特許第6238230号(P6238230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238230
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】二液混合型接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 163/00 20060101AFI20171120BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20171120BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20171120BHJP
   E04G 21/02 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   C09J163/00
   C09J11/04
   E04G23/02 E
   E04G21/02 103A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-12408(P2014-12408)
(22)【出願日】2014年1月27日
(65)【公開番号】特開2015-140360(P2015-140360A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391048016
【氏名又は名称】アルファ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134647
【弁理士】
【氏名又は名称】宮部 岳志
(74)【代理人】
【識別番号】100161492
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 栄斉
(72)【発明者】
【氏名】西岡 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】大井川 幸彦
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−227980(JP,A)
【文献】 特開平11−020063(JP,A)
【文献】 特開昭60−104173(JP,A)
【文献】 特開昭59−172570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
E04G 21/02,23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂を含む主剤と、前記エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤とを含む二液混合型接着剤であって、
前記主剤と前記硬化剤との全量中に、フュームドシリカが1.2〜2.8質量%、フュームドシリカ以外のシリカが6.0〜7.0質量%、およびタルクが12.0〜14.0質量%含まれ、その質量比が、
(タルク)/(フュームドシリカ)=4.5〜13.0
(フュームドシリカ以外のシリカ)/(フュームドシリカ)=2.3〜6.5
であることを特徴とする二液混合型接着剤。
【請求項2】
前記フュームドシリカ以外のシリカおよび前記タルクが粉状である請求項1記載の二液混合型接着剤。
【請求項3】
請求項1又は2記載の二液混合型接着剤を既設コンクリートにスプレー塗布して、増厚コンクリートと接着させることを特徴とするコンクリート補強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂を含む主剤と、前記エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤とを含む二液混合型接着剤、およびそれを用いたコンクリート補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、災害対策として、道路や橋などの補強の重要性が高まっている。補強する方法としては、例えば、コンクリートを用いて補強する方法が挙げられ、より具体的には、コンクリート床版の上に、コンクリートを打設して補強する床版増厚工法が挙げられる。床版増厚工法においては、既設のコンクリート床版を切削し、その上に、新しいコンクリート(以下、増厚コンクリートという。)を打設して、既設のコンクリート床版を新しいコンクリートで補強する。
【0003】
このような工法においては、コンクリートとコンクリートとを強固に接着させなければならない。接着力を高めるため、特許文献1の段落0017には、既設のコンクリート床版表面に凹凸を設け、既設コンクリートと増厚コンクリートとの接着面積を大きくして接着力を高めることが記載されている。しかし、単に接着面積を大きくしても、十分な接着力を得られないという問題がある。
【0004】
接着力を高めるために、既設コンクリートに接着剤を塗布して、増厚コンクリートと接着させることもできる。接着剤を用いると、既設のコンクリート床版表面に凹凸を設ける場合に比べ、容易に接着力を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−59929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、接着力が高い接着剤は、一般的に粘性が高く、機械的に塗布することが困難で、ハケなどを用いて人が接着剤を塗布するしかなく、塗布作業に手間がかかるという問題がある。また、粘性が低い接着剤を用いると、液だれやムラが生じるため、塗布作業が困難になるという問題がある。そこで、本発明は、コンクリート同士を接着させる力が高く、塗布作業が容易な二液混合型接着剤、およびそれを用いたコンクリート補強方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、エポキシ樹脂を含む主剤と、前記エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤とを含む二液混合型接着剤に、フュームドシリカ、フュームドシリカ以外のシリカ、およびタルクを所定の配合比で含ませることによって、コンクリート同士を接着させる力が高く、しかも、塗布作業が容易となることを見出した。すなわち、本発明は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビスフェノールF型エポキシ樹脂を含む主剤と、前記エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤とを含む二液混合型接着剤であって、前記主剤と前記硬化剤との全量中に、フュームドシリカが1.2〜2.8質量%、フュームドシリカ以外のシリカが6.0〜7.0質量%、およびタルクが12.0〜14.0質量%含まれ、その質量比が、(タルク)/(フュームドシリカ)=4.5〜13.0、(フュームドシリカ以外のシリカ)/(フュームドシリカ)=2.3〜6.5である二液混合型接着剤である。また、本発明は、前記二液混合型接着剤を既設コンクリートにスプレー塗布して、増厚コンクリートと接着させるコンクリート補強方法である。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明によれば、コンクリート同士を接着させる力が高く、塗布作業が容易な二液混合型接着剤、およびそれを用いたコンクリート補強方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(二液混合型接着剤)
本発明に係る二液混合型接着剤は、エポキシ樹脂を含む主剤と、前記エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤が含まれていればよい。主剤と硬化剤とは、質量比で、100:30〜70、好ましくは100:40〜60、より好ましくは100:50とすることができる。本願明細書において、二液混合型接着剤とは、主剤と硬化剤とを混合する前の状態の接着剤および混合した後の接着剤の両方を含むものである。本発明に係る二液混合型接着剤は、主剤と硬化剤とを混合した際に、質量比で、(タルク)/(フュームドシリカ)=4.5〜13.0、好ましくは4.7〜11.0、さらに好ましくは4.9〜9.5、(フュームドシリカ以外のシリカ)/(フュームドシリカ)=2.3〜6.5、好ましくは2.5〜5.5、さらに好ましくは2.5〜4.5となるようにフュームドシリカ、フュームドシリカ以外のシリカ、およびタルクが含まれていればよく、フュームドシリカが1.2〜2.8質量%、フュームドシリカ以外のシリカが6.0〜7.0質量%、およびタルクが12.0〜14.0質量%となるように含ませる。フュームドシリカ、フュームドシリカ以外のシリカ、およびタルクは、主剤および硬化剤のいずれか一方、または両方に含ませることができる。
【0010】
フュームドシリカは、市販品を用いることができる。フュームドシリカ以外のシリカは、市販品を用いることができ、パウダー状のシリカが好ましい。シリカパウダーを用いると、接着性を向上させることができる。タルクは、市販品を用いることができ、パウダー状のタルクが好ましい。パウダー状のシリカおよびタルクを用いると、樹脂の滑りを良くすることができる。
【0011】
[主剤]
本発明に用いられる主剤は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との組み合わせである。ビスフェノールA型樹脂は、エポキシ樹脂として広く用いられており、コストおよび物性のバランスが優れている。ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、柔軟な骨格を持ち低粘度である。ビスフェノールA型樹脂のみでは、常温において粘度が高いため、溶剤や希釈剤で粘度を下げる必要があるが、希釈剤を用いると、エポキシ樹脂の物性が低下したりする。また、溶剤や希釈剤の毒性により、これらの使用量も制限される。したがって、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を使用することにより、エポキシ樹脂の物性を保持しつつ、粘度を低下させることができる。エポキシ樹脂は、主剤と硬化剤との全量中に、30〜60質量%、好ましくは35〜55質量%、より好ましくは40〜50質量%とすることができる。エポキシ樹脂がビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型樹脂とを併用する場合は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型樹脂との質量比は、100:20〜50とすることができる。
【0012】
主剤には、フュームドシリカが含まれているのが好ましい。フュームドシリカは、主剤中に、主剤と硬化剤との合計質量に対して2/3の量、例えば、0.8〜1.9質量%を含ませることができる。フュームドシリカの他に、フュームドシリカ以外のシリカおよびタルクのいずれか一方を含ませてもよく、タルクが含まれていることが好ましい。いずれか一方のみを含ませる場合は、主剤中に、フュームドシリカ以外のシリカまたはタルクの全量を含ませることができる。いずれか一方を含ませることにより、主剤と硬化剤とを色で区別することができる。
【0013】
主剤には、粘度等を調節するために、希釈剤を含ませてもよい。希釈剤としては、モノまたはジグリシジルエーテル系の反応性希釈剤であることが望ましい。モノまたはジグリシジルエーテルとしては、エチレングリコールモノまたはジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールモノまたはジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールモノまたはジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノまたはジグリシジルエーテル、および炭素数が8以上、さらには10以上の長鎖のアルキルグリコールのモノまたはジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0014】
希釈剤としては、その他、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、オレフィンオキサイド、オクチレンオキサイド、ブチルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、p−ブチルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、3−(ペンタデシル)フェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、シクロヘキセンビニルモノオキサイド、ジペンテンモノオキサイド、α−ピネンオキサイド、およびtert−カルボン酸のグリシジルエステル等のモノエポキシ化合物をはじめとする低粘度のモノまたはポリエポキシ化合物などが挙げられる。そのほか、フルフリルアルコールのような反応性の基を有するアルコール系の反応性希釈剤も使用可能である。希釈剤は、主剤中に5〜15質量%含ませてもよい。
【0015】
その他、カップリング剤、色素、表面張力低下剤などを含ませてもよい。カップリング剤としては、例えば、チタネート系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、クロム系カップリング剤、および有機リン酸系カップリング剤が挙げられる。カップリング剤は、主剤中に0.1〜5.0質量%含ませてもよい。表面張力低下剤としては、例えば、ポリヒドロキシカルボン酸アミド、シリコーン変性ポリアクリレート、ポリシロキサン、およびアクリル添加物が挙げられる。
【0016】
[硬化剤]
本発明に用いられる硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させる硬化成分が含まれていれば特に制限されない。硬化成分としては、例えば、脂肪族第一アミン(脂肪族ジアミン、脂肪族ポリアミン、芳香環含有脂肪族ポリアミン、脂環ポリアミン、および環状ポリアミンなど)、芳香族第一アミン、第三アミン硬化剤、含リンまたは含ハロゲンアミン硬化剤、および変性ポリアミンアダクトなどのアミン系硬化剤;ポリアミノアミド系硬化剤;脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、およびハロゲン系酸無水物などの酸または酸無水物系硬化剤が挙げられ、アミン系硬化剤であることが好ましい。硬化成分は、主剤と硬化剤との全量中に、10〜40質量%、好ましくは15〜35質量%、より好ましくは20〜30質量%とすることができる。
【0017】
硬化剤には、フュームドシリカが含まれているのが好ましい。フュームドシリカは、硬化剤中に、主剤と硬化剤との合計質量に対して1/3の量、例えば、0.4〜0.9質量%とすることができる。フュームドシリカの他に、フュームドシリカ以外のシリカおよびタルクのいずれか一方を含ませてもよく、フュームドシリカ以外のシリカが含まれているのが好ましい。いずれか一方のみを含ませる場合は、硬化剤中に、フュームドシリカ以外のシリカまたはタルクの全量を含ませることができる。いずれか一方を含ませることにより、主剤と硬化剤とを色で区別することができる。
【0018】
その他、カップリング剤、色素、表面張力低下剤などを含ませてもよい。カップリング剤および表面張力低下剤は、主剤に含ませてもよいものと同じものを用いることができる。カップリング剤は、硬化剤中に0.1〜5.0質量%含ませてもよい。
【0019】
(コンクリート補強方法)
本発明に係るコンクリート補強方法は、二液混合型接着剤を用いる。二液混合型接着剤は、エポキシ樹脂を含む主剤と、前記エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤が含まれている。主剤と硬化剤とは、使用前に混合すればよい。混合された接着剤は、補修対象となる既設コンクリートにスプレー塗布する。スプレー塗布した後、塗布した箇所に増厚コンクリートを打設する。本発明に係るコンクリート補強方法によれば、接着剤をスプレー塗布しているので、接着剤の塗布が容易であり、接着剤のチキソトロピー性により、液だれやムラが生じにくい。
【0020】
本発明に係る二液混合型接着剤は、粘度が5〜15Pa・sであることが好ましく、6.0〜12Pa・sであることがより好ましい。粘度が低いと接着力が弱くなったり、液だれしたりすることがあり、高いと取扱い性が悪くなる場合がある。チキソトロピー性は、2.5〜6.0であることが好ましく、3.0〜4.5であることがより好ましい。チキソトロピー性が低いと、液だれが生じやすくなり、高いとスプレー塗布が困難となる場合があり好ましくない。
【実施例】
【0021】
(実施例1)
表1に記載の配合量(質量部)にて、主剤および硬化剤を含む実施例1に係る二液混合型接着剤を得た。主剤および硬化剤を混合した後、以下のようにして、粘度、チキソトロピー性、施工性、相分離性、および接着性を評価した。結果を表1に示す。
【0022】
粘度:JIS K6833に準拠して測定した。
チキソトロピー性:JIS A 6024 − 6.2.2チクソトロピックインデックスに準拠して測定した。
施工性:エアースプレーガンを用いてスプレー塗布できた場合を○と、できなかった場合を×と評価した。
相分離性:主剤および硬化剤を混合して容器に入れ、1週間静置した後、シリカパウダーおよびタルクが沈殿していないかを目視により確認した。沈殿していない場合を○と、沈殿していた場合を×と評価した。
接着性:エアースプレーガンを用いて、コンクリートに二液混合型接着剤を塗布して、20℃で7日間養生させた後、建研式 引張試験機を用いて、引張強度を測定した。引張強度が1.5N/mm以上であった場合を○と、それ未満であった場合を×と評価した。
【0023】
(実施例2〜3,比較例1〜4)
表1に記載の配合量(質量部)とした以外は、実施例1と同様にして二液混合型接着剤を得た。また、実施例1と同様にして、粘度、チキソトロピー性、施工性、相分離性、および接着性を評価した。結果を表1に示す。
【0024】
【表1】