特許第6238031号(P6238031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238031
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/17 20060101AFI20171120BHJP
   B65D 77/04 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B65D41/17
   B65D77/04 A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-118436(P2016-118436)
(22)【出願日】2016年6月15日
(62)【分割の表示】特願2014-164235(P2014-164235)の分割
【原出願日】2014年8月12日
(65)【公開番号】特開2016-179862(P2016-179862A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2016年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000177117
【氏名又は名称】三洋化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072213
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 一義
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100163670
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 裕史
(72)【発明者】
【氏名】山田 恵寛
(72)【発明者】
【氏名】種谷 博司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲生
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−239793(JP,A)
【文献】 特開2011−245074(JP,A)
【文献】 特開2010−173724(JP,A)
【文献】 実開平06−080629(JP,U)
【文献】 特表平07−505597(JP,A)
【文献】 実公平04−054113(JP,Y2)
【文献】 西独国特許出願公開第2401270(DE,A)
【文献】 実開平01−179846(JP,U)
【文献】 実公昭58−043567(JP,Y2)
【文献】 実公昭48−007242(JP,Y1)
【文献】 実開昭53−025847(JP,U)
【文献】 実開平04−003951(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
B65D 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部を有する容器本体と、前記容器本体の首部に嵌合される蓋体と、前記収容部に着脱可能となるリフィル容器とを備える容器であって、
前記首部は、上端部が前記収容部の開口となる円形状の筒状部と周縁形状が非円形状の肩部とを平坦部を介して連設し、前記平坦部上に前記筒状部の外周面から外径方向に突出する複数のカム片を設置し、
前記蓋体は、前記開口を閉塞する天面部と、前記カム片に対応する案内部を有して前記天面部から垂下される円形状の内筒部と、前記内筒部の外径方向に位置する非円形状の外筒部とを備えてなり、
前記首部の外周と前記蓋体の内周に互いの嵌合手段を備え、前記容器本体と前記蓋体との相対回転により、前記案内部が前記カム片の傾斜片に摺動することで前記蓋体が押し上げられて前記嵌合手段の嵌合を解除することを特徴とする容器。
【請求項2】
前記筒状部の上端縁部には、前記リフィル容器の押圧部を掛止させる切欠部が設けられ、前記リフィル容器の外周と前記収容部の内周に互いの容器嵌合手段が設けられる請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記リフィル容器の上端部は、前記容器本体と前記蓋体との嵌合状態にて、前記内筒部の内側に位置するとともに、前記天面部に当接する請求項1又は請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記カム片は、前記平坦部から前記蓋体の回転方向に向けて上方へと傾斜する傾斜部と、前記平坦部から略垂直状に形成される掛止部とを有してなり、前記容器本体と前記蓋体との嵌合状態にて、前記カム片と前記案内部との間に間隙が設けられる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
前記肩部は、前記筒状部の中心から周縁までの距離が短い箇所から長い箇所にかけて漸進的に勾配角が小さくなる第1領域と、前記第1領域の終端部から外径方向に段部を介して隆起し、前記短い箇所に対向する箇所へと向かう第2領域とを備え、前記外筒部の下端部が前記段部を介して前記第2領域に乗り上がる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、化粧品等を収容する容器に係るものであって、特に簡易開閉式の容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、容器本体と容器本体の首部に嵌合される蓋体とからなる容器であって、容器本体の首部に押圧によって蓋体を嵌合させる打ち込み式タイプの容器が公知である。例えば、嵌合状態にある蓋体を回転させることで、当該嵌合状態が解除され、首部は四辺形の各角部を切除して形成されるコーナー面とコーナー面間に存する側壁面とからなる角筒部を備え、側壁面に容器本体側の溝等が設けられており、コーナー面の基端部に段部が設けられ、蓋体を回転させることにより生じる蓋体の開口下端部が段部に乗り上がる際の力を利用して、蓋体と容器本体との脱離が補助される容器が公知である(特許文献1参照)。これにより、蓋体の嵌合状態が強固であって横向きに落下した場合であっても、蓋体が外れ難い構造としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3073939号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構造では、角筒部のコーナー面に嵌合に関する溝等が形成されていないので、嵌合状態の解除においては、蓋体を回転させて開蓋するほか、蓋体の対角線上にある角部を両側から押圧し、蓋体を変形させることによっても開蓋させることができるものであるため、嵌合状態にて角部から落下した場合には、その衝撃により蓋体が変形することで蓋体が外れてしまう虞がある。一方で、容器本体と蓋体との嵌合状態を強固にすると、落下等した場合であっても蓋体が外れ難いものとなるが、蓋体の着脱操作が困難となる虞がある。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点を解決するものであって、食品、化粧品等を収容する容器に係るものであって、容器本体と蓋体との嵌合状態が強固であり、いかなる方向から落下等した場合であっても蓋体が外れ難く、蓋体の着脱操作が容易な簡易開閉式の容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本発明の請求項1に記載の容器は、収容部を有する容器本体と、前記容器本体の首部に嵌合される蓋体と、前記収容部に着脱可能となるリフィル容器とを備える容器であって、前記首部は、上端部が前記収容部の開口となる円形状の筒状部と周縁形状が非円形状の肩部とを平坦部を介して連設し、前記平坦部上に前記筒状部の外周面から外径方向に突出する複数のカム片を設置し、前記蓋体は、前記開口を閉塞する天面部と、前記カム片に対応する案内部を有して前記天面部から垂下される円形状の内筒部と、前記内筒部の外径方向に位置する非円形状の外筒部とを備え、前記首部の外周と前記蓋体の内周に互いの嵌合手段を備えてなり、前記容器本体と前記蓋体との相対回転により、前記案内部が前記カム片の傾斜片に摺動することで前記蓋体が押し上げられて前記嵌合手段の嵌合を解除することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の容器は、請求項1に記載の容器において、前記筒状部の上端縁部には、前記リフィル容器の押圧部を掛止させる切欠部が設けられ、前記リフィル容器の外周と前記収容部の内周に互いの容器嵌合手段が設けられるものである。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載の容器は、請求項1又は請求項2に記載の容器において、前記リフィル容器の上端部は、前記容器本体と前記蓋体との嵌合状態にて、前記内筒部の内側に位置するとともに、前記天面部に当接するものである。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載の容器は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の容器において、前記カム片は、前記平坦部から前記蓋体の回転方向に向けて上方へと傾斜する傾斜部と、前記平坦部から略垂直状に形成される掛止部とを有してなり、前記容器本体と前記蓋体との嵌合状態にて、前記カム片と前記案内部との間に間隙が設けられるものである。
【0010】
また、本発明の請求項5に記載の容器は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の容器において、前記肩部は、前記筒状部の中心から周縁までの距離が短い箇所から長い箇所にかけて漸進的に勾配角が小さくなる第1領域と、前記第1領域の終端部から外径方向に段部を介して隆起し、前記短い箇所に対向する箇所へと向かう第2領域とを備え、前記外筒部の下端部が前記段部を介して前記第2領域に乗り上がるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の容器では、蓋体を容器本体に対して上方から押圧することでワンタッチで閉蓋することができ、容器本体と蓋体との相対回転により、容器本体のカム片と蓋体の案内部の上方への作用力により、嵌合状態を解除して容易に開蓋することができる。これにより、リフィル容器を備え、蓋体の着脱操作が容易な簡易開閉式の容器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例における容器の斜視図である。
図2】本発明の実施例における容器の図1のA−A断面図である。
図3】本発明の実施例における容器の図1のB−B断面図である。
図4】本発明の実施例における容器の開蓋状態の部分断面正面図である。
図5】本発明の実施例における容器の開蓋状態の部分断面側面図である。
図6】本発明の実施例における容器本体の斜視図である。
図7】本発明の実施例における容器の閉蓋状態の一部破断正面図である。
図8】本発明の実施例における容器の閉蓋状態の一部破断側面図である。
図9】本発明の実施例における容器の開蓋途中の説明図である。
図10】本発明の実施例における容器の閉蓋状態の一部破断平面図である。
図11】本発明の実施例における容器の閉蓋途中の一部破断平面図である。
図12】本発明の実施例における容器の蓋体を90度回転させた正面図である。
図13】本発明の別実施例における容器本体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態における容器を図面に基づいて説明する。当該容器は、収容部を有する容器本体と、容器本体の首部に嵌合される蓋体とを備えるものであって、蓋体を容器本体に対してワンタッチで取り付けることができ、嵌合状態から90度以内の回転操作によって、蓋体を開蓋することができるものである。当該容器において、蓋体が位置する方向を上方とし、容器本体が位置する方向を下方とする。
【実施例】
【0015】
本発明に係る容器は、図1から図3に示すように、収容部4を有する容器本体1と、容器本体1の首部5に嵌合される蓋体2から構成される。また、容器本体1の収容部4には、本体容器1に対して着脱可能となるリフィル容器3を装着することもできる。本実施例では、リフィル容器3を装着した容器について説明するが、図13に示すように、リフィル容器3を備えないものとすることができるのは勿論である。
【0016】
当該容器本体1、蓋体2及びリフィル容器3は、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂等で成形される。容器本体1のリフィル容器3には、例えばクリームやゲル、ペースト状、液体等の化粧品、食品等が収容される。
【0017】
容器本体1は、略中央部に上方が開口する有底円筒状の収容部4が設けられ、当該収容部4の外径方向には上端部が収容部4の開口となる首部5が設けられる。また、当該首部5の下端部には、下方に向けて側壁6が延設される。このとき、収容部4の底部は、側壁6の下端部から下方へ突出することがないよう形成される。
【0018】
首部5は、図4から図6に示すように、上端部が収容部4の開口となる円形状の筒状部7と、周縁形状が非円形状の肩部8と、筒状部7と肩部8とを連設する平坦部9とから構成される。具体的には、筒状部7の下端部から外径方向に向けて非円形状の平坦部9が形成され、当該平坦部9から外径方向の下方へ向けて適宜の勾配角を有して肩部8が形成される。また、肩部8の下端部から外径方向に向けて非円形状の縁部10が形成される。
【0019】
このようにして、首部5は平坦部9を境界として、上方に位置する筒状部7と、下方に位置する肩部8とに区画することができる。また、平坦部9が非円形状に形成されるとともに、肩部8が同様にして非円形状に形成されることから、側壁6も非円形状に形成されることとなる。非円形状の肩部8、平坦部9及び側壁6は、例えば、楕円状、長円等に形成されるが、これに限られるものではない。
【0020】
また、円形状の筒状部7に対して連設される平坦部9が非円形状に形成されるため、平坦部9においては、図10に示すように、筒状部7の中心から平坦部9の周縁までの距離が短く形成される短軸方向Pと、周縁までの距離が長く形成される長軸方向Qとに方向付けされる。そして、平坦部9は、短軸方向Pの幅寸法が幅狭となり、長軸方向Qの幅寸法が幅広となるよう形成される。
【0021】
また、図4から図6に示すように、平坦部9上には、筒状部7の外周面から外径方向に突出する複数のカム片11が設置される。当該カム片11は、後述する容器本体1と蓋体2との嵌合手段を解除させるために設けられる。カム片11は、例えば、略三角形状に形成され、当該嵌合を解除させ得るために平坦部9上から上方へと傾斜する傾斜部12と、平坦部9上に一致する底部13と、略垂直状に形成される掛止部14とから形成される。
【0022】
このようにして形成されるカム片11は、傾斜部12の傾斜方向を蓋体2の回転方向に向けた状態で所定の間隔を有して、平坦部9上に配設される。また、複数のカム片11の形状は、夫々を略同一形状とすることもできるし、蓋体2を装着する方向を位置決めするために、夫々の形状を異なる形状とすることもできる。
【0023】
本実施例においては、短軸方向Pと長軸方向Qの夫々対向する位置にて計4箇所に設けられ、短軸方向P、長軸方向Qの夫々対向する相互のカム片11が略同一形状となるよう形成している。
【0024】
また、肩部8は、容器本体1と蓋体2との嵌合手段を解除させる際に、蓋体2との摺動を回避する第1領域15と、当該解除させる際に、蓋体2と摺動するとともに嵌合手段が設けられる第2領域16とを有してなる。第1領域15と第2領域16は、肩部8の周面上に連続して交互に形成される。
【0025】
具体的には、図6及び図10に示すように、第1領域15は、筒状部7の中心から周縁までの距離が短い短軸方向P上であって、肩部8の上端部から下端部に至る勾配角が大きい始端部と、筒状部7の中心から周縁までの距離が長い長軸方向Q上であって、肩部8の上端部から下端部に至る勾配角が小さい終端部とを有してなり、始端部から終端部にかけて漸進的に勾配角が小さくなるよう形成される。
【0026】
第2領域16は、筒状部7の中心から周縁までの距離が長い長軸方向Q上であって、第1領域15の終端部から外径方向に段部17を介して隆起させた始端部と、筒状部7の中心から周縁までの距離が短い短軸方向P上であって、第1領域15の始端部と対向に位置する終端部とを有してなり、第1領域15とは略対称に始端部から終端部にかけて漸進的に勾配角が大きくなるよう形成される。
【0027】
ここで、首部5において、勾配角とは、肩部8の上端部と下端部とを結んでなる線と、筒状部7の中心から外径方向へ向かって延びる仮想水平線との角度を示すものであって、第1領域15及び第2領域16の外周面は必ずしも平坦である必要はなく、始端部から終端部にかけて連続する緩やかな曲面状であってもよいのは勿論である。
【0028】
このようにして肩部8を構成することで、容器本体1と蓋体2との嵌合手段を解除させる際に、後述する蓋体2の外筒部26の下端部を第1領域15に摺動させることのない状態とし、段部17を介して隆起する第2領域16にのみ摺動させる状態とすることができる。
【0029】
また、首部5には、蓋体2との嵌合手段が設けられる。当該嵌合手段は、筒状部7と蓋体2の内筒部25に形成される上方嵌合部と、肩部8と蓋体2の外筒部26に形成される下方嵌合部とから構成される。これら上方嵌合部、下方嵌合部は、容器本体1に対して蓋体2を上方から押圧することで夫々が嵌合可能となるものであって、例えば、溝状部、凹部、突条部、凸部等から適宜選択することができるし、これらを適宜組み合わせることもできる。筒状部7に形成される上方嵌合部は第1上方嵌合部18とされ、肩部8に形成される下方嵌合部は第1下方嵌合部19とされる。
【0030】
本実施例においては、第1上方嵌合部18は、筒状部7における隣接するカム片11の間隙の外周面に沿うようにして設けられる水平状の突条部とされ、第1下方嵌合部19は、肩部8における第2領域16の外周面に沿うようにして設けられる水平状の突条部とされる。また、図10に示すように、容器本体の平面視において、第1上方嵌合部18が占有する角度αを55度程度として等間隔に計4箇所形成し、第2上方嵌合部19が占有する角度βを85度程度として第2領域16に対応する計2箇所に形成される。
【0031】
また、収容部4の上端縁部、すなわち筒状部7の上端縁部には、リフィル容器3の押圧部20を掛止させるための切欠部21が適宜箇所に設けられるとともに、収容部4の内周面にはリフィル容器3の外周面と互いに嵌合する容器嵌合手段が設けられる。当該容器嵌合手段は、溝状部、凹部、突条部、凸部等から適宜選択することができるし、これらを適宜組み合わせることもできる。
【0032】
本実施例においては、図2から図6に示すように、収容部4の切欠部21は、筒状部7におけるカム片11の上方周面の2箇所に夫々対向するようにして形成されており、切欠部21における下方位置の内周面に沿うようにして水平状の溝状部22が設けられる。また、リフィル容器3の押圧部20は、切欠部21に対応するようにして夫々設けられ、押圧部20における下方位置の外周面に沿うようにして水平状の突条部23が設けられる。
【0033】
蓋体2は、容器本体1におけるリフィル容器3又は収容部4の開口を閉塞する天面部24が設けられ、当該天面部24から首部5の筒状部7に被さる内筒部25と、内筒部25の外径方向に位置して、肩部8に被さる外筒部26が夫々下方に向けて垂下される。また、内筒部25の内径方向には、リフィル容器3又は収容部4における内周面の上端部に位置し、内周面に当接することで収容物の漏れを防止する環状突部27が設けられる。
【0034】
内筒部25は、首部5の筒状部7に外嵌するよう円形状に形成されるとともに、内筒部25の下端部には、カム片11に対応するよう案内部28が設けられる。当該案内部28は、カム片11の外形より僅かに大きい略同形状に形成されるものであって、例えば、略三角形状に形成され、周縁から上方へと傾斜する傾斜部29と、当該周縁から略垂直状に形成される掛止部30とから形成される。
【0035】
これにより、図7及び図8に示すように、本体容器1と蓋体2との嵌合状態において、カム片11と案内部28との間に微小な間隙tを設けることができる。すなわち、当該間隙tによって、蓋体2の回転又は逆回転方向に対して微小な遊びを形成することができる。また、本体容器1に対して蓋体2を逆回転させると、案内部28の掛止部30がカム片11の掛止部14に当接することで、当該回転方向への動きを規制することができる。
【0036】
外筒部26は、図10に示すように、首部5の肩部8に外嵌するよう非円形状に形成される。すなわち、肩部8に対応する短軸方向Pと長軸方向Qとを有して形成され、容器本体1と蓋体2との嵌合状態にて、図2及び図3に示すように、外筒部26の下端部が容器本体1の縁部10の上方に位置され、容器本体1の首部5を閉塞するよう位置設定される。
【0037】
また、内筒部25及び外筒部26には、容器本体1に嵌合させる際の上述の嵌合手段が設けられる。蓋体2の嵌合手段は、容器本体1の嵌合手段と同様にして、例えば、溝状部、凹部、突条部、凸部等から適宜選択することができるし、これらを適宜組み合わせることもできる。内筒部25の内周面に形成される上方嵌合部は、筒状部7の第1上方嵌合部18に対応する第2上方嵌合部31とされ、外筒部26の内周面に形成される下方嵌合部は、肩部8の第1下方嵌合部19に対応する第2下方嵌合部32とされる。
【0038】
本実施例においては、第2上方嵌合部31は、内筒部25における隣接する案内部28の間隙の内周面に沿うようにして設けられる水平状の溝状部とされ、第2下方嵌合部32は、肩部8における第2領域16の位置に対応するようにして設けられる水平状の溝状部とされる。当該第2上方嵌合部31と第2下方嵌合部32は溝状に形成されることから、第1上方嵌合部18と第1下方嵌合部19が占有する角度より大きく形成されていればよく、特に制限されるものではない。
【0039】
また、容器本体1と蓋体2との嵌合状態にて、図2及び図3に示すように、平坦部9の上方には蓋体2における内筒部25の下端部が位置し、縁部10の上方には蓋体2における外筒部26の下端部が位置した状態となるよう設定されており、開蓋時における摺動抵抗を低減するため、夫々の上下方向には微小な間隙が形成される。
【0040】
また、容器本体1と蓋体2との嵌合状態において、所定以上の回転力が付与されることで当該嵌合が解除され得るように、容器本体1と蓋体2に回り止めとなる補助嵌合手段を設けることもできる。補助嵌合手段は、例えば、嵌合手段と同様にして、例えば、溝状部、凹部、突条部、凸部等から適宜選択することができるし、これらを適宜組み合わせることもできる。
【0041】
本実施例においては、補助嵌合手段は、図4及び図5に示すように、容器本体1における肩部8の第1領域15の外周面に形成される凸部33と、蓋体2における外筒部26の隣接する第2上方嵌合部32の間隙の内周面に形成される凹部34とから構成される。
【0042】
このようにして構成される容器は、蓋体2を容器本体1に対して押圧させることで閉塞させることができる。具体的には、図7及び図8に示すように、容器本体1と蓋体2との短軸方向P及び長軸方向Qを合致させた状態で、蓋体2を容器本体1の首部5に被せて上方から押圧する。当該押圧力により、蓋体2の内筒部25及び外筒部26の夫々の下端部が第1上方嵌合部18及び第1下方嵌合部19に当接することで、外径方向に弾性変形し拡径する。そして、両者の下端部が夫々の嵌合部を乗り越え、内径方向に復元することで第1上方嵌合部18及び第1下方嵌合部19に嵌合する。そして、容器本体1と蓋体2の嵌合状態は、蓋体2の復元力により維持される。
【0043】
当該状態においては、図2及び図3に示すように、環状突部27がリフィル容器3の内周面に当接するとともに、リフィル容器3の上端部を環状突部27と内筒部25との間に配置した状態、且つ、当該上端部の上面が天面部24に当接した状態となる。すなわち、リフィル容器3に対して、その内周面にて環状突部27が当接するとともに、その上面にて天面部24が当接することで、開口を密閉することができるとともに、収容物の漏れを二重に防止することができる。
【0044】
また、当該嵌合状態においては、図7及び図8に示すように、容器本体1のカム片11と蓋体2の案内部28との間に微小な間隙tが形成されるため、この間隙tを利用して蓋体2を回転させる際の付勢力とすることができる。更に、本体容器1に対して蓋体2を逆回転させると、案内部28の掛止部30がカム片11の掛止部14に当接するため、一方向のみの回転を許容する構成となる。
【0045】
また、当該嵌合状態を解除する場合には、蓋体2を容器本体1に対して反時計回りに回転させることで開蓋することができる。具体的には、図9及び図11に示すように、蓋体2を回転させると、容器本体1と蓋体2との相対回転により、蓋体2における案内部28の傾斜部29が容器本体1におけるカム片11の傾斜部12に沿って摺動して上方への力が作用するとともに、回転軌跡の相違により外筒部26を肩部8によって弾性変形させることで、蓋体2が次第に上方へと押し上げられ、上方嵌合部及び下方嵌合部の両者の嵌合状態が解除される。
【0046】
また、蓋体2における外筒部26の周縁までの距離が短い短軸方向Pの箇所が回転軌跡中に段部17を介して形成される第2領域16に乗り上がることで、蓋体2が更に上方へと押し上げられる。より詳細には、外筒部26の下端部が肩部8の第1領域15に摺動することなく、第2領域16のみに摺動した状態で上方へと押し上げられる。これにより、開蓋時における摺動抵抗を低減することができ、操作性を向上することができる。
【0047】
更に、嵌合状態から蓋体2が90度回転した状態においては、図12に示すように、外筒部26が非円形状に形成されることから、外筒部26における短軸方向Pの下端部が第1領域15の終端部近傍の平坦部9上に載置される。換言すると、外筒部26における短軸方向Pの下端部は平坦部9における長軸方向Qの上面に位置し、容器本体1に対して蓋体2が最も押し上げられた状態となる。当該状態においては、蓋体2の内筒部25が首部5における筒状部7の外径方向に位置し、蓋体2が平坦部9上に安定して載置されることから、簡易的に閉塞した状態とすることができる。
【0048】
以上、説明した本発明に係る容器によれば、嵌合手段となる上方嵌合部が筒状部7と内筒部25の周状に設けられ、下方嵌合部が肩部8の第2領域16と対応する外筒部26に設けられることで上下の二箇所で嵌合するとともに、第2領域16の略全域に第1下方嵌合部19を設けることから、容器本体1と蓋体2との嵌合状態が強固であり、斜め方向に落下した場合を含む、いかなる方向から落下等した場合であっても蓋体2が外れ難いものとなる。
【0049】
また、蓋体2を容器本体1に対して上方から押圧することでワンタッチで閉蓋することができ、容器本体1と蓋体2との相対回転により、容器本体1のカム片11と蓋体2の案内部28の上方への作用力と、両者の回転軌跡の相違及び外筒部26の下端部の第2領域16への乗り上げを利用して、嵌合状態を解除して容易に開蓋することができる。これにより、蓋体2の着脱操作が容易な簡易開閉式の容器とすることができる。
【0050】
更に、環状突部27がリフィル容器3の内周面に当接するとともに、内筒部25及び外筒部26により嵌合部が二重構造となっているため、密閉性に優れたものとなる。
【0051】
当該発明は、上述の実施形態の構成に限定されるものではなく、形状、寸法、材質等を適宜変更して実施することが可能である。また、一部構成を省略することができるし、一部抽出した構成とすることができるのは勿論である。
【0052】
例えば、上方嵌合部及び下方嵌合部の長さ、突出高さ等は相互に嵌合可能であって、相対回転によるカム片11の作用で嵌合状態が解除され得るような形状、寸法等であればよい趣旨である。
【0053】
また、嵌合手段においては、首部5の上方と下方の二箇所に設置されるものであったが、嵌合部の形状等により強固に嵌合されるものであれば、上方嵌合部又は下方嵌合部のいずれか一方のみを採用することもできる。更に、平坦部9においては、非円形状に形成されるものであったが、円形状とすることができるのは勿論である。
【0054】
また、リフィル容器3を設けない場合においては、容器本体1と蓋体2との嵌合状態において、蓋体2の環状突部27が収容部4の内周面に当接するとともに、収容部4の上端部を環状突部27と内筒部25との間に配置した状態、且つ、当該上端部の上面が天面部24に当接した状態となる。
【符号の説明】
【0055】
1 容器本体
2 蓋体
4 収容部
5 首部
7 筒状部
8 肩部
9 平坦部
11 カム片
12 傾斜片
15 第1領域
16 第2領域
17 段部
18 第1上方嵌合部
19 第1下方嵌合部
24 天面部
25 内筒部
26 外筒部
28 案内部
31 第2上方嵌合部
32 第2下方嵌合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13