(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238066
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/20 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
H01J37/20 A
H01J37/20 Z
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-2407(P2014-2407)
(22)【出願日】2014年1月9日
(65)【公開番号】特開2015-133174(P2015-133174A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(73)【特許権者】
【識別番号】514008402
【氏名又は名称】テラベース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】三宮 工
【審査官】
鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0298883(US,A1)
【文献】
INAYOSHI Yuhri, MINODA Hiroki,"A carbon sandwich environmental cell for wet specimens",MICROSCOPY,米国,2013年12月,Volume 62, Number 6,Page 623-628
【文献】
Piotr Patoka,"Tunable plasmonic properties of nanostructures fabricated by shadow nanosphere lithography",ベルリン自由大学博士論文,ドイツ,Institute for experimental physics of the Free University of Berlin,2011年,Page 21-40, Page 48-61
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さがナノメートルオーダの炭素よりなる下シーリング層と、
前記下シーリング層上に配置された厚さがナノメートルオーダの金属層と
を具備し、
前記金属層にサイズがナノメートルオーダの複数の開口が少なくとも部分的に規則的に形成された透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置。
【請求項2】
さらに、
前記下シーリング層と前記金属層との間に配置された厚さがナノメートルオーダの第1の接着層と、
前記金属層上に配置された厚さがナノメートルオーダの第2の接着層と
を具備し、
前記第1、第2の接着層に前記金属層の開口に通じる開口が形成された請求項1に記載の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置。
【請求項3】
前記金属層は、金、銀、銅及びアルミニウムのいずれか1つよりなる請求項1に記載の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置。
【請求項4】
前記第1、第2の接着層はセラミックスよりなる請求項2に記載の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置。
【請求項5】
基板上に犠牲層を形成する工程と、
前記犠牲層上に厚さがナノメートルオーダの炭素よりなる下シーリング層を形成する工程と、
前記下シーリング層上にサイズがナノメートルオーダの複数のコロイドを少なくとも部分的に規則的に堆積する工程と、
前記コロイド及び前記犠牲層上に厚さがナノメートルオーダの金属層を形成する工程と、
前記金属層の形成後に、前記コロイドを除去する工程と、
前記コロイドの除去後に、前記犠牲層を除去することにより前記基板を剥離する工程と
を具備する透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置の製造方法。
【請求項6】
さらに、
前記金属層の形成前に、前記コロイド及び前記犠牲層上に厚さがナノメートルオーダの第1の接着層を形成する工程と、
前記金属層の形成後かつ前記コロイドの除去前に、厚さがナノメートルオーダの第2の接着層を形成する工程と
を具備する請求項5に記載の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置の製造方法。
【請求項7】
前記金属層は、金、銀、銅及びアルミニウムのいずれか1つよりなる請求項5に記載の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1、第2の接着層はセラミックスよりなる請求項6に記載の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透過型電子顕微鏡(TEM)及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル(EC)装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体材料・医薬品の開発、生物等における組織成長メカニズムの理解、これらの潤滑性能向上化等の分野においては、固体・液体界面の構造、界面に吸着した分子の形態、挙動の解明は重要である。
【0003】
固体・液体の界面及び界面の吸着分子の観察は、最近、液体観察環境セル(EC)と呼ばれる容器を用いた透過型電子顕微鏡によって行われている。すなわち、液体観察環境セルにおいて試料である吸着分子の付近のみを液体に浸すことにより、試料を真空から遮断すると共に、電子線が通過する液体の距離を最小限として電子線の散乱吸収を抑制している。
【0004】
第1の従来の液体観察環境セルは試料ホールダに組込んでいる。この液体観察環境セルは上下シーリング層間に試料と共に異なる液体を導入でき、また、電気化学測定等にも用いることができる(参照:特許文献1)。
【0005】
第2の従来の液体観察環境セルは、試料自体に液体を内包させ、この試料を汎用ホールダに入れたものである。この液体観察環境セルは、汎用ホールダを用いるので、利便性に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2013−535795号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Seung-Man Yang et al., “Nanomachining by Colloidal Lithography”, Colloidal Lithography, small 2006, 2, No.4, pp.458-475
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の第1の従来の液体観察環境セルにおいては、液体観察環境セルは唯一であるので、液体観察環境セルが劣化もしくは破壊した場合には、試料ホールダと共に交換しなければならず、製造コストが高くなるという課題がある。また、試料の上下シーリング層の間隔をOリング等で機械的に維持しているので、その上下シーリング層の間隔が大きくなり、従って、液体観察環境セルの厚さが大きくなり、この結果、電子線の散乱吸収が大きくなり、高分解能観察が不可能であるという課題がある。さらに、液体観察環境セルには、壁面がほとんど存在しないので、試料(吸着分子)のほとんどは上下シーリング層に垂直に吸着され、固体(シーリング層)・液体界面の垂直方向及び吸着分子の長手方向から断面観察されるが、固体(シーリング層)・液体界面の断面観察及び吸着分子の短手方向断面観察が不可能であるという課題がある。
【0009】
上述の第2の従来の液体観察環境セルは、試料(分子)の厚さ及びサイズが十分に制御できず、従って、やはり、固体・液体界面の断面観察及び吸着分子の短手方向断面観察が不可能であるという課題がある。
【0010】
さらに、上述の第1、第2の従来の液体観察環境セルは、共に、金属層を有していないので、プラズモン共鳴検出による分子の吸着過程の観察が不可能であるという課題がある。すなわち、液体観察環境セルを透過型電子顕微鏡による観察と局在プラズモン共鳴による観察とに併用することは不可能であるという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明に係る透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置液体観察環境セル装置は、厚さがナノメートルオーダの炭素よりなる下シーリング層と、下シーリング層上に配置された厚さがナノメートルオーダの金属層とを具備し、金属層にサイズがナノメートルオーダの複数の開口が少なくとも部分的に規則的に形成されたものである。これにより、厚さが小さいかつ壁面が広い液体観察環境セルが多数設けられる。また、開口に液体を収容して分子を開口の壁面である金属層に吸着させることにより、固体(特に、壁面)・液体界面の断面観察及び吸着分子の短手方向断面観察が可能となる。さらに、少なくとも部分的に規則的な開口によって部分的分離された薄い金属層は局在表面プラズモン共鳴を発現する。
【0012】
また、本発明に係る透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置の製造方法は、基板上に犠牲層を形成する工程と、犠牲層上に厚さがナノメートルオーダの炭素よりなる下シーリング層を形成する工程と、下シーリング層上にサイズがナノメートルオーダの複数のコロイドを少なくとも部分的に規則的に堆積する工程と、コロイド及び犠牲層上に厚さがナノメートルオーダの金属層を形成する工程と、金属層の形成後に、コロイドを除去する工程と、コロイドの除去後に、犠牲層を除去することにより基板を剥離する工程とを具備するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、液体観察環境セルの一部が劣化もしくは破壊しても、交換する必要はなく、従って、製造コストを低減できる。また、液体観察環境セルの厚さが小さくなるので、電子線の散乱吸収は小さくなり、高分解能観察が可能となる。さらに、壁面が広くなるので、固体(壁面)・液体界面の断面観察及び吸着分子の短手方向断面観察も可能となる。さらにまた、局在プラズモン共鳴の発現により吸着分子の屈折率(あるいは誘電率)を観察でき、従って、吸着過程を観察できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置の実施の形態を示す上面図である。
【
図2】
図1の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置を示す電子顕微鏡写真であり、(A)は走査型電子顕微鏡(SEM)写真、(B)は(A)より高倍率のSEM写真、(C)は(B)より高倍率の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
【
図3】
図1の液体観察環境セルの断面図であり、(A)は液体及び分子の封入前の状態、(B)は液体及び分子の封入後の状態、(C)は透過型電子顕微鏡内に載置された状態を示す。
【
図4】
図1の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置の製造方法を説明するための断面図である。
【
図5】
図1の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置を用いて透過型電子顕微鏡で得られたその場(in situ)TEM像である。
【
図6】
図1の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置の吸光スペクトル特性を示すグラフである。
【
図7】
図1の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置のその場(in situ)局在プラズモン共鳴ピーク値シフト量を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係る透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置の実施の形態を示す上面図、
図2は
図1の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置を示す電子顕微鏡写真であり、(A)は走査型電子顕微鏡(SEM)写真、(B)は(A)より高倍率のSEM写真、(C)は(B)より高倍率の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。尚、
図1、
図2においては、後述の上シーリング層は形成されておらず、また、液体も吸着分子も存在しない。
【0016】
図1に示すように、透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置には、複数の液体観察環境セルCが少なくとも規則的範囲Rにおいてつまり部分的に規則的に配置されている。たとえば、
図2の(A)に示すように、50μm×50μmのサイズの透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置に、
図2の(B)、(C)に示す数100から数1000個の100nm×100nmのサイズの液体観察環境セルCが配置されている。
【0017】
図3は
図1の液体観察環境セルCの断面図であり、(A)は液体及び分子の封入前の状態、(B)は液体及び分子の封入後の状態、(C)は透過型電子顕微鏡内に載置された状態を示す。
【0018】
図3の(A)に示すように、液体及び分子の封入前の液体観察環境セルCは、炭素よりなる厚さ約5〜500nmたとえば10nmの下シーリング層1、セラミックスたとえばAlNよりなる厚さ約5〜500nmたとえば10nmの接着層2、分子を吸着するための厚さ約5〜500nmたとえば10nmの金属層3、及びセラミックスたとえばAlNよりなる厚さ約5〜500nmたとえば10nmの接着層4よりなる。この場合、接着層2は下シーリング層1と金属層3との接着作用をなし、また、接着層4は後述の上シーリング層5と金属層3との接着作用をなす。従って、下シーリング層1と金属層3との接着作用が強い場合には、接着層2は省略でき、また、上シーリング層5と金属層3との接着作用が強い場合には、接着層4は省略できる。尚、接着層2、4は金属層3を安定化する作用も有する。
【0019】
また、
図3の(A)においては、後述の局在プラズモン共鳴を発現するために、金属層3はたとえば金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)あるいはアルミニウム(Al)よりなり、接着層2、金属層3及び接着層4の開口OPの直径Dは5〜500nmとする。この場合、さらに、金属層3は上述の金属のうち後述の分子Mとの吸着性がよいものを選択する。
【0020】
図3の(B)においては、
図3の(A)の接着層2、金属層3及び接着層4の開口OPに液体L及び分子Mを封入し、この結果、分子Mは金属層3の壁面に吸着する。その後、接着層4上に炭素よりなる厚さ約5〜500nmたとえば10nmの上シーリング層5を形成する。
【0021】
図3の(C)においては、電子線EBが上シーリング層5から下シーリング層1へ向かって進む。この結果、TEM像が得られる。この場合、電子ビームEBは固体特に金属層3の壁面と液体Lとの界面の断面及び分子Mの断面を通過するので、TEM像にて固体(金属層3の壁面)・液体界面の断面観察及び分子Mの短手方向断面観察ができる。
【0022】
次に、
図1の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置の製造方法を
図4を参照して説明する。
【0023】
始めに、
図4の(A)を参照すると、シリコンあるいはガラスよりなる基板101上にたとえばアルミニウムよりなる犠牲層102をスパッタリング法、蒸着法等によって形成する。ここで、基板101は後述の下シーリング層1の平坦性を担保するためであり、また、基板101と下シーリング層1とが直接接着すると下シーリング層1が剥離しにくいために、犠牲層102を基板101と下シーリング層1との間に介在させる。
【0024】
次に、
図4の(B)を参照すると、犠牲層102上に下シーリング層1としての炭素層をスパッタリング法、蒸着法、化学的気相成長(CVD)法、分子線ビームエピタキシャル(MBE)法、スプレー法等によって堆積する。
【0025】
次に、
図4の(C)を参照すると、大きさが同一のコロイド103を部分的に規則的に堆積する。コロイド103は5〜500nmの金属、有機物、無機物、生体物質であり、たとえば、有機物としてポリスチレンよりなる。コロイド103の大きさ及び分布は、溶液濃度、堆積時間、イオン強度等によって調整可能であるが(参照:非特許文献2)、コロイド103は、通常、帯電されているので、分布を
図1の規則的範囲Rにおいて規則的にできる。尚、コロイド103は全範囲に規則的に配置されてもよい。
【0026】
次いで、図示しないが、必要に応じてエッチング法によってコロイド103の大きさを上述の開口OPの直径Dに合わせて縮小させる。エッチング法は、たとえば、反応性イオンエッチング(RIE)法、プラズマエッチング法、紫外線照射法、化学的エッチング法、オゾン照射法である。
【0027】
次に、
図4の(D)を参照すると、セラミックスたとえばAlNよりなる厚さ10nmの接着層2、たとえばAuよりなる厚さ10nmの金属層3及びセラミックスたとえばAlNよりなる厚さ10nmの接着層4をスパッタリング法、蒸着法等を用いて順次形成する。
【0028】
次に、
図4の(E)を参照すると、コロイド103をたとえば物理的リフトオフ法により除去する。これにより、直径Dの開口OPが接着層2、金属層3及び接着層4によって形成される。
【0029】
次に、
図4の(F)を参照すると、犠牲層102をエッチング法によって除去することにより、ガラス基板101を物理的に剥離する。
【0030】
この段階で、
図1の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置はユーザに出荷され、以下の
図4の(G)、(H)の工程はそのユーザによって実行されることになる。
【0031】
図4の(G)を参照すると、
図4の(F)に示す透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置をグリットに載せて移動し、液体Lに浸して分子Mを金属層3の壁面に吸着させる。
【0032】
最後に、
図4の(H)を参照すると、さらにグリッドを移動させて液体Lに浮かんだ炭素よりなる厚さ10nmの上シーリング層5を接着させながら液体Lから引き上げることにより透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置が完成する。
【0033】
図5は
図1の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置を用いて透過型電子顕微鏡で得られたその場(in situ)TEM像である。
図5における液体Lは金コロイド溶液であり、金属層3はAuよりなる。
図5の(A)、(B)、(C)、(D)に示すごとく、Auの変化が観察される。
【0034】
図6は
図1の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置の吸光スペクトル特性を示すグラフである。すなわち、接着層2、金属層3及び接着層4よりなる3層構造の可視光及び赤外光の吸光スペクトルによれば、局在プラズモン共鳴の発現を示すピーク値P1、P2、P3が発生している。尚、Iは3層構造が空気中に存在する場合、IIは3層構造が水に浸されている場合、IIIは3層構造の上部も水に浸されている場合である。このように、厚さがナノメートルオーダの金属層3が少なくとも部分的に規則的に形成された開口OPによって部分的に分離されているので、局在プラズモン共鳴の発現によりピーク値P1、P2、P3が発生する。
【0035】
図7は
図1の透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置のその場(in situ)局在プラズモン共鳴ピーク値シフト量を示すタイミング図である。
図7においては、透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置に蛋白質アビジンを水と共に投入し、その後、水を除去した場合、局在プラズモン共鳴ピーク値シフト量が変化することが認められた。このシフト量は透過型電子顕微鏡及び局在プラズモン共鳴発現用液体観察環境セル装置に吸着して蛋白質アビジンの吸着量に応じた屈折率(あるいは誘電率)を示す。従って、蛋白質アビジンの吸着過程を観察できる。
【0036】
尚、本発明におけるナノメートルオーダは、5〜500nmを意味する。
【0037】
また、本発明は上述の実施の形態の自明の範囲内のいかなる変更も適用し得る。
【符号の説明】
【0038】
1...下シーリング層
2...接着層
3...金属層
4...接着層
5...上シーリング層
101...基板
102...犠牲層
C...液体観察環境セル
R...規則的範囲
OP...開口
L...液体
M...分子