(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記始動制御部は、前記始動可能性判定手段によって前記エンジンの始動に必要な電力を供給できないと判定された場合には、前記エンジンを停止させずに前記エンジンの運転を継続し、前記回転電機で発生する電力を前記バッテリに充電する制御を行う充電制御手段(173)をさらに有し、
前記信号出力手段は、前記バッテリへの充電を終了する充電終了条件を満たすまで前記充電制御手段による前記バッテリへの充電を行った後、前記停止許可信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
前記充電終了条件は、充電を行う時間である充電時間(CT)と、充電を行う電流量である充電電流量(CV)とのうちで一方または双方を含むことを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
前記充電制御手段は、前記始動可能性判定手段によって前記エンジンの始動に必要な電力を供給できないと判定されると、前記電圧センサによって計測される電圧値に基づいて前記充電時間および前記充電電流量のうちで一方または双方を変化させることを特徴とする請求項3に記載の回転電機。
前記バッテリと接続される第1電力線(PL)と、前記バッテリとは別個の電力源と接続される第2電力線(CL)との接続/非接続を切り換えるスイッチ部(SW2)を有し、
前記始動制御部は、少なくとも前記停止条件を満たしてから前記エンジンの始動に必要な電力を供給できるか否かを判定するまでの間、前記第1電力線と前記第2電力線とを接続しないように前記スイッチ部を切り換えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の回転電機。
前記始動制御部は、前記始動可能性判定手段によって前記エンジンの始動に必要な電力を供給できないと判定された場合には、前記エンジンを停止させずに前記エンジンの運転を継続し、前記回転電機で発生する電力を前記バッテリに充電する制御を行う充電制御手段(50c)をさらに有し、
前記エンジン停止手段は、前記バッテリへの充電を終了する充電終了条件を満たすまで前記充電制御手段による前記バッテリへの充電を行った後、前記エンジンを停止させるべく前記外部装置に前記エンジンの停止を許可する停止許可信号(SB)を出力することを特徴とする請求項6に記載のエンジン始動システム。
前記充電終了条件は、充電を行う時間である充電時間(CT)と、充電を行う電流量である充電電流量(CV)とのうちで一方または双方を含むことを特徴とする請求項7に記載のエンジン始動システム。
前記充電制御手段は、前記始動可能性判定手段によって前記エンジンの始動に必要な電力を供給できないと判定されると、前記電圧センサによって計測される電圧値に基づいて前記充電時間および前記充電電流量のうちで一方または双方を変化させることを特徴とする請求項8に記載のエンジン始動システム。
前記バッテリと接続される第1電力線(PL)と、前記バッテリとは別個の電力源と接続される第2電力線(CL)との接続/非接続を切り換えるスイッチ部(SW2)を有し、
前記始動制御部は、少なくとも前記停止条件を満たしてから前記エンジンの始動に必要な電力を供給できるか否かを判定するまでの間、前記第1電力線と前記第2電力線とを接続しないように前記スイッチ部を切り換えることを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載のエンジン始動システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、特に明示しない限り、「接続する」という場合には電気的に接続することを意味する。各図は、本発明を説明するために必要な要素を図示し、実際の全要素を図示しているとは限らない。上下左右等の方向を言う場合には、図面の記載を基準とする。各実施の形態で示すエンジン始動システム10A,10B,10Cは、いずれもエンジン始動システム10の一例であり、図面で単に符号「10」を示す場合はいずれにも対応する。英数字の連続符号は記号「〜」を用いて略記する。例えば上記「エンジン始動システム10A,10B,10C」は「エンジン始動システム10A〜10C」と略記する。
【0018】
〔実施の形態1〕
実施の形態1は
図1〜
図7を参照しながら説明する。
図1に示す車両100は、ハイブリッド自動車の構成例である。この車両100は、バッテリ11,19,20、電気負荷12、コンバータ13、車輪14、トランスミッション15、回転電機16,17、動力伝達部材18,22、インバータ21、エンジン23、電力変換制御装置24などを有する。これらの要素のうちで、エンジン始動システム10Aは、少なくとも回転電機17や電圧センサ30(
図2を参照)などを含む。
【0019】
バッテリ11は、第2電力線CLに電力を供給する電力源であり、かつ、バッテリ19とは別個の電力源である。バッテリ19は、エンジン23の始動時に電力を供給したり、スイッチ部SW3を介して第2電力線CLに電力を供給したりする電力源である。バッテリ20は、スイッチ部SW1を介して第3電力線HLに電力を供給する電力源である。バッテリ11,19,20は、蓄電と放電が行えれば種類を問わず、例えばリチウムイオン電池や鉛蓄電池などのような二次電池が該当する。本形態では、バッテリ11,19に蓄電池(例えば鉛蓄電池等)を用い、バッテリ20にリチウムイオン電池を用いる。
【0020】
第1電力線PL,第2電力線CL,第3電力線HLは、いずれも電力の伝送路であって、中継用のコネクタを含めてもよい。第2電力線CLと第1電力線PLの間にはスイッチ部SW2が介在される。スイッチ部SW2は「分離スイッチ」に相当する。本形態における第1電力線PLと第2電力線CLの電圧(例えば12ボルト)は、第3電力線HL(例えば660ボルト)よりも低い。
【0021】
電気負荷12は、第2電力線CLを介して供給されて作動する部品や部材等である。例えば、計器、カーナビゲーションシステム、ランプ類(例えば前照灯,室内灯,尾灯等)、冷暖房機(エアコンやヒーター等)、ワイパー等の部材を作動させるモータなどが該当する。コンバータ13は、第2電力線CLと第3電力線HLの間で電圧を変換する。インバータ21は、バッテリ20から供給される電力を変換して回転電機16(電動機として機能)に供給したり、回転電機16(発電機として機能)から供給される電力を変換してバッテリ20に充電したりする。コンバータ13とインバータ21は、破線で示すように、いずれも電力変換制御装置24から個別に伝達される信号に基づいて作動する。
【0022】
回転電機17は、上述したようにエンジン始動システム10Aに含まれ、動力伝達部材18によってエンジン23と機械的に接続される。この回転電機17は、電動機と発電機の機能を兼ね備える。エンジン23を始動させる場合、エンジン23の動力をアシストする場合、後述するバッテリ19の始動可能性を判定する場合などでは、電動機とし
て機能する。エンジン23や車輪14による動力を受ける場合などでは、発電機として機能する。回転電機17の構成例については後述する(
図2を参照)。
【0023】
動力伝達部材18は、エンジン23と機械的に接続でき、かつ、エンジン23の始動や発電を行えれば任意の部材を用いてよい。例えば、シャフト(回転軸),カム,リンク,クランク,ベルト,歯車,ラック&ピニオンなどのうちで一以上が該当する。
【0024】
車両100の動力源は、エンジン23と回転電機16である。エンジン23は、内燃機関であれば種類を問わない。回転電機16は、動力伝達部材22によってエンジン23と機械的に接続され、電動機と発電機の機能を有する。エンジン23および回転電機16のうちで一方または双方で発生する動力は、トランスミッション15や動力伝達部材22を経て車輪14に伝達される。こうして車輪14に動力が伝達されることで車両100が走行する。トランスミッション15は、マニュアルでもよく、オートマチックでもよい。
【0025】
動力源として作動する場合の回転電機16は、バッテリ20からインバータ21を経て供給される電力を受けて電動機として機能する。回転電機16が動力伝達部材18から動力を受ける場合には、発電機として機能する。動力伝達部材18から動力を受ける例としては、例えばエンジン23が運転されている場合や、動力を必要としない状態で車両100が走行(例えば惰性走行や下り坂走行等)する場合などが該当する。
【0026】
図2に示す回転電機17は、始動制御部17aや回転電機本体部17bなどを有する。始動制御部17aは、外部装置EXとの間で信号を伝達可能に構成され、主にエンジン23を始動させるために回転電機本体部17bを作動する制御を行う。外部装置EXは、例えばECU(Electronic Control Unit)やコンピュータ等が該当する。回転電機本体部17bは、ステータ巻線Lu,Lv,Lwや界磁巻線Lfなどを有する(
図3を参照)。
【0027】
始動制御部17aは、バッテリ19から供給される電力を受けてエンジン23の始動に必要な電流を界磁巻線Lf(
図3を参照)に流す制御を行うほか、エンジン23を停止する前に次回のエンジン23の始動に必要な電力を確保する制御を行う。
図2に示す始動制御部17aは、信号出力手段171,始動可能性判定手段172,充電制御手段173,電力変換制御手段174などを有する。
【0028】
始動可能性判定手段172は、エンジン23の運転が不要な停止条件を満たすと、エンジン23の始動に必要な電力を供給できるか否かを判定する。すなわち、始動可能か始動不能かの始動可能性を判定する。始動可能と判定する場合は、信号出力手段171に判定結果信号SCを伝達する。始動不能と判定する場合は、バッテリ19への充電を行うために充電制御手段173に充電要求信号SDを伝達した後、充電制御手段173から充電完了信号SEを受けるまで待機し、充電完了信号SEを受けてから再び始動可能性を判定する。言い換えると、始動不能と判定する場合は、始動可能性と判定するまでバッテリ19に充電する制御を行う。
【0029】
始動可能性の判定を行うにあたり、始動可能性判定手段172は電力変換制御手段174に判定指令信号SFを伝達する。当該判定指令信号SFを受けた電力変換制御手段174は、電力変換を行って、回転電機本体部17bの界磁巻線Lfに界磁電流Ifを流すことなく(すなわちIf=0)、ステータ巻線Lu,Lv,Lwにステータ電流Isを流す(
図3,
図6,
図7をも参照)。界磁電流Ifとステータ電流Isは、判定用電流SHに相当する。そして、始動可能性判定手段172は、電圧センサ30によって計測されるバッテリ19の電圧値Vdと、電流センサ31によって計測される電流値(
図3に示すステータ電流Is)とに基づいて始動可能性を判定する。具体的な始動可能性の判定例については後述する(
図4,
図6を参照)。
【0030】
充電制御手段173は、エンジン23を停止させずにエンジン23の運転を継続し、回転電機17で発生する電力をバッテリ19に充電する制御を行う。バッテリ19への充電は、始動可能性判定手段172が始動不能と判定して伝達する充電要求信号SDを充電制御手段173が受けた場合に行う。充電要求信号SDを受けた充電制御手段173は、電力変換制御手段174に対して充電指令信号SGを伝達する。
【0031】
電力変換制御手段174は電力の変換を行う。本形態では、電力変換制御手段174が判定指令信号SFを受けると、バッテリ19から第1電力線PLを介して供給される電力を変換して回転電機本体部17bに出力する制御を行う。上述したように、界磁巻線Lfには界磁電流Ifを流さず、ステータ巻線Lu,Lv,Lwにステータ電流Isを流す。また、電力変換制御手段174が充電指令信号SGを受けると、回転電機本体部17bで発生する起電力EF(すなわち電力)を変換してバッテリ19に充電する制御を行う。電力変換制御手段174の構成例については後述する(
図3を参照)。
【0032】
信号出力手段171は、始動可能性判定手段172が判定結果信号SCを受けると、外部装置EXにエンジン23の停止を許可する停止許可信号SBを出力する。停止許可信号SBを受けた外部装置EXは、エンジン23を停止させるための制御(例えば燃料供給の停止など)を行う。
【0033】
図3に示す電力変換制御手段174は、インバータ制御部174aやインバータ174bなどを有する。インバータ制御部174aは、始動可能性判定手段172から伝達される判定指令信号SFや、充電制御手段173から伝達される充電指令信号SGなどの各種信号に基づいて、インバータ174bに含まれる複数のスイッチング素子Q1〜Q6,Qfの作動を制御する。
【0034】
インバータ174bは、スイッチング素子Q1〜Q6,Qf、ダイオードD1〜D6,Dfなどを有する。スイッチング素子Q1〜Q6,Qfは、いずれもスイッチング動作が可能な任意の半導体素子を適用できる。例えば、FET(具体的にはMOSFET,JFET,MESFET等)、IGBT、GTO、パワートランジスタなどが該当する。本形態ではIGBTを適用する。これらのスイッチング素子Q1〜Q6,Qfは、いずれもインバータ制御部174aから個別に伝達される信号に従ってオン/オフが駆動される。ダイオードD1〜D6,Dfは、それぞれ対応するスイッチング素子のコレクタ端子とエミッタ端子との間に並列接続される。これらのダイオードD1〜D6は、いずれもフリーホイールダイオードとして機能する。スイッチング素子Q1〜Q3やダイオードD1〜D3などは上アーム側に配置され、スイッチング素子Q4〜Q6やダイオードD4〜D6などは下アーム側に配置される。共通電位Gは、少なくともインバータ174b内で共通する電位(グラウンド)である。接地する場合の共通電位Gは0[V]になる。
【0035】
インバータ174b内の回路素子は、一点鎖線で囲って示すように三相(本例ではU相,V相,W相)が並列接続され、インバータ制御部174aによって相ごとに作動が制御される。U相は、スイッチング素子Q1,Q4やダイオードD1,D4などで構成される。V相は、スイッチング素子Q2,Q5やダイオードD2,D5などで構成される。W相は、スイッチング素子Q3,Q6やダイオードD3,D6などで構成される。U相のスイッチング素子Q1,Q4は、直列接続されてハーフブリッジを構成する。V相のスイッチング素子Q2,Q5と、W相のスイッチング素子Q3,Q6とについても同様に、直列接続されてハーフブリッジを構成する。ハーフブリッジの各接続点とインバータ174bのステータ巻線Lu,Lv,Lwとは、それぞれ線路Ku,Kv,Kwによって接続される。スイッチング素子Q1,Q4が駆動されると、ステータ巻線Luには線路Kuを経てU相電流Iuが流れる。スイッチング素子Q2,Q5が駆動されると、ステータ巻線Lvには線路Kvを経てV相電流Ivが流れる。スイッチング素子Q3,Q6が駆動されると、ステータ巻線Lwには線路Kwを経てW相電流Iwが流れる。U相電流Iu,V相電流Iv,W相電流Iwは、電流センサ31によってステータ電流Isとして計測される。
【0036】
またインバータ174b内の回路素子は、上述した三相に対して、スイッチング素子Qfが並列接続される。スイッチング素子Qfは、回転電機本体部17bの界磁巻線Lfと直列接続される。界磁巻線Lfを流れる電流は、電流センサ32によって界磁電流Ifとして計測される。
【0037】
図3では、ステータ巻線Lu,Lv,LwをY結線した回転電機本体部17bを示す。結線形態はY結線に限らず
、回転電機本体部17bの種類や定格等に応じて変えてもよい。図示しないが、ステータ巻線Lu,Lv,LwはΔ結線としてもよく、Y結線とΔ結線を組み合わせるY−Δ結線としてもよい。
【0038】
上述のように構成された回転電機17において繰り返し実行される始動制御処理について、
図4を参照しながら説明する。
図4のステップS19は信号出力手段171に相当する。ステップS11,S14,S15は始動可能性判定手段172(電力変換制御手段174を含む)に相当する。ステップS22(
図5の充電制御処理)は充電制御手段173(電力変換制御手段174を含む)に相当する。なお、始動制御処理を実行する前は、エンジン23が運転されており、分離スイッチ(スイッチ部SW2)がオンになっていると仮定する。当該分離スイッチのオン/オフ制御は、始動制御部17aが行う。
【0039】
図4の始動制御処理において、まずエンジン23を停止する停止条件を満たすか否かを判別する〔ステップS10〕。本形態では、外部装置EXから停止要求信号SAを受けるか否かで判別する。停止要求信号SAを受けるまで待機する(ステップS10でNO)。言い換えれば、ステップS11以降の処理を実行しない。
【0040】
停止要求信号SAを受けると(ステップS10でYES)、判定指令信号SFの伝達に従ってスイッチング素子Qfをオフして界磁巻線Lfへの通電を停止する〔ステップS11〕。界磁巻線Lfへの通電が停止されると、界磁電流Ifが減少し、ついには流れなくなる(すなわちIf=0)。そこで、界磁巻線Lfを流れる界磁電流Ifが0[A]に達するまで待機する(ステップS12でNO)。
【0041】
界磁巻線Lfに界磁電流Ifが流れなくなると(ステップS12でYES)、分離スイッチをオフにするとともに〔ステップS13〕、判定指令信号SFの伝達に従ってスイッチング素子Q1〜Q6を駆動してステータ巻線Lu,Lv,Lwへの通電を開始する〔ステップS14〕。このときの回転電機本体部17bは電動機として作動する。ステータ巻線Lu,Lv,Lwへの通電を開始すると、相電流Iu,Iv,Iwが流れるとともに、バッテリ19の端子電圧である電圧値Vdが変化する(通常は低下する)。
【0042】
そこで、電圧センサ30によって計測される電圧値Vdと、電流センサ31によって計測されるステータ電流Isとに基づいて始動可能性を判定する〔ステップS15〕。始動可能性の判定法は任意に設定してよい。本形態では、判定期間内において、ステータ電流Isが電流閾値Ith以上で維持され(Is≧Ith)、かつ、電圧値Vdが電圧閾値Vth以上で維持される場合には(Vd≧Vth)、始動可能と判定する。これに対して、ステータ電流Isが電流閾値Ithを下回るか(Is<Ith)、あるいは電圧値Vdが電圧閾値Vthを下回る場合は(Vd<Vth)、始動不能と判定する。
【0043】
ステップS15で行った判定が始動可能であれば(ステップS16でYES)、バッテリ19からエンジン23の始動に必要な電力を供給できる。そこで、判定のために行ったステータ巻線Lu,Lv,Lwへの通電を停止するためにスイッチング素子Q1〜Q6をオフにし〔ステップS17〕、分離スイッチをオンする〔ステップS18〕。こうしてエンジン23を停止するための準備が整ったので、判定結果信号SCに基づいて停止許可信号SBを外部装置EXに伝達する。停止許可信号SBを受けた外部装置EXは、エンジン23を停止するための制御を行う。
【0044】
一方、ステップS15で行った判定が始動不能であれば(ステップS16でNO)、バッテリ19の充電容量を増やすために充電を行う(ステップS20〜S22)。具体的には、ステップS17と同様にステータ巻線Lu,Lv,Lwへの通電を停止し〔ステップS20〕、分離スイッチをオンしたうえで〔ステップS21〕、充電制御処理を実行する〔ステップS22〕。
【0045】
図5に示す充電制御処理において、上記判定期間内に計測された電圧値Vdやステータ電流Isに基づいて充電時間CTや充電電流量CVを変化させる〔ステップS30〕。充電時間CTは充電を行う期間であり、充電電流量CVを充電時にバッテリ19へ流す電流量である。充電時間CTを設定(変化を含む。以下同じである。)してもよく、充電電流量CVを設定してもよく、充電時間CTと充電電流量CVの双方を設定してもよい。ステップS30は実行してもよく、実行しなくてもよい。実行しない場合には、充電時間CTや充電電流量CVをそれぞれの所定の一定値に設定する。
【0046】
充電時間CTや充電電流量CVを変化させる一例を
図6に示す。
図6には、左縦軸を充電時間CTと、右縦軸を充電電流量CVとし、横軸を電圧値Vdとしたときの特性線L1,L2を示す。通常は電圧値Vdが大きくなるほど、バッテリ19の充電容量(残量)も多いので、充電時間CTや充電電流量CVを小さくしてもよい。逆に電圧値Vdが小さくなるほど、バッテリ19の充電容量も少ないので、充電時間CTや充電電流量CVを大きくする必要がある。実線で示す特性線L1は曲線状に規定され、一点鎖線で示す特性線L2は曲線状に規定される。電圧値Vdと充電時間CTの関係は、特性線L1で規定してもよく、特性線L2で規定してもよい。電圧値Vdと充電電流量CVの関係も同様に、特性線L1で規定してもよく、特性線L2で規定してもよい。電圧値Vdが定まれば、特性線L1,L2に基づいて充電時間CTや充電電流量CVも定まる。
【0047】
上記電圧値Vdに代えて、
図6の括弧内に示すステータ電流Isを用いてもよく、電力値Ps(=Vd×Is)を用いてもよい。電圧値Vd,ステータ電流Is,電力値Psのうちで二以上を用いてもよい。二以上を用いる場合は、複数の充電時間CTや充電電流量CVが定まるので、一つの値を選択したり、単純平均や加重平均等を求めたりすればよい。
【0048】
図5に戻り、充電時間CTや充電電流量CVを設定した後、充電要求信号SDおよび充電指令信号SGに基づいて充電を開始する〔ステップS31〕。具体的には、まだ停止していないエンジン23の動力を利用する。すなわちエンジン23から動力伝達部材18を経て伝達される動力に基づいて、回転電機本体部17bを発電機として機能させる。回転電機本体部17bで発生する起電力EFは、電力変換制御手段174や第1電力線PLを経てバッテリ19に伝達させ充電する(
図1,
図2を参照)。
【0049】
上記ステップS31の充電は充電終了条件を満たすまで継続する(ステップS32でNO)。充電終了条件は、充電を終える条件であれば任意に設定してよく、充電時間CTや充電電流量CVを含む。充電終了条件を満たすと(ステップS32でYES)、充電完了信号SEおよび充電指令信号SGに基づいて充電を終了し〔ステップS33〕、充電制御処理を終了(リターン)する。
【0050】
上述した回転電機17(具体的には
図2,
図3に示す始動制御部17a)による制御例(変化例を含む)を
図7に示す。横軸を時刻tとする。縦軸には上から順番に、停止条件成立フラグFL,スイッチ部SW2(分離スイッチ),ステータ電流Is,界磁電流If,電圧値Vd,エンジン23の回転数Rについてそれぞれ経時的変化の一例を示す。なお、時刻t1よりも前は、エンジン23が運転されていると仮定する。
【0051】
時刻t1に外部装置EXから停止要求信号SAを受けると停止条件を満たすので(
図4のステップS10でYES)、停止条件成立フラグFLをロー(
図7では「L」と示す)からハイ(
図7では「H」と示す)にする。停止条件成立フラグFLがハイになると、回転電機本体部17bへの通電を停止し、少なくとも界磁電流Ifが0[A]に達するまで待機する(
図4のステップS12)。
図7の例では、時刻t1に電流値If1であった界磁電流Ifが時刻t2に0[A]に達する。ステータ電流Isは、通電時の電流値Is2から0[A]になっている。時刻t1から時刻t2までの期間は一定とは限らない。
【0052】
時刻t2に界磁電流Ifが0[A]に達したので、スイッチ部SW2をオンからオフに切り換え(
図4のステップS13)、次回のエンジン23の始動に必要な電力をバッテリ19が蓄えているか否かの判定を行う(
図4のステップS15)。例えば、時刻t2から時刻t3までのチェック区間Chk1において、ステータ電流Isが電流閾値Ith以下を維持でき、かつ、電圧値Vdが電圧閾値Vth以上を維持できるか否かで判定する。
【0053】
図7に実線で示す変化例では、ステータ電流Isが電流閾値Ith以下となる電流値Is1で維持できた(Ith>Is1)。しかし、スイッチ部SW2のオフに伴って、バッテリ19の電圧値Vdは電圧値Vd3から電圧値Vd2に低下し、さらにチェック区間Chk1を経過すると電圧閾値Vthを下回る電圧値Vd1まで低下している(Vd3>Vd2>Vth>Vd1)。
図7に二点鎖線で示す変化例のように、電圧値Vdが電圧閾値Vth以上を維持できたものの、ステータ電流Isが電流閾値Ithを下回っている。電圧値Vdが電圧閾値Vthを下回り、ステータ電流Isが電流閾値Ithを下回る場合も同様である。いずれの場合でも、
図4に示すステップS15では「始動不能」と判定される。そこで、時刻t3ではステータ電流Isへの通電を停止して、ステータ電流Isを0[A]にする。
【0054】
「始動不能」と判定されたので、スイッチ部SW2をオフからオンに切り換え(
図4のステップS21)、時刻t3以降はエンジン23の運転を停止することなく、回転電機本体部17bを発電機として機能させてバッテリ19への充電を行う。すなわちエンジン23の回転数Rが0[rpm]を超える回転数(通常はアイドリング回転数以上)で維持される。そのため、回転数Rは二点鎖線で示すように一定回転数になるとは限らない。
図7の制御例では、時刻t3の時点における電圧値Vdに基づいて、
図6に示す特性線L1から充電時間CTを特定し、特性線L2から充電電流量CV(
図7では電流値Is3)を特定する。よって、時刻t3から充電時間CTに相当する充電区間CS(すなわちCS=CT)を経過する時刻t4まで、充電電流量CVに対応する電流値Is3を確保しながらバッテリ19への充電を行う。起電力EFの発生によって、
図7の変化例では界磁電流Ifに電流値If2が流れている。なお、電流値Is3を確保できない場合は、回転電機本体部17bの起電力EFで確保できる最大の電流で充電するとよい。
【0055】
充電区間CSを経過する時刻t4には充電終了条件を満たすので、バッテリ19への充電を終了する(
図5のステップS32,S33)。続いて、再び回転電機本体部17bへの通電を停止し、少なくとも界磁電流Ifが0[A]に達するまで待機する(
図4のステップS12)。
図7の例では、時刻t5に界磁電流Ifが0[A]に達する。そして、再び次回のエンジン23の始動に必要な電力をバッテリ19が蓄えているか否かの判定を行う(
図4のステップS15)。判定方法は、上述したチェック区間Chk1と同様である。
【0056】
時刻t5から時刻t6までのチェック区間Chk2において、ステータ電流Isが電流閾値Ith以下を維持でき、かつ、電圧値Vdが電圧閾値Vth以上を維持できるか否かで判定する。
図7に実線で示す変化例では、ステータ電流Isが電流閾値Ith以下となる電流値Is1で維持できた(Ith>Is1)。また、スイッチ部SW2のオフに伴ってバッテリ19の電圧値Vdは充電時の電圧値Vd7から電圧値Vd6に低下し、さらにチェック区間Chk2を経過する時刻t6には電圧値Vd5まで低下したが、電圧閾値Vth以上を確保できた(Vd7>Vd6>Vd5>Vth)。よって、
図4に示すステップS15では「始動可能」と判定される。そのため、時刻t6には外部装置EXに停止許可信号SBを伝達する(
図4のステップS19)。外部装置EXが停止許可信号SBを受けて、エンジン23を停止させる制御を行い、時刻t7には回転数Rが0[rpm]になった。エンジン23が停止した時刻t7以降、停止条件成立フラグFLをローにする。
【0057】
図示しないが、時刻t5からチェック区間Chk2を経過するまでに、ステータ電流Isが電流閾値Ith以下を維持でき、かつ、電圧値Vdが電圧閾値Vth以上を維持できなければ、再びバッテリ19への充電を行うために充電区間CSを設ける。すなわち充電区間CSを2回以上実施する。こうすることにより、バッテリ19のバッテリ容量を確実回復させることができ、エンジン23の始動をより確実に行える。
【0058】
その後、エンジン23の運転が必要な始動条件を満たすと、外部装置EXは始動制御部17aに始動信号を伝達して回転電機本体部17bを作動させたり、エンジン23に燃料を供給する制御を行ったりするなどして、エンジン23を始動させる。始動条件は任意に設定してよい。例えば、アクセルペダルが踏まれる条件、ブレーキペダルが解放される(踏まれない)条件、始動操作が行われる条件などが該当する。
【0059】
〔実施の形態2〕
実施の形態2は
図8を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするため、特に明示しない限り、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。よって、主に実施の形態1と相違する点を説明する。
【0060】
図8に示す車両110は、ガソリン自動車の構成例である。本明細書でいうガソリン自動車は、化石燃料(石油や天然ガス等)の燃焼によって動力を得る車両を意味する。この車両110は、バッテリ11,19、電気負荷12、車輪14、トランスミッション15、回転電機17、動力伝達部材18,22、エンジン23などを有する。
【0061】
エンジン始動システム10Aは、実施の形態1と同様に、少なくとも回転電機17や電圧センサ30などを含む。また、回転電機17を構成する始動制御部17aや回転電機本体部17bも実施の形態1と同様に構成できる(
図2,
図3を参照)。この構成によれば、
図4に示す始動制御処理や
図5に示す充電制御処理を実行することができるので、
図7に示すような制御例を実現することができる。
【0062】
〔実施の形態3〕
実施の形態3は
図9,
図10を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするため、特に明示しない限り、実施の形態1,2で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。よって、主に実施の形態1,2と相違する点を説明する。
【0063】
図9に示す車両120は、実施の形態1と同様に、ハイブリッド自動車の構成例である。この車両120は、バッテリ11,19,20、電気負荷12、コンバータ13、車輪14、トランスミッション15、回転電機16,51、動力伝達部材18,22、インバータ21、エンジン23、電力変換制御装置24、始動制御部50などを有する。これらの要素のうちで、エンジン始動システム10Bは、少なくとも始動制御部50,回転電機51,電圧センサ30(
図10を参照)などを含む。
【0064】
車両120が
図1に示す車両100と相違するのは、エンジン始動システム10の構成である。すなわち、車両100は回転電機17に始動制御部17aを組み込んだのに対して、車両120は回転電機51とは別個に始動制御部50を備える。始動制御部50は、始動制御部17aに相当し、外部装置EXと回転電機51との間に介在させる。言い換えると、従来のハイブリッド自動車に始動制御部50を付加すればよい。この始動制御部50は、ECUやコンピュータ等が該当する。
【0065】
図10に示す始動制御部50は、エンジン停止手段50a,始動可能性判定手段50b,充電制御手段50c,電力変換制御手段50dなどを有する。エンジン停止手段50aは、始動可能性判定手段50bによってエンジン23の始動に必要な電力を供給できると判定された場合にエンジン23を停止させる機能を担う。このエンジン停止手段50aは、
図2に示す信号出力手段171と同様に構成してもよく、当該信号出力手段171の機能と外部装置EXの機能とを含む構成してもよい。後者の構成では、始動可能性判定手段50bから伝達される判定結果信号SCに基づいて、エンジン23を停止するための制御(例えば燃料供給の停止など)を行う。
【0066】
始動可能性判定手段50bは、
図2に示す始動可能性判定手段172と同様に構成する。充電制御手段50cは、
図2に示す充電制御手段173と同様に構成する。電力変換制御手段50dは、
図2に示す電力変換制御手段174と同様に構成する。回転電機51は、
図2に示す回転電機本体部17bと同様に構成する。
【0067】
上述した構成によれば、
図4に示す始動制御処理や
図5に示す充電制御処理を実行することができるので、
図7に示すような制御例を実現することができる。
【0068】
〔実施の形態4〕
実施の形態4は
図11を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするため、特に明示しない限り、実施の形態1〜3で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。よって、主に実施の形態1〜3と相違する点を説明する。
【0069】
図11に示す車両130は、実施の形態2と同様に、ガソリン自動車の構成例である。この車両130は、バッテリ11,19、電気負荷12、車輪14、トランスミッション15、回転電機51、動力伝達部材18,22、エンジン23、始動制御部50などを有する。
【0070】
エンジン始動システム10Bは、実施の形態3と同様に、少なくとも始動制御部50,回転電機51,電圧センサ30(
図10を参照)などを含む。この構成によれば、
図4に示す始動制御処理や
図5に示す充電制御処理を実行することができるので、
図7に示すような制御例を実現することができる。
【0071】
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための形態について実施の形態1〜4に従って説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
【0072】
上述した実施の形態1,2に示す回転電機17と、実施の形態3,4に示す回転電機51は、いずれも電動機と発電機の機能を兼ね備える構成とした(
図1,
図8,
図9,
図11を参照)。この形態に代えて、電動機と発電機を別個に備える構成としてもよい。電動機は回転電機を電動機として機能させる場合を含む。発電機は回転電機を発電機として機能させる場合を含む。例えば、実施の形態1,2に示す回転電機本体部17b(
図2を参照)に代えて、電動機17cと発電機17dを備える例を
図12に示す。同様に、実施の形態3に示す回転電機51(
図9を参照)に代えて、電動機51aと発電機51bを備える例を
図13に示す。
図13において、エンジン始動システム10Cは、少なくとも始動制御部50,電動機51a,発電機51b,電圧センサ30などを含む。図示しないが、実施の形態4に示す回転電機51(
図11を参照)に代えて、電動機51aと発電機51bを備える場合も同様である。回転電機を備えるか、電動機と発電機を備えるかの相違に過ぎないので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
【0073】
上述した実施の形態1〜4では、電圧センサ30や電流センサ31は、始動制御部17a,50と別体に備える構成とした(
図2,
図3,
図10を参照)。この形態に代えて、電圧センサ30および電流センサ31のうちで一方または双方を始動制御部17a,50と一体に備える構成としてもよい。電流センサ32やスイッチ部SW2(分離スイッチ)についても同様である。別体に備えるか一体に備えるかの相違に過ぎないので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
上述した実施の形態1〜4では、始動制御部17a,50は、外部装置EXと別体に備える構成とした(
図2,
図9,
図11,
図12を参照)。この形態に代えて、始動制御部17a,50と外部装置EXとを一体に備える構成、すなわち外部装置EXに始動制御部17a,50を設ける構成としてもよい。別体に備えるか一体に備えるかの相違に過ぎないので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
【0075】
上述した実施の形態1,2では、信号出力手段171と始動可能性判定手段172を別体に備える構成とした(
図2を参照)。この形態に代えて、信号出力手段171と始動可能性判定手段172を一体に構成としてもよい。同様に実施の形態3,4では、エンジン停止手段50aと始動可能性判定手段50bを別体に備える構成とした(
図10を参照)。この形態に代えて、エンジン停止手段50aと始動可能性判定手段50bを一体に構成としてもよい。別体で構成するか、一体に構成するかの相違に過ぎないので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
【0076】
〔作用効果〕
上述した実施の形態および他の実施の形態によれば、以下に示す各効果を得ることができる。
【0077】
(1)回転電機17において
、始動制御部17aは、
エンジン23の運転が不要な停止条件を満たすと、外部装置EXから停止要求信号SAが伝達され、界磁巻線Lfに
界磁電流Ifを流すことなく、
バッテリ19からステータ巻線Lu,Lv,Lwに
ステータ電流Isを流し、電圧センサ30によって計測される電圧値Vd
が電圧閾値Vth以上、かつ、電流センサ31によって計測されるステータ電流Is(電流値)
が電流閾値Ith以上であるか否かでバッテリ19が
次回のエンジン23の始動に必要な電力を供給できるか否かを判定する始動可能性判定手段172と、始動可能性判定手段172によってエンジン23の始動に必要な電力を供給できると判定された場合には、
エンジン23を停止させるべく外部装置EXにエンジン23の停止を許可する停止許可信号SBを出力する信号出力手段171とを有する構成とした(
図1〜8,
図12を参照)。
【0078】
この構成によれば、始動可能性判定手段172は、停止条件を満たす場合(特にエンジン23の停止直前)にバッテリ19の電圧値Vdとステータ巻線Lu,Lv,Lwに流れるステータ電流Isの計測を行う。計測された電圧値Vd
が電圧閾値Vth以上、かつ、計測されたステータ電流Isが電流閾値Ith以上であるか否かでバッテリ19が
次回のエンジン23の始動に必要な電力を供給できるか否かを判定する。この判定は、エンジン23を停止するまでのエンジン23の運転状況などによる影響を受けないので、判定精度を従来よりも向上させることができる。また、界磁巻線Lfに電流を流さない状態でステータ巻線Lu,Lv,Lwにステータ電流Isを流すため、回転電機17には出力トルクが生じない。そのため、エンジン23が不用意に作動するのを防止できる。
【0079】
(2)始動制御部17a,50は、始動可能性判定手段172,50bによってエンジン23の始動に必要な電力を供給できないと判定された場合には、エンジン23を停止させずにエンジン23の運転を継続し、回転電機17,51で発生する電力をバッテリ19に充電する制御を行う充電制御手段173,50cをさらに有し、信号出力手段171(あるいはエンジン停止手段50a)は、バッテリ19への充電を終了する充電終了条件を満たすまで充電制御手段173,50cによるバッテリ19への充電を行った後、停止許可信号SBを出力する構成とした(
図4,
図5,
図7を参照)。この構成によれば、充電制御手段173,50cは、停止条件を満たす場合でも、エンジン23の運転を強制的に続けることで発電を行って、バッテリ19への充電を行う。また、充電制御手段173,50cによって充電終了条件を満たすまで充電を行う。よって、バッテリ19への充電によってバッテリ容量が回復することが十分に考えられるため、エンジン23の始動をより確実に行え、判定精度も向上する。
【0080】
(3)充電終了条件は、充電を行う時間である充電時間CTと、充電を行う電流量である充電電流量CVとのうちで一方または双方を含む構成とした(
図5のステップS32を参照)。この構成によれば、バッテリ19への充電を終了する時期を容易に設定できる。
【0081】
(4)充電制御手段173,50cは、始動可能性判定手段172,50bによってエンジン23の始動に必要な電力を供給できないと判定されると、電圧センサ30によって計測される電圧値Vdに基づいて充電時間CTおよび充電電流量CVのうちで一方または双方を変化させる構成とした(
図5〜
図7を参照)。この構成によれば、停止条件を満たしてからエンジン23を停止させるまでの時間を最適化でき、当該時間を最小限に抑えられる。また、始動可能性判定手段172,50bによる判定の頻度を最小化し、無駄な電力消費を抑制することが可能となる。
【0082】
(5)バッテリ19と接続される第1電力線PLと、バッテリ19とは別個の電力源であるバッテリ11と接続される第2電力線CLとの接続/非接続を切り換えるスイッチ部SW2を有し、始動制御部17a,50は、少なくとも停止条件を満たしてからエンジン23の始動に必要な電力を供給できるか否かを判定するまでの間、第1電力線PLと第2電力線CLとを接続
しないようにスイッチ部SW2(分離スイッチ)を切り換える構成とした(
図1,
図4,
図8,
図9,
図11,
図13を参照)。この構成によれば、始動可能性を判定する際に第1電力線PLと第2電力線CLとを非接続(すなわちスイッチ部SW2をオフ)にすることで、バッテリ19のバッテリ容量に基づいてエンジン23の始動可能性を的確に判定することができる。
【0083】
(6)エンジン始動システム10B,10Cにおいて
、始動制御部50は、停止条件を満たすと、
外部装置EXから停止要求信号SAが伝達され、界磁巻線Lfに
界磁電流Ifを流すことなく、
バッテリ19からステータ巻線Lu,Lv,Lwに電流を流し、電圧センサ30によって計測される電圧値Vd
が電圧閾値Vth以上、かつ、電流センサ31によって計測される
ステータ電流Isが電流閾値Ith以上であるか否かでバッテリ19が
次回のエンジン23の始動に必要な電力を供給できるか否かを判定する始動可能性判定手段50bと、始動可能性判定手段50bによってエンジン23の始動に必要な電力を供給できると判定された場合には、エンジン23を停止させるエンジン停止手段50aとを有する構成とした(
図9〜
図11,
図13を参照)。
【0084】
この構成によれば、始動可能性判定手段50bは、停止条件を満たす場合(特にエンジン23の停止直前)にバッテリ19の電圧値Vdとステータ巻線Lu,Lv,Lwに流れるステータ電流Isの計測を行う。計測された電圧値Vd
が電圧閾値Vth以上、かつ、計測されたステータ電流Is(電流値)
が電流閾値Ith以上であるか否かで、バッテリ19が
次回のエンジン23の始動に必要な電力を供給できるか否かを判定する。この判定は、エンジン23を停止するまでのエンジン23の運転状況などによる影響を受けないので、判定精度を従来よりも向上させることができる。また、界磁巻線Lfに電流を流さない状態でステータ巻線Lu,Lv,Lwにステータ電流Isを流すため、回転電機51(51a,51b)には出力トルクが生じない。そのため、エンジン23が不用意に作動するのを防止することができる。