特許第6238212号(P6238212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許6238212-水素化反応に有用な装置(II) 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238212
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】水素化反応に有用な装置(II)
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/24 20060101AFI20171120BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20171120BHJP
   B01J 23/60 20060101ALI20171120BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20171120BHJP
   C07C 33/025 20060101ALI20171120BHJP
   C07C 29/17 20060101ALI20171120BHJP
   C07C 69/145 20060101ALI20171120BHJP
   C07C 67/283 20060101ALI20171120BHJP
   C07C 33/02 20060101ALI20171120BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20171120BHJP
【FI】
   B01J19/24 A
   B01J35/04 331A
   B01J23/60 Z
   B01J35/02 H
   C07C33/025
   C07C29/17
   C07C69/145
   C07C67/283
   C07C33/02
   !C07B61/00 300
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-506218(P2015-506218)
(86)(22)【出願日】2013年4月17日
(65)【公表番号】特表2015-520660(P2015-520660A)
(43)【公表日】2015年7月23日
(86)【国際出願番号】EP2013057951
(87)【国際公開番号】WO2013156502
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2016年3月3日
(31)【優先権主張番号】12164525.3
(32)【優先日】2012年4月18日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】ボンラス, ヴェルナー
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/142809(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/142806(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/001166(WO,A1)
【文献】 米国特許第4752599(US,A)
【文献】 特開昭49−033886(JP,A)
【文献】 特表2003−507161(JP,A)
【文献】 特開昭62−174350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/24
B01J 23/60
B01J 35/02
B01J 35/04
C07C 29/17
C07C 33/02
C07C 33/025
C07C 67/283
C07C 69/145
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素−炭素三重結合を含む出発有機物質の選択的接触水素化における装置の使用であって、
前記装置は、少なくとも1つの多孔質要素であって前記多孔質要素を通して前記物質をクロスフローさせる、特定の固体金属構造体からなる少なくとも1つの多孔質要素を含み、前記多孔質要素は、
(i)マルエージング鋼の全重量に対して60wt%〜70wt%のFe、
(ii)マルエージング鋼の全重量に対して15wt%〜25wt%のNi、
(iii)マルエージング鋼の全重量に対して5wt%〜15wt%のCo、および
(iv)マルエージング鋼の全重量に対して3.5wt%〜7wt%のMo
を含むマルエージング鋼から作られ、かつ
前記多孔質要素は、ZnOおよびAlを含む非酸性金属酸化物でコーティングされ、パラジウム(Pd)が含浸されていて、
反応溶液がポンプにより前記装置を通して送られる使用。
【請求項2】
前記PdがPdナノ粒子であり、前記非酸性金属酸化物の層上の前記Pdナノ粒子が、0.5〜20nmの平均粒子径を有する請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記少なくとも1つの多孔質要素の中空空間が、実質的に球形であり、かつ0.5〜20mmの平均等価直径を有する請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記出発有機物質が、式(I)
【化1】

(但し、
はC〜C35の直鎖もしくは分岐アルキル基、またはC〜C35の直鎖もしくは分岐アルケニル基部分であって、前記C鎖は置換されていてもよく、
はC〜Cの直鎖もしくは分岐アルキル基であって、前記C鎖は置換されていてもよく、
はHまたは−C(CO)C〜Cアルキルである)
の化合物である請求項1〜のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、装置であってこの装置を通って輸送される物質を処理するための装置であって、少なくとも1つの多孔質要素であってこの多孔質要素を通して物質をクロスフローさせる、特定の固体金属構造体からなる少なくとも1つの多孔質要素を含み、その多孔質要素は、パラジウム(Pd)が含浸された非酸性金属酸化物でコーティングされている、装置に関する。
【0002】
本発明の装置は、均一および不均一条件下で化学反応を行うのに有用である。
【0003】
本装置は、実験室規模および工業規模での化学反応(特に、選択的水素化などの水素化)に有用である。
【0004】
国際公開第2010/142806号パンフレットおよび同第2010/142809号パンフレットには、そのような装置を通って輸送される流体または流動化した物質用の混合器または熱交換器として有用な類似の装置が開示されている。この装置はまた、均一および不均一条件下で化学反応を行うのに有用である。
【0005】
本発明の目的は、特性が改善され(特に、選択的水素化の観点で)、製造もまた容易な装置を提供することであった。
【0006】
本発明の装置はまた、非常に安定である(反応条件(pHなど)、基質および溶媒(特に水)に関して)。本装置は非常に容易に再使用することができる。
【0007】
特に、本発明の装置は、少なくとも1つの入口端および少なくとも1つの出口端を有する壁、好ましくは円筒状の壁を有するチューブを含み、チューブ内には、泡状固体構造からなる少なくとも1つの多孔質要素が配置され、その多孔質要素は、互いに連結して相互接続ネットワークを形成する複数の中空空間を含み、その少なくとも1つの要素は特定の金属合金からなり、それはその後、非酸性金属酸化物でコーティングされ、またその後Pdが含浸され、かつその少なくとも1つの要素と壁とは一体に作られている。
【0008】
本装置、および少なくとも1つの多孔質要素は、例えば米国特許第5,639,070号明細書、同第5,732,323号明細書および同第6,676,892号明細書に記載されている方法である選択的レーザー焼結(SLS)、または電子ビーム溶解法(EBM)により、一体に製造し得る。
【0009】
EBM法は以下のようないくつかの利点を有する。
・熱処理がないこと
・SLSによるものより滑らかな表面が得られること
・SLSより2〜3倍高速であること。
【0010】
本発明は、装置であってこの装置を通って輸送される物質を処理するための装置であって、少なくとも1つの多孔質要素であってこの多孔質要素を通して物質をクロスフローさせる、特定の固体金属構造体からなる少なくとも1つの多孔質要素を含み、その多孔質要素は、
(i)金属合金の全重量に対して45重量%(wt%)〜75wt%のFe、
(ii)金属合金の全重量に対して15wt%〜30wt%のNi、
(iii)金属合金の全重量に対して5wt%〜20wt%のCo、および
(iv)金属合金の全重量に対して3wt%〜8wt%のMo
を含む金属合金から作られ、かつ
前記多孔質要素は非酸性金属酸化物でコーティングされ、パラジウム(Pd)が含浸されている装置に関する。
【0011】
全ての百分率を加えると常に100になることは明らかである。
【0012】
使用する金属合金は、鉄/ニッケル/コバルト/モリブデン合金である。そのような合金はマルエージング鋼として知られており、Matthey SA(スイス)およびEOS GmbH(独国)などの会社から商業的に購入することができる。そのような鋼はDurncoまたはEOS Maraging Steel MS1の商品名で入手可能である。
【0013】
金属合金は、さらなる金属、すなわち、Cu、Cr、Mn、Si、Ti、AlおよびNbなどを含むことができる。
【0014】
さらに、金属合金は炭素も含むことができる。
【0015】
したがって、本発明は、少なくとも1つの多孔質要素が、
(i)マルエージング鋼の全重量に対して60wt%〜70wt%のFe、
(ii)マルエージング鋼の全重量に対して15wt%〜25wt%のNi、
(iii)マルエージング鋼の全重量に対して5wt%〜15wt%のCo、および
(iv)マルエージング鋼の全重量に対して3.5wt%〜7wt%のMo
を含むマルエージング鋼から作られ、かつ
非酸性金属酸化物層でコーティングされ、Pdが含浸されている装置に関する。
【0016】
本発明の実施形態の必須の特徴は、少なくとも1つの多孔質要素が非酸性金属酸化物層でコーティングされていることである。
【0017】
少なくとも1つの多孔質要素をコーティングしている非酸性金属酸化物層は、塩基性または両性である。適切な非酸性金属酸化物層は、Zn、Cr、Mn、CuまたはAlを含む。酸化物層は、ZnO、および任意選択により、少なくとも1種のさらなる金属酸化物であって、金属がCr、Mn、Mg、CuおよびAlからなる群から選択される金属酸化物を含むことが好ましい。
【0018】
少なくとも1つの要素は、ZnO、および任意選択により、少なくとも1種のさらなる金属(Cr、Mn、Mg、CuおよびAl)酸化物の薄層でコーティングされていることが好ましい。
【0019】
金属合金のコーティングは、一般に知られた方法、すなわちディップコーティングなどにより行われる。
【0020】
本発明の装置は、通常、触媒の全重量に対して0.001〜2wt%、好ましくは0.01〜1wt%のZnOを含む。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、非酸性金属酸化物層は、ZnOと、少なくとも1種のさらなる金属酸化物であって、金属がCr、Mn、Mg、CuおよびAlからなる群から選択される金属酸化物とを含む。
【0022】
本発明のより好ましい実施形態では、非酸性金属酸化物層はZnOおよびAlを含む。
【0023】
ZnOとAlの混合物を使用するとき、ZnO:Alの比は2:1〜1:2であることが好ましい。
【0024】
そのようにコーティングされた要素または要素群には、その後、Pdナノ粒子が含浸される。ナノ粒子は一般に知られた方法、すなわち前駆体としてPdClを使用し、その後、それを水素により還元することにより合成される。
【0025】
非酸性金属酸化物層上のPdナノ粒子は、通常、0.5〜20nm、好ましくは2〜15nm、より好ましくは5〜12nm、最も好ましくは7〜10nmの平均粒子径を有する。(この径は光散乱法により測定される)。
【0026】
本発明の装置は、触媒の全重量に対して0.0001〜1wt%、好ましくは0.001〜0.1wt%のPdナノ粒子を含む。
【0027】
本装置のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの多孔質要素の中空空間は、実質的に球形であり、かつ0.5〜20mm、好ましくは1〜10mm、より好ましくは1.5〜5mmの平均等価直径を有する。
【0028】
球形の中空空間の表面領域を規定するシェルは、物質をクロスフローさせる複数の相互に連結した孔をさらに含む。前記孔の平均等価直径は、0.01〜5mmの範囲、好ましくは0.1〜5mmの範囲、より好ましくは0.1〜2mmの範囲にある。
【0029】
本発明の特定の実施形態では、シェルは、平滑もしくは粗面の、または部分的に平滑もしくは粗面の表面を含むように作製される。
【0030】
好ましい実施形態では、本装置は、混合器もしくは熱交換器として使用するために、または、例えば、高速の、発熱性の、混合に敏感な、もしくは熱に敏感な反応のような、単相および多相化学反応を連続的に取り扱うために設計されている。本装置は、反応物質の高速混合および非常に迅速な熱移動を提供する。良好な熱移動と非常に高い機械的安定性を保証するには、多孔質構造体の反応器壁への固定接続が主として重要である。このことにより、高温高圧にまで処理できる可能性が得られる。多孔質要素の構造はまた、化学プラントの規模を決めるための重要なパラメータである、軸方向の分散、および反応器内の滞留時間分布にそれぞれ強い影響を及ぼす。
【0031】
化学プラントでよく使用される、従来のバッチ反応器では、エネルギーの散逸は、撹拌機の回転速度に支配され得る。連続系では、滞留時間とその分布に直接結びつく流速のみを変化させることができる。この関係は、バッチ反応器と比べて不利な点であるが、数値流体力学(CFD)の支援により設計され、その後、例えば上述のSLS法により作製される多孔質要素の、明確に定義された幾何学的形状によって処理することができる。
【0032】
有機分子の官能基の水素化は、高速の多相発熱反応の例である。そのような反応は、有機合成に利用できる、環境上許容される反応経路の一部である。例えば、ビタミンAおよびビタミンEの前駆体、すなわち中間体は、3つの主要なタイプの反応により製造される。そのうちの1つが、多相、すなわち3相反応であって、反応混合物が液相、不溶性固体触媒相および気相を含む選択的触媒水素化である。
【0033】
そのような水素化反応を行う最も一般的な反応器の種類は、バッチ式に操作されるスラリー反応器である。主として、撹拌槽とループ反応器が使用されている。強い発熱反応であるため、効率的な温度コントロールを行うのに、外部と内部の熱交換器を併用する必要がある。さらに、反応に使用する触媒濃度は、比較的低く(<10%)、これが反応速度を制限する。最後に、従来の反応器の熱移動成績は、0.2〜5kWm−3−1程度である。したがって、許容可能な生産率とするには、大きな反応器容積が必要である。
【0034】
水素化過程の成績と生成物分布は、触媒活性/選択性と、反応器内の化学反応速度と移動現象との相互作用に強く影響される。
【0035】
3相反応において、解決すべき主な問題点の1つは、内部および外部の物質移動に対する制限を回避することである。したがって、粒径の小さい触媒粒子が要求される。しかしながら、技術の応用において、安全性と環境上の問題を引き起こすことが多い、固体の仕込み、濾過および取出しのような触媒の取り扱いのために、最小径の使用は制限され、また、甚大な触媒の損失と経済的に望ましくないプロセスに繋がり得る。
【0036】
さらに、水素化は強い発熱反応であるため、反応熱を除去することは、反応器の性能の主な制約になる。したがって、スラリー反応器では、単位体積当たりの触媒の量は、熱交換能力によって制限される。
【0037】
さらなる態様は、制御された圧力の下におけるプロセスの安全性と持続的生産に関係する。多段化学プロセスの生成物中間体は、上述のように、不安定であり、分解して膨大な量の熱を放出することがしばしばある。結果は、熱的暴走および爆発である。
【0038】
化学反応の安全性を高めるには、厳重な熱管理が要求される。さらに、反応器内の反応物質の量は、危険の潜在性を低減させるためにできる限り少なくすべきである。
【0039】
選択的反応のこれらの問題点は、本発明で定義されたように設計された装置(以下、栓流反応器ともいう)を使用することにより解決し得る。そのような反応器は、連続モードで運転し得る。この運転モードは、バッチ法の場合のような大量の不安定な生成物中間体の蓄積を回避し、化学反応の安全性を高める。
【0040】
このプロセスの統合は、熱的に不安定な中間体を安定なものへと処理するには、特に重要である。
【0041】
以下に記載する連続栓流反応器は、熱および物質移動に関して、構造化された幾何学的形状において最適化されている。反応器内の栓流様速度場が、等温および均一運転モードを保証する。運転費用(圧力損失、加熱エネルギーなど)と生成物の品質(選択性、転化率など)の比率を最適化するために、栓流様速度場を、幾何学的形状的に、化学反応に使用する流体の熱伝達率、粘度、密度および混合挙動に適合させることができる。他方、少なくとも1つの多孔質要素の構造は、静的混合要素の要件を満たすのみならず、臨界反応に対する火炎防止器としても機能し、便利な成型および適切な材料の選択によって、連続システムの機械的および化学的安定性を可能にする。
【0042】
これらの全ての要件を満たすために、少なくとも1つの多孔質要素の幾何学的形状は、その長さ方向に亘って一貫性を有していてはならず、異なる条件に対して調節することができる。さらに、チューブ中で生じる反応に応じて、多孔質要素はチューブの全長に及んでもよく、または反応器チューブの全長の10〜90%、好ましくは50〜80%の長さを有していてもよい。
【0043】
本発明の栓流反応器は、ミリメートルの範囲の特徴的な寸法を有する。0.5〜300mmの流路直径の反応器を使用することが好ましい。
【0044】
本発明の好ましい実施形態では、反応器チューブは、1〜300mm、好ましくは2〜100mm、より好ましくは5〜50mmの範囲の直径を有する。
【0045】
化学反応を行う反応器として本装置を使用することに関し、触媒の使用を提案することが、本発明の範囲内の基本的な目的である。栓流反応器では、従来の懸濁反応器におけるように、可動または固定形態で触媒粒子を使用することができる。触媒粒子が固定形態で使用される場合、多孔質要素の焼結金属構造が触媒の担体として機能し得ることが好ましい。
【0046】
この反応器の他の主な特徴は、従来の化学反応器と比べて、容積に対する表面の比率が高いことである。少なくとも1つの多孔質要素により達成される反応器の比表面積は、500〜50’000m−3の範囲にあるが、典型的な実験室および生産用の容器の比表面積は、約10m−3であり、100m−3を超えるものは極めて稀である。
【0047】
栓流反応器の好ましい実施形態では、チューブは、環状チャンバーを規定する2重壁構造の円筒状ハウジングを含み、前記環状チャンバーは、反応混合物を冷却または加熱するために、前記チャンバーを通って熱交換流体を連続的に移動させる熱交換器に接続された、少なくとも1つの流体入口と、少なくとも1つの流体出口を含む。
【0048】
代替として、または2重壁円筒状ハウジングと組み合わされて、チューブは、円筒状の壁の長さ方向に配置された中央内部チューブを含み、前記内部チューブが、反応プロセスの化合物を、チューブを通して輸送された物質に加えるために、少なくとも1つの出口を含むか、またはチューブに、反応器を通して熱交換流体を輸送するために、出口のない内部チューブが配置される。
【0049】
一般に、本発明の装置は、
(i)金属合金(特に、マルエージング鋼)から本装置(少なくとも1つの多孔質要素を含む)を製造する工程、
(ii)非酸性金属酸化物層で本装置(この内部部品)をコーティングする工程、および
(iii)非酸性金属酸化物層にPdナノ粒子を含浸させる工程
により製造される。
【0050】
本発明の装置は、出発有機物質、特に炭素−炭素三重結合を含む出発有機物質、より特にアルキノール化合物の選択的接触水素化に使用される。したがって、本発明はまた、出発有機物質、特に炭素−炭素三重結合を含む出発有機物質、特にアルキノール化合物の選択的接触水素化における本発明の装置の使用に関する。
【0051】
好ましくは、本発明は、式(I)
【化1】


(但し、
はC〜C35の直鎖もしくは分岐アルキル基、またはC〜C35の直鎖もしくは分岐アルケニル基部分であって、C鎖は置換されていてもよく、
はC〜Cの直鎖もしくは分岐アルキル基であって、C鎖は置換されていてもよく、
はHまたは−C(CO)C〜Cアルキルである)
の化合物を水素と反応させる方法であって、反応溶液は、ポンプにより本発明の装置を通して送られる(または、別の方法で輸送される)方法に関する。
【0052】
水素は、通常、Hガスの形態で使用される。
【0053】
式(1)の好ましい化合物は以下のものである。
【化2】


【化3】

【0054】
これらは、式(Ia’)、(Ib’)、(Ic’)および(Id’)で表される、対応する化合物に水素化される。
【化4】

【0055】
反応は、通常は加圧下に行われる。通常、2〜10barである。
【0056】
反応は、通常は高温で行われる。通常30℃〜80℃である。
【0057】
反応は、通常は溶剤を使用しないで行われる。しかし、水素化に不活性な溶剤を使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、水素化プロセスの適切な配置を示す。
【0059】
以下で、本発明をより詳しく説明する。特に断らない限り、全ての部は重量に関係し、温度は℃で与えられる。
【0060】
[実施例1]
[装置(栓流反応器)の作製]
金属発泡構造体中における化学反応については、商業的に入手可能な発泡体が有するいくつかの困難を解決しなければならなかった。一方、アルミニウムまたは銅のような商業的に入手可能な材料は、化学反応器として、特に腐食の点で、好ましくない。他方、熱移動の律速段階である発泡体から壁への接続。ハンダ付けのような様々な手法を試験したが、持続的な接続は達成されなかった。したがって、本発明では、導入部で記載したように、いわゆるレーザー焼結法(SLS)である、新規の作製手法を提案する。この技術によって、ほぼ全ての形状の三次元構造体を、コンピューター支援設計(CAD)ソウトウェアで設計し、その後、単一部品として作製することができる。これは、例えば、米国特許第5,639,070号明細書、同第5,732,323号明細書および同第6,676,892号明細書に記載されているように、金属粉末(EOS Maraging Steel MS1(登録商標))の層を堆積させ、CADモデルに対応した選択された位置にエネルギーを注入してそれを焼結し、その後、新たな層を堆積させ、この手順を再び開始することにより行われる。この製造法は、長さの規模が50μmのオーダーまで、幾何学的形状に関して殆ど制限がないことから、製造者は、プロセス固有の全ての設計基準を満たすことができる。これらの優先性により、以下に掲げる最も影響が大きいパラメータを適合させることにより、化学的処理に対する非常に精密な規模の決定が可能になる。これに替る方法は、これもまた導入部で記載したことであるが、いわゆる電子ビーム溶接法(EBM)であろう。
【0061】
本装置は、長さ200mm、外径10mm、内径6mm、そしてチューブの中空容積は4.4mlであった。
【0062】
その後、本装置に、金属酸化物層のコーティングを施し、その後、この層にPdナノ粒子を堆積させた。
【0063】
その後、450℃で3時間、本装置に予備熱処理を施した。
【0064】
[ZnO+Alの堆積(多孔質要素のコーティング)]
Al+ZnO前駆体溶液の調製:100mLのフラスコにAl(NO・9HO(20.0g、53.3mMol)および水(70mL)を加えた。Al(NO・9HOが完全に溶解するまで、この混合物を撹拌した。溶液を95℃にまで加熱した。その後、溶液にZnO粉末(4.34g、53.3mMol)を徐々に加えた。ZnOが完全に溶解するまで、加熱と撹拌を続けた。その後、溶液を室温にまで冷却し、メンブランフィルターを通して濾過した。
【0065】
酸化した本装置の内部に前駆体溶液を流すことにより、ZnO+Alを堆積させた。その後、装置を、60℃、125mbarで2時間乾燥させ、次いで450℃で1時間焼成した。この工程を2回繰り返した。
【0066】
[Pdの含浸]
Pd°懸濁液の調製:加熱(約95℃)と撹拌を行いながら、モリブデン酸ナトリウム二水和物(79.5mg、0.329mmol)と無水塩化パラジウム(II)(53.0mg、0.299mmol)を30mLの脱イオン水に加えた。水が完全に蒸発するまで、加熱と撹拌を続けた(固体残渣が生成した)。その後、撹拌しながら、30mLの脱イオン水を残渣に加えた。PdClを完全に溶解させるために、蒸発−溶解のサイクルを2回繰り返した。最後に、50mLの熱水を固体残渣に加えた。この濃茶色の溶液を室温にまで冷却し、紙製の濾紙を通して100mLのシリンダーへ濾過した。濾紙を水で洗浄した。前駆体溶液の量を最終的に60mLとする。
【0067】
ガラスシリンダー中、室温で1時間、前駆体溶液に水素をバブリングで通すことにより、Pd°懸濁液を生成した。
【0068】
装置の一端をゴム製のストッパーで閉じ、得られたPd°懸濁液を反応器に満たし、垂直位置にして、90℃、減圧下で、液体を徐々に蒸発させた。この処理を3回繰り返した。
【0069】
水素化の前に、Hにより触媒を活性化させた。
【0070】
そのような装置の使用は、良好な選択性を有する選択的水素化に繋がる。
【0071】
図1に、水素化プロセスのための適切な配置を示す。
図1