(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも一方の単位反射素子に前記外力を付与することにより前記平面体の前記表面の形状に沿うように前記少なくとも一方の単位反射素子を変形させた状態で、第1の前記単位反射素子と第2の前記単位反射素子との間に前記接着剤を供給する、
請求項1に記載の結像素子の製造方法。
複数の前記単位反射素子の各々は、厚み方向に直交する方向に沿って間隔を空けて並ぶように互いに平行に配置された複数の前記反射面と、隣り合う2つの前記反射面の間に位置する複数の透明体とを含む、
請求項1から5のいずれか1項に記載の結像素子の製造方法。
前記平面体のうちの第1の前記単位反射素子と第2の前記単位反射素子との間の部分から見て前記平面体の側に位置する部分に空隙を設けた状態で、第1の前記単位反射素子と第2の前記単位反射素子との間に前記接着剤を供給する、
請求項1から9のいずれか1項に記載の結像素子の製造方法。
複数のうちの少なくとも1つの前記スペーサーは、前記スペーサーの前記表面のうち、前記スペーサーの前記表面上に配置される前記単位反射素子の角部近傍の位置に前記吸引部が開口するように構成されている、
請求項11に記載の結像素子の製造方法。
第1の前記単位反射素子と第2の前記単位反射素子との間の部分が露出するように、第1の前記単位反射素子と第2の前記単位反射素子との表面をマスキング材で被覆する工程と、
前記マスキング材を前記接着剤とともに除去する工程と、をさらに備える、
請求項1から14のいずれか1項に記載の結像素子の製造方法。
第1の前記単位反射素子の第2の前記単位反射素子に接着される端部の平均厚さと、第2の前記単位反射素子の第1の前記単位反射素子に接着される端部の平均厚さとの差は、0.03mm以下である、
請求項1から18のいずれか1項に記載の結像素子の製造方法。
前記第1複合反射素子と前記第2複合反射素子とを重ね合わせて組立体を構成した後に、透明平板または枠状部材を前記組立体に取り付けて一体化する工程をさらに備える、
請求項20に記載の結像素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。同一の部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0014】
[実施の形態1]
(結像素子1)
図1は、実施の形態1における結像素子1を示す平面図である。
図2は、
図1中に示すII−II線に沿った矢視断面図である。
図3は、
図1中に示すIII−III線に沿った矢視断面図である。結像素子1は、第1複合反射素子10、第2複合反射素子20、透光性接着層30を備え、全体として平板状の形状を有する。
【0015】
(第1複合反射素子10)
第1複合反射素子10は、全体として平板状に形成され、外側主面10aおよび内側主面10bを有する(
図2,
図3参照)。第1複合反射素子10は、複数の単位反射素子10A〜10Iを含み、これらの端部同士を接着すること(繋ぎ合わせること)により構成される。
【0016】
第1複合反射素子10は、面状に3行3列に配置された単位反射素子10A〜10Iと、単位反射素子10A〜10Iの間に位置する平面視格子状の継ぎ目部としての接着層13とを有する。単位反射素子10A〜10Iのうちの隣り合う単位反射素子の端部同士が接着層13(接着剤)によって接着されることにより、第1複合反射素子10は全体として大型化された1つの複合反射素子を構成する。
【0017】
第1複合反射素子10を構成する単位反射素子10A〜10Iの各々は、複数の反射面11と複数の透明体12とを有する(
図1においては反射面11を破線にて示している)。複数の反射面11は、単位反射素子10A〜10Iの厚み方向に直交する方向(
図1において左右方向)に沿って間隔を空けて並ぶように互いに平行に配置される。複数の透明体12の各々は、同方向(
図1において左右方向)において隣り合う2つの反射面11の間に位置する。
【0018】
(第2複合反射素子20)
第2複合反射素子20は、全体として平板状に形成され、外側主面20aおよび内側主面20bを有する(
図2,
図3参照)。第2複合反射素子20は、第1複合反射素子10と同一の厚みを有する。厚み方向に沿って第2複合反射素子20を見た場合、第2複合反射素子20は第1複合反射素子10と同一の大きさの正方形形状を有している。
【0019】
第2複合反射素子20は、複数の単位反射素子20A〜20Iを含み、これらの端部同士を接着すること(繋ぎ合わせること)により構成される。単位反射素子20A〜20Iは、それぞれ、単位反射素子10A〜10Iと同一の大きさおよび形状を有している。
【0020】
第2複合反射素子20は、面状に3行3列に配置された単位反射素子20A〜20Iと、単位反射素子20A〜20Iの間に位置する平面視格子状の継ぎ目部としての接着層23とを有する。単位反射素子20A〜20Iのうちの隣り合う単位反射素子の端部同士が接着層23(接着剤)によって接着されることにより、第2複合反射素子20は全体として大型化された1つの複合反射素子を構成する。
【0021】
第2複合反射素子20を構成する単位反射素子20A〜20Iの各々は、複数の反射面21と複数の透明体22とを有する。複数の反射面21は、単位反射素子20A〜20Iの厚み方向に直交する方向(
図1において上下方向)に沿って間隔を空けて並ぶように互いに平行に配置される。複数の透明体22の各々は、同方向(
図1において上下方向)において隣り合う2つの反射面21の間に位置する。
【0022】
(透光性接着層30)
図2および
図3に示すように、第1複合反射素子10および第2複合反射素子20は、内側主面10b,20bが互いに対向するように配置され、厚み方向において重ね合わされる。第1複合反射素子10と第2複合反射素子20とは、各々に含まれる反射面11と反射面21とが互いに直交するように重ね合わされる。
【0023】
透光性接着層30は、第1複合反射素子10と第2複合反射素子20との間に設けられ、第1複合反射素子10と第2複合反射素子20とを接合している。第1複合反射素子10と第2複合反射素子20とが互いに接合された状態において、第1複合反射素子10の外側主面10aによって結像素子1の第1主面1a(一方の面)が構成され、第2複合反射素子20の外側主面20aによって結像素子1の第2主面1b(他方の面)が構成されている。
【0024】
上述の各部材の大きさを例示すると、第1複合反射素子10や第2複合反射素子20の厚みは900μm以上6000μm以下である。単位反射素子10A〜10I,20A〜20Iの各々の厚み方向と直交する一辺の長さは10cm以上50cm以下である。第1複合反射素子10や第2複合反射素子20の厚み方向と直交する一辺の長さは30cm以上150cm以下である。
【0025】
上述の各部材の材料を例示すると、反射面11,21は、アルミニウムまたは銀等の金属にて構成され、透明体12,22は、ガラスまたは透明樹脂にて構成される。接着層13,23は、エポキシ系の接着剤の硬化物にて構成される。透光性接着層30も、エポキシ系の接着剤の硬化物にて構成される。エポキシ系の接着剤としては、2液性のものを用いることができる。
【0026】
接着層13,23を構成する接着剤の粘度は、1000mPa・s以下であることが好ましい。当該構成によれば、隣り合う単位反射素子10A〜10I,20A〜20I同士の間の隙間が0.01mm以上0.05mm以下程度である場合に、これらの間の隙間に毛細管現象を利用して容易に接着剤を供給することが可能となる。隣り合う単位反射素子同士の間の隙間に接着剤(接着層13,23を構成する接着剤)を供給することに関する詳細については後述する。
【0027】
接着層13(接着剤)の硬化後の屈折率は、透明体12の屈折率と略等しい値(たとえば、屈折率同士の差が0.02以下)であることが好ましい。接着層23(接着剤)の硬化後の屈折率は、透明体22の屈折率と略等しい値(たとえば、屈折率同士の差が0.02以下)であることが好ましい。これらの構成によれば、透明体12,22と透光性接着層30との間の界面や、接着層13,23と透光性接着層30との間の界面において不要な反射や屈折、散乱等が生じることを抑制できる。
【0028】
図4は、結像素子1を用いることで空中映像が表示される原理を示す概念図である。結像素子1を用いて空中映像を表示させるためには、結像素子1の第1主面1a側の空間位置に、被投影物としての物体100が配置される。物体100から異なる方向に出た光は、結像素子1の第1主面1a(第1複合反射素子10の外側主面10a)を介して第1複合反射素子10の内部に侵入し、当該光の進行方向の前方に位置する反射面11(
図1,
図2参照)によって反射され、第1複合反射素子10の内側主面10bを介して透光性接着層30に達する。
【0029】
透光性接着層30を通過した光は、第2複合反射素子20の内側主面20bを介して第2複合反射素子20の内部に侵入し、当該光の進行方向の前方に位置する反射面21によって反射され、結像素子1の第2主面1b(第2複合反射素子20の外側主面20a)を介して結像素子1の外部へと至る。結像素子1の外部へと出た光は、第1複合反射素子10および第2複合反射素子20における再帰反射により、結像素子1が配置された平面を基準とした物体100の対称位置に集光することになり、これによって物体100の鏡映像200(実像)が、結像素子1の第2主面1b側の空間位置において結像されることになる。
【0030】
物体100としてたとえば液晶ディスプレイを配置した場合には、当該液晶ディスプレイに表示される画像が空中映像として表示されることになる。物体100としては、液晶ディスプレイに限られるものではなく、2次元および3次元の種別を問わず、どのようなものが配置されてもよい。
【0031】
上述の第1複合反射素子10においては、正方形形状を有する9枚の単位反射素子10A〜10Iが、面状に3行3列に配置されている。第2複合反射素子20においては、正方形形状を有する単位反射素子20A〜20Iが、面状に3行3列に配置されている。第1複合反射素子10と第2複合反射素子20とは、各々に含まれる反射面11と反射面21とが互いに直交するように重ね合わされる。
【0032】
結像素子1を構成する第1複合反射素子10は、上記の構成に限られず、正方形形状を有する4枚の単位反射素子と、直角二等辺三角形の形状を有する8枚の単位反射素子とから構成されていてもよい。たとえば、正方形形状を有する4枚の単位反射素子は、1つの大きな正方形形状を呈するように、面状に2行2列に配置される。直角二等辺三角形の形状を有する2枚の単位反射素子は、1つの大きな直角二等辺三角形の形状を呈するように、短辺同士をつなぎ合わせる。
【0033】
得られた1つの大きな直角二等辺三角形の長辺を、上記の1つの大きな正方形形状の1つの辺に繋ぎ合わせる。これを繰り返すことで、正方形形状を有する、1つの大面積化された第1複合反射素子10を得ることができる。この第1複合反射素子10においても、複数の反射面11は各単位反射素子の厚み方向に直交する方向(
図1において左右方向)に沿って間隔を空けて並ぶように互いに平行に配置される。第2複合反射素子20についても同様な構成を有するように作製することができる。
【0034】
(結像素子1の製造方法)
実施の形態1における結像素子1は、以下の方法によって作製される。
【0035】
(準備工程)
まず、平板状の透明部材が複数準備され、それらの両主面にコーティング層が形成される。この透明部材は、上述した透明体12または透明体22を構成するものであり、ここではガラスまたは透明樹脂が好適に利用できる。具体例を挙げると、Schott社製の薄板ガラスD263(屈折率1.532)を用いることができる。コーティング層は、上述した反射面11または反射面21を構成するものであり、ここではアルミニウム膜または銀膜が好適に利用できる。当該コーティング膜は、たとえばスパッタリングによって成膜可能である。
【0036】
次に、コーティング層によって両主面が覆われてなる透明部材の一方の露出表面(すなわち一方のコーティング層の表面)上に、たとえばエポキシ系の接着剤が塗布され、当該接着剤が塗布された透明部材に他の透明部材が重ね合わされて接着剤が硬化させられる。これにより、2枚の透明部材が互いに貼り合わされる。この貼り合わせ作業が必要回数分だけ繰り返されることにより、コーティング層によって両主面が覆われた複数の透明部材が接着剤を介して積層され、1つの積層体ブロックが形成される。
【0037】
次に、積層体ブロックが、透明部材の積層方向と直交する方向に沿って複数回にわたって切断される。積層体ブロックは、積層体ブロックから切り出される部材の外形が平板状となるように薄く切断される。積層体ブロックの切断には、たとえばワイヤーカットが利用できる。次に、切断後において切り出された各部材の切断面が研磨される。以上の工程により、各々が反射面11,21を有する複数の単位反射素子10A〜10I,20A〜20I(未だ接合されていない1枚1枚の単位反射素子)が得られる。複数の単位反射素子10A〜10I,20A〜20Iの各々は、平面視でたとえば180mm×180mmの大きさを有する。
【0038】
(配置工程)
次に、上記の工程を経て製作された単位反射素子10A〜10Iは、面方向において互いに隣り合うように、平面体40(
図5参照)の表面41上に配置される。
図5は、平面体40の表面上に、単位反射素子10A〜10Cを配置する様子を示す斜視図である。
図6は、
図5中に示すVI−VI線に沿った矢視断面図である。
【0039】
本実施の形態の平面体40は、定盤から構成されており、その表面41は高い平面度を有している。平面体40は、その全体がたとえばガラスから構成される。
図5中に示している複数の領域R1は、平面体40の表面41のうち、複数の単位反射素子10A〜10Iが配置されることが予定されているおおよその位置を示している。
【0040】
本実施の形態の平面体40は、表面41上に開口する複数の吸引部42,43を有している。吸引部43は、1つの領域R1内の丁度中央の位置に開口するように設けられている。4つの吸引部42は、1つの領域R1内の4つの角部近傍の位置に開口するように設けられている。領域R1内の角部近傍の位置において吸引部42が開口するとは、たとえば、領域R1に対して相似比が0.75となる領域を領域R1の中央に描いたとすると、吸引部42のほとんどまたは全部が、領域R1に対して相似比が0.75となる領域の外側に位置していることを意味する。単位反射素子に対する外力(吸引による負圧)の付与の詳細については後述するが、領域R1の角部近傍に設けられた4つの吸引部42は、外力(吸引による負圧)を単位反射素子に効率よく付与することができる。
【0041】
図6に示すように、吸引部42,43は、配管44を介して吸引装置45(真空ポンプ)に接続されている。配管44には、配管44を流れる流体の量(吸引エアの流量)を調整可能なバルブ46が設けられている。本実施の形態では、1つの領域R1内に開口する複数の吸引部42,43に対して、1つのバルブ46が設けられている。
【0042】
たとえば、単位反射素子10Aが配置される領域R1内に、4つの吸引部42と1つの吸引部43とが設けられている。これらの吸引部42,43は、1つのバルブ46によって、他の領域R1(単位反射素子10B〜10Iが配置される他の8つの領域R1)の吸引部42,43とは独立して流量調整を行なうことができる。
【0043】
9つの単位反射素子10A〜10Iは、平面体40の表面41上に3行3列にわたって並べて配置される。その際、単位反射素子10A〜10Iの各々の複数の反射面11と複数の透明体12との積層方向がいずれも同一方向を向くように、これら単位反射素子10A〜10Iが配置されるとともに、隣り合う単位反射素子間に所定の間隔の隙間が設けられる。
【0044】
2つの単位反射素子に着目すると、単位反射素子10A(第1の単位反射素子)と単位反射素子10B(第2の単位反射素子)とが、面方向に隣り合うように平面体40の表面41上に配置される。この際、単位反射素子10Aの単位反射素子10Bに接着される端部10ATの平均厚さ10AHと、単位反射素子10Bの単位反射素子10Aに接着される端部10BTの平均厚さ10BHとの差は、0.03mm以下であることが好ましい。端部10AT,10BT同士が接合された後に、端部10AT,10BTの間に段差が発生することを抑制でき、ひいてはこの段差に起因する不要な反射や屈折、散乱等が生じることを抑制可能となる。
【0045】
(変形工程)
図7を参照して、単位反射素子10A〜10Iを平面状に並べて配置した後、吸引部42,43からエアーを吸引することで、単位反射素子10A〜10Iに負圧による外力が付与される。単位反射素子10A〜10Iに外力を付与することにより、平面体40の表面41の形状に沿うように、単位反射素子10A〜10Iは変形する。
【0046】
単位反射素子10A〜10Iを外力(負圧)により変形させる工程は、単位反射素子10A〜10Iに対して一括して行ってもよいが、単位反射素子10A〜10Iに対して順番に行なうことが好ましい。たとえば、単位反射素子10Aを平面体40の表面41上に配置し、単位反射素子10Aの位置決めを行なう。位置決めの際、単位反射素子10Aを位置決めしやすいように、吸引部42,43は単位反射素子10Aをある程度の負圧で吸引していてもよい。過度な圧力で吸引すると、単位反射素子10Aを表面41上で移動させた際に単位反射素子10Aの表面にキズが生じるおそれがあるため、位置決めの際に負圧を利用する場合には、必要最小限の圧力に設定するとよい。
【0047】
単位反射素子10Aの位置が定められた後、必要十分な吸引力を利用して単位反射素子10Aを表面41上に固定するとともに、平面体40の表面41の形状に沿うように、単位反射素子10Aを変形させる。仮に、単位反射素子10Aが反りを有していたとしても、吸引が続けられている間は、変形によって単位反射素子10Aの反りは解消し、単位反射素子10Aの外側主面10aおよび内側主面10bは高い平面度を有することとなる。
【0048】
次に、単位反射素子10Bを、単位反射素子10Aに面方向に隣接するように平面体40の表面41上に配置し、単位反射素子10Bの位置決めを行なう。位置決めの際、単位反射素子10Bを位置決めしやすいように、吸引部42,43は単位反射素子10Bをある程度の負圧で吸引していてもよい。単位反射素子10Bの位置が定められた後、必要十分な吸引力を利用して単位反射素子10Bの位置を固定するとともに、平面体40の表面41の形状に沿うように、単位反射素子10Bを変形させる。
【0049】
次に、単位反射素子10C(第3の単位反射素子)を、単位反射素子10Bに面方向に隣接するように平面体40の表面41上に配置し、単位反射素子10Cの位置決めを行なう。位置決めの際、単位反射素子10Cを位置決めしやすいように、吸引部42,43は単位反射素子10Cをある程度の負圧で吸引していてもよい。単位反射素子10Cの位置が定められた後、必要十分な吸引力を利用して単位反射素子10Cの位置を固定するとともに、平面体40の表面41の形状に沿うように、単位反射素子10Cを変形させる。
【0050】
単位反射素子10Cの位置決め、固定、および吸引による変形を行なう代わりに、単位反射素子10D(第3の単位反射素子)(
図1参照)を、単位反射素子10Aに面方向に隣接するように平面体40の表面41上に配置し、単位反射素子10Dの位置決め、固定、および吸引による変形を行なってもよい。単位反射素子10Cの位置決め、固定、および吸引による変形を行なう代わりに、単位反射素子10E(第3の単位反射素子)(
図1参照)を、単位反射素子10Bに面方向に隣接するように平面体40の表面41上に配置し、単位反射素子10Eの位置決め、固定、および吸引による変形を行なってもよい。
【0051】
以上のような位置決め、固定、および吸引による変形が、単位反射素子10A〜10Iに対して順に行われる。バルブ46が1つの領域R1(
図5)に対して1つずつ設けられていることによって、以上のような位置決め、固定、および吸引による変形を、単位反射素子10A〜10Iに対して順に容易に行なうことが可能となる。当該構成によれば、先に置いた単位反射素子を基準に次の単位反射素子を順次配置していくことが可能となり、パネルサイズの拡張が容易となる。
【0052】
(接着剤供給工程)
図7を参照して、単位反射素子10A〜10Iに外力(吸引による負圧)を付与することにより平面体40の表面41の形状に沿うように単位反射素子10A〜10Iを変形させた状態で、ディスペンサー50を用いて、隣り合う単位反射素子10A〜10Iの端部同士の間に接着剤(たとえば2液性のエポキシ系の接着剤)が供給される。
【0053】
ここで供給される接着剤は、硬化することにより上述した接着層13となるものである。隣り合う単位反射素子10A〜10Iの端部同士の間に、接着剤はたとえば10mm間隔で一滴ずつ塗布される。上述のとおり、接着層13を構成する接着剤の粘度は、1000mPa・s以下であることが好ましい。当該構成によれば、隣り合う単位反射素子10A〜10I同士の間の隙間が0.01mm以上0.05mm程度である場合に、これらの間の隙間に毛細管現象を利用して容易に接着剤を供給することが可能となる。接着剤の具体例としては、Epoxy Technology Inc.社製の301−2(屈折率1.533、粘度150cP(150mPa・s))を用いることができる。
【0054】
図8に示すように、隣り合う単位反射素子10A〜10Iの端部同士の間に接着剤が十分濡れ広がったことを確認した後(接着剤の塗布から数分が経過した後)、単位反射素子10A〜10Iの間の部分からはみ出ている不要な接着剤は、吸引ノズル51を用いて除去することが好ましい。接着剤が硬化してしまうと接着剤を除去するのが難しくなるため、接着剤が完全に硬化する前に、吸引ノズル51を用いて不要な接着剤を除去することが好ましい。
【0055】
本実施の形態においては、単位反射素子10A〜10Iに外力(吸引による負圧)を付与することにより平面体40の表面41の形状に沿うように単位反射素子10A〜10Iを変形させた状態で(換言すると、単位反射素子10A〜10Iの変形を維持させたままの状態で)、単位反射素子10A〜10Iは、接着剤が硬化することにより互いに接着される。
【0056】
たとえば、接着剤として熱硬化型の接着剤が用いられる場合には、接着剤に熱を付与して硬化させる際に、単位反射素子10A〜10Iに外力(吸引による負圧)が付与し続けられる。接着剤として紫外線硬化型の接着剤が用いられる場合には、接着剤に紫外線を付与して硬化させる際に、単位反射素子10A〜10Iに外力(吸引による負圧)が付与し続けられる。これらの構成により、単位反射素子10A〜10Iは変形を維持した状態で、互いに接合されることになる。
【0057】
接着剤の硬化によって、隣り合う単位反射素子10A〜10Iの間には、平面視格子状の継ぎ目部としての接着層13が形成され、隣り合う単位反射素子10A〜10Iの端部同士が接合される。以上により、9つの単位反射素子10A〜10Iが一体化され、単一の第1複合反射素子10が形成される。
【0058】
図9を参照して、接着剤が硬化して接着層13を形成した後、単位反射素子10A〜10Iに付与されていた外力(吸引による負圧)が解除される。単位反射素子10A〜10Iが有していた反りの程度によっては、
図9に示すように、接合された単位反射素子10A〜10Iにも全体として湾曲するように反りが生じることとなる。
【0059】
本実施の形態においては、単位反射素子10A〜10Iが平面体40の表面41の形状に沿うように変形を維持した状態で互いに接合されることによって、隣接する単位反射素子の表面同士が、接着部の近傍において滑らかに連続した1つの面を形成している。たとえば、互いに隣接する単位反射素子10A,10Bの外側主面10a,10a同士は、接着層13(接着部)の近傍において滑らかに連続した1つの面を形成しており、互いに隣接する単位反射素子10A,10Bの内側主面10b,10b同士も、接着層13(接着部)の近傍において滑らかに連続した1つの面を形成している。
【0060】
単位反射素子10A,10Bの間に限られず、単位反射素子10A,10D(
図1)の間においても、外側主面10a,10a同士は接着層13(接着部)の近傍において滑らかに連続した1つの面を形成し、内側主面10b,10b同士も接着層13(接着部)の近傍において滑らかに連続した1つの面を形成する。これによって、接着部の近傍において、隣接する単位反射素子の反射面の傾き差が抑えられることになり、接着部の近傍を通過して結像する空中映像に画像ずれが生じにくくなる。
【0061】
図10を参照して、単位反射素子20A〜20Iについても、上記と同様な工程を実施することにより、単位反射素子20A〜20Iが一体化され、単一の第2複合反射素子20が形成される。次に、第1複合反射素子10と第2複合反射素子20とは、各々に含まれる反射面11と反射面21とが互いに直交するように重ね合わされる。
【0062】
第2複合反射素子20と第1複合反射素子10との間にたとえばエポキシ系の接着剤を流し込んでこれを硬化させることで、第1複合反射素子10と第2複合反射素子20とを接合する。硬化後の当該接着剤は、透光性接着層30を形成する(
図1等参照。
図10において接着剤および透光性接着層30は図示していない)。
【0063】
以上により、
図1〜
図4に示す結像素子1が製造されることになる。概括すると、結像素子1の製造方法は、第1複合反射素子10を構成する複数の単位反射素子10A〜10Iの端部同士を接着することにより第1複合反射素子10を形成する工程と、第2複合反射素子20を構成する複数の単位反射素子20A〜20Iの端部同士を接着することにより第2複合反射素子20を形成する工程と、第1複合反射素子10と第2複合反射素子20とを重ね合わせる工程とを備えている。
【0064】
図11を参照して、必要に応じて、第1複合反射素子10と第2複合反射素子20とを重ね合わせて組立体としての結像素子1を構成した後に、枠状部材2Aを組立体(結像素子1)に取り付けて一体化してもよい。当該構成により、枠状部材2Aと一体化されることで高い剛性を備えた結像素子1Aを得ることが可能となる。
【0065】
図12を参照して、必要に応じて、第1複合反射素子10と第2複合反射素子20とを重ね合わせて組立体としての結像素子1を構成した後に、透明平板2Bを組立体(結像素子1)に取り付けて一体化してもよい。当該構成により、透明平板2Bと一体化されることで高い剛性を備えた結像素子1Bを得ることが可能となる。
【0066】
高い剛性を備えた結像素子1A,1Bは、枠状部材2Aや透明平板2Bによって、運搬時などに素子に欠損や割れが生じることを抑制できる。大型化された形状を有する結像素子1は、パネルの外周において特に欠損が生じやすいところ、枠状部材2Aによって欠損の発生を効果的に抑制することができる。
【0067】
(作用および効果)
冒頭に述べたとおり、単位反射素子は、切削、研磨、接着、成形など、種々の手法を使用して作製されることができるが、作製された単位反射素子には反りが生じやすい。隣り合う単位反射素子の表面は、接合後において滑らかに連続した1つの面を形成していることが理想的であるが、単位反射素子に反りが生じていると、隣接する表面同士が接着部の近傍において滑らかに連続した1つの面を形成することは難しい。隣接する表面同士が滑らかに連続していない場合、隣接する単位反射素子の反射面に傾き差が生じ、接着部の近傍を通過して結像された空中映像に画像ずれが生じる可能性が高くなる。
【0068】
図13を参照して、本実施の形態においては、単位反射素子10A〜10Iが平面体40の表面41の形状に沿うように変形を維持した状態で接着剤が硬化することで、単位反射素子10A〜10Iが互いに接合される。これにより、隣接する単位反射素子の表面同士は、接着部の近傍において滑らかに連続した1つの面を形成することが可能となる。
【0069】
具体的には、たとえば、2枚の単位反射素子10A,10Bを隣り合うように配置し、これらの端部10AT,10BT同士を接着剤にて接続するとする。外力(吸引による負圧)の付与によって、単位反射素子10A,10Bの反りが矯正される。すなわち、単位反射素子10Aの外側主面10aと単位反射素子10Bの外側主面10aとは、いずれも略同一平面上に位置することとなり、単位反射素子10Aの内側主面10bと単位反射素子10Bの内側主面10bも、いずれも略同一平面上に位置することとなる。
【0070】
さらに、単位反射素子10A,10Bの端部10AT,10BT同士は、互いに正面から対向した状態(平行な状態)を形成する。単位反射素子10A,10Bのこのような変形を維持させたままの状態で、接着剤が硬化することで、単位反射素子10A,10Bは互いに接合される。
【0071】
その結果、互いに隣接する単位反射素子10A,10Bの外側主面10a,10a同士は、接着層13(接着部)の近傍において滑らかに連続した1つの面を形成することとなり、互いに隣接する単位反射素子10A,10Bの内側主面10b,10b同士も、接着層13(接着部)の近傍において滑らかに連続した1つの面を形成することとなる。
【0072】
第1複合反射素子10においては、複数の単位反射素子10A〜10Iがこのような滑らかに連続した表面形状を有するように接合されている。このような構成を有する第1複合反射素子10や第2複合反射素子20を備えた結像素子1によれば、隣接する単位反射素子の反射面同士が平行に配置されるため、接着部の近傍を通過する光に不要な角度差が生じることを抑制でき(
図13中の太矢印を参照)、ひいては接着部の近傍を通過して結像された空中映像に画像ずれが生じる可能性を低減できる。
【0073】
接着剤により互いに接着された単位反射素子10A,10Bの間の間隔L1(
図13)は、0.01mm以上0.05mm以下であるとすることが好ましい。間隔L1がこれらの範囲内であれば、接着不良が生じることを抑制できたり、画像抜けに起因して空中映像の品質が劣化することを抑制したりすることが可能となる。間隔L1の設定方法の具体例については、
図29(シム部材71)や
図30(撮像カメラ72)等を参照しつつ後述する。
【0074】
上述の実施の形態1の説明においては、単位反射素子10Aと単位反射素子10Bとを接合する際に(接着剤が硬化する際に)、単位反射素子10Aと単位反射素子10Bとの双方に外力(吸引による負圧)を付与してこれらを平面体40の表面41に沿うように変形させていた。このような構成に限られず、単位反射素子10Aと単位反射素子10Bとを接合する際に(接着剤が硬化する際に)、単位反射素子10Aと単位反射素子10Bとの少なくとも一方に外力(吸引による負圧)を付与し、その少なくとも一方の単位反射素子を平面体40の表面41に沿うように変形させ、その状態で接着剤を硬化させても構わない。
【0075】
上述の実施の形態1は、9枚の単位反射素子を面方向に並べて互いに接合するという態様に基づいて説明したが、上述の実施の形態1で開示した思想は、2枚の単位反射素子(たとえば、第1単位反射素子としての単位反射素子10A、第2単位反射素子としての単位反射素子10B)を面方向に並べて互いに接合するという態様にも適用可能である。
【0076】
上述の実施の形態1においては、隣り合う単位反射素子10A,10Bの端部同士の間に接着剤(接着層13を構成する接着剤)を供給する際に、単位反射素子10A,10Bに外力(吸引による負圧)を付与し、これらを平面体40の表面41に沿うように変形させている。この構成に限られず、接着剤を供給が完了した後に、単位反射素子10A,10Bに外力(吸引による負圧)を付与し、これらを平面体40の表面41に沿うように変形させてもよい。単位反射素子10A,10Bの位置決めや吸引による固定についても、接着剤を供給が完了した後に、単位反射素子10A,10B等の位置決めや吸引による固定を行なってもよい。なお、単位反射素子10A,10B等の位置決めや吸引による固定を行なった後に、接着剤をこれらの間に供給する場合には、接着剤の切れや、接着剤の不要箇所への付着を抑制できる。
【0077】
上述の実施の形態1においては、1つの領域R1内に開口する複数の吸引部42,43に対して、1つのバルブ46が設けられている。この構成に限られず、9つの領域R1内に開口する複数の吸引部42,43に対して、1つのバルブ46が設けられていてもよい。この場合、9枚の単位反射素子10A〜10Iに対して順次、位置決めおよび吸引による固定を行なうということは難しくなるが、バルブ46の設置個数を少なくすることができ、バルブ46の制御や機械構成を簡便なものとすることが可能となる。
【0078】
図14を参照して、上述の実施の形態1における
図6では、重力方向の上方に向かって凸状に湾曲する2つの単位反射素子10A,10Bが描かれている。実施の形態1で開示した思想は、このような反りを有する2つの単位反射素子10A,10B同士を接合する場合に限られない。
【0079】
図14に示すように、実施の形態1で開示した思想は、重力方向の下方に向かって凸状に湾曲する単位反射素子10Aと、重力方向の上方に向かって凸状に湾曲する単位反射素子10Bとを接合する場合にも適用可能である。あるいは、実施の形態1で開示した思想は、重力方向の下方に向かって凸状に湾曲する単位反射素子10A,10B同士を接合する場合にも適用可能である。
【0080】
[比較例]
図15を参照して、実施の形態1の比較例について説明する。仮に、重力方向の上方に向かって凸状に湾曲する2つの単位反射素子10A,10Bを、特に変形させない状態のままで互いに接合するとする。
【0081】
この場合、単位反射素子10A,10Bを平面体40の表面41上に配置した状態において、単位反射素子10Aの外側主面10aと単位反射素子10Bの外側主面10aとは同一平面上に位置していない。単位反射素子10Aの内側主面10bと単位反射素子10Bの内側主面10bも同一平面上に位置していない。単位反射素子10A,10Bの端部10AT,10BT同士は、互いの間に略三角形の断面形状を形成するように対向する。単位反射素子10A,10Bの間に、接着剤が供給され、その接着剤が硬化することで単位反射素子10A,10Bは互いに接合される。
【0082】
その結果、互いに隣接する単位反射素子10A,10Bの外側主面10a,10a同士は、接着層13(接着部)の近傍において滑らかに連続した1つの面を形成することはなく、互いに隣接する単位反射素子10A,10Bの内側主面10b,10b同士も、接着層13(接着部)の近傍において滑らかに連続した1つの面を形成することはない。外側主面10a,10aや内側主面10b,10bは、接着層13が設けられている部分において屈曲するような形で連続することとなる。
【0083】
図16を参照して、上記のような構成を有する第1複合反射素子10や第2複合反射素子20を用いて作製された結像素子によれば、隣接する単位反射素子の反射面に傾き差が生じ、接着部の近傍を通過する光に不要な角度差が生じやすくなる(
図16中の太矢印を参照)。その結果、接着部の近傍を通過して結像された空中映像に画像ずれが生じやすくなる。
【0084】
たとえば、単位反射素子10A,10Bが150mm×150mmの大きさを有し、それぞれ厚さ方向に30μm反っていたとすると、接着層13が設けられている部分において最大で60μmの不連続が生じることとなる。この場合、単位反射素子10A,10Bから出射される光に0.023°の角度差が生じ、空中映像に不連続や歪みを生じてしまう。たとえば、結像素子から500mmの位置に空中映像を結像する場合、500mm×sin0.023°=0.2mmの画像ずれを生じてしまうこととなる。
【0085】
これに対して上述の実施の形態1における結像素子1の製造方法によれば、複数の単位反射素子10A〜10Iや複数の単位反射素子20A〜20Iが滑らかに連続した表面形状を有するように接合されており、このような構成を有する第1複合反射素子10や第2複合反射素子20を備えた結像素子1によれば、接着部の近傍を通過する光に不要な角度差が生じることを抑制でき(
図13中の太矢印を参照)、ひいては接着部の近傍を通過して結像された空中映像に画像ずれが生じる可能性を低減可能である。
【0086】
[実施の形態2]
図17は、実施の形態2における結像素子1Cを示す斜視図である。
図18は、
図17中に示すXVIII−XVIIIに沿った矢視断面図である。結像素子1Cは、4つの単位反射素子10J〜10Mと、これらの端部同士を互いに接着する接着層13とを備える。
【0087】
単位反射素子10J〜10Mの各々は、1枚の透明基板14と、複数の突出部15とを有する。透明基板14は、主表面14Sを有する平板形状を有する。複数の突出部15は、主表面14Sから突出するように設けられている。複数の突出部15は、主表面14Sを平面視した場合に、互いの間に間隔を空けて行列状に配列されている。
【0088】
単位反射素子10J〜10Mの各々には、反射面11aと、反射面11bとが互いに直交する方向に延びて形成されている。反射面11aおよび反射面11bは、突出部15の周面に設けられ、行方向および列方向にそれぞれ延在している。複数の反射面11aは、複数の突出部15間で互いに平行に配置され、複数の反射面11bは、複数の突出部15間で互いに平行に配置されている。
【0089】
結像素子1Cは、単位反射素子10J〜10Mが接着層13(接着剤)によって面方向に接合されることにより構成されている。単位反射素子10J〜10Mは、同一の構成を有する。単位反射素子10J〜10Mは、これら単位反射素子10J〜10M間において反射面11aが互いに平行に延び、反射面11bが互いに平行に延びるように接合されている。
【0090】
結像素子1Cを用いて空中映像を表示させるためには、結像素子1Cの透明基板14の一方の表面(透明基板14の主表面14Sとは反対側の表面)側の空間位置に、被投影物としての物体が配置される。物体から異なる方向に出た光は、結像素子1Cの透明基板14の一方の表面(透明基板14の主表面14Sとは反対側の表面)を介して透明基板14の内部に侵入し、その後、突出部15を介して反射面11a,11bに到達する。
【0091】
光は、その進行方向の前方に位置する反射面11a,11bによって反射され、結像素子1Cの突出部15の側に位置する他方の表面(すなわち、突出部15の頂面)を介して結像素子1Cの外部へと至る。結像素子1Cの外部へと出た光は、反射面11a,11bにおける再帰反射により、結像素子1Cが配置された平面を基準とした上記物体の対称位置に集光することになり、これによって物体の実像が、結像素子1Cの主表面14Sの側の空間位置において結像されることになる。
【0092】
(結像素子1Cの製造方法)
図19を参照して、まず、単位反射素子10J〜10Mが準備される。単位反射素子10J〜10Mは、切削、研磨、接着、成形など、種々の手法を使用して作製されることができる。
【0093】
次に、単位反射素子10J〜10Mは、面方向において互いに隣り合うように、平面体40(
図19参照)の表面41上に配置される。
図19は、平面体40の表面上に、単位反射素子10J,10Kを配置する様子を示す斜視図である。
図20は、
図19中に示すXX−XX線に沿った矢視断面図である。2つの単位反射素子に着目すると、単位反射素子10J(第1の単位反射素子)と単位反射素子10K(第2の単位反射素子)とが、面方向に隣り合うように平面体40の表面41上に配置される。
【0094】
図20を参照して、単位反射素子10J〜10Mを平面状に並べて配置した後、吸引部42,43からエアーを吸引することで、単位反射素子10J〜10Mに負圧による外力が付与される。単位反射素子10J〜10Mに外力を付与することにより、平面体40の表面41の形状に沿うように、単位反射素子10J〜10Mは変形する。
【0095】
単位反射素子10J〜10Mを外力(負圧)により変形させる工程は、単位反射素子10J〜10Mに対して順番に行なうことが好ましい。たとえば、単位反射素子10Jを平面体40の表面41上に配置し、単位反射素子10Jの位置決めを行なう。単位反射素子10Jの位置が定められた後、必要十分な吸引力を利用して単位反射素子10Jを表面41上に固定するとともに、平面体40の表面41の形状に沿うように、単位反射素子10Jを変形させる。仮に、単位反射素子10Jが反りを有していたとしても、吸引が続けられている間は、変形によって単位反射素子10Jの反りは解消する。
【0096】
次に、単位反射素子10Kを、単位反射素子10Jに面方向に隣接するように平面体40の表面41上に配置し、単位反射素子10Kの位置決めを行なう。単位反射素子10Kの位置が定められた後、必要十分な吸引力を利用して単位反射素子10Kの位置を固定するとともに、平面体40の表面41の形状に沿うように、単位反射素子10Kを変形させる。
【0097】
以上のような位置決め、固定、および吸引による変形が、単位反射素子10J〜10Mに対して順に行われる。バルブ46(
図20)が1つの領域R1(
図19)に対して1つずつ設けられていることによって、以上のような位置決め、固定、および吸引による変形を、単位反射素子10J〜10Mに対して順に容易に行なうことが可能となる。
【0098】
図20を参照して、単位反射素子10J〜10Mに外力(吸引による負圧)を付与することにより平面体40の表面41の形状に沿うように単位反射素子10J〜10Mを変形させた状態で、ディスペンサー50を用いて、隣り合う単位反射素子10J〜10Mの端部同士の間に接着剤(たとえばエポキシ系の接着剤)が供給される。ここで供給される接着剤は、硬化することにより、上述した接着層13となるものである。単位反射素子10J〜10Mの間の部分からはみ出ている不要な接着剤は、吸引ノズル51(
図8参照)を用いて除去することが好ましい。
【0099】
本実施の形態においても、単位反射素子10J〜10Mに外力(吸引による負圧)を付与することにより平面体40の表面41の形状に沿うように単位反射素子10J〜10Mを変形させた状態で(換言すると、単位反射素子10J〜10Mの変形を維持させたままの状態で)、単位反射素子10J〜10Mは、接着剤が硬化することにより互いに接着される。
【0100】
必要に応じて、単位反射素子10J〜10Mを接合して組立体としての結像素子を構成した後に、枠状部材2A(
図11参照)や透明平板2Bをその組立体に取り付けて一体化してもよい。当該構成により、一体化されることで高い剛性を備えた結像素子を得ることが可能となる。
【0101】
本実施の形態においても、単位反射素子10J〜10Mが平面体40の表面41の形状に沿うように変形を維持した状態で接着剤が硬化することで、単位反射素子10J〜10Mが互いに接合される。これにより、隣接する単位反射素子の表面同士は、接着部の近傍において滑らかに連続した1つの面を形成することが可能となる。
【0102】
複数の単位反射素子10J〜10Mがこのような滑らかに連続した表面形状を有するように接合されており、このような構成を有する結像素子1Cによれば、隣接する単位反射素子の反射面同士に傾き差が生じず、接着部の近傍を通過する光に不要な角度差が生じることを抑制できる。その結果、接着部の近傍を通過して結像された空中映像に画像ずれが生じる可能性を低減できる。
【0103】
[実施の形態3]
図21を参照して、実施の形態3における結像素子の製造方法について説明する。実施の形態1と実施の形態3とは、以下の点において相違している。実施の形態1においては、単位反射素子10A〜10Iを平面状に並べて配置した後、吸引部42,43からエアーを吸引することで、単位反射素子10A〜10Iに負圧による外力が付与される。
【0104】
図21に示すように、本実施の形態においては、押圧面52Sを有する押圧機構52が用いられる。押圧機構52は、平面体40の表面41に対して直交する方向に昇降移動することができる。押圧機構52の押圧面52Sによって、単位反射素子10A,10Bが平面体40の表面41に押し付けられる。押圧面52Sから受ける押圧力(外力)によって、平面体40の表面41の形状に沿うように単位反射素子10A,10Bは変形する。
【0105】
押圧機構52を用いた位置決め、固定、および押圧による変形が、単位反射素子10A〜10Iに対して順に行われるとよい。押圧機構52が1つの単位反射素子に対して1つずつ設けられていることによって、以上のような位置決め、固定、および押圧による変形を、単位反射素子10A〜10Iに対して順に容易に行なうことが可能となる。押圧機構52の昇降移動による押圧に限られず、外力として磁石の磁気吸着力などを用いて単位反射素子10A〜10Iの位置決め、固定、および押圧による変形を行なってもよい。
【0106】
[実施の形態4]
図22,
図23を参照して、実施の形態4における結像素子の製造方法について説明する。実施の形態1と実施の形態4とは、以下の点において相違している。本実施の形態においては、平面体40に凹部40Pが設けられている。
【0107】
たとえば、単位反射素子10A(第1の単位反射素子)と単位反射素子10B(第2の単位反射素子)とは、これらの間の部分が凹部40Pの上方に位置するように、平面体40の表面41上に配置される。単位反射素子10A,10Bの間に接着剤(接着層13を構成する接着剤)が供給される際には、凹部40Pの存在によって、平面体40の表面41のうちの単位反射素子10A,10Bの間の部分から見て平面体40の側に位置する部分に、空隙Sが設けられる(
図22参照)。
【0108】
単位反射素子10Aの端部10ATと単位反射素子10Bの端部10BTとの間に接着剤を供給した時、仮に空隙Sが存在していない場合には、毛細管現象によって、接着剤は単位反射素子10A,10Bと平面体40の表面41との間に入り込みやすい。一方で、空隙Sが存在している場合には、端部10AT,10BT間に供給された接着剤は、表面張力の作用によって、端部10AT,10BTの近傍に留まることとなる(
図23参照)。空隙Sが設けられていることによって、接着剤の不要な濡れ広がりを抑制することが可能となる。図示していないが、他の単位反射素子10C〜10Iについても同様に、凹部40Pを平面体40に設けることによって接着剤の不要な濡れ広がりを抑制するとよい。
【0109】
[実施の形態5]
図24〜
図26を参照して、実施の形態5における結像素子の製造方法について説明する。
図24は、実施の形態5における結像素子の製造方法において用いられる平面体40Dを示す斜視図である。
図25は、
図24中に示すXXV−XXV線に沿った矢視断面図である。実施の形態1と実施の形態5とは、以下の点において相違している。
【0110】
本実施の形態においては、平面体40(実施の形態1)の代わりに、平面体40Dが用いられる。平面体40Dは、平板状の基台部47と、基台部47の表面47S上に着脱可能に配置される複数のスペーサー60A〜60Iとを含む。スペーサー60A〜60Iは、たとえば、0.5mmの厚さを有する金属製の部材から作製される。
【0111】
基台部47の表面47Sは、平坦な面形状を有し、高い平面度を有するように形成されている。
図24中に示している領域R2は、基台部47の表面47Sのうち、複数のスペーサー60A〜60Iが配置されることが予定されているおおよその位置を示している(ここではスペーサー60Aに対応する1つの領域R2のみを図示している)。基台部47は、表面47S上に開口する複数の吸引部43を有している(ここではスペーサー60Aに対応する1つの吸引部43のみを図示している)。吸引部43は、1つの領域R2内の丁度中央の位置に開口するように設けられている。
【0112】
スペーサー60A〜60Iは、平面視で正方形を呈する板状の形状を有している。スペーサー60A〜60Iは、スペーサー60A〜60Iの表面61上に配置される単位反射素子の外形形状よりも小さい外形形状を有する。たとえば、スペーサー60Aの表面61は、矩形状に形成され(本実施の形態においては正方形状に形成され)、スペーサー60Aの表面61上に配置される単位反射素子10Aの外形形状よりも小さい外形形状を有している。他のスペーサー60B〜60Iについても同様の特徴を有している。
【0113】
好ましくは、スペーサー60Aの外形形状は、スペーサー60Aの表面61上に配置される単位反射素子10Aの外形形状と相似関係を有しており、スペーサー60Aの外形形状を構成する1つの辺の長さL2は、この1つの辺に対応する単位反射素子10Aの外形形状の1つの辺の長さL3の95%以下であるとよい。単位反射素子10Aが180mm×180mmの外形形状(L3×L3)を有している場合には、たとえば、スペーサー60Aは、170mm×170mm(L2×L2)の外形形状に設定される。
【0114】
このL2,L3の寸法関係(相似比)は、スペーサー60A〜60Iの全てにおいて成立していることが好ましい。長さL2が長さL3の95%以下であれば、スペーサーの表面61(接触面)が1つの単位反射素子を位置精度よく安定して保持することが可能となる。より好ましくは、長さL2は長さL3の50%以上であるとよい。
【0115】
スペーサー60A〜60Iの各々は、表面61上に開口する複数の吸引部62,63を有している。複数の吸引部62,63は、いずれもスペーサー60A〜60Iの各々を厚さ方向に貫通している。吸引部63は、表面61内の丁度中央の位置に開口するように設けられている。
【0116】
4つの吸引部62は、表面61のうち、表面61上に配置される単位反射素子の4つの角部近傍の位置に開口するように設けられている。スペーサー60A〜60Iのうちの少なくとも1つのスペーサーについて、表面61のうちの表面61上に配置される単位反射素子の4つの角部近傍の位置に4つの吸引部62が開口するように設けられていることが好ましい。表面61のうちの表面61上に配置される単位反射素子の4つの角部近傍の位置において吸引部62が開口するとは、たとえば、表面61に対して相似比が0.75となる領域を表面61の中央に描いたとすると、吸引部62のほとんどまたは全部が、表面61に対して相似比が0.75となる領域の外側に位置していることを意味する。
【0117】
角部近傍に設けられた4つの吸引部62は、外力(吸引による負圧)を単位反射素子に効率よく付与することができる。単位反射素子が矩形状の外形を有している場合には4つの角部近傍にそれぞれ4つの吸引部62が設けられるとよく、単位反射素子が三角形の外形を有している場合には3つの角部近傍にそれぞれ3つの吸引部62が設けられるとよい。
【0118】
スペーサー60A〜60Iの各々は、表面61の側とは反対側に、凹部64および環状の脚部65を有している(
図25参照)。スペーサー60A〜60Iの脚部65が基台部47上に配置された状態において、凹部64と基台部47の表面47Sとの間には、空間66が形成される。複数の吸引部62,63は、基台部47に設けられた吸引部43に空間66を介して連通する。
【0119】
図26を参照して、本実施の形態においては、単位反射素子10A,10Bが基台部47の表面47S上に直接配置されることはなく、単位反射素子10A,10Bは、スペーサー60A,60Bの表面61上に配置される。単位反射素子10A(第1の単位反射素子)をスペーサー60A(第1のスペーサー)上に配置し、単位反射素子10B(第2の単位反射素子)をスペーサー60B(第2のスペーサー)上に配置した状態で、単位反射素子10A,10Bの位置が調整される。図示していないが、他の単位反射素子10C〜10Iについても同様である。
【0120】
単位反射素子10A〜10Iをスペーサー60A〜60I上にそれぞれ配置した後、吸引部62,63を通してエアーを吸引することで、単位反射素子10A〜10Iに負圧による外力が付与される。単位反射素子10A〜10Iに外力を付与することにより、平面体40Dの表面(ここではスペーサー60A〜60Iの表面61)の形状に沿うように、単位反射素子10A〜10Iは変形する。
【0121】
単位反射素子10A〜10Iを外力(負圧)により変形させる工程は、単位反射素子10A〜10Iに対して一括して行なってもよいが、単位反射素子10A〜10Iに対して順番に行なうことが好ましい。たとえば、単位反射素子10Aを平面体40Dの表面上に配置し(ここではスペーサー60Aの表面61上に配置し)、単位反射素子10Aの位置決めを行なう。位置決めの際、単位反射素子10Aを位置決めしやすいように、吸引部62,63は単位反射素子10Aをある程度の負圧で吸引していてもよい。
【0122】
単位反射素子10Aの位置が定められた後、必要十分な吸引力を利用して単位反射素子10Aをスペーサー60Aの表面61上に固定するとともに、スペーサー60Aの表面61の形状に沿うように、単位反射素子10Aを変形させる。仮に、単位反射素子10Aが反りを有していたとしても、吸引が続けられている間は、変形によって単位反射素子10Aの反りは解消し、単位反射素子10Aの外側主面10aおよび内側主面10bは高い平面度を有することとなる。
【0123】
次に、単位反射素子10Bを、単位反射素子10Aに面方向に隣接するように平面体40Dの表面上に配置し(ここではスペーサー60Bの表面61上に配置し)、単位反射素子10Bの位置決めを行なう。位置決めの際、単位反射素子10Bを位置決めしやすいように、吸引部62,63は単位反射素子10Bをある程度の負圧で吸引していてもよい。単位反射素子10Bの位置が定められた後、必要十分な吸引力を利用して単位反射素子10Bの位置を固定するとともに、スペーサー60Bの表面61の形状に沿うように、単位反射素子10Bを変形させる。
【0124】
次に、単位反射素子10C(第3の単位反射素子)を、単位反射素子10Bに面方向に隣接するように平面体40Dの表面上に配置し(ここではスペーサー60Cの表面61上に配置し)、単位反射素子10Cの位置決めを行なう。位置決めの際、単位反射素子10Cを位置決めしやすいように、吸引部62,63は単位反射素子10Cをある程度の負圧で吸引していてもよい。単位反射素子10Cの位置が定められた後、必要十分な吸引力を利用して単位反射素子10Cの位置を固定するとともに、スペーサー60Cの表面61の形状に沿うように、単位反射素子10Cを変形させる。
【0125】
単位反射素子10Cの位置決め、固定、および吸引による変形を行なう代わりに、単位反射素子10D(第3の単位反射素子)(
図1参照)を、単位反射素子10Aに面方向に隣接するように平面体40Dの表面上に配置し(ここではスペーサー60Dの表面61上に配置し)、単位反射素子10Dの位置決め、固定、および吸引による変形を行なってもよい。単位反射素子10Cの位置決め、固定、および吸引による変形を行なう代わりに、単位反射素子10E(第3の単位反射素子)(
図1参照)を、単位反射素子10Bに面方向に隣接するように平面体40Dの表面41上に配置し(ここではスペーサー60Eの表面61上に配置し)、単位反射素子10Eの位置決め、固定、および吸引による変形を行なってもよい。
【0126】
以上のような位置決め、固定、および吸引による変形が、単位反射素子10A〜10Iに対して順に行われる。バルブ46が1つの領域R2(
図24)に対して1つずつ設けられていることによって、以上のような位置決め、固定、および吸引による変形を、単位反射素子10A〜10Iに対して順に容易に行なうことが可能となる。当該構成によれば、先に置いた単位反射素子を基準に次の単位反射素子を順次配置していくことが可能となり、パネルサイズの拡張が容易となる。
【0127】
図26を参照して、単位反射素子10A〜10Iに外力(吸引による負圧)を付与することにより平面体40Dの表面(各スペーサー60A〜60Iの表面)の形状に沿うように単位反射素子10A〜10Iを変形させた状態で、ディスペンサー50を用いて、隣り合う単位反射素子10A〜10Iの端部同士の間に接着剤(たとえばエポキシ系の接着剤)が供給される。ここで供給される接着剤は、硬化することにより上述した接着層13となるものである。
【0128】
本実施の形態においては、スペーサー60A,60Bが、スペーサー60A,60Bの表面61上にそれぞれ配置される単位反射素子10A,10Bの外形形状よりも小さい外形形状を有しているため、平面体40Dの表面(各スペーサー60A,60Bの表面)のうちの単位反射素子10A,10Bの間の部分から見て平面体41Dの側に位置する部分に、空隙Sが設けられている(
図26参照)。
【0129】
空隙Sが設けられていることによって、接着剤の不要な濡れ広がりを抑制することが可能となる。他のスペーサー60C〜60I間においても同様の作用および効果を得ることができる。実施の形態1の場合と同様に、単位反射素子10A〜10Iの間の部分からはみ出ている不要な接着剤は、吸引ノズル51(
図8参照)を用いて除去することが好ましい。
【0130】
実施の形態1の場合と同様に、単位反射素子10A〜10Iに外力(吸引による負圧)を付与することにより平面体40Dの表面の形状に沿うように単位反射素子10A〜10Iを変形させた状態で(換言すると、単位反射素子10A〜10Iの変形を維持させたままの状態で)、単位反射素子10A〜10Iは、接着剤が硬化することにより互いに接着される。
【0131】
接着剤の硬化によって、隣り合う単位反射素子10A〜10Iの間には、平面視格子状の継ぎ目部としての接着層13が形成され、隣り合う単位反射素子10A〜10Iの端部同士が接合される。以上により、9つの単位反射素子10A〜10Iが一体化され、単一の第1複合反射素子10(
図10等参照)が形成される。単位反射素子20A〜20I(
図10等参照)についても、上記と同様な工程を実施することにより、単位反射素子20A〜20Iが一体化され、単一の第2複合反射素子20が形成される。
【0132】
(作用および効果)
本実施の形態は、スペーサー60A〜60Iが用いられるという点で実施の形態1〜4と相違している。実施の形態1,2の製造方法においては、平面体40の表面41に複数の吸引部42,43が設けられる(
図5,
図19参照)。実施の形態4の製造方法においては、平面体40の表面41の全体に凹部40Pが設けられる(
図22参照)。
【0133】
スペーサー60A〜60Iを用いる本実施の形態の構成は、平面体40に穴加工や溝加工を設けるという実施の形態1〜4の構成に比べて、複数種類の大きさや形状を有する結像素子を作製したい場合に容易に対応できるという点で優れている。すなわち、結像素子のサイズやレイアウトを変更したいとなった場合には、スペーサー60A〜60Iを違うものに交換するだけでよく、基台部47については共通して使用することが可能である。
【0134】
[実施の形態6]
図27,
図28を参照して、実施の形態6における結像素子の製造方法について説明する。
図27は、実施の形態6における結像素子の製造方法を示す斜視図である。
図28は、
図27中に示すXXVIII−XXVIII線に沿った矢視断面図である。実施の形態6は、実施の形態5と以下の点において相違している。
【0135】
本実施の形態における結像素子の製造方法は、単位反射素子10Aと単位反射素子10Bとの間の部分(すなわちこれらの端部10AT,10BT)が露出するように、単位反射素子10A,10Bの表面をマスキング材70で被覆する工程と、接着剤(単位反射素子10A,10Bの接合に供さない不要な接着剤)とともにマスキング材70を除去する工程とをさらに備えている。
【0136】
切削、研磨、接着、成形など、種々の手法を使用して単位反射素子10A〜10Iを準備した後に、マスキング材70を、これらの表面の一部を被覆するように設けるとよい。マスキング材70は、たとえば帯状に形成され、各素子の端から3mmの幅を有する領域を被覆する。
図27では、単位反射素子の4つの辺のうち、隣りの単位反射素子に隣接する辺(すなわち接着剤が供給される辺)にのみマスキング材70を設けているが、マスキング材70は、単位反射素子の4つの辺のすべてに設けられていても構わない。
【0137】
図28では、単位反射素子10A,10Bの外側主面10aおよび内側主面10bの双方にマスキング材70を設けているが、マスキング材70は外側主面10aおよび内側主面10bの一方にのみ設けられていても構わない。マスキング材70は、接着剤が完全に硬化した後に単位反射素子の表面から除去してもよいし、接着剤がある程度硬化した後に除去してもよい。図示していないが、他の単位反射素子10C〜10Iについても同様に、マスキング材70を活用して効率的に接着作業を行なうとよい。
【0138】
[実施の形態7]
図29,
図30を参照して、実施の形態7における結像素子の製造方法について説明する。
図29,
図30は、それぞれ、実施の形態7における結像素子の製造方法を示す斜視図および断面図である。実施の形態7は、シム部材71が用いられるという点において実施の形態6と相違している。シム部材71は、たとえば0.03mmの厚さを有する金属製の薄板から構成される。
【0139】
本実施の形態における結像素子の製造方法は、単位反射素子10A(第1の単位反射素子)と単位反射素子10B(第2の単位反射素子)との間にシム部材71を配置する工程と、シム部材71を用いて単位反射素子10A,10Bの位置を調整した後に、単位反射素子10A,10Bに外力を付与することでこれらの位置を固定する工程と、単位反射素子10A,10Bの間に接着剤を供給する工程よりも前に、単位反射素子10A,10Bの間からシム部材71を抜き取る工程とをさらに備える。
【0140】
シム部材71を用いることで、単位反射素子10A,10Bの位置を容易に調整することが可能となる。単位反射素子10A,10Bに外力を付与する手段としては、
図30においては4つの吸引部62を図示しているが、上述の実施の形態3(
図21)の場合と同様に、押圧機構52を用いた押圧による外力を各素子に付与しても構わない。図示していないが、他の単位反射素子10C〜10Iについても同様に、シム部材71を活用して効率的に位置決め作業を行なうとよい。なお、シム部材71の厚さについては、常に一種類の厚さを有するシム部材71を用いるのではなく、必要に応じて異なる厚さを有するシム部材71を用いて位置調整を行ってもよい。
【0141】
[実施の形態8]
図31〜
図33を参照して、実施の形態8における結像素子の製造方法について説明する。
図31は、実施の形態8における結像素子の製造方法を示す平面図である。
図32は、
図31中に示すXXXII−XXXII線に沿った矢視断面図である。実施の形態8は、実施の形態7と以下の点において相違している。本実施の形態においては、平面体40D(実施の形態7)の代わりに平面体40Eが用いられ、さらに、参照ミラープレート10R、チャート101および撮像カメラ72が用いられる。
【0142】
平面体40Eの基台部47は、基台部47のうちの単位反射素子10A,10Bの間の部分から見て基台部47の側に位置する部分に、透光部47Tを有している(
図32参照)。透光部47Tは、チャート101からの光を透過させるための部位である。透光部47Tは、たとえば、基台部47の一部にガラスや樹脂などからなる透明性を有する部材(透明部)を設けることで、基台部47の一部分として構成されることができる。平面体40Eの基台部47は、その全体が透明性を有する部材から構成されていてもよい。透光部47Tは、チャート101からの光を透過させることが可能であれば、基台部47を厚さ方向に貫通するように設けられた穴部(空間)から構成されてもよい。透光部47Tは、上記の透明部や穴部の両方を含むように構成されていても構わない。
【0143】
参照ミラープレート10Rは、単位反射素子10A,10Bと同様の構成を有しており、平面体40E(基台部47)に対して単位反射素子10A(第1の単位反射素子)および単位反射素子10B(第2の単位反射素子)の反対側に配置される。この際、参照ミラープレート10Rは、単位反射素子10A,10Bの間の部分に透光部47Tを介して跨るように配置される。さらに、参照ミラープレート10Rは、単位反射素子10A,10Bに形成された反射面11と、単位反射素子10A,10Bに形成された反射面11とが直交するように配置される。
図32に示すように、チャート101は、参照ミラープレート10Rに面するように配置される。
【0144】
図33を参照して、チャート101には特定のパターン102が描かれており、本実施の形態では、複数本の第1直線と複数本の第2直線とが直交して延びるチャート(クロスチャート)が用いられる。チャート101としては、複数本の直線が平行に延びるチャート(横チャート)が用いられても構わないし、チャート(図表)に限られず、たとえば写真や物体が描かれたチャート101が用いられてもよい。
【0145】
チャート101からの光は、参照ミラープレート10Rと、平面体40Eに設けられた透光部47Tと、単位反射素子10A,10Bの間の部分とを順次通過する。チャート101からの光が参照ミラープレート10Rおよび単位反射素子10A,10Bを通過することによって、単位反射素子10A,10B(参照ミラープレート10R)の一方の面側の空間位置に配置されたチャート101の鏡映像201が、単位反射素子10A,10Bの他方の面側の空間位置において結像する。
【0146】
撮像カメラ72は、単位反射素子10A,10Bの他方の面側の空間位置に配置されており、鏡映像201を撮像する。撮像カメラ72により撮像された鏡映像201は、別に設けられたディスプレイに表示される。鏡映像201を確認しながら、鏡映像201がチャート101のパターン102の形状に対応するように(一致するように)単位反射素子10A,10Bの位置が調整される。図示していないが、他の単位反射素子10C〜10Iについても同様に位置調整が行われる。
【0147】
単位反射素子10A〜10Iおよび参照ミラープレート10Rにより結像された鏡映像201を確認しながら、鏡映像201がチャート101のパターン102の形状に対応するように単位反射素子10A〜10Iを相互に位置決めすることによって、鏡映像に歪みが生じることのない結像素子を製造することが可能となる。単位反射素子10A〜10Iの他方の面側に透過型または反射型スクリーンを設置して、そのスクリーンに映った鏡映像201を確認しながら単位反射素子10A〜10Iの位置決めを行なってもよいし、鏡映像201を肉眼により確認しながら単位反射素子10A〜10Iの位置決めを行なってもよい。
【0148】
図31,
図32には、単位反射素子10A,10Bの間にシム部材71を配置しているが、シム部材71の厚さについては、常に一種類の厚さを有するシム部材71を用いるのではなく、必要に応じて異なる厚さを有するシム部材71を用いて位置調整を行なってもよい。参照ミラープレート10Rやチャート101を用いて単位反射素子10A,10Bの位置決めを行なう際には、必要に応じて(必要なタイミングで)、シム部材71を単位反射素子10A,10Bの間から抜き取っても構わない。他の単位反射素子10C〜10Iの位置調整を行なう場合についても同様である。
【0149】
[実施の形態9]
図34〜
図36を参照して、実施の形態9における結像素子の製造方法について説明する。
図34は、実施の形態9における結像素子の製造方法を示す断面図である。実施の形態9は、実施の形態6と以下の点において相違している。本実施の形態は、単位反射素子10A(第1の単位反射素子)と単位反射素子10B(第2の単位反射素子)とを拡大観察しながら、単位反射素子10A,10Bの位置を調整する工程をさらに備える。
【0150】
図34を参照して、具体的には、撮像カメラ73,74を単位反射素子10Aの外側主面10aに対向する位置に配置することにより、単位反射素子10Aの外側主面10aに露出する反射面11(
図10等参照)の複数箇所(2箇所)を拡大観察する。同様に、撮像カメラ75,76を単位反射素子10Bの外側主面10aに対向する位置に配置することにより、単位反射素子10Bの外側主面10aに露出する反射面11(
図10等参照)の複数箇所(2箇所)を拡大観察する。
【0151】
撮像カメラ73〜76は、支持部77により一体に支持されている。撮像カメラ73〜76は、単位反射素子10A,10Bの外側主面10aの直上において、反射面11が延びる方向に沿って一直線に並ぶように支持されている。本実施の形態では、撮像カメラ73,74が並ぶ直線と、撮像カメラ75,76が並ぶ直線とは、同一直線である。すなわち、撮像カメラ73〜76は、直線を観察した場合に、撮像カメラ73〜76の視野(画面)の中央にその直線が観察されるように配置されている。
【0152】
撮像カメラ73により観察する反射面11と、撮像カメラ74により観察する反射面11とは、単位反射素子10Aの外側主面10aに露出する同一の反射面11である。撮像カメラ75により観察する反射面11と、撮像カメラ76により観察する反射面11とは、単位反射素子10Bの外側主面10aに露出する同一の反射面11である。撮像カメラ73,74によって観察する同一の反射面11が撮像カメラ73,74の視野の中央部に配置され、撮像カメラ75,76によって観察する同一の反射面11が撮像カメラ75,76の視野の中央部に配置されるように、撮像カメラ73〜76を配置する。
【0153】
図35では、撮像カメラ73〜76によって拡大撮影された反射面11が、円形の画面78内に映し出されている。たとえば、撮像カメラ73,74によって拡大撮影された反射面11が画面78の中央を通って一直線に延びる一方、撮像カメラ75,76によって拡大撮影された反射面11が画面78の中央からずれた位置に表示される場合には、単位反射素子10Aに対する単位反射素子10Bの位置調整を行なう。
【0154】
図36に示すように、撮像カメラ73〜76によって拡大撮影された反射面11の全てが画面78の中央を通って一直線に延びるように、単位反射素子10A,10Bの相互の位置調整を行なうことにより、単位反射素子10A,10B間で対応する反射面11を同一直線上に配置することができる。
【0155】
反射面11の全てが画面78の中央を通って一直線に延びるように、単位反射素子10A,10Bの位置調整を行なう場合に限られず、上記の位置調整方法は、画面78の中に映し出された反射面11の全てが互いに平行に延びるように、複数の単位反射素子の位置調整を行なう場合にも適用できるものである。あるいは、上記の位置調整方法は、上述の実施の形態2で説明した単位反射素子10J〜10M同士の位置決めを行う場合にも使用できるものである。本実施の形態では、計4台の撮像カメラ73〜76を用いているが、1台の撮像カメラ73を前後方向および/または左右方向に動かし、必要な範囲を拡大観察して上記と同様な位置調整を行ってもよい。
【0156】
[実施の形態10]
図37〜
図40を参照して、実施の形態10における結像素子の製造方法について説明する。
図37は、実施の形態10における結像素子の製造方法を示す平面図である。
図38は、
図37中に示すXXXVIII−XXXVIIIに沿った矢視断面図である。実施の形態10は、実施の形態9と以下の点において相違している。本実施の形態においては、透明性を有するチャート103が用いられる。
【0157】
図37に示すように、チャート103は、単位反射素子10A(第1の単位反射素子)と単位反射素子10D(第2の単位反射素子)とに跨るように配置される。撮像カメラ73,74は、単位反射素子10A,10Dの間の部分の直上に配置される。本実施の形態では、チャート103の表面上に、特定のパターン104,105(
図39,
図40も参照)が描かれており、これらの特定のパターン104,105は、間隔を空けて配置された2本の破線(たとえばクロムマスク)から構成されている。
【0158】
図39では、撮像カメラ73によって拡大撮影された単位反射素子10Aの外形形状(ここでは端部10AS)および単位反射素子10Dの外形形状(ここでは端部10DS)が、円形の画面78内に映し出されている。たとえば、撮像カメラ73によって拡大撮影された端部10AS,10DSのうち、端部10DSがパターン105に一致するように配置されている一方で、端部10ASがパターン104からずれた位置に表示される場合には、単位反射素子10Aの位置調整を行なう。この際、撮像カメラ74を用いて、単位反射素子10A,10Dについて同様な位置調整を行なうことが好ましい。
【0159】
図40に示すように、撮像カメラ73,74によって拡大撮影された端部10AS,10DSをパターン104,105にそれぞれ一致させることで、単位反射素子10A,10Dの相互の位置調整を容易に行なうことができる。以上のような位置調整によって、隣り合う単位反射素子10A,10Dの間の間隔L5(
図40)を、たとえば0.01mm以上0.05mm以下の値に設定することができる。単位反射素子10A,10Dの位置調整と同時に、撮像カメラ75,76を用いて、単位反射素子10B,10Eについても同様な位置調整を行なうことが好ましい。
【0160】
チャート103のパターン104,105に一致させるのは、単位反射素子の外形形状(上記の場合には端部10AS,10DS)に限られず、上述の実施の形態9の場合と同様に、反射面11を位置合わせの基準として、この反射面11をパターン104,105に一致させるように位置決めを行なってもよい。本実施の形態でも、計4台の撮像カメラ73〜76を用いているが、1台の撮像カメラ73を前後方向および/または左右方向に動かし、必要な範囲を拡大観察して上記と同様な位置調整を行ってもよい。
【0161】
各実施の形態として開示した上記の技術的思想は、以下の付記に記載のとおり概括することが可能である。
【0162】
[付記1]
一方の面側の空間位置に配置される物体の実像を他方の面側の空間位置において結像させる結像素子の製造方法であって、
各々が複数の反射面を有する複数の単位反射素子を準備する工程と、
複数のうちの第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子とを面方向に隣り合うように平面体上に配置する工程と、
第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との間に接着剤を供給する工程と、
第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との少なくとも一方に外力を付与することにより、上記平面体の表面の形状に沿うように上記少なくとも一方の単位反射素子を変形させる工程と、を備え、
上記少なくとも一方の単位反射素子に上記外力を付与することにより上記平面体の上記表面の形状に沿うように上記少なくとも一方の単位反射素子を変形させた状態で、上記接着剤を硬化させ、第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子とを互いに接着する、
結像素子の製造方法。
【0163】
[付記2]
上記少なくとも一方の単位反射素子に上記外力を付与することにより上記平面体の上記表面の形状に沿うように上記少なくとも一方の単位反射素子を変形させた状態で、第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との間に上記接着剤を供給する、
付記1に記載の結像素子の製造方法。
【0164】
[付記3]
上記平面体は、上記平面体の上記表面上に開口する吸引部を有し、上記吸引部からエアーを吸引することで上記少なくとも一方の単位反射素子に上記外力を付与する、
付記1または2に記載の結像素子の製造方法。
【0165】
[付記4]
第1の上記単位反射素子または第2の上記単位反射素子に面方向に隣接するように第3の上記単位反射素子を配置する工程をさらに備え、
第1の上記単位反射素子および第2の上記単位反射素子に上記外力を付与することでこれらの位置を固定した後に、第3の上記単位反射素子に上記外力を付与することで第3の上記単位反射素子の位置を固定する、
付記1から3のいずれか1項に記載の結像素子の製造方法。
【0166】
[付記5]
第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との間にシム部材を配置する工程と、
上記シム部材を用いて第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との位置を調整した後に、第1の上記単位反射素子および第2の上記単位反射素子に上記外力を付与することでこれらの位置を固定する工程と、
第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との間に上記接着剤を供給する工程よりも前に、第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との間から上記シム部材を抜き取る工程と、をさらに備える、
付記1から4のいずれか1項に記載の結像素子の製造方法。
【0167】
[付記6]
複数の上記単位反射素子の各々は、厚み方向に直交する方向に沿って間隔を空けて並ぶように互いに平行に配置された複数の上記反射面と、隣り合う2つの上記反射面の間に位置する複数の透明体とを含む、
付記1から5のいずれか1項に記載の結像素子の製造方法。
【0168】
[付記7]
上記平面体は、穴部および透明部のうちの少なくとも一方からなる透光部を有しており、
上記平面体に対して第1の上記単位反射素子および第2の上記単位反射素子の反対側には、第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との間の部分に上記透光部を介して跨るように参照ミラープレートが配置されており、
特定のパターンが描かれたチャートを上記参照ミラープレートに面するように配置する工程と、
上記参照ミラープレートと、上記平面体の上記透光部と、第1の上記単位反射素子および第2の上記単位反射素子の間の部分とを上記チャートからの光が順次通過することで形成された鏡映像を確認しながら、第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との位置を調整する工程をさらに備える、
付記6に記載の結像素子の製造方法。
【0169】
[付記8]
第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子とを拡大観察しながら、第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との位置を調整する工程をさらに備える、
付記1から6のいずれか1項に記載の結像素子の製造方法。
【0170】
[付記9]
特定のパターンが描かれたチャートを第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子とに跨るように配置し、
第1の上記単位反射素子および第2の上記単位反射素子の上記反射面と上記特定のパターンとが一致するように、または、第1の上記単位反射素子および第2の上記単位反射素子の外形形状と上記特定のパターンとが一致するように、第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との位置を調整する、
付記8に記載の結像素子の製造方法。
【0171】
[付記10]
上記平面体のうちの第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との間の部分から見て上記平面体の側に位置する部分に空隙を設けた状態で、第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との間に上記接着剤を供給する、
付記1から9のいずれか1項に記載の結像素子の製造方法。
【0172】
[付記11]
上記平面体は、
基台部と、
上記基台部上に着脱可能に配置され、各々が上記吸引部を有する複数のスペーサーと、を含み、
上記スペーサーは、上記スペーサーの表面上に配置される上記単位反射素子の外形形状よりも小さい外形形状を有し、
第1の上記単位反射素子を第1の上記スペーサー上に配置し、第2の上記単位反射素子を第2の上記スペーサー上に配置した状態で、第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との位置を調整する、
付記3に記載の結像素子の製造方法。
【0173】
[付記12]
複数のうちの少なくとも1つの上記スペーサーは、上記スペーサーの上記表面のうち、上記スペーサーの上記表面上に配置される上記単位反射素子の角部近傍の位置に上記吸引部が開口するように構成されている、
付記11に記載の結像素子の製造方法。
【0174】
[付記13]
上記スペーサーの外形形状は、上記スペーサーの上記表面上に配置される上記単位反射素子の外形形状と相似関係を有しており、
上記スペーサーの外形形状を構成する1つの辺の長さは、上記1つの辺に対応する上記単位反射素子の外形形状の1つの辺の長さの95%以下である、
付記11または12に記載の結像素子の製造方法。
【0175】
[付記14]
第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との間の部分からはみ出ている上記接着剤を吸引により除去する工程をさらに備える、
付記1から13のいずれか1項に記載の結像素子の製造方法。
【0176】
[付記15]
第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との間の部分が露出するように、第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との表面をマスキング材で被覆する工程と、
上記マスキング材を上記接着剤とともに除去する工程と、をさらに備える、
付記1から14のいずれか1項に記載の結像素子の製造方法。
【0177】
[付記16]
上記接着剤の粘度は、1000mPa・s以下である、
付記1から15のいずれか1項に記載の結像素子の製造方法。
【0178】
[付記17]
上記接着剤の屈折率と上記透明体の屈折率とは、略等しい値である、
付記6に記載の結像素子の製造方法。
【0179】
[付記18]
上記接着剤により互いに接着された第1の上記単位反射素子と第2の上記単位反射素子との間の間隔は、0.01mm以上0.05mm以下である、
付記1から17のいずれか1項に記載の結像素子の製造方法。
【0180】
[付記19]
第1の上記単位反射素子の第2の上記単位反射素子に接着される端部の平均厚さと、第2の上記単位反射素子の第1の上記単位反射素子に接着される端部の平均厚さとの差は、0.03mm以下である、
付記1から18のいずれか1項に記載の結像素子の製造方法。
【0181】
[付記20]
第1複合反射素子を構成する複数の上記単位反射素子の端部同士を接着することにより上記第1複合反射素子を形成する工程と、
第2複合反射素子を構成する複数の上記単位反射素子の端部同士を接着することにより上記第2複合反射素子を形成する工程と、
上記第1複合反射素子と上記第2複合反射素子とを重ね合わせる工程と、をさらに備える、
付記6に記載の結像素子の製造方法。
【0182】
[付記21]
上記第1複合反射素子と上記第2複合反射素子とを重ね合わせて組立体を構成した後に、透明平板または枠状部材を上記組立体に取り付けて一体化する工程をさらに備える、
請求項20に記載の結像素子の製造方法。
【0183】
以上、複数の実施の形態について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
結像素子の製造方法は、単位反射素子(10A,10B)を面方向に隣り合うように平面体(40)上に配置する工程と、単位反射素子(10A,10B)の間に接着剤を供給する工程と、単位反射素子(10A,10B)の少なくとも一方に外力を付与することにより、平面体(40)の表面(41)の形状に沿うように少なくとも一方の単位反射素子を変形させる工程とを備える。少なくとも一方の単位反射素子に外力を付与することにより平面体(40)の表面(41)の形状に沿うように少なくとも一方の単位反射素子を変形させた状態で、接着剤を硬化させ、単位反射素子(10A,10B)とを互いに接着する。2枚の単位反射素子を面方向に接着した際に、隣接する表面同士が接着部の近傍において滑らかに連続した1つの面を形成することが可能となる。