特許第6238232号(P6238232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6238232粉状物詰込システムおよび粉状物詰込方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238232
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】粉状物詰込システムおよび粉状物詰込方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 5/06 20060101AFI20171120BHJP
   B65B 43/28 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B65B5/06
   B65B43/28 A
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-55509(P2014-55509)
(22)【出願日】2014年3月18日
(65)【公開番号】特開2015-178365(P2015-178365A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2016年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】工藤 寿也
(72)【発明者】
【氏名】溝端 勉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳二郎
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−296345(JP,A)
【文献】 特開平08−169532(JP,A)
【文献】 実開昭61−119901(JP,U)
【文献】 実開昭60−008201(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/06
B65B 43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕前処理物を破砕する破砕機と、
前記破砕機により破砕された粉状物が集められた粉状物集積所と、
前記粉状物集積所が設けられた粉状物集積部に対して少なくとも2箇所に配置され、その各々に配置された袋体に対して前記粉状物集積所に集積された前記粉状物を詰め込む粉状物詰込部と、
前記粉状物集積部に配置され、前記粉状物集積所に集積された前記粉状物を保持して前記粉状物詰込部の各々の前記袋体に投入する投入装置と、
前記粉状物詰込部において前記投入装置による前記粉状物の投入範囲内に配置され、前記投入装置により投入される前記粉状物を前記袋体内に誘導する誘導部材と、
前記袋体を支持治具で支持した状態で移送する袋体移送手段と、
前記投入装置による前記粉状物の投入範囲外に配置され、前記袋体移送手段に空の袋体を取り付けるとともに、前記袋体移送手段に支持された前記粉状物の詰め込み後の袋体を取り外す袋体取付取外部と、
を備え、
前記袋体移送手段は、前記粉状物詰込部の各々と前記袋体取付取外部とを往復移動可能な状態で配置されているとともに、いずれかの前記粉状物詰込部において前記粉状物を前記投入装置により前記袋体に詰め込む間に、いずれかの他の前記粉状物詰込部において前記粉状物を前記袋体に詰め込む以外の作業を行えるように、前記粉状物詰込部の各々に対応して配備されていることを特徴とする粉状物詰込システム。
【請求項2】
前記粉状物詰込部の各々に複数個の前記誘導部材を並べて配置するとともに、前記粉状物詰込部の各々に対応する前記袋体移送手段の各々に複数個の前記袋体を並べて配置することを特徴とする請求項1記載の粉状物詰込システム。
【請求項3】
前記袋体移送手段の各々の複数個の前記袋体の数を、前記粉状物詰込部の各々の複数個の前記誘導部材の数よりも多くしたことを特徴とする請求項2記載の粉状物詰込システム。
【請求項4】
前記誘導部材の上部開口部の外周部において、少なくとも前記投入装置による前記粉状物の投入範囲外に、前記誘導部材の上部開口部から外側に向かって張り出す庇部を設けたことを特徴とする請求項1、2または3記載の粉状物詰込システム。
【請求項5】
破砕前処理物を粉状物に破砕して粉状物集積所に集積する工程と、
前記粉状物集積部に集積された粉状物を、前記粉状物集積部に配置された投入装置により保持して、前記粉状物集積部に対して少なくとも2箇所に配置された粉状物詰込部の各々の誘導部材に投入し、該誘導部材の直下に配置された空の袋体に詰め込む工程と、
前記粉状物が詰め込まれた袋体を袋体移送手段に支持した状態で、前記投入装置による前記粉状物の投入範囲外に配置された袋体取付取外部に移送する工程と、
前記袋体取付取外部において、前記粉状物が詰め込まれた袋体を前記袋体移送手段から取り外す工程と、
前記袋体取付取外部において、前記袋体移送手段に空の袋体を取り付ける工程と、
前記空の袋体を前記袋体移送手段に支持した状態で、前記粉状物詰込部の各々の前記誘導部材の直下に移送する工程と、
を有し、
前記粉状物詰込部の各々のうちのいずれかにおいて前記粉状物を前記投入装置により前記袋体に詰め込む間に、いずれかの他の前記粉状物詰込部において前記粉状物を前記袋体に詰め込む以外の作業を行う工程を有することを特徴とする粉状物詰込方法。
【請求項6】
前記粉状物詰込部の各々に複数個の前記誘導部材を並べて配置し、複数個の前記袋体を前記袋体移送手段に並べて支持した状態で、前記粉状物詰込部の各々に移送する工程と、
前記粉状物詰込部の各々において、前記粉状物集積部の前記粉状物を前記投入装置により複数個の前記誘導部材に投入し、該複数個の誘導部材を介して複数個の前記袋体に詰め込む工程とを有することを特徴とする請求項5記載の粉状物詰込方法。
【請求項7】
前記袋体移送手段の各々の前記複数個の袋体の数を、前記粉状物詰込部の各々の前記複数個の誘導部材の数よりも多くしたことを特徴とする請求項6記載の粉状物詰込方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉状物詰込システムおよび粉状物詰込方法に関し、例えば、土砂、破砕物およびこれらの混合物等のような粉状物を袋体に詰め込む技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土砂や破砕物等をフレキシブルコンテナバック等のような柔軟性を持つ袋体に詰め込むには、一般的に、油圧シャベル等のような重機により土砂や破砕物等を保持し、その重機の旋回半径内に置かれた袋体に直接投入している。
【0003】
なお、例えば、特許文献1には、大型の包装袋体の袋詰およびその口部の巻き締め作業を自動化するとともに、袋体の反復使用を可能とする機構を備えた自動袋詰装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−310223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、土砂や破砕物等を重機により袋体に直接投入する方法においては、土砂や破砕物等を袋体に詰め込み後、その詰め込み後の袋体を他の場所まで運搬し、代わりに空の袋体を準備する間、安全性の観点から重機等を待機させておかなければならず作業効率が著しく低い、という問題がある。
【0006】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、その目的は、土砂、破砕物またはそれらの混合物等のような粉状物の袋詰作業の作業効率を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の粉状物詰込システムは、破砕前処理物を破砕する破砕機と、前記破砕機により破砕された粉状物が集められた粉状物集積所と、前記粉状物集積所が設けられた粉状物集積部に対して少なくとも2箇所に配置され、その各々に配置された袋体に対して前記粉状物集積所に集積された前記粉状物を詰め込む粉状物詰込部と、前記粉状物集積部に配置され、前記粉状物集積所に集積された前記粉状物を保持して前記粉状物詰込部の各々の前記袋体に投入する投入装置と、前記粉状物詰込部において前記投入装置による前記粉状物の投入範囲内に配置され、前記投入装置により投入される前記粉状物を前記袋体内に誘導する誘導部材と、前記袋体を支持治具で支持した状態で移送する袋体移送手段と、前記投入装置による前記粉状物の投入範囲外に配置され、前記袋体移送手段に空の袋体を取り付けるとともに、前記袋体移送手段に支持された前記粉状物の詰め込み後の袋体を取り外す袋体取付取外部と、を備え、前記袋体移送手段は、前記粉状物詰込部の各々と前記袋体取付取外部とを往復移動可能な状態で配置されているとともに、いずれかの前記粉状物詰込部において前記粉状物を前記投入装置により前記袋体に詰め込む間に、いずれかの他の前記粉状物詰込部において前記粉状物を前記袋体に詰め込む以外の作業を行えるように、前記粉状物詰込部の各々に対応して配備されていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の本発明は、上記請求項1記載の発明において、前記粉状物詰込部の各々に複数個の前記誘導部材を並べて配置するとともに、前記粉状物詰込部の各々に対応する前記袋体移送手段の各々に複数個の前記袋体を並べて配置することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の本発明は、上記請求項2記載の発明において、前記袋体移送手段の各々の複数個の前記袋体の数を、前記粉状物詰込部の各々の複数個の前記誘導部材の数よりも多くしたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の本発明は、上記請求項1、2または3記載の発明において、前記誘導部材の上部開口部の外周部において、少なくとも前記投入装置による前記粉状物の投入範囲外に、前記誘導部材の上部開口部から外側に向かって張り出す庇部を設けたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の本発明の粉状物詰込方法は、破砕前処理物を粉状物に破砕して粉状物集積所に集積する工程と、前記粉状物集積部に集積された粉状物を、前記粉状物集積部に配置された投入装置により保持して、前記粉状物集積部に対して少なくとも2箇所に配置された粉状物詰込部の各々の誘導部材に投入し、該誘導部材の直下に配置された空の袋体に詰め込む工程と、前記粉状物が詰め込まれた袋体を袋体移送手段に支持した状態で、前記投入装置による前記粉状物の投入範囲外に配置された袋体取付取外部に移送する工程と、前記袋体取付取外部において、前記粉状物が詰め込まれた袋体を前記袋体移送手段から取り外す工程と、前記袋体取付取外部において、前記袋体移送手段に空の袋体を取り付ける工程と、前記空の袋体を前記袋体移送手段に支持した状態で、前記粉状物詰込部の各々の前記誘導部材の直下に移送する工程と、を有し、前記粉状物詰込部の各々のうちのいずれかにおいて前記粉状物を前記投入装置により前記袋体に詰め込む間に、いずれかの他の前記粉状物詰込部において前記粉状物を前記袋体に詰め込む以外の作業を行う工程を有することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の本発明は、上記請求項5記載の発明において、前記粉状物詰込部の各々に複数個の前記誘導部材を並べて配置し、複数個の前記袋体を前記袋体移送手段に並べて支持した状態で、前記粉状物詰込部の各々に移送する工程と、前記粉状物詰込部の各々において、前記粉状物集積部の前記粉状物を前記投入装置により複数個の前記誘導部材に投入し、該複数個の誘導部材を介して複数個の前記袋体に詰め込む工程とを有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の本発明は、上記請求項6記載の発明において、前記袋体移送手段の各々の前記複数個の袋体の数を、前記粉状物詰込部の各々の前記複数個の誘導部材の数よりも多くしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、いずれかの粉状物詰込部において袋体の移送中に、他のいずれかの粉状物詰込部において粉状物を投入装置により袋体に詰め込むことができるので、粉状物の袋詰作業の作業効率を向上させることが可能になる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、1回の投入工程で複数個の袋体に粉状物を詰め込むことができるので、粉状物の袋詰作業の作業効率をさらに向上させることが可能になる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、袋体移送手段の袋体の数を粉状物詰込部の誘導部材の数と同じにした場合に比べて、袋体移送手段に対する袋体の取り付け取り外し作業を減らすことができるので、粉状物の袋詰作業の作業効率をさらに向上させることが可能になる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、粉状物詰込部において袋体内への粉状物の投入量を確認する場合に、作業者は誘導部材に設けられた庇部の下方において目視確認することができ、その確認作業時に粉状物が頭上からの落下してくる問題を回避することができるので、作業者は粉状物の詰め込み状況を安全かつ容易に目視確認することが可能になる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、いずれかの粉状物詰込部において袋体の移送中に、他のいずれかの粉状物詰込部において粉状物を投入装置により袋体に詰め込むことができるので、粉状物の袋詰作業の作業効率を向上させることが可能になる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、1回の投入工程で複数個の袋体に粉状物を詰め込むことができるので、粉状物の袋詰作業の作業効率をさらに向上させることが可能になる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、袋体移送手段の袋体の数を粉状物詰込部の誘導部材の数と同じにした場合に比べて、袋体移送手段に対する袋体の取り付け取り外し作業を減らすことができるので、粉状物の袋詰作業の作業効率をさらに向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施の形態に係る粉状物詰込システムの一例である破砕物詰込システムの平面図である。
図2図1の破砕物詰込システムを構成する破砕物詰込部に配置されたホッパと袋体台車との側面図である。
図3】(a),(b)は図2のホッパと袋体台車との正面図である。
図4】(a)は破砕物詰込工程中における破砕物詰込システムの平面図、(b)は図4(a)に続く破砕物詰込工程中における破砕物詰込システムの平面図である。
図5】(a)は図4(b)に続く破砕物詰込工程中における破砕物詰込システムの平面図、(b)は図5(a)の破砕物詰込工程中における破砕物詰込部の側面図である。
図6】(a)は図5に続く破砕物詰込工程中における破砕物詰込システムの平面図、(b)は図6(a)に続く破砕物詰込工程中における破砕物詰込システムの平面図である。
図7】(a)は図6(b)に続く破砕物詰込工程中における破砕物詰込システムの平面図、(b)は図7(a)の破砕物詰込工程中における破砕物詰込部の側面図である。
図8】(a)は図7に続く破砕物詰込工程中における破砕物詰込システムの平面図、(b)は図8(a)に続く破砕物詰込工程中における破砕物詰込システムの平面図である。
図9】(a)は図8(b)に続く破砕物詰込工程中における破砕物詰込システムの平面図、(b)は図9(a)に続く破砕物詰込工程中における破砕物詰込システムの平面図である。
図10】(a)は図9(b)に続く破砕物詰込工程中における破砕物詰込システムの平面図、(b)は図10(a)に続く破砕物詰込工程中における破砕物詰込システムの平面図である。
図11】(a)は図10(b)に続く破砕物詰込工程中における破砕物詰込システムの平面図、(b)は図11(a)に続く破砕物詰込工程中における破砕物詰込システムの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
まず、本実施の形態の粉状物詰込システムの一例について図1図3を参照して説明する。図1は本実施の形態の粉状物詰込システムの一例である破砕物詰込システムの平面図、図2図1の破砕物詰込システムを構成する破砕物詰込部に配置されたホッパと袋体台車との側面図、図3(a),(b)は図2のホッパと袋体台車との正面図である。なお、図2および図3(a)においては図面を見易くするため袋体にハッチングを付した。また、図3(b)においては袋体を取り外した状態を示した。
【0024】
図1に示す本実施の形態の破砕物詰込システム(粉状物詰込システム)1は、破砕物等のような粉状物をフレキシブルコンテナバック等のような柔軟性を持つ袋体2に詰め込むシステムであり、破砕物集積部(粉状物集積部)3と、破砕物詰込部(粉状物詰込部)4(4a,4b)と、袋体台車(袋体移送手段)5(5a,5b)と、袋体取付取外部6(6a,6b)とを備えている。なお、粉状物は、破砕物に限定されるものではなく、例えば土砂または土砂と破砕物との混合物でも良い。
【0025】
破砕物集積部3は、破砕物集積所(粉状物集積所)3aと、投入重機(投入装置)3bとを備えている。
【0026】
破砕物集積所3aは、破砕物が集められた領域である。この破砕物は、解袋重機7により破砕前処理物集積所8に集められた破砕前処理物が、投入重機9により破砕機10に投入された後、破砕機10により破砕されて破砕物集積所3aに送られたものである。
【0027】
投入重機3bは、破砕物集積所3aの破砕物を保持して破砕物詰込部4a,4bの各々の袋体2に投入する装置であり、破砕物集積所3aの近傍に移動可能な状態で配置されている。この投入重機3bとしては、例えば、油圧シャベルが使用されている。
【0028】
破砕物詰込部4(4a,4b)は、投入重機3bから投入された破砕物を袋体2に詰め込む構成部であり、例えば、1箇所の破砕物集積部3に対して2箇所配置されている。破砕物詰込部4a,4bは、例えば、投入重機3bを中心にしてほぼ対称になるように配置されている。ただし、破砕物詰込部4は、1箇所の破砕物集積部3に対して少なくとも2箇所は必要であるが、2箇所に限定されるものではなく、1つの破砕物集積部3に対して3箇所以上設置しても良い。
【0029】
各破砕物詰込部4a,4bには、例えば、2個のホッパHPが一方向(図1の左右横方向)に沿って隣接した状態で設置されている。各ホッパHPは、投入重機3bから投入された破砕物を、その直下に配置される袋体2に誘導する誘導部材であり、図1の破線Rに示すように、投入重機3bのアームの旋回半径内に入る位置に設置されているとともに、図2および図3に示すように、ホッパHPの下方に袋体2を配置できるように地面から所定の高さだけ離れた位置に設置されている。
【0030】
また、各ホッパHPは、図2および図3に示すように、上部から下部に向かって開口部が小さくなるような逆四角錐形の箱状に形成されている。各ホッパHPの上部の開口面積は、袋体2の開口面積よりも大きく、かつ、各ホッパHPの底部の開口面積は袋体2の開口面積よりも小さく形成されている。
【0031】
破砕物を袋体2に直接投入する場合、破砕物が袋体2に上手く入らず周囲に飛散する。また、破砕物が周囲に飛散しないように注意深く作業を進めなければならないので作業に時間がかかる。また、袋体2の周囲に飛散した破砕物を清掃しなければならず作業効率の低下と作業時間の増大とを招く。
【0032】
これに対して、本実施の形態においては、ホッパHPを通じて破砕物を袋体2内に誘導することができるので、破砕物が袋体2の周りに飛散するのを抑制または防止することができる。このため、破砕物の清掃作業時間を短縮することができる。また、ホッパHPを用いたことにより、破砕物を袋体2に直接投入する場合よりも大まかな感覚で破砕物を投入することができる上、1度に投入可能な破砕物の量を増大させることができるので、破砕物の袋詰作業効率を向上させることができ、破砕物の袋詰作業時間を短縮することができる。
【0033】
また、ホッパHPの上部の開口部の外周部には、開口部から外側に向かって張り出すようにガード部(庇部材)GPが設置されている。このガード部GPは、少なくとも投入重機3bのアームの旋回半径の外に設けられている。
【0034】
破砕物の袋詰作業中に作業者が破砕物の投入量等の詰め込み状況を目視確認する場合があるが、その場合に、ガード部GPが無いと、破砕物が作業者の頭上から落下してくることがあるため、破砕物の詰め込み状況を目視確認することが難しい。
【0035】
これに対して、本実施の形態においては、ガード部GPの下方において破砕物の詰め込み状況を目視確認することにより、破砕物が頭上からの落下してくる問題を回避することができるので、破砕物の詰め込み状況を安全かつ容易に目視確認することができる。また、ガード部GPは、破砕物が袋体2の周囲に飛散するのを抑制または防止する機能も備えている。
【0036】
袋体台車5(5a,5b)は、袋体2を移送する台車であり、図1に示すように、例えば、2箇所の破砕物詰込部4a,4bに対応して2台配備されている。各袋体台車5a,5bは、例えば、手押し方式の台車である。また、各袋体台車5a,5bは、例えば、4台の台車FCが一方向(図1の左右横方向)に沿って連結されることで構成されている。
【0037】
図2および図3に示すように、各台車FCには、例えば、ゴムタイヤ式の4輪の車輪WHが取り付けられている。また、各台車FCの底面には、その底面から地面に向かって突出する振止部SSが設けられている。この振止部SSは、地面に敷設されたガイドレールGRに係合されている。ガイドレールGRは、各袋体台車5a,5bの幅方向中央に対応するように配置されているとともに、破砕物詰込部4と袋体取付取外部6とを繋ぐように線状に延在した状態で地面に敷設されている。これにより、袋体台車5(5a,5b)は、ガイドレールGRに沿って破砕物詰込部4と袋体取付取外部6とを往復移動することが可能になっている。
【0038】
さらに、各台車FCの上面には、例えば、袋体2を支持する金属枠状の袋体スタンド15が設置されている。このため、各袋体台車5a,5bは、例えば、4個の袋体2を支持することが可能になっている。ただし、各袋体台車5a,5bの台車FCの数は、4台に限定されるものではなく、4台よりも多くても少なくても良い。各袋体台車5a,5bの台車FCの数は、ホッパHPの数に応じて変えることが好ましい。ここでは、ホッパHPが2個なので、各袋体台車5a,5bの台車FCの数(すなわち、袋体2の数)が、例えば、ホッパHPの2倍の4台に設定されている。これにより、袋体台車5(5a,5b)を大型にすることなく(袋体台車5による占有面積の増大を招くことなく)、破砕物の袋詰作業の作業効率を向上させることができる。
【0039】
袋体取付取外部6(6a,6b)は、空の袋体2を袋体台車5に取り付けるとともに、破砕物詰込部4において破砕物を詰め込んだ後の袋体2を袋体台車5から取り外す部分であり、図1に示すように、例えば、2箇所の破砕物詰込部4a,4bに対して2箇所配備されている。
【0040】
各袋体取付取外部6a,6bは、上記投入重機3bのアームの旋回半径の外に配置されている。これにより、袋体台車5に対する袋体2の取り付け取り外し作業における作業者の安全性を向上させることができる。また、各袋体取付取外部6a,6bには、袋体2の取付取外用の重機16a,16bが移動可能な状態で配備されている。この重機16a,16bとしては、例えば、フォークリフトが使用されている。
【0041】
次に、本実施の形態の破砕物詰込方法の一例について図4図11を参照して説明する。図4図5(a)、図6図7(a)、図8図11は破砕物詰込工程中における破砕物詰込システムの平面図、図5(b)は図5(a)の破砕物詰込工程中における破砕物詰込部の側面図、図7(b)は図7(a)の破砕物詰込工程中における破砕物詰込部の側面図である。なお、ここでは、説明上、破砕物詰込工程の一例を述べるものであり、2箇所の破砕物詰込部4a,4bの相互間の処理タイミング等は種々変更可能である。
【0042】
図4(a)は破砕物詰込工程における破砕物詰込システム1の初期状態例を示している。袋体台車5a,5bは、それぞれ袋体取付取外部6a,6bに配置されている。各袋体台車5a,5bには、例えば、4個の空の袋体2が支持されている。
【0043】
まず、図4(b)に示すように、一方の袋体台車5aを破砕物詰込部4aに移送し、袋体台車5aの2個の袋体2を破砕物詰込部4aの2個のホッパHPの直下に配置する。
【0044】
続いて、図5(a),(b)に示すように、破砕物集積所3aの破砕物を投入重機3bにより保持し、破砕物詰込部4aの2個のホッパHPに投入し、その各々のホッパHPを通じて袋体台車5a上の2個の袋体2に詰め込む。一方、同時に、袋体取付取外部6bの袋体台車5bを破砕物詰込部4bに移送し、袋体台車5bの2個の袋体2を破砕物詰込部4bの2個のホッパHPの直下に配置する。なお、図5(b)の矢印は破砕物の投入状態を示している。
【0045】
次いで、図6(a)に示すように、一方の破砕物詰込部4aにおいて袋体台車5a上の2個の袋体2への破砕物の詰め込みが完了したら、破砕物集積所3aの破砕物を投入重機3bにより保持し、他方の破砕物詰込部4bの2個のホッパHPに投入し、その各々のホッパHPを通じて他方の袋体台車5b上の2個の袋体2に詰め込む。この間に、図6(b)に示すように、一方の破砕物詰込部4aにおいて、袋体台車5aを移送し、袋体台車5a上の空の2個の袋体2を破砕物詰込部4aの2個のホッパHPの直下に配置する。なお、図面を見易くするため破砕物の詰め込み後の袋体2にハッチングを付した。
【0046】
続いて、図7(a)に示すように、他方の破砕物詰込部4bにおいて袋体台車5b上の2個の袋体2への破砕物の詰め込みが完了したら、図7(a),(b)に示すように、破砕物集積所3aの破砕物を投入重機3bにより保持し、一方の破砕物詰込部4aの2個のホッパHPに投入し、その各々のホッパHPを通じて袋体台車5a上の2個の袋体2に詰め込む。この間に、図8(a)に示すように、他方の破砕物詰込部4bにおいて、袋体台車5bを移送し、袋体台車5bの空の2個の袋体2を破砕物詰込部4bの2個のホッパHPの直下に配置する。
【0047】
その後、図8(b)に示すように、破砕物詰込部4aにおいて袋体台車5a上の2個の袋体2への破砕物の詰め込みが完了したら、破砕物集積所3aの破砕物を投入重機3bにより保持し、他方の破砕物詰込部4bの2個のホッパHPに投入し、その各々のホッパHPを通じて他方の袋体台車5b上の2個の袋体2に詰め込む。この間に、図9(a)に示すように、一方の袋体台車5aを破砕物詰込部4aから袋体取付取外部6aに移送し、図9(b)に示すように、袋体台車5a上の袋詰後の袋体2を重機16aにより取り外し、袋詰後の袋体2の集積所(図示せず)に運ぶ。さらに、図10(a)に示すように、袋体取付取外部6aにおいて袋体台車5aに空の袋体2を重機16aにより取り付けた後、図10(b)に示すように、一方の袋体台車5aを破砕物詰込部4aに移送し、袋体台車5aの2個の袋体2を破砕物詰込部4aの2個のホッパHPの直下に配置する。これにより、一方の破砕物詰込部4aは、図4(b)と同じ状態に戻る。
【0048】
次いで、図11(a)に示すように、他方の破砕物詰込部4bにおいて袋体台車5b上の2個の袋体2への破砕物の詰め込みが完了したら、図11(b)に示すように、破砕物集積所3aの破砕物を投入重機3bにより保持し、一方の破砕物詰込部4aの2個のホッパHPに投入し、その各々のホッパHPを通じて袋体台車5a上の2個の袋体2に詰め込む。この間に、他方の袋体台車5bを破砕物詰込部4bから袋体取付取外部6bに移送する。そして、上記袋体取付取外部6aでの作業と同様に、袋体台車5b上の袋詰後の袋体2を重機16bにより取り外し、袋詰後の袋体2の集積所(図示せず)に運んだ後、袋体取付取外部6bにおいて袋体台車5bに空の袋体2を重機16bにより取り付ける。その後、袋体取付取外部6bの袋体台車5bを破砕物詰込部4bに移送し、袋体台車5bの2個の袋体2を破砕物詰込部4bの2個のホッパHPの直下に配置する。これにより、他方の破砕物詰込部4bは、図5(a)と状態に戻る。
【0049】
このように本実施の形態においては、2系列の破砕物詰込部4(4a,4b)および袋体台車5(5a,5b)を設けたことにより、一方の破砕物詰込部4で袋体2を移送中に、他方の破砕物詰込部4において袋体2に破砕物を詰め込むことができるので、投入重機3bの待機時間を短くすることができ、破砕物の袋詰作業の作業効率を向上させることができる。本実施の形態においては、破砕物を袋体2に直接投入する場合に比べて、単位時間当たりの袋詰処理個数を2〜3倍にできた。
【0050】
また、破砕物詰込部4(4a,4b)においてホッパHPを用いたことにより、破砕物が袋体2の周りに飛散するのを抑制または防止することができる。このため、破砕物の清掃作業時間を短縮することができる。また、ホッパHPを用いた場合、破砕物を袋体2に直接投入する場合よりも大まかな感覚で破砕物を投入することができる上、1回の投入時に投入可能な破砕物の量を増大させることができるので、破砕物の袋詰作業の作業効率を向上させることができ、破砕物の袋詰作業の作業時間を短縮することができる。
【0051】
また、各破砕物詰込部4a,4bにおいて2個のホッパHPを配置したことにより、1回の投入工程で2個の袋体2に破砕物を詰め込むことができるので、破砕物の袋詰作業の作業効率をさらに向上させることができ、破砕物の袋詰作業の作業時間をさらに短縮することができる。
【0052】
また、袋体台車5の袋体2の数を破砕物詰込部4のホッパHPの数と同数の2個とした場合、2個の袋体2の袋詰め毎に、袋体台車5を袋体取付取外部6に戻して袋体2の取り付け取り外し作業が必要になる。すなわち、4個の袋体2の袋詰めに、2回の袋体台車5の移送と、2回の袋体取付取外作業とが必要になる。これに対して、本実施の形態においては、袋体台車5の袋体2の数を破砕物詰込部4のホッパHPの数よりも多い4個としたことにより、4個の袋体2の袋詰めに、1回の袋体台車5の移送と、1回の袋体取付取外作業とで済むので、破砕物の袋詰の作業効率をさらに向上させることができ、破砕物の袋詰作業の作業時間をさらに短縮することができる。
【0053】
また、投入重機3bの旋回半径を固定化することができるので、その旋回半径内を立ち入り禁止区域に設定することができる。このため、作業者が投入重機3bの旋回半径内に立ち入るのを防止することができるので、破砕物の袋詰作業の安全性を向上させることができる。
【0054】
また、袋体取付取外部6(6a,6b)を投入重機3bの旋回半径の外に配置することにより、袋体台車5(5a,5b)に対する袋体2の取り付け取り外し行うことにより、その袋体2の取り付け取り外し作業の安全性を向上させることができる。
【0055】
さらに、破砕物詰込部4(4a,4b)において袋体2内の破砕物の投入量を確認する場合に、作業者はホッパHPの上部に設けられたガード部GPの下方において目視確認することができるので、その確認作業時に破砕物が頭上からの落下してくる問題を回避することができる。このため、作業者は破砕物の詰め込み状況を安全かつ容易に目視確認することができる。
【0056】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0057】
例えば、前記実施の形態においては、各破砕物詰込部4a,4bに2個のホッパHPを配置し、各袋体台車5a,5bに4個の袋体2を支持した状態で搬送させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、各破砕物詰込部4a,4bに1個のホッパHPを配置し、各袋体台車5a,5bを1個の台車FCで構成して1個の袋体2を支持した状態で搬送させるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上の説明では、本発明を破砕物の詰込作業に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、土砂または土砂と破砕物との混合物等のような他の粉状物の詰込作業に適用しても良い。
【符号の説明】
【0059】
1 破砕物詰込システム
2 袋体
3 破砕物集積部
3a 破砕物集積所
3b 投入重機
4,4a,4b 破砕物詰込部
5,5a,5b 袋体台車
6,6a,6b 袋体取付取外部
15 袋体スタンド
16a,16b 重機
HP ホッパ
GP ガード部
FC 台車
WH 車輪
SS 振止部
GR ガイドレール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11