(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フォーク支持部は、前記フォーク部の先端が並ぶ方向と平行な軸まわりに回転可能であり、かつ前記フォーク部の先端を載置して支持するローラを備える請求項1記載のレーザ切断システム。
少なくとも前記フォーク部が前記ワークを持ち上げる際に、前記ワークを上方から前記フォーク部に向けて押し付ける押さえ部を備える請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のレーザ切断システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、パレット上でレーザ加工を行うものでは、加工時のレーザ光の熱によりワークの一部が溶融してパレットに付着し、そのまま固化することでワークの一部がパレットに固着(溶着)する場合がある。この状態でフォーク部によりワークを持ち上げると、ワークとパレットとの固着部分によってフォーク部が下方にたわんで湾曲してしまう。そのままフォーク部を持ち上げると、固着部分が外れることによりフォーク部が上方に跳ね上がり、その衝撃でワークのずれやワーク中の製品が残材から外れて位置がずれてしまい、その後の製品や残材のピックアップに支障が生じるといった問題がある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明は、フォーク部によりパレットからワークを持ち上げる場合にワークの位置がずれるのを防止し、その後の製品や残材のピックアップにおいて支障が生じるのを回避可能なレーザ切断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るレーザ切断システムは、ワークに対してレーザ加工を行う加工機本体と、加工機本体から搬出されたワークを載置して昇降可能なフォーク部と、フォーク部の先端を支持しかつフォーク部の昇降に同期して昇降するフォーク支持部と、を備える。
【0007】
また、フォーク支持部は、フォーク部の先端が並ぶ方向と平行な軸まわりに回転可能であり、かつフォーク部の先端を載置して支持するローラを備えてもよい。また、加工済みのワークを載置して加工機本体から搬出する剣山状または鋸歯状のパレットを備え、フォーク部は、パレットに差し込み可能であり、フォーク支持部は、パレットを挟んでフォーク部の反対側に配置されてもよい。また、少なくともフォーク部がワークを持ち上げる際に、ワークを上方からフォーク部に向けて押し付ける押さえ部を備えてもよい。
【0008】
また、本発明に係るレーザ切断システムは、ワークに対してレーザ加工を行う加工機本体と、加工機本体から搬出されたワークを載置して昇降可能なフォーク部と、少なくともフォーク部がワークを持ち上げる際に、ワークを上方からフォーク部に向けて押し付ける押さえ部と、を備える。
【0009】
また、押さえ部は、少なくともワークの上面に対応した領域に所定間隔で複数配置されてもよい。また、押さえ部は、ワークを押さえる方向に弾性的に保持されてもよい。また、押さえ部は、ワークを吸着して搬送可能であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フォーク支持部が、フォーク部の先端を支持しかつフォーク部の昇降に同期して昇降するため、先端を支持した状態でフォーク部を昇降させることができる。これにより、フォーク部によりワークを持ち上げる際に、ワークの一部がパレット等に固着しているときでもフォーク部の先端が下方にたわんで湾曲するのを防ぐことができ、フォーク部が上方に跳ね上がってワーク中の製品や残材の位置がずれるのを防止できる。その結果、製品及び残材の位置が正確に保持されるので製品及び残材のピックアップの自動化に容易に対応することができる。
【0011】
また、フォーク支持部が、フォーク部の先端が並ぶ方向と平行な軸まわりに回転可能であり、かつフォーク部の先端を載置して支持するローラを備えるものでは、フォーク部の先端が下方にずれた場合でもローラによってフォーク部の先端を案内し、フォーク部の先端を確実に支持することができる。また、加工済みのワークを載置して加工機本体から搬出する剣山状または鋸歯状のパレットを備え、フォーク部がパレットに差し込み可能であり、フォーク支持部がパレットを挟んでフォーク部の反対側に配置されるものでは、パレットに差し込んだフォーク部の先端をフォーク支持部によって確実に支持することができる。また、少なくともフォーク部がワークを持ち上げる際に、ワークを上方からフォーク部に向けて押し付ける押さえ部を備えるものでは、ワークをフォーク部と押さえ部とで挟んで支持するので、ワークの位置がずれるのを確実に防ぐことができる。
【0012】
また、本発明によれば、押さえ部が、少なくともフォーク部がワークを持ち上げる際に、ワークを上方からフォーク部に向けて押し付けるため、フォーク部によりワークを持ち上げる際に、押さえ部によってワークをフォーク部に押し付けるので、フォーク部が上方に跳ね上がったときでもワークの位置がずれるのを防止できる。
【0013】
また、押さえ部が、少なくともワークの上面に対応した領域に所定間隔で複数配置されるものでは、
複数の押さえ部によってワーク全体を押さえるため、ワークを安定して支持することでワークの位置がずれるのを確実に防ぐことができる。また、押さえ部が、ワークを押さえる方向に弾性的に保持されるものでは、フォーク部がたわんだときでも押さえ部が弾性的に追従するので、ワークを安定して支持することができる。また、押さえ部が、ワークを吸着して搬送可能であるものでは、ワークを吸着して押さえることができ、かつ、この押さえ部を用いて製品や残材の搬送を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面においてワークWを加工機本体10に搬入または搬出する方向をX方向と表記し、X方向に直交する方向をY方向と表記する。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
【0016】
図1は、実施形態に係るレーザ切断システム100の一例を示す斜視図である。
図2は、レーザ切断システム100の平面図である。
図1及び
図2に示すように、レーザ切断システム100は、加工機本体10と、パレット載置部20と、フォーク部30と、フォーク支持部40と、ローダ50と、製品トレー60と、残材トレー70とを備えている。また、レーザ切断システム100は、各部を統括的に制御する不図示の制御部を有している。加工機本体10は、後述するパレット21に載置されたワークWに対してレーザ光により切断加工を行い、製品Mを形成する。加工機本体10は、チャンバ11を有している。チャンバ11は、ワークW及びパレット21を収容可能な寸法に形成されており、開口部11aを有している。開口部11aは、ワークWを載置したパレット21が通過可能な大きさに設けられる。本実施形態では、開口部11aを介してワークW及びパレット21が加工機本体10に搬入及び搬出される。
【0017】
チャンバ11の内部には、レーザヘッド12が収容されている。レーザヘッド12は、ワークWを切断するため、例えば−Z方向にレーザ光を射出する射出部(不図示)を有している。レーザヘッド12は、光ファイバなどの光伝送体を介してレーザ光源に接続されている。レーザ光源としては、例えば炭酸ガスレーザなどの気体レーザの光源や、ファイバーレーザなどの固体レーザの光源が用いられる。レーザヘッド12は、不図示のヘッド移動部により、X方向、Y方向及びZ方向に移動可能に設けられている。ヘッド移動部は、例えば、X方向に移動可能なガントリと、ガントリに対してY方向に移動可能なスライダと、スライダに対してZ方向に移動可能な昇降部と、で構成され、それぞれの駆動源を駆動することによりレーザヘッド12をX方向、Y方向、及びZ方向の所定位置に移動させる。
【0018】
レーザヘッド12によるレーザ光の射出や、ヘッド移動部は、制御部によって制御される。これにより、加工機本体10は、レーザヘッド12を移動させつつレーザ光を射出することにより、ワークWの一部を切断して製品Mを形成する。なお、上記した構成はワークWに対してレーザヘッド12が移動する構成を説明したがこれに限定されず、レーザヘッド12を固定してワークWを移動させるものや、レーザヘッド12及びワークWの双方が移動するものなど、ワークWとレーザヘッド12とが相対的に移動する任意の構成が適用可能である。
【0019】
パレット載置部20は、加工機本体10の開口部11aに対して−X側に配置される。パレット載置部20は、加工機本体10に搬入されるパレット21や、加工機本体10から搬出されるパレット21を載置する。パレット載置部20は、開口部11aからX方向に延びるガイド部材22、23を有している。ガイド部材22、23は、Y方向に並んで配置される。ガイド部材22、23は、パレット21をX方向に案内する。
【0020】
図3は、パレット21の一例を示す斜視図である。なお、
図3には、後述のフォーク部30についても併せて示している。このパレット21は、加工前のワークWを載置して加工機本体10に搬入する場合の他に、加工機本体10内においてワークWの載置台や、製品Mを形成済のワークWを載置して加工機本体10から搬出する場合に用いられる。
【0021】
図3に示すように、パレット21は、ベースプレート21a及び支持プレート21bを有している。ベースプレート21aは、例えば矩形状に形成されている。ベースプレート21aの下面にはガイド部材22、23を走行可能な不図示の車輪を備えている。パレット21は、これら車輪のいずれかを駆動輪とすることでガイド部材22、23上を移動する。ただし、パレット21に駆動輪を備えることに代えて、パレット載置部20に不図示のパレット駆動機構を形成し、このパレット駆動機構を駆動することによりパレット21をガイド部材22、23に沿ってX方向に沿って移動させてもよい。なお、パレット21の移動は制御部によって制御される。
【0022】
支持プレート21bは、ワークWの下面(−Z側の面)を支持する。支持プレート21bは、ベースプレート21aの上面(+Z側の面)に複数設けられている。複数の支持プレート21bは、ベースプレート21aに対して立った状態で設けられ、X方向に並んで配置されている。複数の支持プレート21bにおいてX方向の間隔は、後述するフォーク部30の腕部32を差し込むことが可能な間隔に設定される。各支持プレート21bは、例えば鋸歯状に形成された複数の上端部21cを有している。各上端部21cは、ベースプレート21aからの高さ(Z方向の位置)が同一となるように形成されている。複数の上端部21cには、ワークWが載置される。複数の上端部21cの高さが同一であるため、ワークWを水平面(XY平面)に沿って安定して配置することができる。また、上端部21cが鋸歯状に形成されているため、上端部21cとワークWとの間の接触面積が小さくなる。
【0023】
なお、上端部21cは、鋸歯状とすることに限定されず、例えば、波形状としてもよい。また、パレット21は、複数の支持プレート21bを用いることに限定されず、例えば、複数のピンがベースプレート21a上に配置された剣山状でもよい。
【0024】
パレット21は、パレット載置部20に待機した状態で外部からワークWが支持プレート21bの上端部21cに載置される。パレット21へのワークWの載置は、作業者が手作業により行ってもよく、またはワーク搬送装置(例えば後述するローダ50等)により行ってもよい。パレット21は、ワークWを乗せたまま+X方向に移動して加工機本体10の加工領域に配置される。また、パレット21は、加工済みのワークWを載置したまま−X方向に移動して加工機本体10の外部に搬出され、パレット載置部20に戻る。このように、パレット21は、加工機本体10とパレット載置部20とを往復移動する。なお、パレット21は1台で運用されることに限定されず、複数台のパレット21が使用されてもよい。この場合、パレット21同士が干渉しないようにパレット21を加工機本体10とパレット載置部20とで循環させる構成が適用されてもよい。
【0025】
ワーク保持部24は、ワークWの端辺を保持する。ワーク保持部24は、グリッパ24a、24bを有する。グリッパ24a、24bは、X方向に長手となるように形成され、Y方向に並んで配置される。グリッパ24a、24bは、ワークWの−Y側及び+Y側の端辺をそれぞれ保持する。ワーク保持部24には、ガイドレール24cが設けられている。ガイドレール24cは、グリッパ24a、24bをY方向に案内する。グリッパ24a、24bは、不図示の駆動源に接続されており、この駆動源によってY方向に移動し、ワークWの把持または解放を行う。なお、グリッパ24a、24bの駆動は、制御部によって制御される。
【0026】
また、上記したワーク保持部24は、ワークWの−Y側及び+Y側の端辺をそれぞれ保持するが、これに限定されない。例えば、ワークWの−X側及び+X側の端辺をそれぞれ保持するものでもよく、また、ワークWの±Y側及び±X側の端辺をそれぞれ保持するものでもよい。ワーク保持部24は、ワークWの長辺側(例えばY方向に伸びる端辺側)をそれぞれ把持することにより、ワークWを持ち上げた際にワークWのたわみを軽減できる。また、グリッパ24a、24bは、X方向に長手のものであることに限定されず、ワークWの端部を保持可能な任意の構成が適用可能である。
【0027】
フォーク部30は、
図1及び
図2に示すように、パレット載置部20の−Y側に配置され、+Y方向に進退可能に形成されている。さらに、フォーク部30は、Z方向に昇降可能に形成されている。フォーク部30は、基部31と、腕部32と、フォーク駆動部33とを有している。基部31は、X方向に延びた形状に形成されている。基部31は、不図示のガイド部によってY方向に移動可能に設けられている。腕部32は、基部31から+Y方向に延びるように形成されている。腕部32は、X方向に複数設けられている。各腕部32は、支持プレート21bとほぼ等しいピッチでX方向に並んで配置されている。したがって、各腕部32の先端32aは、X方向に並んで配置される。
【0028】
フォーク駆動部33は、フォーク部30をY方向へ進退移動させ、また、Z方向へ昇降移動させる。フォーク駆動部33は、不図示の駆動源と、この駆動源の動力を基部31に伝達する伝達機構とを有している。フォーク駆動部33の動作は、制御部によって制御される。
【0029】
フォーク部30は、
図3に示すように、基部31を+Y方向に移動させた場合に各腕部32が支持プレート21b同士の間を+Y方向に侵入可能である。これにより、腕部32を支持プレート21b間に差し込んだ状態でフォーク部30を上昇させることにより、支持プレート21b上に載置されたワークWを腕部32によって持ち上げることが可能となる。
【0030】
フォーク支持部40は、パレット載置部20の+Y側に設けられている。フォーク支持部40は、ローラ41と、ガイド42と、ローラ駆動部43とを有している。ローラ41は、腕部32の先端32aが並ぶ方向(X方向)に沿って配置されている。ローラ41は、各腕部32の先端32aを載置して支持可能に配置される。ローラ41は、軸部41aによって回転可能に保持される。このため、フォーク部30の先端32aがY方向に進退してもローラ41が回転することにより両者間の摩擦による抵抗力を減少させ、フォーク部30の進退の支障となるのを抑制している。また、フォーク部30の先端32aがやや下がってローラ41に当接した場合でもローラ41が回転して先端32aを上方にガイドするので、ローラ41による先端32aの支持を確実に行うことができる。
【0031】
ガイド42は、ローラ41をX方向に挟む位置に一対配置されている。各ガイド42には、Z方向に沿った案内溝42aを有している。各案内溝42aには、ローラ41の軸部41aが挿入されている。これにより、ローラ41は、この案内溝42aに沿ってZ方向に昇降可能となっている。
【0032】
ローラ駆動部43は、ローラ41をZ方向に移動させる。ローラ駆動部43は、不図示の駆動源と、この駆動源の動力をローラ41の軸部41aに伝達する伝達機構とを有している。ローラ駆動部43は、ローラ41をX方向と平行に維持した状態でZ方向に昇降させる。ローラ41は、フォーク部30の昇降と同期して昇降する。なお、ローラ駆動部43の動作は、制御部によって制御される。また、ローラ41を昇降させる構成は、上記に限定されず、ローラ41を昇降可能な他の構成が適用されてもよい。
【0033】
ローダ50は、ワークWやワークWから切り離された製品Mを搬送する。ローダ50は、本体部51と、押さえ部52とを有している。
図4は、ローダ50の一例を示している。
図1、
図2及び
図4に示すように、本体部51は、例えば矩形の箱状に形成されている。本体部51は、不図示の移動機構に接続されており、この移動機構によってX方向、Y方向及びZ方向に移動可能である。本体部51は、−Z側の面(底面)51aがXY平面に平行となるように配置される。本体部51の底面51aは、ワークWを搬送する際にワークWの上面と対向する面である。底面51aは、ワークWに応じた寸法に形成されている。
【0034】
押さえ部52は、本体部51の底面51aに複数設けられている。押さえ部52は、本体部51の底面51aの全体に亘ってX方向及びY方向にそれぞれ一定間隔で配置される。複数の押さえ部52は、ワークWの寸法に対応した領域に配置されている。複数の押さえ部52の本数や配置は任意である。例えば、ワークWの上面に対応した領域のうち、一部の押さえ部52の本数を多くして、ワークWの上面に対応した領域において、押さえ部52の粗密が形成されてもよい。
【0035】
各押さえ部52は、昇降ロッド52aと、吸着パッド52bと、弾性部材52cとを有している。昇降ロッド52aは、底面51aから−Z方向に突出して設けられている。各昇降ロッド52aは、不図示の駆動装置により底面51aに対して個別に昇降(Z方向に移動)可能となっている。吸着パッド52bは、昇降ロッド52aの−Z側の端部に取り付けられている。吸着パッド52bには、不図示の吸引機構が接続されており、この吸引機構を駆動することでワークWを吸着可能である。
【0036】
なお、ワークWの吸着は、気体を吸引して行う構成に限定されず、例えばワークWが磁性材料である場合、ワークWを磁気的に吸着または解放可能な電磁石等が使用されてもよい。弾性部材52cは、昇降ロッド52aの周囲に配置され、吸着パッド52bと底面51aとの間に弾性力を付与する。このように、押さえ部52は、弾性部材52cによってZ方向に弾性的に保持されており、この弾性部材52cの弾性力に抗して上方に移動可能となっている。また、ローダ50の移動や押さえ部52の駆動は、制御部によって制御される。
【0037】
図1及び
図2に示すように、製品トレー60は、ワークWから分離した製品Mを載置する。製品トレー60は、パレット載置部20の下方(−Z側)に配置される。製品トレー60において、製品Mは積層した状態で載置される。残材トレー70は、ワークWから製品Mを取り外した残材Sを載置する。残材トレー70は、パレット載置部20の+Y側に配置される。したがって、残材トレー70は、パレット載置部20に対してフォーク部30の反対側に配置される。
【0038】
また、上記したワーク保持部24は、残材トレー70の上方まで+Y方向に移動可能となっている。これにより、残材Sを保持したワーク保持部24により残材Sを残材トレー70まで搬送することができる。また、製品トレー60や残材トレー70は下面側に不図示の車輪が設けられており、作業者等により引き出して搬送可能となっている。なお、製品トレー60や残材トレー70は、搬送装置等により搬送されるように構成されてもよい。
【0039】
次に、上記のように構成されたレーザ切断システム100の動作を説明する。レーザ切断システム100の動作は、不図示の制御部によって各部が制御される点は上記のとおりである。
図5は、レーザ切断システム100の動作過程を示す図である。
【0040】
まず、パレット載置部20にパレット21が配置された状態で、レーザ切断システム100の外部に保管されている未加工のワークWがローダ50によってパレット21上に搬送される。パレット21上へのワークWの搬送は、作業者の手作業や他の搬送装置で行ってもよい。ローダ50によりワークWを搬送する場合、複数の吸着パッド52bによりワークWの上面を吸着してワークWを保持する。吸着パッド52bによるワークWの吸着力は、ローダ50の移動によってワークWが落下しない程度に設定される。
【0041】
ワークWを吸着したローダ50がパレット21まで移動し、ワークWをパレット21上に載置する。ワークWがパレット21に載置された後、パレット21がガイド部材22、23に沿って+X方向に移動して加工機本体10にワークWを搬入する。加工機本体10ではパレット21に載置したままレーザヘッド12によってワークWの切断加工が行われ、例えば複数の製品Mが形成される。ワークWへの加工終了後、パレット21は、−X方向に移動して加工機本体10からワークWを搬出し、パレット載置部20に戻る。ワークWは切断加工により製品Mと残材Sとに分離されており、これら製品M及び残材Sの双方がパレット21に載置された状態でパレット載置部20まで搬送される。
【0042】
次に、
図5(a)に示すように、フォーク部30が待機位置から+Y方向に移動し、腕部32を支持プレート21b間に差し込んでワークWの下方に配置する。なお、フォーク部30の移動に先立ち、ローラ41の上端の高さ位置(Z方向の位置)をフォーク部30の先端32aの底部の高さ位置に合わせて調整しておく。これにより、腕部32の先端32aがローラ41上に載置されて支持される。また、フォーク部30が+Y方向に移動する際、先端32aがローラ41上を+Y方向に転がるように案内されるため、摩擦による抵抗力をほとんど受けることなくフォーク部30を移動させることができる。
【0043】
次に、
図5(b)に示すように、フォーク部30とローラ41とを+Z方向に同期して移動させ、ワークWをパレット21から持ち上げる。これにより、腕部32の先端32aがローラ41に支持された状態でワークWがパレット21から持ち上げられる。したがって、ワークWの一部がパレット21に固着して、腕部32がワークWに引っ掛かる場合であっても、腕部32の先端32aが湾曲するのを抑制できる。また、ローラ41が上昇することにより、腕部32の全体がXY平面にほぼ平行な状態で+Z方向に移動し、パレット21への固着部分を引きはがしてワークWが持ち上げられる。このとき、腕部32は湾曲しないので先端32aが跳ね上がることがなく、ワークWの位置のずれや、ワークW中の製品Mが残材Sから外れて位置がずれてしまうことを抑制している。
【0044】
次に、
図6(a)に示すように、ワーク保持部24は、グリッパ24a、24bをそれぞれY方向に移動してワークWの−Y側及び+Y側の端辺をそれぞれ保持する。続いて、グリッパ24a、24bを上方させることにより、製品Mは残材Sから切り離されて腕部32上に残った状態となる。なお、グリッパ24a、24bによりワークWを把持するタイミングは、フォーク部30によりワークWを持ち上げるタイミング(例えば
図5(a)に示すタイミングなど)でもよい。続いて、ワーク保持部24により残材Sを残材トレー70の上方に搬送した後、グリッパ24a、24bによる残材Sの把持を解除することにより落下して残材トレー70に入れる。なお、残材Sは、ローダ50によって残材トレー70に搬送してもよい。
【0045】
次に、
図6(b)に示すように、ローダ50を−Z方向に移動させ、吸着パッド52bを製品Mの上面に当接させて製品Mを吸着する。このとき、制御部は、製品Mの位置を予め把握しているので、この製品Mに対応する吸着パッド52bのみに対して吸着を行うように指示する。製品Mを吸着した後、ローダ50を+Z方向に移動させる。その結果、製品Mは、フォーク部30からローダ50に渡される。なお、
図6(b)では全ての製品Mを吸着パッド52bで吸着しているが、複数の製品Mのうち一部を吸着パッド52bで吸着し、残りをフォーク部30の腕部32に載置したままとしてもよい。また、フォーク部30からローダ50に製品Mを渡す際に、フォーク部30を−Z方向に移動させてもよい。その後、フォーク部30を−Y方向に退避させ、ローダ50を−Z方向に移動させることにより、製品トレー60に製品Mを載置する(
図1参照)。
【0046】
なお、
図6(a)及び(b)では、残材Sをフォーク部30上から相対的に離すことで製品Mと分離させ、フォーク部30に残った製品Mをピックアップして搬送しているが、これに限定されない。例えば、ワークWをフォーク部30で持ち上げた後、ローダ50の押さえ部52によってワークW中から製品Mを選択して吸着し、製品Mの搬送を行ってもよい。
【0047】
その後、パレット載置部20にパレット21を配置した状態で、次の未加工のワークWがローダ50によってパレット21上に載置される。そして、上記の動作を繰り返して行うことにより、ワークWが切断加工され、製品トレー60に新たな製品Mが載置され、残材トレー70に新たな残材Sが載置される。
【0048】
このように、本実施形態によれば、フォーク支持部40が、フォーク部30の腕部32の先端32aを支持しかつフォーク部30の昇降に同期して昇降するため、先端32aを支持した状態でフォーク部30を昇降させることができる。これにより、フォーク部30の湾曲を防ぐことができ、フォーク部30が上方に跳ね上がってワークW中の製品Mや残材Sの位置がずれるのを防止できる。その結果、製品M及び残材Sの位置が正確に保持されるので製品M及び残材Sのピックアップの自動化に容易に対応することができる。
【0049】
上記した実施形態では、フォーク部30の腕部32の先端32aのみを支持する構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。
図7は、変形例に係るレーザ切断システム100の動作の一例を示す平面図である。本変形例において、上記した実施形態と同一または同等の構成部分については同一符号を付けて説明を省略または簡略化する。
【0050】
図7(a)に示すように、フォーク部30の腕部32の先端32aをローラ41上に配置した後、フォーク部30を上昇させる前に、ローダ50がワークWの上方から−Z方向に移動し、吸着パッド52bをワークWの上面に当接させる。吸着パッド52bは、ワークWに当接することによりワークWを押し付けかつ吸着する。吸着パッド52bの吸着力は、ワークWの搬送時と同様の吸着力であってもよく、または、ワークWの搬送時の吸着力より小さな吸着力であってもよい。なお、吸着パッド52bにより吸着するか否かは任意である。
【0051】
次に、
図7(b)に示すように、フォーク部30を+Z方向に移動させ、ワークWをパレット21から持ち上げる。ワークWが持ち上げられることにより、各吸着パッド52b及び昇降ロッド52aが+Z方向に押され、弾性部材52cの弾性力に抗して縮んだ状態となる。ワークWは、押さえ部52の吸着パッド52bと、フォーク部30の腕部32とによって挟まれた状態で保持される。例えば、ワークWの中央部分がパレット21に固着していると、フォーク部30でワークWを持ち上げる際にワークWの中央部分が下方にたわみ、固着部分が外れることにより跳ね上がって製品Mが残材Sから外れる可能性がある。このような場合、
図7に示すように、ワークWを押さえ部52により押さえることでワークWの中央部分が跳ね上がっても製品Mが残材から外れて位置がずれるのを防止できる。
【0052】
また、上記した実施形態では、フォーク支持部40によってフォーク部30の腕部32の先端32aを支持する構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。
図8及び
図9は、変形例に係るレーザ切断システム100Aの動作の一例を示す平面図である。
図8及び
図9に示すように、レーザ切断システム100Aでは、フォーク支持部40が用いられず、他の構成は上記した実施形態と同一である。以下の説明では、ワークWがレーザ加工の熱により固着位置Pにおいて支持プレート21bの上端部21cに固着されているものとする。
【0053】
図8(a)に示すように、フォーク部30の腕部32を支持プレート21b間に挿入した後、フォーク部30を上昇させる前に、ローダ50がワークWの上方から−Z方向に移動し、吸着パッド52bをワークWの上面に当接させる。吸着パッド52bは、ワークWに当接することによりワークWを押し付けかつ吸着する。吸着パッド52bの吸着力は、ワークWの搬送時と同様の吸着力であってもよく、または、ワークWの搬送時の吸着力より小さな吸着力であってもよい。なお、吸着パッド52bにより吸着するか否かは任意である。
【0054】
次に、
図8(b)に示すように、フォーク部30を+Z方向に移動させ、ワークWをパレット21から持ち上げる。このとき、ワークWが固着位置Pに保持されるので、腕部32は、先端32a側が下方に向けて湾曲してしまう。このとき、ワークWの一部はフォーク部30により持ち上げられるが、各押さえ部52が弾性的に収縮してワークWを押さえた状態を維持している。その後、フォーク部30が+Z方向に移動することにより固着
位置Pが外れると、下方にたわんだ腕部32が弾性的に跳ね上がるように復元する。このとき、
図9に示すように、ワークWが押さえ部52によって押さえられているため、腕部32の復元によってワークWが跳ね上げられるのを抑制する。押さえ部52は、弾性部材52cによってワークWが跳ね上がるのを受け止めるように作用する。
【0055】
このように、本変形例によれば、フォーク支持部40を用いない場合であっても、押さえ部52によりワークWを押さえることにより、フォーク部30上でワークWの位置がずれるのを防ぐことができる。
【0056】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上記した実施形態において、フォーク支持部40にローラ41が用いられるが、これに限定されない。例えば、ローラ41に代えて、フォーク部30の腕部32の先端32aを支持可能な棒状または板状ものが用いられてもよい。
【0057】
また、上記した実施形態では、ローダ50において複数の押さえ部52がX方向及びY方向に一定間隔で配置された構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、X方向またはY方向に間隔を変えて配置されてもよい。例えば、フォーク部30の腕部32の先端32a側において、押さえ部52の間隔を基部31側より小さくなるような配置であってもよい。この場合、たわみやすい腕部32の先端32a側に押さえ部52を多く配置するので、腕部32(ワークW)が跳ね上がるのを多くの押さえ部52によって受け止めることが可能となる。