(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以降、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上複数の実施形態に分けて示すが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。各実施形態の説明において、共通の事柄についての重複する記述は省略し、特に異なる点について説明する。また、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0027】
以降に示す各実施形態において、「アンテナ装置」とは、磁束を放射するアンテナである。アンテナ装置は、通信相手側のアンテナと磁界結合を用いた近傍界通信のために用いられるアンテナであり、例えばNFC(Near field communication)等の通信に利用される。アンテナ装置は、使用する周波数帯は例えばHF帯で使用され、特に13.56MHzまたは13.56MHz近傍の周波数で用いられる。アンテナ装置の大きさは使用する周波数における波長λに比べて十分に小さいため、使用周波数帯においては電磁波の放射特性は悪い。後述のアンテナ装置が備えるコイルアンテナのコイル導体を伸ばしたときのコイル導体の長さはλ/10以下である。なお、ここでいう波長とは、アンテナが形成される基材の誘電性や透磁性による波長短縮効果を考慮した実効的な波長のことを指す。コイルアンテナが有するコイル導体の両端は、使用周波数帯(HF帯、特に13.56MHz近傍)を操作する給電回路に接続される。よって、コイル導体には、コイル導体に沿って、つまり電流の流れる方向において、ほぼ一様な大きさの電流が流れ、コイル導体の長さが波長と同程度以上のときのように、コイル導体に沿った電流分布は略一様である。
【0028】
《第1の実施形態》
図1(A)は第1の実施形態に係るアンテナ装置301の平面図であり、
図1(B)はそのコイル素子配置部ACの平面図である。
図2はコイル素子20の実装前のコイル素子配置部の平面図である。
【0029】
アンテナ装置301は、配線基板110と、この配線基板110の面に形成された第1導体部11および第2導体部21を含む導電性部材と、給電回路が接続される結合コイルを有するコイル素子20と、キャパシタ3とを備える。配線基板110は本発明に係る「基材」の一例である。
【0030】
第1導体部11は面状に拡がる面状導体111と、部分的に延伸する延伸部11A,11Bとを備える。第1導体部11は導体開口OPおよび第1導体部11の外縁と導体開口OPとを連接する間隙G1を有する。キャパシタ3は間隙G1を渡るように配置される。この間隙G1は「スリット」と表現することもできる。
第2導体部21は導体開口OPの内縁の2点に接続され、導体開口OPを2つの導体開口OP1,OP2に二分する。すなわち、第2導体部21は、第1導体開口OP1と第2導体開口OP2との境界に沿った線状の導体パターンである。この第2導体部21および第1導体部11の一部である延伸部11A,11Bはループ状導体10を形成する。このループ状導体10が、キャパシタ3と共に形成する電流経路は本発明に係る「ループ状の電流経路」の一例である。
【0031】
コイル素子20は、図示されていない給電回路に接続され、コイル素子20内の結合コイルは上記ループ状の電流経路に磁界結合する。ここで、「ループ状の電流経路と磁界結合する」とは、ループ状の電流経路を形成する部分と磁界結合することを指す。従って、「ループ状導体と磁界結合する」ことや「第2導体部21と磁界結合する」ことも含む。
【0032】
配線基板110にはコイル素子接続パッド14,15が形成されている。コイル素子20の結合コイルのコイル導体78の両端はコイル素子接続パッド14,15に接続される。配線基板110には、コイル素子接続パッド14,15に接続された給電回路が設けられている。従って、コイル素子20の結合コイルのコイル導体78の両端はコイル素子接続パッド14,15を介して、給電回路に接続される。
【0033】
導体開口OPは、第1導体部11の外縁と導体開口OPとを連接する間隙G1を有するため、導体開口OP内を通る磁束を打ち消さない。この実施形態においては、特に導体開口OP1が、第1導体部11の外縁と導体開口OP1とを連接する間隙G1を有する。
【0034】
コイル素子20は、巻回軸まわりにヘリカル状に巻回された結合コイルのコイル導体78とこのコイル導体を挟んで対向するコイル素子20の第1端E1およびコイル素子20の第2端E2を有する。
図1(B)では、コイル素子20に結合コイルのコイル導体78を示したが、この結合コイルのコイル導体78は代表的に付した符号であり、詳細を以降に示すとおり、結合コイルは複数の線状導体、層間接続導体、端面導体等によって構成される。この例では、コイル素子20の結合コイルの巻回軸は面状導体111に平行であるが、完全に平行でなくてもよく、平行方向成分を有していればよい。
【0035】
コイル素子20の第1端E1は、配線基板110の平面視で、間隙G1と連接する第1導体開口OP1に重なる。すなわち、コイル素子20の第1端E1は、面状導体111よりもループ状導体10のループの内部に近接する。また、コイル素子20の第2端E2はループ状導体10のループの内部よりも面状導体111に近接する。このようなコイル素子20の配置によって、コイル素子20内の結合コイルは面状導体111およびループ状の電流経路に磁界結合する。
【0036】
図1(B)に示した例では、コイル素子20内の結合コイルは、平面視で、第2導体部21に重なるが、結合コイルは必ずしも第2導体部21に重ならなくてもよく、結合コイルはループ状の電流経路と磁界結合する位置にあればよい。
【0037】
図2に表れているように、第1導体部11の一方端部に導体パターンの間隙G1が形成されていて、この間隙G1を渡るように(繋ぐように)キャパシタ3が接続される。
【0038】
本実施形態によれば、上述のように、コイル素子20内の結合コイルが面状導体111およびループ状の電流経路と磁界結合するような配置関係とすることにより、コイル素子20の結合コイルと面状導体111とが結合するときに面状導体111に流れる電流と、コイル素子20の結合コイルとループ状導体10が形成するループ状の電流経路とが結合するときにループ状の電流経路に流れる電流とが重畳されて、ループ状導体10および面状導体111の放射体としての機能が高まる。
【0039】
《第2の実施形態》
図3(A)は第2の実施形態に係るアンテナ装置の平面図であり、
図3(B)はそのコイル素子配置部ACの平面図である。コイル素子20は補助導体を備え、第2導体は第2導体部21A,21Bにより構成される。その他の構成は第1の実施形態で示したものと同じである。
【0040】
第2導体部21A,21Bのそれぞれの端部には補助コイル接続パッド22A,22Bが形成されている。また、配線基板110にはコイル素子接続パッド14,15が更に形成されている。コイル素子20は補助コイル接続パッド22A,22Bおよびコイル素子接続パッド14,15に接続される。配線基板110には、コイル素子接続パッド14,15に接続された給電回路が設けられている。
【0041】
次に、結合コイル素子の詳細な構造について説明する。
図4はコイル素子20の斜視図である。
図5は、コイル素子20における多層基板70の各基材層の電極パターン等を示す分解平面図である。
図6は、コイル素子20内に構成される補助導体に流れる電流の経路を示す断面図である。
【0042】
コイル素子20は、ループ状導体10に直列接続される補助導体と、四角筒に沿ったヘリカル状の結合コイルとが、直方体状の多層基板70に形成された素子である。
【0043】
コイル素子20の底面(実装面)には、RFIC等の給電回路に接続するための2つの端子92A,93Aと、補助コイル接続パッド22A,22Bに接続するための2つの端子94,95とが形成されている。
【0044】
多層基板70は、
図5における(1)〜(17)で示す複数の基材層7a〜7qの順に積層される。
図5において、(1)は最下層であり、(17)は最上層である。
図5において、(1)〜(17)は基材層7a〜7qの底面であり、基材層7aの底面が多層基板70の実装面である。
【0045】
基材層7a,7b,7c,7p,7qは直方体形状の非磁性体層であり、例えば非磁性体フェライトである。基材層7d〜7oは直方体状の磁性体層であり、例えば磁性体フェライトである。つまり、多層基板70は、磁性体層である基材層7d〜7oを、非磁性体層である基材層7a,7b,7c,7p,7qで挟んだ構成である。なお、基材層7a〜7qは必ずしも磁性体層または非磁性体層でなくてもよく、絶縁体であればよい。また、ここでいう非磁性体層とは磁性体層よりも透磁率が低いものをさし、必ずしも非磁性体でなくてもよく、非磁性体層は比透磁率が1以上で磁性体層の比透磁率よりも低い磁性体でもよい。
【0046】
図5中の(1)に示す基材層7aの底面には、端子92A,93Aおよび端子94,95が形成されている。
【0047】
図5中の(2)に示す基材層7bの底面には、外部接続導体92B,93Bおよび線状導体71G,71Hが形成されている。外部接続導体92B,93Bと端子92A,93Aとは、それぞれ層間接続導体を介して接続される。線状導体71G,71Hは端子94,95に層間接続導体を介してそれぞれ接続される。
【0048】
図5中の(3)に示す基材層7cの底面には、複数の線状導体73Aが形成されている。
図5中の(4)に示す基材層7dの底面には、複数の線状導体73Bおよび線状導体71E,71Fが形成されている。複数の線状導体73Aと線状導体73Bとは層間接続導体を介してそれぞれ並列接続される。
【0049】
図5中の(5)〜(15)に示す基材層7e〜7oには、複数の端面導体81および複数の端面導体82が形成されている。
【0050】
図5中の(16)に示す基材層7pの底面には、複数の線状導体72Bおよび1つの線状導体71Bが形成されている。
図5中の(17)に示す基材層7qの底面には、複数の線状導体72Aおよび1つの線状導体71Aが形成されている。複数の線状導体72Aと線状導体72Bとは層間接続導体を介してそれぞれ並列接続される。また、線状導体71Aと線状導体71Bとは層間接続導体を介して並列接続される。
【0051】
複数の線状導体73Bは端面導体81,82を介して複数の線状導体72Bに順次直列に接続される。また、線状導体71E,71Fは端面導体71C,71Dを介して線状導体71Bに接続される。
【0052】
上記線状導体72A,72B,73A,73Bおよび端面導体81,82によって約12ターンの矩形ヘリカル状の結合コイルが形成される。
【0053】
また、線状導体71A,71B,71E,71F,71G,71Hおよび端面導体71C,71D等によって、約1ターンの矩形ループ状の補助導体が形成される。
【0054】
図6において電流i2は、上記補助導体に流れる電流の経路を示している。このように、コイル素子20は、結合コイルと共に、この結合コイルの巻回軸方向における中央に補助導体を備える。補助導体はループ状導体10およびキャパシタC3とともにループ状の電流経路を形成する。
【0055】
本実施形態においては、コイル素子20内の補助導体はループ状の電流経路の一部でもあるので、「ループ状の電流経路と磁界結合する」とは、「ループ状導体と磁界結合する」ことや「第2導体部21と磁界結合する」ことや「コイル素子20の補助導体と磁界結合する」ことも含む。
【0056】
上述のとおり、コイル素子20内の補助導体はループ状の電流経路の一部でもあるので、補助導体がコイル素子20に形成されていない場合に比べ、ループ状の電流経路とコイル素子20の結合コイルのコイル導体とがより近接する。したがって、ループ状の電流経路と結合コイルとの結合を強くできる。また、結合コイルの実装位置のばらつきによる、結合コイルとループ状の電流経路との結合度のばらつきを低減できる。但し、本発明は、この例のように、結合コイルおよび補助導体が単一の素子として構成されているものに限らない。
【0057】
なお、コイル素子20を、導体パターンが形成された複数の基材の積層による積層体で構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。例えば、磁性体コアに導体を巻きつける巻き線型のコイル素子や基材に平面コイルを形成したコイル素子であってもよい。
【0058】
また、上記「ループ状導体」とは、導体開口(OP、特にOP1)の周りにループ状の電流経路を形成する導体である。このループ状の電流経路の形成には、キャパシタやコイル素子の一部等、他の部品を介する部分を含めてもよい。
【0059】
上述の各種変形例は、本実施形態の変形例にとどまらず、全ての実施形態について同様に適用可能である。
【0060】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、コイル素子20内の結合コイルが面状導体111およびループ状の電流経路に磁界結合するような配置関係とすることにより、コイル素子20の結合コイルと面状導体111とが結合するときに面状導体111に流れる電流と、コイル素子20の結合コイルとループ状の電流経路とが結合するときにループ状の電流経路に流れる電流とが重畳されて、ループ状導体10および面状導体111の放射体としての機能が高まる。
【0061】
図7は、本実施形態のアンテナ装置301と通信相手アンテナ500との位置関係を示す斜視図である。また、
図8はアンテナ装置301と通信相手アンテナ500との結合の仕方について示す図である。
図8において、コイル素子20の結合コイルとループ状の電流経路とは結合係数k12で結合し、ループ状の電流経路と通信相手アンテナ500とは結合係数k23で結合する。更に、コイル素子20の結合コイルと通信相手アンテナ500とは結合係数k13で結合する。したがって、配線基板の面状導体111のエッジ部に結合コイルが単に配置されただけのアンテナ装置に比べて、概略的には上記結合係数k23の分だけ通信相手アンテナ500との結合が高まる。
【0062】
ここで、比較例としての複数のアンテナ装置と、それらの特性比較の結果を示す。
【0063】
図46(A)は、比較例のアンテナ装置301Xの部分平面図であり、
図46(B)はアンテナ装置301Xの、コイル素子20実装前のコイル素子配置部の平面図である。
【0064】
図47(A)は、比較例のアンテナ装置301Yの部分平面図であり、
図47(B)はアンテナ装置301Yの、コイル素子20実装前のコイル素子配置部の平面図である。
【0065】
図48(A)は、比較例のアンテナ装置301Zの部分平面図であり、
図48(B)はアンテナ装置301Zの、コイル素子20実装前のコイル素子配置部の平面図である。
【0066】
図46(A)(B)に示すアンテナ装置301Xは、第1導体部11は有るが、ループ状導体10は無い。
図47(A)(B)に示すアンテナ装置301Yは、ループ状導体10は有るが、第1導体部11は無い。
図48(A)(B)に示すアンテナ装置301Zは、ループ状導体10も面状導体111も有るが、ループ状導体の2箇所が面状導体111に接続されていない。
【0067】
図9は、本実施形態のアンテナ装置301と比較例のアンテナ装置301X,301Y,301Zについて、それぞれの結合係数を示す図である。ループ状電流経路と通信相手アンテナ500との結合係数k23は、本実施形態のアンテナ装置301が最も高く、比較例のアンテナ装置301Xが最も低い(≒0)。このことから、ループ状導体10と通信相手アンテナ500との結合が、アンテナ装置301と通信相手アンテナ500との結合に大きく寄与しているものと推測される。
【0068】
また、コイル素子20の結合コイルと通信相手アンテナ500との結合係数k13は、本実施形態のアンテナ装置301が最も高く、比較例のアンテナ装置301Yが最も低い。このことから、面状導体111と通信相手アンテナ500との結合が、アンテナ装置301と通信相手アンテナ500との結合に寄与しているものと推測される。
【0069】
さらに、アンテナ装置301Zの結合係数k23がアンテナ装置301の結合係数k23より低いのは、アンテナ装置301Zが、ループ状導体の2箇所で面状導体111に接続されていないことで、ループ状導体10の流れる電流が相対的に小さくなっていることに起因しているものと推測される。
【0070】
ここで、上記ループ状導体の2箇所が面状導体111に接続されるか否かによる、ループ状導体10に流れる電流の違いについて示す。
図10(A)は本実施形態のアンテナ装置301の面状導体111およびコイル素子配置部ACにおける電流の強度と向きを示す図であり、
図10(B)はそのコイル素子配置部ACにおける電流の強度と向きを示す図である。電流の強度と向きは、矢印の濃度と向きで示している。
図11は本実施形態のアンテナ装置301のコイル素子配置部ACにおける電流の強度と向きを示す図である。
図10(B)の表し方とは異なり、矢印の始点における電流の強度を矢印の大きさで表している。
図10(B)、
図11においては、ループ状導体10に接続されるキャパシタ3の図示を省略している。
【0071】
一方、
図49(A)は比較例のアンテナ装置301Zの面状導体111およびコイル素子配置部ACにおける電流の強度と向きを示す図であり、
図49(B)はそのコイル素子配置部ACにおける電流の強度と向きを示す図である。矢印の始点における電流の強度は矢印の大きさで表している。また、ループ状導体10に接続されるキャパシタの図示は省略している。
【0072】
特に
図10(B)と
図49(B)とを対比すると明らかなように、ループ状導体10が2箇所で面状導体111に接続されていないと、ループ状導体10に流れる電流が相対的に小さい。このことから、比較例のアンテナ装置301Zより本実施形態のアンテナ装置301の結合係数k23が高いことが理解できる。
【0073】
図12は本実施形態のアンテナ装置301およびそれに接続される回路の回路図である。但し、アンテナ装置301部分は等価回路である。ここでは、アンテナ装置301のコイル素子20内の結合コイルをインダクタL1で表している。また、ループ状導体10およびコイル素子20内の補助導体を1つのインダクタL2で表している。キャパシタC3はループ状導体10に接続されたキャパシタ3に相当する。インダクタL2とキャパシタC3で構成される電流経路がループ状の電流経路に相当する。更に、キャパシタ3の両側に接続されるグランド導体パターンのインダクタンス成分をインダクタL3で表している。インダクタL2,L3およびキャパシタC3はLC共振回路を構成している。このLC共振回路の共振周波数は、通信で用いる周波数帯である。
【0074】
送信時、インダクタL1とインダクタL2は、
図12中M12で示すように磁界結合し、インダクタL1から発生する磁束により、インダクタL2に誘導電流が流れる。また、インダクタL1とインダクタL3は、
図12中M13で示すように磁界結合し、L1から発生する磁束により、インダクタL3に誘導電流が流れる。受信時はこれらの逆の現象が生じる。このように、2つのインダクタL2,L3に流れる電流を利用することで、高いアンテナ特性が得られる。
【0075】
なお、整合回路MCは本発明の必須構成ではない。
【0076】
インダクタL1は1次アンテナということができ、インダクタL2およびキャパシタC3による共振回路は2次アンテナということができる。
【0077】
上記インダクタL1には整合回路MCを介してRFIC310が接続されている。RFIC310は、例えば13.56MHz帯を利用するNFC(Near Field Communication)用の無線通信回路を備える集積回路である。整合回路MCはシリーズ接続のキャパシタC11,C12とグランドに対するシャント接続のキャパシタC21,C22とで構成されている。このRFIC310または、RFIC310と整合回路MCが、本発明の「給電回路」に相当する。
【0078】
上記1次アンテナ(インダクタL1)に対しては平衡回路で給電されるが、これを不平衡回路で構成してもよい。また、面状導体111は必ずしもグランド導体パターンでなくてもよい。1次アンテナと2次アンテナとの電気的接続は磁界結合によるものであるから、1次アンテナおよび2次アンテナは、それぞれが平衡または不平衡であっても電気的に接続することが可能となる。
【0079】
図13(A)は、
図12に示したRFIC310から整合回路MC側をみた反射係数をスミスチャート上に表した図である。
図13(B)は反射係数の実部の周波数特性を示す図である。
図13(A)における三角形のマーカー1〜4は
図13(B)におけるマーカー1〜4と対応している。
【0080】
図13(B)に表れている共振ピークRP1は主に上記1次アンテナの共振で生じていて、共振ピークRP2は主に上記2次アンテナの共振で生じている。このように1次アンテナと2次アンテナとの複共振により、2つの共振が現れる。この例では、2つの共振ピークの範囲内で、且つ低周波数側に近い周波数で通信を行う。例えば、マーカー3で示す周波数で通信を行う。
【0081】
なお、上記1次アンテナの共振周波数と2次アンテナの共振周波数との高低関係は逆であってもよい。
【0082】
本実施形態では、面状導体111およびループ状導体10は、配線基板120の同一面に形成された導体パターンである例を示したが、面状導体111とループ状導体10は異なる面や異なる層に形成されていてもよい。また、これらの一方または両方が配線基板とは異なる面に形成されていてもよい。
【0083】
《第3の実施形態》
図14(A)は第3の実施形態に係るアンテナ装置の平面図であり、
図14(B)はそのコイル素子配置部ACの平面図である。
図14(C)はコイル素子20の実装前のコイル素子配置部の平面図である。
【0084】
本実施形態のアンテナ装置は、第1導体部11が第1導体の延伸部11A備え、第2導体部21A,21Bは延伸部11Aとともにループ状導体を構成する。第2の実施形態とは、配線基板110の面に形成された導電性部材の形状および導体開口OPの形状が異なる。その他の構成は第2の実施形態で示したものと同じである。
【0085】
本実施形態のように、第1導体部11に延伸部11Aが形成されていて、この延伸部11Aおよび第2導体部21がキャパシタ3とともにループ状の電流経路を形成するように構成してもよい。
【0086】
《第4の実施形態》
図15(A)(B)は第4の実施形態に係るアンテナ装置の平面図である。但し、間隙に接続されるキャパシタの図示は省略している。配線基板110の導電性部材の構成は
図1(B)または
図3(B)に示したものと同様である。第1の実施形態または第2の実施形態とは、第1導体部11における導体開口OPの位置関係が異なる。その他の構成は第1の実施形態または第2の実施形態で示したものと同じである。
【0087】
図15(A)は第1導体部11の外縁から導体開口OPまでの距離を距離Dで表すとき、この距離Dはこれまでに示した各実施形態における距離より大きい。
【0088】
このように、第1導体部11の外縁から導体開口OPまでの距離Dを大きくしてもよい。この距離Dが大きい程、「ループ状の電流経路」が長く大きくなるので、アンテナ装置の放射特性が向上する。
【0089】
図15(B)は第1導体部11の中心線から導体開口OPまでの、外縁に沿った距離を距離Eで表すとき、この距離Eはこれまでに示した各実施形態における距離より大きい。
【0090】
このように、導体開口OPの位置は第1導体部11の中心線からずれていても、本発明の効果は得られる。但し、第1導体部11の中心線から導体開口OPまでの、外縁に沿った距離Eが大きくなる程、第1導体部11の面状導体111に流れる電流の強度分布が偏るので、第2の実施形態のように導体開口が中心線付近にあるものに比べて、アンテナ装置の放射特性が低下する場合がある。
【0091】
図16(A)(B)(C)は第4の実施形態に係る別のアンテナ装置の平面図である。配線基板110の導電性部材の構成は
図1(B)または
図3(B)に示したものと同様である。第1の実施形態または第2の実施形態とは、第1導体部11に第3導体開口OP3が形成されている点で異なる。その他の構成は第1の実施形態または第2の実施形態で示したものと同じである。
【0092】
図16(A)(B)(C)に示すいずれの例も、第1導体部11に第3導体開口OP3が形成されている。
図16(A)(B)の例では、導体開口OPは第1導体部11の外縁だけでなく、第3導体開口OP3に連接している。
図16(C)の例では、導体開口OPと第1導体部11の外縁との間に第3導体開口OP3が形成されている。そして、キャパシタ3は第1導体部11の外縁付近に配置されている。
【0093】
図16(A)(B)(C)に示したアンテナ装置によれば、第3導体開口OP3の縁端を周回するように面状導体111に電流が流れるので、「ループ状の電流経路」が大きくなり、アンテナ装置の放射特性が向上する。
【0094】
《第5の実施形態》
第5の実施形態では、線状部を有する第1導体部を備えるアンテナ装置について示す。
図17(A)は第5の実施形態のアンテナ装置におけるコイル素子20の実装前のコイル素子配置部の平面図である。第2の実施形態とは、第1導体部11が線状部を有する点で異なる。その他の構成は第2の実施形態で示したものと同じである。
図17(B)は比較例のアンテナ装置におけるコイル素子配置部の平面図である。いずれもコイル素子20は二点鎖線で表し、間隙に接続されるキャパシタの図示は省略している。
【0095】
本実施形態のアンテナ装置の基材には、
図17(A)に表れているように、互いに導通する、第1導体部の延伸部11A,11Bおよび第2導体部21A,21Bが形成されている。第1導体部11は線状部を有する。その他の構成は、第2の実施形態で示したアンテナ装置と同じである。
図17(B)に示す比較例では、第2導体部21A,21Bは第1導体部11から分離されている。
【0096】
図17(A)に示した本実施形態のアンテナ装置と、
図17(B)に示した比較例のアンテナ装置とについて、コイル素子20の結合コイルと通信相手アンテナ500との結合係数k13、およびループ状導体10と通信相手アンテナ500との結合係数k23(
図8参照)のそれぞれの比較結果は次のとおりである。
【0097】
_______________________
本実施形態 比較例
_______________________
k13 0.02069 0.00012
k23 0.01007 0.00325
_______________________
本実施形態で示したように、ループ状の電流経路と通信相手アンテナ500との結合係数k23は、比較例に対して大きいので、第1導体部11の線状部が放射に寄与していることが分かる。また、第1導体部11が第1導体部の延伸部11A,11Bおよび第2導体部21A,21Bと一部接続されることで、第1導体部11に誘起される電流が増加するため、結合係数k13も同様に、比較例に対して大きくなる。
【0098】
《第6の実施形態》
第6の実施形態では、第1導体部11の外縁と導体開口OPとを連接する間隙の引出方向がこれまでに示した例とは異なる例を示す。その他の構成は第1の実施形態で示したものと同じである。
【0099】
図18は第6の実施形態に係るアンテナ装置の主要部の平面図である。この例では、第1導体部11の外縁と導体開口OPとを連接する間隙G1は、コイル素子20の結合コイルのコイル巻回軸に対し直交方向に引き出されている。その他の構成は
図3(A)(B)に示したものと同じである。
図18に示した例では、第1導体部11の外縁から導体開口OPまでの距離Dが短い場合でも、アンテナ装置を構成できる。
【0100】
図19(A)(B)は第6の実施形態に係る別のアンテナ装置の主要部の平面図である。但し、コイル素子20は二点鎖線で表している。
図19(A)に示す例では、第1導体部11の外縁と導体開口OPとを連接する間隙が、屈曲していて、導体開口OPから間隙G1の引出方向が第1導体部11の外縁方向とは反対になっている。
図19(B)に示す例では、第1導体部11の外縁と導体開口OPとを連接する間隙G1が、導体開口OPの逆側から引き出されている。なお、いずれの例も、2つのキャパシタ3A,3Bが並列接続されている。
【0101】
図19(A)(B)において、破線の矢印は「ループ状の電流経路」の電流経路を示す。本実施形態によれば、「ループ状の電流経路」の電流経路が長く大きくなるので、また、導体開口OPが第1導体部11の中央寄りの位置に配置できるので、アンテナ装置の放射特性が向上する。
【0102】
また、本実施形態において、第2の実施形態と同様に、コイル素子20は補助導体を備え、第2導体は21A,21Bにより構成されてもよい。
【0103】
《第7の実施形態》
図20は第7の実施形態に係るアンテナ装置の主要部の平面図である。但し、コイル素子20は二点鎖線で表している。
【0104】
図1(B)に示したアンテナ装置と異なり、導体開口OPのうち第2導体開口OP2はコイル素子接続パッド15の周囲の非導体形成部と連続している。その他の構成は第1の実施形態で示したものと同じである。このような構造であっても、アンテナ装置は第1の実施形態で示したアンテナ装置と同様に作用する。但し、コイル素子20の結合コイルと通信相手アンテナとの結合に寄与しない磁束の発生を抑制するため、第1の実施形態のように、第2導体開口OP2はコイル素子接続パッド15の周囲の非導体形成部と連続していない方が好ましい。
【0105】
《第8の実施形態》
第8の実施形態では、第2の実施形態に比べて、第2導体部が短い例を示す。その他の構成は第2の実施形態で示したものと同じである。
図21は第8の実施形態のアンテナ装置におけるコイル素子20およびキャパシタの実装前のコイル素子配置部の平面図である。
【0106】
本実施形態のアンテナ装置は、第2の実施形態で示したアンテナ装置と同様に、第1導体部の一部と第2導体部21A,21Bによりループ状導体を形成し、第1導体部の一部である面状導体111を備える。また、コイル素子接続パッド14,15および補助コイル接続パッド22A,22Bを備える。
【0107】
本実施形態のように、第2導体が比較的短い場合であっても、ループ状導体によりループ上の電流経路が形成されることで、アンテナ装置は第2の実施形態で示したアンテナ装置と同様に作用する。
【0108】
《第9の実施形態》
第9の実施形態では、配線基板110に形成される第2導体部が1ターン以上のコイル形状であるアンテナ装置について示す。その他の構成は第2の実施形態で示したものと同じである。
【0109】
図22(A)は第9の実施形態に係るアンテナ装置の主要部の平面図である。但し、間隙に接続されるキャパシタの図示は省略している。
図3(B)に示したアンテナ装置と異なり、第2導体部21Bは周回形状であり、第2導体部21A,21B合わせて1ターン以上の矩形スパイラル状のコイル形状である。
【0110】
図22(B)は第9の実施形態に係る別のアンテナ装置の主要部の平面図と、内層の導体パターンを示す平面図である。第2導体部21Bは表層と内層とに亘って周回形状に形成されている。第2導体部21A,21B合わせて1ターン以上の矩形スパイラル状のコイルが構成されている。
【0111】
図22(A)(B)いずれのアンテナ装置においても、コイル素子20の結合コイルと第2導体部21A,21Bとの結合係数が高いので、高いアンテナ特性が得られる。
【0112】
《第10の実施形態》
第10の実施形態では、平面コイル状のコイル素子を備えるアンテナ装置について示す。
【0113】
図23(A)は第10の実施形態に係るアンテナ装置の分解平面図であり、
図23(B)はアンテナ装置の主要部の平面図である。このアンテナ装置は、第2の実施形態で示したアンテナ装置と同様に、第1導体部11、その延伸部11A,11B、第2導体部21A,21Bを備える。また、補助コイル接続パッド22A,22Bを備える。第2導体部21A,21Bおよび第1導体部11の延伸部11A,11Bはキャパシタ3とともに「ループ状の電流経路」を構成する。
【0114】
コイル素子20は、可撓性を有する基材、それに形成された矩形スパイラル状の線状導体74およびその外側を周回する線状導体71を備える。線状導体74の両端は、給電回路が接続される端子92,93として用いられる。線状導体71の両端は層間接続導体を介して下面の端子94,95に導通している。線状導体74は「結合コイル」として作用し、線状導体71は「補助導体」として作用する。
【0115】
図23(B)に示すように、コイル素子20は配線基板110上に実装され、端子94,95が補助コイル接続パッド22A,22Bに接続される。
【0116】
結合コイルのコイル巻回軸は、配線基板110の面に直交または実質的に直交し、配線基板110の平面視で、結合コイルのコイル開口は導体開口OPに重なる。
【0117】
本実施形態によれば、コイル素子20の結合コイルは「ループ状の電流経路」と磁界結合する。
【0118】
《第11の実施形態》
第11の実施形態では、コイル素子の結合コイルのコイル巻回軸方向が基材の面に対し垂直方向である別の例を示す。
【0119】
図24は第11の実施形態のアンテナ装置におけるコイル素子20の実装前のコイル素子配置部の平面図である。但し、コイル素子20は二点鎖線で表している。
【0120】
本実施形態のアンテナ装置は、第2の実施形態で示したアンテナ装置と同様に、第1導体部11の延伸部11A,11B、第2導体部21A,21B、第1導体部11の一部である面状導体111を備える。また、コイル素子接続パッド14,15および補助コイル接続パッド22A,22Bを備える。
【0121】
コイル素子接続パッド14,15は、補助コイル接続パッド22A,22Bの配置位置を挟み込む位置ではなく、補助コイル接続パッド22A,22Bの並びに並置されている。
【0122】
図25は本実施形態に係る、コイル素子40の分解斜視図である。コイル素子40は、複数の磁性体層の積層体で構成されている。
図25では、コイル素子40が有する複数の磁性体層の一部を図示している。磁性体層411,412,413,414,415には、コイル用導体パターン411a,412a,413a,414a,415aがそれぞれ形成されている。
【0123】
コイル用導体パターン411a,412a,413a,414a,415aは、それぞれループ状であって、ビア導体により導通されて、一つの結合コイルを形成している。また、磁性体層413には、直線状の補助コイルパターン413bが形成されている。補助コイルパターン413bは、コイル用導体パターン413aの近傍に形成されている。
【0124】
磁性体層411の下方には、入出力端子410a,410b,410c,410dが形成された非磁性体層410が積層されている。入出力端子410a,410bにはビア導体を介して補助コイルパターン413bが接続されている。入出力端子410cには、コイル用導体パターン411aの一端が接続されていて、入出力端子410dには、コイル用導体パターン415aの一端が接続されている。すなわち、入出力端子410c,410dは、コイル用導体パターン411a〜415aにより形成されるコイルの入出力端子である。なお磁性体層411,412,413,414,415は必ずしも磁性体である必要はなく、誘電体層であってもよいし、磁性体層と誘電体層とが交互に積層されるような形であってもよい。
【0125】
図26はコイル素子40の分解断面図である。
図26に示す磁束φ3は、コイル用導体パターン411a〜415aにより形成されたコイルに電流が流れることで発生する磁束を示す。コイル用導体パターン411a,412a,413a,414a,415aによる結合コイルと補助コイルパターン413bとはこの磁束φ3を介して磁界結合する。
【0126】
本実施形態で示すように、コイル素子の結合コイルのコイル巻回軸方向が基材の面に対し垂直方向である場合でも、本発明は適用できる。
【0127】
《第12の実施形態》
第12の実施形態では、特にループ状導体(10)と通信相手アンテナ(500)との結合係数k23(
図8参照)を高めたアンテナ装置について示す。
【0128】
図27は第12の実施形態のアンテナ装置におけるコイル素子配置部の平面図である。
【0129】
本実施形態のアンテナ装置は、第2の実施形態で示したアンテナ装置と同様に、第1導体部11の延伸部11A,11B、第2導体部21A,21B、第1導体部の一部である面状導体111を備える。また、コイル素子接続パッド14,15および補助コイル接続パッド22A,22Bを備える。コイル素子20の端子の配置は、
図27に表れているコイル素子接続パッド14,15および補助コイル接続パッド22A,22Bに応じている。なお、
図27ではキャパシタ3も図示している。
【0130】
本実施形態のアンテナ装置は、第2導体部21A,21Bと第1導体部11の延伸部11A,11Bとの接続部から補助コイル接続パッド22A,22Bまでの経路長が第2の実施形態に比べて相対的に長い。
【0131】
図28は本実施形態の、アンテナ装置301およびそれに接続される回路の回路図である。ここでは、アンテナ装置301のコイル素子20内の結合コイルをインダクタL1で表している。また、コイル素子20内の補助導体のインダクタをL21、ループ状導体10をインダクタL22でそれぞれ表している。キャパシタC3はループ状導体10に接続されたキャパシタ3に相当する。また、通信相手アンテナ500をインダクタL3で表している。
【0132】
図28に示す例では、インダクタL11,L12およびキャパシタC11,C12,C21,C22,C31,C32によって整合回路MCが構成されている。
【0133】
インダクタL21,L22とキャパシタC3はLC共振回路を構成している。このLC共振回路の共振周波数は、通信で用いる周波数帯である。
【0134】
インダクタL1は1次アンテナということができ、インダクタL21,L22およびキャパシタC3による共振回路は2次アンテナということができる。但し、特にインダクタL22が通信相手アンテナ500との結合に寄与する。
【0135】
本実施形態では、第2導体部21A,21Bと第1導体部の延伸部11A,11Bとの接続部から補助コイル接続パッド22A,22Bまでの経路長が長いので、第1導体開口OP1は大きく、また、上記インダクタL22のインダクタンスは相対的に大きい。したがって、通信相手アンテナ500との結合係数k23の大きなアンテナ装置となる。
【0136】
図27において、破線の円弧状の矢印は第2導体部21A,21Bに流れる電流によって生じる磁束を表す。本実施形態では、このように面状導体111を抜けようとする磁束が増大するので、面状導体111に流れる電流が増加する。このことから、本実施形態のアンテナ装置の結合係数k23が高いことが理解できる。
【0137】
図29(A)は本実施形態に係るコイル素子の下面図および平面図である。
図29(B)は比較例としての第1の実施形態に係るコイル素子の下面図および平面図である。
【0138】
コイル素子の端子94,95は、配線基板上の補助コイル接続パッド22A,22Bに接続される。
図29(A)、
図29(B)に示すいずれの例でも、補助コイルの線状導体71Aは端子94,95の近傍に配置される。本実施形態においては、第2導体部21A,21Bと第1導体部の延伸部11A,11Bとの接続部から補助コイル接続パッド22A,22Bまでの経路長を長くするため、補助コイルの線状導体71Aは多層基板の下方に形成されている。
【0139】
なお、上記補助コイルの線状導体71Aと端子94,95とを接続する配線を多層基板内に形成すれば、補助コイルの線状導体71Aは端子94,95の近傍に必ずしも配置しなくてもよい。また、結合コイル用に複数の線状導体72Aに対する補助コイルの線状導体71Aの位置によって、コイル素子内における結合コイルと補助コイルとの結合係数を定めてもよい。
【0140】
《第13の実施形態》
図30(A)は第13の実施形態に係るアンテナ装置の平面図である。このアンテナ装置は、第1導体部の延伸部11A,11B第2導体部21A,21B,21Cを含む導電性部材を備える。また、給電回路が接続される結合コイルを有するコイル素子20を備える。第2の実施形態とは、第2導体部21A,21B,21Cが構成され、キャパシタ3A,3Bを備える点で異なる。その他の構成は第2の実施形態で示したものと同じである。
図30(A)では、コイル素子20を載置する前の状態を示している。
【0141】
第1導体部の延伸部11A,11Bおよび第2導体部21A,21B,21Cでループ状導体が構成されている。
【0142】
キャパシタ3Aは第1導体部の延伸部11A,11B間の間隙G1に渡るように実装されている。また、キャパシタ3Bは第2導体部21B,21C間の間隙に渡るように実装されている。つまり、キャパシタ3A,3Bはループ状導体を含む電流経路の一部を構成する。
【0143】
図30(B)は第13の実施形態に係る別のアンテナ装置の平面図である。このアンテナ装置は、第1導体部の延伸部11A,11B第2導体部21A,21Bを含む導電性部材を備える。また、給電回路が接続される結合コイルを有するコイル素子20を備える。
図30(B)では、コイル素子20を載置する前の状態を示している。
【0144】
図30(B)ではキャパシタ3は、第2の実施形態に比べて、間隙G1のうち第1導体部11の外縁の近接位置に配置されている。その他の構成は第2の実施形態で示したものと同じである。
【0145】
第2の実施形態に比べ、
図30(B)に示すアンテナ装置は、キャパシタ3を含む「ループ状の電流経路」が長く大きいので、アンテナ装置の放射特性が高い。このように,キャパシタは「ループ状の電流経路」が長くなる位置に配置されることが放射特性の面で好ましい。
【0146】
《第14の実施形態》
第14の実施形態では、筐体の導体部を含むアンテナ装置の例について示す。第2の実施形態とは、アンテナ装置が筐体の導体部を含む点で異なる。また、第1導体部11の外縁に対するコイル素子20の巻回方向が異なり、それに伴う配線基板110の面に形成された導電性部材の形状が異なる。その他の構成は第2の実施形態で示したものと同じである。
【0147】
図31は第14の実施形態のアンテナ装置における配線基板のコイル素子配置部の平面図である。
【0148】
本実施形態のアンテナ装置は、第1導体部11と、第2導体部21A,21Bを備える。また、コイル素子接続パッド14,15および補助コイル接続パッド22A,22Bを備える。本実施形態では、第1導体部11には、途中で屈折した間隙G1が形成されている。
【0149】
図32(A)は本実施形態のアンテナ装置を含むスマートフォン等の電子機器の平面図であり、
図32(B)はそのアンテナ装置構成部の部分平面図である。
【0150】
電子機器は筐体を有し、筐体は第1筐体導体部210および第2筐体導体部220を備える。第1筐体導体部210と第2筐体導体部220とはスリットSLを介して分離されている。
【0151】
図32(B)は、
図31に示した配線基板にコイル素子20を実装し、その配線基板を筐体内に収めた状態での部分平面図であり、
図32(A)における破線で囲んだ部分の拡大図である。本実施形態では、第1筐体導体部210と第2筐体導体部220との間のスリットSLにコイル素子20が平面視で重なるようにそれらは配置されている。
【0152】
図33は、上記第1筐体導体部210および第2筐体導体部220の放射素子の一部としての作用(ブースト効果)を示す図である。上記スリットSLから漏れ出る磁束が矢印の集合で表れている。このように、第1筐体導体部210と第2筐体導体部220とのスリットSLにコイル素子20が平面視で重なることにより、特にコイル素子20はスリットSLを介して第1筐体導体部210および第2筐体導体部220と結合する。そのため、第1導体部11および第2導体部21A,21Bによるループ状導体だけでなく、第1筐体導体部210および第2筐体導体部220によるブースタ−効果が得られる。
【0153】
図34は、上記スリットSLの幅H(
図32(B)参照)の変化に対する、ループ状導体10と通信相手アンテナ500との結合係数k23(
図8参照)の変化を示す図である。
図34では、H=1.5mmであるときを基準(k23=1.0)としている。
図34から明らかなように、スリットSLの幅Hが大きくなる程、ループ状導体10と通信相手アンテナ500との結合係数k23は大きくなる。
【0154】
図35(A)(B)(C)は上記スリットSLに対するコイル素子20の位置の変化を表す図である。ここで寸法Iは、スリットSLとコイル素子20のコイル巻回軸との位置ずれ量である。
図36は、上記スリットSLに対するコイル素子20の位置変化による、ループ状導体10と通信相手アンテナ500との結合係数k23(
図8参照)の変化を示す図である。
【0155】
図35(A)(B)(C),
図36から明らかなように、コイル素子20のコイル巻回軸がスリットSLの中心と重なるとき、結合係数k23は最大となり、その位置からずれるほど結合係数k23は低下する。
【0156】
《第15の実施形態》
第15の実施形態では、第14の実施形態で示した例とは異なる、筐体の導体部を含むアンテナ装置の例について示す。第14の実施形態とは、第1筐体導体部210および第2筐体導体部220が電気的に繋がっている点で異なる。その他の構成は第14の実施形態で示したものと同じである。
【0157】
図37(A)は第15の実施形態に係る、アンテナ装置を含む電子機器の筐体の導体部の構成を示す平面図である。
図37(B)は
図37(A)における破線で囲む部分の拡大平面図である。
【0158】
このように、第1筐体導体部210および第2筐体導体部220は筐体導体接続部230で構造的、電気的、に繋がっていてもよい。
【0159】
図38は、本実施形態のアンテナ装置を含む電子機器の筐体の導体部の別の構成を示す拡大部分平面図である。この例では、配線基板に、導体パターン122およびこの導体パターン122の両端に導通する接続部CP3,CP4が設けられている。接続部CP3,CP4にはそれぞれ可動プローブピンが設けられている。これら可動プローブピンは第1筐体導体部210および第2筐体導体部220に接して、電気的に導通する。このように、配線基板の導体パターンを介して第1筐体導体部210および第2筐体導体部220が電気的に導通してもよい。
【0160】
《第16の実施形態》
第16の実施形態では、筐体の導体部とコイル素子の配置位置との幾つかの関係について示す。第1の実施形態または第2の実施形態とは、アンテナ装置が筐体の導体部を含む点で異なる。また、図中の幾つかの例では、第1導体部11の外縁に対するコイル素子20の位置関係に伴う配線基板110の面に形成された導電性部材の形状が異なる。その他の構成は第1の実施形態または第2の実施形態で示したものと同じである。
【0161】
図39(A)−(L)は、第16の実施形態に係るアンテナ装置を備える電子機器の平面図である。電子機器には第1筐体導体部210を備える。また、図中の幾つかの例では第2筐体導体部220も備える。コイル素子20は、そのコイル巻回軸が第1導体部の外縁に沿う方向(X軸方向)に配置されている。図中では、キャパシタ3および第2導体部21の図示を省略している。また、
図39(C)、(G)、(L)の構成は、第14の実施形態で説明した
図35(C)、(B)、(A)の構成にそれぞれ相当する。
【0162】
図39(A)(B)(C)に示す例では、外部からの平面視で、コイル素子20は、その全体が第1筐体導体部210に隠れている。また、
図39(L)に示す例では、外部からの平面視で、コイル素子20は、その全体が第2筐体導体部220に隠れている。
【0163】
図39(D)−(K)に示す例では、外部からの平面視で、コイル素子20は、その全体または一部が第1筐体導体部210または第2筐体導体部220から電磁気的に露出している。
【0164】
図39(D)−(K)に示すように、コイル素子20の少なくとも一部が第1筐体導体部210または第2筐体導体部220から電磁気的に露出していれば、筐体導体部210,220以外の部分を透過する磁束がコイル素子20の結合コイルを容易に透過する。また、筐体導体部210,220が放射部して作用する。
【0165】
図40(A)−(K)は、第16の実施形態に係る、別のアンテナ装置を備える電子機器の平面図である。電子機器には第1筐体導体部210を備える。また、図中の幾つかの例では第2筐体導体部220も備える。コイル素子20は、そのコイル巻回軸が第1導体部の外縁に対し直交方向(X軸方向)に配置されている。図中では、キャパシタ3および第2導体部21の図示を省略している。
【0166】
図40(A)(B)に示す例では、外部からの平面視で、コイル素子20は、その全体が第1筐体導体部210に隠れている。また、
図40(C)−(F)に示す例では、平面視で、コイル素子20の第1端E1(
図1(B)参照)が電磁界的に露出しているが、コイル素子20の第2端E2(
図1(B)参照)は第1筐体導体部210に隠れている。また、
図40(G)−(J)に示す例では、平面視で、コイル素子20の第1端E1、第2端E2共に電磁界的に露出している。さらに、
図40(K)に示す例では、コイル素子20の第1端E1が第2筐体導体部220に隠れているが、第2端E2は電磁界的に露出している。
【0167】
図40(G)−(K)に示す例では、コイル素子20の第2端E2を出入りする磁束が筐体導体に妨げられないので、磁束がコイル素子20の結合コイルを容易に透過する。また、筐体導体部210,220が放射部して作用する。
【0168】
図41(A)−(K)は、第16の実施形態に係る、更に別のアンテナ装置を備える電子機器の平面図である。電子機器には第1筐体導体部210を備える。また、図中の幾つかの例では第2筐体導体部220も備える。コイル素子20は、そのコイル巻回軸が第1導体部の外縁に対し直交方向(X軸方向)に配置されている。但し、
図40(A)−(K)に示した例とは逆に、コイル素子20の第2端E2が第1導体部の外縁側を向くように間隙G1(
図19(A)参照)が形成されている。図中では、キャパシタ3および第2導体部21の図示を省略している。
【0169】
図41(A)(B)に示す例では、外部からの平面視で、コイル素子20は、その全体が第1筐体導体部210に隠れている。また、
図41(K)に示す例では、外部からの平面視で、コイル素子20は、その全体が第2筐体導体部220に隠れている。また、
図41(F)に示す例では、外部からの平面視で、コイル素子20の第1端E1は第1筐体導体部210に隠れていて、コイル素子20の第2端E2は第2筐体導体部220に隠れている。
【0170】
図41(C)−(E)に示す例では、平面視で、第1端E1は第1筐体導体部210に隠れているが、コイル素子20の第2端E2は電磁界的に露出している。
【0171】
また、
図41(G)−(I)に示す例では、平面視で、コイル素子20の第1端E1、第2端E2が共に電磁界的に露出している。また、
図41(J)(K)に示す例では、平面視で、コイル素子20の第1端E1は電磁界的に露出しているが、第2端E2は第2筐体導体部220に隠れている。
【0172】
図41(C)−(E),(G)−(I)に示す例では、コイル素子20の第2端E2を出入りする磁束が筐体導体に妨げられないので、磁束がコイル素子20の結合コイルを容易に透過する。また、筐体導体部210,220が放射部して作用する。特に、コイル素子20の第1端E1と第1筐体導体部210との間隔が近いか、コイル素子20の第1端E1が第1筐体導体部210で隠れる方が好ましい。コイル素子20を通過する磁束のうち、第1導体部11に形成された導体開口OP(
図19(A)参照)を通過する磁束の割合が大きくなるからである。
【0173】
本実施形態で示したように、第1筐体導体部210または第2筐体導体部220とコイル素子20との位置関係には様々な構成を採りうるが、特に、距離関係について考慮すると、コイル素子20と第1筐体導体部210または第2筐体導体部220の縁端部とが、少なくともコイル素子20の2個分以内に近接していることが好ましい。
【0174】
《第17の実施形態》
第17の実施形態では、筐体の導体部を放射素子の一部として利用するアンテナ装置の例を示す。
【0175】
図42(A)、
図42(B)、
図42(C)はそれぞれ第17の実施形態に係るアンテナ装置の平面図である。
【0176】
図42(A)に示すアンテナ装置は、配線基板に形成された第1導体部11に2つの接続部CP5,CP6を介して第1筐体導体部210を接続した例である。接続部CP5,CP6はそれぞれスプリングピンなどであり、配線基板を筐体内に組み込んだ状態で、第1導体部11の2箇所が第1筐体導体部210に接続される。
【0177】
図42(B)(C)に示すアンテナ装置は、配線基板に形成された第1導体部11に2つの接続部CP7,CP8を介して第2筐体導体部220を接続した例である。
【0178】
図42(A)(B)に示す例では、第1導体部11の間隙G1を挟む両側の2箇所が第1筐体導体部210または第2筐体導体部220に接続され、
図42(C)に示す例では、第1導体部11の間隙G1の片側の2箇所が第2筐体導体部220に接続される。
【0179】
このように、第1導体部11を筐体の導体部に複数箇所で並列的に接続することによって、誘導電流の経路が増えて、放射特性が向上する。
【0180】
《第18の実施形態》
第18の実施形態では、電子機器の筐体の導体部を面状導体として利用したアンテナ装置およびそれを備える電子機器の例を示す。第1の実施形態とは、第1導体部が筐体の導体部の一部を利用して構成される点で異なる。
【0181】
図43(A)は第18の実施形態に係る電子機器402の主要部の平面図であり、
図43(B)は
図43(A)におけるX−X部分の断面図である。但し、
図43(A)においては後述の筐体樹脂部240が無い状態で表している。
【0182】
電子機器402は例えばスマートフォンなどの携帯電子機器であり、表示・操作パネル60の形成面とは反対側に第1筐体導体部210、第2筐体導体部220を備える。第1筐体導体部210と第2筐体導体部220とは筐体導体接続部230で接続されている。第1筐体導体部210と第2筐体導体部220とのスリットSLには筐体樹脂部240が設けられている(塞がれている)。本実施形態において、第1筐体導体部210、第2筐体導体部220および筐体導体接続部230は本発明の「導電性部材」に相当する。
【0183】
第1筐体導体部210、第2筐体導体部220の内方には配線基板120が設けられている。配線基板120には、第2導体部21A,21Bおよび第1導体部11を含むループ状導体10が形成されている。また、配線基板120には、コイル素子20、チップ状のキャパシタ3が実装されている。さらに、配線基板120には、第2の実施形態で
図12に示した整合回路MCを構成するチップキャパシタやRFIC310が実装されている。
【0184】
コイル素子20は、第2の実施形態で示したコイル素子20と同じであり、巻回軸まわりにヘリカル状に巻回された結合コイルのコイル導体とこのコイル導体を挟んで対向するコイル素子20の第2端E2およびコイル素子20の第1端E1を有する。コイル素子20はさらに補助導体を備え、補助導体はループ状導体10及びキャパシタC3とともにループ状の電流経路を形成する。
【0185】
第1筐体導体部210および第2筐体導体部220の平面視で、コイル素子20の第2端E2はループ状導体10のループの内部よりも第2筐体導体部220に近接し、コイル素子20の第1端E1は第2筐体導体部220よりもループの内部に近接する。このようなコイル素子20の配置によって、コイル素子20内の結合コイルはループ状の電流経路および第2筐体導体部220を含む導電性部材に磁界結合する。
【0186】
接続部CP1,CP2にはそれぞれ可動プローブピンが設けられている。これら可動プローブピンは筐体の第1筐体導体部210、第2筐体導体部220にそれぞれ当接して電気的に接続される。したがって、第1筐体導体部210、第2筐体導体部220、筐体導体接続部230、および第2導体部21A,21Bによる電流経路が形成されている。
図43(A)における電流i3はこの電流経路に流れる電流を概念的に示している。この電流経路は、第2の実施形態で示した面状導体111に流れる電流経路に対応する。すなわち、このことにより、筐体の第1筐体導体部210および第2筐体導体部220を含む導電性部材は放射素子の一つとして利用される(兼ねる)。
【0187】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、コイル素子20内の結合コイルが導電性部材およびループ状の電流経路と磁界結合するような配置関係とすることにより、コイル素子20の結合コイルと導電性部材とが結合するときに導電性部材に流れる電流と、コイル素子20の結合コイルとループ状導体10が形成するループ状の電流経路とが結合するときにループ状の電流経路に流れる電流とが重畳されて、ループ状導体10および導電性部材の放射体としての機能が高まる。
【0188】
《第19の実施形態》
第19の実施形態では、電子機器の筐体の導体部を面状導体として利用したアンテナ装置およびそれを備える電子機器の例を示す。第18の実施形態とは、アンテナ装置がグランド導体パターンを含む点で異なる。その他の構成は第18の実施形態で示したものと同じである。
【0189】
図44は第19の実施形態に係る電子機器303の主要部の平面図である。但し、
図44においては筐体樹脂部が無い状態で表している。
【0190】
第18の実施形態のアンテナ装置と異なり、第1導体部11と第2導体部21Aとは、配線基板120に形成されているグランド導体パターン121に接続されている。また、グランド導体パターン121から導体パターン122が延出していて、その先端に接続部CP3が形成されている。この接続部CP3にはそれぞれ可動プローブピンが設けられていて、この可動プローブピンは第2筐体導体部220に当接して電気的に接続される。したがって、本実施形態では、グランド導体パターン121、導体パターン122、第2筐体導体部220、および第2導体部21A,21Bによる電流経路が形成されている。本実施形態において、グランド導体パターン121、第2筐体導体部220および導体パターン122は本発明の「導電性部材」に相当する。
【0191】
その他の構成は第18の実施形態で示したアンテナ装置と同じである。
【0192】
《第20の実施形態》
第20の実施形態では、電子機器の筐体の導体部を面状導体として利用したアンテナ装置およびそれを備える電子機器の例を示す。第18の実施形態とは、第1筐体導体部210と第2筐体導体部220が、配線基板120に形成された導体パターン122を介して接続されている点で異なる。その他の構成は第18の実施形態で示したものと同じである。
【0193】
図45は第20の実施形態に係る電子機器304の主要部の平面図である。但し、
図45においては筐体樹脂部が無い状態で表している。
【0194】
第18の実施形態のアンテナ装置と異なり、第1筐体導体部210と第2筐体導体部220は、配線基板120に形成された導体パターン122を介して接続されている。すなわち、導体パターン122の両端に接続部CP3,CP4が形成されていて、この接続部CP3にはそれぞれ可動プローブピンが設けられていて、この可動プローブピンは筐体の第1筐体導体部210および第2筐体導体部220にそれぞれ当接して電気的に接続される。したがって、本実施形態では、第1筐体導体部210、導体パターン122、第2筐体導体部220、および第2導体部21A,21Bによる電流経路が形成されている。本実施形態において、第1筐体導体部210、第2筐体導体部220および導体パターン122は本発明の「導電性部材」に相当する。
【0195】
その他の構成は第18の実施形態で示したアンテナ装置と同じである。
【0196】
以上の幾つかの実施形態では、「第1導体部」または「第2導体部」として、電子機器の筐体の導体部を利用する例を示したが、「第1導体部」または「第2導体部」として、電子機器の内部のシャーシやバッテリー等の金属部を利用してもよい。
【0197】
各実施形態では、配線基板等に実装される部品がチップキャパシタ等のチップ部品である例を示したが、これに限定されない。例えば、リード端子タイプの部品やフレキシブル基材に形成された素子等であってもよい。
【0198】
最後に、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
アンテナ装置は、配線基板(110)と、配線基板(110)の面に形成され、互いに導通する第1導体部(11)および線状の第2導体部(21A,21B)を含む導電性部材と、給電回路が接続される結合コイルを有するコイル素子(20)と、キャパシタ(3)と、を備える。第1導体部(11)は導体開口(OP)および第1導体部(11)の外縁と導体開口(OP)とを連接する間隙(G1)を有し、キャパシタ(3)は間隙(G1)を渡るように配置される。第2導体部(21A,21B)は、導体開口(OP)の内縁の2点に接続され、第1導体部(11)の一部およびキャパシタ(3)とともにループ状の電流経路を形成する。コイル素子(20)の結合コイルはループ状の電流経路に磁界結合する。