特許第6238129号(P6238129)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6238129インストルメントパネル側部及びフロントピラートリム下部の合わせ部構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238129
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】インストルメントパネル側部及びフロントピラートリム下部の合わせ部構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20171120BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B60R13/02 C
   B60K37/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-260171(P2013-260171)
(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公開番号】特開2015-116874(P2015-116874A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】春成 英史
(72)【発明者】
【氏名】大西 直人
【審査官】 山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−036999(JP,U)
【文献】 特開2009−208689(JP,A)
【文献】 特開2011−195002(JP,A)
【文献】 特開2011−235736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
B60K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室前部に配置されたインストルメントパネルの車幅方向側部と、前記インストルメントパネルの車幅方向外側部に配置されたフロントピラートリムの下部と、車両側部ドアの開口部縁に取り付けられたオープニングトリムとが合わさるように構成されたインストルメントパネル側部及びフロントピラートリム下部の合わせ部構造において、
前記フロントピラートリムにおける車両下端の車両後端部は、前記インストルメントパネルの車幅方向外側部に対して車幅方向に重なるように配置され、
前記フロントピラートリムにおける車両下端の車両後端部には、車両下方に突出する第1の突出部が設けられ、
前記第1の突出部は、前記フロントピラートリムの車両下端から下方に延び、前記フロントピラートリムの車幅方向外側に配置されたピラーパネルまたはボディパネルに向かって曲がり、前記ピラーパネルまた前記ボディパネルに当接するまで延びるように構成され、
前記オープニングトリムは、前記開口部縁に設けられたフランジに取り付けられる本体部と、前記本体部に一体に設けられ、前記本体部から前記インストルメントパネルに向かって延びるリップとを備え、
前記第1の突出部の車両上下方向に延びる面が、前記リップに当接するように構成されていることを特徴とするインストルメントパネル側部及びフロントピラートリム下部の合わせ部構造。
【請求項2】
前記第1の突出部の車両下部から前記ピラーパネルまたはボディパネルに向かって延びる部分は、前記ピラーパネルまたはボディパネルに近づくにしたがい先細になるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のインストルメントパネル側部及びフロントピラートリム下部の合わせ部構造。
【請求項3】
前記フロントピラートリムにおける車両下端の車両後部には、下方に突出する第2の突出部が、前記第1の突出部に間隔を空けて並設され、
前記インストルメントパネルには、車幅方向外側端部から延出するようにリブが設けられ、
前記リブは、前記第1の突出部及び前記第2の突出部の間に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインストルメントパネル側部及びフロントピラートリム下部の合わせ部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室前側に配置されたインストルメントパネルの側部と、フロントピラーを覆う内装材の下部との合わせ部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車室内の前部にはインストルメントパネルが配置される。このインストルメントパネルの車幅方向両側には、フロントピラーを室内側から覆う内装材としてのフロントピラートリムが配置される。これらの部材は共に樹脂製で、これらを合わせる部分は温度変化などによる樹脂材の収縮などにより、寸法の変化が生じやすい箇所である。このため、インストルメントパネルとフロントピラートリムとの合わせ部には、隙間が形成されやすくなる。
【0003】
これらの部材の間の隙間の発生を防ぐ手段として、例えば、特許文献1に開示されているような方法が知られている。この例では、ピラーガーニッシュをインストルメントパネル側部に圧接させるために、弾性体からなるクリップでピラーガーニッシュをインストルメントパネルに係合支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平01−080556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フロントピラートリムの下端の後側においては、インストルメントパネルとの合わせ部が形成され、さらに、ドアの開口部の縁端に嵌合されるオープニングトリムとも合わさる部分である。このため、隙間や浮きが発生しやすい個所になる。
【0006】
また、フロントピラートリムで覆われるフロントピラーパネルも複数の金属パネルが重なり合う個所である。例えば、フロントピラートリムからピラーパネルまたはボディパネルまでの距離が長い場合において、フロントピラートリムにリブを設けると、フロントピラーパネルの意匠面にヒケが発生する可能性がある。また、ピラー部材の形状が変化することによりピラートリムとの空間の寸法が変化しやすく、フロントピラートリムの裏面にリブ等を複数立設させることで、車室内側から押された時の変形を防ぐことが困難である。また、上記例の方法を適用することも困難な場合が生じる。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、インストルメントパネル側部及びフロントピラートリム下部の合わせ部における隙間の発生を防ぐことが可能な合わせ部構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明に係るインストルメントパネル側部及びフロントピラートリム下部の合わせ部構造は、車室前部に配置されたインストルメントパネルの車幅方向側部と、前記インストルメントパネルの車幅方向外側部に配置されたフロントピラートリムの下部と、車両側部ドアの開口部縁に取り付けられたオープニングトリムとが合わさるように構成される。インストルメントパネル側部及びフロントピラートリム下部の合わせ部構造において、前記フロントピラートリムにおける車両下端の車両後端部は、前記インストルメントパネルの車幅方向外側部に車幅方向に重なるように配置される。前記フロントピラートリムにおける車両下端の車両後端部には、車両下方に突出する第1の突出部が設けられ、前記第1の突出部は、前記フロントピラートリムの車両下端から下方に延び、前記フロントピラートリムの車幅方向外側に配置されたピラーパネルまたはボディパネルに向かって曲がり、前記ピラーパネルまた前記ボディパネルに当接するまで延びるように構成される。前記オープニングトリムは、前記開口部縁に設けられたフランジに取り付けられる本体部と、前記本体部に一体に設けられ、前記本体部から前記インストルメントパネルに向かって延びるリップとを備え、前記第1の突出部の車両上下方向に延びる面が、前記リップに当接するように構成されている。
【0009】
また、本発明に係るインストルメントパネル側部及びフロントピラートリム下部の合わせ部構造の一態様では、前記第1の突出部の車両下部から前記パネルに向かって延びる部分は、前記パネルに近づくにしたがい先細になるように構成されている。
【0010】
また、本発明に係るインストルメントパネル側部及びフロントピラートリム下部の合わせ部構造の一態様では、前記フロントピラートリムにおける車両下端の車両後部には、下方に突出する第2の突出部が、前記第1の突出部に間隔を空けて並設され、前記インストルメントパネルには、車幅方向外側端部から延出するようにリブが設けられ、前記リブは、前記第1の突出部及び前記第2の突出部の間に配置されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インストルメントパネル、フロントピラートリム及びオープニングトリムが重なり合う個所において、フロントピラートリムが撓むのを抑制し、合わせ部に隙間が発生するのを防ぐことが可能になる。特に、フロントピラートリムからピラーパネルまたはボディパネルまでの距離が長い場合に有効である。さらに、オープニングトリムのリップ形状が丸まってしまうのを防止して、気密性と外観を向上することが可能となる。
【0012】
また、本発明の一態様によれば、車両側部のボディ側のパネルが複数重なる状態や、当該パネルが複雑な形状となる場合であっても、第1の突出部の先端を先細形状にすることでパネルへの点当てが可能となり、複雑な面形状に沿った形状に先端部を沿わせる必要がなく、ボディ側の寸法誤差による影響を受けにくくすることが可能である。
【0013】
また、本発明の一態様によれば、ボディパネル側に当接することによりしっかりと支持される第1の突出部(L字形突出部)と、新たに延出した第2の突出部(突起)との間にリブを配置することにより、インストルメントパネルとフロントピラートリムとの位置精度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るインストルメントパネルの斜視図で、フロントピラートリムが接続される前の状態を示している。
図2図1のインストルメントパネルの側部にフロントピラートリムが接続された状態を、図1の矢印Fの方向から見たときの斜視図である。
図3図2のインストルメントパネルのトリム接続部の拡大斜視図で、フロントピラートリムが取り外された状態を示している。
図4図2のフロントピラートリムに覆われる前の状態を示すピラーパネル及びサイドボディパネルの斜視図である。
図5図4のピラーパネル及びサイドボディパネルにフロントピラートリム及びオープニングトリムを取り付けた状態を示す斜視図である。
図6図4のピラーパネル及びサイドボディパネルにフロントピラートリムを取り付けた状態を示す斜視図であり、サイドボディパネル等の被覆部を破線で示している。
図7図2のX部の拡大斜視図である。
図8図7のL字形突出部及び突起等に隠れたインパネリブ等を仮想的に追加で示した斜視図である。
図9図8のY部の拡大斜視図である。
図10図6のB−B矢視断面図である。
図11図6のC−C矢視断面図である。
図12図2のフロントピラートリム等を車両後方から見た斜視図である。
図13図12のフロントピラートリム、ピラーパネル及びサイドボディパネル等に、オープニングトリムを取り付けた状態を示す斜視図である。
図14図13のD−D矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るインストルメントパネル側部及びフロントピラートリム下部の合わせ部構造の一実施形態について、図面(図1図14)を参照しながら説明する。
【0016】
本実施形態のインストルメントパネル側部及びフロントピラートリム下部の合わせ部構造は、車室前側の部材同士の合わせ部の構造であり、インストルメントパネル10及びフロントピラートリム20の他に、オープニングトリム30が合わさる部分の構造である。インストルメントパネル10は、図1に示すように、運転席および助手席に臨む主面部10bと、車両上部から車両前方に広がる上面部10aで構成される樹脂製の部材である。図示は省略しているが、主面部10bの運転席側には、表示機器やルーバー機構等が取り付けられ、主面部10bの助手席側には、収納ボックスユニットやグローブボックス等が取り付けられる。
【0017】
当該インストルメントパネル10の上面部10aの車幅方向外側の両側には、図1図3に示すように、車体を構成するフロントピラーパネル41の室内側を覆うフロントピラートリム20が接続されるためのトリム接続部11が設けられている。トリム接続部11は、インストルメントパネル10の上面部10aの車両前側部が、一部切り欠かれている部分である。トリム接続部11の車両後部(図3の左側)は車幅方向に延びる縁が形成され、車幅方向内側(図3の上側)は車両前後方向に延びる縁が形成されている。
【0018】
図3に示すように、トリム接続部11の車両前部には、取付片部12が設けられている。この取付片部12は、トリム接続部11の車幅方向側部から車幅方向外側に延び、車両上部に平坦な面が形成された板状で、スリット12aが形成されている。また、この取付片部12には、ステー44を連結させるための連結穴12bが設けられている。ステー44は、詳細な説明は省略するが、インストルメントパネル10を支持するためものであり、インストルメントパネル10の車両下方に配置される部材である。また、連結穴12bの周囲には、取付片部12を補強するためのインパネリブ15が複数設けられている。インパネリブ15の配置については、後述する。
【0019】
フロントピラートリム20は、インストルメントパネル10のトリム接続部11に接続される樹脂製の部材で、フロントガラス(図示せず)の車幅方向両側に配置されるピラーパネル41等を覆っている。
【0020】
フロントピラートリム20は、車室側の表面(意匠面)が湾曲する部分を有している部材である。フロントピラートリム20の下部の後側(図2における左側)には、車幅方向に延びる縁が形成され、車幅方向内側には、車両前後方向に延びる縁が形成される。これらの縁は、トリム接続部11の上記縁に接している。接する状態については、後で説明する。
【0021】
ピラーパネル41は、図5及び図6に示すように、車体の最外部を構成するアウターパネル43の内側に配置された金属製のパネルである。このピラーパネル41は、表面に複数の凹凸が形成された複雑な形状である。
【0022】
ピラーパネル41の車幅方向外側には、上述のように車両のアウターパネル43が配置される。さらに、図4図6に示すように、ピラーパネル41の下方には、サイドボディパネル42等のボディパネルを構成する部材が配置される。図4図6に示すサイドボディパネル42は、ピラーパネル41と同様に、表面に複数の凹凸が形成された複雑な形状である。
【0023】
オープニングトリム30は、図13に示すように、車両側部ドアの開口部縁に取り付けられた部材であり、車室内に及ぼす外部騒音の影響を低減する。図10及び図14に示すように、オープニングトリム30は、本体部31及びリップ32を有している。本体部31は、水平断面が車幅方向内側に開口する略U字形で、この開口部がアウターパネル43のフランジ部47及びピラーパネル41のフランジ部47に取り付けられる。リップ32は、本体部31に一体に設けられ、本体部31からインストルメントパネル10に向かって略水平に延びる。当該リップ32は、車両の開口部周縁に配置されるフロントピラートリム20のL字形突出部22に当接する。フロントピラートリム20とリップ32の関係については後述する。
【0024】
フロントピラートリム20の下部には、図2及び図6に示すように、L字形突出部(第1の突出部)22、突起(第2の突出部)24、差込み片27及び係止爪26が形成されている。これらの構成について説明する。なお、差込み片27は、スリット12a内に差し込まれているため図2には示されず、図6に示されている。
【0025】
差込み片27は、フロントピラートリム20の下部の前側に設けられ、下方に突出する部分である。この差込み片27は、トリム接続部11のスリット12aに挿入される。係止爪26は、差込み片27よりも車両後側に設けられ、下方に突出する部分である。フロントピラートリム20は、係止爪26が取付片部12よりも車両後側(図2における左側)に配置された状態で、トリム接続部11に取り付けられる。
【0026】
L字形突出部22は、フロントピラートリム20の下部における車両後側の部分で、車幅方向に延びる縁の外側に設けられている。L字形突出部22は、縦断面が略L字形状である。フロントピラートリム20における下部の車両後端は、インストルメントパネル10の車幅方向外側部(トリム接続部11)に対して、車幅方向に重なる部分である。
【0027】
L字形突出部22は、図2及び図5図8に示すように、垂直部22a、屈曲部22b及び水平部22cからなる。垂直部22aは、フロントピラートリム20における下端の車幅方向に延びる縁の最外から、車両下方に延びる部分である。屈曲部22bは、垂直部22aの下部で、サイドボディパネル42に向かうように屈曲する部分である。水平部22cは、当該屈曲部22bからサイドボディパネル42に向かって延びる部分である。水平部22cの先端が、サイドボディパネル42に対して所定のテンションを作用させながら当接している。
【0028】
水平部22cは、サイドボディパネル42に向かうにしたがって、先細になるように形成されている。この例では、図7及び図8に示すように、水平部22cのうち、下側が水平に延び、上側がサイドボディパネル42に向かうにしたがって車両下方に傾斜する。すなわち、水平部22cの後面22dが略直角三角形となるように構成されている。さらに、詳細な図示は省略しているが、サイドボディパネル42に段形状を設けている。この段形状の上部に、水平部22cの先端を当接させている。
【0029】
また、図10図11及び図14に示すように、オープニングトリム30のリップ32が丸まらないように、L字形突出部22の垂直部22aの背面22eが、リップ32に当接する。なお、図10及び図11の断面図は、図6のB−B矢視及びC−C矢視断面であるが、図6に示されていないオープニングトリム30及びインストルメントパネル10についても示している。
【0030】
続いて、フロントピラートリム20の車両下部における車両後端に設けられた突起(第2の突出部)24について説明する。突起24は、L字形突出部22に対して車幅方向に並設、すなわち隣り合うように設けられており、下方に突出している。突出する長さは、L字形突出部22の垂直部22aの車両上下方向長さよりも短い。
【0031】
一方で、インストルメントパネル10には、車幅方向外側の端部から延出するようにインパネリブ15が配設されている。このインパネリブ15は、図7図9に示すように、L字形突出部22及び突起24の間に配置されている。この例では、車幅方向内側に向かって、L字形突出部22、インパネリブ15、突起24の順に配置されている。また、図9に示すように、インパネリブ15と突起24との間には、車幅方向に隙間(図9におけるs)が設けられている。
【0032】
以上の説明からわかるように本実施形態によれば、インストルメントパネル側部及びフロントピラートリム下部の合わせ部を上記のように構成することで、フロントピラートリム20が撓むのを抑制し、合わせ部に隙間が発生するのを防ぐことが可能になる。特に、インストルメントパネル10、フロントピラートリム20及びオープニングトリム30が重なり合う個所において、フロントピラートリム20からピラーパネル41またはボディパネル(サイドボディパネル42)までの距離(例えば図10に示すt)が長い場合に有効である。
【0033】
さらに、本実施形態によれば、フロントピラートリム20に室内側から押されるような荷重が作用した場合も、フロントピラートリム20が撓むのを抑制し、合わせ部に隙間が発生するのを防ぐことが可能になる。さらに、オープニングトリム30のリップ32形状が丸まってしまうのを防止して、気密性と外観を向上することが可能となる。
【0034】
また、L字形突出部22の水平部22cを先細にすることで、車両側部のボディ側のパネルが複数重なる状態や、当該パネルが複雑な形状となる場合であっても、点当てが可能となり、複雑な面形状に沿った形状に先端部を沿わせる必要がなく、ボディ側の寸法誤差による影響を受けにくくすることが可能である。
【0035】
さらに、アウターパネル43側に当接することによりしっかりと支持されるL字形突出部22と、これに並設された突起24との間にインパネリブ15を配置することにより、インストルメントパネル10とフロントピラートリム20との位置精度を高めることが可能となる。すなわち、インストルメントパネル10のトリム接続部11の車幅方向の位置ズレを防止することができ、フロントピラートリム20、インストルメントパネル10及びオープニングトリム30の3部品の位置が互いに決まり、隙間や浮きが発生するのを防ぐことができる。
【0036】
また、図12に示すように、インストルメントパネル10の車幅方向外側部が下方に湾曲しながら下がるような形状の場合でも、フロントピラートリム20の下端の位置を正しく保持することが可能である。
【0037】
また、インパネリブ15と突起24との間に車両前後方向に隙間sを設けることで、インストルメントパネル10の熱収縮の影響を吸収することができる。
【0038】
さらに、サイドボディパネル42等の水平部22cが当接するパネルに段形状を設け、水平部22cの先端を段形状の上側に当接させることで、フロントピラートリム20の後側が下方に下がるのを防ぐことができる。
【0039】
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0040】
本実施形態では、L字形突出部22の水平部22cの先端が、サイドボディパネル42に当接しているが、これに限らない。サイドボディパネル42とピラーパネル41の接続部が、本実施形態よりも下方にある場合には、水平部22cの先端は、ピラーパネル41に当接してもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 インストルメントパネル
10a 上面部
10b 主面部
11 トリム接続部
12 取付片部
12a スリット
12b 連結穴
15 インパネリブ
20 フロントピラートリム
22 L字形突出部
22a 垂直部
22b 屈曲部
22c 水平部
22d 後側の面
22e 背面
24 突起
26 係止爪
27 差込み片
30 オープニングトリム
31 本体部
32 リップ
41 ピラーパネル
42 サイドボディパネル
43 アウターパネル
44 ステー
47 フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14