(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のモータ制御装置のうちの1つが主モータ制御装置として設定され、他が従モータ制御装置として設定されていることを特徴とする請求項1記載の多軸モータ制御システム。
前記制御関連情報は、前記主モータ制御装置が内部演算で生成したモータ制御の指令であるモータ制御指令情報を含んでいることを特徴とする請求項2記載の多軸モータ制御システム。
前記制御関連情報は、モータ制御の状態に関するモータ制御ステータス情報を含んでいることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の多軸モータ制御システム。
前記制御関連情報は、モータが駆動する駆動機械の状態に関する機械ステータス情報を含んでいることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項に記載の多軸モータ制御システム。
前記制御関連情報は、少なくとも、他のモータ制御装置が内部演算で生成したモータ制御の指令であるモータ制御指令情報、モータ制御の状態に関するモータ制御ステータス情報、前記モータが駆動する駆動機械の状態に関する機械ステータス情報、のいずれかを含んでいることを特徴とする請求項11記載のモータ制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<多軸モータ制御システムの概略構成>
図1は、本実施形態の多軸モータ制御システムの概略的なシステム構成の一例を表している。図示する例の多軸モータ制御システムは、3つのリニアモータを協調制御することで単体の可動子テーブル22を駆動制御するシステムである。
図1において多軸モータ制御システム1は、1つの上位コントローラ2と、この上位コントローラ2に信号送受可能に接続された3つのサーボアンプ3,4,5と、これら3つのサーボアンプ3,4,5からそれぞれ給電された駆動電力によって駆動制御される1つのリニアスライダ6とを有している。
【0013】
上位コントローラ2(上位制御装置)は、図示する例ではPLC(Programmable Logic Controller)で構成されており、当該多軸モータ制御システム1全体における各種情報を管理してその全体の作動を制御する装置である。
【0014】
サーボアンプ3,4,5(モータ制御装置)は、上記上位コントローラ2から入力された駆動制御信号に基づいて、リニアスライダ6に設けられた後述する電機子24,25,26への駆動電力の給電制御が可能な装置である。
【0015】
リニアスライダ6は、単体の固定子21に対して単体の可動子テーブル22を直進駆動させる駆動機械である。図示する例では、固定子21側に複数の永久磁石23が直列に配設されており、その配列方向に沿って直進移動可能な可動子テーブル22に3つの電機子24,25,26が固定されている。共通の永久磁石列23と各電機子24,25,26とのそれぞれの組み合わせで1つの直動型モータであるリニアモータを構成しており、つまりリニアスライダ6は3つのリニアモータで1つの可動子テーブル22を直進駆動させる。なおこの構成以外にも、固定子21側に電機子24,25,26を設け、可動子テーブル22側に永久磁石列23を設ける構成としてもよい。
【0016】
各電機子24,25,26にはそれぞれ対応するサーボアンプ3,4,5が個別に接続されている。各サーボアンプ3,4,5が対応する電機子24,25,26に駆動電力を給電することでそれぞれに交番磁界が発生し、この交番磁界が固定子21側の永久磁石列23に対して引力と斥力を生じることにより可動子テーブル22に所定方向の直動推力が付加される。そして各サーボアンプ3,4,5の給電制御が協調的に行われることで、単体の可動子テーブル22が円滑に直進駆動する。
【0017】
このような協調制御を行うために、全てのサーボアンプ3,4,5は上位コントローラ2とともに通信路であるケーブル27を介して接続され、相互に各種の通信情報を送受可能となっている。本実施形態におけるその接続形態としては、上位コントローラ2を末端として他の3つのサーボアンプ3,4,5が直列に接続されており、以下において通信路を直列接続する通信ネットワークの接続形態をデイジーチェーン接続という。
【0018】
そして3つのサーボアンプ3,4,5の中で特に上位コントローラ2に直接接続しているサーボアンプ3を駆動軸に対応するマスタサーボ13(主モータ制御装置)として設定し、このマスタサーボ13に直接接続している他のサーボアンプ4を1つ目の従動軸に対応する第1スレーブサーボ14(従モータ制御装置)として設定し、この第1スレーブサーボ14に直接接続している他のサーボアンプ5を2つ目の従動軸に対応する第2スレーブサーボ15(従モータ制御装置)として設定している。なお、特に図示しないが、この第2スレーブサーボ15から上位コントローラ2と逆側にさらに他のインターフェースや制御機器を接続してもよい。
【0019】
また、図示する例のリニアスライダ6には、固定子21側の一端部に光センサで構成する機械センサ28が設けられている。可動子テーブル22が直進移動してその端部がこの機械センサ28の上方を覆った際には、可動子テーブル22の作動が制限範囲を越えたとして当該機械センサ28がその検出情報をOT信号(Over Travel信号)としてマスタサーボ13だけに入力する。
【0020】
<多軸モータ制御システムのハードウェアブロック構成>
図2は、多軸モータ制御システム1のハードウェアブロック構成の一例を模式的に表している。この
図2において、上位コントローラ2は、少なくともプロセッサ31、メモリ32を備えたコンピュータからなる上位制御部33を有している。
【0021】
また各サーボアンプ3,4,5は、少なくともプロセッサ41、メモリ42を備えたコンピュータからなるサーボ制御部43を有するとともに、このサーボ制御部43から出力された電流指令(後に詳述)に基づいてリニアモータの電機子24,25,26への給電制御を行う給電制御部44を有している。なお、サーボ制御部43における給電制御内容については、後述する
図3で詳しく説明する。
【0022】
リニアスライダ6は、各サーボアンプ3,4,5に対応する3つの電機子24,25,26と上記機械センサ28を有している。各電機子24,25,26は、リニアスケール等で構成されて当該電機子24,25,26の相対移動位置等を検出するリニアセンサ29(上記
図1では図示省略)が設けられており、それぞれの検出情報を対応するサーボアンプ3,4,5のサーボ制御部43に入力する。なお、リニアセンサ29が検出する情報については、後述する
図3で詳しく説明する。
【0023】
上位コントローラ2と各サーボアンプ3,4,5は、いずれも通信制御部51と通信ポート52を備えている。通信制御部51は、相互通信を可能にするために特化して設計された専用集積回路であり、通信ポート52は通信路(ケーブル27)を介して接続するための通信インターフェースである。上位コントローラ2は通信ポート52を1つ備え、各サーボアンプ3,4,5は通信ポート52を2つ備えている。通信ポート52どうしを接続することで上記デイジーチェーン接続が形成される。
【0024】
<モータ制御の制御ブロックと制御関連情報について>
図3は、各サーボアンプ3,4,5において行われるモータ制御を制御ブロックで表している。なお、
図3中において給電制御部44以外の制御ブロックは、サーボ制御部43のプロセッサ41により実行されるソフトウェアで実現される。
【0025】
この
図3において、サーボアンプ3,4,5は、減算器61と、位置制御部62と、減算器63と、速度制御部64と、電流制御部65と、上記の給電制御部44と、速度変換部66を有している。減算器61は、上位コントローラ2から入力された位置指令から後述する検出位置を減算して位置偏差を出力する。位置制御部62は、この位置偏差に基づいて速度指令を出力する。減算器63は、この速度指令から後述する検出速度を減算して速度偏差を出力する。速度制御部64は、この速度偏差に基づいて推力指令を出力する。電流制御部65は、この推力指令に基づいて電流指令を出力し、給電制御部44がこの電流指令に基づいて電機子24,25,26に給電する駆動電力を制御する。そして固定子21に対する電機子24,25,26の相対的な駆動位置をリニアセンサ29が検出し、検出位置としてサーボアンプ3,4,5に入力する。この検出位置は、上記減算器61において位置指令から減算されるとともに、速度変換部66に入力される。速度変換部66は、この検出位置に基づいて電機子24,25,26の駆動速度である検出速度を出力する。なお、この速度変換部66は、検出位置を時間微分する微分器等で構成すればよい。
【0026】
以上における減算器61、位置制御部62、減算器63、速度制御部64、電流制御部65、給電制御部44、及び速度変換部66は、外部の電機子24,25,26及びリニアセンサ29とともに、いわゆる位置制御フィードバックループと速度制御フィードバックループの2重フィードバックループを構成する。なお、電流制御部66の内部にも電流制御フィードバックループを備えているが、図中では省略している。
【0027】
また各サーボアンプ3,4,5は、それぞれ当該サーボアンプ3,4,5自身の運転状態に関するステータス情報を保有する。またリニアセンサ29は、当該リニアセンサ29自身のアラーム情報も検出して対応するサーボアンプ3,4,5に入力する。また上述したように、機械センサ28がリニアモータの作動異常を示すOT信号を検出し、マスタサーボ13に入力する。
【0028】
そして本実施形態においては、上記の位置指令、速度指令、推力指令、電流指令、検出位置、検出速度、ステータス情報、アラーム情報、及びOT信号が上位コントローラ2と各サーボアンプ3,4,5の間で送受される通信情報であり、これらをまとめて制御関連情報という。そのうち、上位コントローラ2から入力された位置指令に基づいてサーボアンプ3,4,5の上記制御ブロックが内部演算で生成した速度指令、推力指令、及び電流指令を特にモータ制御指令情報という。また、各サーボアンプ3,4,5において検出、演算、保有されたモータ制御の状態に関する検出位置、検出速度、ステータス情報、及びアラーム情報を特にモータ制御ステータス情報という。また、駆動機械であるリニアスライダ6の状態に関してマスタサーボ13だけに入力されたOT信号を特に機械ステータス情報という。以上の制御関連情報については、最終的に上位コントローラ2が全て受信し、システム全体の制御状態を把握し管理する。
【0029】
<本実施形態の特徴>
上位コントローラ2とサーボアンプ3,4,5とが情報送受するためのネットワークトポロジの1種として、上述したように各制御機器を直列接続するデイジーチェーン接続がある。このデイジーチェーン接続は、いわゆるスター接続などの他のネットワークトポロジと比較して総配線長を短縮化できることで耐ノイズ性を向上したり、またそれら配線や接続の管理が効率的に行えるという利点がある。
【0030】
しかし、このデイジーチェーン接続の場合には、その接続配置に起因して各制御機器への信号伝達が遅延しやすいというデメリットがある。例えば、末端の上位コントローラ2から出力された指令信号はデイジーチェーンの接続順に各制御機器を経由して伝達されるが、その上位コントローラ2から離れた制御機器ほど途中で経由する制御機器数が多くなり、それら経由する制御機器間での信号伝達処理に要する時間が積算されて最終的に目的の制御機器に到達するまでの必要時間が増大する。また上位コントローラ2は、その単体でデイジーチェーン接続している多数の機器の制御全体を管理しているため処理負荷が大きく、それだけ各制御機器に対してそれぞれ信号を個別に送信する時間間隔が大きい。
【0031】
その一方で、上述したような耐ノイズ性や配線接続管理の効率性を重視してデイジーチェーン接続した複数のサーボアンプ3,4,5に対し、それぞれで駆動するモータを互いに協調駆動させて同一対象物(この例の可動子テーブル22)の動作をアシスト制御したいという要望がある。この場合には、デイジーチェーン接続で1つの上位コントローラ2が複数のサーボアンプ3,4,5に対しそれぞれ上記の時間間隔で個別に指令信号(例えば位置指令)を出力するといった信号伝達を行うと、サーボアンプ3,4,5間でそれぞれ信号を受け取るまで要する時間に大きな差が生じるためモータ間での動作の同期が取れずに協調制御が困難となっていた。
【0032】
これに対し本実施形態では、後述するように複数のサーボアンプ3,4,5のそれぞれが、上位コントローラ2と他のサーボアンプ3,4,5との間で送受している制御関連情報を取得する情報取得部と、情報取得部で取得した制御関連情報に基づいて対応するモータを制御するモータ制御部と、を有している。上記の情報取得部の機能により、各サーボアンプ3,4,5は同一の上位コントローラ2からそれぞれ上記時間間隔で直接個別に制御関連情報を受け取るよりも、同じ制御関連情報を共有するまでに要する時間を大幅に短縮でき、サーボアンプ3,4,5間の協調制御を円滑に実行できる。以下、これら情報取得部とモータ制御部による制御関連情報の処理手法について、順次、詳細に説明する。
【0033】
<制御関連情報の処理手法1:モータ制御指令情報の場合>
はじめに、制御関連情報のうち上述したモータ制御指令情報の処理手法について説明する。
図4は、本実施形態においてマスタサーボ13と第1スレーブサーボ14におけるモータ制御指令情報の伝達経路と処理ブロックを表している。この
図4において、各サーボアンプ3,4,5の内部には情報取得部71とモータ制御部72を有している。これら情報取得部71とモータ制御部72の処理ブロックは、サーボ制御部43のプロセッサ41(演算装置)により実行されるソフトウェアで実現される。
【0034】
まず、リニアスライダ6の可動子テーブル22を直進駆動させるために、上位コントローラ2がその位置指令をマスタサーボ13だけに送信する。ここでモータ制御指令情報を処理する場合、各サーボアンプ3,4,5のモータ制御部72は、上記
図3で示したモータ制御の制御ブロックに相当して機能する。つまり、マスタサーボ13におけるモータ制御部72は、上位コントローラ2から受信した位置指令に基づき速度指令、推力指令、電流指令を内部演算して電機子24への駆動電力を給電制御する。それとともにモータ制御部72は内部演算したモータ制御指令情報(速度指令、推力指令、電流指令)を上位コントローラ2に返信する。なお、このようにモータ制御指令情報を処理する場合には、マスタサーボ13内の情報取得部71は機能しない。
【0035】
一方、第1スレーブサーボ14においては、その内部に備える情報取得部71が、マスタサーボ13におけるモータ制御部72が上位コントローラ2に返信する推力指令だけを取得する。そして、第1スレーブサーボ14におけるモータ制御部72は、情報取得部71が取得した推力指令に基づき電流指令を内部演算して電機子25への駆動電力を給電制御する。具体的には、モータ制御の制御ブロックとして機能するモータ制御部72において、情報取得部71が取得した推力指令を電流制御部65に直接入力して電流指令を内部演算させる。
【0036】
なお、当該
図4中では図示を省略している第2スレーブサーボ15においても、第1スレーブサーボ14と同様に機能する情報取得部71及びモータ制御部72を備えている。これにより、第2スレーブサーボ15においては、その内部に備える情報取得部71が、マスタサーボ13におけるモータ制御部72が上位コントローラ2に返信する推力指令だけを取得し、モータ制御部72がこの取得した推力指令に基づき電流指令を内部演算して電機子26への駆動電力を給電制御する。
【0037】
以上のようにサーボアンプ3,4,5間でモータ制御指令情報を迅速に伝達する処理手法により、本実施形態の多軸モータ制御システム1はサーボアンプ3,4,5間での協調制御を円滑に行うことができる。
【0038】
なお、マスタサーボ13と共通の位置指令に基づいて各スレーブサーボ14,15が追従制御した場合には、その位置指令の伝達遅れがわずかにでも生じると同一の制御対象(この例の可動子テーブル22)を位置制御する各モータ(この例の電機子24,25,26)どうしの間で大きな干渉が生じてしまい円滑な協調制御が阻害されてしまう。このため本実施形態のように、マスタサーボ13に対する各スレーブサーボ14,15の追従制御が共通の推力指令に基づいて行われていることが特に好適である。
【0039】
<制御関連情報の処理手法2:モータ制御ステータス情報の場合>
次に、制御関連情報のうち上述したモータ制御ステータス情報の処理手法について説明する。
図5は、本実施形態においてマスタサーボ13と第1スレーブサーボ14におけるモータ制御ステータス情報の伝達経路とソフトウェア処理ブロックを表している。なお、図示しない第2スレーブサーボ15も第1スレーブサーボ14と同等に処理するものとする。
【0040】
まず、モータ制御ステータス情報はどのサーボアンプ3,4,5においても、それぞれ対応するリニアセンサ29から検出位置とアラーム情報が検出され、それぞれのサーボアンプ3,4,5自体の内部で検出速度が演算されるとともにステータス情報が保有される。ここでモータ制御ステータス情報を処理する場合、各サーボアンプ3,4,5のモータ制御部72は、上記
図3で示したモータ制御の制御ブロックへ検出位置を入力するとともに、モータ制御ステータス情報を上位コントローラ2に送信する。また、アラーム情報に異常有りと検知された場合には、例えば電機子24,25,26への給電を遮断してモータの作動を停止するよう機能する。
【0041】
また、各サーボアンプ3,4,5の情報取得部71は、他のサーボアンプ3,4,5のモータ制御部72が上位コントローラ2に送信するステータス情報及びアラーム情報だけを取得する。このとき、デイジーチェーン接続中の配置においてモータ制御ステータス情報の送信元であるサーボアンプ3,4,5と送信先である上位コントローラ2の間に他のサーボアンプ3,4,5が接続されている場合がある。この場合には特に、その間に配置されているサーボアンプの情報取得部71はそれら送信元と送信先の間で送受されるモータ制御ステータス情報を中継しつつモニタし、必要なステータス情報及びアラーム情報を抽出して取得する。そして、当該サーボアンプ3,4,5におけるモータ制御部72は、情報取得部71が取得したアラーム情報についても異常有りと検知された場合にはモータの作動を停止する。つまり、3つのサーボアンプ3,4,5はそれぞれで検知されたアラーム情報の異常を相互に監視して、1つでも異常を検知した場合には全てのサーボアンプ3,4,5がモータの作動を停止する。この場合、マスタサーボ13とスレーブサーボ14,15に機能的な違いはない。
【0042】
以上のようにサーボアンプ3,4,5間でモータ制御ステータス情報を相互に監視する処理手法により、本実施形態の多軸モータ制御システム1はサーボアンプ3,4,5間で協調して各モータの作動を停止させることができる。
【0043】
<制御関連情報の処理手法3:機械ステータス情報の場合>
次に、制御関連情報のうち上述した機械ステータス情報の処理手法について説明する。
図6は、本実施形態においてマスタサーボ13と第1スレーブサーボ14における機械ステータス情報の伝達経路とソフトウェア処理ブロックを表している。なお、図示しない第2スレーブサーボ15も第1スレーブサーボ14と同等に処理するものとする。
【0044】
まず、機械センサ28がOT信号を検出する。ここで機械ステータス情報を処理する場合、各サーボアンプ3,4,5のモータ制御部72は、OT信号に異常有りと検知された場合に電機子24,25,26への給電を遮断してモータの作動を停止するよう機能する。そして、モータ制御部72は、機械ステータス情報を上位コントローラ2に送信する。なお、このように機械ステータス情報を処理する場合には、マスタサーボ13内の情報取得部71は機能しない。
【0045】
一方、第1スレーブサーボ14の情報取得部71は、マスタサーボ13のモータ制御部72が上位コントローラ2に送信する機械ステータス情報を取得する。そして、当該第1スレーブサーボ14におけるモータ制御部72は、情報取得部71が取得した機械ステータス情報に異常有りと検知された場合にはモータの作動を停止する。なお、図示しない第2スレーブサーボ15の情報取得部71は、マスタサーボ13のモータ制御部72が上位コントローラ2に送信する機械ステータス情報をさらに取得し、当該第2スレーブサーボ15のモータ制御部72がその機械ステータス情報に異常ありと検知場合にはモータの作動を停止する。つまり、機械ステータス情報に基づくマスタサーボ13のモータ停止に追従して他の2つのスレーブサーボ14,15もモータの作動を停止する。
【0046】
以上のようにサーボアンプ3,4,5間で機械ステータス情報を取得する処理手法により、本実施形態の多軸モータ制御システム1はサーボアンプ3,4,5間で協調して各モータの作動を停止させることができる。
【0047】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の多軸モータ制御システム1によれば、複数のサーボアンプ3,4,5のそれぞれが、上位コントローラ2と他のサーボアンプ3,4,5との間で送受している制御関連情報を取得する情報取得部71と、情報取得部71で取得した制御関連情報に基づいて対応するモータを制御するモータ制御部72と、を有している。このような情報取得部71の機能により、各サーボアンプ3,4,5は同一の上位コントローラ2からそれぞれ直接個別に制御関連情報を受け取るよりも、同じ制御関連情報を共有するまでに要する時間を大幅に短縮できる。この結果、デイジーチェーン接続された複数のサーボアンプ3,4,5間での制御性を向上できる。
【0048】
また、本実施形態では特に、複数のサーボアンプ3,4,5のうちの1つがマスタサーボ13として設定され、他がスレーブサーボ14,15として設定されている。これにより、1つのマスタサーボ13の制御を基準として、これに追従するよう他のスレーブサーボ14,15の制御を規定できるといった複数のサーボアンプ3,4,5間での機能的な協調制御が可能となる。
【0049】
また、本実施形態では特に、制御関連情報は、マスタサーボ13が内部演算で生成したモータ制御の指令であるモータ制御指令情報(この例の速度指令、推力指令、電流指令)を含んでいる。これにより、この例の可動子テーブル22のような同一対象物の動作に対する複数のサーボアンプ3,4,5(複数のモータ)での協調駆動制御が可能となる。
【0050】
また、本実施形態では特に、モータ制御指令情報は、推力指令を含んでいる。これにより、同一対象物の動作に対して複数のサーボアンプ3,4,5(複数のモータ)で協調的に行う推力アシスト制御が可能となる。
【0051】
また、本実施形態では特に、スレーブサーボ14,15のそれぞれにおいては、情報取得部71が、上位コントローラ2とマスタサーボ13との間で送受する推力指令を取得し、モータ制御部72が、情報取得部71が取得した推力指令に基づいて対応するモータを制御する。
【0052】
推力指令は、上位コントローラ2から受信した位置指令に基づいてマスタサーボ13が一局的に生成、出力する制御関連情報であり、1つのマスタサーボ13が上位コントローラ2へ送信した推力指令を基準として、これに追従するように他のスレーブサーボ14,15の制御を規定する。このようにスレーブサーボ14,15の情報取得部71を機能させることにより、各サーボアンプ3,4,5は同一の上位コントローラ2からそれぞれ直接個別に推力指令を受信するよりも、同じ推力指令を共有するまでに要する時間を大幅に短縮できる。
【0053】
そして複数のサーボアンプ3,4,5間で同一の推力指令に基づく推力制御を行った場合には、それぞれ制御を開始するタイミングに多少のずれが生じても全体で協調的に行う推力アシスト動作には大きく影響を与えることがない。つまり、デイジーチェーン接続された複数のサーボアンプ3,4,5間(複数のモータ間)で同一対象物の動作を協調制御するにあたっては、マスタサーボ13が制御関連情報として推力指令を生成、出力し、それを各スレーブサーボ14,15の情報取得部71で取得することが特に好適な組み合わせといえる。
【0054】
なお、本実施形態では、各サーボアンプ3,4,5が駆動制御するモータが直動型のリニアモータであったが、回転型のモータを適用してもよい。この場合には、推力指令の代わりにトルク指令がマスタサーボ13で内部演算され、他のスレーブサーボ14,15の情報取得部71がこのトルク指令を取得する。このような多軸モータ制御システム1は、特に図示しないが、例えば各回転型モータの出力軸が機械的に連結された駆動機械に対するトルクアシスト制御に好適となる。なお、このような駆動機械の一例を後に詳述する。
【0055】
また、本実施形態では特に、制御関連情報は、モータ制御の状態に関するモータ制御ステータス情報(この例の検出位置、検出速度、ステータス情報、アラーム情報)を含んでいる。これにより、各モータ制御の状態に応じた複数のサーボアンプ3,4,5(複数のモータ)での協調制御が可能となる。
【0056】
また、本実施形態では特に、複数のサーボアンプ3,4,5のそれぞれにおいては、情報取得部71が、上位コントローラ2と他のサーボアンプ3,4,5との間で送受するモータ制御ステータス情報を取得し、モータ制御部72が、情報取得部71が取得したモータ制御ステータス情報に基づいて対応するモータを制御する。
【0057】
モータ制御ステータス情報は複数のサーボアンプ3,4,5からマスタ、スレーブの区別なく多局的に出力される制御関連情報であり、いずれか1つのサーボアンプ3,4,5が出力したモータ制御ステータス情報を基準として、他のサーボアンプ3,4,5の制御を規定する。このように各サーボアンプ3,4,5の情報取得部71を機能させることにより、各サーボアンプ3,4,5は同一の上位コントローラ2からそれぞれ直接個別にモータ制御ステータス情報を受け取るよりも、同じモータ制御ステータス情報を共有するまでに要する時間を大幅に短縮できる。
【0058】
また、本実施形態では特に、制御関連情報は、モータが駆動するリニアスライダ6の状態に関する機械ステータス情報(この例のOT信号)を含んでいる。これにより、リニアスライダ6の状態に応じた複数のサーボアンプ3,4,5(複数のモータ)での協調制御が可能となる。
【0059】
また、本実施形態では特に、複数のサーボアンプ3,4,5のそれぞれにおいては、情報取得部71が、上位コントローラ2と少なくとも1つのサーボアンプ3,4,5との間で送受する機械ステータス情報を取得し、モータ制御部72が、情報取得部71が取得した機械ステータス情報に基づいて対応するモータを制御する。
【0060】
機械ステータス情報はリニアスライダ6から一局的に出力される制御関連情報であり、少なくとも1つのサーボアンプ3,4,5が検知した機械ステータス情報を基準として、これに追従するように他のサーボアンプ3,4,5の制御を規定する。このように他のサーボアンプ3,4,5の情報取得部71を機能させることにより、各サーボアンプ3,4,5は同一の上位コントローラ2からそれぞれ直接個別に機械ステータス情報を受け取るよりも、同じ機械ステータス情報を共有するまでに要する時間を大幅に短縮できる。
【0061】
なお、本実施形態ではリニアスライダ6の機械センサ28がマスタサーボ13だけにOT信号(機械ステータス情報)を入力していたが、他のいずれか1つのスレーブサーボ14,15だけに入力してもよい。この場合には、マスタサーボ13の情報取得部71が他のスレーブサーボ14,15から機械ステータス情報を取得すればよく、またOT信号が入力されるスレーブサーボの情報取得部71は機能しない。
【0062】
また、本実施形態では上位コントローラ2にデイジーチェーン接続された複数のサーボアンプ3,4,5のうち、上位コントローラ2から最も近いものをマスタサーボ13として設定していたがこれに限られない。例えば、特に図示しないが、上位コントローラ2から2番目に近いものや最も離れたもののいずれか1つをマスタサーボ13として設定し、他のものをスレーブサーボ14,15として配置してもよい。この場合、デイジーチェーン接続中の配置においてモータ制御指令情報又は機械ステータス情報の送信元であるマスタサーボ13と送信先である上位コントローラ2の間に少なくとも1つのスレーブサーボ14,15が接続される。この場合には特に、その間に配置されているスレーブサーボの情報取得部71はそれら送信元と送信先の間で送受されるモータ制御指令情報又は機械ステータス情報を中継しつつモニタし、必要な情報(この例の推力情報、トルク情報、又はOT信号等)を抽出して取得する。
【0063】
<変形例>
なお、以上説明した実施形態は、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、複数のサーボアンプ3,4,5が協調制御する複数の電機子24,25,26で単体の可動子テーブル22を直進駆動させるリニアスライダ6を例に挙げていたが、これに限られない。他にも、
図7に示すように、複数のサーボアンプ103,104が協調制御する複数の回転型モータ124,125で共通のプレス軸123を直進駆動させて圧力を出力する多軸プレス制御システム100に対しても、上記実施形態と同様の協調制御手法を適用してもよい。
【0065】
この
図7において、多軸プレス制御システム100は、1つの上位コントローラ102と、この上位コントローラ102に信号送受可能に接続された2つのサーボアンプ103,104と、これら2つのサーボアンプ103,104からそれぞれ給電された駆動電力によって駆動制御される1つの多軸プレス機106とを有している。なお、上位コントローラ102と各サーボアンプ103,104については上記実施形態と同等の構成のものであり、その他同等の構成のものには同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0066】
図示する多軸プレス機106(圧力機械)は、単体のプレス軸123を軸方向に直進駆動させ、その端部の押圧箇所に生じる圧力を所望の圧力に制御する機械である。図示する例では、多軸プレス機106は、単体の基台121と、この基台121上に併設した2つの回転型モータ124,125と、これら2つの回転型モータ124,125にそれぞれ連結された2つのカップリング126,127及び2つのボールネジ駆動部128,129と、各ボールネジ駆動部128,129に共通に連結された単体の可動テーブル122と、この可動テーブル122に固定されたプレス軸123と、このプレス軸123の直進方向延長上に固定配置された1つの圧力センサ130(圧力検出器)とを有している。
【0067】
2つの回転型モータ124,125が協調して回転駆動することで、単体の可動テーブル122とプレス軸123がその回転方向に対応した向きの軸方向で直進移動する。プレス軸123の端部が圧力センサ130を押圧した場合には、圧力センサ130がその検出圧力をマスタサーボ103だけに入力する。
【0068】
このように並列関係にある複数のモータの駆動力で協調動作させた場合の単体のプレス軸123の押圧圧力は、どちらか一方の単体のモータの駆動力で押圧させた場合よりも増大する。つまり、トルクの小さいモータであっても複数並列に用いて協調動作させることで、出力させる圧力を増大できる。
【0069】
そして、所望の圧力を得るためにはフィードバック制御を行う必要があるが、各サーボアンプのそれぞれに対応して複数の圧力センサを設けた場合には(特に図示せず)、各圧力センサの設置位置によって圧力ムラが生じやすくなり安定した協調制御が困難となる。また、単一の圧力センサからの検出圧力を各サーボアンプで個別にフィードバック制御した場合には(特に図示せず)、わずかな伝達遅れなどにより軸間干渉が生じて振動してしまい、やはり協調制御が困難となる。
【0070】
これに対し、本変形例では、
図8の制御ブロック図や
図9の処理ブロックに示すように、上位コントローラ102からの圧力指令と圧力センサ130からの検出圧力をマスタサーボ103だけに入力する。このマスタサーボ103において、それら圧力指令と検出圧力の偏差に圧力制御ゲイン67(
図9では図示省略)を乗じてトルク指令を算出し(この際、圧力とトルクの単位換算も行う)、このトルク指令を電流制御部65に入力して対応する回転型モータ124の駆動を制御する。そして、第1スレーブサーボ104は、マスタサーボ103が算出したトルク指令を情報取得部71で取得し、これを電流制御部65に直接入力して追従制御する。つまり、第1スレーブサーボ104は、共通のトルク指令でマスタサーボ103に対するアシスト制御を行う。これにより、複数のサーボアンプ103,104及び回転型モータ124,125を用いた円滑な協調制御が可能となり、多軸プレス機106の圧力フルクローズドフィードバック制御を安定して行うことができる。
【0071】
なお、上述した位置制御部62、速度制御部64、電流制御部65、速度変換部66、情報取得部71、モータ制御部72等における処理等は、これらの処理の分担の例に限定されるものではなく、例えば、更に少ない数の処理部(例えば1つの処理部)で処理されてもよく、また、更に細分化された処理部により処理されてもよい。また、サーボアンプ3,4,5は、給電制御部44のみ実際の装置により実装され、その他の機能は前述のプロセッサ41が実行するプログラムにより実装されてもよい。また、位置制御部62、速度制御部64、電流制御部65、速度変換部66、情報取得部71、モータ制御部72等の一部又は全部がASICやFPGA、その他の電気回路等の実際の装置により実装されてもよい。
【0072】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【解決手段】上位コントローラ2と、上位コントローラ2と直列にケーブル27を接続した複数のサーボアンプ3,4,5と、サーボアンプ3,4,5が駆動するリニアモータと、を有し、複数のサーボアンプ3,4,5のそれぞれは、上位コントローラ2と他のサーボアンプ3,4,5との間で送受している制御関連情報を取得する情報取得部71と、情報取得部71で取得した制御関連情報に基づいて対応するリニアモータを制御するモータ制御部72と、を有する。複数のサーボアンプ3,4,5のうちの1つがマスタサーボ13として設定され、他がスレーブサーボ14,15として設定されている。制御関連情報は、マスタサーボ13が内部演算で生成したモータ制御の指令であるモータ制御指令情報を含んでいる。