(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
車両のユーザが所持する携帯機とで構成されるスマートキーシステムが実用化されている。このスマートキーシステムは、車載装置と携帯機との間で無線通信によるIDコードの照合が成立すれば、機械式キーでの操作を行わなくても、ドアの施錠/解錠やエンジンの始動許可等の制御を実行できる。
【0003】
また、携帯機を所持したユーザが降車し、全ドアを閉じた状態でドアハンドルに設置されたトリガスイッチに触れると、携帯機との間で無線通信が開始されて上述のIDコードの照合が行われ、その照合結果に基づいてドアをロックする。この後、全てのドアがロック状態となることで、無線通信ポーリングが開始される。ドアを閉じた状態で携帯機が車室内に存在する場合に、トリガスイッチに触れても、車室内アンテナからの無線通信ポーリングの応答によって車室内に携帯機ありと判定し、ドアロックを無効とし、室内へのキー忘れ警報を発令する。
【0004】
しかしながら、上記のシステムは、車室内に携帯機を置いたまま、全てのドアをロックすることができない。例えば、車でサーフィンや海水浴等のレジャーで携帯機を持ったまま海に入ると壊れてしまう懸念があるため、車室内が無人になる前提で、「携帯機を車室内に残しておきたい」といったニーズがある。携帯機を車室内に置いたまま一時的に施錠できれば、携帯機を紛失したり、故障させる心配はない。携帯機の電池を外す、もしくは車のバッテリーを外して、携帯機本体を車室内に保管し、付属の機械式キーで施錠し、機械式キーのみ車外に持ち出すことは可能だが、いずれもユーザに手間をかけさせる。
【0005】
そこで、機械式キーでドアロックした場合、以降は車外からの携帯機の接近(つまり、ユーザの車両への帰還)を検出待機するフェーズへ移行し、車両側では車外への無線ポーリングにより携帯機の探索処理が定期的に実行される。その場合、例えば携帯機が車室内のドア付近に置かれていると、車室内の携帯機が車外探索用の無線ポーリングに毎回反応し、携帯機の電池消耗が急速に進んでしまう。そこで全ドアロックを検知し、かつ携帯機が車内で検出された場合に、車外無線ポーリングを制限し、携帯機の電池の消耗を抑えるスマートキーシステムが考案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、テレマティクスECUの車載無線機装置において、主電源オフ時の無線機を間欠的に起動させる間欠動作状態で車両外部からのドアノブ操作が行われると、ドアノブスイッチの割込み信号を検知し、通常動作状態へ遷移することで、暗電流を抑えるドアノブ複合操作による車載無線機装置が考案されている(特許文献2参照)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のスマートキーシステムを、図面を用いて説明する。
図1に、スマートキーシステム100の全体の構成を示す。スマートキーシステムについては、例えば、特許第4561848号公報に詳細が開示されている。スマートキーシステム100は、携帯機1と、車両10に搭載された車両側ユニットとの双方向通信によるIDコードの照合結果を基に、照合ECU4が各ドアのロック/アンロック状態などの動作を制御する。
【0015】
携帯機1は、周知のCPU、ROM、RAM(いずれも図示せず)等を含む携帯機ECU1c、および、携帯機ECU1cに接続された、車両側ユニットからのリクエスト信号を受信する受信機1a(本発明の携帯機側受信部)、このリクエスト信号に応答するための、IDコード等を含むレスポンス信号を送信する送信機1b(本発明の携帯機側送信部)、各種の登録操作を行なうための操作部1d、携帯機1の動作に必要なプログラムおよびデータを記憶する、例えば不揮発性記憶媒体であるメモリ1e(本発明の携帯機側記憶部)を含む。
【0016】
携帯機ECU1cは、受信機1aの受信信号に基づいてリクエスト信号の受信の有無を判定し、リクエスト信号に応答するための、携帯機を識別するためのキーID、照合のためのIDコード等を含むレスポンス信号を生成して、送信機1bから送信させる。また、ユーザの操作部1dの操作によるモード移行指令の入力が行われたとき、モード移行指令をレスポンス信号に含めて送信する、あるいはモード移行指令をメモリ1eに記憶する。
【0017】
操作部1dは、例えば、リモートキーレスエントリー機能を利用するためのトリガーとなるプッシュスイッチ群として構成され、操作されたとき、ドア11〜14のロック/アンロックあるいは開閉(パワースライドドアの場合)、バックドア15のアンロックあるいは開閉(パワーバックドアの場合)を行う。また、モード移行指令を入力あるいは登録するための操作も可能である。登録のためのスイッチは、専用のスイッチでもよいし、既存のスイッチの長押しや複数のスイッチの組み合わせ操作等を行うことで、既存のスイッチと兼用してもよい。
【0018】
車両側ユニットは、少なくとも、照合ECU4、および照合ECU4に接続され、ドア11〜14に設けられた車室外送信機2a〜2d、バックドア(トランクでもよい)15に設けられた車室外送信機2e、車室内に設けられた車室内送信機2f、車室内に設けられた受信機3、それぞれのドア(11〜15の総称、以下同じ)に設けられたドアロック制御部5a〜5eを含む。
【0019】
照合ECU4(本発明の位置特定部、取得部、モード制御部、照合部、車両状態取得部、車外側操作検知部、消去部)は、周知のCPUおよび周辺回路を含むコンピュータとして構成される。CPUが、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体で構成されたメモリ7(本発明のモード移行指令記憶部)に記憶された車両側制御プログラムを実行することで、本発明の各種機能を実現する。
【0020】
照合ECU4には、アクセサリスイッチ(ACC SW)8(本発明の車両状態取得部)も接続される。アクセサリスイッチ8の状態に基づいて、車両10が停止しているか否か、ひいては、ユーザが乗車しているか否かを判定できる。
【0021】
照合ECU4には、センサ群20も接続される。センサ群20は、車両10の状態(特に駐車状態)を検知するもので、以下のうちの少なくとも一つを含む。
・パーキングブレーキスイッチ:パーキングブレーキ(図示せず)の作動状態を検知。
・シフトポジションスイッチ:シフトレバー(図示せず)の位置を検知。
・車速センサ:車両10の速度を検知。
・エンジン回転数センサ:車両10のエンジン(図示せず)の回転数を検知。
【0022】
車室外送信機(2a〜2eの総称、以下同じ)および車室内送信機2f(本発明の車両側送信部)は、照合ECU4からの送信指示信号に基づいてリクエスト信号を送信する。リクエスト信号の到達距離は、例えば0.7〜1.0m程度に設定されている。車両10の駐車時には、そのリクエスト信号の到達距離に応じた検知エリアが各ドアの周囲に形成され、携帯機1を所持したユーザがいずれのドアに接近したかを検知できる。また、車室内送信機2fによる検知エリアは、車室内をカバーするように設定され、携帯機1が車室内にあるか否かを検知する。
【0023】
受信機3(本発明の車両側受信部、取得部)は、車室外送信機および車室内送信機2fに対する送信指示信号の出力タイミングと同期して、携帯機1からのレスポンス信号を受信可能な状態となる。受信機3が受信したレスポンス信号は、照合ECU4に出力される。照合ECU4は、この受信したレスポンス信号に含まれるIDコードと、メモリ7が記憶するマスタコードとの照合を行い、照合結果に基づいて、ドアのロック/アンロック動作の制御等を実行すべきか否かの判定を行う。
【0024】
各ドアに対応して取り付けられるドアハンドル6a〜6eには、タッチセンサ(「センサ」と略記)6a1〜6e1、ドアロックスイッチ(「SW」と略記)6a2〜6e2(いずれも本発明の車室外側操作部)が設けられる。タッチセンサ(6a1〜6e1の総称、以下同じ)は、ユーザが、ドアハンドル(6a〜6eの総称、以下同じ)に触れて、所定の操作を行ったことを検出する。ドアロックスイッチ(6a2〜6e2の総称、以下同じ)は、例えばプッシュスイッチとして構成され、ユーザがドアをロックするための操作を行う。これら、タッチセンサおよびドアロックスイッチの操作状態は、直接あるいはドアロック制御部(5a〜5eの総称、以下同じ)を介して、照合ECU4に出力される。
【0025】
ドア(11〜14)の車室内側には、対応するドアをロック/アンロックするための車室内ドアロックスイッチ5a1〜5d1が設けられる。
【0026】
ドアロック制御部5a〜5e(本発明の車両状態取得部、施錠状態検出部、車室内側操作検知部)は、車室内ドアロックスイッチ(5a1〜5d1の総称、以下同じ)の操作に基づいて、対応するドアのドアロック装置(ドアロック制御部に含まれる)をロック/アンロック状態にする。また、照合ECU4からの問い合わせに対して、対応するドアの状態(ロック/アンロック)および、車室内ドアロックスイッチの操作状態を出力する。また、タッチセンサあるいはドアロックスイッチの操作を検出したとき、照合ECU4からの指示信号に基づき、対応するドアをロック/アンロック状態にしたり、ロックされているが、ユーザがドアハンドルに触れることによってアンロック可能なアンロックスタンバイ状態にする。
【0027】
各ドア(11〜14)に対応して、ドアの開閉状態を検出するためのカーテシスイッチ9a〜9d(本発明の車両状態取得部、開閉状態検出部)が設けられる。検出したドアの開閉状態は、照合ECU4に出力する。
【0028】
図2を用いて、上述の車両側制御プログラムに含まれ、照合ECU4のCPUが、予め定められたタイミングで繰り返し実行する、インロックモード移行処理を説明する。まず、携帯機1の位置の特定を行う(S11)。すなわち、所定時間毎に車室外送信機2a〜2eおよび車室内送信機2fに対してリクエスト信号の送信を指示して、携帯機1からのレスポンス信号をいずれの車室外送信機の検知エリアで検知したかを調べる。
【0029】
携帯機1が車室内にないとき、すなわち、いずれかの車室外送信機の検知エリア内にあるとき(S12:No)、ステップS11へ戻る。本処理を終了してもよい。一方、携帯機1が車室内にあるとき、すなわち、車室内送信機2fの検知エリア内にあるとき(S12:Yes)、上述のように携帯機の照合を行う(S13)。
【0030】
照合の結果、携帯機のIDコードがマスタコードに対応するものでなかったとき(照合結果:異常、S14:No)、ステップS11へ戻る。本処理を終了してもよい。一方、携帯機のIDコードがマスタコードに対応するものであったとき(照合結果:正常、S14:Yes)、モード移行指令を取得したか否かを判定する。
【0031】
上述の構成が、「レスポンス信号は、携帯機を識別するIDコードを含み、車両側ユニットは、IDコードと予め記憶されたマスタコードと照合する照合部を含み、取得部は、照合が正しく行われたとき、モード移行指令を取得する」ものである。本構成によって、車室内にある携帯機が正しいもの(すなわち、ユーザが所持しているもの)であるときのみ、モード移行指令を取得するので、間違って他のユーザの携帯機を車室内に閉じ込めてしまうことを防止できる。
【0032】
モード移行指令は、以下のうちの少なくとも一つを用いる。
(モード移行指令:1)
ユーザが、携帯機1でモード移行指令の入力操作を行う。
例えば、操作部1dの、予め定められたスイッチの長押し(例えば、ロックスイッチを1秒以上押し続ける)で入力モードに移行する。次に、任意の順序でロックスイッチあるいはアンロックスイッチを押す(ロック→アンロック→ロックなど)。最後に、入力モードへの移行に用いたスイッチの長押しで入力モードを解除する。入力モード時のスイッチの操作順序がモード移行指令の内容に相当する。
ユーザがモード移行指令の入力を終了したとき(例えば、入力モードを解除したとき)、該モード移行指令をレスポンス信号に含めて、送信機1bを介して、車両側ユニット(すなわち、受信機3)へ送信する。リクエスト信号にモード移行指令を要求する内容を含め、この要求が含まれているときのみモード移行指令を送信するようにしてもよい。
【0033】
上述の構成が、「携帯機は、ユーザが操作を行うための操作部を含み、モード移行指令は、ユーザの操作部の操作に基づいて生成され、レスポンス信号に含まれて送信され、車両側ユニットの取得部は、車両側受信部が受信したレスポンス信号に含まれるモード移行指令を取得する」ものである。本構成によって、ユーザが、携帯機を車室内に置いたまま車両を離れたいときのみモード移行指令を生成することができる。また、モード移行指令の内容を毎回異なるものにでき、通信データの傍受・改ざん、後述するインロックモード解除時の操作に対する安全性が向上する。
【0034】
携帯機1にブザーあるいは表示器のような報知部を含むときには、入力モードへの移行/解除時に、所定の報知態様で報知を行ってもよい。1つスイッチの長押し/短押しをロック/アンロック操作に対応させて、モード移行指令を生成してもよい。
【0035】
(モード移行指令:2)
ユーザが、携帯機1にモード移行指令を登録する。モード移行指令は、上述の「モード移行指令:1」と同様の操作で入力し、その内容はメモリ1eに記憶される。登録場所は、検知エリア内あるいは検知エリア外のいずれでもよい。リクエスト信号を受信した際、モード移行指令がメモリ1eに記憶されているか否かを調べ、記憶されているときには、該モード移行指令を読み出してレスポンス信号に含めて車両側ユニットへ送信する。
【0036】
上述の構成が、「携帯機は、ユーザが操作を行うための操作部と、ユーザの操作部の操作に基づいて生成されたモード移行指令を予め記憶する携帯機側記憶部と、を含み、モード移行指令は、レスポンス信号を送信する際に、携帯機側記憶部から読み出されて、レスポンス信号に含まれて送信され、車両側ユニットの取得部は、車両側受信部が受信したレスポンス信号に含まれるモード移行指令を取得する」ものである。本構成によって、携帯機を車室内に置いたまま車両を離れたいときに、その都度、携帯機を操作してモード移行指令を生成する手間を省くことができる。
【0037】
(モード移行指令:3)
ユーザが、例えば、運転席の車室内ドアロックスイッチ5a1の操作で以下のようにモード移行指令の入力操作を行う。
車室内ドアロックスイッチ5a1をロック状態とし、その後、所定時間内にロック→アンロック→ロック、所定時間内にドアの開閉を所定回数繰り返すといったような、予め定められた操作を行い入力モードに移行する。次に、アンロック→ロック→アンロックのように操作する。例えば3秒のような予め定められた時間内に次の操作を行わないとき、その時点で入力モードを解除する。カーテシスイッチ9aの状態から、運転席のドア11を開けたことを検出したとき、入力モードを解除してもよい。そして、それ以前に行われた、アンロックから始まる車室内ドアロックスイッチ5a1の操作順序がモード移行指令の内容に相当する。
ドアロック制御部5aは、ユーザがモード移行指令を入力したとき、該モード移行指令を照合ECU4へ出力する。
【0038】
上述の構成が、「車両側ユニットは、車両の車室内側に設けられたドアロックの施錠および解錠を行うためのドアロックスイッチの操作状態を検知する車室内側操作検知部を含み、取得部は、ドアロックスイッチの操作状態に基づいて、モード移行指令を取得する」ものである。本構成によって、携帯機以外からもモード移行指令を生成することができる。このとき、携帯機が車室内にあって照合が正しく行われていることが前提条件となっているので、携帯機を所持しない、また他の車両の携帯機を所持する第三者の操作によるモード移行指令の生成を防止できる。
【0039】
受信機3あるいはドアロック制御部5aからモード移行指令を取得しないとき、例えば、携帯機1の照合が正常に行われたときから所定時間以内にモード移行指令を取得しないとき(S15:No)、ステップS11へ戻る。本処理を終了してもよい。一方、モード移行指令を取得したとき(S15:Yes)、センサ群20から車両状態を取得する(S16)。そして、取得した車両状態から、ユーザが全て降車し、かつ車両10が駐車状態であるか否かを判定する。
【0040】
・アクセサリスイッチ8がオフ状態のとき、車両10が駐車状態と判定する。他に、パーキングブレーキが作動状態のとき、シフトポジションスイッチがパーキングの位置にあるとき、あるいは、車速またはエンジン回転数がゼロのとき、車両10が駐車状態と判定してもよい。
【0041】
・運転席ドア11を開けた状態で、車室内ドアロックスイッチを全てロック状態とし、その状態を維持しながら運転席ドア11を閉めたとき、ユーザが全て降車したと判定する。ドアの開閉状態はカーテシスイッチ(9a〜9dの総称、以下同じ)により検出する。ドアの窓の開閉状態を検出できる場合は、全ての窓が閉状態であることを判定条件に加えてもよい。
【0042】
上述の構成が、「車両の状態として、車両が駐車状態かつ全てのユーザが降車した状態のとき、インロックモードに移行する」ものである。より具体的には、「車両状態取得部は、車両のドアの開閉状態を検出する開閉状態検出部と、車両のドアロック装置の施錠状態を検出する施錠状態検出部と、を含み、モード制御部は、予め定められたドアが開状態かつ残余のドアが閉状態で全てのドアを施錠状態とした後、予め定められたドアを、施錠状態を維持したまま閉状態としたときに、インロックモードに移行する」ものである。
【0043】
通常は、例えば、運転席のドアハンドル6aに設けられたドアロックスイッチ6a2を操作して全ドアを施錠するが、車室内に携帯機があると、キー閉じ込み警報が報知される。一方、本構成では、通常のドアの施錠方法と異なるため、キー閉じ込み警報は報知されない。また、運転席ドアのみ開→全ドア施錠→運転席ドア閉の操作は、全ユーザが降車した後に運転者が降車・施錠するときに行われるものであるため、この状態を検知することで、車両が駐車状態かつ全てのユーザが降車した状態と判断することができる。よって、駐車状態あるいは乗員の有無を判定するセンサ等は必要ないため、低コストで本発明の構成を実現できる。
【0044】
また、スマートキーシステム100の通常のドア施錠を行ったときも、ユーザが全て降車したと判定してもよい。通常の動作では、携帯機1が車室内にあるとキー閉じ込め警報が報知されるが、本実施例では、モード移行指令を取得しているので、モード移行指令を取得した後の通常のドア施錠時に、車室内に携帯機1があるときは、警報を報知しないようにすればよい。本構成が、「車室内に携帯機があるときに、全てのドアを施錠状態としたことを報知条件として、車室内に携帯機がある旨を報知する報知部を備え、報知部は、モード移行指令を取得した後に報知条件が成立したときは、報知を行わない」ものである。本構成によって、車室内にキーを置いたまま、全ドアを施錠することができる。
【0045】
ユーザが乗車中あるいは車両10が駐車状態でないとき(S17:No)ステップS16へ戻る。ステップS11へ戻っても本処理を終了してもよい。また、この状況が所定時間を超えて継続したときもステップS16へ戻るようにしてもよい。
【0046】
一方、ユーザが全て降車し、かつ車両10が駐車状態であるとき(S17:Yes)、車室内送信機2fからリクエスト信号を送信し、車室内にある携帯機1の照合を行う(S18)。車室内に携帯機1がないとき、あるいは、車室内に携帯機1はあるが照合が正常に行われなかったとき(照合結果:異常、S19:No)、本処理を終了する。照合が正常に行われなかったときは、ブザー吹鳴等による警報を報知してもよい。
【0047】
一方、車室内に携帯機1があり照合も正常に行われたとき(照合結果:正常、S19:Yes)、リクエスト信号の送信を抑制しない通常モードからリクエスト信号の送信を抑制するインロックモードに移行し、車室外送信機および車室内送信機からのリクエスト信号の送信を停止する(S20)。次に、取得したモード移行指令の内容(すなわち、携帯機1の操作部1dあるいは車室内ドアロックスイッチ5a1の操作順序)を、メモリ7に記憶する(S21)。そして、照合結果、すなわち、車室内にあり照合が正しく行われた携帯機1のIDコードをメモリ7に記憶する(S22)。その後、本処理を終了する。
【0048】
上述の構成が、「レスポンス信号は、携帯機を識別するIDコードを含み、車両側ユニットは、IDコードと予め記憶されたマスタコードと照合する照合部を含み、モード制御部は、照合が正しく行われたとき、インロックモードへ移行する」ものである。本構成によって、ドアを閉状態かつ施錠状態とする直前に携帯機がすり替えられたあるいは車室外に持ち出されたときに、インロックモードへ移行することを防止できる。
【0049】
つまり、ユーザが全員降車し、全ドアが閉状態かつ施錠状態(さらに、全ての窓が閉状態)のときに、正常照合された携帯機1が車室内にあるとき、インロックモードに移行する。
【0050】
なお、インロックモードに移行しないで本処理を終了する際には、モード移行指令の内容はメモリ7に記憶しない。既に記憶しているときには、処理終了時に消去する。
【0051】
インロックモードに移行する際、リクエスト信号の送信を停止せず、送信周期を通常モード時よりも長くするようにしてもよい。この構成では、車室内の携帯機からレスポンス信号を受信しても、対応する処理(キー閉じ込み警報の報知など)を行わない。
【0052】
また、インロックモード時は、車室内送信機2fからのリクエスト信号の送信のみを停止してもよい。この構成では、車両10に対応する他の携帯機を所持したユーザが車両10に接近したとき車室外送信機からのリクエスト信号による照合が行われ、該ユーザが通常の操作でドアをアンロックすることもできる。この場合、アンロック時にインロックモードをキャンセルする。インロックモードと該ユーザの通常の操作とのうち、いずれを優先するかは、例えば、ユーザにより設定され、設定内容はメモリ7に記憶される。
【0053】
図3を用いて、上述の車両側制御プログラムに含まれ、照合ECU4のCPUが、予め定められたタイミングで繰り返し実行する、インロックモード解除処理を説明する。まず、インロックモードであるか否かを判定し、インロックモードでないとき(S31:No)、本処理を終了する。
【0054】
一方、インロックモードであるとき(S31:Yes)、ユーザのドアハンドル(タッチセンサあるいはドアロックスイッチ)に対する操作の有無を調べる。対象とするドアハンドルを、運転席のみ、あるいは運転席および助手席に限定してもよい。ユーザの操作を検知したとき(S32:Yes)、その操作内容を、メモリ7に記憶されたモード移行指令の内容と比較する(S33)。
【0055】
上述の構成が、「車両側ユニットは、ユーザによる、車両のドアの車室外側に設けられた車室外側操作部の操作を検知する車外側操作検知部を含み、モード制御部は、車室外側操作部の操作に基づき、インロックモードから通常モードに移行する」ものである。本構成によって、例えば、ドアハンドルに設けられた施錠/解錠用のスイッチ・センサを用いることで、新たなスイッチあるいは装置を用いることなく、インロックモードから通常モードに移行できる。
【0056】
図4のように、メモリ7には、モード移行指令の内容(携帯機1あるいは車室内ドアロックスイッチの操作:「携帯機側操作」と総称)と、ドアハンドルの操作(「車両側操作」と総称)とが関連付けられて記憶されている。ドアロックスイッチの押下操作は、携帯機1のロックスイッチ押下操作に関連付けられる。タッチセンサの操作(握るあるいは触る)は、携帯機1のアンロックスイッチ押下操作に関連付けられる。
【0057】
モード移行指令の内容が、「ロック→アンロック→ロック」であるとき、ユーザは、ドアロックスイッチ押下→タッチセンサ操作→ドアロックスイッチ押下のように操作する必要がある。
【0058】
上述の構成が、「車両側ユニットは、取得したモード移行指令を記憶するモード移行指令記憶部を含み、モード制御部は、モード移行指令記憶部に記憶されたモード移行指令に含まれるユーザの操作内容と、ユーザによる車室外側操作部の操作との比較に基づき、通常モードに移行する」ものである。本構成によって、車室外側操作部の操作を、モード移行指令に含まれるユーザの操作内容と関連付けるものとすることができる。すなわち、通常モードに移行するための操作は、ユーザがモード移行指令を生成するときの操作に関連付けられるので、毎回異なるもの(ワンタイムパスワードのようなもの)とすることができる。よって、第三者が以前見た操作を真似ても通常モードには移行せず、車両の盗難あるいは不正使用を防止でき、安全性が高まる。
【0059】
図3に戻り、ユーザの操作内容とモード移行指令の内容との比較の結果、両者が一致しないとき(S34:No)、ステップS32へ戻る、あるいは本処理を終了する。両者が一致しない状態が所定回数(例えば3回)連続したとき、あるいは、両者が一致しない状態で、所定時間以内(例えば30秒)に次の操作を検知しないとき、本処理を終了してもよい。
【0060】
一方、両者が一致したとき(S34:Yes)、インロックモードから通常モードに移行し(インロックモード解除)、車室外送信機および車室内送信機からのリクエスト信号の送信を再開する(S35)。このとき、メモリ7に記憶されたモード移行指令の内容を消去する。消去のタイミングは、アクセサリスイッチ8がオン状態となったとき(つまり、ユーザの走行意思を検知したとき)でもよい。
【0061】
上述の構成が、「車両側ユニットは、通常モードに移行した際に、モード移行指令記憶部に記憶されているモード移行指令を消去する消去部を含む」ものである。本構成によって、ユーザが意図しないタイミングでインロックモードに移行することを防止できる。
【0062】
次に、
図2のステップS11と同様に、携帯機1の位置の特定を行う(S36)。そして、携帯機1が車室内にないとき(S37:No)、本処理を終了する。このとき、リクエスト信号の送信は行われているので、携帯機1を所持したユーザが車両10に接近したときは、通常の動作時と同様に、携帯機1の照合(車外照合)が行われるため、通常の動作に支障はない。一方、携帯機1が車室内にあるとき(S37:Yes)、携帯機1のIDコードの照合を行う(S38)。照合が正しく行われなかったとき(照合結果:異常、S39:No)、本処理を終了する。
【0063】
一方、照合が正しく行われたとき(照合結果:正常、S39:Yes)、車室内にあり照合が正しく行われた携帯機1のIDコードと、インロックモード移行時(
図2のステップS22実行時)にメモリ7に記憶したIDコードとを比較する(S40)。比較の結果、両者が一致しないとき(S41:No)、本処理を終了する。一方、両者が一致したとき(S41:Yes)、ドアロック制御部に指令を送り、ドアを開錠させる(S42)。解錠するドアは、運転席のみのような予め定められたドアでもよいし、全てのドアでもよい。
【0064】
上述の構成が、「レスポンス信号は、携帯機を識別するIDコードを含み、車両側ユニットは、IDコードと予め記憶されたマスタコードと照合する照合部と、通常モードに移行した際に、照合が正しく行われたとき、車両のドアを解錠状態にするドアロック制御部と、を含む」ものである。
【0065】
より具体的には、「前記車両側ユニットは、インロックモードに移行する際に行われた照合時に、車室内にあり照合が正しく行われた携帯機のIDコードを記憶するIDコード記憶部を含み、ドアロック制御部は、通常モードに移行した際に行われた照合時に、車室内にあり照合が正しく行われた携帯機のIDコードと、IDコード記憶部に記憶されたIDコードとの比較に基づき、車両のドアを解錠状態にする」ものである。
【0066】
上記構成によって、ドアを閉状態かつ施錠状態とする直前に携帯機がすり替えられたあるいは車室外に持ち出された状態でインロックモードから通常モードに移行したとき、ドアの解錠を防止でき、車両の盗難あるいは不正使用を防止でき、安全性が高まる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。