品ECから上記充填体190を介した伝導体180及び放熱体170への熱伝導を、更に効果的に行うことが可能である。
【0068】
また、例えば、
図10に記載した放熱基板1000の例は、上述した
図5に記載した基板500や
図6に記載した基板700のように、伝導体180の表面をアルマイトとすることに加えて、上述した充填体190に窒化アルミニウム粒191を混入させた例を示したものである。(なお、ここでは、上記基板700の例を用いて説明している。)
そのため、上記放熱基板1000の場合には、上記伝導体180の表面をアルマイト処理したことにより、電気的な絶縁性を確保しつつ上記伝導体180による熱の吸収率を向上させ上記基板110の外部へ熱を伝導する事が促進され、併せて、上記伝導体180の耐食性の向上を図るという効果が得られると共に、併せて、充填体190に窒化アルミニウム粒191を混入させることにより、絶縁性と放熱性との向上を図る事も可能となっている。
【0069】
また、例えば、
図11に記載した放熱基板1100の例は、上述したような、穴部120の内面に熱伝導体による被覆125を施すと共に、伝導体180を金属で構成し、その表面をアルマイト処理されたアルミニウムで構成し、さらに、上記充填体190に窒化アルミニウム粒191を混入させる構成を採用したものである。
【0070】
そのため、上記放熱基板1000の場合には、上述したような、熱伝導体による被覆125による効果、伝導体180を金属で構成し、その表面をアルマイト処理されたアルミニウムで構成する事による効果、及び、填体190に窒化アルミニウム粒191を混入させる構成が得られ、これらの相乗効果として、絶縁性と熱伝導性の一層の向上、基板の信頼性と安定性の一層の向上を図る事が可能である。
【0071】
そのため、本発明では、上述した構成を、基板の用いられる用途や形態およびコスト等を考慮して、適切に選択し、これらの各種形態を共働させて相乗的な効果を生じさせ、効率的に上記基板に実装された電子部品ECからの放熱を行うことが可能であり、これにより本発明の目的を達成する事が可能である。
【0072】
次に、
図12を用いて、本発明における薄圧部Tの厚さを0とする場合の構成例について説明する。本発明においては、本発明による基板上に実装される電子部品ECの直下に穴部120を設けた場合には、上記電子部品ECの実装面130側に形成された回路を構成する導体膜(銅ホイル等)113等の直下やそれ以外の部分の絶縁体115により薄圧部Tが構成されるようになっている。しかし、上記薄厚部Tは、本発明の構成によっては、
図12及び次に示すように、上記薄厚部Tの厚さdを0とする事も可能である。
【0073】
ここで、上記
図12(A)は、上記電子部品ECの直下の導体膜(銅ホイル等)113の下面の一部を利用して穴部120を形成した場合の例を示す側断面図であり、(B)は上記導体膜(銅ホイル等)113の下面の一部を利用して穴部120を形成し、そこを含めて上記穴部120の内面に熱伝導体による被覆部125を形成した例を示す側断面図である。
【0074】
本発明では、上記穴部120の配置や大きさ乃至基板全体の強度を考慮して、上記導体膜(銅ホイル等)113の下面の一部を利用して穴部120を形成する事により、上記
図12(A)で示したように、薄圧部を0とすることが可能である。また、例えば、上記
図12(B)に示したように、上記穴部120の内面に上記導体膜(銅ホイル等)113の下面の一部を利用して、熱伝導体による被覆部125を施した場合には、上記被覆部125の厚さをある程度厚くすることによって、一定の強度を維持することも可能である。
【0075】
上記
図12に示した例は、上記のように、電子部品ECの直下の導体膜113の下面の一部を利用して上記穴部125を形成した場合であるが、本発明では、上記のように、基板110の導体膜113の下面の一部を利用して穴部125を形成し、上記薄厚部Tの厚さdを0とすることで、上記基板110の上記電子部品実装面130側に形成された回路を構成する上記導体膜113の下面まで直接上記穴部120を至らしめ、更に放熱性を向上させることも可能である。なお、このような構成のうち、被覆部125を設ける構成とした場合には、上記導体膜113と上記被覆部125とは同電位とすることも可能であるが、隣接する他の穴部との絶縁を確保するために、上記穴部120に形成された被覆部125は、上記穴部120の開口部と他の穴部120の開口部間とが絶縁されるように形成される。
【0076】
次に、本発明の放熱基板について、
図13に示すような、本発明の放熱基板700を制御装置1300に組み込んだ場合の構成例と、
図14に示すような、従来型の基板を制御装置1400に組み込んだ構成例とを用いて説明する。
【0077】
ここで、
図13は、上記本発明の放熱基板700を車両に用いられる電動パワーステアリングの制御装置1300に用いた場合の例であり、上記
図13は上記制御装置1300のケースに上記放熱基板1100を収納した場合の側断面図を示している。なお、上記
図13においては、上記熱伝導体による被覆部125を上記放熱基板700に設けられた複数の穴部120の開口部間でも覆うように構成している。そして、上記の例としては、
図7に関して説明した本発明の放熱基板700を用いているが、これに限らず、本発明による放熱基板であれば、他の構成のものも同様に用いる事が可能である。
【0078】
また、
図14は上述した通り、従来の制御装置1400の例を側断面図で示したものである。
【0079】
図14に記載したように従来の制御装置1400では制御基板1430とパワー基板1410とは別々に構成されており、上記制御基板1430は上記制御装置1400のケース内では上側に配置され、パワー基板1410は下側に配置されており、その間に実装される多極コネクタ1450により、上下の基板が電気的に接続されている。そして、このように制御装置1400内に配置されるパワー基板1410廻りの積層構造は、例えば、同14図においては、上から、1.FET等の放熱面、2.半田層、3.銅箔パターン、4.絶縁層、5.アルミ・ベース基板、6.TIM層、7.制御装置のケースと放熱器を兼ねるアルミダイキャスト790等の順に構成されていた。
【0080】
これに対して、本発明の放熱基板700は、
図13に示したように、上記
図14で示したような制御基板1430とパワー基板1410とを一つの基板上にまとめた一つの放熱基板700として構成されている。そして、上記放熱基板700の板面には、従来の制御基板1430に形成されていた回路パターンが形成されている領域(上記基板の左側部分)と上記パワー基板1410に形成されていた回路パターンが形成されている領域(上記基板の右側部分)とが構成されている。そして、本発明では、上記基板700のうち、上記パワー基板1410に形成されていた部分に相当する領域廻りの積層構造は、1.FET等の放熱面、2.半田層、3.銅配線パターン、4.薄厚部(樹脂等の層からなる薄い絶縁層)、5.熱伝導体による被覆部、6.窒化アルミニウム粒を含むTIMにより形成される充填体190層を介して表面にアルマイト層180Aが設けられた伝導体180と放熱体170層、7.制御装置のケースと放熱器を兼ねるアルミダイキャスト590等の順に構成されている。そのため、本発明の放熱基板の構造を採用することにより、構造的に効果的に基板からの放熱が達せられるようになっている。
【0081】
また、上記基板700のうち、従来の制御基板1430に形成されていた回路パターンが形成されている領域(上記基板の左側部分)は、従来同様の多層基板で構成されており、当該領域においては、上記
図13に示したように上記基板110の両面に電子部品ECを配した構成とする事も可能である。
【0082】
上記のように本発明の放熱基板によれば、基板上に実装された電子部品により発生した熱を効率的に外部に排出することが可能になるのみならず、従来は上記発熱の問題などから別々の構成としていたパワー基板と制御基板とに形成されていた回路を単一の基板上に形成して、一枚の基板として制御装置の筐体に収納することが可能となっている。
【0083】
そのため、複数の基板間の電気的接続のための多極コネクタ等の実装が不要となり、組立てリードタイムの短縮が図れることなどから、一層のコストダウンを図ることができ、また、薄型のECUの作成が可能となる事から設計の自由度が向上し、搭載部品の両面実装も可能であることから制御装置内部での立体的配置も可能であり、耐ノイズ性の向上も図れるという利点を有している。
【0084】
したがって、本発明によれば、上記パワー半導体等が実装された基板の放熱を効率的に行うと共に、上記のように、大電力を扱うパワー半導体等を実装するような専用基板(パワー基板)と小電力を扱う制御基板とを複合化して一体の基板とした場合の放熱性等の問題を改善することが可能である。なお、上記各種実施形態は本発明の構成の例を示したものであるため、本発明は上記の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨に沿った範囲で種々の変形が可能である。