(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238048
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】電動シャッタ駆動装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/72 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
E06B9/72
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-154654(P2013-154654)
(22)【出願日】2013年7月25日
(65)【公開番号】特開2015-25270(P2015-25270A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕幸
【審査官】
藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−202397(JP,A)
【文献】
特開2001−027082(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0005911(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00 − 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部に回転可能に支承されてシャッタカーテンを巻き取る筒状の巻取体と、
前記巻取体の内部に設置され、前記基部に一端が固設される筐体と、
前記筐体に設置され、前記巻取体を回転駆動する駆動モータと、
前記筐体の内部に設置され、パターンアンテナまたはチップアンテナを有する無線モジュールが取り付けられた基板を備え、前記駆動モータを制御する制御部と、
を有し、
前記基板は、板厚方向からみたとき、前記アンテナよりも外縁が大きく、
前記基板は、前記アンテナから少なくとも所定範囲が貫通穴状の開口であって前記外縁よりも内側に位置する開口部が形成され、
前記無線モジュールは前記アンテナが前記基板上の前記開口部上に設置され、
前記無線モジュールは前記アンテナが前記基板から板厚方向に少なくとも所定距離離れて前記基板に設置される、
電動シャッタ駆動装置。
【請求項2】
前記筐体は弾性体からなるシール部材をもち、前記シール部材で前記一端がシールされた金属製の筒体であって、前記アンテナは前記シール部材に近設される、請求項1に記載の電動シャッタ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動シャッタ駆動装置に関し、特に無線モジュールを備えた電動シャッタ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャッタケースの収容室内に筒状の巻取体を回転可能に支承し、駆動装置によって巻取体を回転駆動してシャッタカーテンの巻き下ろしおよび巻き上げを行うシャッタ装置が従来から知られている。シャッタカーテンの巻き下ろしおよび巻き上げの指示は、リモコンによって行われる。リモコンには有線と無線とがあり、無線の場合、特許文献1〜3に開示されるような無線モジュールがシャッタ装置に取り付けられている。
【0003】
無線モジュールは、家庭用電子機器や住宅用設備機器など近距離のデータ伝送で広く使用されており、一般的に920MHzや2.4GHzなどの高い周波数帯域を使用している無線モジュールではアンテナを短くすることが可能なので、パターンアンテナ(特許文献1および特許文献2)やチップアンテナ(特許文献3)が採用されている。
【0004】
ところで、無線モジュールは、送受信の性能を最大限発揮させるために、パターンアンテナやチップアンテナから所定範囲内に金属や樹脂などの部品がないことが推奨されている。そのため、パターンアンテナやチップアンテナは、無線モジュールが取り付けられるメインの基板の外縁から飛び出して取り付けられるのが一般的である。
【0005】
しかし、基板から飛び出していると、パターンアンテナやチップアンテナ部分に何かが接触し、基板と無線モジュールとの取り付け部分や無線モジュール自体に応力が加わり、破損する恐れがある。また、パターンアンテナやチップアンテナから所定範囲内に電波を妨害する部材が侵入し、無線モジュールの送受信の性能を悪化させる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−34916号公報
【特許文献2】特開2005−348187号公報
【特許文献3】特開2001−168625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、無線モジュールを外力から保護し、無線モジュールの送受信の性能悪化を抑制する電動シャッタ駆動装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記課題を解決するための発明の構成上の特徴は、基部に回転可能に支承されてシャッタカーテンを巻き取る筒状の巻取体と、
前記巻取体の内部に設置され、前記基部に一端が固設される筐体と、
前記筐体に設置され、前記
巻取体を回転駆動する駆動モータと、
前記筐体の内部に設置され、パターンアンテナまたはチップアンテナを有する無線モジュールが取り付けられた基板を備え、前記駆動モータを制御する制御部と、
を有し、
前記基板は、板厚方向からみたとき、前記アンテナよりも外縁が大きく、
前記基板は、前記アンテナから少なくとも所定範囲が貫通穴状の開口であって前記外縁よりも内側に位置する
開口部が形成さ
れ、
前記無線モジュールは前記アンテナが前記基板上の前記開口部上に設置され、
前記無線モジュールは前記アンテナが前記基板から板厚方向に少なくとも所定距離離れて前記基板に設置される、ことである。
【0009】
ここで、所定範囲内または所定距離以内は、金属や樹脂などが存在することでパターンアンテナおよびチップアンテナの送受信の性能を悪化させる可能性のある範囲または距離を示す。
【0010】
上記(1)の発明は以下に記す(2)の構成を任意に加えて採用できる。
【0011】
(2)前記筐体は弾性体からなるシール部材をもち、前記シール部材で前記一端がシールされた金属製の筒体であって、前記アンテナは前記シール部材に近設される。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、板厚方向からみたとき、基板が前記アンテナよりも外縁が大きいため、基板と無線モジュールとの取り付け部分や無線モジュール自体に直接、外力が加わるのを外縁が阻止することができる。そして、外縁の内側に
開口部が形成されることで、アンテナの所定範囲内に基板がないため、送受信の性能を悪化させにくい。また、アンテナが板厚方向で基板から所定範囲離れて無線モジュールが設置されるため、送受信の性能を悪化させにくい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の電動シャッタ駆動装置を組み込んだシャッタ装置の全体構成を示す正面図である。
【
図2】実施形態の電動シャッタ駆動装置の全体構造を示す一部を分解した斜視図である。
【
図3】実施形態1の電動シャッタ駆動装置の主要部を上方から視認した一部断面図である。
【
図4】実施形態1の電動シャッタ駆動装置の主要部を上方から視認した一部断面図である。
【
図5】実施形態2の電動シャッタ駆動装置の主要部を側面から視認した一部断面図である。
【
図6】実施形態2の電動シャッタ駆動装置の主要部を側面から視認した一部断面図である。
【
図7】実施形態3の電動シャッタ駆動装置の主要部を上方から視認した一部断面図である。
【
図8】実施形態3の電動シャッタ駆動装置の主要部を側面から視認した一部断面図である。
【
図9】実施形態3の電動シャッタ駆動装置の主要部を側面から視認した一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の代表的な実施形態を
図1〜
図9を参照して説明する。シャッタ装置9は、建築物の出入口などを開閉する目的で設けられる。シャッタ装置9は、
図1に示すように、フレーム91、シャッタカーテン96、巻取体99、および本発明に係る電動シャッタ駆動装置1などで構成される。
【0015】
フレーム91は、一対のガイドレール92、シャッタケース93、下枠95などを有している。一対のガイドレール92は、出入口などの開口の両側に離隔平行して立設されている。一対のガイドレール92の上端に架け渡されるように、箱形のシャッタケース93が設けられている。シャッタケース93は、本発明の基部に相当する。シャッタケース93の内部空間は、シャッタカーテン96を巻き上げて収容する収容室94になっている。一対のガイドレール92の下端を連結するように、下枠95が設けられている。以上の構成により、フレーム91は矩形の開口を有する。
【0016】
シャッタカーテン96は、フレーム91の矩形の開口を開閉可能とするように配設されている。シャッタカーテン96は、横に長い矩形帯状のスラット97が複数個上下に連結されて構成されている。シャッタカーテン96の下端のスラット97Aの下側には、座板98が設けられている。座板98は、シャッタカーテン96の下枠95へ着地を安定化するための部材である。シャッタカーテン96の両側の側端部は、ガイドレール92に案内されて上下に移動できるようになっている。本実施形態1において、個々のスラット97は開閉可能とされてブラインド機能が付与されているが、ブラインド機能は必須の構成要件ではない。
【0017】
巻取体99は、シャッタケース93の収容室94内に配設され、シャッタケース93により軸線AX周りに回転可能に支承されている。
【0018】
電動シャッタ駆動装置1は、巻取体99の筒状の内部空間に配置されている。電動シャッタ駆動装置1は、外殻筒体(筐体)2、駆動モータ12、および回転伝達部材13などを備えている。外殻筒体2は巻取体99の内側に配置されている。外殻筒体2の軸長方向の一端部25(
図1の左側側部)は、シャッタケース93に固設されている。駆動モータ12は、外殻筒体2の内部に固設されている。回転伝達部材13は、駆動モータ12の出力軸に結合され、外殻筒体2の軸長方向の他端部27(
図1の右側端部)から軸長方向に延出している。回転伝達部材13は巻取体99の内周を回転駆動する。
【0019】
上述したシャッタ装置9は、電動シャッタ駆動装置1の駆動モータ12が正転すると、回転伝達部材13を介して巻取体99が正転駆動される。これにより、シャッタカーテン96が巻き下ろされる。また、駆動モータ12が逆転すると、回転伝達部材13を介して巻取体99が逆転駆動され、シャッタカーテン96が巻き上げられる。
【0020】
次に、電動シャッタ駆動装置1の構造について説明する。電動シャッタ駆動装置1の外殻筒体2は、
図2に示されるように、一対の半割筒体21、22により形成される。各半割筒体21、22は、軸線AXの軸長方向に長く、軸線AXと直交する断面が半円の円弧形状になっている。一対の半割筒体21、22が結合して、外殻筒体2は円筒状に形成される。そして、外殻筒体2に軸長方向の一端部25は、シャッタケース93に固設される。なお、一対の半割筒体21、22は、ネジ止めしたり爪を引っかけたりするなど、公知の方法で適宜結合する。
【0021】
駆動モータ12は、外殻筒体2の他端部27寄りの内部空間に配置され、外殻筒体2に固定されている。減速機構14は、駆動モータ12と軸線AXを共有し、駆動モータ12に隣接して配置されている。減速機構14の入力側は、図には見えない駆動モータ12の出力軸に結合されている。減速機構14は駆動モータ12から出力される駆動トルクおよび回転数を調整する機構である。
【0022】
減速機構14の出力側に、軸線AXを共有して回転伝達部材13が結合されている。回転伝達部材13は、外殻筒体2の他端部27から軸長方向に延出している。回転伝達部材13の延出した部分は拡径されており、円板状の回転駆動部131になっている。回転駆動部131の外周面の3箇所には、矩形の駆動溝132が設けられている。駆動溝132は、巻取体99の内周に配設された被駆動部に係合している。これにより、駆動モータ12から出力された駆動トルクは、減速機構14で増大されて、回転伝達部材13から巻取体99へと伝達され、巻取体99が回転して、シャッタカーテン96が巻き下ろしまたは巻き上げられる。
【0023】
外殻筒体2の一端部25の内側には、外殻筒体2の内径寸法に略一致した円板状のシール部材23が配置される。シール部材23は、ゴムなどの弾性体あるいは軟質部材で出来ており、外周から中央に向かって切り込まれた切り込み231に、制御線(図示略)や電源線(図示略)が嵌め込まれ、一端部25に嵌め込まれる。外殻筒体2の軸長方向の一端部25から中央部分26を経て他端部27までの内部空間に、基板3、駆動モータ12、減速機構14などが配置されており、適宜外殻筒体2に固定されている。
【0024】
基板3には制御回路や無線モジュール4などが配置されており、駆動モータ12の始動および停止、正転および逆転の切り替えを制御する制御装置となる。これにより、制御装置はシャッタカーテン96の巻き下ろしおよび巻き上げを制御し、またスラット97の開閉を制御する。無線モジュール4は、操作リモコン(図示略)からシャッタカーテン96の巻き下ろし、巻き上げやスラット97の開閉などの操作指示を受信する。また、制御装置は、制御線を介して図略の着地検出スイッチに接続され、また電源線を介して電源が供給されるようにもなっている。なお、着地スイッチは座板98が下枠95に着地したことを検出するセンサである。
【0025】
(実施形態1)
実施形態1の電動シャッタ駆動装置1の基板3は、
図3に示すように、外殻筒体2のシール部材23近傍に無線モジュール4が取り付けられている。無線モジュール4は、アンテナ部(パターンアンテナまたはチップアンテナ)41をシール部材23側に向けるように、アンテナ部41が基板3の
開口部31に位置するように、基板3のコネクタに取り付けられている。なお、基板3と無線モジュール4との間にはスペーサーが配置されている。
開口部31は、アンテナ41部から所定範囲(例えば5mm)以上が板厚方向に貫通して開口しており、基板3の外縁32よりも内側に位置する。外縁32は、シール部材23が外力により外殻筒体2内部に変形して外縁32に接触しても折れたり、曲がったりしないだけの保護長さb以上が望ましい。
【0026】
本実施形態の電動シャッタ駆動装置1は、基板3の外縁32が無線モジュール4のアンテナ部41よりも外殻筒体2やシール部材23に位置するように、基板3が大きい。そして、外縁32よりも内側に開口している
開口部31に、アンテナ部41が位置するように、無線モジュール4が設置されている。そのため、
図4に示すように、シール部材23が外力などにより変形したとしても、外縁32により防ぐことができるため、無線モジュール4に応力が加わることを抑制できる。また、シール部材23が変形しても外縁32と、アンテナ部41から所定範囲aに
開口部31とが確保されているため、シール部材23がアンテナ部41から所定範囲a内に近接できず、無線モジュール4の送受信の性能が悪化することを防止することができる。
【0027】
(実施形態2)
実施形態2の電動シャッタ駆動装置1の無線モジュール4は、
図5および
図6に示すように、外殻筒体2のシール部材23近傍で、保護長さb以上を確保した外縁32から内側の取付部33に取り付けられている。更に、アンテナ部41の所定範囲a内には、基板3、外殻筒体2、シール部材23などの部材が位置しない。特許文献1〜3に開示されているパターンアンテナまたはチップアンテナは長方形の薄い板状をしており、取り付けられる基板3に対して略平行に取り付けるように、基板3および無線モジュール4の互いのコネクタが設けられている。そこで、本実施形態2の取付部33は、基板3に対して無線モジュール4を略垂直に取り付けられるようにしたコネクタまたはコネクタとコネクタとの間に介在する部材である。
【0028】
本実施形態の電動シャッタ駆動装置によれば、外縁32が確保され、アンテナ部41から所定範囲に各部材が配置されないように無線モジュール4が取り付けられているため、無線モジュール4が外力を受けにくく、送受信の性能も悪化しにくい。
【0029】
(実施形態3)
実施形態3の電動シャッタ駆動装置1の基板3は、
図7〜9に示すように、外殻筒体2のシール部材23近傍にアンテナ部41をシール部材23側に向けるようにして、取付部34に無線モジュール4が斜めに取り付けられている。基板3は、外縁32から保護長さb内側に
開口部31が開口している。
開口部31は、板厚方向に貫通して開口している。また、アンテナ部41から所定範囲内に各部材が位置しないように、無線モジュール4が基板3に取り付けられている。特許文献1〜3に開示されているパターンアンテナまたはチップアンテナは長方形の薄い板状をしており、取り付けられる基板3に対して略平行に取り付けるように、基板3および無線モジュール4の互いのコネクタが設けられている。そこで、本実施形態3の取付部34は、基板3に対して無線モジュール4を略平行に限らず、基板3に対して傾斜して取り付けられるようにしたコネクタまたはコネクタとコネクタとの間に介在する部材である。
【0030】
本実施形態の電動シャッタ駆動装置によれば、外縁32が確保され、外縁32の内側に
開口部31があり、アンテナ部41から所定範囲に各部材が配置されないように無線モジュール4が取り付けられているため、無線モジュール4が外力を受けにくく、送受信の性能も悪化しにくい。
【0031】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、
開口部31の形状は図示されている矩形に限定されず、丸形、楕円形、その他どのような形状に開口していても良い。
【符号の説明】
【0032】
1:電動シャッタ駆動装置 12:駆動モータ 13:回転伝達部材 14:減速機構
2:外殻筒体 21、22:半割筒体 23:シール部材
3:基板 31:
開口部 32:外縁
4:無線モジュール 41:アンテナ部
9:シャッタ装置 91:フレーム 92:ガイドレール 93:シャッタケース
94:収容室 95:下枠 96:シャッタカーテン 97:スラット 98:座板
99:巻取体。