(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ファンにより空気を取り込んで冷却を行う空冷用衣料に装着される空冷衣料用通風器であって、前記空冷用衣料の肩部分内面へ装着される板状の基体と、前記肩部分内面から内側に向けて前記基体から突出した複数の突起と、前記基体を前記肩部分内面へ装着する装着手段とを備え、前記複数の突起は、前記基体の平面方向かつ前記空冷用衣料の肩線方向、および、前記基体の平面方向かつ前記空冷用衣料の肩線方向に直交する方向に、それぞれ所定間隔を置いて配置され、これら複数の突起間において、通風路を形成し、前記装着手段は、前記突起間において、該突起よりも低い状態とした空冷衣料用通風器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる空冷用衣料2に空冷用送風機1を装着した状態を示すものである。
空冷用衣料2は、この実施形態では、人体の上半身に着る上着を例にしており、その背中部分の下方に、2個の空冷用送風機1が装着されている。
この空冷用衣料2は、基本的には空気の透過性が悪い材料によって形成されているので、空冷用送風機1によって空冷用衣料2内に吸引された空気(外気)は、人体と空冷用衣料2の間に形成される隙間を経由し、襟元3や、袖口4から空冷用衣料2外へと吹き出される。
そして、このように空気(外気)が、人体と空冷用衣料2の間に形成される隙間を流れるときに、人体表面の汗を蒸発させ、それを空冷用衣料2外へと排出することで、発汗作用を増長し、空冷効果を発揮するものである。
【0013】
なお、本実施形態の空冷用衣料2は、空冷用送風機1装着部分の下方、つまり、人体の腰対向部分に、絞り部分2aを設け、空冷用衣料2内に吸入した外気は、上述のごとく、襟元3や、袖口4から空冷用衣料2外へと吹き出させるようにしている。
すなわち、顔や、首筋や手首部分に送風するほうが、涼しいと感じる着用者が多いので、上述のごとく、空冷用送風機1によって吸引した空気(外気)は空冷用衣料2の上方へと偏った状態で流すようにしている。
【0014】
また、空冷用送風機1は、
図2〜
図4に示すように、空冷用衣料2への取り付け角度を調整することで、襟元3と、袖口4からの空気(外気)流出量を調整し、個人の冷却に対する好みに応えることができるようになっており、この点は、あとで詳細に説明する。
【0015】
以下、空冷用送風機1の構成について詳細に説明する。
空冷用送風機1は、
図5〜
図8に示すように、一端側(空冷用衣料2の外側)に空気吸入口5a、他端側(空冷用衣料2の内側)に空気吹出口5bを有する筒状ファンケース6と、この筒状ファンケース6内の中心軸X部分に設けられたファン7と、このファン7を駆動するモータ8と、前記筒状ファンケース6の外周壁の全周部分から、外周方向に突出形成された取付フランジ9と、前記筒状ファンケース6の外周部分において、前記取付フランジ9に係合させられるリング状の取付リング10と、を備えている。
【0016】
本実施形態で特徴的なのは、以下の4点である。
(1)
図5〜
図14に示すように、筒状ファンケース6の一端側(空冷用衣料2の外側)に空気吸入口5a、他端側(空冷用衣料2の内側)に空気吹出口5bを設けた。
(2)また、前記取付フランジ9を、筒状ファンケース6の空気吸入口5a、空気吹出口5b間の外周壁部分において、前記筒状ファンケース6の中心軸Xに対して傾斜した状態で、筒状ファンケース6の外周壁部分から、外周方向に一体形成した。
(3)さらに、この取付フランジ9の円周部の一部、またはその近傍の筒状ファンケース6部分に、爪状の第1の係止部11、この第1の係止部11に対して、前記筒状ファンケース6の中心軸Xを介して対向する側の取付フランジ9の円周部の一部、またはその近傍の筒状ファンケース6部分に、貫通孔状の第2の係止部12を、それぞれ設けた。
つまり、第1の係止部11、第2の係止部12は、筒状ファンケース6の長手方向(空気吸入口5a、空気吹出口5bの間)において、設置位置を異ならせている。
具体的には、第1の係止部11は、
図5、
図6から理解されるように、第2の係止部12よりも、空気吹出口5b側に設けられている。つまり、第1の係止部11は、筒状ファンケース6の空気吹出口5b側の端部において、形成されているものであり、この状態では、第2の係止部12よりも、空気吹出口5b側に設けられていることになるのである。
また、貫通孔状の第2の係止部12は、
図5、
図6から理解されるように、筒状ファンケース6の外周部分に設けられているので、上記筒状ファンケース6の空気吹出口5b側の端部に形成された第1の係止部11よりも、空気吸入口5a側に設けられていることになるのである。
(4)さらにまた、
図5、
図6、
図7、
図16〜
図20に示すように、前記取付リング10の、前記第1の係止部11に対応する部分に、切欠き状の第1の係合部13、前記第2の係止部12に対応する前記取付リング10部分に、爪状の第2の係合部14を設けたことである。
【0017】
すなわち、本実施形態では、筒状ファンケース6の他端側に空気吹出口5bを設け、また、筒状ファンケース6の空気吸入口5a、空気吹出口5b間部分の外周壁部分に設けた取付フランジ9は、前記筒状ファンケース6の中心軸Xに対して傾斜した状態で形成し、さらに、この取付フランジ9に対して取付リング10を係合させる構成としたので、
図5、
図6から理解されるように、空冷用送風機1は空冷用衣料2の貫通孔15部分に、傾斜状態で装着され、その結果として、
図6のごとく、筒状ファンケース6他端側の空気吹出口5bも、空冷用衣料2の外気排出側(上方の襟元3や、袖口4)へと傾いた状態となる。
このため、筒状ファンケース6の空気吹出口5bから吹き出した空気(外気)の大部分を、
図2〜
図4から理解されるように、空冷用衣料2の外気排出側(上方の襟元3や、袖口4)へと効果的に流すことができるようになり、その結果として、空冷用送風機1として小型化しやすくなる。
【0018】
また、小型化した空冷用送風機1は扱いやすく、しかも、取付フランジ9が傾斜状態となっているので、取付リング10の係合作業、あるいは係合解除作業、つまり空冷用衣料2への空冷用送風機1の装着、および、その後の取り外しが簡単に行え、使い勝手の良いものとなる。
【0019】
つまり、本実施形態では、上述した傾斜状態の取付フランジ9の一部、またはその近傍の筒状ファンケース6に、爪状の第1の係止部11、この第1の係止部11に対して、前記筒状ファンケース6の中心軸Xを介して対向する側の取付フランジ9の一部、またはその近傍の筒状ファンケース6に、貫通状の第2の係止部12を設け、前記取付リング10の、前記第1の係止部11に対応する部分に、切欠き状の第1の係合部13、前記第2の係止部12に対応する部分に、第2の係合部14を設けた。
また、この状態において、前記第1、第2の係止部11、12は、筒状ファンケース6の長手方向の位置に差を持たせた状態で配置したものである。
【0020】
このため、例えば、
図5、
図6のように、空冷用衣料2に空冷用送風機1を装着するときには、まず、空冷用衣料2の貫通孔15に、この空冷用衣料2の表側から、空冷用送風機1の空気吹出口5bを挿入し、その取付フランジ9の空気吹出口5b側の面を空冷用衣料2の貫通孔15の開口縁に当接させる。
次に、取付リング10を、空冷用衣料2の裏側から筒状ファンケース6の外周壁部分に嵌め込み、取付フランジ9側に摺動移動させ、その後、前記取付フランジ9側の第1の係止部11と、取付リング10の第1の係合部13を当接させ、ここで、前記取付フランジ9側の第1の係止部11と、取付リング10の第1の係合部13を係合させ、次に、この部分を軸として、前記取付リング10の第2の係合部14を取付フランジ9側の第2の係止部12方向に摺動移動させながら係合させれば、空冷用送風機1を空冷用衣料2に簡単に装着することができ、作業性の良いものとなる。
【0021】
また、取付リング10を取付フランジ9から係合解除する時には、前記取付フランジ9側の第1の係止部11、取付リング10の第1の係合部13の係合部分を軸として、前記取付リング10の第2の係合部14を、取付フランジ9側の第2の係止部12から引き外せば良い。
その後、取付リング10を、筒状ファンケース6の空気吹出口5b側へと摺動させ、筒状ファンケース6から取り外せば、空冷用送風機1を空冷用衣料2から簡単に取り外すことができ、作業性の良いものとなる。
【0022】
これに対して、取付フランジがファンケースに対して直交する方向に突出した従来例の場合は、取付フランジの第1、第2の係止部が、筒状ファンケースの長手方向において同一の位置に設けられた状態となっているので、これらの取付フランジへの取付リングの係合作業、あるいは係合解除作業は、第1の係止部と第1の係合部、第2の係止部と第2の係合部、それぞれの、係合、または解除を同時に行うことになることが多く、作業が煩雑となる。
【0023】
つまり、本実施形態では、取付フランジ9を傾斜させ、第1、第2の係止部11、12の、筒状ファンケース6の長手方向(軸方向)の位置に差を持たせたものであるので、取付フランジ9への取付リング10の係合作業、および、その状態からの係合解除作業が簡単に行えるものとなり、その結果として、空冷用送風機1の空冷用衣料2への装着作業、および、取り外し作業が極めて行いやすいものとなり、使い勝手の良いものとなるのである。
【0024】
なお、本実施形態では、前記取付フランジ9の筒状ファンケース6の空気吹出口5b側の傾斜部、またはその近傍に、第1の係止部11を設けたので、取付リング10の第2の係合部14の係合ストロークを、空気吸入口5a側へと大きく取れるので、作業性の良いものとなる。
また、本実施形態では、前記取付フランジ9の第1の係止部11と、前記取付リング10の第1の係合部13は、それぞれ複数個設けているので、第1の係止部11および第1の係合部13の係合部分を軸として、取付リング10の第2の係合部14側を、取付フランジ9側の第2の係止部12へと回動動作させる、取付リング10の着脱動作が安定するものとなる。
【0025】
さらに、本実施形態では、前記取付フランジ9、またはその近傍の筒状ファンケース6部分で、筒状ファンケース6の第一の係止部11よりも空気吸込口5a側(空気吹出口5bよりも空気吸込口5a側)に、第2の係止部12を設けたので、取付リング10の第2の係合部14の、前記第2の係止部12への係合ストロークを大きく取ることができ、着脱の実感が体感でき、作業性の良いものとなる。
【0026】
また、本実施形態では、傾斜した取付フランジ9が、空気吸込口5aに接近する側の、この取付フランジ9の筒状ファンケース6の空気吹出口5b側(空気吸込口5aよりも空気吹出口5b側)に、
図22〜
図27のように、モータ8への通電部16を設け、ここに、通電用のプラグ17を着脱自在に挿入する構成としている。
つまり、この部分は、取付フランジ9から離れた部分となるので、通電部16を設定しやすく、また、プラグ17の着脱時に取付フランジ9が邪魔になることも少ない。
【0027】
さらに、本実施形態では、前記取付リング10の第2の係合部14は、
図21に示すように、断面視してU字状であり、この取付リング10の、前記筒状ファンケース6の空気吸込口5a側(空気吹出口5bよりも空気吸込口5a側)部分において、同取付リング10に一体化され、この一体化部分から、この取付リング10よりも、前記筒状ファンケース6の空気吹出口5b側へと延長形成されている。
つまり、このように第2の係合部14を取付リング10の、前記筒状ファンケース6の空気吸込口5a側から、前記筒状ファンケース6の空気吹出口5b側へと、しかも、取付リング10よりも空気吹出口5b側にまで、延長形成することで、長いレバー状とすることができ、その結果、操作において先端側に外力が加えられる際、基側が支点となって撓みやすく、操作性の良いものとなる。
【0028】
また、本実施形態では、
図15、
図16に示すように、前記取付リング10の第2の係合部14近傍に、前記モータ8への通電部に接続するプラグ17が貫通する貫通孔18を設けている。このため、プラグ17が通電部16に装着された状態では、プラグ17が取付リング10の貫通孔18を貫通した状態となり、その結果、取付リング10の第2の係合部14と上記筒状ファンケース6側の第2の係止部12の係合が、不用意に解除されにくいものとなる。
【0029】
さらに、本実施形態では、前記取付フランジ9またはその近傍の筒状ファンケース6部分の第1の係止部11と、第2の係止部12間の部分には、
図5、
図12、
図13、
図22などに示すように、前記筒状ファンケース6一端側の空気吸入口5a、他端側の空気吹出口5b間において、外周方向に向けて交互に突出する第1の凹凸部19を設けている。また、
図15〜
図18に示すように、取付リング10の、前記第1の凹凸部19に対応する部分には、内側に向けて交互に突出する第2の凹凸部20を設けている。
このため、筒状ファンケース6の外周部分における、筒状ファンケース6、取付フランジ9側の第1の係止部11、第2の係止部12と、前記取付リング10側の第1の係合部13、第2の係合部14との、係合間を、これらの第1、第2の凹凸部19、20で係合状態とすることができる。
また、第1、第2の凹凸部19、20は、それぞれ複数の凹凸により形成しているので、各凹凸を介することで摺動が小刻みとなり、取付フランジ9と取付リング10とを、凹凸の数に応じた任意の間隔で係合することで空冷用衣料2の厚みの違いを吸収し、取り付けを安定させることにもなり、極めて有用なものとなる。
【0030】
また、以上のように着脱する取付リング10は、筒状ファンケース6、または取付フランジ9よりも明色としている。
つまり、取付リング10を、筒状ファンケース6、または取付フランジ9とは別の色とし、しかも明るい色にすることで、この取付リング10が、筒状ファンケース6、または取付フランジ9とは別物と認識し、取付リング10を、筒状ファンケース6に装着、またはその状態から取り外すことが容易に行えるものとなる。
さらに、前記取付リング10は、蛍光色とすれば、暗所でも、その脱着作業が行いやすいものとなる。
【0031】
また、本実施形態では、
図22のように、前記筒状ファンケース6の空気吹出口5b部分に、送風ガイド21を設け、この送風ガイド21の中心部には、
図6に示すようにモータ8を取り付けるモータ取付部22を設け、このモータ取付部22の筒状ファンケース6外部分には、第1の取付基準マーク23を設けている。また、フランジ9には、
図9に示すように第2の取付基準マーク35も設けている。
このため、第1の取付基準マーク23または第2の取付基準マーク35を利用して、
図2〜
図4の送風状態を形成することができる。
【0032】
たとえば、
図2において第1の取付基準マーク23を、空冷用衣料2の裏側において、目印となる枠状縫い目24の二つのコーナ25、26、あるいはその中間(これらのコーナ25、26、あるいはその中間は、空冷用衣料2にとっての取り付け基準マークになる)に合わせれば、外気の吹き出し方向を調整することができるのである。
つまり、傾斜状態の取付フランジ9と、取付リング10を用いて空冷用送風機1を、空冷用衣料2に取り付けているので、
図2〜
図4に示すように、角度を調整することで、襟元3と、袖口4からの外気流出量を調整し、個人の冷却に対する好みに応えて調整することができるのである。このことは、空冷用衣料2の生地上において、第2の取付基準マーク35が互いに離れる方向に、または、互いに向き合う方向に、空冷用送風機1を回転させても同様である。
【0033】
また、本実施形態では、
図6、
図22のように、前記モータ取付部22の筒状ファンケース6内部分には、モータ8の駆動回路27を設けたので、この点からも空冷用送風機1の小型化を図りやすいものとなる。
つまり、この部分は、モータ8が存在する部分で、もともと外気の流れの少ない部分であるので、この空間を利用し、駆動回路27を設け、小型化を図ったものである。
【0034】
なお、駆動回路27は
図24に示すように、バッテリー28から制御回路29を介して供給された電圧を、入力電圧検出回路30、昇圧回路31、出力電圧検出回路32を介してモータ8に供給する回路であり、入力電圧検出回路30と出力電圧検出回路32の電圧は比較増幅回路33を介してフィードバック制御されるようになっている。
また、バッテリー28、制御回路29は
図23に示す外部ケース34内に収納され、身体の例えば、腰部分に保持される。
なお、前記モータの駆動回路27は、入力電圧に比例したモータ駆動電圧を、モータ8に出力する構成としている。
【0035】
以上の説明で、本実施形態の基本的な構成が理解されたところで、以下に、本実施形態の最大の特徴点について説明する。
【0036】
本実施形態では、上述のように、筒状ファンケース6の他端側に空気吹出口5bを設け、また、筒状ファンケース6の空気吸入口5a、空気吹出口5b間部分の外周壁部分に設けた取付フランジ9は、前記筒状ファンケース6の中心軸Xに対して傾斜した状態で形成し、さらに、この取付フランジ9に対して取付リング10を係合させる構成とした。
このため、
図5、
図6から理解されるように、空冷用送風機1は空冷用衣料2の貫通孔15部分に、傾斜状態で装着され、その結果として、
図6のごとく、筒状ファンケース6他端側の空気吹出口5bも、空冷用衣料2の外気排出側(上方の襟元3)へと傾いた状態となる。
したがって、筒状ファンケース6の空気吹出口5bから吹き出した外気の大部分を、
図2〜
図4から理解されるように、空冷用衣料2の外気排出側(上方の襟元3や、袖口4)へと効果的に流すことができるようになり、送風による冷却効果を高めることができる。
そして、このように送風量を高めた状態で、首筋の前側(耳部分から前側)への送風量を、後ろ側(首筋の後ろ側)よりも多くすることで、冷却効果を高めることが、本実施形態の最も大きな特徴である。
【0037】
具体的には、
図30、
図35に示すように、本実施形態では、空冷用衣料2における装着部である肩部分内面55に、
図32〜
図34に示す空冷衣料用通風器42を装着した。
この空冷衣料用通風器42は、前記空冷用衣料2の肩部分内面55へ装着される平板状の基体43と、肩部分内面55から内側の肩44に向けて基体43から下側に突出した複数の突起45と、前記基体43を前記空冷用衣料2の肩部分内面55へ装着する装着手段としての内側装着手段46及び外側装着手段48を備えている。
【0038】
前記複数の突起45は、前記基体43の平面方向において前後(肩線方向に直行する方向)、左右(肩線方向)に、所定間隔を置いて配置され、
図35のごとく、これら複数の突起45間において、通風路47が形成されるようになっている。
前記基体43は、
図32〜
図34から理解されるように、板状となっており、この基体43に、複数の突起45が一体成形されている。
【0039】
また、前記基体43と、突起45は柔軟性のゴム、または柔軟性の合成樹脂によって形成されているので、基体43を各装着手段46,48によって空冷用衣料2の肩部分内面55に取り付け、
図35のように、人体に装着すると、基体43は肩44の形状に沿って弾性変形する。
また、この状態では、突起45が肩44に直接、または下着を介して接することになるが、この突起45の先端(
図35では肩44側端)は丸く加工され、しかも柔らかいので、肩44に対して痛感を与えることはない。
【0040】
さらに、この
図35の状態で、突起45間には、通風路47が形成されているので、背面側の空冷用送風機1からの送風は、背中部分を通過後、この通風路47を通過し、首筋方向へとスムーズに向かうことになる。
つまり、本実施形態では、筒状ファンケース6の空気吹出口5bから吹き出した空気(外気)の大部分を、
図2〜
図4から理解されるように、空冷用衣料2の外気排出側(上方の襟元3や、袖口4)へと効果的に流すことができるようになり、送風による冷却効果を高めることができる。
そして、このように送風量を高めた状態で、空冷衣料用通風器42によって、首筋の前側(耳部分、及び耳部分から前側、顔側)への送風量を、後ろ側(首筋の後ろ側)よりも多くすることができる。
【0041】
これに対して、空冷衣料用通風器42を設けていない従来例では、肩44の存在により、背面側から前面側への風路が分断、または分断に近い状態となり、その結果、背面側の空冷用送風機1からの送風は、背中部分を通過後、首筋の後ろ側へ流れることが多くなる。
つまり、この状態では、首筋の後ろ側への送風が多く、耳部分、耳よりも前側、顔部分に流れる風量が少なくなる。
【0042】
しかし、人間は、送風による涼しさを、首筋の後ろ側よりも、耳部分、耳よりも前側、顔部分で感じることが多く、よって、可能な限り、耳部分、耳よりも前側、顔部分への送風量を多くすべきである。
そこで、本実施形態では、上述のように、空冷用衣料2の肩部分内面55に、
図32〜
図34に示す空冷衣料用通風器42を装着し、肩44部分で分断されていた部分に、複数の突起45による通風路47を形成することとした。
その結果、空冷衣料用通風器42による、首筋の前側(耳部分、及び耳部分から前側、顔側)への送風量を、後ろ側(首筋の後ろ側)よりも多くし、冷却効果を高めたものである。
【0043】
なお、前記基体43の内側装着手段46は、
図34から理解されるように下方に突出したピン形状としており、このピン形状部分を
図35のごとく、空冷用衣料2の肩44部分(空冷用衣料2の肩線部分)に固定した下方に向けた窪みを有する外側装着手段48に押し込んで、着脱自在に係合させている。
また、この状態において、
図35のごとく、内側装着手段46が肩44に触れることがないように、装着手段46は突起45よりも低背状態とした。すなわち、内側装着手段46の高さを突起45よりも低くすることで、隣接する突起45同士の間において、内側装着手段46が突起45の先端よりも低い位置に配置されている。
【0044】
図31は、空冷用衣料2の前側で、襟元3部分の内側(首周りの前面側の内面側)に、
図36〜
図38に示す補助通風器49を配置した状態を示す。
【0045】
この補助通風器49は、空冷衣料用通風器42よりも小さくした点が特徴である。
その他の構成は、空冷衣料用通風器42と略同様に、前記空冷用衣料2の襟元3部分の内面へ装着される平板状の基体50と、襟元3部分の内面から内側に向けて基体50から胸51側(後方側)に突出した複数の突起52と、前記基体50を前記空冷用衣料2の襟元3部分の内面へ装着する装着手段53とを備えている。
【0046】
前記複数の突起52は、前記基体50の平面方向において上下方向、左右方向に、所定間隔を置いて配置され、
図37のごとく、これら複数の突起52間において、通風路54が形成されるようになっている。
前記基体50は、
図36〜
図38から理解されるように、板状となっており、この基体50に、複数の突起52が一体成形されている。
【0047】
また、前記基体50と、突起52は柔軟性のゴム、または柔軟性の合成樹脂によって形成されている。基体50を装着手段53によって空冷用衣料2の襟元3部分の内面に取り付け、
図39のように、人体に装着すると、突起52が胸51に直接、または下着を介して接することになるが、この突起52の先端(
図31、
図39では胸51側端)は丸く加工され、しかも柔らかいので、胸51に対して痛感を与えることはない。
【0048】
さらに、この
図39の状態で、突起52間には、通風路54が形成されているので、背面側の空冷用送風機1から前側に回り、その後、下方から上方に上昇する送風は、この通風路53を通過し、胸元から顔部分へとスムーズに向かうことになる。
つまり、本実施形態では、首筋の前側(顔側)への送風量を、後ろ側(首筋の後ろ側)よりも多くすることができる。
【0049】
なお、上記した実施の形態1では、衣服において、装着部として人体の肩に対応する位置に空冷衣料用通風器が取り付けられ、胸元に対応する位置に補助通風器が取り付けられているが、通風路を確保することができれば、他の実施形態として、例えば、胴、背中、腕などに対応する任意の位置に取り付けられていてもよい。
【0050】
(実施の形態2)
図25、
図26は、空冷用送風機1を、本発明の一実施形態に係る他の空冷用衣料2に装着した状態を示すものである。
この実施形態2で用いる空冷用送風機1は、上記実施の形態1と全く同じ構成のものであるので、説明の煩雑化を避けるために説明は簡略化する。
【0051】
すなわち、この実施形態で用いる空冷用送風機1の構成は、
図5〜
図24の構成となっている。
この実施形態で特徴的なのは、空冷用衣料2の襟元3や、袖口4部分に、害虫(たとえば蚊)の駆除や、害虫への忌避を目的とする薬剤保持部36を設けたことである。
具体的は、薬剤保持部36は、たとえば液体の薬剤(ピレスロイド系薬剤)を塗布、噴霧すれば、適当量を含浸し、保持できるように非撥水状態で、多孔状態となっているので、ここに液体の薬剤(ピレスロイド系薬剤)を塗布、噴霧すれば、適当時間、その薬剤を保持できる構成となっている。
また、この薬剤保持部36は、空冷用衣料2の外面に設けられ、人体に接することが少ない状態となるようにしている。
つまり、薬剤保持部36は、空冷用衣料2の外面に別個に設けられたものであり、上記空冷用送風機1による外気は、空冷用衣料2内を通過し、空冷用衣料2の襟元3や、袖口4部分から外に吹き出される。
【0052】
しかし、この薬剤保持部36は、空冷用衣料2の襟元3や、袖口4部分の開口部近傍に設けられたものであるので、襟元3や、袖口4部分から空冷用送風機1による外気が勢いよく空冷用衣料2外に吹き出されるときには、その空気流に誘引される風が、薬剤保持部36表面を流れ、次に、上記空冷用送風機1による直接風に合流し、襟元3部分では顔や首筋後方を上方に流れ、また、袖口4部分では手の周りを前方へと流れることになる。
つまり、薬剤保持部36に含浸された薬剤が顔の周りや手の周りに吹き出されることになるので、害虫に対する駆除、害虫に対する忌避効果を発揮することになるのである。
【0053】
なお、薬剤保持部36を設けた空冷用衣料2部分に、貫通孔37を設けることで、空冷用衣料2内を流れる空冷用送風機1による風の一部を貫通孔37から噴出させ、薬剤保持部36からの薬剤搬出効果を高めるようにしてもよい。
また、害虫に対する駆除、害虫に対する忌避効果という点では、空冷用送風機1は空冷用衣料2に
図6のように傾斜状態で取り付ける必要はなく、具体的には、空冷用送風機1を空冷用衣料2に水平状態で取り付けてもよい。
【0054】
なお、この実施形態でも、
図30〜
図39に示す構成を採用し、顔や首筋の前側における冷却効果と、害虫に対する駆除、害虫に対する忌避効果を高めることができる。
【0055】
(実施の形態3)
図27〜
図28は、空冷用送風機1を、本発明の一実施形態に係る、さらに、他の空冷用衣料2に装着した状態を示すものである。
【0056】
この実施形態3で用いる空冷用送風機1は、上記実施の形態1と全く同じ構成のものであるので、説明の煩雑化を避けるために説明は簡略化する。
すなわち、この実施形態で用いる空冷用送風機1の構成は、
図5〜
図24の構成となっている。
この実施形態で特徴的なのは、空冷用衣料2の襟元3近傍や、袖口4近傍部分に、害虫(たとえば蚊)の駆除や、害虫への忌避を目的とする薬剤保持部38を設けたことである。
【0057】
具体的は、薬剤保持部38は、たとえば、ボタン39を外して開口部を形成し、この開口部から、たとえば固形の薬剤40(ピレスロイド系薬剤)を保持できるように通気性のある袋状となっている。
また、この薬剤保持部38は、空冷用衣料2の外面に設けられ、人体に接することが少ない状態となるようにしている。
つまり、薬剤保持部38は、空冷用衣料2の外面に別個に設けられたものであり、上記空冷用送風機1による外気は、空冷用衣料2内を通過し、空冷用衣料2の襟元3や、袖口4部分から外に吹き出される。
【0058】
また、薬剤保持部38を設けた空冷用衣料2部分に、貫通孔41を設けることで、空冷用衣料2内を流れる空冷用送風機1による風の一部を貫通孔41から噴出させ、ネット状の薬剤保持部38内に保持された薬剤40の表面に流し、次に、薬剤保持部38外へと薬剤成分を搬出させるのである。
つまり、薬剤保持部38に含浸された薬剤が顔の周りや手の周りに吹き出されることになるので、害虫に対する駆除、害虫に対する忌避効果を発揮することになるのである。
【0059】
また、害虫に対する駆除、害虫に対する忌避効果という点では、空冷用送風機1は空冷用衣料2に
図6のように傾斜状態で取り付ける必要はなく、具体的には、空冷用送風機1を空冷用衣料2に水平状態で取り付けてもよい。
【0060】
なお、この実施形態でも、
図30〜
図39に示す構成を採用し、顔や首筋の前側における冷却効果と、害虫に対する駆除、害虫に対する忌避効果を高めることができる。
【解決手段】空冷用衣料2の肩部分内面55に空冷衣料用通風器42を装着した。この空冷衣料用通風器42は、空冷用衣料2の肩部分内面55へ装着される平板状の基体43と、この肩部分内面55から内側に向けて基体43から肩44側(下側)に突出した複数の突起45と、基体43を空冷用衣料2の肩部分内面55へ装着する各装着手段46,48とを備えている。