(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238045
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】容器のための閉鎖装置
(51)【国際特許分類】
B67B 3/20 20060101AFI20171120BHJP
B67B 3/26 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
B67B3/20
B67B3/26
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-96977(P2013-96977)
(22)【出願日】2013年5月2日
(65)【公開番号】特開2013-256333(P2013-256333A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2016年2月4日
(31)【優先権主張番号】10 2012 209 905.0
(32)【優先日】2012年6月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506040652
【氏名又は名称】クロネス アクティェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ショーンフェルダー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ポーシェル
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−208693(JP,A)
【文献】
特表2011−504856(JP,A)
【文献】
特表2009−506958(JP,A)
【文献】
特開平09−303254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67B 3/20
B67B 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(2)のための閉鎖装置(1)であって、クリーンルーム(3)内で動作する閉鎖ヘッド(4)と、少なくとも1つの回転子(6)および1つの固定子(7)を備える電気モータ(5)とを有する閉鎖装置(1)において、
前記閉鎖ヘッド(4)が、前記回転子(6)と連結されており、クリームルームを仕切るためのクリーンルーム仕切り要素(9、9a、9c、9d)が、前記回転子(6)と前記固定子(7)との間に形成され、
前記固定子(7)が、上下動用磁界および回転用磁界を生成するために形成される、容器のための閉鎖装置。
【請求項2】
前記クリーンルーム仕切り要素(9、9a、9c、9d)が、非磁性材料から作製されている、請求項1に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項3】
前記回転子(6)が、前記固定子(7)および軸線(A)に対して、回転し、および変位可能であるように配置されている、請求項1または2に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項4】
前記回転子(6)が、複数の永久磁石(8)を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項5】
前記回転子(6)が、複数のコイル部材を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項6】
前記電気モータ(5)が、サーボモータとして形成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項7】
前記回転子(6)の角度検出および/または位置検出のための少なくとも1つのセンサ(12)が、前記電気モータ(5)と関連付けられている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項8】
前記センサ(12)が、前記回転子(6)と連結された内部部品(13)と、前記固定子(7)と連結された外部部品(14)とを備え、第2のクリーンルーム仕切り要素(9b)が、前記内部部品(13)と前記外部部品(14)との間に配置されている、請求項7に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項9】
前記永久磁石(8)が、周方向において変化する極性を有する、請求項4に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項10】
前記コイル部材が、短絡されている、請求項5に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項11】
前記容器(2)が、ボトルである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項12】
容器(2)のための閉鎖装置(1)であって、クリーンルーム(3)内で動作する閉鎖ヘッド(4)と、少なくとも1つの回転子(6)および第1の固定子(7a)を備える電気モータ(5)とを有し、前記閉鎖ヘッド(4)が前記回転子(6)と連結される、閉鎖装置(1)において、
前記電気モータ(5)は、第2の固定子(7b)を備え、
上下動用磁界を生成するための前記第1の固定子(7a)と、回転用磁界を生成するための前記第2の固定子(7b)が形成され、前記第1の固定子(7a)および前記第2の固定子(7b)のうちの一方(7a)が前記回転子(6)の外側に配置され、前記第1の固定子(7a)および前記第2の固定子(7b)のうちの他方(7b)が前記回転子(6)の内側に配置され、
クリームルームを仕切るためのクリーンルーム仕切り要素(9、9a、9c、9d)が、前記回転子(6)と前記固定子(7a、7b)との間に形成されていることを特徴とする、容器のための閉鎖装置。
【請求項13】
前記クリーンルーム仕切り要素(9、9a、9c、9d)が、非磁性材料から作製されている、請求項12に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項14】
前記回転子(6)が、前記固定子(7a、7b)および軸線(A)に対して、回転し、変位可能であるように配置されている、請求項12または13に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項15】
前記回転子(6)が、複数の永久磁石(8)を備える、請求項12または13に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項16】
前記回転子(6)が、複数のコイル部材を備える、請求項12または13に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項17】
前記電気モータ(5)が、サーボモータとして形成されている、請求項12または13に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項18】
前記回転子(6)の角度検出および/または位置検出のための少なくとも1つのセンサ(12)が、前記電気モータ(5)と関連付けられている、請求項12または13に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項19】
前記センサ(12)が、前記回転子(6)と連結された内部部品(13)と、前記固定子(7a、7b)と連結された外部部品(14)とを備え、第2のクリーンルーム仕切り要素(9b)が、前記内部部品(13)と前記外部部品(14)との間に配置されている、請求項18に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項20】
前記永久磁石(8)が、周方向において変化する極性を有する、請求項15に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項21】
前記コイル部材が、短絡されている、請求項16に記載の容器のための閉鎖装置。
【請求項22】
前記容器(2)が、ボトルである、請求項12〜21のいずれか一項に記載の容器のための閉鎖装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルーム内で動作する閉鎖ヘッドと、少なくとも1つの回転子および少なくとも1つの固定子を備える電気モータとを有する、容器のための閉鎖装置(closer)、特に、ボトルのための閉鎖装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、容器、例えば、ボトルのスクリューキャップ(ねじ式蓋)は、共通の軸を中心に回転する複数の閉鎖装置が周囲に配置された回転機械において閉鎖することができ、この場合、閉鎖キャップは、それぞれ、閉鎖ヘッドにおいて保持され、回転され、各ボトル口部上に配置された後は、ねじピッチに従って下降される。代わりとして、容器は、閉鎖キャップがねじ付けられるときに、それ相応に持ち上げられてもよい。閉鎖ヘッドの回転運動は、この場合、電気モータによって与えられ、下降運動は、制御カムまたはリニアモータのいずれかによって与えられる。
【0003】
多くの応用において、容器は、一方では、保存、低温殺菌などのための手段(agent)を保護するために、他方では、特に細菌に弱い製品を容器に充填することができるようにするために、充填ラインおよびクリーンルーム内の閉鎖装置に案内される。さらに、容器および該容器に充填される製品を、このようなクリーンルームにおいて、駆動部材の漏出物から保護することができる。クリーンルーム内の細菌および塵芥の量をさらに減少させるために、可能な限り多くの、閉鎖装置の構成部品が、クリーンルームの外部に配置される。
【0004】
この目的のために、欧州特許出願公開第2221272号明細書は、非接触のトルク生成によって容器を閉鎖するための装置について開示している。ここでは、複数の閉鎖装置を有する回転機械が開示されており、この場合、クリーンルームの外部に配置されたモータの各トルクは、磁気結合器(magnetic coupling)によって、クリーンルーム内の閉鎖ヘッドへ非接触的に伝達される。閉鎖ヘッドの上下運動(lifting motion)は、ここでは、クリーンルーム内の制御カムによって行われる。
【0005】
同様に、国際公開第2010/118806号パンフレットは、スクリューキャップまたは閉鎖具(closure)のための閉鎖装置について開示しており、ここでは、駆動部は、磁気結合器によって、閉鎖ヘッドから気密分離されている。
【0006】
このことには、このような磁気結合器がそれ相応のコスト要素を伴う点、および、磁気結合器は、必要な力を伝達するために、それ相応の大きさの寸法に形成されなければならず、この結果、移動される質量体が、駆動システムに悪影響を与える点で、不都合である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、クリーンルーム内で動作する閉鎖ヘッドを有する、容器のための閉鎖装置であって、移動する質量体が少なく、製造費用のあまり掛からない閉鎖装置を提供することである。本発明の別の目的は、クリーンルーム内への塵芥および/または細菌の侵入を軽減する、容器のための閉鎖装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、閉鎖ヘッドが回転子と連結され、クリーンルームの仕切りのための要素(クリームルーム仕切り要素)が回転子と固定子との間に形成されているという特徴部の構成と共に、請求項1の前文の構成を有する、容器のための閉鎖装置によって、上記の目的を達成する。
【0009】
閉鎖ヘッドが、電気モータの回転子と連結されていることによって、閉鎖装置の設計に応じた力が、固定子の磁界から回転子に直接作用し、この結果、閉鎖ヘッドに伝達され得る。このように、力は、費用の掛かる、寸法の大きな磁気結合器によって伝達される必要がなく、また、これにより、移動する質量体が減少される。同時に、クリーンルームを仕切るために固定子と回転子との間に形成された要素は、クリーンルーム内への塵芥および細菌の侵入を防止する。ここでは、磁界は、クリーンルーム仕切り要素を介して、回転子に作用する。言い換えれば、クリーンルームは、固定子と回転子との間に配置された要素によって、周辺領域から気密的に仕切られており、したがって、クリーンルームと周辺領域との間の仕切りは、電気モータの内側に配置される。さらに、この方法によりクリーンルームの封止が得られ、この結果、さらに、シャフト封止リングまたはサイフォン封止などの封止装置を略すことができる。
【0010】
容器は、特に、プラスチックボトル、ガラスボトル、缶、および/または管を含んでもよい。容器は、飲料、食品、衛生製品、ペースト、化学製品、生物学製品、および/または医薬品等を含むものとすることができる。閉鎖装置は、特に、カラー(collar)を有するPETボトルを閉鎖するのに適しており、このカラーにおいて、PETボトルは、少なくとも充填および閉鎖中は支えられるように保持される。このことは、特に、充填される、微生物学的な影響を受けやすい製品が、冷却無菌(cold−aseptic)充填ラインにおいて充填される場合のことである。容器は、閉鎖キャップをねじ付けるためのボトル口部を備えてもよい。例えば、スナップ方式の閉鎖具または王冠などの他の閉鎖具も考えられる。
【0011】
容器は、クリーンルーム内の閉鎖装置において処理され得る。クリーンルームは、細菌または埃の粒子が減らされた領域であり得る。クリーンルームは、周辺領域に対して過剰な圧力を有する場合がある。
【0012】
電気モータは、開ループまたは閉ループのモータ制御器と接続されてもよい。電気モータは、ブラシレス直流または三相のモータであってもよい。回転子は、電気モータの電機子および/またはリニアモータの回転子であってもよい。固定子は、回転子を囲む複数の電磁石の構成であってもよい。複数の電磁石は、それぞれ、特に強磁性コアの周囲に巻き付けられたコイルであってもよい。固定子は、縦方向において、回転子よりも長くてもよい。
【0013】
容器用の本閉鎖装置において、固定子は、上下動用磁界および/または回転用磁界(a lifting and/or a rotary magnetic field)を生成するよう形成され得る。これにより、軸線を中心に回転子を回転させる回転力、および、この軸線に沿って回転子を変位させる直線力の双方が、磁界によって回転子に加えられ得る。上下動用磁界が意味しているのは、磁界が、該磁界によって回転子が上昇および下降するように制御され得るということである。回転用磁界が意味しているのは、磁界が、回転子が軸線の周囲を両回転方向のいずれかの方向に回転するように制御され得るということである。また、軸線に関する、回転子の回転運動および直線運動は、同時に行われてもよい。
【0014】
容器用の本閉鎖装置において、上下動用磁界を生成するための第1の固定子、および、回転用磁界を生成するための第2の固定子が、形成されてもよい。これにより、固定子のより単純な設計、および、より単純な制御が実現され得る。この場合、一方の固定子が回転子の内側に配置され、他方の固定子が回転子の外側に配置されてもよい。
【0015】
容器用の本閉鎖装置において、クリーンルーム仕切り要素は、非磁性材料から作製されてもよい。これにより、固定子の磁界が受ける、クリーンルーム仕切り要素の影響は、可能な限り小さくなる。例えば、クリーンルーム仕切り要素は、プラスチック、チタニウム、アルミニウム、オーステナイト鋼、または複合繊維材料からなるとよい。クリーンルーム仕切り要素は、円筒形であってもよい。同様に、クリーンルーム仕切り要素は、特に、複数の固定子および/または複数の回転子が使用される場合、互い違いに挿置された複数の円筒部材からなっていてもよい。
【0016】
容器用の本閉鎖装置において、回転子は、固定子および軸線に対して、回転し、および/または、変位可能であるように、配置構成されてもよい。このようにして、回転子は、直線運動および回転運動を行うことができる。回転子は、特に閉鎖ヘッドと連結された軸部材と連結されてもよい。回転子および/または軸部材は、軸受において保持されてもよい。これにより、回転子の正確な運動が実現され得る。
【0017】
容器用の本閉鎖装置において、回転子は、複数の永久磁石を備えてもよく、該複数の永久磁石は、特に、周方向において変化する極性を有する。これにより、固定子の磁界は、回転子に対する力を発生させる。
【0018】
容器用の本閉鎖装置において、回転子は、複数のコイル部材を備えてもよく、該コイル部材は特に短絡される。この場合、固定子の磁界は、回転子のコイル部材に電流を誘導する。次に、コイル部材の電流は、固定子の磁界と共に回転子に対して力を加える回転子の磁界を生成する。
【0019】
容器用の本閉鎖装置において、電気モータは、サーボモータとして形成されてもよい。ここでサーボモータが意味しているのは、電気モータが、特に、回転子の加速度、速度、トルク、および/または位置が制御され得るように、制御システムと協働することである。制御システムは、回転子の回転運動および/または直線運動を制御することができる。これにより、回転子、したがって、閉鎖ヘッドのより正確な運動が行われ得る。
【0020】
容器用の本閉鎖装置において、回転子の角度および/または位置を検出するための少なくとも1つのセンサが、電気モータと関連付けられてもよい。これにより、回転子の正確な位置および回転が検出され得る。センサは、位置信号および/または角度信号を制御システムに送信してもよい。センサは、インクリメンタルエンコーダおよび/またはアブソリュートエンコーダであってもよい。センサは、回転子の位置および/または角度の変化に応じたパルスを出してもよい。センサは、磁気走査と連動してもよい。
【0021】
容器用の本閉鎖装置において、センサは、回転子と連結された内部部品、および、固定子と連結された外部部品を備えてもよく、内部部品と外部部品との間には、第2のクリーンルーム仕切り要素が配置される。内部部品は、複数の磁性走査部材を備えてもよい。外部部品は、磁界に関する少なくとも1つのセンサ素子を備えてもよい。センサ素子は、ホールセンサであってもよい。
【0022】
以下、本発明のさらなる特徴および利点を、図面に示されている実施形態を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】回転子の位置検出のための付加的なセンサを有する、
図1に示されている閉鎖装置の横断面図を示している。
【
図3】2つの固定子を有する閉鎖装置の横断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、閉鎖装置1の横断面図を示している。ここでは、電気モータ5が、軸部材11を介して閉鎖ヘッド4を動かす。閉鎖ヘッド4は、最初、閉鎖キャップ10を持ち上げ、下降回転運動によって、この閉鎖キャップ10を容器2の容器口部2aにねじ付ける。ここで示されている容器2は、ボトルである。
【0025】
電気モータ5は、ここでは、三相モータとして具現化されており、また、固定子7および回転子6を備え、固定子7と回転子6との間には、クリーンルーム仕切り要素9が形成されている。このクリーンルーム仕切り要素9は、非磁性プラスチックのハウジング状シェル(殻)として形成されており、軸線Aを中心に回転対称な、片側が閉じられた円筒の形状を有する。このように、クリーンルーム仕切り要素9によって、クリーンルーム3は、周辺領域17から、気密的に仕切られている。したがって、駆動ユニットからの潤滑剤、埃の粒子、および細菌は、周辺領域17からクリーンルーム3内に侵入することができない。同様に、圧力が、クリーンルーム3から周辺領域17に逃れることはない。
【0026】
固定子7は、軸線Aに関する上下動用磁界および回転用磁界を生成するように、設計されている。このために、固定子7は、周方向において、および、軸線Aに沿って様々な方向性および強度を有する磁界を生成することができる複数の電磁石を有する。磁界分布は、電磁石の制御システム(ここでは、図示せず)によって、制御される。別の言い方をすると、例えば、3つの電磁石が、周方向(軸線Aに対して垂直な領域)に配置され、9つの電磁石が、軸線Aに沿った領域に縦方向に配置される。したがって、この例における固定子7は、合計で3×9=27の電磁石を備える。このようにして、回転子6の所望の運動、したがって、閉鎖ヘッド4の所望の運動を実行するために、上下動用磁界または回転用磁界を生成することができる。
【0027】
回転子6は、クリーンルーム仕切り要素9内に配置されている。回転子6は、この場合、回転子6を破壊的な洗浄剤から保護するために、溶接された液密シェルによって、包まれるか、または、囲まれている。また、回転子6は、固定子7および軸線Aに対して回転し、変位可能であるように、配置されている。回転子6が、固定子7の磁界の領域内に常に位置するようにするために、固定子7は、軸線Aの方向に関して、回転子6よりも長く設計されている。複数の永久磁石8が、回転子6に配置されている。永久磁石は、周方向において変化する極性を有する。この結果、軸線Aに対する回転子6の位置は、固定子7に印加される磁界によって、制御することができ、これにより、閉鎖ヘッド4は、所望の回転または上昇運動もしくは下降運動を行うことができる。回転子6は、電力供給の不具合の場合に落下するのを防止するために、(図示されていない)取付装置によって取り付けられている。
【0028】
このように、
図1に示されている閉鎖装置では、クリーンルーム3内の閉鎖ヘッド4に対して駆動ユニットの力を加えるために、さらなる磁気結合器は必要ない。したがって、電気モータ5は、より小さな慣性質量体を動かせば済み、これに応じて、電気モータ5の寸法をより小さくできる。また、このことは、閉鎖装置の製造に関して、これに応じた費用面での利点をもたらす。固定子7と回転子6との間に形成された、クリーンルーム3の気密的な仕切りによって、さらなる細菌または塵芥が、周辺領域17からクリーンルーム3内に侵入することができなくなっている。このようにして、閉鎖中の、容器2内の製品の汚染を回避することができる。
【0029】
図2は、回転子6の位置検出のための付加的なセンサ12を有する、
図1に示されている閉鎖装置1の横断面図を示している。ここでは、閉鎖装置1の構成は、センサ12を除いて、
図1の設計と同じである。ここでは、センサ12は、電気モータ5より上方に配置されている。
【0030】
センサ12は、回転子6と連結された内部部品13、および、固定子7と連結された外部部品14を有し、この場合、第2のクリーンルーム仕切り要素9bは、内部部品13と外部部品14との間に配置されており、詳細には、回転子6と固定子7との間の第1のクリーンルーム仕切り要素9aと直接連結されている。別の言い方をすると、電気モータ5およびセンサ12に関する、2つのクリーンルーム仕切り要素9aおよび9bは、一体的に形成されている。この結果、センサ12の領域でも、周辺領域17からのクリーンルーム3の気密的な仕切りが実現されており、ここでは、いかなる塵芥および/または細菌も、周辺領域17からクリーンルーム3内に侵入することはできなくなっている。さらに、いかなる圧力補正も、クリーンルーム3と周辺領域17との間では発生し得ない。
【0031】
ここでは、内部部品13に、様々な磁極性を有する複数の磁性走査部材15が配置されており、このことは、軸線に関する周方向および縦方向の双方に当てはまる。ここでは、外部部品14は、複数のセンサ素子を有し、これらのセンサ素子によって、軸線Aに関して、Z方向における正確な縦位置、および、回転子6の正確な周方向角度位置を検出することができる。センサ素子は、ここでは、ホールセンサとして実現されており、これにより、磁性走査部材15の位置を検出する。
【0032】
センサ12は、制御システム(ここでは、図示せず)に対して信号を出し、これによって、制御システムは、回転子6の位置データを正確に計算する。次に、制御ループ(例えば、PID制御に関する)によって、固定子7の磁界は、回転子6の所望の運動、したがって、閉鎖ヘッド4の所望の運動が行われるように、調節される。同時に、開ループ制御システムは、中央閉ループ制御システム(ここでは、図示せず)から、閉鎖ヘッド4の軌道に関する命令を受信する。
【0033】
図2に示されているセンサを伴う構成によって、閉鎖ヘッド4の運動は、
図1に示されている実施形態よりもさらに正確に制御することができる。
【0034】
図3は、2つの固定子7a、7bを有する閉鎖装置1の横断面図を示している。ここでは、回転子6のための上下動用磁界は、第1の固定子7aによって生成され、回転用磁界は、第2の固定子7bによって生成される。
【0035】
図3の回転子6が、軸線Aを中心に回転対称な中空の円筒形状を有することを見て取ることができる。永久磁石8は、回転子6の上端に配置されている。固定子7aを用いて、永久磁石8に対して力を加えることができ、これにより、回転子6は、軸線Aに沿って上下に運動する。さらに、第2の固定子7bによって回転子6に対して力を加えることができ、これにより、回転子6は、軸線Aを中心に回転する。また、代わりに、外側に配置された第1の固定子7aが、回転用磁界を生成してもよく、また、内側に配置された第2の固定子7bが、上下動用磁界を生成してもよい。
【0036】
2つの固定子7aおよび7b間には、クリーンルーム仕切り要素9c、9dが配置されている。ここでは、部品9cは、第1の固定子7aと回転子6との間に配置されており、部品9dは、第2の固定子7bと回転子6との間に配置されている。クリーンルーム仕切り要素の2つの部品9cおよび9dは、同心上の円筒として形成されており、これらの円筒は、上面および底面において、クリーンルーム3が周辺領域17から気密的に仕切られるように、平面的な部品によって互いに連結されている。この結果、いかなる塵芥および/または細菌も、周辺領域17からクリーンルーム3内に侵入することができず、また、いかなる圧力も、クリーンルーム3から周辺領域17に逃れることはできない。
【0037】
したがって、
図3に示されている構成によって、閉鎖ヘッド4が、下降・回転運動によって、閉鎖キャップ10を容器口部2aにねじ付け、閉鎖動作が完了した後、少なくとも上下運動によって、閉鎖キャップから再び完全に離れるように、閉鎖ヘッド4の運動は、軸部材11を介して、回転子6の運動によって制御することができる。
【0038】
図3の構成によって、上下動用磁界および回転用磁界を、別々に発生させることができ、したがって、制御が容易になる。
【0039】
別の実施形態(図示せず)では、
図1の電気モータ5の単純な設計が、固定子および回転子による閉鎖ヘッドの組み合わされる上下運動および回転運動のために、
図3のクリーンルーム仕切り要素9c,9dと組み合わされる。別の言い方をすると、
図3に示されている実施形態において、外側の固定子7aは、第2の固定子7bが、変位運動および回転運動のための上下動用磁界ならびに回転用磁界を同時に生成する場合には、省略することができる。この場合でも、回転子6は、中空の円筒として設計されており、固定子7bを囲んでいる。この結果、上下駆動および回転駆動を組み合わせる利点を活用することができ、この場合、さらに、クリーンルーム仕切り要素9cは、電気モータの機械的保護として機能する。
【0040】
図1〜
図3に示されている閉鎖装置1は、回転機械内に複数配置することができ、この場合、これらは、回転機械の周辺部に均一に分布し、回転機械に配置された容器処理空間に合わせて配置され、これにより、回転機械の連続動作が可能になる。
【0041】
上述した実施形態において言及された特徴は、これらの特殊な組合せに制限されず、任意の他の組合せにおいても可能であることが理解されよう。
【符号の説明】
【0042】
1…閉鎖装置、2…容器、2a…容器口部、3…クリーンルーム、4…閉鎖ヘッド、5…電気モータ、6…回転子、7…固定子、7a…固定子、7b…固定子、8…永久磁石、9…クリーンルーム仕切り要素、9a…クリーンルーム仕切り要素、9b…クリーンルーム仕切り要素、9c…クリーンルーム仕切り要素、9d…クリーンルーム仕切り要素、10…閉鎖キャップ、11…軸部材、12…センサ、13…内部部品、14…外部部品、15…磁性走査部材、17…周辺領域、A…軸線