(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センター太溝の溝深さをD1とし、前記周方向主溝の最大溝深さをD2としたとき、比D1/D2は0.05以上0.2以下である、請求項1または2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
前記周方向主溝の最大溝深さは、前記センターラグ溝の最大溝深さよりも浅く、前記センターラグ溝の最大溝深さは、前記ショルダーラグ溝の最大溝深さよりも浅い、請求項1から3のいずれか1項に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
前記底上げ部において最も浅い溝深さをD3とし、前記トレッド部のタイヤ幅方向のトレッド幅をTとしたとき、比D3/Tは0.01以上0.05以下である、請求項6に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
前記センター太溝の溝深さをD1とし、前記センター太溝の溝幅をW1としたとき、比W1/D1は1.5以上5.0以下である、請求項1から8のいずれか1項に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、センターブロックの領域に副細溝を設けた場合、耐熱性が向上することを期待できる一方で、特に鉱山等でのオフロード走行時に副細溝が石を噛みやすく、特許文献1のタイヤでは、耐発熱性および耐石噛み性を両立させることができない。すなわち、上記2つの特性のうちいずれか一方の特性を維持あるいは向上しつつ、他方の特性を向上させることはできない。
本発明は、耐発熱性および耐石噛み性のうち一方を維持あるいは向上させつつ、他方を向上させることができる重荷重用空気入りタイヤを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、トレッドパターン付き重荷重用空気入りタイヤである。当該重荷重用空気入りタイヤの前記トレッドパターンは、
タイヤ赤道線を基準としたタイヤ幅方向の第1の側および第2の側の半トレッド領域のそれぞれに設けられ、タイヤ周方向にわたって波形状に形成された一対の周方向主溝と、
前記一対の周方向主溝の間のセンター領域をタイヤ周方向に延び、溝幅が前記周方向主溝の溝幅より太いセンター太溝と、
前記第1の側の半トレッド領域にある前記周方向主溝の1つと前記センター太溝との間の第1のセンター領域、および、前記第2の側の半トレッド領域にある前記周方向主溝の1つと前記センター太溝との間の第2のセンター領域のそれぞれに、タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられ、タイヤ幅方向及びタイヤ周方向に対して傾斜した向きに延びて前記センター太溝に開口する直線形状のセンターラグ溝と、
前記半トレッド領域のそれぞれにおいて、タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられ、タイヤ幅方向外側に延びて、タイヤ幅方向外側の端がタイヤ幅方向の両側にある接地端に開口するショルダーラグ溝であって、前記ショルダーラグ溝のタイヤ幅方向内側の端のタイヤ幅方向の位置が、前記センターラグ溝のタイヤ幅方向外側の端よりもタイヤ幅方向の外側にあり、かつ、タイヤ周方向において、前記センターラグ溝のうちタイヤ周方向に隣りあう隣接センターラグ溝の間に1つずつ設けられたショルダーラグ溝と、を備える。
前記一対の周方向主溝は、前記センターラグ溝のタイヤ幅方向外側の端と、前記ショルダーラグ溝のタイヤ幅方向の内側の端を交互に接続するように、タイヤ幅方向の外側に凸形状をなして湾曲あるいは屈曲した第1溝曲がり部とタイヤ幅方向の内側に凸形状をなして湾曲あるいは屈曲した第2溝曲がり部と、を有しており、
前記センターラグ溝および前記周方向主溝の溝幅は、前記ショルダーラグ溝の溝幅より狭く、
前記第1のセンター領域の前記センターラグ溝と、前記第2のセンター領域の前記センターラグ溝は、互いに平行な向きに延び、かつ、タイヤ周方向の互いに異なる位置で前記センター太溝に開口し、
前記センター太溝の溝深さは、前記周方向主溝および前記センターラグ溝の最大溝深さよりも浅く、一定である。
【0007】
前記センター太溝の溝幅をW1とし、前記周方向主溝の溝幅をW2としたとき、比W1/W2は2.8以上3.4以下であることが好ましい。
【0008】
前記センター太溝の溝深さをD1とし、前記周方向主溝の最大溝深さをD2としたとき、比D1/D2は0.05以上0.2以下であることが好ましい。
【0009】
前記周方向主溝の最大溝深さは、前記センターラグ溝の最大溝深さよりも浅く、前記センターラグ溝の最大溝深さは、前記ショルダーラグ溝の最大溝深さよりも浅いことが好ましい。
【0010】
さらに、タイヤ周方向に対してベルトコードの向きがタイヤ幅方向の異なる側に傾斜した一対の交差ベルト層を含むベルト部を備え、
前記トレッドパターンは、さらに、前記第1のセンター領域および前記第2のセンター領域のそれぞれに設けられ、前記隣接センターラグ溝、前記周方向主溝、および前記センター太溝によって画されてタイヤ周方向に一列に複数形成されたセンターブロックを含み、
前記第1のセンター領域の前記センターブロックの列、前記第2のセンター領域の前記センターブロックの列を含んだセンターブロック列、および、前記センター太溝が占める領域のタイヤ幅方向の長さをWBとし、前記ベルト部の最外層のベルト層のタイヤ幅方向のベルト幅をW5としたとき、比WB/W5が0.55以上0.85以下であることが好ましい。
【0011】
前記一対の周方向主溝のそれぞれにおいて、溝深さが部分的に浅くなった底上げ部を備えることが好ましい。
【0012】
前記底上げ部において最も浅い溝深さをD3とし、前記トレッド部のタイヤ幅方向のトレッド幅をTとしたとき、比D3/Tは0.01以上0.05以下であることが好ましい。
【0013】
前記センター太溝は、タイヤ赤道線を通る直線形状の溝であることが好ましい。
【0014】
前記センター太溝の溝深さをD1とし、前記センター太溝の溝幅をW1としたとき、比W1/D1は1.5以上5.0以下であることが好ましい。
【0015】
前記周方向主溝および前記センターラグ溝の溝幅はそれぞれ7mm以上20mm以下であることが好ましい。
【0016】
前記重荷重用空気入りタイヤは、建設用車両または産業用車両に装着される場合に好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の重荷重用空気入りタイヤによれば、耐発熱性および耐石噛み性のうち一方を維持あるいは向上させつつ、他方を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の重荷重用空気入りタイヤを詳細に説明する。
図1は、本実施形態の重荷重用空気入りタイヤ(以降、タイヤともいう)1の一部を示す断面図である。すなわち、
図1は、タイヤ回転軸を含み、後で参照する
図2中のI−I線を通り、タイヤ径方向を含む平面でタイヤ1を切断したときのタイヤ1のプロファイルを示す。
本明細書でいう重荷重用空気入りタイヤとは、JATMA(日本自動車タイヤ協会規格) YEAR BOOK 2014のC章に記載されるタイヤの他に、D章に記載される1種(ダンプトラック、スクレーバ)用タイヤ、2種(グレーダ)用タイヤ、3種(ショベルローダ等)用タイヤ、4種(タイヤローラ)用タイヤ、モビールクレーン(トラッククレーン、ホイールクレーン)用タイヤ、あるいはTRA 2013 YEAR BOOKのSECTION 4 あるいは、SECTION 6に記載される車両用タイヤをいう。
タイヤ1は、骨格材として、カーカスプライ3と、ベルト4と、一対のビードコア5とを有し、これらの骨格材の周りに、トレッドゴム6、サイドゴム7、ビードフィラー8、インナーライナ9等の各ゴム部材を有する。
【0020】
ベルト4は、一対の第1の交差ベルト層31、一対の第2の交差ベルト層33、および一対の第3の交差ベルト層35と、を含む。さらに、第2の交差ベルト層33のベルト層間にシート状ゴム37が配されている。第1の交差ベルト層31、第2の交差ベルト層33、および第3の交差ベルト層35はそれぞれ、タイヤ周方向に対してベルトコードの向きがタイヤ幅方向の異なる側に傾斜した一対のベルト層であり、タイヤ径方向内側から外側にこの順で配されている。
【0021】
トレッドゴム6は、
図2に示されるトレッドパターン10を備えている。
図2は、タイヤ1のトレッドパターンを平面展開した図である。なお、
図2において、上下方向はタイヤ周方向であり、左右方向はタイヤ幅方向である。ここで、タイヤ周方向は、タイヤ回転中心軸を中心にタイヤ1を回転させたときにできるトレッド表面の回転面の回転方向である。タイヤ幅方向は、タイヤ1の回転中心軸方向である。タイヤ径方向は、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向と直交する方向である。トレッドパターンのタイヤの回転方向および車両装着時のタイヤ幅方向の向きは、特に指定されない。
【0022】
トレッドパターン10は、一対の周方向主溝15と、センター太溝17と、センターラグ溝11と、ショルダーラグ溝13と、を含んでいる。
【0023】
周方向主溝15は、タイヤ赤道線CLを基準としたタイヤ幅方向の両側の半トレッド領域Ta,Tbのそれぞれに設けられて、対をなしている。周方向主溝15は、第1溝曲がり部15aと、第2溝曲がり部15bと、を備え、タイヤ周方向の全周にわたって波形状に形成されている。第1溝曲がり部15aは、タイヤ幅方向の外側に凸状をなして湾曲あるいは屈曲した周方向主溝15の部分である。第2溝曲がり部15bは、タイヤ幅方向の内側に凸状をなして湾曲あるいは屈曲した周方向主溝15の部分である。半トレッド領域Ta,Tbのそれぞれにおいて、周方向主溝15は、センターラグ溝11の端11aと、ショルダーラグ溝13のタイヤ幅方向内側の端13aと、を交互に接続する。これにより、周方向主溝15は、タイヤ幅方向の外側に凸状をなして曲がる第1溝曲がり部15aでショルダーラグ溝13と接続し、タイヤ幅方向の内側に凸状をなして曲がる第2溝曲がり部15bでセンターラグ溝11と接続する。溝が波形状であるとは、溝が蛇行する形状をいう。周方向主溝15は、第1溝曲がり部15aおよび第2溝曲がり部15bをタイヤ周上に複数有し、これらを交互に接続して波形状をなすよう蛇行しながらタイヤ周方向に延びる。周方向主溝15が波形状であることで周方向主溝15の溝壁の表面積が増しており、放熱性が向上する。このため、耐発熱性が向上している。
【0024】
第1溝曲がり部15aおよび第2溝曲がり部15bは、屈曲形状であってもよく、丸まった湾曲形状であってもよく、屈曲形状と湾曲形状を組み合わせたものであってもよい。湾曲形状には、屈曲形状の頂部を例えば曲率半径を定めて丸めた形状も含まれる。屈曲形状と湾曲形状を組み合わせたものとは、第1溝曲がり部15aあるいは第2溝曲がり部15bの頂部から一方の側が直線状に延びるとともに、頂部から他方の側が湾曲して延びたものをいう。第1溝曲がり部15aあるいは第2溝曲がり部15bには、屈曲形状、湾曲形状、これらの組み合わせのうち、互いに同じ形状のものが用いられてもよく、互いに異なる種類の形状のものが用いられてもよい。また、周方向主溝15のうち第1溝曲がり部15a及び第2溝曲がり部15b以外の部分は、直線形状であっても湾曲形状であってもよい。第1溝曲がり部15aあるいは第2溝曲がり部15bと第1溝曲がり部15aあるいは第2溝曲がり部15b以外の部分がともに湾曲形状である場合、2つの湾曲形状は同じ曲率半径の湾曲形状であってもよい。
【0025】
周方向主溝15は、
図2において、互いに同じ周期でかつタイヤ周方向に位相がずれて波形状に延びている。具体的に、第2溝曲がり部15bのタイヤ周方向の位置は、反対側の半トレッド領域の第2溝曲がり部15bに対してタイヤ周方向に位置ずれしている。なお、周方向主溝15は、互いに同じ周期でかつ位相が一致して波形状にタイヤ周方向に延びていてもよく、また、互いに異なる周期で波形状に延びていてもよい。
周方向主溝15の溝幅は、ショルダーラグ溝13よりも溝幅が狭い。このため、走行時のセンターブロック21,22の接地圧が緩和され、タイヤ1の摩耗寿命が伸びる。
【0026】
センター太溝17は、一対の周方向主溝15の間のセンター領域をタイヤ周方向に延び、溝幅が周方向主溝15の溝幅より太い。このような形態のセンター太溝17があることで、センター領域において溝体積が十分に確保され、この結果、空気の通りが良好であることにより、耐発熱性が向上する。なお、本明細書において、単にセンター領域という場合、一対の周方向主溝15の間の領域をいい、後述する、第1のセンター領域Ce1、第2のセンター領域Ce2、および、センター太溝17の占める領域をいう。本実施形態において、センター太溝17の溝深さは、周方向主溝15およびセンターラグ溝11の最大溝深さよりも浅く、一定である。センター太溝17の溝幅が周方向主溝15より溝幅が太いと、石が入り込みやすく、耐石噛み性が低下する場合がある。しかし、本実施形態では、センター太溝17の溝深さが、周方向主溝15およびセンターラグ溝11の最大溝深さよりも浅いことによって、溝内に入り込もうとする石が排出されやすく、耐石噛み性が向上している。また、センター太溝17の溝深さが一定であることで、石を排出する機能がタイヤ周方向にわたって得られ、タイヤ周方向にわたって一定の耐石噛み性が確保される。センター太溝17の溝深さがセンターラグ溝11の最大溝深さよりも浅いが、センターラグ溝11が横切るセンター太溝17の部分において、センターラグ溝11の溝底がセンター太溝17を横切ることによってセンター太溝17の溝深さが局部的に深くなると、この部分で、石噛みが生じ易くなり、耐石噛み性が低下してしまう。
なお、センター太溝17は、溝深さが周方向主溝15およびセンターラグ溝11の最大溝深さよりも浅いことで、タイヤ1が摩耗すると、
図4(b)に示されるように、周方向主溝15およびセンターラグ溝11よりも早く消失し、2つのセンターブロック21,22は、センター太溝17のタイヤ径方向内側の部分と繋がって、タイヤ周方向に連続して延びるセンター陸部となる。
図4(b)は、摩耗初期よりも摩耗が進行したタイヤ1のトレッドパターンを示す図である。なお、
図4(a)は、摩耗初期におけるタイヤ1のトレッドパターンを示す図である。摩耗初期とは、最も溝深さの浅い溝、例えばセンター太溝17がまだ消失していないタイヤ1の摩耗段階をいい、タイヤ1の新品時を含む。
【0027】
なお、一実施形態によれば、トレッドパターン10は、センター領域において、さらに、センターブロック21,22の領域を延びる1または複数のセンター細溝を有することも好ましい。センター細溝は、センター太溝17よりも溝幅が狭いことが好ましいが、センター太溝17の溝幅と同等以上であってもよい。センター細溝は、一方の端または両方の端が、周方向主溝15、センターラグ溝11、およびセンター太溝17のいずれに開口していてもよく、センターブロック21,22の領域内で、両方の端が閉塞していてもよい。
【0028】
センターラグ溝11は、半トレッド領域Taの周方向主溝15とセンター太溝17との間の第1のセンター領域Ce1、および、半トレッド領域Tbの周方向主溝15とセンター太溝17との間の第2のセンター領域Ce2のそれぞれに、タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられている。第1のセンター領域Ce1および第2のセンター領域Ce2は、センター太溝17によってセンター領域がタイヤ幅方向に分断された2つの領域である。センターラグ溝11は、タイヤ幅方向及びタイヤ周方向に対して傾斜した向きに延びてセンター太溝17に開口する直線形状の溝である。センターラグ溝11が直線形状であることで、耐石噛み性が向上している。第1のセンター領域Ce1のセンターラグ溝11と、第2のセンター領域Ce2のセンターラグ溝11は、互いに平行な向きに延び、かつ、タイヤ周方向の互いに異なる位置でセンター太溝17に開口している。センターラグ溝11がこのように配置されていることで、センターラグ溝11は、反対側の半トレッド領域のセンターラグ溝11と接続されず、これら2つのセンターラグ溝11は、センター太溝17によってタイヤ幅方向に分断されている。本実施形態では、センター太溝17は、センターラグ溝11よりも溝深さが浅く、センターラグ溝11の溝底に対して底上げされているため、センター太溝17に開口するセンターラグ溝11の端11bにおいてセンターラグ溝11の溝底を含む部分は、センター太溝17の溝底からタイヤ径方向内側に延びる壁面によってタイヤ幅方向に遮断されている。このため、センターラグ溝11を通った空気は、この壁面に衝突して、センター太溝17の溝底からタイヤ径方向内側に延在する部分、および、反対側の半トレッド領域のセンターブロックを冷却することができる。このような冷却作用によって、耐発熱性が向上する。
センターラグ溝11の溝幅は、ショルダーラグ溝13の溝幅よりも狭い。このため、走行時のセンターブロック21,22の接地圧が緩和され、タイヤ1の摩耗寿命が延びる。
【0029】
ショルダーラグ溝13は、半トレッド領域Ta,Tbのそれぞれに、タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられている。ショルダーラグ溝13は、半トレッド領域Ta,Tbのそれぞれにおいて、タイヤ幅方向外側に延びて、タイヤ幅方向の両側の接地端10a,10bのうち近い方の接地端に開口する。
ここで、接地端10a,10bは以下のように定められる。接地端10a,10bは、タイヤ1を正規リムに組み付け、正規内圧を充填し、正規荷重の100%を負荷荷重とした条件において水平面に接地させたときの接地面のタイヤ幅方向端部である。なお、ここでいう正規リムとは、JATMAに規定される「測定リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、正規内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、正規荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。なお、接地端10a,10bのタイヤ幅方向位置は、後述するトレッド幅の両端のタイヤ幅方向位置と一致している。
【0030】
タイヤ幅方向の両側に位置するショルダーラグ溝13において、一方の半トレッド領域に配置された1つのショルダーラグ溝13のタイヤ周方向の位置は、他方の半トレッド領域に配置された、隣接する2つのショルダーラグ溝13のタイヤ周方向の位置の間にある。
さらに、ショルダーラグ溝13は、半トレッド領域Ta,Tbのそれぞれにおいて、ショルダーラグ溝13が有するタイヤ幅方向内側の端13aのタイヤ幅方向の位置が、後述するセンターラグ溝11の端11aのタイヤ幅方向の位置よりもタイヤ幅方向の外側にあり、かつ、ショルダーラグ溝13は、タイヤ周方向において、センターラグ溝11のうちタイヤ周方向に隣りあう隣接センターラグ溝11の間に位置するショルダー領域に1つずつ設けられている。これにより、後述する周方向主溝15は、半トレッド領域Ta,Tbのそれぞれにおいて、センターラグ溝11の端11aとショルダーラグ溝13のタイヤ幅方向の内側の端13aを交互に接続して波形状を成す。ショルダーラグ溝13は、
図2において、溝が延びる方向に溝幅が変化しているが、一定であってもよい。
【0031】
トレッドパターン10は、さらに、センターブロック21および22と、ショルダーブロック27と、を含んでいる。
【0032】
センターブロック21は、第1のセンター領域Ce1に、センターブロック22は、第2のセンター領域Ce2に設けられ、隣接センターラグ溝11、周方向主溝15、およびセンター太溝17によって画されてタイヤ周方向に一列に複数形成されている。センターブロック21とセンターブロック22は、センターラグ溝11が上述のように異なるタイヤ周方向の位置でセンター太溝17に開口していることで、タイヤ周方向に互いに位置ずれしている。一実施形態によれば、センターブロック21とセンターブロック22がタイヤ周方向に位置ずれしたズレ量X(
図3参照)は、センターラグ溝11の溝幅W3(
図3参照)以上であることが好ましい。このズレ量Xは、センター太溝17にタイヤ幅方向の両側から合流するセンターラグ溝11,11の位置ずれの量にも対応する。これにより、センターラグ溝11を通った空気を、センター太溝17の溝底からタイヤ径方向内側に延在する部分、および、反対側の半トレッド領域のうち、ゴムの変形によって熱が蓄積されやすい部分に衝突させることができ、耐発熱性が向上する。
図3は、
図2に示すトレッドパターンの一部を拡大して示す図である。なお、センター太溝17の溝底からタイヤ径方向内側に延びるセンターラグ溝11の壁面の上端(タイヤ径方向外側の端)は、
図3において、破線で示される。一実施形態によれば、ズレ量Xは、センターブロック21または22のタイヤ周方向長さの0.25倍以上0.75倍以下であることが好ましい。
【0033】
ショルダーブロック27は、半トレッド領域Ta,Tbのそれぞれにおいて、ショルダーラグ溝13のうちタイヤ周方向に隣り合う一対の隣接ショルダーラグ溝13、周方向主溝15、および、トレッドゴム6を備え、路面と接地するトレッド部のタイヤ幅方向の接地端10a,10b、によって画されてタイヤ周方向に一列に複数形成されている。ショルダーブロック27は、
図2に示される例において、センターブロック21,22がタイヤ赤道線CLに対して傾斜する側と異なる側に傾斜している。
【0034】
一実施形態によれば、タイヤ1において、センター太溝17の溝幅をW1(
図2参照)とし、周方向主溝15の溝幅をW2(
図2参照)としたとき、比W1/W2は2.8以上3.4以下であることが好ましい。比W1/W2が2.8以上であると、センター太溝17と周方向主溝15の溝幅の差が大きいために、耐石噛み性を維持できる。石噛みは、通常、溝を構成する溝壁の対に石が挟まれて生じるが、センター太溝17の溝幅が明らかに広いことで、センター太溝を有しない場合と同程度に、耐石噛み性を確保できる。一実施形態によれば、比W1/W2は、2.6以上3.1以下であることが好ましい。
【0035】
一実施形態によれば、タイヤ1において、センター太溝17の溝深さをD1(
図1参照)とし、周方向主溝15の最大溝深さをD2(
図1参照)としたとき、比D1/D2が0.05以上0.2以下であることがより好ましい。比D1/D2が0.2以下であることにより、耐石噛み性が向上する。また、比D1/D2が0.05以上であることで、十分な周方向主溝15の溝体積を確保でき、耐発熱性が向上する。一実施形態によれば、比D1/D2は、0.1以上0.2以下であることが好ましい。なお、トレッドパターン10に含まれる各溝に関して、単に溝深さという場合、溝深さが一定でない場合は最大溝深さをいい、一定である場合はその溝深さをいう。最大溝深さとは、例えば、周方向主溝15が後述する底上げ部15cを備える場合、最大溝深さは、底上げされていない周方向主溝15の部分の溝深さである。また、
図1に示されるD1およびD2の大きさは、本実施形態で説明される比を正確に表したものではない。
【0036】
一実施形態によれば、タイヤ1において、周方向主溝15の最大溝深さは、センターラグ溝11の最大溝深さよりも浅く、センターラグ溝11の最大溝深さは、ショルダーラグ溝13の最大溝深さよりも浅いことが好ましい。このような溝深さを定めることにより、タイヤ1の摩耗に伴って、トレッド表面から、周方向主溝15、センターラグ溝11の順に消失し、ショルダーラグ溝13が最後に残る。トレッド部においてセンター領域は接地圧が高く、センターブロック21,22が繰り返し変形することで発熱しやすい。したがって、耐発熱性を向上させるためには、センターラグ溝11の最大溝深さが周方向主溝15の最大溝深さ以上の大きさであることが好ましい。また、周方向主溝15の最大溝深さが大きすぎると、トレッド部の剛性を十分に確保できず、摩耗寿命を伸ばし難くなるため、周方向主溝15の最大溝深さは、センターラグ溝11の最大溝深さより浅いことが好ましい。
【0037】
一実施形態によれば、タイヤ1において、第1のセンター領域Ce1のセンターブロック21の列、第2のセンター領域Ce2のセンターブロック22の列を含んだセンターブロック列、および、センター太溝17、が占める占有領域のタイヤ幅方向の長さをWB(
図2参照)とし、ベルト4の最外層のベルト層のタイヤ幅方向のベルト幅をW5(
図1参照)としたとき、比WB/W5は0.55以上0.85以下であることが好ましい。ベルト4の最外層のベルト層は、
図1において、第3の交差ベルト層35のベルト層のうちタイヤ径方向外側のベルト層であるが、ベルト4が第3の交差ベルト層35を含んでいない場合は、第2の交差ベルト層33のうちタイヤ径方向外側のベルト層である。センターブロック21および22に最も近いベルト4の最外層のベルト層を、センターブロック21および22に対して幅広にすることで、センターブロック21および22全体が補強され、十分な剛性を確保できる。これにより、センター領域において、ブロック毎の過度な動きを抑制でき、耐石噛み性および耐発熱性が向上する。一実施形態によれば、比WB/W5は、0.60以上0.80以下であることが好ましい。
【0038】
一実施形態によれば、タイヤ1は、
図5に示されるように、周方向主溝15のそれぞれにおいて、溝が部分的に浅くなった底上げ部15cを備えることが好ましい。
図5は、
図2中のV−V線を通り、タイヤ径方向を含む平面でタイヤ1を切断したときのトレッド部の一部のプロファイルを示す。底上げ部15cは、第1溝曲がり部15aおよび第2溝曲がり部15bが配置された位置と対応して溝底が底上げされている。周方向主溝15が底上げ部1cを備えることによって、溝内に入り込もうとする石を溝外に排出しようとする機能が得られ、耐石噛み性が向上する。また、隣接する底上げ部15c同士の間を延びる周方向主溝15の中間領域は、溝深さが深いことで十分な溝体積が確保され、耐発熱性が向上する。
底上げ部15cは、図示されるように一定の浅い溝深さD3を有していてもよく、溝深さが一定でなくてもよい。なお、溝深さD3は、底上げ部15cにおける最も浅い溝深さをいい、周方向主溝15の最小溝深さである。底上げ部15cは、
図5に示される例において、第1溝曲がり部15aおよび第2溝曲がり部15bと対応する位置に形成されているが、第1溝曲がり部15aと第2溝曲がり部15bとの間の中間領域に形成されていてもよい。
【0039】
一実施形態によれば、タイヤ1において、底上げ部15cにおける最も浅い溝深さD3(
図5参照)及びトレッド部のタイヤ幅方向のトレッド幅T(
図2参照)に関して、比D3/Tは0.01以上0.05以下であることが好ましい。トレッド幅Tは、トレッド部のタイヤ幅方向の接地端10a,10bの間の外形形状に沿ったペリフェリ長をいう。比D3/Tが0.05以下であることにより、底上げ部15cによる耐石噛み性の向上効果が増す。また、比D3/Tが0.01以上であることにより、溝内の空気の通りが悪くなるのを回避し、耐発熱性の低下を抑えることができる。比D3/Tは、一実施形態によれば、0.02以上0.04以下であることが好ましい。
【0040】
一実施形態によれば、センター太溝17は、タイヤ赤道線CLを通る直線形状の溝であることが好ましい。これにより、センター領域における空気の通りが良好になり、耐発熱性が向上する。また、センター太溝17が直線形状である場合は、石は両側の溝壁から2箇所で挟まれる場合が多いので、石がセンター太溝17に進入して溝に挟まれたとしても溝から排出されやすく、石噛みは生じ難い。センター太溝が直線形状でなく、例えば屈曲した形状である場合、石が溝壁から3箇所で挟まれて溝内で固定される場合が多く、石が溝から排出され難くなり、石噛みが生じやすくなる。なお、センター太溝17は、
図2に示される例において、タイヤ赤道線CLを通る直線形状であるが、一実施形態によれば、センター太溝17は、タイヤ赤道線CLを通らない直線形状であってもよく、また、直線形状でなくてもよい。直線形状でないセンター太溝は、例えば、周方向主溝15の溝曲がり部15a,15bと同様の溝曲がり部を有していてもよい。その場合に、センター太溝17は、周方向主溝15と同じまたは異なる周期で波形状に延びていてもよく、また、いずれか一方の周方向主溝15とタイヤ周方向に位相がずれてまたは位相が一致して波形状に延びていていもよい。
【0041】
一実施形態によれば、センター太溝17の溝深さをD1とし、センター太溝17の溝幅をW1としたとき、比W1/D1は1.5以上5.0以下であることが好ましい。センター領域に、周方向主溝15の溝幅よりも溝幅が太い溝があると、石が入り込みやすく、耐石噛み性が低下する場合がある。しかし、一実施形態のタイヤ1では、センター太溝17内に石が入りこもうとしても、比W1/D1が1.5以上であり、溝幅に対して溝深さが浅いことによって、石が排出されやすく、耐石噛み性が向上する。また、比W1/D1が5.0以下であることで、十分なセンター太溝17の溝体積を確保できるため、耐発熱性が向上する。比W1/D1が1.5未満または5.0を超える場合は、耐発熱性と耐石噛み性を両立できない場合がある。一実施形態によれば、比W1/D1は、2.0以上4.0以下であることが好ましい。
【0042】
一実施形態によれば、タイヤ1において、周方向主溝15およびセンターラグ溝11の溝幅はそれぞれ7mm以上20mm以下であることが好ましい。周方向主溝15およびセンターラグ溝11の溝幅の大きさは、例えば18mmである。なお、周方向主溝15およびセンターラグ溝11の溝幅が上記範囲にあることは、タイヤ1がオフロードタイヤとして用いられる場合に好適である。
【0043】
一実施形態によれば、タイヤ1は、建設用車両または産業用車両に装着される場合に好適である。建設用車両または産業用車両は、例えば、JATMAに記載されるダンプトラック、スクレーバ、グレーダ、ショベルローダ、タイヤローラ、ホイールクレーン、トラッククレーン、または、TRAに規定される「COMPACTOR」、「EARTHMOVING」、「GRADER」、「LOADER AND DOZER」等の車両を含む。
【0044】
本実施形態のタイヤ1は、変形例として、
図2に示される例に代えて、
図6に示されるトレッドパターン10を有していていもよい。
図6は
図2に示すトレッドパターンの変形例を示す図である。
図6において、
図2に示すパターン10に含まれる要素と対応する要素には、
図2で用いたのと同じ参照符号を用いている。
図6において、ズレ量Xは、
図2に示される例より小さいが、センターラグ溝11の溝幅W3以上であることにより、上述したように耐発熱性が向上する。
【0045】
本実施形態の重荷重用空気入りタイヤ1によれば、互いに平行、かつ、タイヤ周方向にオフセットされた2種のセンターラグ溝11があることで、センターラグ溝11を通った空気は、センター太溝17の溝底からタイヤ径方向内側に延びる壁面に衝突して、センター太溝17の溝底からタイヤ径方向内側に延在する部分、および、反対側の半トレッド領域のセンターブロック21あるいはセンターブロック22を冷却することができる。このような冷却作用によって、耐発熱性が向上する。また、周方向主溝15より溝幅が太いセンター太溝17があることで、センター領域において溝体積が十分に確保され、空気の通りが良好であることにより、耐発熱性が向上する。センター太溝17の溝深さが周方向主溝15およびセンターラグ溝11より浅いことで、溝内に入り込み難く、溝内に石が入り込んでも入り込んだ石は排出されやすく、耐石噛み性が向上する。センター太溝17の溝深さが一定であることで、石を排出する機能がタイヤ周方向にわたって得られ、タイヤ周方向にわたって一定の耐石噛み性が確保される。
【0046】
比D1/D2が0.2以下である場合、耐石噛み性が向上する。また、比D1/D2が0.05以上であることで、十分なセンター太溝17の溝体積を確保でき、耐発熱性が向上する。
【0047】
周方向主溝15の最大溝深さは、センターラグ溝11の最大溝深さよりも浅く、センターラグ溝11の最大溝深さは、ショルダーラグ溝13の最大溝深さよりも浅いことが好ましい。具体的に、トレッド部においてセンター領域は接地圧が高く、センターブロック21,22が繰り返し変形することで発熱しやすいため、耐発熱性を向上させるためには、センターラグ溝11の最大溝深さが周方向主溝15の最大溝深さ以上の大きさであることが好ましい。また、周方向主溝15の最大溝深さが大きすぎると、トレッド部の剛性を十分に確保できず、摩耗寿命を伸ばし難くなるため、周方向主溝15の最大溝深さは、センターラグ溝11より浅いことが好ましい。
【0048】
比WB/W5は0.55以上0.85以下であり、センターブロック21および22に最も近いベルト4の最外層のベルト層を、センターブロック21および22に対して幅広にすることで、センターブロック21および22全体が補強され、剛性を高めることができる。これにより、比較的大きい石がセンター領域に入り込んでも、トレッド部のセンター領域がタイヤ径方向内側に凹む変形が生じ難くなるので、溝が石を挟み込むことは生じ難くなる。これにより耐石噛み性は向上する。また、センターブロック21,22の剛性が高くなるので、ブロック毎の過度な動きを抑制でき、耐発熱性が向上する。
【0049】
周方向主溝15が底上げ部15cを備えることによって、溝内に石が入り込婿とを抑制し、溝に石が入り込んでも入り込んだ石を溝外に排出しようとする機能が得られ、耐石噛み性が向上する。また、隣接する底上げ部15c同士の間を延びる周方向主溝15の中間領域は、溝深さが深いことで十分な溝体積が確保され、耐発熱性が向上する。
【0050】
比D3/Tが0.05以下であることにより、底上げ部15cによる耐石噛み性の向上効果が増す。また、比D3/Tが0.01以上であることにより、溝内の空気の通りが悪くなるのを回避し、耐発熱性の低下を抑えることができる。
【0051】
センター太溝17が、タイヤ赤道線CLを通る直線形状の溝であることにより、センター領域における空気の通りが良好になり、耐発熱性が向上する。また、センター太溝17が直線形状であることにより、石噛みが生じ難い。
【0052】
一実施形態によれば、タイヤ1では、センター太溝17内に石が入りこもうとしても、比W1/D1が1.5以上であり、溝深さが比較的浅いことによって、溝に入り込んだ石が排出されやすく、耐石噛み性が向上する。また、比W1/D1が5.0以下であることで、溝深さが浅すぎず、十分な溝体積を確保できるため、耐発熱性が向上する。
【0053】
周方向主溝15およびセンターラグ溝11の溝幅はそれぞれ7mm以上20mm以下である場合は、オフロードタイヤとして用いられる場合に好適である。
【0054】
一実施形態によれば、タイヤ1は、建設用車両または産業用車両に装着される場合に好適である。
【0055】
(実施例)
表1〜3に示されるようにトレッドパターンの異なるタイヤを種々試作し(実施例1〜13、比較例1〜3)、トレッドセンター領域の耐発熱性と、耐石噛み性とを調べた。実施例1〜13、比較例1〜3は、
図2に示すトレッドパターンを用いて、表1〜3に示した仕様のタイヤを作製した。
試作したタイヤのサイズはいずれも、33.00R51である。サイズ51×24−5.0のリムに装着し、700kPa(TRA規格最大空気圧)を試験条件として、耐発熱性試験及び耐石噛み性試験を行なった。
【0056】
(耐発熱性)
試作したタイヤを室内ドラム試験機に取り付け、TRA規格最大荷重(38,750kg)の110%の負荷荷重の条件で、速度5km/時にて走行し、12時間ごとに速度を1km/時ずつ増加させ、タイヤが発熱によって破壊されるまでの走行時間を測定した。その結果を、比較例1を100とする指数で表した。指数が大きいほど耐発熱性に優れている。
【0057】
(耐石噛み性)
試作したタイヤを実車に装着して、TRA規格最大荷重(38,750kg)の試験条件で、2〜20mmのサイズの石を敷いた採石場内の300mの区間を2往復走行後、センターブロックに接する溝(周方向主溝、センターラグ溝)およびセンター領域内の溝(センター太溝)が噛んだ石の数を目視で数え、比較例1を102とする指数で表した。指数の値が大きいほど耐石噛み性に優れる。なお、指数が100以上である場合は、耐石噛み性は比較例1と同程度以上であるとした。
以上の結果、耐発熱性および耐石噛み性の指数がいずれも100以上であって、かつ、指数の合計が206以上である場合を、耐発熱性および耐石噛み性を両立できたと評価した。
【0059】
表1に示されるように、一対の周方向主溝を有し、互いに平行で、かつ、タイヤ周方向にオフセットされた2種のセンターラグ溝を有し、センター太溝を有し、センター太溝の溝深さが周方向主溝およびセンターラグ溝の最大溝深さより浅く、一定である場合(実施例1)は、耐発熱性および耐石噛み性を両立できることがわかった。
これに対し、センター太溝の溝深さが一定でない場合(比較例3)は、耐石噛み性が低下した。なお、センター太溝の溝深さが一定でない態様として、センター太溝がセンターラグ溝と接続する部分において溝深さがセンターラグ溝の最大溝深さと同じである態様を採用した。
比較例3において、さらに、センター太溝の溝深さが周方向主溝およびセンターラグ溝より浅くない場合(比較例2)は、耐石噛み性がさらに低下した。なお、センター太溝が、センター太溝の溝深さが周方向主溝およびセンターラグ溝の最大溝深さより浅くない態様としては、センター太溝の溝深さが、センターラグ溝の最大溝深さより浅いが、周方向主溝の最大溝深さと同じである態様を採用した。
【0061】
表1および表2からわかるように、比D1/D2が0.05以上0.2以下である場合(実施例2、3)は、比D1/D2が0.2を超える場合(実施例1)と比べ、耐石噛み性は向上し、耐発熱性はほぼ同等であった。
また、表2からわかるように、比W1/W2が2.8以上3.4以下である場合(実施例5)は、W1/W2が2.8未満である場合(実施例4)と比べ、耐発熱性が向上した。また、W1/W2が3.4を超える場合(実施例2)と比べ、耐発熱性および耐石噛み性がいずれも向上した。
また、比WB/W5が0.55以上0.85以下である場合(実施例5)は、比WB/W5が0.55未満である場合(実施例6)、および、比WB/W5が0.85を超える場合(実施例7)と比べ、耐発熱性および耐石噛み性がいずれも向上した。
【0063】
表2および表3からわかるように、比D3/Tが0.01以上0.05以下である場合(実施例8)は、比D3/Tが0.05を超える(実施例5)と比べ、耐発熱性および耐石噛み性はいずれも向上した。耐発熱性が向上した理由として、底上げ部15cの溝深さD3が相対的に浅いことでショルダー領域およびセンター領域のブロック剛性を抑制する効果が高くなり、ゴムの動きによる発熱を抑制できたためと考えられる。
また、センター太溝が、タイヤ赤道線CLを通る直線状である場合(実施例8)は、直線状でない場合(実施例9)と比べ、耐発熱性および耐石噛み性はいずれも向上した。なお、センター太溝が直線状でない態様として、センター太溝がタイヤ赤道線と交差するよう、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向に対して傾斜した態様を採用した。
また、比W1/D1が1.5以上5.0以下である場合(実施例10〜12)は、比W1/D1が1.5未満である場合(実施例8)と比べ、耐発熱性および耐石噛み性はいずれも向上した。また、比W1/D1が5.0を超える場合(実施例13)と比べ、耐石噛み性が少なくとも維持され、耐発熱性が向上した。
【0064】
以上、本発明の重荷重用空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
重荷重用空気入りタイヤのトレッドパターンは、一対の周方向主溝と、一対の周方向主溝の間のセンター領域を延びるセンター太溝と、前記センター太溝のタイヤ幅方向の両側の第1のセンター領域および第2のセンター領域のそれぞれに設けられ、前記センター太溝に開口する直線形状のセンターラグ溝と、を含む。前記センターラグ溝および前記周方向主溝の溝幅は、ショルダー領域に設けられたショルダーラグ溝の溝幅より狭い。前記第1のセンター領域のセンターラグ溝と、前記第2のセンター領域のセンターラグ溝は、互いに平行な向きに延び、かつ、タイヤ周方向の互いに異なる位置で前記センター太溝に開口している。前記センター太溝の溝深さは、前記周方向主溝および前記センターラグ溝の最大溝深さよりも浅く、一定であることを特徴とする。