【実施例1】
【0031】
実施例1では、ガス切断器100に安全に点火させることのできる点火装置1を、
図1から
図5を参照して説明する。
図1は、点火装置1の使用状態を説明する説明図を示している。
図2は点火装置1の構成を説明する説明図を示している。
図3は、点火装置1の内部構造を説明する説明図を示している。
図4は、火花発生手段40の動作を説明する説明図を示している。
図5は、装着手段80を説明する説明図を示している。
【0032】
まず、点火装置1の構造を、
図2から
図3を参照して説明する。
図2(A)図は、先方側軸体20と後方側軸体30を屈曲させる前の状態の正面図を示し、
図2(B)図は、屈曲させた後の状態を示している。
図2(C)図は、点火装置1の背面図を示している。
図3(A)図は、点火装置1の内部構造を正面図で示し、
図3(B)図は、
図3(A)図のA−A位置における先方側軸体20の断面図を示している。
【0033】
点火装置1は、点火手段10と装着手段80(
図2(C)図,
図5参照)とを含んでいる。点火手段10には、屈曲可能に連結された先方側軸体20と後方側軸体30と、先方側軸体の火花発生部60にて火花を発生させる火花発生手段40(
図3参照)と、トリガー70とが備えられる。
【0034】
先方側軸体20は、中空の軸体とされており、火花発生部60と、火花発生手段40をなす先方側連結軸体41が格納されている(
図3(A)図参照)。先方側軸体20の後方下側には、後方側軸体30と屈曲可能に連結させる第1の屈曲軸21が備えられる(
図2(A)図参照)。先方側軸体20の後方上側には、先方側軸体20が屈曲される角度を規制させる規制手段22が備えられている。規制手段22は、湾曲された一対の長穴23と、それに挿通される軸24から構成されている。これにより、先方側軸体20と後方側軸体30とが第1の屈曲軸21を基軸として、下方に屈曲可能とされる。
【0035】
先方側連結軸体41は、後端部が後方側軸体51と屈曲可能に連結される第2の屈曲軸42を備えている(
図3(A)図参照)。第2の屈曲軸42と第1の屈曲軸21とが異なった位置とされているため、先方側軸体20と後方側軸体30が屈曲された状態であっても、後方側連結軸体51のスライド動作が先方側連結軸体41に伝達可能とされる。先方側連結軸体41は、先端部に後述する摩擦手段の歯車部分62と係合される平歯部43を備えている(
図4参照)。また、上方に突出した凸部44を備えており、後方側連結軸体51のスライド動作が伝達された際に、凸部44がストッパー軸25に接した位置が先方側連結軸体41の停止位置とされる(
図4(C)図参照)。
【0036】
先方側軸体20の先端には、火花発生部60が備えられている(
図3参照)。火花発生部60は、摩擦手段61と点火石64とされている。点火石64は、点火石保持具65に保持されて、摩擦手段61と接する。点火石保持具65は、後方側が先方側連結軸体のストッパー軸31に係止されており、先方側がU字状に折り返されており、U字形状とされた空間に点火石64が嵌められ、上方から押圧片66を介して押圧用のバネ67により、摩擦手段61に押し付けられている。
【0037】
摩擦手段61は、歯車部分62とヤスリ部分63とが一体にされてなり、軸動可能とされている(
図3(B)図参照)。先方側連結軸体41の先端の平歯部43は、歯車部分62のみと噛み合わされ、歯車部分を一方向にのみ軸動させる。歯車部分62と一体とされたヤスリ部分63のみが点火石64と接している。先方側連結軸体41が後方にスライドされてから、先方側連結軸体が後述するコイルバネ52の弾発作用により、前方に押し出されることにより、歯車部分62が軸動され、それに伴いヤスリ部分63も軸動し、ヤスリ部分が点火石64と擦れ合って火花が発生される(
図4(C)図参照)。
【0038】
後方側軸体30も、中空の軸体とされており、火花発生手段40をなす後方側連結軸体51が格納されている(
図3(A)図参照)。また、後方側軸体30の後部にはトリガー70が備えられている。また、トリガー70と後方側連結軸体51との間には、後方側連結軸体を弾発作用により前方に押し出させるコイルバネ52が装着されている。
【0039】
後方側連結軸体51は、中間位置に上方に突出した凸部53を備えており、後方側連結軸体51が押し出されて停止される位置が、凸部53がストッパー軸31に接した位置とされる(
図4(C)図参照)。また、後方側連結軸体51には、後述する操作軸73に引っ掛かる二段に形成された凹部54が備えられている(
図3(A)図,
図4(A)図参照)。
【0040】
トリガー70は、下方が細幅の指掛け部71とされ、上方が左右後方に折り返された折曲部72とされている。折曲部72の間には、折曲部に挟まれるようにして後方側連結軸体51が挿通されている。折曲部72の上端部は、トリガー軸32により後方側軸体30に回動自在に軸支され、折曲部72の後方にはコイルバネ52が係止されている。トリガー軸32の下方の折曲部72には、折曲部を貫通するように操作軸73が備えられ、後方側連結軸体51の前記凹部54に引っ掛けられる。
【0041】
次に、火花発生手段40をなす先方側連結軸体41と後方側連結軸体51のスライド動作について、
図4を参照して説明する。
図4の各々の図では、各々の連結軸体の動作の理解を容易にするために、トリガーを一点鎖線で示し、後方側連結軸体51を実線で示している。同様に、火花発生部60について先方側連結軸体41に噛み合わされる歯車部分62のみを示している。
【0042】
図4(A)図は、トリガー70の操作前の状態を示し、
図4(B)図は、トリガー70が後方に引っ張られた状態を示している。
図4(C)図は、後方側連結軸体51が前方に押し出された状態を示している。トリガー70が後方に引かれる前においては、トリガーに備えられた操作軸73が後方側連結軸体51の凹部の下方段部55に引っ掛かった状態とされ、コイルバネ52が縮んだ状態となっている(
図4(A)図参照)。
【0043】
トリガー70が後方に引かれた状態を、
図4(B)図を参照して説明する。トリガー70が後方に引かれると、凹部の下方段部55に引っ掛かった操作軸73の移動により後方側連結軸体51が後方に移動され、コイルバネ52が伸張される(矢印A参照)と共に、後方側連結軸体51が後方に引き込まれる(矢印B参照)。それに連動して先方側連結軸体41も後方に引き込まれる(矢印C参照)。
【0044】
更にトリガー70が後方に引かれて、操作軸73が凹部の下方段部55から外れた状態を、
図4(C)図を参照して説明する。更にトリガー70が後方に引かれると、操作軸73が凹部の下方段部55から外れ、上方段部56の位置となる。そうすると、伸張されていたコイルバネ52が弾発力により収縮され(矢印D参照)、後方側連結軸体51が後方側軸体30に沿って先方にスライドされる(矢印E参照)。
【0045】
そして、後方側連結軸体51のスライド動作が先方側連結軸体41を介して(矢印F参照)、火花発生部をなす歯車部分62を軸動させて(矢印G参照)、ヤスリ部分63と点火石64を擦り合わせて、火花が発生される(
図3参照)。トリガー70を前方に移動させると、操作軸73は凹部の下方段部55に引っ掛かった状態に戻る(
図4(A)図参照)。
【0046】
次に、装着手段80の構成を
図2(C)図及び
図5を参照して説明する。
図5の各々の図では、点火装置1の内部構造については記載を省略している。
図5(A)図は、点火装置1を装着させたガス切断器100の背面図を示している。
図5(B)図は、
図5(A)図のA−A位置断面図を示し、
図5(C)図は、ガス供給管の径が異なる例を示している。
【0047】
装着手段80は、二対の抱持帯81,82とされる。各々の抱持帯は、ガス供給管101の連結部をなす六角ナット103を挟んだ前方と後方を抱持させるように装着される。後方側に配された抱持帯82は、ガス供給管の径が太い基端側を抱持し、先方側に配された抱持帯81はガス供給管の径が細い前方側を抱持させている。夫々の抱持帯81,82が六角ナットに引っ掛かり、点火操作をしている間に、点火装置1の位置がずれることがなく、ガス切断器100に点火装置1が堅固に装着される(
図5(A)図参照)。
【0048】
各々の抱持帯81,82は、上方側抱持帯83と下方側抱持帯93とに分割されている。上方側抱持帯83は、後方側軸体30に螺子により固定されるフランジ部84と、湾曲部85と、分割された抱持帯を一体化させる一体化用フランジ部86とを備えている。下方側抱持帯93は、後方側軸体に形成された係止孔に引っ掛けるフランジ部94と、湾曲部95と、分割された抱持帯を一体化させる一体化用フランジ部96とを備えている(
図5(B)図参照)。また、後方側軸体30に形成された係止孔33,34は、上下の複数の位置に設けられる。
【0049】
ガス供給管101を抱持させる際には、上方側抱持帯83を後方側軸体30に螺子により固定させる。そして、上方側抱持帯の湾曲部85にガス供給管101を沿わせてから、下方側抱持帯の湾曲部95が向かい合う位置となるように、適合した位置の係止孔33に下方側抱持帯のフランジ部94を挿し込み、上下の抱持帯の一体化用フランジ部86,96を一体化させ、ガス供給管101を抱持させる。径が太い種類のガス供給管104を抱持させる場合には、下方側抱持帯93を係止させる複数の係止孔33,34のうち、下方側の係止孔34を選択すれば、湾曲部の形状が異なる抱持帯に交換しなくてもよい(
図5(C)図参照)。
【0050】
最後に、
図1を参照して、点火装置1の使用状態を説明する。
図1(B)図及び
図1(C)図においては、理解を容易にするためガス切断器100を破線で示している。
図1(A)図はガス切断器100を示し、
図1(B)図は、ガス切断器100に点火装置1を装着させた状態を示している。
図1(C)図は、ガス切断器100に点火をする状態を示している。
【0051】
点火をする際には、先方側軸体20の基端部を摘んで下方に屈曲させて先方火口102に火花発生部60を近接させる(
図1(C)図)。そして、燃料ガスを噴出させてからトリガー70を操作し、ガス切断器100を点火させる。点火をした後には、先方側軸体20の基端部を摘んで上方に屈曲させて、先方側軸体20をガス供給管101に沿うように上方に復帰させ、先方火口102から離間させる。すなわち、点火装置1を装着させた初期状態に復帰させる(
図1(B)図)。これにより、ガス切断器に安全に点火できると共に、耐久性の高い点火装置とすることができた。
(その他)
【0052】
・実施例1では、火花発生手段が連結軸体の例を説明したが、これに限定されないことは勿論のことである。例えば、火花発生手段が圧電素子とされる場合には、圧電素子にバネとハンマーにより打撃を与えて電気を発生させ、圧電素子から延出させた導電線端部から火花を発生させればよい。
・実施例1では、第1の屈曲軸を先方側軸体の後方下側に位置させたが、先方側軸体の後方上部に位置させてもよい。第1の屈曲軸を後方上部に位置させた場合には、第2の屈曲軸を第1の屈曲軸の下方に位置させればよい。
【0053】
・実施例1では、抱持帯をなす湾曲部の形状を変えずに、異なる径のガス供給管を抱持させた例を説明したが、ガス供給管の径に応じて、湾曲部の形状が異なる抱持帯に取り換えてもよいことは勿論のことである。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。