(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1光パルスの照射によってテラヘルツ波を発生するテラヘルツ波源と、発生したテラヘルツ波を被測定試料に照射する構成と、被測定試料または該被測定試料に設けられた反射手段で反射されたテラヘルツ透過波または反射波を入力し検波する検波手段と、を備え、上記検波手段は第2光パルスの照射により照射時点のテラヘルツ透過波または反射波強度を出力し、第1光パルス照射時点に対する第2光パルス照射時点の時間を変えて得た上記出力から上記テラヘルツ波の波形を取得することのできるテラヘルツ時間分解分光システムにおいて、
上記テラヘルツ波源は第1光学結晶領域上に設けられた光パルス−テラヘルツ波変換部を有し、上記検波手段は少なくとも部分的に第2光学結晶領域上に設けられたテラヘルツ波検出部を有し、上記光パルス−テラヘルツ波変換部から上記テラヘルツ波検出部に反射を介することなく直接伝搬する直接テラヘルツ波を伝搬させることのできる第1経路を有するものであり、
上記第2光パルスの上記テラヘルツ波検出部への到着時点は、上記直接テラヘルツ波の上記テラヘルツ波検出部への到着時点から上記テラヘルツ透過波または反射波の上記テラヘルツ波検出部への到着時点までを含む時間帯を離散的に掃引する複数時点であることを特徴とするテラヘルツ分光システム。
上記テラヘルツ波源から上記被測定試料で反射され上記テラヘルツ波検出部に至るテラヘルツ波伝搬路上にテラヘルツ波の集光系を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のテラヘルツ分光システム。
上記テラヘルツ波の波形から上記直接テラヘルツ波とテラヘルツ透過波または反射波を分離して抽出する信号抽出部を備え、さらに抽出したテラヘルツ波の波形からテラヘルツ透過波または反射波の、振幅スペクトルまたは位相スペクトルを算出するスペクトル算出部を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のテラヘルツ分光システム。
上記被測定試料が複数層の積層である場合に、積層界面の反射テラヘルツ波の上記直接テラヘルツ波に対する各々の反射波の振幅および位相スペクトルを算出するスペクトル算出部であることを特徴とする請求項5に記載のテラヘルツ分光システム。
上記テラヘルツ波源から上記被測定試料で反射され上記テラヘルツ波検出部に至るテラヘルツ波伝搬路について、外部起因の障害から保護するための保護手段を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載のテラヘルツ分光システム。
【背景技術】
【0002】
本発明は、テラヘルツ時間領域分光法に用いることができるものであって、超短光パルスを用いてテラヘルツ波の発生を行い、測定試料に照射し、その測定試料からのテラヘルツ波を検出して分光計測を行うものであって、そのテラヘルツ波がその発生部からその検出部までの直接伝搬するようにして測定試料からのテラヘルツ波と合わせて検出することで、測定の便宜を図るものである。
【0003】
従来のテラヘルツ時間領域分光法は、例えば特許文献1に開示されている。
図1はその構成例を示すブロック図である。ここで、
図1における符号は、特許文献1における符号である。従来の時間分解分光装置は、概略、レーザ光源3として超短光パルスレーザであるモード同期レーザ、レーザ光を分岐するビームスプリッタ5、機械的に駆動される可動鏡を用いた時間遅延部53、超短光パルスをテラヘルツ波パルスに変換するテラヘルツ波発生器21、およびテラヘルツ波検出器22を含むものである。レーザ光源3からの光をビームスプリッタ5で2分岐し、第1の光パルスをテラヘルツ電磁波発生器21に入射し、テラヘルツ波を発生させる。発生したテラヘルツ波を、テラヘルツ光学系である凹面反射鏡31から34を用いてテラヘルツ電磁波受信機22に導く。このテラヘルツ電磁波受信機22には、上記2分岐された他方の第2の光パルスを上記テラヘルツ光学系からのテラヘルツ波と同時に入射することで、テラヘルツ波を検出するものである。ここで、上記2分岐のうちの一方のパルス光を、時間遅延部53を用いて他方の光パルスに対して到達時間を変化させる。
【0004】
特許文献1に記載の時間分解分光装置では機密容器が用いられ、テラヘルツ波発生器で発生されたテラヘルツ波を、テラヘルツ光学系を介してテラヘルツ検出機に導いていた。機密容器は必要に応じて真空にされ、テラヘルツ波が伝搬する経路上の媒質(例えば空気など)による吸収のため、波形やスペクトル形状の変化が起こる問題が抑制された。しかしこれによって、テラヘルツ光学系によるテラヘルツ波の損失、波形の歪等の問題は、抑制されない。
【0005】
一方、特許文献2にはファイバピグテイルを具備するテラヘルツ波発生・検出用プローブが開示され、また特許文献3には、
図2に示す様に、それを用いたテラヘルツ分光システムが開示されている。
【0006】
それらの開示を含む従来のテラヘルツ時間領域分光法では、1回の時間掃引により行うテラヘルツ波時間波形測定での時間原点あるいは初期位相の決定およびリファレンススペクトルの取得が困難であった。そのため、被測定試料の透過スペクトル等を取得するために、少なくとも2回のテラヘルツ波波形の時間掃引測定を独立した工程で行う必要があった。すなわち、まず試料がない場合のテラヘルツ波波形(リファレンス波形)を取得するための第1の時間掃引測定を行い、次に試料を透過あるいは反射したテラヘルツ波波形(サンプル波形)を取得するための第2の時間掃引測定を行う。その後、両者の波形解析により試料の透過スペクトル等を導出する。したがって、1つの透過スペクトルを取得するために、長時間の測定が必要となる。また、2つの波形測定が独立した工程で行われるため、測定系の反復測定における再現性や外的要因による変動に起因する誤差を排除することが非常に困難である。このため、得られるスペクトルの周波数、強度および位相(あるいは位相変化)を高い精度で決定するのが困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、テラヘルツ波の発生器および検出器を一体にした小型システムにより、テラヘルツ波帯時間領域分光法の時間波形計測においてリファレンス波形とサンプル波形を1回の時間掃引により取得することを可能にし、被測定試料の透過スペクトル等の取得方法および周波数、強度および位相について高い精度のスペクトルを取得することができるテラヘルツ分光システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のテラヘルツ分光システムは、大枠では、第1光パルスの照射によってテラヘルツ波を発生するテラヘルツ波源と、発生したテラヘルツ波を被測定試料に照射する構成と、被測定試料または該被測定試料に設けられた反射手段で反射されたテラヘルツ透過波または反射波を入力し検出する検出手段と、を備え、上記検出手段は第2光パルスの照射により照射時点のテラヘルツ透過波または反射波強度を出力し、第1光パルス照射時点に対する第2光パルス照射時点の時間を変えて得た上記出力から上記被測定試料からの反射テラヘルツ波の時間波形を取得し、その信号処理によりスペクトルを取得することのできるテラヘルツ時間分解分光システムであるが、次の特徴を備えるものである。ただし、当然のこととして、通常のテラヘルツ時間分解分光システムに用いられるレーザパルス光源や上記反射スペクトルを得るための信号処理手段等が必要である。
つまり、上記テラヘルツ波源は第1光学結晶領域上に設けられた光パルスからテラヘルツ波へ変換する光パルス−テラヘルツ波変換部を有し、上記検出手段は少なくとも部分的に第2光学結晶領域上に設けられたテラヘルツ波検出部を有し、上記光パルス−テラヘルツ波変換部から上記テラヘルツ波検出部に反射を介することなく直接伝搬する直接テラヘルツ波を伝搬させることのできる第1経路を有する。ここで、少なくとも部分的にとは、検出手段の少なくとも1部であって、例えばアンテナ型の検出器を用いる場合はアンテナの少なくとも1部が第2光学結晶領域上に設けられている場合も含むものであり、また、例えばテラヘルツ波で光パルスを変調し検出光学系と光電変換器を用いて検出する場合は、変調する手段が第2光学結晶領域上に設けられている場合も含むものである。
また、上記第2光パルスの上記テラヘルツ波検出部への到着時点は、上記直接テラヘルツ波の上記テラヘルツ波検出部への到着時点から上記テラヘルツ透過波または反射波の上記テラヘルツ波検出部への到着時点までを含む時間帯を離散的に掃引する複数時点である。ここで、離散的に掃引するとは、上記時間帯に複数の第2光パルスが離散して分布することを意味する。
【0010】
また、第2光学結晶領域の上記第2光パルスの入射側の裏面に上記第2光パルス用の反射手段を設けたことを特徴とする。ここで言う反射手段とは、反射膜の他に、例えば光路上での屈折率の変化による反射を利用した反射手段をも含むものである。
【0011】
また、第1光学結晶領域と第2光学結晶領域とは、同一組成の光学結晶の領域である。第1光学結晶領域と第2光学結晶領域とが1つの結晶に設けられている場合や、同じ結晶であるが結晶面方位が異なる場合などを含めて想定している。また、第1光学結晶領域と第2光学結晶領域とは、スペーサを介して接続されていてもよい。
【0012】
第1光パルスの波長は第2光パルスの波長よりも短くすることができる。これは、テラヘルツ波の発生と検出とを異なる波長の光パルスを用いることでそれぞれの効率を改善するものである。異なる光パルス源を用いることや、第1光パルスのみを非線形光学結晶を用いて波長変換を行うことを想定している。波長変換については、すでによく知られている様に、倍波や和周波混合法などがある。
【0013】
上記テラヘルツ波源から上記被測定試料で反射され上記テラヘルツ波検出部に至るテラヘルツ波伝搬路上にテラヘルツ波の集光系を設けることで、被測定試料やテラヘルツ波検出部にテラヘルツ波を集光して信号対雑音比を改善することができる。集光系としては、よく知られており、屈折や回折によるレンズの他に、屈折率を空間的に変化させたものでもよい。また、レンズは、完全なレンズに限る必要は無く、レンズの偏芯部分でもよい。
【0014】
このテラヘルツ分光システムは、取得されたテラヘルツ波の時間波形から直接テラヘルツ波とテラヘルツ反射波あるいは透過波を抽出して出力する信号抽出部を備え、さらに抽出したテラヘルツ波の波形からテラヘルツ透過波または反射波の、振幅スペクトルまたは位相スペクトルを算出するスペクトル算出部を備える。このスペクトル算出部は、例えば、上記信号抽出部から出力された信号をフーリエ変換しテラヘルツ反射波あるいは透過波の振幅スペクトルおよび位相スペクトルを出力するものである。
【0015】
上記スペクトル算出部については、上記被測定試料が複数層の積層である場合に、積層界面の反射テラヘルツ波の上記直接テラヘルツ波に対する各々の反射波の振幅および位相スペクトルを算出するものとする。各々の反射波の振幅および位相スペクトルを算出することにより、各層の吸収スペクトルと屈折率を算出することができる。さらに、直接テラヘルツ波であるリファレンス波形に対する各々の反射波の時間領域における位置を測定することにより、各層の膜厚や屈折率の変化を分離して測定することが可能となる。
【0016】
また、テラヘルツ波源として複数の波源を用いることができる。つまり、上記テラヘルツ波源は複数の光パルス−テラヘルツ波変換部が1次元または2次元分布で配置されたものとする。ここで、第1光パルスとしては、上記複数の光パルス−テラヘルツ波変換部のそれぞれに所定の順で入射される複数の光パルスである。また、検出においては、上記テラヘルツ透過波または反射波が重なると解析が困難になる場合があることから、上記第1光パルスのそれぞれの光パルスによる上記直接テラヘルツ波が上記テラヘルツ波検出部に入射する時間から上記テラヘルツ透過波または反射波が上記テラヘルツ波検出部に入射する時間までの時間帯が、重なりを持たないものであるようにする。
【0017】
また、テラヘルツ検出に複数のテラヘルツ検出手段を用いて、異なる位置でのテラヘルツ透過波または反射波を同時に検出することができる。このために、上記テラヘルツ検出手段はそれぞれ少なくとも部分的に第2光学結晶領域上に設けられた複数のテラヘルツ波検出部を有するものとし、第2光パルスは上記複数のテラヘルツ波検出部のそれぞれに入射される光パルスであるものとする。この際、上記第1光パルスによる上記直接テラヘルツ波が上記テラヘルツ波検出部に入射する時間から上記テラヘルツ透過波または反射波が上記テラヘルツ波検出部に入射する時間までのそれぞれの時間帯が、それぞれの上記テラヘルツ波検出部について重なっているものとする。この構成において、多数のテラヘルツ検出手段からいくつかを選択することは、第2光パルスの照射を選択することで可能である。また、各テラヘルツ検出手段からの出力は、並列処理することが望ましいが、テラヘルツ波検出部をひとつずつ切換えながら用いて上記出力を処理することは可能である。
【0018】
上記テラヘルツ波源から上記被測定試料で反射され上記テラヘルツ波検出部に至るテラヘルツ波伝搬路について、外部起因の障害から保護するための保護手段を備える。保護手段としては、テラヘルツ波源から被測定試料までをカバーするハウジングや、テラヘルツ波源から被測定試料まで伸びるテラヘルツ導波体を想定している。この保護部分によって把持することが容易に実現できる。
【発明の効果】
【0019】
この発明により、テラヘルツ時間分解分光システムの小型化、簡略化、高安定化、測定の高速化および高精度化が可能となる。また、従来の方法では不可能であった悪条件下での、例えば、把持された状態や、液体中での測定が可能となる。さらに、位相スペクトルの絶対測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来のテラヘルツ時間領域分光法で、特許文献1に開示された構成例を示すブロック図である。
【
図2】特許文献3の開示に関し、ファイバピグテイルを具備するテラヘルツ波発生・検出用プローブを用いたテラヘルツ分光システムを示す図である。
【
図3】(a)は、本発明のテラヘルツ波発生・検出部の模式図で、(b)は、時間分解計測法を用いてテラヘルツ波の波形を測定した場合、時間的に分離された信号として観測される例を示す図である。
【
図4】本実施例におけるテラヘルツ波発生・検出部100の構成を示す図である。
【
図5】光学結晶1に設ける各種の光学系について説明するための図である。
【
図6】光学結晶1にパルス光やテラヘルツ光の入出力に複数の光ファイバを用いる場合の構成について説明するための図である。
【
図7】テラヘルツ波発生・検出プローブ150の、(a)ハウジングについて説明するための図であり、(b)テラヘルツ波の伝搬路をテラヘルツ導波体内に設けた場合を示す図である。
【
図8】実施例1におけるテラヘルツ分光システム例のブロック図である。
【
図9】
図8の構成とは異なった実施例1におけるテラヘルツ分光システム例のブロック図である。
【
図10】光ファイバ6に一次元あるいは二次元にアレイ化された光ファイバアレイ16を用いる場合のテラヘルツ分光システム例のブロック図である。
【
図11】本発明に係る実施例2を説明するための図で、(a)は、テラヘルツ波の発生用と検出用のストリップライン型のアンテナ29および30を設けた光学結晶1の例を示す図であり、(b)はテラヘルツ波発生・検出部の模式図である。
【
図12】実施例2のテラヘルツ分光システム例のブロック図である。
【
図13】本発明に係る第3の実施例について説明するための図である。
【
図14】被測定試料4が多層構造を有する場合の観測例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明においては、同じ機能あるいは類似の機能をもった装置に、特別な理由がない場合には、同じ符号を用いるものとする。
【0022】
本発明は、概略、テラヘルツ波発生器および検出器を一体型にする構成を採ることにより、テラヘルツ波発生器により発生されたテラヘルツ波の直接波および被測定試料または該被測定試料に設けられた反射手段からの反射波を検出することを可能にし、これにより時間分解計測におけるリファレンス波形とサンプル波形を一回の時間掃引測定内で取得するものである。
【0023】
図3(a)に、本発明のテラヘルツ波発生・検出部の模式図を示す。本テラヘルツ波発生・検出部は光パルスを用いてテラヘルツ波の発生および検出を行う光学結晶1を具備する。光学結晶1には、例えば砒化ガリウム(GaAs)、砒化インジウムガリウム(InGaAs)、テルル化亜鉛(ZnTe)、ニオブ酸リチウム(LiNbO
3)、リン化ガリウム(GaP)、4−dimethylamino-N-methyl-4-stilbazolium tosylate(DAST)などが好適に用いられる。光学結晶1上には、テラヘルツ波発生領域とテラヘルツ波検出領域とを空間的に離間した位置に設ける。ただし、離間した位置とは、テラヘルツ波発生領域で発生されたテラヘルツ波がテラヘルツ検出領域で検出可能な距離であり、例えば、発生されるテラヘルツ波の最高周波数に対応する波長の0.1倍から1000倍の間であることが望ましい。
【0024】
光学結晶1のテラヘルツ波発生領域に光パルス2を入射することにより、パルス状のテラヘルツ波が発生される。また、光学結晶1のテラヘルツ波検出領域に光パルス3を入射することにより、テラヘルツ波検出領域に導波されたテラヘルツ波を検出することができる。光パルス2と光パルス3に可変の時間遅延を与えることにより、光パルス2で生成されたテラヘルツ波の時間波形を光パルス3で取得することができる。
【0025】
光学結晶を用いたテラヘルツ波の発生方法や検出方法は既によく知られているが、例えば、テラヘルツ波発生領域および検出領域にはアンテナ構造を形成してもよく、これにより、テラヘルツ波の電場増強効果が期待される。テラヘルツ波発生領域に形成されたアンテナ構造に電圧を印加してもよく、これにより発生されるテラヘルツ波の強度増強が期待される。また、テラヘルツ波検出にはテラヘルツ波検出領域に形成されたアンテナ構造に流れる微小電流を計測する方法を利用してもよい。
【0026】
テラヘルツ波発生領域に光パルスを入射することにより発生されるテラヘルツ波は次の経路A、B、およびCを伝搬する。
経路A:光学結晶1のテラヘルツ波発生領域より球面波状に放射され、直接波としてテラヘルツ波検出領域に伝搬する経路。
経路B:光学結晶1の裏面で反射され、テラヘルツ波検出領域に伝搬する経路。
経路C:光学結晶1の外部へ放射され、被測定試料または該被測定試料に設けられた反射手段で反射された後、テラヘルツ波検出領域に伝搬する経路。
【0027】
上記の3経路はそれぞれ光路長が異なるため、時間分解計測法を用いてテラヘルツ波の波形を測定した場合、1回の時間掃引により、例えば
図3(b)に示されるように、時間的に分離された信号として観測される。経路Aを伝搬したテラヘルツ波Aは、光学結晶1で発生されたテラヘルツ波を無反射で直接検出したものである。経路Bを伝搬したテラヘルツ波Bは、光学結晶1で少なくとも1回は反射したものであり、光学結晶1およびその反射面による吸収や分散の影響を若干受ける。経路Cを伝搬したテラヘルツ波Cは、被測定試料からの戻り光でその吸収特性ないし反射特性を反映する。取得された時間波形から、テラヘルツ波A、BおよびCをそれぞれ分離して抽出する。抽出する時間幅は、隣り合う波形を含まない程度であり、かつ所望のフーリエ変換スペクトルの分解能が得られる程度である。その後、テラヘルツ波Cの時間波形(サンプル波形)をフーリエ変換することにより得られるスペクトル(サンプルスペクトル)をテラヘルツ波Aないしテラヘルツ波Bの時間波形(リファレンス波形)のフーリエ変換スペクトル(リファレンススペクトル)で除することにより、被測定試料のテラヘルツ波帯における振幅スペクトルを得ることができる。また、サンプル波形の位相スペクトルとリファレンス波形の位相スペクトルの差をとることにより、被測定試料の位相スペクトルを得ることができる。ここで、経路Aの距離はテラヘルツ波発生領域と検出領域の距離Lにより決まり、経路Bの距離は上記Lと光学結晶1の厚さdにより決まる。したがって、他の被測定試料に対して、リファレンス波形の位相は他の光学系、すなわち光学結晶1から被測定試料4までの間に配置された光学系に依らず一定となる。これにより、以下に説明するが、周波数および強度スペクトルについて高精度な測定ができると共に、位相やその変化の測定も可能となる。
【実施例1】
【0028】
図4に、本実施例におけるテラヘルツ波発生・検出部100の構成を示す。このテラヘルツ波発生・検出部100は、光ファイバ5、光ファイバ6、光学結晶1により構成される。
光学結晶1には、例えば砒化ガリウム(GaAs)、テルル化亜鉛(ZnTe)、ニオブ酸リチウム(LiNbO
3)、リン化ガリウム(GaP)、4-dimethylamino-N-methyl-4-stilbazolium tosylate(DAST)などが好適に用いられる。光学結晶1の一方の端面を光パルス入力端とし、他方の面をテラヘルツ波入出端とする。テラヘルツ波入出端の全面あるいは一部に光パルスに対しての高反射膜7を施す。高反射膜7は、テラヘルツ波に対しては、高い透過性を示すことが望ましい。光パルス入力端には入射光に対する無反射コーティングを施してもよい。
【0029】
光ファイバ5および6の例は、シングルモードファイバ、偏波保持ファイバ、ラージモードエリアファイバなどである。光ファイバ5および6の出力端はクリーブされており、光パルスをファイバ外へ出射する。反射損を低減するために、必要に応じてファイバ端面に先球加工や無反射コーティングを施してもよい。光学結晶1の光パルス入力端に光ファイバ5および6の端面を接続し、それぞれ光パルスを光学結晶1に入射する。
【0030】
光ファイバ5が接続された光学結晶1の領域をテラヘルツ波発生領域とし、光ファイバ6が接続された領域をテラヘルツ波検出領域とする。光ファイバ6は光学結晶1のテラヘルツ波入出端に施した高反射膜に対向する配置とし、光ファイバ6から出射された光パルスが高反射膜で反射され、再び光ファイバ6に結合する配置とする。テラヘルツ波発生領域では非線形光学効果によりテラヘルツ波が発生される。
【0031】
テラヘルツ波発生領域で発生されたテラヘルツ波は、光学結晶1内の経路A、Bおよび被測定試料4からの反射である経路Cを経由し、テラヘルツ波検出領域に入射される。光学結晶1と被測定試料4までの距離は時間掃引に用いる光遅延器の最大遅延量に対応する距離以内とする。テラヘルツ波検出領域では、テラヘルツ波の電界により誘起された電気光学効果により、光パルスの偏光が変化する。この偏光の変化量を検出光学系と光検出器で測定することにより、テラヘルツ波の電界を計測することができる。
【0032】
入力光の偏光を調整するために、光学結晶1の光パルス入力端の一部あるいは全面に1/2波長板や1/4波長板を挿入してもよく、それらは光学結晶1に接着してもよい。
【0033】
図5は、光学結晶1に設ける光学系について説明するための図である。
光学結晶1は
図5(a)に示されるように、複数の結晶を接合したものでもよい。例えばテラヘルツ波発生領域とテラヘルツ波検出領域で異なる光学結晶8および光学結晶9を用い、結晶内をテラヘルツ波が伝搬するよう接合させる。これにより、テラヘルツ波の発生および検出の効率を独立に最適化することができる。また、当然のことながら、同一物質の光学結晶で、面方位の異なるものを用いてもよい。テラヘルツ波の発生と検出をそれぞれに適した面方位の光学結晶を用いて最適化することができる。
【0034】
また、
図5(b)に示されるように、光学結晶8と9との間にスペーサ10を挿入し、接合してもよい。スペーサ10は、光学結晶8および9がテラヘルツ波帯に吸収を持つ場合に、その吸収を軽減する役割をする。また、結晶内を伝搬するテラヘルツ波(経路AおよびB)の光学距離の調整にも用いることができる。
【0035】
図5(c)に示されるように、光学結晶1と光ファイバ6の間に非線形光学結晶11を配置してもよい。非線形光学結晶11に光パルスの第二次高調波を発生するものを用いると、光学結晶1でのテラヘルツ波の発生効率を上げることが可能である。非線形光学結晶11には、例えばバリウムボーレート(BBO)、リチウムトリボレート(LBO)などが好適に用いられる。
【0036】
図5(d)に示されるように、光学結晶1のテラヘルツ波発生領域のテラヘルツ波出射端面に集光系となるレンズ12を配置してもよい。レンズ12は、光学結晶1で球面波状に発生されたテラヘルツ波を、平行ビームあるいは集光ビームに変換すると共に、屈折率の整合を取ることで、結晶外へ効率よく放射させる。また、レンズ12はテラヘルツ波の伝搬方向の調整にも用いることができる。レンズ12としては、屈折レンズ、回折レンズ、あるいは円筒レンズなどの全体または一部を用いることができる。ここで、光学結晶1をレンズ状に加工することによって部品数を削減することができる。
【0037】
図5(e)に示されるように、光学結晶1のテラヘルツ波検出領域のテラヘルツ波入射端面に集光系となるレンズ13を配置してもよい。レンズ13は被測定試料から反射されたテラヘルツ波を効率よく光学結晶1に入射させると共に、結晶上に集光させる。また、レンズ13はテラヘルツ波の入射角の調整にも用いることができる。レンズ13としては、屈折レンズ、回折レンズ、あるいは円筒レンズなどの全体または一部を用いることができる。上記の場合と同様に、光学結晶1をレンズ状に加工することによって部品数を削減することができる。
【0038】
図5(f)に示されるように、レンズ12および13を両方配置してもよい。これらのレンズは、異なるものでも同じものでもよく、レンズの一部でもよい。
【0039】
図5(g)に示されるように、光学結晶1の後面にスペーサ14を配置してもよい。スペーサ14はウェッジ構造を持たせることにより、テラヘルツ波の伝搬経路Bを最適に調整することができる。スペーサ14はシリコン結晶やゲルマニウム結晶が好適に用いられる。
【0040】
図6は、光学結晶1にパルス光やテラヘルツ光に入出力に複数の光ファイバを用いる場合の構成について説明するための図である。
光ファイバ5としては、
図6(a)のテラヘルツ波発生・検出部111に示されるように、一次元あるいは二次元にアレイ化された光ファイバアレイ15を用いてもよい。これにより、例えば、テラヘルツ波の照射角度を変えることができ、また、それぞれの光ファイバに互いに時間遅延を与えた光パルスを入射することにより、テラヘルツ波の時間波形や出射方向を制御することができる。アレイの間隔は、例えば発生されるテラヘルツ波の最高周波数に対応する波長の0.01倍から10倍の間である。
【0041】
同様に、光ファイバ6としては、
図6(b)のテラヘルツ波発生・検出部112に示されるように、一次元あるいは二次元にアレイ化された光ファイバアレイ16を用いてもよい。これにより、例えば、被測定試料の凹凸によりテラヘルツ波の反射方向が変化した場合でも測定が可能である。また、被測定試料より反射されたテラヘルツ波の空間分布を測定することが可能であり、テラヘルツ波で見た表面形状などを測定することが可能である。アレイの間隔は、例えば発生されるテラヘルツ波の最高周波数に対応する波長の0.01倍から10倍の間である。
【0042】
図6(c)のテラヘルツ波発生・検出部113に示されるように、光ファイバ5および光ファイバ6に一次元あるいは二次元にアレイ化された光ファイバアレイ15および16をそれぞれ用いてもよい。これにより、被測定試料のテラヘルツ波で見た立体構造を観測することができる。
【0043】
図7は、テラヘルツ波発生・検出プローブ150のテラヘルツ波伝搬路の保護手段について説明するための図である。
図7(a)に示されるように、光学結晶1をハウジング17内に固定し、光学結晶1からハウジング17の端面をテラヘルツ波の計測に最適な距離とする。ハウジング17の端面に空孔または窓を設けることにより、テラヘルツ波を被測定試料に照射できるようにする。窓材としては、例えばテフロン(登録商標)、シリコン、ゲルマニウムなどが好適に用いられる。被測定試料はハウジングの端面に密着あるいは近接させることにより、光学結晶1から被測定試料4までの距離を一定にする方法を用いてもよい。また、ハウジング17内を、乾燥窒素などのテラヘルツ波の吸収が少ないガスで封止することにより、あるいは減圧することにより、テラヘルツ波の吸収を低減してもよい。
【0044】
図7(b)に示されるように、光学結晶1と被測定試料4の間にテラヘルツ波を伝搬させるためのテラヘルツ導波体18を挿入してもよい。テラヘルツ導波体18には、テラヘルツ波の吸収が少ない材料が好ましく、例えばテフロン(登録商標)、シリコン、ゲルマニウムなどが好適に用いられる。条件により、液体を用いることができる場合がある。また、テーパー形状などを持たせることにより、テラヘルツ導波体18をテラヘルツ波のガイドとして用いることができ、テラヘルツ波の照射位置を容易に特定することが可能となる。必要に応じて、被測定試料4に接触する端面を球面としてもよい。また、テラヘルツ導波体18と被測定試料4の屈折率を同程度になるようにテラヘルツ導波体18の屈折率を選択することで、被測定試料4の表面での反射を低減することができる。
【0045】
図8、9、10に、本実施例におけるテラヘルツ分光システムのブロック図を示す。
図8では、パルス光源19から出射された光パルスを光分岐器20で二分岐する。パルス光源としては、例えば、モード同期半導体レーザ、モード同期ファイバレーザなどが好適に用いられる。分岐された片方は光ファイバ5に入射され、テラヘルツ波発生・検出部100における光学結晶1のテラヘルツ波発生領域に導波される。他方は光遅延器21、光サーキュレータ22を通過後、光ファイバ6に入射され、テラヘルツ波発生・検出部100における光学結晶1のテラヘルツ波検出領域に導波される。光学結晶1の高反射膜7で反射された光を光サーキュレータ22に通し、検出光学系である偏光ビームスプリッタ23に入射させる。偏光ビームスプリッタ23では入力光を互いに直交する成分に分離し、バランス型光検出器24のそれぞれの入力ポートに入射することにより、光学結晶1内でテラヘルツ波により生じた偏光の変化を、検出する。光遅延器21により光パルスの遅延時間を変化させ、遅延時間と各時間遅延におけるバランス型光検出器24の出力値を合わせて記録することにより、テラヘルツ波の時間波形を取得する。
【0046】
また、テラヘルツ分光システムは、
図9に示される構成としてもよい。
光遅延器21を通過後、偏光ビームスプリッタ25により光パルスの一部をバランス型光検出器24の一方のポートに入力する。偏光ビームスプリッタ25を通過した光パルスは、さらにファラデーローテータ26、偏光ビームスプリッタ27を通過し、光ファイバ6に入射される。光学結晶1の高反射膜7で反射された光は偏光ビームスプリッタ27によりバランス型光検出器24へ導波される。
【0047】
テラヘルツ波検出領域への光入力に光ファイバアレイ16を用いた場合、
図10に示されるように、例えば
図8の構成に加えて、光サーキュレータ22とテラヘルツ波部100の間に光路切替器28を挿入した構成としてもよい。
【0048】
図8、9および10におけるバランス型光検出器24の出力は、信号処理部50に入力される。信号処理部50には、特に、上記テラヘルツ波の波形から上記直接テラヘルツ波とテラヘルツ透過波または反射波を分離して抽出する信号抽出部52や抽出したテラヘルツ波の波形からテラヘルツ透過波または反射波の、振幅スペクトルまたは位相スペクトルを算出するスペクトル算出部51を備える。スペクトル算出には、フーリエ変換を行う。
【実施例2】
【0049】
図11(a)、(b)に本発明に係る第2の実施例を示す。テラヘルツ波発生・検出部120を
図11(b)に示す様に、光学結晶1、光ファイバ5、光ファイバ6により構成される。
図11(a)の光学結晶1には、例えば砒化ガリウム(GaAs)、砒化インジウムガリウム(InGaAs)、リン化ガリウム(GaP)などが好適に用いられる。光学結晶1の一方の端面を光パルス入力端とし、他方の面をテラヘルツ波入出端とする。光パルス入力端には入射光に対する無反射コーティングを施してもよい。
図11(b)の光学結晶1の光パルス入力端に
図11(a)に示されるようなストリップライン型のアンテナ29および30を作製する。その他のアンテナ構造としては、例えばダイポールアンテナ、ボウタイアンテナ、スパイラルアンテナ、スロットアンテナなどが好適に用いられ、光パルスを照射するための領域が設けられている。
【0050】
アンテナ29には電圧源31を用いて電圧を印加する。この電圧は、例えば1Vから10kVの間である。アンテナ29に光パルスを照射するにより、アンテナ内に瞬時電流が発生し、その電流の時間変化によりテラヘルツ波が放射される。
【0051】
アンテナ29から放射されたテラヘルツ波は、
図11(b)の光学結晶1内の経路A、Bおよび被測定試料4からの反射である経路Cを経由し、テラヘルツ波検出領域に入射される。光学結晶1と被測定試料4までの距離は時間掃引に用いる光遅延器の最大遅延量に対応する距離以内とする。テラヘルツ波検出領域では、アンテナ30に照射された光パルスとテラヘルツ波の電界の作用により、アンテナに微小電流が生じる。この微少電流を測定することにより、テラヘルツ波の電界を計測することができる。
【0052】
図11(b)の光ファイバ5および6の例は、シングルモードファイバ、偏波保持ファイバ、ラージモードエリアファイバなどである。光ファイバ5および6の出力端はクリーブされており、光パルスをファイバ外へ出射する。反射損を低減するために、必要に応じてファイバ端面に先球加工や無反射コーティングを施してもよい。光ファイバ5の出力端は、アンテナ29の光パルス照射領域に接続する。同様に、光ファイバ6はアンテナ30の光パルス照射領域に接続する。
【0053】
図12に本実施例におけるテラヘルツ分光システムのブロック図を示す。電圧源31を用いてアンテナ29に電圧を印加する。パルス光源19から出射された光パルスを光分岐器20で二分岐する。パルス光源としては、モード同期半導体レーザ、モード同期ファイバレーザなどが好適に用いられる。二分岐の一方は光ファイバ5に入射され、アンテナ29に照射される。他方は光遅延器21を通過後、光ファイバ6に入射され、アンテナ30に照射される。テラヘルツ波によりアンテナ素子間に生じた微小電流を、電流計32を用いて計測する。光遅延器21により光パルスの遅延時間を変化させ、各時間遅延における電流計32の出力値を記録することにより、テラヘルツ波の時間波形を取得する。アンテナ30の出力を電流増幅器に接続し、その電流増幅器の出力を、電圧計を用いて測定してもよい。また、その電流増幅器は光学結晶1上に集積してもよい。
【0054】
また、実施例1と同様に、光学結晶1は複数の結晶を接合したものでもよく、間にスペーサを挿入してもよい。
【0055】
また、実施例1と同様に、光学結晶1のテラヘルツ波出力端にレンズを配置してもよい。
【実施例3】
【0056】
図13に本発明に係る第3の実施例を示す。テラヘルツ波AからCは、時間分解計測により、それらの時間波形を1回の時間掃引により取得する。
まず、検出部におけるテラヘルツ波Aをリファレンス波形とし、テラヘルツ波Cをサンプル波形とし、その時間差Δtを算出する。テラヘルツ波Bをリファレンス波形とし、テラヘルツ波Bとテラヘルツ波Cの時間差をΔtとしてもよい。また、テラヘルツ波発生領域とテラヘルツ波検出領域の間隔をLとし、光学結晶1の厚さおよび屈折率をそれぞれdおよびn
1、光学結晶1から被測定試料4の間の距離をx、光学結晶1と被測定試料4との間の媒質の屈折率をn
2とした場合、Δt、L、n
1、d、xおよびn
2の関係から幾何光学および三角測量法を用いてxを、例えば、次式を用いることによって算出できる。
【0057】
【数1】
【0058】
ただし、計測の基準面は、光学結晶1のテラヘルツ波出力端である。Lはxに対して1/5倍以下とすることが望ましい。
【0059】
被測定試料4が多層構造を有する場合、テラヘルツ波Cは多重反射により複数のテラヘルツ波が時間軸上で分離されて観測される。例えば、被測定試料4が層33と層34を有する場合、被測定試料4の表面での反射波C
1と層33と層34の界面での反射波C
2が時間差をΔt
2を持って観測される。得られた波形のリファレンススペクトルに対する反射波C
1および反射波C
2の振幅および位相スペクトルを算出し、さらに、反射波C
1に対する反射波C
2の振幅および位相スペクトルを算出することにより、層33の吸収スペクトルと屈折率を算出することができる。さらに、リファレンス波形、反射波C
1および反射波C
2の時間領域における位置を測定することにより、層33の膜厚や屈折率の変化を分離して測定することが可能である。第3層、第4層等があった場合でも、同様の方法により、各層の吸収スペクトルと屈折率を測定することが可能である。
【0060】
被測定試料4の例としては、例えば半導体の利得媒質などがある。利得媒質では、印加される電圧や注入される電流によって、吸収特性が変化すると共に屈折率も変化することが知られている。本発明を用いることで、テラヘルツ波帯の吸収スペクトルや位相スペクトルを精密に測定することが可能である。