【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インクジェット(IJ)方式の大型捺染装置が本格的な捺染の生産機として使われており、さらに小型化を目的とした製品も発売されている。被印刷布のサイズをA3サイズないしはそれに近いサイズ以下に限定したIJ方式プリンタである。プリンタの大きさは小さいもので例えば略1m掛け1mの床面積で重量は80Kgから110Kg程度である。これにヒートプレス機も加わり、扱いに習熟した専任オペレータにより取り扱われている。しかし現実的には、これでは小型装置とは言えない。価格も100万円を大きく上回っている。そこでこれを便宜的に「中型捺染装置」と呼称することにする。これまでの説明図において6Msと表記してきたものである。この中型捺染装置は、大型のプリントショップ店やネットプリントサービス拠点での使用としてはそれなりの価値があるのであろう。
【0008】
大昔から人々に様々な楽しみを与えてくれる捺染という素晴らしい技術、ここで改めて想いを深めていくとき、街角の衣料店、文房具店、写真館、土産物屋などでの店頭捺染印刷サービスの潜在的なニーズは、きわめて大きいのではないかと思えてくるのである。あるいは幼稚園や学校、地域のサークル活動さらには老人ホームなどに供し得る捺染装置があれば、と、想像すると楽しくなるではないか。しかしこれまでこのようなことができる捺染装置や方法は皆無であった。上述の従来技術にたいして新たな想いを持って考究していくと、このような店頭や幼稚園における捺染装置と方法実現に対する課題が絞り出されてくる。それは(1)置き場所を取らない(設置専有床面積が小)パーソナルプリンタ並みの小型サイズであること、(2)従来のような専任オペレータによる作業ではなく、普通の誰でもが操作できる扱い易さが必須であること、(3)加えて当然のことであるが普通の人が扱っても全く問題ない安全性が担保できていること、これらの3点である。
【0009】
上記課題の中で(1)に関しては、特許文献2:特開2016-113718号公報に解が提案されている。ここでは印刷装置の小型化の機構的な解を考案し、加えて印刷サイズ・布帛の種類・色を限定してでも小型化を具現化させる、という考え方である。ここで提案されている装置を「小型捺染装置」と呼称することにし、これから続く説明図では6Ssと表記する。さらに同特許文献は『特定の印刷サイズ・布帛の種類・色への限定をすることで実現できる小型捺染装置と、これでは出来ないその他の印刷サイズ・布帛の種類・色への捺染を賄う汎用捺染装置との組み合わせ方式で全需要に応える』という方式を考案している。本発明提案も印刷装置の小型化に関してはこの考え方を採用する。そのうえでさらに使用する全装置の設置床面積をパーソナルプリンタ並みの小ささにすることを目的とする。加えてこれまで手付かずであった課題すなわち上記課題の(2)と(3)に対する解決手段を提供する、これら3点が本発明提案の目的である。
【0010】
先ず課題(2)の扱いやすさについて詳述する。段落3,4,5において
図1〜5を用いて従来の中型捺染装置の捺染手順を説明した。ここでのポイントは、扱う対象が紙などとは異なり柔軟で形の定まらない布帛である、という点である。一連の捺染作業の中で何度もこの布帛に触ったり移動させたりセットしたりする。セットの度ごとに印刷面がシワにならないように、ゆがまないように注意しながら整えていかねばならない。特に印刷を終えた布帛には触れないように細心の注意を払わねばならない。印刷した画像が乱れたり触れたものが汚れたりするからである。ここに専任オペレータを必要とする理由の一つがある。
【0011】
特許文献3の
図7,8に吊り下げ部を有する布帛の巧妙な扱い方の事例が見られる。これを本発明の説明
図6に示す。布帛を番号9枠要素で固定して布帛を取り扱うという工夫である。さらに番号10吊り下げ部があり、ここを持って布帛の場所移し替えを行う。図(F6−1)が特段の工夫のない扱い方を模した図であり、図(F6−2)が特許文献3の工夫である。これによって布帛の印刷面には触れないで済む。しかしながらそれでも、布帛の装置へのセットではその都度位置合わせを行い、枠要素9からはみ出した布11を折り畳んだりせねばならない。取り扱いの簡便さは不徹底である。
【0012】
課題(3):ヒートプレス機の加熱板表面は綿布を扱う場合は約160度の高温である。やけどの危険があり絶対に触れてはならない。従来のヒートプレス機は熱板がむき出しであり危険である。このヒートプレス機に代わる安全で要求機能を満たす新規な加熱装置が求められるのである。順番が前後したが、課題(1)に関しては捺染プリンタの小型化だけでは不十分である。従来はプリンタとヒートプレス機の2つの装置が合わさって設置床面積となっていた。両者を一台に収めて自動的にプリントと前処理・後処理を行えば1台分の大きさで済むが、その大きさは巨大なものになってしまうので、ナンセンスであり、解とはならない。本発明は、このような従来の捺染方法が有していた3点の課題(1)と(2)と(3)を解決し、店頭に置ける捺染装置類の設置専有床面積の最小化に加えて、誰もが扱える簡便性と安全性を担保した捺染用加熱装置を主とした装置類と捺染方法を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
課題解決手段1は、カセット上面に載置された布帛に対して加熱処理を行う捺染用加熱装置であって、カセットは箱状容器とその上面に配置された平板から成り、捺染用加熱装置は
少なくとも加熱板
とこれを内蔵する全面を外装で覆われた本体と、本体に設けられたカセットを挿入・脱着するための挿入口と、挿入されたカセットの上面に載置された布帛に対する捺染前工程である加圧加熱処理と捺染後工程である非接触加熱処理を単一の加熱板で行う加熱板位置切り替え機構とを具備することを特徴とする捺染用加熱装置である。
【0014】
課題解決手段2は、捺染プリンタと捺染用加熱装置と
箱状容器とその上面に配置された平板から成る布帛載置用カセットを用いる捺染方法であって、先ず布帛をカセットの平板上に載置し平板からはみ出した布帛をカセット内に畳み込んで格納し、次いでこの布帛を載置したカセットを捺染用加熱装置に挿入し捺染前処理として加圧加熱処理を行い、次いで布帛を載置したカセットを捺染プリンタに装填し布帛に印刷を施し、さらに印刷を終えた布帛を載置したカセットを捺染用加熱装置に挿入し捺染後処理として非接触加熱処理を行うことを特徴とする捺染方法である。
【0015】
課題解決手段3は、捺染の前処理工程と後処理工程を1台で担う課題解決手段1記載の捺染用加熱装置と、小型化された捺染プリンタとを、上下に重ねて配置することによって装置類の総設置専有床面積の最小化を図ることを特徴とする捺染装置である。
【0016】
その他の課題解決手段(A)は、捺染前処理装置として課題解決手段1記載の捺染用加熱装置を用い、加熱板を100℃〜180℃の範囲のいずれかの設定温度とし、布帛への加圧力を600パスカルから30パスカルの範囲のいずれかとし、もって布帛への加圧加熱を行うことを特徴とする捺染前処理方法である。
【0017】
さらにその他の課題解決手段(B)は、捺染後処理装置として課題解決手段1記載の捺染用加熱装置を用い、加熱板と布帛との近接距離を1〜5mmの範囲のいずれかの距離とし、加熱板表面温度を170℃〜200℃の範囲のいずれかの温度条件とし、もって布帛への非接触加熱を行うことを特徴とする捺染後処理方法である。
【0018】
課題解決手段1による作用は次のとおりである。参考になる捺染用加熱装置はいわゆるトースターである。特許文献4の
図1のコピーを本願の
図7の番号12として載せた。その断面を模式的に示したのが
図7の(F7−1)と(F7−2)である。番号13はトースターの筐体であり、ヒータ14はこの筐体13の中に納まっており、ユーザーが触れることは無い。ユーザーは図(F7−1)のようにトースターの扉15を開き、スライドして出てきた置き網16の上に食パンなどの被加熱物Bを乗せる。次いで図(F7−2)のように扉15を閉じ加熱する。
【0019】
本発明の捺染用加熱装置17の横断面図を
図8に示す。この捺染用加熱装置17の本体は全面外装で覆われており、使用者には内部に配置されている加熱板20には触れることができないようになっている。使用に際しては、カセット挿入口18を塞いでいる捺染用加熱装置の扉19を開き、後述する布帛5を上面に載置したカセット23を挿入する。図(F8−1)である。捺染用加熱装置の中には断熱基盤21に裏打ちされた加熱板20が上部の離れた位置に待機している。図(F8−2)はカセット23が挿入し終わり、加熱板が待機中の図である。
【0020】
この状態をカセット挿入口側から見た正面断面図が図(F8−3)ある。カセットに近接した両側の挿入口側に一対の偏心カム22(本図ではその長径側が上方位置である22−2として示してある)が設けられている。同様の偏心カム対が反対の奥側にも設けられている。この偏心カムの働きを
図9の横断面図にて説明する。偏心カムは、具体的には後述する加熱板の上下移動機構により、下降してきた断熱基盤21の端部を受け止めるような位置に置かれている。
図9の(F9−1)は偏心カムの短径側が上方になるセット位置を示している。この偏心カム22−1の最高点は装填されているカセット23の上の布帛5の位置よりは低く設定されているので、加熱板は直接布帛を加圧する。圧力は加熱板と断熱基盤とこれらの外装の合わさった自重(必要なら重しを加えてもよい)で賄ってもよいし、積極的に加圧機構を設けて加圧してもよい。
【0021】
この加圧加熱方式における具体的な設計条件として、その他の課題解決手段(A)を示した。これは、捺染前処理装置として課題解決手段1記載の捺染用加熱装置を用い、加熱板を100℃〜180℃の範囲のいずれかの設定温度とし、布帛への加圧力を600パスカルから30パスカルの範囲のいずれかとし、もって布帛への加圧加熱を行うというものである。最も弱い条件である100℃で30パスカルでは、布帛の厚さや皺の強さにもよるが、加熱時間は略60秒で皺伸ばしができた。強い条件である180℃600パスカルでは略10秒で皺伸ばしができた。
【0022】
一方、
図9の(F9−2)は偏心カムの中径側が上になるセット位置を示しており22−3で示している。その最高点は装填されているカセット23の上の布帛5の位置よりはわずかに高く設定されているので、加熱板は布帛表面から少し離れた高さで偏心カムにより下降を妨げられている。すなわち、布帛5への加熱は非接触加熱となるのである。図中Gでもってこの近接距離(ギャップ)を表現している。捺染の前処理の皺のばしには加熱と加圧が要るので(F9−1)の加圧加熱設定が選択される。捺染の後処理の加熱定着では同様の加圧加熱は効率が良いが次に述べる弱点があり、(F9−2)の非接触加熱を高さ位置切り替え機構を用いて選択する、これが本発明の工夫の一つである。
【0023】
加熱定着における非接触加熱の目的と作用を説明する。印刷された布帛表面に加熱板20を加圧加熱すなわち接触させると印刷インクによる加熱板表面の汚れが発生することは避けられない。従来のヒートプレス機では熱圧板3はオープンであり、作業者は高温物体に触れることへの対処、例えば手袋をはめ厚い清掃布や特殊な清掃具を使う、などをして熱圧板3の表面を清掃することができる。普通の人にはそれでも危険なので許されないが、習熟した専任オペレータならば許されるであろう。しかし本発明の捺染用加熱装置17では普通の人が使えるように安全性確保が前提条件であり、そのために加熱板20は筐体内の奥まった上部に待機しており人は触れることができない構造としてある。止む無く自動清掃が必要である。これはかなり厄介な設計事項である。この加熱板表面汚れが加圧加熱によるインク定着方法の大きな弱点である。
【0024】
インクの布帛へ染着(染料インクの定着)は綿布系では基本的には加熱法であるが、加圧加熱は加熱板20からの熱伝導を早めるために多用されている。ここで加熱は必須であるが加圧は必須ではない点に着目した。皺伸ばしと同じ捺染用加熱装置を使い非接触加熱定着方法を考案した。これにより加熱板20の使用者による清掃や自動清掃装置が不必要となったのである。
【0025】
この非接触加熱方式における具体的な設計条件として、その他の課題解決手段(B)を示した。これは捺染後処理装置として課題解決手段1記載の捺染用加熱装置を用い、加熱板と布帛との近接距離を1〜5mmの範囲のいずれかの距離とし、加熱板表面温度を170℃〜200℃の範囲のいずれかの温度条件とし、もって布帛への非接触加熱を行う捺染後処理方法である。近接距離を小さく設定するならば必ずしも温度設定を高温にする要は無く、逆に5mm近くまで離すなら高温設定と加熱時間長時間化が必要である。加熱時間は近距離高温設定でも30秒以上は必要とし、例えば1.5mmの近接距離で175℃くらいの中心的な設定では2〜3分で定着が達成できる。この距離で200℃近い高温設定であれば、1分くらいの短時間での定着ができ、逆に5mmギャップ設定では200℃設定でも数分の時間を要する。
【0026】
課題解決手段2による作用は次のとおりである。本発明のカセット23の原型である特許文献2で提案されているカセットを
図10の(F10−1)に示す。24Fが磁性体プラテンであり、基本的には磁性体(例えばステンレス)基板とその上のクッション性断熱材層で構成されている。このkセットの原型の基本要素のみで構成したカセット23の断面図を(F10−2)に示す。プラテンは磁性体に限らず普遍的な材質とし剛性の保てる厚さの平板とする。改めてこの平板をプラテン24と呼称する。これがカセット23に設けられたプラテン支柱23Pによって支えられている。布帛の留め方もマグネット使用に限定しないとした。後述するいくつかの布帛留め方法の採用を前提にしており、結果カセットは特許文献2の原型モデルより少しだけ大きくなるが、プリンタの小型化を目する基本コンセプトから逸脱するほどのものではないと考えた。
【0027】
図11にカセット23への布帛5の載置(セット)方法を示す。(F11−1)が上方にプラテン24を有するカセット23である。先ず(F11−2)で図示するようにプラテン24に布帛5を載せ、記号Aで示すように布帛5のプラテン上の載置位置(上下左右)を所望の場所に歪みを起こさないようの注意しながら整えていく。加えて記号Sで示すように布帛を置いたときに生じた皺をそっと伸ばす。次いで、磁性を使ったり枠体を使ったりして布帛をプラテンに押し付けてセットする。そして(F11−3)で示すようにプラテンからはみ出した布帛を記号Tで示すようにカセット23の内側に畳み込む。(F11−4)がカセットへの布帛セット完了図である。使用者の布帛の扱いはこの時の一回のみである。後はすべて剛体であるカセットの取り扱いとなる。
【0028】
このカセットのプリンタ内での動きを説明する。
図12の(F12−1)に小型インクジェット捺染プリンタ6Ssの横断面図を示す。26がプリンタ6Ssのカセット挿入口の扉である。番号27はカセット23を載せてこれをプリンタ内に出し入れするカセット台であり28はそのカセット搬送系である。プリンタ内の重要機能装置は番号29のプリントヘッドユニットと補充用インクタンク30である。廃インクタンク等は省略してある。(F12−2)は、カセット23がプリンタ6Ssの奥まで引き込まれこれからプリントを開始しようとしている図である。
【0029】
このように扱う対象を“布”ではなく“剛体”とした“カセット”の作用を説明する。代表的な捺染用布種である綿布の場合、その前処理および後処理を担う課題解決手段1の捺染用加熱装置とカセットの組み合わされた装置は、従来に無い簡便性と安全性をもたらしてくれる。これを
図13〜15に示す。先ず印刷前処理として、
図13の“Heat Fixing”と記した捺染用加熱装置本体17の扉19を開き、カセット23をセットする(F13−1)。カセット23は捺染用加熱装置17に挿入され(F13−2)加圧加熱され皴のばしが行われ、終われば装置から脱着される(F13−3)。次いでカセット23を手に持ち、
図14の“Printer”と記した捺染プリンタ6Ssに装填し(F14−1)、プリントを行う。プリンタから送出されたカセット23(F14−2)を取り出し、布帛ではなくカセットを手に持ち、
図15に示すように再び捺染用加熱装置本体17に挿入する。後処理の加圧加熱定着であり、終わればカセットは装置外に脱着される。この最終工程までユーザーは一度も布帛には触れていない。また各装置へのセットにおいても、単にカセットを所定の場所に置き挿入し終われば脱着するだけである。従来のようにその都度布帛の位置を調整しゆがみを直し、何度も皺を伸ばすなどの布帛操作は一切不要である。
【0030】
布帛取り扱いの概略所要時間を処理工程ごとに試算する。従来法では、
図1の前処理のためのヒートプレス機1への布帛セッティングには、普通には約30秒かかるとする。
図2、3のプリンタへの布帛セッティングには、普通には約60秒かかるとする。特許文献3のように他所でプラテン(キャリッジとも呼称されている文献もある)に載置し枠体で留め、はみ出し部をプラテン下部に畳み込む事前セッティング方式としてもその時間は同程度である。続く
図4,5の後処理工程でも約60秒かかるとする。これの加熱板の清掃約30秒を加えるとする。合計180秒である。一方本発明のカセット使いまわし方式では、
図11に示すようにカセットへの布帛のセッティングはプリンタとは別の場初で行うが、上記のプリンタのプラテンへのセッティング方式と同様な時間が先ず必要である。約60秒。その後は前処理工程(
図13)もプリンタへの装填(
図14)も後処理工程(
図15)も布帛取り扱いには全く時間はかからない。ただし後処理工程の時間は加圧加熱の従来法に比し略60秒は余分に要る。これを加味して都合120秒である。さらに、本発明を構成する加熱板はヒートプレス機と異なり捺染用加熱装置本体に匿われており、オープンではない。そのため各加熱工程後の使用者が触れるまでの冷まし時間はオープンなヒートプレス機よりは長めである。約30秒が2回である。合わせて180秒であり、ヒートプレス機方式と同程度である。この時間比較は必ずしも精緻なものではない。分かりやすく説明するために例示したものであり実際は習熟度などで一概には言えない。しかし従来法に比しカセット法が有意に長くなるということは無いと考えられる。
【0031】
課題解決手段3による作用は次のとおりである。先ず捺染用加熱装置17の大きさは、使用目的を皺伸ばしと染着に限定したことにより一般の多用途対応のヒートプレス機に比し機構が単純になり軽量小型となる。さらに扱う対象のサイズを限定したことにより小型化がさらに図られている。例えばA4サイズ(21cmx29.7cm)への加熱であれば、大きくとも幅35cm以下、奥行45cm以下に設計可能である。超小型ヒートプレス機の例えば40cmx50cmより小サイズである。加圧力も皺伸ばしだけであるので、従来の多目的に設計されたヒートプレス機よりも低く、そのために装置の重量は10Kg以下にできる。ヒートプレス機は極めて丈夫に作られており少なくとも20Kgは超える。このように捺染用加熱装置17は従来のヒートプレス機に比しきわめて小型軽量の装置とすることができた。
【0032】
本案の小型捺染プリンタ6Ssの床面積は、先ず横幅であるが
図14の(F14−1)にWとして示す。扱う対象のサイズをA4とすると、このWは、カセット23の幅をA4サイズの短辺幅21cm+両側に2cmづつ広く都合25cm、これにプリントヘッドのホームポジション(HP)幅(4色で1cmx4+保持枠幅2cm=)6cmと、HP反対側は(HP幅6cm‐2cm=)4cmを加え、さらに外装との間隔を2cmx2=4cmとすると、これらを加えて39cmである。ここで「HP反対側は(HP幅6cm‐2cm=)4cm」の意味は以下である。HP反対側のプリントヘッドの位置は印刷域さえ超えれば良いので、カセット幅の「高々片側2cm」のうちHP反対側は計算に入れなくてよい。(HP側はHP下の回復系(図示は省略)とカセットが干渉するのでオーバーラップさせてはならない)。次に捺染プリンタ6SsAの奥行は
図14の(F14−1)のDであるが、カセット23の長さ(29.7cm+高々片側+2cm≒)34cmにプリントヘッドの奥行長略10cmと外装までの間隔2cmx2=4cmを加えて50cm以下である。他の付加的な機能を加えることがあっても高々60cmである。
【0033】
従来の捺染装置では中型捺染プリンタ6Msと小さくはなくかつ重いヒートプレス機は並べて使うしかなかったのであるが、本案では小型捺染プリンタ6Ssだけでなく捺染用加熱装置17も小型軽量である点に着目し、両者を
図20に示すように上下に配置したのである。この配置とした捺染装置は捺染プリンタ6Ssのサイズである幅略40cm、奥行略60cm程度である。これなら街の衣料店に設置することができる。この上下置き配置は可能となったのは、新規で極めて合目的な捺染用加熱装置が得られこれを組み合わせたからのことである。