(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6237946
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】止め輪ホルダー
(51)【国際特許分類】
B25H 3/02 20060101AFI20171120BHJP
B25B 27/20 20060101ALI20171120BHJP
F16B 21/18 20060101ALI20171120BHJP
B23P 19/02 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
B25H3/02
B25B27/20 B
F16B21/18 F
B23P19/02 D
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-37085(P2017-37085)
(22)【出願日】2017年2月28日
【審査請求日】2017年5月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390007744
【氏名又は名称】山里産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】516224260
【氏名又は名称】株式会社ヤマリセンサシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】平野 幸三
(72)【発明者】
【氏名】中林 昭二
【審査官】
小川 真
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03662921(US,A)
【文献】
実開昭52−115999(JP,U)
【文献】
実開昭57−018973(JP,U)
【文献】
特開2001−212772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25H 3/00、 3/02
B23P 19/00、19/02
B25B 27/20、29/00
F16B 21/18
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体にラジアル方向から取り付けられる止め輪を、該止め輪の外周部を挟持して軸体への取り付けを行うための取付け工具を用いて1つずつ取り出し可能な状態に複数保持する止め輪ホルダーであって、
複数の止め輪が各々貫通された状態で、かつ互いに重なり合う状態に装着される装着部を有する保持軸と、
前記保持軸に対して平行に延設され、保持軸に装着される各止め輪の左右の抱持片先端を当止することで各止め輪の回転を規制し、各止め輪の方向を揃える当止部を有する規制部材と、
前記保持軸に装着された圧縮コイルばねの弾性復元力により、前記装着部に装着される複数の止め輪を軸方向に付勢する付勢手段と、
前記保持軸の前記付勢手段による付勢方向の端部に対面するように設けられ、付勢された止め輪を前記端部の位置で当止する当止壁を有する当止部材とを備え、
前記保持軸の前記端部の端面から軸方向に沿った止め輪一つの厚み分の長さ領域に、止め輪の左右の抱持片間の最小離間距離よりも小さいか或いは略同じ寸法の幅を有する幅狭部が設けられており、
前記幅狭部に位置する最端の止め輪が取付け工具により保持軸から取り出し可能とされ、かつ、最端の止め輪が取り出されると、前記保持軸に装着されている残りの止め輪が前記付勢手段により止め輪一つ分だけ付勢方向に移動し、常に最端の止め輪が前記幅狭部を通じて前記取付け工具により保持軸から取り出し可能とされる止め輪ホルダーであり、
前記当止壁の前記保持軸に対面する壁面に、取付け工具の前記止め輪の外周部を挟持する左右一対の挟持片を案内する案内溝が設けられるとともに、該案内溝の深さが、前記挟持片の内側の挟持面に形成された前記止め輪の外周部が係合される凹溝の前後一方の肉厚と略同じに設定されており、これにより前記取付け工具を、前記挟持片の前記前後一方の側の面を前記案内溝の底面に沿わせつつ前記最端の止め輪に押し当てると、該止め輪の外周部が前記凹溝内に嵌まり込み、該止め輪が挟持される止め輪ホルダー。
【請求項2】
前記幅狭部が、止め輪の左右の抱持片間の最小離間距離よりも小さいか或いは略同じ寸法の外径を有する小径部である請求項1記載の止め輪ホルダー。
【請求項3】
軸体にラジアル方向から取り付けられる止め輪を、該止め輪の外周部を挟持して軸体への取り付けを行うための取付け工具を用いて1つずつ取り出し可能な状態に複数保持する止め輪ホルダーであって、
複数の止め輪が各々貫通された状態で、かつ互いに重なり合う状態に装着される装着部を有する保持軸と、
前記保持軸に対して平行に延設され、保持軸に装着される各止め輪の左右の抱持片先端を当止することで各止め輪の回転を規制し、各止め輪の方向を揃える当止部を有する規制部材と、
前記保持軸に装着された圧縮コイルばねの弾性復元力により、前記装着部に装着される複数の止め輪を軸方向に付勢する付勢手段と、
前記保持軸の前記付勢手段による付勢方向の端部に対面するように設けられ、付勢された止め輪を前記端部の位置で当止する当止壁を有する当止部材とを備え、
前記保持軸の前記端部の端面から軸方向に沿った止め輪一つの厚み分の長さ領域に、止め輪の左右の抱持片間の最小離間距離よりも小さいか或いは略同じ寸法の幅を有する幅狭部が設けられており、
前記幅狭部に位置する最端の止め輪が取付け工具により保持軸から取り出し可能とされ、かつ、最端の止め輪が取り出されると、前記保持軸に装着されている残りの止め輪が前記付勢手段により止め輪一つ分だけ付勢方向に移動し、常に最端の止め輪が前記幅狭部を通じて前記取付け工具により保持軸から取り出し可能とされる止め輪ホルダーであり、
前記付勢手段が、前記圧縮コイルばねと、前記保持軸の前記圧縮コイルばねと止め輪との間に介装される筒状の押圧部材とより構成され、
前記押圧部材の外周部に、所定の回転角度範囲で前記規制部材に形成された係止溝に係合可能な突片が設けられ、
前記係止溝は、前記押圧部材が保持軸の装着部より退避する位置まで前記圧縮コイルばねの付勢力に抗して移動した位置で前記突片と係合可能な、長さ方向所定の位置に形成され、
前記突片を前記係止溝に係合させることで、装着部に装着される止め輪への付勢力が解除され、該装着部に止め輪を装着可能とした止め輪ホルダー。
【請求項4】
軸体にラジアル方向から取り付けられる止め輪を、該止め輪の外周部を挟持して軸体への取り付けを行うための取付け工具を用いて1つずつ取り出し可能な状態に複数保持する止め輪ホルダーであって、
複数の止め輪が各々貫通された状態で、かつ互いに重なり合う状態に装着される装着部を有する保持軸と、
前記保持軸に対して平行に延設され、保持軸に装着される各止め輪の左右の抱持片先端を当止することで各止め輪の回転を規制し、各止め輪の方向を揃える当止部を有する規制部材と、
前記保持軸に装着された圧縮コイルばねの弾性復元力により、前記装着部に装着される複数の止め輪を軸方向に付勢する付勢手段と、
前記保持軸の前記付勢手段による付勢方向の端部に対面するように設けられ、付勢された止め輪を前記端部の位置で当止する当止壁を有する当止部材とを備え、
前記保持軸の前記端部の端面から軸方向に沿った止め輪一つの厚み分の長さ領域に、止め輪の左右の抱持片間の最小離間距離よりも小さいか或いは略同じ寸法の幅を有する幅狭部が設けられており、
前記幅狭部に位置する最端の止め輪が取付け工具により保持軸から取り出し可能とされ、かつ、最端の止め輪が取り出されると、前記保持軸に装着されている残りの止め輪が前記付勢手段により止め輪一つ分だけ付勢方向に移動し、常に最端の止め輪が前記幅狭部を通じて前記取付け工具により保持軸から取り出し可能とされる止め輪ホルダーであり、
前記規制部材が、基端部に前記保持軸の方向に延びて該保持軸の基端側を支持する支持部が設けられた側面視略L字状の部材であり、
前記当止部材の左右側壁から前記規制部材の基端部に向けて一対の支持片が延設され、
該支持片の先端部間に前記規制部材の基端部が枢支され、前記規制部材および保持軸が一体的に、前記当止部材および支持片に対して傾動可能に支持され、
前記傾動により保持軸の先端を当止部材の当止壁から離すことで、該先端から前記装着部に止め輪を装着可能とした止め輪ホルダー。
【請求項5】
前記規制部材の保持軸の軸方向に沿った途中位置の左右少なくとも一方の側面に突出方向に付勢された位置決めピンを出没可能に設けるとともに、対応する前記支持片に位置決めピンが係入する係合穴を設け、これら位置決めピンと係合穴は、前記係入した状態で前記保持軸の先端が当止部材の当止壁に対面することとなる位置にそれぞれ設けられる請求項4記載の止め輪ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸体に対してラジアル方向から取り付けられるE形止め輪(Eリング)などの止め輪を複数保持でき、取付け工具を用いて一つずつ取り出すことができる止め輪ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような止め輪ホルダーとしては、非特許文献1のような卓上のスタンド「ETスタンド」が知られている。しかし、複雑なプラント内など卓上タイプのスタンドを置く場所もなく、離れた複数の箇所で止め輪を取り付ける作業を行うような場合、携帯可能な止め輪ホルダーが求められる。
【0003】
また、携帯できるタイプのものとして、取付け工具と一体化した複雑な構造の止め輪ホルダーも提案されている(特許文献1、2参照)。しかし、上記プラントなどでは狭く作業しにくい場所も多々あり、取付け場所に応じて種々の形状(先端がストレートのものや屈曲したもの等)の取付け工具を選択して使用する必要があるが、上記特許文献1、2のように止め輪ホルダーと取付け工具が一体化したものでは、上記のように種々の形状の取付け工具を選択して用いることができないばかりか、重量も重く、特に狭い箇所では作業性に問題が生じる可能性がある。また、複雑な構造で部品点数も多く、コスト高となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−69344号公報
【特許文献2】特開平7−112375号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】山辺デジタルパーツプラットフォーム、“E形止め輪取り付け工具”、[online]、2002年、[平成29年2月27日検索]、インターネット〈http://www.110.ne.jp/nejitech/tools_004.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、種々の形状の取付け工具に対応することができ、作業性を向上できるとともに、簡易な構造で部品点数を抑え、軽量化および低コスト化を実現でき、作業者が一方の手で止め輪ホルダーを持ち、他方の手で取付け工具を持って止め輪の取り出し、取付け作業を容易に行うことが可能な、携帯に便利な止め輪ホルダーを実現する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1) 軸体にラジアル方向から取り付けられる止め輪を、該止め輪の外周部を挟持して軸体への取り付けを行うための取付け工具を用いて1つずつ取り出し可能な状態に複数保持する止め輪ホルダーであって、複数の止め輪が各々貫通された状態で、かつ互いに重なり合う状態に装着される装着部を有する保持軸と、前記保持軸に対して平行に延設され、保持軸に装着される各止め輪の左右の抱持片先端を当止することで各止め輪の回転を規制し、各止め輪の方向を揃える当止部を有する規制部材と、前記保持軸に装着された圧縮コイルばねの弾性復元力により、前記装着部に装着される複数の止め輪を軸方向に付勢する付勢手段と、前記保持軸の前記付勢手段による付勢方向の端部に対面するように設けられ、付勢された止め輪を前記端部の位置で当止する当止壁を有する当止部材とを備え、前記保持軸の前記端部の端面から軸方向に沿った止め輪一つの厚み分の長さ領域に、止め輪の左右の抱持片間の最小離間距離よりも小さいか或いは略同じ寸法の幅を有する幅狭部が設けられており、前記幅狭部に位置する最端の止め輪が取付け工具により保持軸から取り出し可能とされ、かつ、最端の止め輪が取り出されると、前記保持軸に装着されている残りの止め輪が前記付勢手段により止め輪一つ分だけ付勢方向に移動し、常に最端の止め輪が前記幅狭部を通じて前記取付け工具により保持軸から取り出し可能とされる止め輪ホルダー。
【0008】
(2) 前記当止壁の前記保持軸に対面する壁面に、取付け工具の前記止め輪の外周部を挟持する左右一対の挟持片を案内する案内溝が設けられるとともに、該案内溝の深さが、前記挟持片の内側の挟持面に形成された前記止め輪の外周部が係合される凹溝の前後一方の肉厚と略同じに設定されており、これにより前記取付け工具を、前記挟持片の前記前後一方の側の面を前記案内溝の底面に沿わせつつ前記最端の止め輪に押し当てると、該止め輪の外周部が前記凹溝内に嵌まり込み、該止め輪が挟持される(1)記載の止め輪ホルダー。
【0009】
(3) 前記幅狭部が、止め輪の左右の抱持片間の最小離間距離よりも小さいか或いは略同じ寸法の外径を有する小径部である(1)又は(2)記載の止め輪ホルダー。
【0010】
(4) 前記付勢手段が、前記圧縮コイルばねと、前記保持軸の前記圧縮コイルばねと止め輪との間に介装される筒状の押圧部材とより構成され、前記押圧部材の外周部に、所定の回転角度範囲で前記規制部材に形成された係止溝に係合可能な突片が設けられ、前記係止溝は、前記押圧部材が保持軸の装着部より退避する位置まで前記圧縮コイルばねの付勢力に抗して移動した位置で前記突片と係合可能な、長さ方向所定の位置に形成され、前記突片を前記係止溝に係合させることで、装着部に装着される止め輪への付勢力が解除され、該装着部に止め輪を装着可能とした(1)〜(3)の何れかに記載の止め輪ホルダー。
【0011】
(5) 前記規制部材が、基端部に前記保持軸の方向に延びて該保持軸の基端側を支持する支持部が設けられた側面視略L字状の部材であり、前記当止部材の左右側壁から前記規制部材の基端部に向けて一対の支持片が延設され、該支持片の先端部間に前記規制部材の基端部が枢支され、前記規制部材および保持軸が一体的に、前記当止部材および支持片に対して傾動可能に支持され、前記傾動により保持軸の先端を当止部材の当止壁から離すことで、該先端から前記装着部に止め輪を装着可能とした(1)〜(4)の何れかに記載の止め輪ホルダー。
【0012】
(6) 前記規制部材の保持軸の軸方向に沿った途中位置の左右少なくとも一方の側面に突出方向に付勢された位置決めピンを出没可能に設けるとともに、対応する前記支持片に位置決めピンが係入する係合穴を設け、これら位置決めピンと係合穴は、前記係入した状態で前記保持軸の先端が当止部材の当止壁に対面することとなる位置にそれぞれ設けられる(5)記載の止め輪ホルダー。
【発明の効果】
【0013】
以上にしてなる本願発明に係る止め輪ホルダーによれば、保持軸、規制部材、付勢手段及び当止部材からなる簡易な構造で実現でき、部品点数を抑え、軽量化および低コスト化を実現できる。また、幅狭部に位置する取り出し可能な止め輪は付勢手段により他の止め輪とともに当止部材に押圧されているため、携帯して持ち運んでいる最中や片手で持って作業している最中も脱落することなく安定保持でき、携帯に便利かつ容易に作業を行うことができる。
【0014】
また、取付け工具が一体化されておらず、止め輪を取り付ける場所に応じた最適な形状の取付け工具を選択して、本止め輪ホルダーから止め輪を取り出すことができる。したがって、作業性が向上するとともに、作業者は一方の手で本発明にかかる止め輪ホルダーを持ち、他方の手で取付け工具を持って止め輪の取り出し、取付け作業を容易に行うことが可能となる。
【0015】
また、当止壁の壁面に取付け工具を案内する案内溝が設けられ、取付け工具を挟持片の前後一方の側の面を案内溝の底面に沿わせつつ最端の止め輪に押し当てると、該止め輪の外周部が前記凹溝内に嵌まり込み、該止め輪が挟持されるので、操作が簡単であり、従来提案されているような取付け工具とホルダーを一体化した構造でなくても、作業者は一方の手で本発明にかかる止め輪ホルダーを持ち、他方の手で取付け工具を持って止め輪を容易かつ確実に取り出すことができる。
【0016】
また、幅狭部は止め輪の左右の抱持片間の最小離間距離よりも小さいか或いは略同じ寸法の外径を有する小径部であり、該幅狭部に位置する止め輪を抵抗なく容易かつ確実に取り出すことができる。これは付勢手段で当該幅狭部に位置する止め輪を押圧し、携帯中も脱落を防止できる構造としたことから可能となる構造である。
【0017】
また、付勢手段が、圧縮コイルばねと、保持軸の前記圧縮コイルばねと止め輪との間に介装される筒状の押圧部材とより構成され、前記押圧部材の外周部に、所定の回転角度範囲で前記規制部材に形成された係止溝に係合可能な突片が設けられ、係止溝は、前記押圧部材が保持軸の装着部より退避する位置まで前記圧縮コイルばねの付勢力に抗して移動した位置で前記突片と係合可能な、長さ方向所定の位置に形成されるので、前記突片を前記係止溝に係合させることで、装着部に装着される止め輪への付勢力が解除され、該装着部に止め輪を装着することができる。このように押圧部材の突片と規制部材の係止溝で付勢力を解除する構造を実現し、簡易な構造で止め輪の補充構造を実現できる。
【0018】
また、前記規制部材が、基端部に前記保持軸の方向に延びて該保持軸の基端側を支持する支持部が設けられた側面視略L字状の部材であり、前記当止部材の左右側壁から前記規制部材の基端部に向けて一対の支持片が延設され、支持片の先端部間に前記規制部材の基端部が枢支され、前記規制部材および保持軸が一体的に、前記当止部材および支持片に対して傾動可能に支持されたものでは、傾動により保持軸の先端を当止部材の当止壁から離し、該先端から前記装着部に止め輪を容易に補充装着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の代表的実施形態にかかる止め輪ホルダーを示す斜視図。
【
図2】同じく止め輪ホルダーの規制部材と保持軸を一体的に傾動させ、止め輪を補充する様子を示す斜視図。
【
図3】(a)は同じく止め輪ホルダーの平面図、(b)は側面図。
【
図4】(a)は
図3(a)のA−A断面図、(b)は
図3(b)のB−B断面図。
【
図5】同じく止め輪ホルダーの規制部材と保持軸を一体的に傾動させた状態を示す側面図。
【
図6】同じく止め輪ホルダーから取付け工具を用いて止め輪を取り出す様子を説明する、軸方向から当止壁をみた説明図。
【
図7】同じく止め輪ホルダーから取付け工具を用いて止め輪を取り出す様子を説明する、上方から保持軸の先端部をみた要部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
本発明に係る止め輪ホルダー1は、軸体にラジアル方向から取り付けられる止め輪9を複数保持するホルダーであり、
図6に示すように止め輪9の外周部90を挟持して軸体への取り付けを行うための取付け工具8を用いて1つずつ取り出し可能な状態に保持するものである。止め輪9は、図示したものはE形止め輪(Eリング)であるが、これ以外に、例えば公知の弓E形止め輪、クリセント形止め輪、U形止め輪、K形止め輪などの公知のラジアル方向取付けタイプの止め輪やその他の略C字状の止め輪を好適に用いることができる。
【0022】
また、取付け工具8は、止め輪9の種類に応じて適したものを用いることができ、例えば上述の非特許文献1に記載された取付け工具「ETホルダー」を用いることができる。この取付け工具は、
図6に示すように先端に止め輪の外周部を挟持する左右一対の挟持片81、81を備え、挟持片81の内側の挟持面には止め輪に外周部が係合される凹溝82が形成されている。このような取付け工具であれば、上記「ETホルダー」以外のものも使用できる。
【0023】
止め輪ホルダー1は、具体的には、
図1〜
図4に示すように、複数の止め輪9が各々貫通された状態で、かつ互いに重なり合う状態に装着される装着部20を有する保持軸2と、保持軸2に対して平行に延設され、保持軸2に装着される各止め輪9の左右の抱持片91、91先端を当止することで各止め輪9の回転を規制し、各止め輪9の方向を揃える当止部30を有する規制部材3と、保持軸2に装着された圧縮コイルばね40の弾性復元力により、前記装着部20に装着される複数の止め輪9を軸方向に付勢する付勢手段4と、保持軸2の前記付勢手段4による付勢方向の端部2aに対面するように設けられ、付勢された止め輪9を前記端部2aの位置で当止する当止壁50を有する当止部材5とを備えている。
【0024】
保持軸2は、真直な円柱部材で構成され、金属製とされることが好ましいが、合成樹脂その他の素材または2以上の素材の組み合わせより構成されることも可能である。保持軸2は、後述する規制部材3の支持部31により片持ち支持され、当該支持部31で支持される基端側に圧縮コイルばね40よりなる付勢手段4が、先端側の装着部20に複数の止め輪9が、それぞれ装着される。保持軸2の装着部20の外径寸法は、先端部2aの後述の幅狭部21を除いて止め輪9の内径寸法と略同じに設定され、装着された止め輪9が外れないように構成されている。
【0025】
保持軸2の端部2aの端面から軸方向に沿った止め輪一つの厚み分の長さ領域には、止め輪9の左右の抱持片間の最小離間距離hよりも小さいか或いは略同じ寸法を有する幅狭部21が設けられている。これにより、
図6に示すように、幅狭部21に位置する最端の止め輪9が取付け工具8により保持軸2から取り出し可能とされ、最端の止め輪9が取り出されると、保持軸2に装着されている残りの止め輪9が付勢手段4により止め輪一つ分だけ付勢方向(先端側)に移動する。このように、常に最端の止め輪が幅狭部21を通じて取付け工具8により保持軸2から取り出し可能とされ、保持軸2に装着された複数の止め輪9は、先端側から順次取り出される。幅狭部21は、本例では止め輪9の左右の抱持片間の最小離間距離hよりも小さいか或いは略同じの外径を有する小径部であるが、左右に一対の切欠き部を設けて構成することなど、種々の構成が可能である。
【0026】
規制部材3は、
図1、
図2、
図4および
図5に示すように、当止部30を有する保持軸2に平行に延びる板状の本体部32と、該本体部32の基端側から保持軸2の方向(保持軸2に直交する方向)に延びて該保持軸2の基端部2bを支持する同じく板状の支持部31とより側面視略L字状に構成されている。素材は金属、合成樹脂、その他の素材または組み合わせより構成できる。本例では本体部32と支持部31とが一体的に形成されているが、各々別体で構成して組みつけたものでもよい。
【0027】
支持部31には、保持軸2の基端部2bが挿着される取付け穴33が設けられるとともに、支持部31の外面から取付け穴33の内部に連通するねじ穴34が設けられている。保持軸の基端部2bの前記ねじ穴34に対応する位置には、外周面を平らに切り欠いた凹溝2cが形成(平取り)されており、ねじ穴34に止めねじ61をねじ込み、取付け穴33に挿通された保持軸2の前記凹溝2cの底面に当止させることで、保持軸2が支持部31内に離脱不能に固定される。本例ではこのように止めねじ61を用いて保持軸2が支持部31に固定されているが、これに何ら限定されず、接着剤等、種々の固定手段を採りえる。
【0028】
当止部30は、本体部32の保持軸2に対面する面(本例では上面)で構成されている。この当止部30として機能する面が保持軸2に平行に形成されている。保持軸2に装着された止め輪9は左右の抱持片91、91先端が前記面に当たることで回転規制された状態で、付勢手段4のばね付勢により軸方向に移動するように構成されている。本体部32の前記当止部30に連続する上面の所定位置には、後述する付勢手段4の押圧部材41の突片42が係入する係止溝35が軸方向所定の位置に設けられている。
【0029】
付勢手段4は、圧縮コイルばね40と、保持軸2の圧縮コイルばね40と止め輪9との間に介装される筒状の押圧部材41とより構成されている。押圧部材41は、所定の回転角度範囲で規制部材3の本体部32に形成された上記係止溝35に係合可能な突片42が外周部に設けられている。押圧部材41の素材は金属、合成樹脂、その他の素材または組み合わせより構成できる。この突片42に係合する規制部材3の係止溝35は、押圧部材41が保持軸2の装着部20より退避する位置まで圧縮コイルばね40の付勢力に抗して移動した位置で、前記突片42と係合可能な所定位置に形成されている。これにより、突片42を係止溝35に係合させることで、
図2及び
図5に示すように装着部20に装着される止め輪9への付勢力が解除され、保持軸2の装着部20に対し、止め輪9が装着可能となる。
【0030】
突片42は、本例では、円環状の板部の外周部分を一部真っ直ぐに切り欠いた形状に構成されており、回転により当該切欠き部42aを上記規制部材3の当止部30に向け、当止部30の上面に対し平行になる角度位置にすることで、係止溝35との係合が解除され、止め輪9と同様、当止部30に回転規制されながら保持軸2の軸方向に移動可能となる。また、係止溝35の位置にて回転させ、切欠き部42aを上記位置からずれた角度の位置にすることで、突片42が係止溝35に係入して係合状態となる。本例では上記切欠き部42aを有する環状の板部で構成したが、環状ではなく部分的に係止溝35に係入する突出部を設けたものでもよい。
【0031】
当止壁50の前記保持軸2に対面する壁面には、取付け工具の止め輪9の外周部を挟持する左右一対の挟持片81を案内する案内溝51が設けられている。案内溝51の深さは、挟持片81の内側の挟持面に形成された止め輪の外周部が係合される凹溝82の前後一方の肉厚と略同じに設定されている。これにより、
図6に示すように、前記取付け工具8を、挟持片81の前記前後一方の側の面83を前記案内溝51の底面に沿わせつつ前記最端の止め輪9A(9)に押し当てると、該止め輪9Aの外周部が前記凹溝内に嵌まり込み、該止め輪が挟持される。さらに取付け工具8を引き抜くことで止め輪9Aを挟持した状態で取り出すことができ、そのまま取付け工具8を用いて軸体に止め輪を取り付けることができる。
【0032】
当止部材5の左右側壁から規制部材3の基端部3bに向けて、一対の支持片52,52が延設されている。本例では平面視略L字状の板材が取付けねじ62、63を用いて当止部材5の左右側壁に支持されたものであるが、これに何ら限定されるものではない。そして、この一対の支持片の先端部52a,52aの間に、規制部材3の基端部3bが枢支されている。具体的には、先端部52a側から基端部3bのねじ穴に対し、環状の摺動部材65を介してねじ64を螺合し、このねじ64及び摺動部材65を枢軸として傾動可能に支持されている。
【0033】
このように、規制部材3および保持軸2は、当止部材5および支持片52に対して、一体的に傾動可能に支持されており、
図2及び
図5に示すように、規制部材3及び保持軸2を傾動させて保持軸の先端部2aを当止部材の当止壁50から離すことで、該先端部2aから新たな止め輪9を装着部20に補充できるように構成されている。
【0034】
規制部材3の保持軸2の軸方向に沿った途中位置の左右少なくとも一方の側面には、位置決めピン36が突出方向に付勢された状態で出没可能に設けられており、また支持片52の前記位置決めピン36に対応する位置には、位置決めピン36が係入する係合穴520が設けられている。位置決めピン36は、
図4(b)に示すように規制部材3の本体部32に形成された穴に内蔵された圧縮コイルばね37により付勢されており、コイルばね37の付勢力に抗してピン先端を穴内に押し込むことで係合穴520との係合状態を解除することができる。
【0035】
位置決めピン36および係合穴520は、前記係入した状態で保持軸2の先端が当止部材5の当止壁50に対面することとなる位置にそれぞれ設けられ、取付け工具8で止め輪9Aを取り出すことができる通常姿勢で上記位置決めピン36と係合穴520が係合し、規制部材3および保持軸2が当止部材5および支持片52に対して傾動することなく、安定した位置決めがされるように構成されている。
【0036】
また、同じく規制部材3の保持軸2の軸方向に沿った途中位置の左右少なくとも一方の側面には、支持片52に形成された枢軸を中心とした所定角度範囲の円弧状の湾曲溝521に係入する回転規制ピン38が突設されており、上記規制部材3の支持片52に対する傾動の範囲が所定の角度範囲に規制されている。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
1 止め輪ホルダー
2 保持軸
2a,2b 端部
2c 凹溝
3 規制部材
3b 端部
4 付勢手段
5 当止部材
8 取付け工具
9,9A 止め輪
20 装着部
21 幅狭部
30 当止部
31 支持部
32 本体部
33 取付け穴
34 ねじ穴
35 係止溝
36 位置決めピン
37 コイルばね
38 回転規制ピン
40 コイルばね
41 押圧部材
42 突片
42a 切欠き部
50 当止壁
51 案内溝
52 支持片
52a 端部
520 係合穴
521 湾曲溝
61 止めねじ
62、63 取付けねじ
64 軸ねじ
65 摺動部材
81 挟持片
82 凹溝
83 面
90 外周部
91 抱持片
h 距離
【要約】
【課題】種々の形状の取付け工具に対応することができ、作業性を向上できるとともに、簡易な構造で部品点数を抑え、軽量化および低コスト化を実現でき、取付け作業を容易に行うことができる携帯に便利な止め輪ホルダーを提供する。
【解決手段】止め輪9が貫通された状態で互いに重なり合う状態に装着される装着部20を有する保持軸2と、保持軸2に平行に延設され、止め輪9の左右の抱持片91、91先端を当止して止め輪9の回転を規制する当止部30を有する規制部材3と、保持軸2に装着された圧縮コイルばね40の弾性復元力で複数の止め輪9を軸方向に付勢する付勢手段4と、付勢された止め輪9を当止する当止壁50を有する当止部材5とを備え、保持軸2の端部2aの端面から軸方向に沿った止め輪一つの厚み分の長さ領域に、止め輪の左右の抱持片間の最小離間距離よりも小さいか或いは略同じ寸法の幅を有する幅狭部21が設けられる。
【選択図】
図1