特許第6237975号(P6237975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6237975物品の配置位置管理システム及び配置位置管理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6237975
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】物品の配置位置管理システム及び配置位置管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 17/00 20060101AFI20171120BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20171120BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20171120BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20171120BHJP
   A47F 5/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   G06K17/00 029
   G06K17/00 012
   G06K19/077 204
   G06K7/10 100
   B65G1/137 B
   A47F5/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-548243(P2017-548243)
(86)(22)【出願日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】JP2017019531
【審査請求日】2017年9月12日
(31)【優先権主張番号】特願2016-120821(P2016-120821)
(32)【優先日】2016年6月17日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】大森 亮平
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/087566(WO,A1)
【文献】 特開2009−070163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 17/00
G06K 19/077
G06K 7/10
B65G 1/137
A47F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDシステムを用いて物品が対応する配置位置に配置されているか否かを判断する、配置位置管理システムであって、
物品に設けた、第1識別コードを持つ第1RFIC素子と、
前記物品と対応する配置位置に設けた、第2識別コードを持つ第2RFIC素子と、
前記配置位置におけるRFID通信を受信するリーダと、
前記リーダに接続されたコンピュータと、
を備え、
前記物品には、前記第2RFIC素子に対応する第2アンテナ素子を設けてあり、
前記配置位置には、前記第1RFIC素子に対応する第1アンテナ素子を設けてあり、
前記物品を対応する配置位置に配置すると、前記第1RFIC素子と前記第1アンテナ素子とが接続され、且つ、前記第2RFIC素子と前記第2アンテナ素子とが接続され、
前記リーダで前記第1識別コードおよび前記第2識別コードの両方を読み取ることができた場合に、前記コンピュータによって前記物品が対応する前記配置位置に配置されていると判断する、
配置位置管理システム。
【請求項2】
前記第1RFIC素子及び前記第2アンテナ素子は、前記物品を前記配置位置に配置するときの前記物品の配置面に設けられており、
前記第2RFIC素子及び前記第1アンテナ素子は、前記物品を前記配置位置に配置するときの前記物品の前記配置面に対応する前記配置位置の配置領域に設けられている、
請求項1に記載の配置位置管理システム。
【請求項3】
前記第1RFIC素子及び前記第2RFIC素子は、第1及び第2コイルアンテナをそれぞれ内蔵しており、
前記第1アンテナ素子は、第1ループアンテナであって、前記第2アンテナ素子は、第2ループアンテナであって、
前記物品を対応する配置位置に配置すると、前記第1RFIC素子の前記第1コイルアンテナと前記第1ループアンテナとが磁界結合し、前記第2RFIC素子の前記第2コイルアンテナと前記第2ループアンテナとが磁界結合する、請求項1又は2に記載の配置位置管理システム。
【請求項4】
前記配置位置において、前記リーダで前記第1識別コードを読み取ったが、前記第2識別コードを読み取れなかった場合に、前記コンピュータで前記物品が対応する前記配置位置に配置されていないと判断し、
前記物品が対応する前記配置位置に配置されていないと判断した場合に、前記物品の前記第1識別コードに基づいて、前記物品の対応する配置位置を表示する、請求項1から3のいずれか一項に記載の配置位置管理システム。
【請求項5】
RFIDシステムを用いて物品が対応する配置位置に配置されているか否かを判断する、配置位置管理方法であって、
前記物品に第1識別コードを持つ第1RFIC素子と、前記配置位置に前記第1RFIC素子に対応する第1アンテナ素子と、をそれぞれ設けると共に、前記配置位置に第2識別コードを持つ第2RFIC素子と、前記物品に前記第2RFIC素子に対応する第2アンテナ素子と、をそれぞれ設けておき、
前記物品を対応する配置位置に配置すると、前記第1RFIC素子と前記第1アンテナ素子とが接続され、且つ、前記第2RFIC素子と前記第2アンテナ素子とが接続され、
コンピュータに接続されたリーダで前記配置位置におけるRFID通信を受信し、前記リーダで前記物品の前記第1識別コードと前記物品に対応する前記配置位置の前記第2識別コードとの両方を読み取ることができた場合に、前記コンピュータで前記物品が対応する前記配置位置に配置されていると判断する、
配置位置管理方法。
【請求項6】
前記配置位置において、前記リーダで前記第1識別コードを読み取ったが、前記第2識別コードを読み取れなかった場合に、前記物品が対応する前記配置位置に配置されていないと判断し、
前記物品が対応する前記配置位置に配置されていないと判断した場合に、前記物品の前記第1識別コードに基づいて、前記物品の対応する配置位置を表示する、請求項5に記載の配置位置管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDシステムを用いた物品の配置位置管理システム及び配置位置管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
宝飾品等の物品が所定の場所に正しく返却されているか、をRFIDシステムを利用して管理する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1では、宝飾品にRFIDタグを付しておき、陳列ケースにリーダを設けておく、といった管理システムが開示されている。この管理システムによれば、陳列ケースに宝飾品が設けられている否かを管理できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−175894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記方法では、宝飾品を陳列ケースのどこに置いてもRFIDタグをリーダで読み取ってしまうため、どの宝飾品をどの場所に置いたのかまでは管理できない。また、リーダ側アンテナの出力や指向性によっては陳列ケース外部の宝飾品を読み取ってしまうことがある。
【0005】
特に、店舗によっては、どの位置にどの宝飾品を置くのかがマニュアル等で定められていることがあるが、上記特許文献1に記載の管理方法では、これを管理することができない。たとえば、所定位置にそれぞれリーダを設けておけば、陳列ケース内でのロケーション管理も可能であるが、システムが複雑化、高コスト化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、配置する位置と関連付けて物品を管理できる物品の配置位置管理システム及び物品の配置位置管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る物品の配置位置管理システムは、RFIDシステムを用いて物品が対応する配置位置に配置されているか否かを判断する、物品の配置位置管理システムであって、
物品に設けた、第1識別コードを持つ第1RFIC素子と、
前記物品と対応する配置位置に設けた、第2識別コードを持つ第2RFIC素子と、
前記配置位置におけるRFID通信を受信するリーダと、
前記リーダに接続されたコンピュータと、
を備え、
前記物品には、前記第2RFIC素子に対応する第2アンテナ素子を設けてあり、
前記配置位置には、前記第1RFIC素子に対応する第1アンテナ素子を設けてあり、
前記物品を対応する配置位置に配置すると、前記第1RFIC素子と前記第1アンテナ素子とが接続され、且つ、前記第2RFIC素子と前記第2アンテナ素子とが接続され、
前記リーダで前記第1識別コードおよび前記第2識別コードの両方を読み取ることができた場合に、前記コンピュータによって前記物品が対応する前記配置位置に配置されていると判断する。
【0008】
本発明に係る物品の配置位置管理方法は、RFIDシステムを用いて物品が対応する配置位置に配置されているか否かを判断する、物品の配置位置管理方法であって、
前記物品に第1識別コードを持つ第1RFIC素子と、前記配置位置に前記第1RFIC素子に対応する第1アンテナ素子と、をそれぞれ設けると共に、前記配置位置に第2識別コードを持つ第2RFIC素子と、前記物品に前記第2RFIC素子に対応する第2アンテナ素子と、をそれぞれ設けておき、
前記物品を対応する配置位置に配置すると、前記第1RFIC素子と前記第1アンテナ素子とが接続され、且つ、前記第2RFIC素子と前記第2アンテナ素子とが接続され、
コンピュータに接続されたリーダで前記配置位置におけるRFID通信を受信し、前記リーダで前記物品の前記第1識別コードと前記物品に対応する前記配置位置の前記第2識別コードとの両方を読み取ることができた場合に、前記コンピュータで前記物品が対応する前記配置位置に配置されていると判断する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る物品の配置位置管理システム及び物品の配置位置管理方法によれば、配置する位置と関連付けて物品を管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る物品の配置位置管理システムの構成を示す概略図である。
図2A図1のA−A方向からみた断面図である。
図2B図2Aの物品を対応する配置位置に配置した場合の断面図である。
図3図1の配置位置管理システムを構成するコンピュータの物理的構成及び論理的構成を示すブロック図である。
図4図1のRFIC素子とアンテナ素子との組み合わせの構成を示す概略断面図である。
図5図4のRFIC素子の等価回路図である。
図6】実施の形態1に係る物品の配置位置管理方法におけるテーブル作成時の物品と、物品と対応する配置位置との関係を示す概略図である。
図7】実施の形態1に係る物品の配置位置管理方法におけるテーブル作成方法のフローチャートである。
図8】実施の形態1に係る物品の配置位置管理方法を説明する概略図である。
図9】実施の形態1に係る物品の配置位置管理方法のフローチャートである。
図10】実施の形態2に係る物品の配置位置管理システムにおける物品と物品に関連付けられ、RFIC素子及びアンテナ素子を有する札と、札を挿入するポケットとを示す概略図である。
図11A】突部を有する札を挿入するための、RFIC素子及びアンテナ素子を有するポケットを示す概略図である。
図11B】台形状の札を挿入するための、RFIC素子及びアンテナ素子を有するポケットを示す概略図である。
図12】実施の形態3に係る物品の配置位置管理システムの構成を示す概略図である。
図13A図12のRFIC素子とアンテナ素子との組み合わせの構成を示す概略断面図である。
図13B図13AのRFIC素子内のコイルアンテナの内部構成を示す分解斜視図である。
図14A図13AのRFIC素子とアンテナ素子とが磁界結合している場合の等価回路図である。
図14B図14Aの場合のRFIC素子とアンテナ素子のループ部との磁界結合の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の態様に係る物品の配置位置管理システムは、RFIDシステムを用いて物品が対応する配置位置に配置されているか否かを判断する、物品の配置位置管理システムであって、
物品に設けた、第1識別コードを持つ第1RFIC素子と、
前記物品と対応する配置位置に設けた、第2識別コードを持つ第2RFIC素子と、
前記配置位置におけるRFID通信を受信するリーダと、
前記リーダに接続されたコンピュータと、
を備え、
前記物品には、前記第2RFIC素子に対応する第2アンテナ素子を設けてあり、
前記配置位置には、前記第1RFIC素子に対応する第1アンテナ素子を設けてあり、
前記物品を対応する配置位置に配置すると、前記第1RFIC素子と前記第1アンテナ素子とが接続され、且つ、前記第2RFIC素子と前記第2アンテナ素子とが接続され、
前記リーダで前記第1識別コードおよび前記第2識別コードの両方を読み取ることができた場合に、前記コンピュータによって前記物品が対応する前記配置位置に配置されていると判断する。
【0012】
第2の態様に係る配置位置管理システムは、上記第1の態様の構成において、前記第1RFIC素子及び前記第2アンテナ素子は、前記物品を前記配置位置に配置するときの前記物品の配置面に設けられており、
前記第2RFIC素子及び前記第1アンテナ素子は、前記物品を前記配置位置に配置するときの前記物品の配置面に対応する前記配置位置の配置領域に設けられていてもよい。
【0013】
第3の態様に係る配置位置管理システムは、上記第1又は第2の態様の構成において、前記第1RFIC素子及び前記第2RFIC素子は、第1及び第2コイルアンテナをそれぞれ内蔵しており、
前記第1アンテナ素子は、第1ループアンテナであって、前記第2アンテナ素子は、第2ループアンテナであって、
前記物品を対応する配置位置に配置すると、前記第1RFIC素子の前記第1コイルアンテナと前記第1ループアンテナとが磁界結合し、前記第2RFIC素子の前記第2コイルアンテナと前記第2ループアンテナとが磁界結合してもよい。
【0014】
第4の態様に係る配置位置管理システムは、上記第1から第3のいずれかの態様の構成において、前記配置位置において、前記リーダで前記第1識別コードを読み取ったが、前記第2識別コードを読み取れなかった場合に、前記コンピュータで前記物品が対応する前記配置位置に配置されていないと判断し、
前記物品が対応する前記配置位置に配置されていないと判断した場合に、前記物品の前記第1識別コードに基づいて、前記物品の対応する配置位置を表示してもよい。
【0015】
第5の態様に係る物品の配置位置管理方法は、RFIDシステムを用いて物品が対応する配置位置に配置されているか否かを判断する、物品の配置位置管理方法であって、
前記物品に第1識別コードを持つ第1RFIC素子と、前記配置位置に前記第1RFIC素子に対応する第1アンテナ素子と、をそれぞれ設けると共に、前記配置位置に第2識別コードを持つ第2RFIC素子と、前記物品に前記第2RFIC素子に対応する第2アンテナ素子と、をそれぞれ設けておき、
前記物品を対応する配置位置に配置すると、前記第1RFIC素子と前記第1アンテナ素子とが接続され、且つ、前記第2RFIC素子と前記第2アンテナ素子とが接続され、
コンピュータに接続されたリーダで前記配置位置におけるRFID通信を受信し、前記リーダで前記物品の前記第1識別コードと前記物品に対応する前記配置位置の前記第2識別コードとの両方を読み取ることができた場合に、前記コンピュータで前記物品が対応する前記配置位置に配置されていると判断する。
【0016】
第6の態様に係る配置位置管理方法は、上記第5の態様の構成において、前記配置位置において、前記リーダで前記第1識別コードを読み取ったが、前記第2識別コードを読み取れなかった場合に、前記物品が対応する前記配置位置に配置されていないと判断し、
前記物品が対応する前記配置位置に配置されていないと判断した場合に、前記物品の前記第1識別コードに基づいて、前記物品の対応する配置位置を表示してもよい。
【0017】
以下、実施の形態に係る物品の配置位置管理システム及びについて、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0018】
(実施の形態1)
<配置位置管理システム>
図1は、実施の形態1に係る物品の配置位置管理システム50の構成を示す概略図である。図2Aは、図1のA−A方向からみた断面図である。図2Bは、図2Aの物品2aを対応する配置位置4aに配置した場合の断面図である。図3は、図1の配置位置管理システム50を構成するコンピュータ33の物理的構成及び論理的構成を示すブロック図である。
【0019】
この実施の形態1に係る配置位置管理システム50では、RFIDシステムを用いて物品が対応する配置位置に配置されているか否かを判断する。この配置位置管理システム50では、物品2aに設けた、第1識別コードを持つ第1RFIC素子20aと、物品2aと対応する配置位置4aに設けた、第2識別コードを持つ第2RFIC素子20bと、配置位置4aにおけるRFID通信を受信するリーダ32と、リーダ32に接続されたコンピュータ33と、を備える。また、物品2aには、第2RFIC素子20bに対応する第2アンテナ素子10bを設けてある。さらに、配置位置4aには、第1RFIC素子20aに対応する第1アンテナ素子10aを設けてある。そして、物品2aを対応する配置位置4aに配置すると、第1RFIC素子20aと第1アンテナ素子10aとが接続されて第1RFIDタグ30aが構成される(図2B)。さらに、第2RFIC素子20bと第2アンテナ素子10bとが接続されて第2RFIDタグ30bが構成される(図2B)。これによって、第1識別コードおよび第2識別コードがそれぞれ読み取り可能になる。その結果、リーダ32で第1識別コードおよび第2識別コードの両方を読み取ることができた場合に、コンピュータ33によって上記物品2aが対応する配置位置4aに配置されていると判断することができる。
【0020】
なお、物品2aが対応する配置位置ではない配置位置4cに配置された場合には、物品2aに付された第1RFIC素子20aの第1識別コードは読み取り可能になるが、配置位置4aに付された第2RFIC素子20bの第2識別コードは読み取りできない。一方、配置位置4cに配置されたRFIC素子20fの識別コードを読むことができるにすぎない。
【0021】
本実施の形態に係る物品の配置位置管理システムによれば、1つのリーダ32で、複数の物品2a〜2fと複数の配置位置4a〜4fを持った配置位置管理システムとして対応できる。また、店舗における商品管理や工程における冶工具管理など、様々な用途に利用できる。たとえば、陳列用トレイの配置位置4aの上部に第1アンテナ素子10a、第2RFIC素子20bを配置しておき、物品である宝飾品収容箱2aの下部に第1RFIC素子20aと、第2アンテナ素子10bとを配置しておく。物品である宝飾品収容箱2aが対応する配置位置4aに正しく配置された場合には、リーダ32にて、第1RFIC素子20aの識別コードと第2RFIC素子20bの識別コードとの両方を読み取ることができる。これによって、物品である宝飾品収容箱2aと、対応する配置位置4aとを関連付けて管理することができる。
【0022】
以下に、この配置位置管理システムを構成する構成部材について説明する。なお、本実施形態における配置位置管理システムはUHF帯RFIDシステムを利用したものである。
【0023】
<物品>
物品2a〜2fは、配置位置4a〜4fに配置可能なものであればよい。また、物品2a〜2fには、配置位置4a〜4fに配置するときの物品2a〜2fの配置面(下面)3aにRFIC素子20a、20c、20e、20g、20i、20k及びアンテナ素子10b、10d、10f、10h、10j、10lをそれぞれ設けている。
物品2a、2b、2c、2d、2e、2fとしては、例えば、治具、工具、宝飾品、その他の物品であってもよい。
なお、実施の形態2で詳述するように、物品自体にRFIC素子及びアンテナ素子を設けるのではなく、物品に関連付けられた部材、例えば札等にRFIC素子及びアンテナ素子を設けてもよい。
【0024】
<配置位置>
配置位置4a〜4fは、物品2a〜2fを配置可能であればよい。配置位置4a〜4fには、物品2a〜2fを配置するときの物品の配置面3aに対応する配置位置4a〜4fの配置領域(上面)4aにRFIC素子20b、20d、20f、20h、20j、20l及びアンテナ素子10a、10c、10e、10g、10i、10kをそれぞれ設けている。なお、ここでは、物品に対応する「配置位置」と、物品の配置面に対応する「配置領域」とを分けて示しているが、「配置位置」と「配置領域」とは実質的に同一である。
【0025】
配置位置(配置領域)4a〜4fとしては、例えば、台座6(図1)の凹部、あるいは物品に関連付けられた札を収納するポケット8a、8b(図10図11A図11B)等である。なお、配置位置は、上記図示したものに限定されない。配置位置(配置領域)は、例えば、フラットな面に設けられていてもよい。この場合には、配置領域として、物品の配置面に対応する領域を表示してもよい。これによって物品を配置領域に位置合わせしやすくなる。
また、配置位置(配置領域)は、図1図2A図2Bでは平面として示しているが、これに限定されない。配置位置(配置領域)は、例えば、凹凸面を有していてもよい。また、曲面であってもよい。さらに、配置位置(配置領域)は、物品の外形状に合わせた形状であってもよい。例えば、実施の形態2におけるポケット8aでは、札7に設けられた突部9aに対応する突部9bを有する。そこで、札7が突部9aをポケット8aの突部9bに合わせるように挿入することで、札7をポケット8aに収納できる。この場合、物品又は物品に関連付けられた部材を配置位置(配置領域)に位置合わせしやすくなる。
【0026】
<RFIC素子>
図4は、図1のRFIC素子20と第1及び第2放射素子11、12との組み合わせの構成を示す概略断面図である。図5は、図4のRFIC素子20の等価回路図である。
RFIC素子20は、RFICチップ21と、導電性接合材22及び端子電極23を介してRFICチップ21と接続された多層基板25とを備える。RFICチップ21は封止樹脂24で封止されている。また、多層基板25には、L1及びL2等のインダクタ用パターン及びC1、C2等のキャパシタ用パターンからなる給電回路が内蔵されている。CICは、RFICチップ21の浮遊容量である。給電回路によって共振回路が形成されており、その共振周波数はキャリア周波数に対応する。このように給電回路を設けることによって、第1及び第2放射素子の電気長が変化してもキャリア周波数の中心周波数は大きく変化しないようにすることができる。
つまり、初期状態での第1及び第2放射素子11、12の電気長を最大利得状態(2/λ)にあわせておけば、第1及び第2放射素子11、12の電気長が若干変化しても通信可能距離が低下するだけで、同じキャリア周波数で読み取りは可能である。
【0027】
RFIC素子20と第1及び第2放射素子11、12とは、例えば、図4ではRFIC素子20の端子電極26aによって第1放射素子11と接続し、端子電極26bによって第2放射素子と接続する直接接続によって接続されているがこれに限られない。RFIC素子20と第1及び第2放射素子11、12とは、端子電極26a、26bによる直接接続だけでなく、たとえば、容量結合、磁界結合等のいずれの結合をしていてもよい。
なお、図4では、RFIC素子20において、給電回路を内蔵する多層基板25を設けているがこれに限られず、給電回路を設けない場合であってもよい。
【0028】
物品2aのRFIC素子20aは、識別コードである固有ID(Article1−1)を持つ。物品2bのRFIC素子20cは、識別コードである固有ID(Article1−2)を持つ。物品2cのRFIC素子20eは、識別コードである固有ID(Article1−3)を持つ。物品2dのRFIC素子20gは、識別コードである固有ID(Article2−1)を持つ。物品2eのRFIC素子20iは、識別コードである固有ID(Article2−2)を持つ。物品2fのRFIC素子20lは、識別コードである固有ID(Article2−3)を持つ。
【0029】
同様に、配置位置4aのRFIC素子20bは、識別コードである固有ID(Location1−1)を持つ。配置位置4bのRFIC素子20dは、識別コードである固有ID(Location1−2)を持つ。配置位置4cのRFIC素子20fは、識別コードである固有ID(Location1−3)を持つ。配置位置4dのRFIC素子20hは、識別コードである固有ID(Location2−1)を持つ。配置位置4eのRFIC素子20jは、識別コードである固有ID(Location2−2)を持つ。配置位置4fのRFIC素子20lは、識別コードである固有ID(Location2−3)を持つ。
【0030】
<アンテナ素子>
アンテナ素子10は、UHF帯RFIDタグ用のアンテナ素子を構成しており、第1放射素子11及び第2放射素子12によって構成される電界型アンテナである。第1放射素子11及び第2放射素子12は、ダイポールアンテナを構成しており、一組の細長矩形形状あるいは棒形状(バー形状)ダイポールエレメントを有する。第1放射素子11及び第2放射素子12は、それぞれ互いに異なる方向に延在している。具体的には、第1放射素子11及び第2放射素子12は、RFIC素子20から互いに反対方向に延在している。
第1放射素子11及び第2放射素子12は、通常のアンテナ素子に用いられる銅箔、銅板、銅めっき膜、金箔、金板、金めっき膜等の材料を用いることができる。材料は上記の例に限られず、通常使用されるものであれば使用できる。
【0031】
<リーダ>
図1に示すリーダ32は、例えばUHF帯RFIDリーダ機能を有したスマートフォンあるいは専用のリーダ等であってもよい。なお、リーダ32には受信用のアンテナ素子31が接続されている。UHF帯RFIDシステムの場合、アンテナ素子31は、例えばモノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ等の電界型アンテナを利用できる。
【0032】
<コンピュータ>
コンピュータ33は、図3のブロック図に示すように、物理的構成として、CPU34、メモリ35、記憶部36、表示部(ディスプレイ)38等を有する。記憶部36には、物品2a〜2fのうちの一つの識別コードと配置位置4a〜4fのうちの一つの識別コードとを一対として関連づける下記の表1に示すテーブル37を格納している。
【0033】
【表1】
【0034】
コンピュータ33は、さらに、機能的構成部40として、識別コード読み取り部42、テーブル作成部44、配置位置判断部46を有する。物品2aを対応する配置位置4aに配置した状態で、物品2aと対応する配置位置4aとの間で2つのRFIDタグ30a、30bが構成される。第1RFIDタグ30aは、物品2aに付された第1RFIC素子20aと、配置位置4aに付された第1アンテナ素子10aとによって構成される。第2RFIDタグ30bは、配置位置4aに付された第2RFIC素子20bと、物品2aに付された第2アンテナ素子10bとによって構成される。識別コード読み取り部42は、第1RFIDタグ30aとの通信によって第1RFIC素子20aから物品2aの識別コードを読み取る。また、第2RFIDタグ30bとの通信によって第2RFIC素子20bから配置位置4aの識別コードを読み取る。
【0035】
また、テーブル作成部44によって、物品2i(i=1〜n)の識別コードと対応する配置位置4i(i=1〜n)の識別コードとを一対として関連付けるテーブル37を作成する。
さらに、配置位置判断部46によって、読み取った物品2aの識別コードと配置位置4aの識別コードとの組み合わせがテーブル37に登録されているか判断し、物品が対応する配置位置に正しく配置されているかを決定する。
なお、コンピュータ33の上記の機能的構成部40は、物理的に実現してもよく、あるいは後述する配置位置管理方法をコンピュータ33において実行可能なソフトウエアによって実現してもよい。
【0036】
<RFIC素子とアンテナ素子との分割>
この配置位置管理システム50では、図2Aに示すように、2つのRFIDタグ30a、30bをそのままの状態で含んでいるものではない。つまり、第1RFIDタグ30aを構成する第1RFIC素子20aと第1アンテナ素子10aとが分割された構造で物品2aと配置位置4aとにそれぞれ配置されていることを特徴としている。また、第2RFIDタグ30bを構成する第2RFIC素子20bと第2アンテナ素子10bとが分割された構造で配置位置4aと物品2aとにそれぞれ配置されていることを特徴としている。
【0037】
つまり、「第1RFIC素子20a」は、物品2aと配置位置4aとを組み合わせたときの物品2aの配置面に設けられている。「第1アンテナ素子10a」は、物品2aと配置位置4aとを組み合わせたときの物品2aの配置面3aに対応する配置位置(配置領域)4aに設けられている。「第2RFIC素子20b」は、物品2aと配置位置4aとを組み合わせたときの物品2aの配置面3aに対応する配置位置(配置領域)4aに設けられている。「第2アンテナ素子10b」は、物品2aと配置位置4aとを組み合わせたときの物品2aの配置面3aに設けられている。
【0038】
その結果、図2Bに示すように、物品2aと配置位置4aとを正しく組み合わせた場合のみ、物品2aに設けられた第1RFIC素子20aと配置位置4aに設けられた第1アンテナ素子10aとが電気的に接続可能となり、第1RFIDタグ30aを構成する。その結果、RFID通信が可能となる。同様に、配置位置4aに設けられた第2RFIC素子20bと物品2aに設けられた第2アンテナ素子10bとが電気的に接続可能となり、第2RFIDタグ30bを構成する。その結果、RFID通信が可能となる。
【0039】
<テーブル作成方法について>
図6は、実施の形態1に係る物品の配置位置管理方法におけるテーブル作成時の物品と、物品と対応する配置位置との関係を示す概略図である。図7は、実施の形態1に係る物品の配置位置管理方法におけるテーブル作成方法のフローチャートである。
(1)n個の物品2a〜2fとそれぞれ対応する配置位置4a〜4fとを用意する(S01)。図6の場合には、6個の物品2a〜2fと、台座6の上に6箇所の配置位置4a〜4fとを用意している。
(2)変数iを1とする(i=1)(S02)。変数iはテーブル作成時の変数であり、iに1を代入して初期化する。
【0040】
(3)i番目の物品2i(i=1〜n)を対応する配置位置4i(i=1〜n)に配置し、その状態でi番目の物品2i(i=1〜n)と対応する配置位置との間で構成される2つのRFIDタグ30a、30bをリーダで読み取る(S03)。具体的には、まず、物品2aを配置位置4aに配置し、この状態をリーダ32にて読み取る。これによって、物品2aに付した第1RFIC素子20aの第1識別コードである固有ID(Article1−1)と、配置位置4aに付した第2RFIC素子20bの第2識別コードである固有ID(Location1−1)とを読み取ることができる。なお、第1識別コード及び第2識別コードは、例えば、固有IDであってもよい。
(4)i番目の物品2i(i=1〜n)の識別コードと対応する配置位置4i(i=1〜n)の識別コードとを一対として関連づけるテーブルを作成する(S04)。具体的には、物品2aの第1識別コードである固有ID(Article1−1)と、対応する配置位置4aの第2識別コードである固有ID(Location1−1)とを一対として関連づけるテーブルを作成する。
【0041】
(5)次いで、全ての物品を配置したか、判断する(S05)。全ての物品について対応する配置位置へ配置した場合には、全ての物品の識別コード(固有ID)と、それに対応する配置位置の識別コード(固有ID)とを対応させたテーブル作成が完了しているので、終了する。
(6)一方、全ての物品について配置を完了していない場合には、変数iを一つ進める(i=i+1)。具体的には変数iをインクリメントして、次の物品について配置するためのステップS03に戻る。例えば、次に、物品2aを配置位置4aから外し、物品2bを配置位置4bに配置して、この状態をリーダ32にて読み取る。なお、次の物品を登録するとき、前の物品をわざわざ外さなくてもよい。
以上の各ステップによって、各物品2i(i=1〜n)について対応する配置位置4i(1〜n)への配置と、行うことで、物品の識別コードと、その物品に対応する配置位置の識別コードとの正しい組み合わせの関係(固有IDの組)を登録した下記の表2に示すテーブルを作成できる。
【0042】
【表2】
【0043】
なお、このテーブル作成方法では、各物品を対応する配置位置にそれぞれ配置して、物品の配置位置への配置によって構成される2つのRFIDタグとのRFID通信によって得られる2つの識別コードを一対として関連づけてテーブルを作成している。しかし、テーブルの作成方法は、上記方法に限られない。例えば、RFID通信によらず、物品の識別コードと配置位置の識別コードとを関連付けたデータを用いてテーブルを作成してもよい。また、新たに上記のテーブル作成方法を実行することで作成済みのテーブルを更新してもよい。
【0044】
<配置位置管理方法>
図8は、実施の形態1に係る物品の配置位置管理方法を説明する概略図である。図9は、実施の形態1に係る物品の配置位置管理方法のフローチャートである。
(1)配置位置4i(i=1〜n)について、配置された物品2i(i=1〜n)と配置位置4i(i=1〜n)との間で構成される2つのRFIDタグ30a、30bをリーダ32で読み取る(S11)。例えば、図8の場合には、リーダ32において、物品2cの識別コードである固有ID(Article1−3)と、配置位置4cの識別コードである固有ID(Location1−3)と、物品2fの識別コードである固有ID(Article2−3)と、配置位置4fの識別コードである固有ID(Location32−3)がすでに読み取られている。
【0045】
ここで、物品2aを配置位置4aに配置した場合、さらに、物品2aの識別コードである固有ID(Article1−1)と、配置位置4aの識別コードである固有ID(Location1−1)との両方が読取り可能になる。この場合、物品2aを配置位置4aに配置した場合に、第1RFIDタグ30aと第2RFIDタグ30bとはほぼ同時に構成されるので、物品2aの識別コードと配置位置4aの識別コードとは、実質的に同時に読み取り可能になる。実際の読み取りでは、ハードウエア及びソフトウエアでのタイムラグによって2つの識別コードの読み取りには若干の時間的ずれを生じる場合がある。そこで、2つの識別コードの読み取りに時間差がある場合にも、タイムラグによるものであると判断された場合には実質的に同時に読み取りが行われたと扱うことができる。
【0046】
(2)物品の識別コードと配置位置の識別コードとの組み合わせはテーブルに登録されているか判断する(S12)。図8の場合には、物品2aを配置位置4aに配置することで新たに読み取り可能となった物品2aの識別コードである固有IDと、配置位置4aの識別コードである固有IDとの組み合わせがテーブルに登録されているか判断する。
なお、物品2cの識別コードである固有ID(Article1−3)と、配置位置4cの識別コードである固有ID(Location1−3)と、物品2fの識別コードである固有ID(Article2−3)と、配置位置4fの識別コードである固有ID(Location32−3)は、あらかじめ読み取り可能となっている。
【0047】
(3)物品の識別コードと配置位置の識別コードとの組み合わせがテーブルに登録されている場合(S12にてYES)には、物品は対応する正しい配置位置に配置されていると判断する(S13)。具体的には、物品2aの識別コードである固有ID(Article1−1)と、配置位置4aの識別コードである固有ID(Location1−1)と、の組み合わせが上記テーブルに登録されている。そこで、物品2aは、対応する配置位置4aに配置されていると判断できる。
【0048】
(4)一方、物品の識別コードと配置位置の識別コードとの組み合わせがテーブルに登録されていない場合(S12にてNO)には、物品は誤った配置位置に配置されていると判断する(S14)。例えば、物品2aを配置位置4bに配置した場合、物品2aの識別コードである固有ID(Article1−1)と配置位置4bの識別コードである固有ID(Location1−2)とが新たに読み取られる。この固有IDの組は、あらかじめ上記テーブルに登録された組のいずれとも一致しない。よって、物品2aは、対応する配置位置4aではなく、誤った配置位置4bに配置されたと判断される。
(5)この場合、表示部(ディスプレイ)38によって、物品の正しい配置位置を表示しする(S15)。例えば、「物品2aは、対応する配置位置4aに配置してください」旨の表示を出してもよい。なお、表示に代えて、単にアラームを出してもよい。
その後、各配置位置について、配置される物品と配置位置との間で構成される2つのRFIDタグをリーダ32で読み取るステップ(S11)に戻る。つまり、図8の場合には常時読み取りを行っている。これによって、読み取り可能になった固有IDの組を特定できる。
以上の物品の配置位置管理方法によって、配置する位置と関連付けて物品を管理できる。
なお、この配置位置管理方法は、上述のようにコンピュータ33上で実行可能なソフトウエアによって実現することができる。
【0049】
(実施の形態2)
図10は、実施の形態2に係る物品の配置位置管理システムにおける物品2gと物品2gに関連付けられ、RFIC素子20a及びアンテナ素子10bを有する札7と、札7を挿入するポケット8aとを示す概略図である。図11Aは、突部9aを有する札7を挿入するための、RFIC素子20b及びアンテナ素子10aを有するポケット8aを示す概略図である。図11Bは、台形状の札(図示せず)を挿入するための、RFIC素子20b及びアンテナ素子10aを有するポケット8bを示す概略図である。
【0050】
実施の形態2に係る物品の配置位置管理システムでは、実施の形態1に係る物品の配置位置管理システムと対比すると、物品2g自体ではなく、物品2gに関連付けられた部材、例えば、札7にRFIC素子20a及びアンテナ素子10bを設けている点で相違する。これによって、物品2gが小さいか、あるいはその形状のためにRFIC素子及びアンテナ素子を設けることができない場合にも、物品2gに関連付けられた部材にRFIC素子及びアンテナ素子を設けることができる。また、実施の形態1に係る物品の配置位置管理システムでは台座6の上に複数の配置位置4a〜4fを設けていたが、この実施の形態2では、図10に示すように、台座6aの上に札7を挿入するポケット8aを配置位置として設けている点で相違する。
【0051】
ポケット8aでは、図11Aに示すように、札7に設けられた突部9aに対応する突部9bを有する。そこで、札7が突部9aをポケット8aの突部9bに合わせるように挿入することで、札7をポケット8aに収納できる。この場合、物品又は物品に関連付けられた部材を配置位置(配置領域)に位置合わせしやすくなる。
また、ポケット8bでは、図11Bに示すように、逆台形形状(上辺が下辺より長い台形)を有している。そこで、このポケット8bには、逆台形形状の札(図示せず)を挿入できるが、それ以外の形状の札を挿入できない。つまり、ポケット8bは、特定の形状を有する札のみ挿入でき、札に対する選択性を有する。
【0052】
実施の形態2に係る物品の配置位置管理システムによれば、物品2gに関連付けられた部材としての札7と、その札7を収納する配置位置としてのポケット8a、8bとによって、物品2gと対応するポケット8a、8bとを関連付けて間接的に管理できる。
【0053】
(実施の形態3)
図12は、実施の形態3に係る物品の配置位置管理システム50aの構成を示す概略図である。図13Aは、図12のRFIC素子18とアンテナ素子であるループアンテナ14との組み合わせの構成を示す概略断面図である。図13Bは、図13AのRFIC素子内のコイルアンテナ28の内部構成を示す分解斜視図である。
実施の形態3に係る物品の配置位置管理システム50aは、実施の形態1に係る物品の配置位置管理システムと対比すると、RFIC素子18a〜18lがコイルアンテナ28を内蔵している点で相違する。また、アンテナ素子がダイポールアンテナではなくループアンテナ14a〜14lである点で相違する。このようにコイルアンテナ28を内蔵するRFIC素子18a〜18lとループアンテナ14a〜14lとの組み合わせによっても実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0054】
このコイルアンテナ28を内蔵しているRFIC素子18は、図13Aに示すように、RFICチップ21と、複数のシート51a〜51eを積層して構成されたコイルアンテナ28とを備える。コイルアンテナ28は、図13Bに示すように、誘電体又は磁性体のシート51c〜51e上に形成されたコイル用導体パターン63a〜63cを積層してビアホール導体64aで接続してコイル状に巻回して構成されている。コイルアンテナ28のそれぞれの一端は、はんだバンプ61a、61bを介してRFICチップ21の入出力端子電極に電気的に接続されている。
【0055】
図14Aは、RFIC素子18とループアンテナ14とが磁界結合している場合の等価回路図である。図14Bは、図14Aの場合のRFIC素子18のコイルアンテナ28とループアンテナ14のループ部16との磁界結合の状態を示す模式図である。
なお、この実施の形態においては、RFIC素子18は、前記実施の形態におけるRFIC素子20と同様の構成を有する。ただし、本実施の形態におけるRFIC素子18は、多層基板25に相当する構成を有していない。また、ループアンテナ14は、例えば針金状の金属線の中央部分をループ状に形成し、両端側を互いに反対方向に伸びる開放端とした構成を有する。
図14A及び図14Bに示すように、RFIC素子18のコイルアンテナ28とループアンテナ14のループ部16との軸を平行又は同軸に合わせることによって、コイルアンテナ28とループアンテナ14のループ部16とを磁力線17が貫き、磁界結合させることができる。なお、この場合のRFIC素子18にはRFICチップ21の浮遊容量C以外の容量は含まない。また、ループアンテナ14は、ループ部16から両側に互いに反対方向に向かって放射部が延在している。
【0056】
なお、上記実施の形態におけるRFIDタグはパッシブ型であるが、これに限られず、電池又は電源を有するアクティブ型であってもよい。
【0057】
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る物品の配置位置管理システムによれば、配置する位置と関連付けて物品を管理できるので、複数の物品と複数の配置位置を持った配置位置管理システムとして有用である。
【符号の説明】
【0059】
2、2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g 物品
3a、3b 配置面
4,4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g 配置位置(ロケーション、配置領域)6、6a 台座
7 札
8a、8b ポケット
9a、9b 突部
10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j、10k、10l アンテナ素子
11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h、11i、11j、11k、11l 第1放射素子
12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h、12i、12j、12k、12l 第2放射素子
14、14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14h、 ループアンテナ
16 ループ部
17 磁力線
18、18a、18c、18d、18e、18f、18g、18h、18i、18j、18k、18l RFIC素子
20 RFIC素子
20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i、20j、20k、20l RFIC素子
21 RFICチップ
22 導電性接合材
23 端子電極
24 封止樹脂
25 多層基板
26a、26b 端子電極
28 コイルアンテナ
30 RFIDタグ
30a 第1RFIDタグ
30b 第2RFIDタグ
31 アンテナ素子
32 リーダ
33 コンピュータ
34 CPU
35 メモリ
36 記憶部
37 テーブル
38 表示部(ディスプレイ)
40 機能的構成部
42 識別コード読み取り部
44 テーブル作成部
46 配置位置判断部
50、50a 配置位置管理システム
51a、51b、51c、51d、51e シート
61a、61b はんだバンプ
64a ビアホール導体
【要約】
配置位置管理システム(50)は、物品(2a)に設けた、第1識別コードを持つ第1RFIC素子(20a)と、物品(2a)と対応する配置位置(4a)に設けた、第2識別コードを持つ第2RFIC素子(20b)と、リーダ(32)と、コンピュータ(33)と、を備え、物品(2a)には、第2RFIC素子(20b)に対応する第2アンテナ素子(10b)を設けてあり、配置位置(4a)には、第1RFIC素子(20a)に対応する第1アンテナ素子(10a)を設けてあり、物品(2a)を対応する配置位置(4a)に配置すると、第1RFIC素子(20a)と第1アンテナ素子(10a)とが接続され、且つ、第2RFIC素子(20b)と第2アンテナ素子(10b)とが接続され、リーダ(32)で第1識別コードおよび第2識別コードの両方を読み取ることができた場合に、物品(2a)が対応する配置位置(4a)に配置されていると判断する。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14A
図14B