(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
排ガスに含まれる可燃性有害成分を吸脱着可能な回転式の吸着体を備えた吸着除去装置であって、可燃性有害成分を含む排ガスを吸着体に供給してこの吸着体により可燃性有害成分を吸着して排ガスから除去すると共に、前記吸着体に高温の脱着用エアを供給して前記吸着体に吸着された可燃性有害成分を脱着する前記吸着除去装置と、
この吸着除去装置から排出される可燃性有害成分を含む排出エアを、バーナを備えた燃焼室にて燃焼して前記可燃性有害成分を浄化する燃焼式排ガス浄化装置と、
この燃焼式排ガス浄化装置の上流側に設けられ、前記吸着除去装置から排出される排出エアを前記燃焼式排ガス浄化装置へ送り込むその送風量が可変である送風機と、
前記排出エア中の可燃性有害成分濃度に対応する燃焼式排ガス浄化装置内の温度を計測する温度計測手段と、
この温度計測手段の計測値に基づいて前記送風機により送風される送風量と前記吸着体の回転数とを制御して、前記吸着除去装置から前記燃焼式排ガス浄化装置に送り込む排出エア中の可燃性有害成分の濃度を制御する制御装置と、を有し、
前記燃焼式排ガス浄化装置は、複数個の蓄熱室、及び、これらの複数個の蓄熱室に接続された燃焼室を備え、これらの複数個の蓄熱室にそれぞれ一対ずつ設けられた複数組のダンパを連動させて開閉して、複数個の蓄熱室のいずれかから供給された前記排出エアを燃焼室において燃焼させてこの排出エアに含まれる可燃性有害成分を浄化する蓄熱式排ガス浄化装置であり、
更に、前記吸着除去装置から排出される排出エアを前記燃焼式排ガス浄化装置に供給し、前記蓄熱式排ガス浄化装置の各蓄熱室に接続される配管であって、この配管の上流から順に、排出エアの供給を遮断する遮断ダンパ、外気を配管内に取り込む外気取入ダンパ、及び、前記送風機が、配設されている前記配管を有し、
前記制御装置は、前記複数組のダンパが同時に開状態になるとき、前記外気取入ダンパを開状態として外気を配管内に取り込み、前記遮断ダンパを閉状態として前記吸着除去装置の吸着体への脱着用エアの供給を中断するように、前記外気取入ダンバ及び前記遮断ダンパを操作して、取り込まれた外気を前記開状態のダンパのそれぞれに対して通過させるように制御する排ガス浄化設備。
前記制御装置は、前記吸着除去装置に供給される排ガスの定格送風量と前記送風機により送風される送風量との比により定義される複数の濃縮倍率を設定し、この設定された複数の濃縮倍率に対応して、前記吸着体の回転数と前記送風機の回転数とを組み合わせた複数の運転条件パターンを設定し、
前記複数の運転条件パターンを、高い濃縮倍率に対応する運転条件パターン程、前記吸着体の回転数及び前記送風機の回転数が低くなるように設定し、
前記温度計測手段により計測された前記燃焼式排ガス浄化装置の温度に基づいて前記運転条件パターン及び前記バーナの着火・消火を切換えるための制御温度として、低温側から、再着火温度、濃縮倍率増温度、プレカット温度、ハイカット温度及び濃縮倍率減温度があらかじめ設定し、
複数の運転条件パターンの中からあらかじめ選択された運転条件パターンに基づいて運転を開始させ、
前記燃焼式排ガス浄化装置の温度が前記濃縮倍率増温度以下である場合には、より高い濃縮倍率に対応した運転条件パターンに変更し、
前記燃焼式排ガス浄化装置の温度が前記濃縮倍率減温度を越えた場合には、より低い濃縮倍率に対応した運転条件パターンに変更し、
前記バーナを、運転開始時に着火し、前記燃焼式排ガス浄化装置の温度が前記プレカット温度又は前記ハイカット温度以上となったときに消火し、前記燃焼式排ガス浄化装置の温度が前記再着火温度以下になったときに再着火する動作を繰り返す請求項1乃至5の何れか1項に記載の排ガス浄化設備。
前記制御装置は、前記燃焼式排ガス浄化装置のバーナを運転開始時に着火すると共に前記プレカット温度まで前記燃焼式排ガス浄化装置の温度が上昇した際に消火する動作と、前記再着火温度まで温度が低下した際に再着火する動作とを繰り返し、
前記制御装置は、更に、
前記吸着除去装置に供給される前記排ガスの供給量が定格送風量のときに、所定の濃縮倍率となるような前記送風機の風量を第1設定風量とするとともに、この第1設定風量より大きな第2設定風量と、この第2設定風量より大きな第3設定風量と、この第3設定風量より大きな第4設定風量とを設定した場合に、
運転開始時に、前記バーナが着火され昇温完了温度まで温度が上昇したときに、前記送風機が前記第4設定風量となるように前記送風機の回転数を制御し、
前記第4設定風量の状態で、前記バーナが消火され、その後、前記濃縮倍率増温度まで温度が低下したときに、前記送風機が前記第3設定風量となるように前記送風機の回転数を制御し、
前記第3設定風量の状態で、前記バーナが消火され、その後、前記濃縮倍率増温度まで温度が低下したときに、前記送風機が前記第2設定風量となるように前記送風機の回転数を制御し、
前記第2設定風量の状態で、前記バーナが消火され、その後、前記濃縮倍率増温度まで温度が低下したときに、前記送風機が前記第1設定風量となるように前記送風機の回転数を制御する請求項6に記載の排ガス浄化設備。
前記制御装置は、前記第1設定風量の状態で、前記濃縮倍率減温度まで温度が上昇したときに、前記送風機が前記第2設定風量となるように前記送風機の回転数を制御する請求項7に記載の排ガス浄化設備。
前記制御装置は、前記燃焼室と外気とを連通するように設けられたホットバイパスダンパを、前記燃焼式排ガス浄化装置の温度が前記プレカット温度よりも高く設定された比例制御開始温度以上となったときに開状態となるようにする請求項8に記載の排ガス浄化設備。
排ガスに含まれる可燃性有害成分を吸脱着可能な回転式の吸着体を備えた吸着除去装置であって、可燃性有害成分を含む排ガスを吸着体に供給してこの吸着体により可燃性有害成分を吸着して排ガスから除去すると共に、前記吸着体に高温の脱着用エアを供給して前記吸着体に吸着された可燃性有害成分を脱着する前記吸着除去装置と、
この吸着除去装置から排出される可燃性有害成分を含む排出エアを、バーナを備えた燃焼室にて燃焼して前記可燃性有害成分を浄化する燃焼式排ガス浄化装置と、
この燃焼式排ガス浄化装置の上流側に設けられ、前記吸着除去装置から排出される排出エアを前記燃焼式排ガス浄化装置へ送り込むその送風量が可変である送風機と、
前記排出エア中の可燃性有害成分濃度に対応する燃焼式排ガス浄化装置内の温度を計測する温度計測手段と、を有し、
前記燃焼式排ガス浄化装置は、複数個の蓄熱室、及び、これらの複数個の蓄熱室に接続された燃焼室を備え、これらの複数個の蓄熱室にそれぞれ一対ずつ設けられた複数組のダンパを連動させて開閉して、複数個の蓄熱室のいずれかから供給された前記排出エアを燃焼室において燃焼させてこの排出エアに含まれる可燃性有害成分を浄化する蓄熱式排ガス浄化装置であり、
更に、前記吸着除去装置から排出される排出エアを前記燃焼式排ガス浄化装置に供給し、前記蓄熱式排ガス浄化装置の各蓄熱室に接続される配管であって、この配管の上流から順に、排出エアの供給を遮断する遮断ダンパ、外気を配管内に取り込む外気取入ダンパ、及び、前記送風機が、配設されている前記配管と、を有する排ガス浄化設備の運転制御方法であって、
前記温度計測手段の計測値に基づいて前記送風機により送風される送風量と前記吸着体の回転数とを制御して、前記吸着除去装置から前記燃焼式排ガス浄化装置に送り込む排出エア中の可燃性有害成分の濃度を制御し、
さらに、前記複数組のダンパが同時に開状態になるとき、前記外気取入ダンパを開状態として外気を配管内に取り込み、前記遮断ダンパを閉状態として前記吸着除去装置の吸着体への脱着用エアの供給を中断するように、前記外気取入ダンバ及び前記遮断ダンパを操作して、取り込まれた外気を前記開状態のダンパのそれぞれに対して通過させるように制御する排ガス浄化設備の運転制御方法。
前記吸着除去装置に供給される排ガスの定格送風量と前記送風機により送風される送風量との比により定義される複数の濃縮倍率に対応して、前記吸着体の回転数と前記送風機の回転数とを組み合わせた複数の運転条件パターンを、それぞれあらかじめ設定し、
前記複数の運転条件パターンを、高い濃縮倍率に対応する運転条件パターン程、前記吸着体の回転数及び前記送風機の回転数が低くなるように設定し、
前記計測温度に基づいて前記運転条件パターン及び前記バーナの着火・消火を切換えるための制御温度として、低温側から、再着火温度、濃縮倍率増温度、プレカット温度、ハイカット温度及び濃縮倍率減温度をあらかじめ設定し、
複数の運転条件パターンの中からあらかじめ選択された運転条件パターンに基づいて運転を開始し、
前記計測温度が前記濃縮倍率増温度以下である場合には、より高い濃縮倍率に対応した運転条件パターンに変更して制御し、
前記計測温度が濃縮倍率減温度を越えた場合には、より低い濃縮倍率に対応した運転条件パターンに変更して制御し、
前記バーナは、運転開始時に着火され、前記計測温度が前記プレカット温度または前記ハイカット温度以上となったときに消火され、前記計測温度が前記再着火温度以下になったときに再着火される動作を繰り返す請求項10に記載の排ガス浄化設備の運転制御方法。
前記燃焼式排ガス浄化装置のバーナは、運転開始時に着火されるとともに、所定のプレカット温度まで温度が上昇した際に消される動作と、所定の再着火温度まで温度が低下した際に再着火される動作とを繰り返し、
前記吸着除去装置に供給される前記排ガスの供給量が予定していた量と同じであったと仮定したときに、通常運転時に予定している濃縮倍率となるような前記送風機の風量を第1設定風量とするとともに、この第1設定風量より大きな第2設定風量と、この第2設定風量より大きな第3設定風量と、この第3設定風量より大きな第4設定風量とを設定した場合に、
運転開始時に、前記バーナが着火され昇温完了温度まで温度が上昇したときに、前記送風機が前記第4設定風量となるように前記送風機の回転数を制御し、
前記第4設定風量の状態で、前記バーナが消火され、その後、前記濃縮倍率増温度まで温度が低下したときに、前記送風機が前記第3設定風量となるように前記送風機の回転数を制御し、
前記第3設定風量の状態で、前記バーナが消火され、その後、前記濃縮倍率増温度まで温度が低下したときに、前記送風機が前記第2設定風量となるように前記送風機の回転数を制御し、
前記第2設定風量の状態で、前記バーナが消火され、その後、前記濃縮倍率増温度まで温度が低下したときに、前記送風機が前記第1設定風量となるように前記送風機の回転数を制御する請求項10又は11に記載の排ガス浄化設備の運転制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような排ガス浄化設備では、可燃性有害成分の濃度が低く自燃状態にならない場合には、燃焼室に設けられたバーナにより排ガスを加熱して運転しなければならず、その分、バーナの燃料コストが高くなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、可燃性有害成分が自燃可能な濃度となる運転時間を増大させて、バーナの燃料コストを低減することができる排ガス浄化設備及びその運転制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明は、排ガスに含まれる可燃性有害成分を吸脱着可能な回転式の吸着体を備えた吸着除去装置であって、可燃性有害成分を含む排ガスを吸着体に供給してこの吸着体により可燃性有害成分を吸着して排ガスから除去すると共に、吸着体に高温の脱着用エアを供給して前記吸着体に吸着された可燃性有害成分を脱着する吸着除去装置と、この吸着除去装置から排出される可燃性有害成分を含む排出エアを、バーナを備えた燃焼室にて燃焼して前記可燃性有害成分を浄化する燃焼式排ガス浄化装置と、この燃焼式排ガス浄化装置の上流側に設けられ、吸着除去装置から排出される排出エアを燃焼式排ガス浄化装置へ送り込むその送風量が可変である送風機と、排出エア中の可燃性有害成分濃度に対応する燃焼式排ガス浄化装置内の温度を計測する温度計測手段と、この温度計測手段の計測値に基づいて送風機により送風される送風量と吸着体の回転数とを制御して、吸着除去装置から燃焼式排ガス浄化装置に送り込む排出エア中の可燃性有害成分の濃度を制御する制御装置と、を有し、燃焼式排ガス浄化装置は、複数個の蓄熱室、及び、これらの複数個の蓄熱室に接続された燃焼室を備え、これらの複数個の蓄熱室にそれぞれ一対ずつ設けられた複数組のダンパを連動させて開閉して、複数個の蓄熱室のいずれかから供給された排出エアを燃焼室において燃焼させてこの排出エアに含まれる可燃性有害成分を浄化する蓄熱式排ガス浄化装置であり、更に、吸着除去装置から排出される排出エアを燃焼式排ガス浄化装置に供給し、蓄熱式排ガス浄化装置の各蓄熱室に接続される配管であって、この配管の上流から順に、排出エアの供給を遮断する遮断ダンパ、外気を配管内に取り込む外気取入ダンパ、及び、送風機が、配設されている配管を有し、制御装置は、複数組のダンパが同時に開状態になるとき、外気取入ダンパを開状態として外気を配管内に取り込み、遮断ダンパを閉状態として吸着除去装置の吸着体への脱着用エアの供給を中断するように、外気取入ダンバ及び前記遮断ダンパを操作して、取り込まれた外気を開状態のダンパのそれぞれに対して通過させ
るように制御する。
このように構成された本発明においては、温度計測手段により排出エア中の可燃性有害成分濃度に対応する燃焼式排ガス浄化装置内の温度を計測し、制御装置により、この温度計測手段の計測値に基づいて送風機により送風される送風量と吸着体の回転数とを制御して、吸着除去装置から燃焼式排ガス浄化装置に送り込む排出エア中の可燃性有害成分の濃度を制御するようにしているので、燃焼式排ガス浄化装置に送り込むガス中の可燃性有害成分の濃度を制御することができる。この結果、本発明によれば、可燃性有害成分が自燃可能な濃度となる運転時間を増大させることができるので、バーナの燃料コストを低減することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、温度計測手段は、複数の蓄熱室の各温度を計測し、それら平均値を燃焼式排ガス浄化装置内の温度としている。
【0010】
本発明において、好ましくは、温度計測手段は、燃焼室の温度を計測し、その計測値を燃焼式排ガス浄化装置内の温度としている。
【0011】
本発明において、好ましくは、送風機は、その回転数を変更して送風量を可変としている。
【0012】
本発明において、好ましくは、制御装置は、燃焼式排ガス浄化装置内の温度に基づいて、バーナの着火及び消火を行う。
【0013】
本発明において、好ましくは、制御装置は、吸着除去装置に供給される排ガスの定格送風量と送風機により送風される送風量との比により定義される複数の濃縮倍率を設定し、この設定された複数の濃縮倍率に対応して、吸着体の回転数と送風機の回転数とを組み合わせた複数の運転条件パターンを設定し、複数の運転条件パターンを、高い濃縮倍率に対応する運転条件パターン程、吸着体の回転数及び送風機の回転数が低くなるように設定し、温度計測手段により計測された燃焼式排ガス浄化装置の温度に基づいて運転条件パターン及びバーナの着火・消火を切換えるための制御温度として、低温側から、再着火温度、濃縮倍率増温度、プレカット温度、ハイカット温度及び濃縮倍率減温度があらかじめ設定し、複数の運転条件パターンの中からあらかじめ選択された運転条件パターンに基づいて運転を開始させ、燃焼式排ガス浄化装置の温度が濃縮倍率増温度以下である場合には、より高い濃縮倍率に対応した運転条件パターンに変更し、燃焼式排ガス浄化装置の温度が濃縮倍率減温度を越えた場合には、より低い濃縮倍率に対応した運転条件パターンに変更し、バーナを、運転開始時に着火し、燃焼式排ガス浄化装置の温度がプレカット温度又はハイカット温度以上となったときに消火し、燃焼式排ガス浄化装置の温度が再着火温度以下になったときに再着火する動作を繰り返す。
【0014】
本発明において、好ましくは、制御装置は、燃焼式排ガス浄化装置のバーナを運転開始時に着火すると共にプレカット温度まで燃焼式排ガス浄化装置の温度が上昇した際に消火する動作と、再着火温度まで温度が低下した際に再着火する動作とを繰り返し、制御装置は、更に、吸着除去装置に供給される排ガスの供給量が
定格送風量のときに、
所定の濃縮倍率となるような送風機の風量を第1設定風量とするとともに、この第1設定風量より大きな第2設定風量と、この第2設定風量より大きな第3設定風量と、この第3設定風量より大きな第4設定風量とを設定した場合に、運転開始時に、バーナが着火され昇温完了温度まで温度が上昇したときに、送風機が第4設定風量となるように送風機の回転数を制御し、第4設定風量の状態で、バーナが消火され、その後、濃縮倍率増温度まで温度が低下したときに、送風機が第3設定風量となるように送風機の回転数を制御し、第3設定風量の状態で、バーナが消火され、その後、濃縮倍率増温度まで温度が低下したときに、送風機が前記第2設定風量となるように送風機の回転数を制御し、第2設定風量の状態で、バーナが消火され、その後、濃縮倍率増温度まで温度が低下したときに、送風機が第1設定風量となるように送風機の回転数を制御する。
【0015】
本発明は、好ましくは、制御装置は、第1設定風量の状態で、濃縮倍率減温度まで温度が上昇したときに、送風機が第2設定風量となるように送風機の回転数を制御する。
【0016】
本発明は、好ましくは、制御装置は、燃焼室と外気とを連通するように設けられたホットバイパスダンパを、燃焼式排ガス浄化装置の温度がプレカット温度よりも高く設定された比例制御開始温度以上となったときに開状態となるようにする。
【0017】
本発明は、排ガスに含まれる可燃性有害成分を吸脱着可能な回転式の吸着体を備えた吸着除去装置であって、可燃性有害成分を含む排ガスを吸着体に供給してこの吸着体により可燃性有害成分を吸着して排ガスから除去すると共に、吸着体に高温の脱着用エアを供給して前記吸着体に吸着された可燃性有害成分を脱着する吸着除去装置と、この吸着除去装置から排出される可燃性有害成分を含む排出エアを、バーナを備えた燃焼室にて燃焼して前記可燃性有害成分を浄化する燃焼式排ガス浄化装置と、この燃焼式排ガス浄化装置の上流側に設けられ、吸着除去装置から排出される排出エアを燃焼式排ガス浄化装置へ送り込むその送風量が可変である送風機と、排出エア中の可燃性有害成分濃度に対応する燃焼式排ガス浄化装置内の温度を計測する温度計測手段と、
を有し、燃焼式排ガス浄化装置は、複数個の蓄熱室、及び、これらの複数個の蓄熱室に接続された燃焼室を備え、これらの複数個の蓄熱室にそれぞれ一対ずつ設けられた複数組のダンパを連動させて開閉して、複数個の蓄熱室のいずれかから供給された排出エアを燃焼室において燃焼させてこの排出エアに含まれる可燃性有害成分を浄化する蓄熱式排ガス浄化装置であり、更に、吸着除去装置から排出される排出エアを燃焼式排ガス浄化装置に供給し、蓄熱式排ガス浄化装置の各蓄熱室に接続される配管であって、この配管の上流から順に、排出エアの供給を遮断する遮断ダンパ、外気を配管内に取り込む外気取入ダンパ、及び、送風機が、配設されている配管と、を有する排ガス浄化設備の運転制御方法であって、温度計測手段の計測値に基づいて送風機により送風される送風量と吸着体の回転数とを制御して、吸着除去装置から燃焼式排ガス浄化装置に送り込む排出エア中の可燃性有害成分の濃度を制御
し、さらに、複数組のダンパが同時に開状態になるとき、外気取入ダンパを開状態として外気を配管内に取り込み、遮断ダンパを閉状態として吸着除去装置の吸着体への脱着用エアの供給を中断するように、外気取入ダンバ及び前記遮断ダンパを操作して、取り込まれた外気を開状態のダンパのそれぞれに対して通過させるように制御する。
【0018】
本発明において、好ましくは、吸着除去装置に供給される排ガスの定格送風量と送風機により送風される送風量との比により定義される複数の濃縮倍率に対応して、吸着体の回転数と前記送風機の回転数とを組み合わせた複数の運転条件パターンを、それぞれあらかじめ設定し、複数の運転条件パターンを、高い濃縮倍率に対応する運転条件パターン程、吸着体の回転数及び前記送風機の回転数が低くなるように設定し、計測温度に基づいて運転条件パターン及びバーナの着火・消火を切換えるための制御温度として、低温側から、再着火温度、濃縮倍率増温度、プレカット温度、ハイカット温度及び濃縮倍率減温度をあらかじめ設定し、複数の運転条件パターンの中からあらかじめ選択された運転条件パターンに基づいて運転を開始し、計測温度が濃縮倍率増温度以下である場合には、より高い濃縮倍率に対応した運転条件パターンに変更して制御し、計測温度が濃縮倍率減温度を越えた場合には、より低い濃縮倍率に対応した運転条件パターンに変更して制御し、バーナは、運転開始時に着火され、計測温度がプレカット温度またはハイカット温度以上となったときに消火され、計測温度が再着火温度以下になったときに再着火される動作を繰り返す。
【0019】
本発明において、好ましくは、燃焼式排ガス浄化装置のバーナは、運転開始時に着火されるとともに、所定のプレカット温度まで温度が上昇した際に消される動作と、所定の再着火温度まで温度が低下した際に再着火される動作とを繰り返し、吸着除去装置に供給される排ガスの供給量が予定していた量と同じであったと仮定したときに、通常運転時に予定している濃縮倍率となるような送風機の風量を第1設定風量とするとともに、第1設定風量より大きな第2設定風量と、第2設定風量より大きな第3設定風量と、第3設定風量より大きな第4設定風量とを設定した場合に、運転開始時に、バーナが着火され昇温完了温度まで温度が上昇したときに、送風機が第4設定風量となるように送風機の回転数を制御し、第4設定風量の状態で、バーナが消火され、その後、濃縮倍率増温度まで温度が低下したときに、送風機が第3設定風量となるように送風機の回転数を制御し、第3設定風量の状態で、バーナが消火され、その後、濃縮倍率増温度まで温度が低下したときに、送風機が第2設定風量となるように送風機の回転数を制御し、第2設定風量の状態で、バーナが消火され、その後、濃縮倍率増温度まで温度が低下したときに、送風機が第1設定風量となるように送風機の回転数を制御する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による排ガス浄化設備及びその運転制御方法を説明する。
【0022】
先ず、
図1及び
図2を参照して、本発明の実施形態による排ガス浄化設備について説明する。
図1に示すように、符号1は、本発明の実施形態による排ガス浄化設備1を示し、この排ガス浄化設備1は、吸着除去装置である連続再生式濃縮装置2と、この連続再生式濃縮装置2から排出された排出エアの可燃性有害成分を燃焼除去する燃焼式排ガス浄化装置4と、を備えている。
【0023】
連続再生式濃縮装置2は、可燃性有害成分を吸脱着可能な吸着体6と、この吸着体6に対して高温である脱着用エアを供給させ吸着体6から可燃性有害成分を除去するための脱着用エア供給装置8と、を備えている。ここで、排ガスに含有されている可燃性有害成分とは、トルエン、酢酸エチルなどの可燃性悪臭成分あるいは揮発性有機化合物などをいう。
【0024】
本実施形態においては、燃焼式排ガス浄化装置4として、後述するように、複数個の蓄熱室と、複数個の蓄熱室と接続されているバーナを備えた燃焼室と、を有し、連続再生式濃縮装置2からの排出エアを燃焼して可燃性有害成分を浄化する蓄熱式排ガス浄化装置を用いている。
この蓄熱式排ガス浄化装置の典型例は、RTO(Regenerative Thermal Oxidizer)である。
【0025】
連続再生式濃縮装置2には内部に排ガスを送り込む送風機10が接続されており、排ガスが吸着体6に供給されるようになっている。
【0026】
一方、燃焼式排ガス浄化装置4は、複数個の蓄熱室、即ち、蓄熱室1塔12及び蓄熱室2塔14の2つの蓄熱室と、これら蓄熱室の間に設けられ且つ接続された燃焼室16と、を備えている。蓄熱室1塔12は、蓄熱室1塔12にガスを供給する供給ダンパ18aと蓄熱室1塔12からガスを排出する排出ダンパ20aと、を備えている。蓄熱室2塔14は、蓄熱室2塔14にガスを供給する供給ダンパ18と蓄熱室2塔14からガスを排出する排出ダンパ20bと、を備えている。
【0027】
連続再生式濃縮装置2の吸着体6は、活性炭やゼオライトなどの吸着剤を担持した回転可能な円筒状に形成されている。吸着体6は、回転方向に順に、排ガスから可燃性有害成分を吸着除去する吸着ゾーン6a、吸着体6から吸着された可燃性有害成分を除去する再生ゾーン6b及び吸着体6を冷却する冷却ゾーン6cを備え、回転により可燃性有害成分を連続的に吸脱着することができるようになっている。
【0028】
吸着体6の冷却ゾーン6cでは、送風機10により連続再生式濃縮装置2に送り込まれた排ガスの一部により、吸着体6の冷却が行われるようになっている。冷却ゾーン6cは、ダンパ21、ダクト23及びダンパ25を介して、上述した脱着用エア供給装置8の混合チャンバー24に接続されている。
【0029】
脱着用エア供給装置8は、混合チャンバー24と、送風機27と、T字型ダクト29と、第1ダンパ31と、供給ダクト26と、を備えている。
混合チャンバー26は、ホットバイパスダンパ28を介して燃焼式排ガス浄化装置4の燃焼室16に接続されており、供給ダクト26を介して吸着体6の再生ゾーン6bに接続されている。
【0030】
冷却ゾーン6cから排出されたエアは、混合チャンバー24においてホットバイパスダンパ28を介して燃焼室16から供給される高温ガスと混合、加熱され、供給ダクト26を介して吸着体6の再生ゾーン6bに、吸着体6に吸着された可燃性有害成分を吸着体6から脱着するための脱着用エアとして供給される。
【0031】
ここで、供給ダクト26には、温度センサ30が設けられており、この温度センサ30で測定された温度に基づいて、制御装置32(
図2参照)が、ホットバイパスダンパ28の開度を調整し、冷却ゾーン6cから排出されたエアと燃焼室16から供給される高温ガスとの混合比を制御できるようになっている。
【0032】
再生ゾーン6bの下流には、吸着体6の再生ゾーン6bにおいて除去した可燃性有害成分を含有する排出エアを排出する排出ダクト34が接続されている。
【0033】
排出ダクト34の下流には、第2ダンパ35が接続してあり、吸着体6の再生ゾーン6bから排出された排出エアの通過・遮断の切換が可能となっている。
【0034】
第3ダンパ37は、第1ダンパ31と第2ダンパ35との間において、T字型ダクト29とT字型ダクト39との間を接続するように配置されている。
【0035】
第2ダンパ35及び第3ダンパ37は、T字型ダクト39、外気取入ダンパ(三方口ダンパ)38、送風機40、蓄熱室1塔12及び蓄熱室2塔14に分岐して接続される二股ダクト42及び2個の供給ダンパ18a,18bを介して、燃焼式排ガス浄化装置4の蓄熱室1塔12及び蓄熱室2塔14の排ガス供給口にそれぞれ接続されている。
【0036】
蓄熱室1塔12及び蓄熱室2塔14の排ガス排出口は、2個の排出ダンパ20a,20b及び二股ダクト44を介して排気ダクト46に接続されている。
【0037】
二股ダクト44の上流側の端部は特殊ダンパ45を介して二股ダクト42の分岐の上流側に接続されている。
【0038】
排気ダクト46は、開閉可能なホットバイパスダンパ48により燃焼室16と接続されている。燃焼式排ガス浄化装置4、例えば、蓄熱室1塔12及び蓄熱室2塔14にそれぞれ温度センサ50,52が設けられており、これらの温度センサ50,52により測定された温度が、所定の温度を超えた場合には、制御装置32により、ホットバイパスダンパ48を開状態とし、排気ダクト46から余剰な熱を逃がすことができるようになっている。ここで、温度センサ50,52は蓄熱室1塔12及び蓄熱室2塔14の蓄熱体と燃焼室16との間にそれぞれ設けられている。
【0039】
排出ダクト34には、可燃性有害成分の濃度を測定する濃度計54が装着されている。また、ガス温度を計測するために、二股ダクト42には温度センサ60が、二股ダクト44には温度センサ62がそれぞれ設けられている。さらに、燃焼室16には、バーナ56及び燃焼室16内の温度を測定する温度センサ58が設けられている。
【0040】
ここで、
図2に示すように、温度センサ30、濃度計54、温度センサ50,52、温度センサ58、及び、温度センサ60,62により測定された測定値は、制御装置32に入力され、これらの測定値に基づいて、後述するように、制御装置32により、ホットバイパスダンパ28、遮断ダンパ36、ホットバイパスダンパ48、バーナ56、及び、供給ダンパ18a,18b及び排出ダンパ20a,20bが制御されるようになっている。
この制御装置32は、さらに、吸着体6の回転数、並びに、送風機27及び送風機40のそれぞれの回転数の制御や、バーナ56の着火及び消火の制御や、後述する種々の制御を行うようになっている。
【0041】
次に、上述した本実施形態による排ガス浄化設備における運転制御方法における基本制御を説明する。
【0042】
可燃性有害成分を含有する排ガスを送風機10により連続再生式濃縮装置2に送り込むと、排ガスは回転する吸着体6の吸着ゾーン6aにおいて可燃性有害成分が吸着除去された後に外気に排出される。
【0043】
吸着体6に吸着された可燃性有害成分は、回転により再生ゾーン6bに送られ、再生ゾーン6bにおいて、脱着用エア供給装置8の供給ダクト26から供給される脱着用エアによって吸着体6から脱着除去される。吸着体6から除去された可燃性有害成分は脱着用エア中に含有され、可燃性有害成分を含有する排出エアとして排出ダクト34へ排出される。ここで、排出エアは、連続再生式濃縮装置2に供給される排ガスよりも可燃性有害成分を高濃度で含有している。
【0044】
脱着用エアの送風量は、送風機27及び送風機40において、インバータ制御によって送風機の回転数を変えることにより風量を制御する方法や送風機の前後に風量調整弁を取り付け、調節弁の開度によって風量を調節する方法などにより制御することができる。
【0045】
再生ゾーン6bにおいて加熱された吸着体6は、冷却ゾーン6cにおいて排ガスにより冷却されて可燃性有害成分を効率的に吸着可能な状態となる。
【0046】
冷却ゾーン6cから排出されたエアは、混合チャンバー24において燃焼室16から供給される高温ガスと混合され加熱された後、送風機27で送風され、開状態の第1ダンパ15を経由し、供給ダクト26を介して吸着体6の再生ゾーン6bに供給される。ここで、第3ダンパ32は閉状態である。
【0047】
排出ダクト34へ排出された可燃性有害成分を含有する排出エアは、開状態の第2ダンパ35を経由し、送風機40、二股ダクト42及び開状態の供給ダンパ18aを順に通過して燃焼式排ガス浄化装置4の蓄熱室1塔12に供給される。
【0048】
排出エアは蓄熱室1塔12で加熱された後に燃焼室16に流入して可燃性有害成分を燃焼除去され浄化される。燃焼室16にはバーナ56が設けられているので、可燃性有害成分を十分に燃焼除去できる温度に燃焼室16の温度を維持することができる。浄化されたガスは、蓄熱室2塔14において蓄熱した後に開状態の排気ダンパ20b及び二股ダクト44を順次通過して排気ダクト46から排出される。
【0049】
ここで、燃焼式排ガス浄化装置4では、蓄熱室1塔12及び蓄熱室2塔14において蓄熱される排熱を有効利用するために、一定時間排出ガスを処理した後に排出ガスの流れる方向を切換る必要がある。つまり、蓄熱室1塔12→燃焼室16→蓄熱室2塔14の順で流れる排出ガスが、蓄熱室2塔14→燃焼室16→蓄熱室1塔12の順で流れるように、供給ダンパ18a,18b及び排出ダンパ20a,20bの開閉状態を切換る必要がある。
【0050】
供給ダンパ18a,18b及び排出ダンパ20a,20bの切換は以下の手順で行う。まず、第1ダンパ31及び第2ダンパ35を閉状態とし、吸着体6に対する高温の脱着用エアの供給を中断する。次に、第3ダンパ37を開状態とし、冷却ゾーン6cから排出された可燃性有害成分をほとんど含有しないエアを、T字型ダクト39を介して二股ダクト42及び二股ダクト44に供給する。続いて、供給ダンパ18a及び排出ダンパ20bを閉じるとともに、供給ダンパ18b及び排出ダンパ20aを開いて、ガスの流通方向を切換る。
【0051】
切換完了後には、第3ダンパ37を閉状態、第1ダンパ31及び第2ダンパ35を開状態として、吸着体6に対する脱着用エアの供給を再開する。これにより、排出エアは開状態の供給ダンパ18bから蓄熱室2塔14を経て燃焼室16に流入して可燃性有害成分を燃焼除去され、可燃性有害成分を除去され浄化されたガスは、蓄熱室1塔12、開状態の排出ダンパ20及び二股ダクト44を順次通過して排気ダクト46から排出されるようになる。
【0052】
供給ダンパ18a及び排出ダンパ20bが閉状態、供給ダンパ18b及び排出ダンパ20aが開状態から、供給ダンパ18a及び排出ダンパ20bが開状態、供給ダンパ18b及び排出ダンパ20aが閉状態に切換る場合も同様の手順となる。
【0053】
このように供給ダンパ18a,18b及び排出ダンパ20a,20bを連動させて開閉し、切換が行われる際に、供給ダンパ18a,18b及び排出ダンパ20a,20bが同時に開状態となるときには、吸着体6に対する脱着用エアの供給を中断するとともに、冷却ゾーン6cから排出された可燃性有害成分をほとんど含有しないエアを、開状態の供給ダンパ18a,18b及び排出ダンパ20a,20bそれぞれに対して通過させることができるので、可燃性有害成分を含有する排出エアがその可燃性有害成分を燃焼除去されずに大気中に排出されることを防止することができる。
【0054】
次に、
図3を参照して、本排ガス浄化設備の運転制御方法について詳細に説明する。なお、
図3のSは、各ステップを示している。
【0055】
本実施形態による排ガス浄化設備1の運転制御方法では、可燃性有害成分濃度に対応して変化する燃焼式排ガス浄化装置4内の温度を計測し、その計測温度に基づいた運転制御を行う。これにより、燃焼式排ガス浄化装置4において、可燃性有害成分濃度が自燃濃度以上になるように制御する。
【0056】
本実施形態では、計測温度T1として、蓄熱室1塔12に設けられた温度センサ50により測定された温度t1と、蓄熱室2塔14に設けられた温度センサ52により測定された温度との平均温度(t1+t2)/2を採用する。蓄熱室の平均温度を用いると、可燃性有害成分の燃焼状態を正確に把握することができる。また、計測温度T1として、燃焼室16の温度を用いることもできる。これによれば、バーナ56に着火・消火に伴う温度変化を精度よく検出することができる。
【0057】
吸着除去装置2に供給される排ガスの定格送風量と送風機27,40により送風される送風量との比により定義される複数の濃縮倍率に対応して、吸着体6の回転数と送風機27,21の回転数とを組み合わせた複数の運転条件パターンが、それぞれあらかじめ設定されている。送風機27,21の回転数を制御することにより、再生ゾーン1bに送り込まれる送風量を制御し、濃縮倍率を変更することができる。送風機27,21による送風量を送風機の回転数により制御すると、簡単な方法で精度の高い制御が可能であり好ましい。吸着体6の回転数は、その送風量に対応し可燃性有害成分を効率的に吸着除去できる適正な回転数に設定される。
【0058】
計測温度T1と比較して運転制御を行うための制御温度として、温度が低い順に、再着火温度、濃縮倍率増温度、プレカット温度、ハイカット温度、比例制御開始温度(比例制御開始SP)、ホットバイパス制御温度(比例制御許容偏差SP)及び濃縮倍率減温度があらかじめ設定される。
【0059】
運転条件パターンは、対応する濃縮倍率を増加させるための濃縮倍率増温度及び対応する濃縮倍率を減少させるための濃縮倍率減温度により制御される。
【0060】
バーナ56の着火・消火は、バーナ56を再着火するための再着火温度、バーナ56を消火するためのプレカット温度及びハイカット温度により制御される。ここで、燃焼式排ガス浄化装置4内の目標温度T2は、プレカット温度≦目標温度T2<ハイカット温度の関係を充足しており、バーナ56が着火すると、計測温度T1が目標温度T2となるようにバーナ56の出力制御が行われる。
【0061】
ここで、ハイカット温度は濃縮倍率が最大の時の運転条件パターンにおいてバーナ56を消火するための制御温度であり、プレカット温度はそれ以外の濃縮倍率の時の運転条件パターンにおいてバーナ56を消火するための制御温度である。
濃縮倍率が最大の時の運転条件パターンにおいてバーナ56が着火する状態は、可燃性有害成分濃度が低いということであるから、ハイカット温度≦目標温度とすると、すぐにハイカット温度に達してバーナ56が消火され、その後、計測温度T1が低下して、再着火温度に達して再び着火するという繰り返し運転をしてしまうため、ハイカット温度は目標温度よりも高くしておく必要がある。
【0062】
燃焼室16内の温度を制御するためのホットバイパスダンパ27の開閉は、比例制御開始温度(比例制御開始SP)及びホットバイパス制御温度(比例制御許容偏差SP)により制御される。ここで、ホットバイパス制御温度は偏差、例えば±50℃、を有しており、PID制御によりホットバイパスダンパ27の開度の調整を行うことができる。ここで、ホットバイパス制御温度は、−側偏差SPを比例制御開始温度(比例制御開始SP)と一致させてある。
【0063】
まず、S1では、送風機10の上流に設けられた排ガス遮断ダンパ(図示せず)を開状態とし、送風機10により排ガスを連続再生式濃縮装置2に送りこむ。
【0064】
次に、S2では、外気取入ダンパ(三方口ダンパ)38を閉状態とし、外気の取り入れを中止する。
【0065】
次に、S3に進み、濃縮倍率に応じて以下の制御方法を選択する。濃縮倍率が最小の運転条件パターンを選択した場合にはS101に、濃縮倍率が最大の運転条件パターンを選択した場合にはS301に、これら以外の濃縮倍率の運転条件パターンを選択した場合にはS201にそれぞれ進む。
【0066】
濃縮倍率が最小の運転条件パターンを選択した場合にはS101においてバーナ56が着火中か否かを判断する。バーナ56が着火中である場合には、S102に進み、バーナ56が着火中でない場合には、ステップS102に戻る。S102では、計測温度T1が目標温度となるようにバーナ56を制御する。
【0067】
次に、S103に進み、計測温度T1がプレカット温度以上か否かを判断する。計測温度T1がプレカット温度以上である場合には、ステップS104に進み、バーナ56を消火する。一方、計測温度T1がプレカット温度未満である場合には、S102に戻る。
【0068】
次に、S105に進み、計測温度T1が比例開始制御SP(比例開始制御温度)以上か否かを判断する。計測温度T1が比例開始制御SP以上である場には、S106に進み、計測温度T1に基づいて熱排出ダンパ(ホットバイパスダンパ27)の開度を変えて比例制御する。一方、計測温度T1が比例開始制御SP未満である場合には、S121に進む。
【0069】
次に、S107に進み、計測温度T1と比例制御許容偏差SPとを比較する。計測温度T1が−側偏差SP未満の場合にはS121に進み、計測温度T1が+側偏差SPを超えている場合にはS108に進み、計測温度T1が外気取入開始SP以上か否かを判断する。また、計測温度T1が比例制御許容偏差SP内である場合には106に戻る。
【0070】
次に、計測温度T1が外気取入開始SP以上である場合には、S109に進み、外気取入ダンパを開状態とする。一方、計測温度T1が外気取入開始SP未満である場合には、ステップS105に戻る。
【0071】
次に、S110に進み、計測温度T1が外気取入開始SP以下か否かを判断する。計測温度T1が外気取入開始SP以下である場合には、S111に進み、外気取入ダンパを閉状態として、ステップS105に戻る。一方、計測温度T1が外気取入開始SPを超えている場合には、S110を繰り返す。
【0072】
次に、S121では、計測温度T1が濃縮倍率増温度以下か否かを判断する。計測温度T1が濃縮倍率増温度以下である場合には、S122に進み、最小倍率に対応する運転条件パターンを1段階濃度が高い濃縮倍率に対応する運転条件パターンに変更する。一方、計測温度T1が濃縮倍率増温度を超えている場合には、S105に戻る。
【0073】
次に、S123に進み、計測温度T1がバーナ再着火SP(再着火温度)以下か否かを判断する。計測温度T1がバーナ再着火SP以下である場合には、S124に進み、バーナ56を着火又は再着火し、ステップS3に戻る。また、計測温度T1がバーナ再着火SPを超えている場合には、S3に戻る。
【0074】
次に、濃縮倍率が最小または最大でない運転条件パターンでは、S201に進む。ここで、S201−S206,S221−S224は、上述したS101−S106,S121−S124とそれぞれ同様の制御であるため、説明を省略する。
【0075】
S207に続くS208では、計測温度T1が濃縮倍率減温度以上か否かを判断する。計測温度T1が濃縮倍率減温度以上である場合には、ステップS209に進み、現在の運転条件パターンを1段階濃度が低い濃縮倍率に対応する運転条件パターンに変更する。一方、計測温度T1が濃縮倍率増温度未満である場合には、S205に戻る。
【0076】
次に、S210に進み、計測温度T1が外気取入開始SP以上か否かを判断する。計測温度T1が外気取入開始SP以上である場合には、S211に進み、外気取入ダンパを開状態とする。一方、計測温度T1が外気取入開始SP未満である場合には、S3に戻る。
【0077】
次に、S212に進み、計測温度T1が外気取入開始SP以下か否かを判断する。計測温度T1が外気取入開始SP以下である場合には、S213に進み、外気取入ダンパを閉状態として、その後、S3に戻る。一方、計測温度T1が外気取入開始SPを超えている場合には、S212を繰り返す。
【0078】
次に、濃縮倍率が最大である運転条件パターンでは、S301に進む。ここで、S301,S302,S304−S313は、S201,S202,S204−S213と同様の制御であるため、説明を省略する。
【0079】
S302に続くS303では、計測温度T1がハイカット温度以上か否かを判断する。計測温度T1がハイカット温度以上である場合には、S304に進み、バーナ56を消火する。一方、計測温度T1がハイカット温度未満である場合には、S302に戻る。
【0080】
次に、S305で計測温度T1が比例開始制御SP未満である、または、S307で計測温度T1が−側偏差SP未満である、と判断された場合には、それぞれS321に進む。S321では、計測温度T1がバーナ再着火SP(再着火温度)以下か否かを判断する。計測温度T1がバーナ再着火SP以下である場合には、S322に進み、バーナ56を再着火し、その後、S302に戻る。一方、計測温度T1がバーナ再着火SPを超えている場合には、S305に戻る。
【0081】
以上説明したように、本実施形態による排ガス処理設備及び運転制御方法においては、可燃性有害成分濃度に対応する燃焼式排ガス浄化装置4内の温度を計測し、計測温度T1と濃縮倍率増温度及び濃縮倍率減温度を比較することにより運転条件パターンを選択し、計測温度T1と再着火温度、プレカット温度及びハイカット温度を比較することによりバーナ56の着火・消火を制御することができる。これにより、目標温度に近づくように、濃縮倍率を変え、バーナ56の着火を制御することにより、自燃状態となるような最適な燃焼条件に制御することができるので、可燃性有害成分が自燃可能な濃度となる運転時間を増大させて、バーナ56の燃料コストを低減することができる。更に、ホットバイパスダンパ48の開閉により燃焼式排ガス浄化装置4内の温度を調節することもできる。
【0082】
ここで、上述した運転制御方法は、濃度計54で計測される可燃性有害成分の濃度も制御因子として、制御温度と組み合わせて制御する方法とすることもできる。
【0083】
次に、
図4により、上述の本実施形態の排ガス浄化装置の運転制御方法による運転制御の一例を説明する。本制御例では、制御温度及び濃縮倍率と運転条件パターンを以下のように設定した。図中、バーナONはバーナ56が着火状態、バーナOFFがバーナ56が消火状態、ホットバイパスダンパONはホットバイパス48が開状態、ホットバイパスダンパOFFはホットバイパスダンパ48が閉状態を示す。
【0084】
ここで、目標温度は815℃とし、制御温度は以下のように設定した。
・再着火温度:800℃
・濃縮倍率増温度:810℃
・プレカット温度:810℃
・ハイカット温度:830℃
・比例制御開始温度SP:830℃
・比例制御許容偏差SP:830℃(−側偏差:0℃、+側偏差:100℃)
・濃縮倍率減温度:880℃
・冷風取入開始温度:900℃
ここで、冷風取入開始温度は燃焼室16の温度が上昇し過ぎた時に外気を導入するために設定される温度である。
【0085】
また、濃縮倍率と運転条件パターンを以下のように設定した。
・濃縮倍率7倍:送風機27及び送風機40の回転数(55Hz)、吸着体6の回転数7.2回毎時(rph)
・濃縮倍率8倍:送風機27及び送風機40の回転数(52Hz)、吸着体6の回転数6.5回毎時(rph)
・濃縮倍率9倍:送風機27及び送風機40の回転数(42Hz)、吸着体6の回転数5.9回毎時(rph)
・濃縮倍率10倍:送風機27及び送風機40の回転数(32Hz)、吸着体6の回転数5.3回毎時(rph)
【0086】
ここで、送風機27の回転数55Hzが第4設定風量、送風機27の回転数52Hzが第4設定風量より風量が
小さい第3設定風量、送風機27の回転数42Hzが第3設定風量より風量が
小さい第2設定風量、送風機27の回転数32Hzが第2設定風量より風量が
小さい第1設定風量にそれぞれ対応する。
【0087】
まず、バーナ56を着火状態で、送風機40の回転数17Hzで暖気運転を行った後に、濃縮倍率7倍の運転条件パターン(第4設定風量)で運転を開始する。
【0088】
排出ガスが導入されると、燃焼により計測温度T1が上昇する。計測温度T1がプレカット温度810℃に到達すると、タイマーで所定時間カウントした後にバーナ56が消火される。ここでは、バーナ56に伴い計測温度T1が低下し、排出ガスが自燃していない状態である。濃縮倍率増温度810℃未満に低下したときに、1段階濃縮倍率が高い濃縮倍率8倍の運転条件パターン(第3設定風量)に切換る。また、計測温度T1が再着火温度800℃未満に低下すると、バーナ56が着火する。
【0089】
濃縮倍率が増大したため、可燃性有害成分濃度が高い排出ガスが送り込まれるようになり、一旦温度が810℃以上に上昇するが、その後、810℃未満に低下する。これにより、更に濃縮倍率が高い濃縮倍率9倍の運転条件パターン(第2設定風量)に切換る。計測温度T1がプレカット温度810℃に到達するとバーナ56が消火され、再着火温度800℃未満に低下すると、バーナ56を着火する。
【0090】
濃縮倍率9倍の運転条件パターンでも濃縮倍率8倍の運転条件パターンと同様な挙動を示し、更に濃縮倍率が高い濃縮倍率10倍の運転条件パターン(第1設定風量)に切換る。
【0091】
濃縮倍率10倍の運転条件パターンに切り換えると、自燃状態となり、温度が上昇し始める。計測温度T1が830℃以上になると、余剰の熱を系外に排出するためにホットバイパスダンパ48が開状態となるため、一旦温度が830℃近傍で安定するが、その後、上昇を始める。これは、可燃性有害成分の濃度が高すぎるためであり、濃縮倍率減温度880℃に到達すると、1段階濃縮倍率が低い濃縮倍率9倍の運転条件パターン(第2設定風量)に切換る。ここ状態で、バーナ56は消火状態である。
【0092】
濃縮倍率9倍の運転条件パターンに切り換えると、温度は下降し始める。比例制御許容偏差−側偏差SP830℃を下回ると、排熱を停止するためにホットバイパスダンパ48が閉状態となる。そして、更に温度が低下し、濃縮倍率増温度810℃未満に低下すると、1段階濃縮倍率が高い濃縮倍率10倍の運転条件パターン(第1設定風量)に切換る。計測温度T1がプレカット温度810℃に到達するとバーナ56が消火され、再着火温度800℃未満に低下すると、バーナ56を着火する。
【0093】
濃縮倍率10倍の運転条件パターンに切り換えると、一旦温度は上昇するが、その後温度が下降し始める。そして、再着火温度800℃を下回ると、バーナ56が再着火して目標温度T2に近づくように制御される。計測温度T1がプレカット温度810℃に到達するとバーナ56が消火され、再着火温度800℃未満に低下すると、バーナ56を着火する。
【0094】
本実施形態例では、正確な運転制御を容易に行うことができる4パターン設定しているが、濃縮倍率、パターン数は適宜設定することができる。例えば、濃縮倍率9,10,11,12倍の4パターンを設定してもよいし、濃縮倍率9,10,11の3パターン、濃縮倍率9,10,11,12,13倍の5パターンなどを設定してもよい。
【0095】
本実施形態では、濃縮倍率が最小である運転条件パターンから運転制御を開始しているが、想定される燃焼状態に応じて何倍の濃縮倍率に対応する運転条件パターンから運転開始するかを適宜選択するようにしてもよい。
【0096】
本発明の排ガス浄化設備の運転制御方法は、燃焼式排ガス浄化装置として蓄熱式排ガス浄化装置を用いることに限定されるものではなく、他の方式の燃焼式排ガス浄化装置に適用してもよい。また、蓄熱式排ガス浄化装置としても、例えば、後述する排ガス浄化設備70を適用してもよい。排ガス浄化設備70については、排ガス浄化設備1と同じ構成には同じ符号を付し、以下、相違点を主に説明する。
【0097】
排ガス浄化設備70は、排ガス浄化設備1におけるダンパ21,25、送風機27、第1ダンパ31、第2ダンパ35、第3ダンパ37、特殊ダンパ45が省かれた簡単な構造となっている。
【0098】
脱着用エア供給装置3は、混合チャンバー24と、供給ダクト26と、を備えている。混合チャンバー24は、ホットバイパスダンパ28を介して燃焼式排ガス浄化装置4の燃焼室16に接続されており、供給ダクト26を介して吸着体6の再生ゾーン6bに接続されている。
【0099】
冷却ゾーン6cから排出されるエアは、混合チャンバー24においてホットバイパスダンパ28を介して燃焼室16から供給される高温ガスと混合、加熱され、供給ダクト26を介して吸着体6の再生ゾーン6bに、吸着体6から吸着された可燃性有害成分を吸着体6から脱着するための脱着用エアとして供給される。
【0100】
排出ダクト34の下流には、遮断ダンパ36が接続してあり、吸着体6の再生ゾーン6bから排出された排出エアの通過・遮断の切換が可能となっている。
【0101】
遮断ダンパ36の下流には、外気を排出ダクト34内に取り入れ可能な外気取入ダンパ38が設けられ、さらに、外気取入ダンパ48の下流には送風機40が設けられている。排出エアは、この送風機40の吸引力により送風される。
【0102】
上述したように、排出ダクト34には、上流から、遮断ダンパ36、外気取入ダンパ48、送風機40が配設されており、蓄熱室1塔12及び蓄熱室2塔14に分岐して接続される二股ダクト42及び2個の供給ダンパ18a,18bを介して燃焼式排ガス浄化装置4の蓄熱室1塔12及び蓄熱室2塔14の排ガス供給口にそれぞれ接続されている。
【0103】
吸着体6に吸着された可燃性有害成分は、回転により再生ゾーン6bに送られ、再生ゾーン6bにおいて、脱着用エア供給装置8の供給ダクト26から供給される脱着用エアによって吸着体6から脱着除去される。
【0104】
排出ダクト34へ排出された可燃性有害成分を含有する排出エアは、開状態の遮断ダンパ36を経由し、外気取入ダンパ38、送風機40、二股ダクト42及び開状態の供給ダンパ18aを順に通過して燃焼式排ガス浄化装置4の蓄熱室1塔12aに供給される。
【0105】
供給ダンパ18a,18b及び排出ダンパ20a,20bの切換は、以下の手順で行う。まず、外気取入ダンパ38を開状態とし外気を取り込む。
【0106】
次に、ホットバイパスダンパ28及び遮断ダンパ36を閉状態とし、吸着体6に対する高温エアの供給を中断する。
【0107】
続いて、供給ダンパ18a及び排出ダンパ20bを閉じるとともに、供給ダンパ18b及び排出ダンパ20aを開いて、ガスの流通方向を切換る。
【0108】
切換完了後には、ホットバイパスダンパ28及び遮断ダンパ36を開状態として吸着体6に対する脱着用エアの供給を再開し、外気取入ダンパ38を閉状態として外気の取り込みを停止する。
【0109】
このように供給ダンパ18a,18b及び排出ダンパ20a,20bを連動させて開閉し、切換が行われる際に、供給ダンパ18a,18b及び排出ダンパ20a,20bが同時に開状態となるときには、遮断ダンパ36を閉状態として吸着体6に対する脱着用エアの供給を中断するとともに、外気取入ダンパ38を開状態として可燃性有害成分を含まない外気を取り込み、導入した外気を開状態の供給ダンパ18a,18b及び排出ダンパ20a,20bそれぞれに対して通過させることができるので、可燃性有害成分を含有する排出エアがその可燃性有害成分を燃焼除去されずに大気中に排出されることを防止することができる。
また、簡単な構造及び少ない操作で迅速に供給ダンパ18a,18b及び排出ダンパ20a,20bの切換を行うことができる。
【0110】
また、燃焼式排ガス浄化装置4は蓄熱室を複数個備えた蓄熱式排ガス浄化装置とすることもできる。
【0111】
上述した本発明の排ガス浄化設備及びその運転制御方法によれば、可燃性有害成分濃度に対応する燃焼式排ガス浄化装置4内の温度を計測し、計測温度T1と濃縮倍率増温度及び濃縮倍率減温度を比較することにより運転条件パターンを選択し、送風機27,40により送風される送風量と、吸着体6の回転数と、を制御することにより、燃焼式排ガス浄化装置4に送り込むガス中の可燃性有害成分の濃度を制御することができる。そして、計測温度T1と再着火温度、プレカット温度及びハイカット温度を比較することにより、バーナ56の着火・消火を制御することができる。これらにより、可燃性有害成分が自燃可能な濃度となる運転時間を増大させることができるので、バーナ56の燃料コストを低減することができる。