(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6238256
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】プリント基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
H05K1/02 S
H05K1/02 G
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-109926(P2016-109926)
(22)【出願日】2016年6月1日
【審査請求日】2016年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100090011
【弁理士】
【氏名又は名称】茂泉 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100194939
【弁理士】
【氏名又は名称】別所 公博
(74)【代理人】
【識別番号】100206782
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰洋
(72)【発明者】
【氏名】西堀 洋祐
【審査官】
原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−095775(JP,U)
【文献】
実開平02−072575(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品側基板から捨て板側基板を切断するためのミシン目を施してなるプリント基板の製造方法において、
前記製品側基板上に塗布されて回路を保護するためのソルダーレジストを有し、
前記ソルダーレジストは、前記ミシン目の穴と穴の間隙まで塗布され、かつ前記ソルダーレジストの塗布位置は、前記ミシン目の穴の中心がミシン目切断の際の基板端からの飛び出し量の許容公差最大値となる位置まで塗布されて、前記ソルダーレジスト塗布の有無により前記ミシン目を切断する切断基準線とし、当該切断基準線を元にして切断する際、前記捨て板側基板に前記ミシン目の穴間の前記ソルダーレジストが残るように前記ミシン目を切断する
ことを特徴とするプリント基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製品側基板から捨て板側基板を切断するためのミシン目を施してなるプリント基板
の製造方法に関し、特に、ミシン目切断後の切断部の飛び出し量の精度向上に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板にミシン目を施して複数の基板に分割するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、プリント基板において、自動装着機で実装できるように、製品側基板には自装機の掴み代となる捨て板を設け、捨て板側基板と製品側基板の接合部に相当する位置に切断のためのミシン目を用いる。
【0004】
図3は、従来の手作業によるプリント基板のミシン目接合部切断を説明する図である。
【0005】
図3において、ステップ1では、製品となる製品側基板1と捨て板側基板2は、非導通である貫通穴を狭い間隔で連続して設け、接合部が穴と穴の間のみとなるようにしたミシン目3により結合されている。製品側基板1から捨て板側基板2を切断する際、接合部を仮想の切断線4に沿って切断する。
【0006】
スッテプ2は切断後の処理であり、接合部を切断した断面となる部分と製品の基板端との差である飛び出し量5を測定し、設計で定めている許容公差内に収まっているかの良否判定を行う。
【0007】
飛び出し量5が許容公差内に収まっていない場合、スッテプ3のように、ミシン目周辺を適当な場所で切断し、凸部の飛び出し量6を計測する。このようにして、良判定が出されるまでスッテプ2の切断作業を繰り返すことがこれまでのミシン目切断方法であった。このように製品側基板1と捨て板側基板2の接合部を切断する基準を設けず、人の目分量で切断していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−326948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、従来例の切断では、接合部に明確な切断基準がないため、切断の仕上がりにムラが発生する問題点があった。また、
図1の飛び出し量5の仕上がりについて、目視で良否確認することはできなく、機械による測定を行わない限り良否判定が出せないため、多くの手間と時間を要するといった欠点があった。
【0010】
すなわち、ミシン目の切断後には切断部に凸部が残り、凸部の飛び出し量には製品ごとに厳しい公差が定められる。しかし、凸部の飛び出し量は制御し難く、飛び出し量が公差内であるかどうかの良否判定を人手による器具を用いた測定に依存しており、多くの時間と労力を要していたので、切断の簡易化と測定の容易化が求められている。
【0011】
この発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、基板製造時に製造誤差の少ないソルダーレジストを利用し、切断基準線を正確な位置に設け、ミシン目切断時の仕上がりのムラを無くすことができ、また、切断時の凸部の飛び出し量を測定することなく、目視で容易に良否判定ができるようにすることができるプリント基板
の製造方法を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係るプリント基板
の製造方法は、製品側基板から捨て板側基板を切断するためのミシン目を施してなるプリント基板において、前記製品側基板上に塗布されて回路を保護するためのソルダーレジストを有し、前記ソルダーレジストは、前記ミシン目の穴と穴の間隙まで塗布され、かつ前記ソルダーレジストの塗布位置は、前記ミシン目の穴の中心がミシン目切断の際の基板端からの飛び出し量の許容公差最大値となる位置まで塗布されて、前記ソルダーレジスト塗布の有無により前記ミシン目を切断する切断基準線とし、当該切断基準線を元にして切断する際、前記捨て板側基板に前記ミシン目の穴間の前記ソルダーレジストが残るように前記ミシン目を切断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、プリント基板製造に用いるソルダーレジストを利用し、ソルダーレジストをミシン目の穴と穴の間隙まで塗布し、かつミシン目の穴の中心がミシン目切断の際の基板端からの飛び出し量の許容公差最大値となる位置まで塗布し、ソルダーレジスト塗布の有無によりミシン目を切断する切断基準線とすることで、切断基準線を正確な位置に設け、ミシン目切断時の仕上がりのムラを無くすことができ、また、切断時の凸部の飛び出し量を測定することなく、目視で容易に良否判定ができるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の実施の形態1におけるプリント基板を示す外観図である。
【
図2】この発明の実施の形態1におけるプリント基板の切断後の説明図である。
【
図3】従来例によるミシン目切断フローの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態におけるプリント基板を示す外観図である。
図1において、製品側基板11と捨て板側基板12との接合部に設けているミシン目13を容易に切断する基準線を設けるために、基板に塗布するソルダーレジスト17をミシン目13の穴と穴の間隙まで塗布する。このときのソルダーレジスト17の塗布位置は、
図1の飛び出し量5の許容公差の最大値となるところまで、つまりミシン目13の穴の中心がミシン目切断の際の基板端からの飛び出し量5の許容公差最大値となる位置まで塗布する。
【0016】
製品側基板11と捨て板側基板12の間には抜き穴18があり、抜き穴18周辺は製品側基板11と捨て板側基板12共にソルダーレジスト17を塗布しておらず、ミシン目13に対して捨て板側基板12も同様である。
【0017】
このように構成されたプリント基板において、ミシン目13の穴と穴の間隙にソルダーレジスト17の塗布の有無により境界線15が発生し、その境界線15が切断基準線となる。切断基準線ができたことにより、ミシン目13の切断作業が1度の作業で終えやすくなり、また、捨て板側基板12側にソルダーレジスト17が残るように切断することで、基板端からの飛び出し量も管理できるようになり、飛び出し量の検査において目視検査のみで許容公差内に収まっていることが判断できる。
【0018】
次に、この発明を適用したプリント基板のミシン目切断と切断後後の良否判定について
図2を用いて説明する。
図1に示すように、
図3の飛び出し量5の許容公差最大値をミシン目13の穴の中心とし、ソルダーレジスト17の有無により境界線(切断基準線)15が発生している。
図2は、
図1で発生した境界線(切断基準線)を元にミシン目を切断した図である。左側の切断箇所21にはソルダーレジスト17が残っているため製品側の飛び出し量が許容公差内に収まっていることが目視で判断できる。しかし、右側の切断箇所22にはソルダーレジスト17が残っておらず、基材のみとなっているため、許容公差内に収まっていないことが目視で確認でき、このため、再度、切断が必要であると確認できる。
【0019】
このように、本発明を適用することで、ミシン目切断の正確性が向上し、時間短縮が図れることを確認できる。
【0020】
すなわち、プリント基板製造に用いるソルダーレジスト17を利用し、製品側基板11と捨て板側基板12を接合しているミシン目13の穴間にソルダーレジスト17を塗布することで、ミシン目13の穴間でソルダーレジストが塗布されている箇所と塗布されていない箇所に分かれ、ソルダーレジストによる境界を設けることができる。境界を分割基準線とし切断を行う際、捨て板側基板11に穴間のソルダーレジスト17が残るように切断することで、切断後の凸部の飛び出し量を器具による測定無しに目視検査で行うことができる。
【0021】
これにより、実施の形態1によれば、切断基準線を正確な位置に設け、ミシン目切断時の仕上がりのムラを無くすことができ、また、切断時の凸部の飛び出し量を測定することなく、目視で容易に良否判定ができる。
【符号の説明】
【0022】
11 製品側基板、
12 捨て板側基板、
13 ミシン目、
15 境界線(切断基準線)、
17 ソルダーレジスト。
【要約】
【課題】ソルダーレジストを利用し、切断基準線を正確な位置に設け、ミシン目切断時の仕上がりのムラを無くすことができ、また、切断時の凸部の飛び出し量を測定することなく、目視で容易に良否判定ができるプリント基板を得る。
【解決手段】製品側基板11上に塗布されたソルダーレジスト17を利用し、ソルダーレジストを、ミシン目13の穴と穴の間隙まで塗布し、かつミシン目13の穴の中心がミシン目切断の際の基板端からの飛び出し量の許容公差最大値となる位置まで塗布し、ソルダーレジスト塗布の有無によりミシン目を切断する切断基準線とし、切断を行う際、捨て板側基板に穴間のソルダーレジストが残るように切断することで、切断後の凸部の飛び出し量を器具による測定無しに目視検査で行うことができるようにする。
【選択図】
図1