(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可変表示条件は、所定の組合せとなる前記図柄、前記図柄の可変速度、前記可変速度の変化度合、前記停止操作手段による停止操作から前記図柄が停止するまでの時間の少なくとも1つである、請求項1に記載の認知症予防ゲーム機。
前記所定の組合せとなる図柄は、ユーザが任意の前記図柄を選択するか、あるいは前記可変表示条件制御手段によって前記図柄が指示される、請求項1または2に記載の認知症予防ゲーム機。
前記プレイ内容は、前記ユーザが得た得点、前記ユーザのプレイ時間、前記複数の可変表示手段に対する前記各停止操作手段の停止操作間隔の少なくとも1つである、請求項1から3のいずれかに記載の認知症予防ゲーム機。
前記生体情報取得手段により取得される生体情報は、前記ユーザの脈拍、心電、脳波、体温、血圧、呼吸、目の動き、反応速度の少なくとも1つである、請求項1から4のいずれかに記載の認知症予防ゲーム機。
複数の前記表示窓を備え、当該複数の表示窓の1つは、所定の組合せとなる図柄、プレイの説明、プレイにより得た得点、前記プレイ内容に基づくアドバイスの少なくとも1つを表示する、請求項1から6のいずれかに記載の認知症予防ゲーム機。
前記生体情報取得手段により取得された生体情報からユーザの異常を取得した場合は、前記複数の可変表示手段を強制的に停止させるとともに、ユーザの異常を、複数の前記表示窓の1つへの表示、警報ランプの点灯、及びスピーカからの警報の少なくとも1つにより伝達する、請求項1から8のいずれかに記載の認知症予防ゲーム機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のようなゲームを実際にやるとなれば具体的に何をどのようにすれば良いのか、また、個人において認知症に対する有効さを図る方法や結果に対しての改善方法がわかりにくい場合が多く、習慣的にも継続することが困難である。
【0009】
本発明は、目などで移動図柄を認識するとともに、手での操作を取り入れたプレイをすることにより認知症を予防し、さらにユーザの能力に応じたプレイを提供することで、継続的なプレイを計ることが可能な認知症予防ゲーム機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る認知症予防ゲーム機は、少なくとも1つの表示窓と、前記表示窓の1つにおいて複数種の図柄を可変表示させることが可能な複数の可変表示手段と、前記複数の可変表示手段の各々をユーザの操作に応じて個別に停止表示させることが可能な複数の停止操作手段と、前記各可変表示手段における図柄の可変表示を、前記停止操作手段により停止させたときに、前記表示窓に表示される複数の前記図柄が所定のライン上に所定の組合せとなる場合に、得点を付与する得点付与手段と、前記ユーザの生体情報を取得する生体情報取得手段と、前記得点を含む前記ユーザのプレイ内容、及び前記生体情報取得手段により取得された生体情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記プレイ内容、前記記憶手段に記憶された前記生体情報、及び前記ユーザからの要求、の少なくとも一つに応じて、前記複数の可変表示手段における図柄の可変表示条件を変化させる、可変表示条件制御手段と、を備えている。
【0011】
上記認知症予防ゲーム機において、前記可変表示条件は、所定の組合せとなる前記図柄、前記図柄の可変速度、前記可変速度の変化度合、前記停止操作手段による停止操作から前記図柄が停止するまでの時間の少なくとも1つであるものとすることができる。
【0012】
上記各認知症予防ゲーム機において、前記所定の組合せとなる図柄は、ユーザが任意の前記図柄を選択するか、あるいは前記可変表示条件制御手段によって前記図柄が指示されるようにすることができる。
【0013】
上記各認知症予防ゲーム機において、前記プレイ内容は、前記ユーザが得た得点、前記ユーザのプレイ時間、前記複数の可変表示手段に対する前記各停止操作手段の停止操作間隔の少なくとも1つとすることができる。
【0014】
上記各認知症予防ゲーム機において、前記生体情報取得手段により取得される生体情報は、前記ユーザの脈拍、心電、脳波、体温、血圧、呼吸、目の動き、反応速度の少なくとも1つとすることができる。
【0015】
上記各認知症予防ゲーム機において、前記得点付与手段は、所定のライン上に、所定の組合せとなった前記図柄に応じて、得点を決定するものとすることができる。
【0016】
上記各認知症予防ゲーム機においては、複数の前記表示窓を備え、当該複数の表示窓の1つは、所定の組合せに係る図柄を指示するように表示し、前記得点付与手段は、前記ユーザが、前記指示に基づいて、前記図柄を所定の組合せとした場合には、得点を加算するものとすることができる。
【0017】
上記各認知症予防ゲーム機においては、複数の前記表示窓を備え、当該複数の表示窓の1つは、所定の組合せとなる図柄、プレイの説明、プレイにより得た得点、前記プレイ内容に基づくアドバイスの少なくとも1つを表示するものとすることができる。
【0018】
上記各認知症予防ゲーム機においては、前記生体情報取得手段により取得された生体情報からユーザの異常を取得した場合、前記複数の可変表示手段を強制的に停止させるとともに、ユーザの異常を、複数の前記表示窓の1つへの表示、警報ランプの点灯、及びスピーカからの警報の少なくとも1つにより伝達することができる。
【0019】
上記各認知症予防ゲーム機においては、スピーカをさらに備えることができ、当該スピーカにより、BGM、プレイに関するアドバイス、及び前記生体情報取得手段により取得された生体情報からユーザの異常を取得したときの警報の少なくとも1つが発せられるようにすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る認知症予防ゲーム機は、可変表示手段を目で追いながら、これを停止させ、所定の組合せを得るゲームである。そのため、ユーザの動体視力、図柄の認識、組合せのための思考力、停止操作のための運動神経を活用しつつゲームを行わなければならないため、認知症の予防としての効果が高い。そして、本発明によれば、例えば、過去のプレイ内容で示されるユーザの能力や、プレイ中のユーザの身体状態に応じて、可変表示手段の可変表示条件を設定することができるため、ユーザの能力に適したプレイ内容を提供することができる。例えば、ユーザの能力が低い場合や、精神が興奮状態にある場合には、例えば、可変表示手段の可変速度を低下することができる。したがって、ユーザの能力などに応じて、プレイの難易度を適宜変更することができるため、ユーザにプレイのモチベーションを付与することができ、継続的なプレイを期待することができる。その結果、認知症の予防や認知症の進行を遅らせることを楽しみながら継続的に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る認知症予防ゲーム機の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る認知症予防ゲーム機の斜視図、
図2は
図1の一部拡大図である。
【0023】
<1.認知症予防ゲーム機の構成>
図1に示すように、本実施形態に係る認知症予防ゲーム機は、筐体1と、ユーザが座る椅子2と、筐体1の底部と椅子2の底部とを連結する基台3と、を備えている。筐体1は、箱形に形成された本体部11と、この本体部11の前面から前方へ突出する板状の操作台12と、を備えている。本体部11の前面において、操作台12よりも上方の領域には、プレイ用の3つのリールが露出する第1表示窓111が配置されている。そして、この第1表示窓111の上方には、カードリーダ112、赤外線センサ113、カメラ114、及び液晶モニタが嵌め込まれた第2表示窓115が配置されている。さらに、筐体1の上面には、緊急用の警報ランプ13及び一対のスピーカ19が配置されている。
【0024】
カードリーダ112は、ユーザが所有するIDカード10を読み取るものである。すなわち、IDカード10をカードリーダ112に挿入することで、IDカード10に書き込まれているユーザのID番号、氏名、年齢、健康状態などが後述する制御部5または記憶部6に読み込まれる。赤外線センサ113は、ユーザの存在を検知したり、あるいは椅子2に座ったユーザの体温を測定するものであり、カメラ114は、プレイ中のユーザを撮影し、ユーザのプレイ状態を撮影するものである。例えば、ユーザの目の動きや、体の動きを撮影することができる。また、第2表示窓115は、タッチパネルを有しており、プレイに関する指示や得点など、種々の情報を表示するとともに、ユーザからの各種入力を受け付ける。そして、警報ランプ13は、緊急の対応を要する場合に点灯するものである。スピーカ19は、警報を発するほか、音声によるプレイのアシスト、BGMを発するために用いられる。
【0025】
筐体1の内部において、第1表示窓111と対応する領域には、上述したように、回転自在に支持された3つの円柱状のリール、つまり
図1の左側から右側へ並ぶ第1リール15a、第2リール15b、及び第3リール15cが設けられており、これらリールの一部が第1表示窓111から見えるようになっている。第1〜第3リール15a〜15cの外周面は、複数のコマ、例えば、21コマに分割されており、1コマに1つの図柄が配置されている。これにより、第1〜第3リール15a〜15cの外周面には、21個の図柄が配列されている。そして、第1〜第3リール15a〜15cが停止すると第1表示窓111を通して1リール当たり3個の図柄が表示される。すなわち、第1表示窓111には、合計9個の図柄が表示される。また、各リール15a〜15cは、それぞれ、ステッピングモータ(図示省略)で回転されるとともに、各ステッピングモータは、マイコンなどで構成された後述する駆動コントローラ4により、回転速度等が制御される。
【0026】
図2は第1表示窓111の拡大図である。同図に示すように、この認知症予防ゲーム機では、第1表示窓111に配置される図柄に対し、上下方向に並び横方向に延びる3本、第1表示窓の対角線に沿って延びる2本の、計5本の入賞ライン16が設定されている。そして、第1〜第3リール15a〜15cが停止したときに、入賞ライン16上に停止した図柄の組合せによって入賞したか否かが判定され、その入賞に係る図柄の種類、組合せ、図柄が配置された入賞ラインの数などの入賞役に応じて得点が付与される。ここで、プレイの難易度を、入賞ラインの数を変更することで決めることができる。例えば、初心者であれば、すべての入賞ライン16を有効とし、上級者であれば、入賞ライン16の数を少なくすることができる。なお、上記5本の入賞ライン16は、適宜組み合わせることができ、必ずしも一直線上に図柄があるときを入賞とする必要はなく、複数の入賞ライン16のいずれかに亘って図柄が配置されたときも入賞とすることもできる。
【0027】
なお、「入賞」とは、入賞ライン16上に停止した図柄の組合せが、入賞役に対応する予め定められた図柄の組合せと一致するか、又は、特定のリールにおいて入賞ライン上に停止した図柄が、入賞役に対応する図柄と一致した状態を示す。また、入賞役及び得点は、種々の設定が可能であり、単なる図柄の組合せのほか、図柄の視認の容易さによって得点を設定することができる。例えば、寸法が小さかったり、色が薄いなどの視認し難い図柄により、入賞役が設定されている場合には、得点を高くすることができる。このような入賞役は、後述する記憶部6に記憶されているが、適宜変更することかできる。
【0028】
また、本実施形態では、2種類のプレイモードが設定されており、1つは、ユーザが任意で好みの図柄を狙うフリーモードであり、もう一つは、ゲーム機が示した図柄などをユーザが狙うオートモードである。オートモードを選択すると、第2表示窓115に、ユーザが狙うべき図柄、その組合せ、またはいずれの入賞ライン16に図柄を揃えるべきか、などが表示され、ゲーム機が指定した図柄などが揃えば、その難易度に応じて得点が付与されるものである。また、フリーモード及びオートモードの両方において、プレイのアシスト機能を付加することができる。アシスト機能を選択すれば、例えば、第2表示窓115にカウントダウンを表示させ、停止ボタン17a〜17cを押下するタイミングを教示することができる。そして、プレイ履歴がないなどの初期状態では、フリーモードに設定されている。詳細は後述する。
【0029】
図1に戻って、説明を続ける。同図に示すように、操作台12の上面の両側には、ユーザが手で握る一対の把持棒121が配置されている。この把持棒121の表面には、センサが配置されており、把持棒を握ったユーザの血圧、脳波、酸素分圧などを測定することができる。そして、一対の把持棒121の間には、上述した第1〜第3リール15a〜15cの回転を停止するための第1〜第3停止ボタン17a〜17cが、各リール15a〜15cの前方にそれぞれ配置されている。また、左側の把持棒121から本体部11寄りの位置には、すべてのリール15a〜15cの回転を開始するためのスタートボタン18が配置されている。
【0030】
続いて、椅子2について説明する。椅子2は、ユーザが座る座部21と、この座部21の後端から上方に延びる背もたれ22と、座部21の両側に設けられた一対の肘掛け23と、を有している。各肘掛け23の先端部には、センサ24が配置されており、上述した把持棒121と同様に、肘掛け23の先端を握ったユーザの血圧、脳波、酸素分圧などを測定することができる。以上説明した赤外線センサ113、カメラ114、把持棒121のセンサ、肘掛け23のセンサ24などで検出されるユーザの生体に関わる情報を、以下では、生体情報と称することとする。
【0031】
<2.認知症予防ゲーム機の機能的構成>
次に、本実施形態に係る認知症予防ゲーム機の機能的構成について説明する。
図3は、この認知症予防ゲーム機の機能的構成を示すブロック図である。
【0032】
図3に示すように、この認知症予防ゲーム機は、上述した赤外線センサ113、カメラ114、把持棒121のセンサ、肘掛け23のセンサ24、各リール15a〜15の回転駆動を制御する駆動コントローラ4、スタートボタン18、停止ボタン17a〜17c、第2表示窓115の液晶ディスプレイ、カードリーダ112、スピーカ19、警報ランプ13、制御部5、及び記憶部6を有し、これらは相互に通信可能となるようにバス線8で接続されている。制御部5は、CPU、ROMおよび揮発性のRAM等から構成され、記憶部6は、不揮発性のハードディスク等から構成される。なお、本発明の記憶手段は、上記記憶部6のほか、制御部5に含まれるROM,RAMなどのデータの一時的な記憶を行うデバイスも含むものとする。
【0033】
記憶部6内には、プレイを行うためのプレイ制御プログラムを記憶するプログラム領域61、ユーザ情報を記憶するためのユーザ情報領域62が確保されている。ユーザ情報領域62には、ユーザ毎の個人情報、プレイ履歴などがユーザ情報として記憶されている。個人情報としては、ユーザのID番号,氏名、既往歴などの健康状態を設定することができる。一方、プレイ履歴としては、種々のものを設定できるが、例えば、過去のプレイで得た得点の履歴、プレイ時間の履歴、操作ボタンの操作間隔などとすることができ、さらに、これらを、プレイ履歴が作成されたときに検知された生体情報に関連づけておくこともできる。なお、このような過去のプレイ履歴のほか、プレイに要している時間などが本発明のプレイ内容に相当する。また、プレイ内容は、記憶部6のみならず、一時的に制御部5のRAMなどに記憶されることもあり、その場合には、制御部5のRAMなどからプレイ内容を参照することがある。
【0034】
制御部5は、記憶部6内に格納されているプレイ制御プログラムを読み出して実行することにより、仮想的に、プレイ準備部51(可変表示条件制御部)、リール制御部52(可変表示条件制御部)、プレイ時間測定部53、得点付与部54、及び緊急処置部55として動作する。各部51〜55の動作については、後述する。
【0035】
<3.プレイの準備とリールの回転制御>
次に、上記のように構成された認知症予防ゲーム機のプレイ方法について、
図1〜
図3に加え、
図4も参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態に係る認知症予防ゲーム機のプレイ手順を示すフローチャートである。はじめに、スタートボタン18を押下してプレイを開始するまでの準備手順について、説明する。まず、認知症予防ゲーム機を起動すると、制御部5は、記憶部6に記憶されたプレイ制御プログラムを読み出し、これを起動する。これに続いて、ユーザが椅子2に着座すると、赤外線センサ113がこれを感知し、制御部5は、ユーザがゲームを開始する準備に入ったことを認識する(ステップS1)。これにより、プレイ準備部51は、ユーザに対してIDカード10をカードリーダ112に挿入することを促す表示を、第2表示窓115に表示させる。これに対して、ユーザが、自己の所有するIDカード10をカードリーダ112に差し込むと(ステップS2)、プレイ準備部51は、IDカード10から読み出したユーザのID番号に基づいて、記憶部6から当該ユーザのプレイ履歴を読み出すとともに(ステップS3)、例えば、氏名、プレイ履歴などを、第2表示窓115に表示させる。
【0036】
次に、プレイ準備部51は、ユーザに対して、把持棒121または肘掛け23の先端を握ることを促す表示を第2表示窓115に表示させる。これにより、ユーザが把持棒121または肘掛け23の先端のセンサ24を握ると、センサにより、ユーザの血圧、脈拍、酸素分圧などの生体情報を検知し、これを記憶する。同時に、赤外線センサ113によって、ユーザの体温を測定することもできる。こうして、設けられた各種センサの少なくとも1つから生体情報が取得される(ステップS4)。このとき、例えば、血圧、脈拍、体温などが異常値を示した場合には(ステップS5のYES)、緊急処置部55により、プレイの中止を促す表示が第2表示窓115に表示されたり、あるいは、警報ランプ13を点灯させるとともにスピーカ19から警報を発する(ステップS6)。こうして、ゲームを終了し、第三者の救助を求めるようにすることもできる。
【0037】
一方、生体情報に異常がなければ(ステップS5のNO)、ユーザ情報に基づき、記憶部6からプレイ履歴を検索する。このとき、プレイ履歴がある場合には(ステップS7のYES)、前回プレイの終了時のプレイモード、つまりフリーモードまたはオートモードをセットする(ステップS8)。一方、プレイ履歴がない場合には、プレイモード及びユーザデータを初期状態にする(ステップS9)。すなわち、プレイモードをフリーモードとする。このとき、設定されたプレイモードは、第2表示窓115に表示されるが、ユーザがプレイモードを変更する場合には(ステップS10のNO)、第2表示窓115に表示された変更ボタンをタッチし、プレイモードを変更する(ステップS11)。一方、プレイモードを変更しない場合には(ステップS10のYES)、第2表示窓115に表示されたプレイ開始ボタンをタッチする。なお、このとき、プレイモードの変更とともに、アシスト機能の付加の有無を選択することもできる。
【0038】
こうして、プレイモードが確定すると、記憶されたプレイ履歴や生体情報に基づき、リール制御部52は、駆動コントローラ4に対して制御信号を送信し、ステッピングモータの回転条件、つまり各リール15a〜15cの駆動条件を設定する(ステップS12)。リールの駆動条件としては、例えば、リールの回転速度、リールの回転速度の変化度合、停止ボタンによる停止操作からリールが停止するまでの時間の少なくとも1つを用いることができる。リールの回転速度の変化度合いとは、例えば、リールの回転速度を徐々に高くしたり、あるいは徐々に低くしたりするときの変化の度合いである。このとき、各リール15a〜15cの駆動条件を個別に設定することができる。例えば、第1リール15aの回転速度を最も高くし、第2リール15b、第3リール15cに亘って、回転速度を低くすることもできる。
【0039】
なお、リール15a〜15cの駆動条件の決定は、種々の方法で行うことができ、プレイ履歴及び生体情報から少なくとも1つを用いて駆動条件を決定することができる。例えば、プレイ履歴を用いる場合には、過去のプレイで得られた得点に基づいて、各リール15a〜15cの回転速度を決定する。具体的には、例えば、過去に得た得点が低い場合には、初級者であるとみなして各リール15a〜15cの回転速度を低く設定する。一方、過去に得た得点が高い場合には、上級者とみなして各リール15a〜15cの回転速度を高く設定する。こうして、ユーザの習熟度に応じて難易度を変更する。また、生体情報を用いる場合には、例えば、検出された脈拍が高いとすると、ユーザが興奮状態にあると考え、各リール15a〜15cの回転速度を低く設定する。このように、リールの駆動条件は、種々の観点から設定可能であり、プレイ履歴及び生体情報の中から少なくとも1つ以上を組合せて適宜設定することができる。
【0040】
また、制御部5のプレイ時間測定部53は、筐体1に内蔵されたタイマー(図示省略)などで、プレイ中の種々の時間を測定する。例えば、スタートボタン18が押下されてから、第3停止ボタン17cを押下するまでの時間、各停止ボタン17a〜17cの操作間隔、プレイをスタートしてからプレイが終わるまでの総時間などが測定される。
【0041】
そして、プレイ時間測定部53により測定された各種時間、得られた得点、あるいはプレイ中に取得された生体情報によって、プレイ前のみならず、スタートボタン18を押下した後のプレイ中にもリールの駆動条件を設定することもできる。例えば、1回目のプレイのプレイ時間が長い場合、停止ボタン17a〜1
7cの操作間隔が長い場合、得られた得点が低い場合、あるいは脈拍が高いなどの生体情報を得られた場合、リール制御部52は、次のプレイにおけるリール15a〜15cの回転速度を低く設定することができる。また、例えば、スタートボタン18を押下した後、第1停止ボタン17aを押下するまでの時間が所定時間を超えた場合には、プレイ中に第1リール15aの回転速度が低くなるようにすることができる。あるいは、第1停止ボタン17aを押下した後、第2リール15bまたは第3リール15cの回転速度を低下させることもできる。一方、これとは反対に、ユーザがより難易度の高いプレイに対応できると考えられる場合には、各リール15a〜15cの回転速度を高くすることができる。
【0042】
このような、プレイ中のリール15a〜15cの速度の変化は、生体情報に基づいて行うこともできる。例えば、上述した脈拍、体温のほか、カメラ114を用いてユーザの目の動きを検知し、リール15a〜15cの速度を変化させることもできる。具体的には、リール15a〜15cの回転を追うユーザの目の動きが速くなっている場合には、ユーザの負荷が大きいとみなして、リール15a〜15cの回転速度を低下させることができる。
【0043】
<4.プレイの手順と得点の付与>
次に、駆動条件決定後のプレイの手順について、引き続き、
図4を参照しつつ説明する。上記のように、リール15a〜15cの駆動条件が設定されると(ステップS12)、プレイ準備部51は、ユーザに対し、スタートボタン18を押下するのを促す表示を、第2表示窓115に表示させる。これに対して、ユーザがスタートボタン18を押下すると(ステップS13)、リール制御部52は、駆動コントローラ4に対して制御信号を送信し、これに基づいて駆動コントローラ4はステッピングモータを駆動し、各リール15a〜15cを回転させる。これに続いて、プレイ準備部51は、停止ボタン17a〜17cを、任意の順番で押下すること(例えば、第1,第2,第3停止ボタン17a,17b,17cの順に押下すること)を促す表示を、第2表示窓115に表示させる。
【0044】
ユーザは、回転する各リール15a〜15cを目で追いながら、入賞役となる入賞ライン16上の図柄の組合せを得るための第1〜第3リール15a〜15cを停止させる。すなわち、第1〜第3停止ボタン17a〜17cを順に押下していく(ステップS14)。このとき、オートモードを選択していると、プレイ準備部51によって、第2表示窓115に揃えるべき図柄が指定される。また、アシスト機能が選択されている場合には、停止ボタン17a〜17cを押下するタイミングが表示される。そして、ユーザが停止ボタン17a〜17cを押下していくと、そのたびに、リール制御部52は、制御信号を駆動コントローラ4に送信し、ステッピングモータの駆動を停止させ、各リール15a〜15cの回転を停止させる。このとき、第1〜第3リール15a〜15cの停止制御は、上述したプレイ履歴や生体情報に基づいて行うことができる。例えば、ユーザが初級者である場合には、停止ボタン17a〜17cの押下からリール15a〜15cの停止までの時間を短くすることができる。
【0045】
あるいは、初級者に対しては、入賞を多くするため、いわゆる引き込み制御を行うこともできる。引き込み制御とは、リール15a〜15cの回転中に、所定の図柄が入賞ライン16から所定のコマ数だけ離れているときに、停止ボタン17a〜17cが押下されると、その図柄を入賞ライン16上で停止する制御のことをいう。引き込み制御が行われない場合、停止ボタン17a〜17cを早く押下すると、入賞ライン16の手前で図柄が停止することになる。これに対して、例えば、
図5に示すように、所定の図柄が入賞ライン16を含めて、例えば5コマ以内にあるとき、すなわち、図柄がA〜Dにあるとき、または入賞ライン16上にあるときに、第1〜第3停止ボタン17a〜17cを押下したときには、図柄を入賞ライン16に引き込んで第1〜第3リール15a〜15cの停止制御を行うことができる。
【0046】
このような引き込み制御は、種々の態様が可能であり、ユーザの習熟度に応じて難易度を変更することができる。例えば、上記の例では、引き込み制御を5コマ以内としているが、習熟度に応じてこれを変更することができる。また、オートモードの場合には、ゲーム機が支持した図柄に対して、引き込み制御を行うことができる。一方、フリーモードの場合には、例えば、第1リール15aにおいて任意の図柄が入賞ライン16に停止したとき、第2及び第3リール15b,15cの停止(またはそのいずれか一方)において、引き込み制御を行うことができる。
【0047】
一方、熟練者に対しては、引き込み制御時の引き込みのコマ数を少なくしたり、入賞ライン16を1ラインに特定する等、難易度を上げることができる。また、逆に停止ボタン押下から図柄停止までの時間をランダムに設けることにより、ユーザは停止までの時間を予測しながら停止タイミングを計る必要が生まれるので、思考能力の向上が図れる。
【0048】
また、プレイ中には、上述したように、逐次、リール15a〜15cの駆動条件の変更を行うことができる。
【0049】
こうして、すべての停止ボタン17a〜17cが押下されると、得点付与部54は、入賞ライン16上の停止図柄の組合せと入賞役とを比較し、入賞役が得られたか否かを判定(以下、「入賞判定」)する。そして、得点付与部54は、この入賞判定に基づき、入賞した場合には(ステップS15のYES)、入賞役に応じて得点を付与し(ステップS16)、第2表示窓115に表示させる。また、プレイに要した時間、停止ボタン17a〜17cの押下間隔、得られた得点などをプレイ履歴として、記憶部6のユーザ情報領域62、または一時的に制御部5に記憶することもできる。そして、ユーザがプレイを続ける場合には(ステップS17のNO)、プレイ中に取得された生体情報とプレイ履歴が確認される(ステップS18)。このとき、取得された生体情報に異常がある場合には(ステップS19のYES)、緊急処置部55により、警報ランプを点灯させるとともにスピーカ19から警報を発し(ステップS6)、プレイを終了する。
【0050】
一方、生体情報に異常がない場合には(ステップS19のNO)、上述したプレイモードの変更の有無を確認した後(ステップS10)、必要に応じて、それまでのプレイ履歴などを参照し、駆動条件を新たに設定し、これに基づいて(ステップS12)、プレイが続行される。こうして、ユーザは、自らの望む回数だけ、プレイを行い、プレイを終了する場合には(ステップS17のYES)、第2表示窓115のプレイ終了のボタンをタッチする。これにより、プレイ履歴等が記憶部6に書き込まれ(ステップS20)、すべてのプレイが終了する。その後、第2表示窓115にIDカードの引き抜きを促す表示がなされる。これに対して、ユーザは、IDカード10がカードリーダ112から引き抜き、椅子2から離れる。
【0051】
<5.特徴>
以上のように、本実施形態によれば、ユーザに対して以下の(1)〜(4)の行動や思考を行わせるため、認知症を予防したり、認知症の進行を遅らせることができる。
(1)回転するリールを目で追うため、動体視力が養われるとともに、図柄を認識する脳機能向上が期待できる。
(2)入賞役を得るための回転移動する図柄を狙うため、目と脳連系で図柄を狙って停止タイミングを計る。また、得点の高い図柄を狙う意識が働く。
(3)任意のタイミングで停止ボタンを押してリールを停止させるため、図柄認識からタイミングを計って停止操作を行うという思考が働く。
(4)すべてのリールが停止するまで停止操作を行うため、例えば、第1リール15aの停止において狙った図柄と違う図柄が入賞ライン16上に停止した場合、残りの回転中のリール15b,15cで狙う図柄を、第1リール15aで入賞ライン16上にある図柄に基づいた入賞に合わせて、第2及び第3リール15b,15cで狙う図柄を変えて停止操作を行う、というプレイ中の思考の切り替えを誘発する。
【0052】
以上のように、本実施形態に係る認知症予防ゲーム機でプレイすることで、運動機能及び脳機能の向上が期待でき、その結果、認知症を予防したり、認知症の進行を遅らせることができる。そして、以上のようなプレイは、ユーザの能力に応じて、リールの駆動条件や停止条件、入賞ラインの設定を変更することができるため、ユーザの能力に適したプレイ内容を提供することができる。例えば、ユーザの能力に応じて、プレイの難易度を適宜変更することができるため、ユーザにプレイのモチベーションを付与することができ、継続的なプレイを期待することができる。その結果、認知症を予防したり、認知症の進行を遅らせることを継続的に行うことができる。
【0053】
また、本実施形態では、ユーザの生体情報も利用してリールの駆動条件を設定することができるため、各ユーザのプレイ中の身体の状態に対応したプレイ内容を提供することができる。
【0054】
なお、プレイの難易度についてまとめると、以下の通りであり、ユーザの習熟度に応じて適宜変更することができる。
(1)リールの回転速度等の変化(速いほど難易度が高い)
(2)揃えるべき図柄の寸法、色(寸法が小さいほど、また色が薄いほど難易度が高い)
(3)入賞ラインの数(入賞ラインの数が少ないほど、難易度が高い)
(4)停止ボタンの押下から図柄が停止するまでの時間やコマ数(引き込み制御時の引き込みコマ数が少ないほど、難易度が高い)
(5)図柄を狙うタイミングを教えるアシスト機能の有無(アシスト機能がないと難易度が高い)
【0055】
<6.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0056】
<6−1>
上記実施形態では、IDカード10をカードリーダ112に挿入後、ID番号に基づいて、記憶部6に記憶されているユーザ情報を読み出しているが、ユーザを特定できるのであれば、IDカード以外であってもよく、例えば、バーコードやQRコード(登録商標)を認知症予防ゲーム機に読み取らせ、ユーザを特定するようにすることもできる。また、RFIDなどを用いて、通信によってID番号を認知症予防ゲーム機に送信することもできる。さらに、スマートフォン、タブレットなどの携帯端末を用いて、ID番号を送信することもできる。
【0057】
また、ユーザ情報を、認知症予防ゲーム機の記憶部6ではなく、IDカード10などの記憶媒体に記憶させることもできる。この場合、プレイ履歴や生体情報は、プレイのたびにIDカード等に記憶されることになる。また、認知症予防ゲーム機以外のサーバなどに専用回線またはインターネット回線を介してユーザ情報を送信し、記憶することもできる。この場合、ユーザ情報は、サーバから読み出されて取得される。これにより、複数の認知症予防ゲーム機で、ユーザ情報を利用したり、携帯端末で、ユーザ情報を閲覧することもできる。
【0058】
<6−2>
上記実施形態では、ユーザのプレイ履歴や生体情報に基づいて、リール15a〜15cの駆動条件を設定しているが、ユーザの要求に応じて、駆動条件を設定することもできる。すなわち、プレイを始める前に、あるいはプレイ中に、ユーザの申告により、リールの回転速度等を含めたプレイの難易度を決定することができる。
【0059】
<6−3>
第2表示窓115は、種々の情報を表示することができ、例えば、ユーザに対してプレイのアドバイスを行うこともできる。例えば、上述したアシスト機能がその一例である。そして、第2表示窓115が教示する狙うべき図柄によって入賞役が得られた場合には、得点を加算するなどの処置を行うことができる。
【0060】
<6−4>
上記実施形態における生体情報を取得するためのセンサ等は、一例であり、これ以外のセンサを用いることもできる。例えば、椅子2の背もたれ22や座部21にセンサを内蔵し、ユーザの身体に接触させることで、心電図、脈拍、呼吸、血圧、体位などを測定することができる。あるいは、ヘッドフォン型のセンサを用い、ユーザがこれを装着することで、脳波を測定することもできる。このような生体情報は、主として、ユーザのプレイ中の興奮度や冷静さを監視するために用いられ、これに基づいて、プレイ中に、駆動条件を設定することができる。このように、生体情報を取得するセンサは、特には限定されず、上記以外のセンサを含め、1つ以上を適宜組合せて用いることができる。また、センサを設ける位置も特には限定されない。
【0061】
<6−5>
上記実施形態では、プレイ履歴(プレイ内容)、生体情報、及びユーザからの要求に応じて、駆動条件を設定しているが、そのうちの少なくとも1つを用いて駆動条件を含めたプレイの難易度が決定されればよい。したがって、プレイ履歴のみを用いる場合には、センサを設けなくてもよい。
【0062】
<6−6>
上記実施形態では、リール15a〜15cの数を3個にしているが、これに限定されず、2個以下、4個以上にすることもできる。また、リールの数にかかわらず、動作するリールの数を調整することもできる。例えば、3個のリールが配置されていたとしても、そのうちの2個のみを使ってプレイができるようにしてもよい。
【0063】
<6−7>
上記各実施形態では、リールを用いて図柄を可変表示しているが、例えば、図柄が表示されたベルトを回転駆動させたり、あるいは液晶ディスプレイで図柄を可変表示させるようにすることもできる。
【0064】
<6−8>
上記各実施形態では、筐体と椅子が一体化された認知症予防ゲーム機の例を示したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、筐体だけでもよく、また、筐体の形態も特には限定されず、少なくとも、リール等の可変表示手段と停止ボタン等の停止操作手段が設けられていればよい。
【0065】
<6−9>
生体情報は、プレイに用いるのみならず、ユーザの生活アドバイスに用いることができ、そのようなアドバイスを第2表示窓115に表示させることもできる。
【0066】
<6−10>
付与された得点は、プレイの成果として品物などに交換するのに利用することもでき、交換できる品物を第2表示窓115に表示させることもできる。
【0067】
<6−11>
上記実施形態では、ユーザに対する指示、アドバイスなどを第2表示窓115に表示することでユーザに知らしめているが、スピーカ19からの音声によって行うこともできる。すなわち、第2表示窓115の表示、あるいはスピーカ19らからの音声の少なくとも一方で、ユーザへの情報の伝達が行われればよい。また、これらをユーザによって選択できるようにすることもできる。さらに、上記実施形態では、異常時に警報ランプ13の点灯とスピーカ19からの警報をともに行っているが、少なくとも一方であればよい。
【0068】
<6−12>
上述した各種センサによる生体情報の検出は、ゲーム中、常に行うことができ、ゲーム中に異常を検知した場合には、リール15a〜15cを強制的に停止した上で、第2表示窓115、警報ランプ13、及びスピーカ19の少なくとも1つから異常を知らしめることができる。また、生体情報に応じて、プレイ中でも、駆動条件を適宜変更することができる。