特許第6238269号(P6238269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6238269
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】タイル剥落防止用補助金具
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   E04F13/08 102N
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-131597(P2017-131597)
(22)【出願日】2017年7月5日
【審査請求日】2017年7月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500332984
【氏名又は名称】株式会社ヒロコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 洋
(72)【発明者】
【氏名】小貫 勝代
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−173323(JP,A)
【文献】 特開2006−177045(JP,A)
【文献】 実開平07−004599(JP,U)
【文献】 特開平11−280387(JP,A)
【文献】 特開平07−003976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
E21D 11/00
E21D 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面から浮かして並置された複数のタイルパネルにおける一のタイルパネルとそれに隣接する他のタイルパネルの間に確保された間隙に設けられるタイル剥落防止用補助金具であって、
前記複数のタイルパネルの前側を横断するように張られるワイヤーロープを通すために前記一のタイルパネルから前記他のタイルパネルにかけて前記タイルパネルの表面側に当てられる前側金具と、
前記前側金具と前後に重なるように前記一のタイルパネルから前記他のタイルパネルにかけて前記タイルパネルの裏面側に当てられる後側金具と、
前記後側金具の前面に板バネ状に取り付けられた把持片と、を有し、
前記後側金具は、前記タイルパネルの表面側から前記把持片で保持されながら前記間隙を通して前記タイルパネルの裏面側に送り込まれ、
前記前側金具と前記後側金具とが、前記一のタイルパネル及び前記他のタイルパネルを挟み込むように固定される、
ことを特徴とするタイル剥落防止用補助金具。
【請求項2】
前記前側金具は、前記タイルパネルの表面側に当てられる前当板から垂直方向に連設された垂立板に前記ワイヤーロープを通すための通孔が空けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のタイル剥落防止用補助金具。
【請求項3】
前記前側金具及び前記後側金具は、前記壁面から垂立するアンカーボルト又は前記アンカーボルトから延設された金具を通すための中孔が空けられる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のタイル剥落防止用補助金具。
【請求項4】
前記後側金具は、前記前側金具に空けた留孔の位置に合わせて長孔が空けられ、
前記長孔は、前記後側金具が回転しても前記留孔と位置が合うように湾曲状に空けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のタイル剥落防止用補助金具。
【請求項5】
前記後側金具は、前記間隙に通しやすくするために端側を後方に傾くように折り曲げた側縁部を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のタイル剥落防止用補助金具。
【請求項6】
前記把持片は、前記後側金具の中央から端側までの長さに前記タイルパネルの厚さを加えた以上の長さを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載のタイル剥落防止用補助金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル等の壁面に設置したタイルパネルからタイルが剥落するのを防止するために張るワイヤーを支持するタイル剥落防止用補助金具に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル等の壁面には、一般的に複数のタイルが貼着される。タイルを張ることでトンネル内が明るくなるので、走行する自動車を認識しやすくなれば、交通事故が未然に防止される効果も期待される。なお、タイルは、1枚ずつ壁面に接着するのではなく、複数枚を縦横に並べたタイルパネルにして、複数のタイルパネルが壁面に沿って並置される。
【0003】
タイルは、タイルパネルに貼着されているが、自動車のタイヤから撥ねた石などが当たり、割れた破片が道路に落下又は飛散する場合もある。そのため、特許文献1に記載されているように、タイルパネルの表から裏に抜けて縦断又は横断するようにワイヤーロープを張るトンネル壁面被覆用タイルパネルの落下防止機構に関する発明も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−173323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の落下防止機構においては、タイルパネルの表側(裏側)から裏側(表側)にワイヤーロープを貫通させており、既に設置されているタイルパネルに対して加工を行うことは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、既設のタイルパネルであっても後付でワイヤーロープを支持するための金具を取り付けることが可能なタイル剥落防止用補助金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明であるタイル剥落防止用補助金具は、壁面から浮かして並置された複数のタイルパネルにおける一のタイルパネルとそれに隣接する他のタイルパネルの間に確保された間隙に設けられるタイル剥落防止用補助金具であって、前記複数のタイルパネルの前側を横断するように張られるワイヤーロープを通すために前記一のタイルパネルから前記他のタイルパネルにかけて前記タイルパネルの表面側に当てられる前側金具と、前記前側金具と前後に重なるように前記一のタイルパネルから前記他のタイルパネルにかけて前記タイルパネルの裏面側に当てられる後側金具と、前記後側金具の前面に板バネ状に取り付けられた把持片と、を有し、前記後側金具は、前記タイルパネルの表面側から前記把持片で保持されながら前記間隙を通して前記タイルパネルの裏面側に送り込まれ、前記前側金具と前記後側金具とが、前記一のタイルパネル及び前記他のタイルパネルを挟み込むように固定される、ことを特徴とする。
【0008】
また、前記タイル剥落防止用補助金具において、前記前側金具は、前記タイルパネルの表面側に当てられる前当板から垂直方向に連設された垂立板に前記ワイヤーロープを通すための通孔が空けられる、ことを特徴とする。
【0009】
また、前記タイル剥落防止用補助金具において、前記前側金具及び前記後側金具は、前記壁面から垂立するアンカーボルト又は前記アンカーボルトから延設された金具を通すための中孔が空けられる、ことを特徴とする。
【0010】
また、前記タイル剥落防止用補助金具において、前記後側金具は、前記前側金具に空けた留孔の位置に合わせて長孔が空けられ、前記長孔は、前記後側金具が回転しても前記留孔と位置が合うように湾曲状に空けられる、ことを特徴とする。
【0011】
また、前記タイル剥落防止用補助金具において、前記後側金具は、前記間隙に通しやすくするために端側を後方に傾くように折り曲げた側縁部を有する、ことを特徴とする。
【0012】
また、前記タイル剥落防止用補助金具において、前記把持片は、前記後側金具の中央から端側までの長さに前記タイルパネルの厚さを加えた以上の長さを有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、既設のタイルパネルであっても後付でワイヤーロープを支持するための金具を取り付けることができる。タイルパネルの裏側、すなわち、壁面とタイルパネルの間に作業者が手を入れることができなくても、タイルパネル間に確保されている間隙から金具を送り込んで固定することができる。タイルパネルの前側にワイヤーロープを張ることで、タイルパネルに自動車のタイヤから撥ねた石などが当たっても、割れたタイルの破片が道路に落下又は飛散することを抑制することができる。また、金具でタイルパネルを挟持しているので、地震等によりタイルパネル自体が倒れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明であるタイル剥落防止用補助金具を使用したタイルパネルを示す正面図である。
図2】本発明であるタイル剥落防止用補助金具の周辺を拡大した正面図である。
図3】本発明であるタイル剥落防止用補助金具の周辺をA−Aで切断した横断面図である。
図4】本発明であるタイル剥落防止用補助金具の前側金具を示す正面図、平面図及び左側面図である。
図5】本発明であるタイル剥落防止用補助金具の後側金具を示す正面図、平面図及び左側面図である。
図6】本発明であるタイル剥落防止用補助金具の取付手順を説明するための図である。
図7】本発明であるタイル剥落防止用補助金具の取付手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【実施例1】
【0016】
まず、本発明であるタイル剥落防止用補助金具の構造について説明する。図1は、タイル剥落防止用補助金具を使用したタイルパネルを示す正面図である。図2は、タイル剥落防止用補助金具の周辺を拡大した正面図である。図3は、タイル剥落防止用補助金具の周辺をA−Aで切断した横断面図である。図4は、タイル剥落防止用補助金具の前側金具を示す(a)正面図、(b)平面図及び(c)左側面図である。図5は、タイル剥落防止用補助金具の後側金具を示す(a)正面図、(b)平面図及び(c)左側面図である。
【0017】
図1に示すように、タイルパネル200は、トンネル内壁などの壁面100に沿って張られるが、壁面100から浮かして壁面100との間に空間がある状態で複数枚が並べて配置される。なお、タイルパネル200に関して、壁面100を向いた側を裏面(後側)とし、壁面100と反対側であるトンネル内部を向いた側を表面(前側)とする。
【0018】
複数のタイルパネル200が横方向に並置されたときに、タイルパネル200の前側を横断するようにワイヤーロープ310を張り、タイルパネル200を押さえる。ワイヤーロープ310については、タイル剥落防止用補助金具300を間欠的に複数取り付けて、所定の位置(高さ)で支持されれば良い。
【0019】
図2に示すように、タイルパネル200は、横方向に並置されたときに、そのうち任意の一のタイルパネル200とそれに隣接する他のタイルパネル200aの間には僅かな間隙230が確保されており、その間隙230を利用してタイル剥落防止用補助金具300が取り付けられる。なお、間隙230には、タイルパネル200を支持するための他の金具なども取り付けられる。
【0020】
タイルパネル200は、1枚の下地220に複数のタイル210が縦横に配置されて貼り付けられるが、タイル210間に目地の分だけ空けて貼着される。既設のタイルパネル200の場合、目地には目地材が充填されており、タイル剥落防止用補助金具300を固定するために穴を空けるのは好ましくないため、間隙230を利用する。
【0021】
図3に示すように、コンクリート110の壁面100に対してタイルパネル200が浮かし張りされている場合に、コンクリート110に垂直に埋設されたアンカーボルト120又はアンカーボルト120から延設された金具にタイル剥落防止用補助金具300を固定する。
【0022】
アンカーボルト120は、間隙230において、タイルパネル200の表面よりも突出させる。タイル剥落防止用補助金具300は、前側金具400及び後側金具500を有し、前側金具400と後側金具500とでタイルパネル200を挟み込むように取り付けられる。前側金具400及び後側金具500は、コンクリート110から垂立するアンカーボルト120に貫通させ、ワッシャー130を介してナット140で固定されれば良い。
【0023】
図4に示すように、前側金具400は、例えば、横長の長方形の左右両側の短辺を外側に円状に膨らむように湾曲させた形状の金属板を用い、その湾曲している何れか一方(右寄側又は左寄側)を垂直に折り曲げたL字状の部材である。なお、前側金具400のうち長い方を前当板410とし、折り曲げられた短い方を垂立板420とする。
【0024】
前当板410は、タイルパネル200の表面側に当てられる部分であり、一のタイルパネル200の右側の縁部から間隙230を跨いで他のタイルパネル200aの左側の縁部に当てられれば良い。すなわち、前当板410の横の長さは、間隙230の幅よりも大きくする。間隙230に当たる部分には、中央にアンカーボルト120を通すための中孔430、中孔430の上側及び下側に後側金具500と留めるための留孔440が空けられる。
【0025】
また、垂立板420は、タイルパネル200の表面側から突出するように、前当板410から前側に向かって垂直方向に連設された部分であり、ワイヤーロープ310を通すために横方向に貫通する通孔450が空けられる。
【0026】
図5に示すように、後側金具500は、例えば、円形の左右両側を縦に切り欠いた形状の金属板を用い、その両方(右寄側及び左寄側)の端側を後方に傾くように少し折り曲げた部材である。なお、中央側の平坦な部分を後当板510とし、端側の傾けた部分を側縁部520とする。
【0027】
後当板510は、タイルパネル200の裏面側に当てられる部分であり、一のタイルパネル200の右側の縁部から間隙230を跨いで他のタイルパネル200aの左側の縁部に当てられれば良い。すなわち、後当板510の横の長さも、間隙230の幅よりも大きくする。間隙230に当たる部分には、中央にアンカーボルト120を通すための中孔530、中孔530の上側及び下側に前側金具400と留めるための長孔540が空けられる。
【0028】
前側金具400と後側金具500とは、前後に重なるように配置され、前側金具400の中孔430と後側金具500の中孔530とが前後方向において一直線上にあり、アンカーボルト120が貫通する。
【0029】
そして、前側金具400の留孔440と後側金具500の長孔540に留具を通して固定するが、アンカーボルト120を軸として前側金具400又は後側金具500が回転しても、留孔440と長孔540の前後方向における位置が合うように、長孔540については横長にし、さらに回転方向に合わせて湾曲させた形状で空けられる。
【0030】
また、側縁部520は、タイルパネル200の裏面側から突出することになるが、後側金具500を間隙230に通しやすくするためであり、間隙230より狭い範囲で傾斜していれば良い。すなわち、後側金具500の厚さは、間隙230の幅よりも小さくする。
【0031】
後側金具500をタイルパネル200の裏面側に当てるために、表面側から間隙230に通して裏面側に送り込まれるが、後側金具500が前側金具400と固定されるまで、その位置を保持するために作業者が掴むための把持片600を後側金具500に取り付ける。
【0032】
把持片600は、後当板510の前面に取り付けられ、中央付近の取付部610から側方に長く延びた金属又は樹脂製の部材である。把持片600は、厚さを薄くして弾力のある板バネ状に取り付けられ、取付部610を支点に湾曲させたり折り曲げたりなど変形可能である。なお、内側を刳り抜いても良いし、取付部610から側方に延びて先端から折り返して取付部610に戻るような形状にしても良い。
【0033】
把持片600の先端は、作業者が掴みやすいように、後当板510の中央から端側までの長さ以上に側方へ突出させる。また、タイルパネル200の裏面側に送り込んだ後側金具500を、タイルパネル200の表面側で作業者が掴むため、タイルパネル200の厚さを加えた以上の長さにすることが好ましい。さらに、後側金具500と前側金具400を前後に重ねたときに、前側金具400の端側から側方に突出することが好ましい。
【0034】
次に、本発明であるタイル剥落防止用補助金具の取付けについて説明する。図6及び図7は、タイル剥落防止用補助金具の取付手順(a)〜(d)を説明するための図である。
【0035】
図6(a)に示すように、壁面100に設置されている任意の一のタイルパネル200とそれに隣接する他のタイルパネル200aの間に、まず後側金具500を配置する。後側金具500をタイルパネル200とタイルパネル200aとの間隙230に通すために、例えば、把持片600が右側に延びている場合は、後側金具500の左側が奥側になり右側が手前側になるように傾ける。
【0036】
把持片600を掴んだまま、後側金具500をタイルパネル200、200aの表面側から、間隙230に通して、タイルパネル200、200aの裏面側に送り込み、把持片600の先端はタイルパネル200、200aの表面側に残した状態で保持する。
【0037】
図6(b)に示すように、後側金具500の左側から間隙230に差し込み、後側金具500の右側までタイルパネル200、200aの裏面側に入ったら、後側金具500の傾きを元に戻して、後側金具500の前面左側をタイルパネル200の裏面右側に当て、後側金具500の前面右側をタイルパネル200aの裏面左側に当てる。後側金具500の中孔530は、間隙230の位置に来るようにする。また、長孔540については、上下の両方が間隙230の位置にあれば良い。
【0038】
把持片600は、タイルパネル200、200aの裏面側にある後側金具500から間隙230を通って、先端がタイルパネル200、200aの表面側に出ており、タイルパネル200aの前面に沿って当てれば良い。なお、壁面100から延びるアンカーボルト120等の金具があれば、先に中孔530に通しておいても良い。
【0039】
図7(c)に示すように、前側金具400を後側金具500と重なる位置に配置する。前側金具400の後面左側をタイルパネル200の表面右側に当て、前側金具400の後面右側をタイルパネル200aの表面左側に当てる。前側金具400の中孔430及び上下の留孔440は、間隙230の位置に来るようにする。なお、把持片600は、タイルパネル200aと前側金具400の間に挟まれる。
【0040】
図7(d)に示すように、前側金具400の中孔430から後側金具500の中孔530まで、ワッシャー130を介した上でアンカーボルト120等の金具を通す。なお、表面側からネジ等を通して、壁面100側の受け金具と固定するようにしても良い。また、中孔430及び中孔530は、アンカーボルト120等の径より大きくても良いし、内周をネジ状にしてアンカーボルト120等を螺合させても良い。
【0041】
さらに、前側金具400の留孔440から後側金具500の長孔540まで留具320を通す。留具320は、例えば、ボルトとナットで前側金具400及び後側金具500をネジ締結させれば良い。なお、後側金具500には弧状に湾曲した長孔540が空けられているので、後側金具500がアンカーボルト120等を軸として僅かに回転したとしても、前側金具400の留孔440と前後方向で位置ずれを生ずることもない。
【0042】
その後、前側金具400の通孔450にワイヤーロープ310を通せば良い。ワイヤーロープ310が張られることで、タイルパネル200がトンネル内の道路に向かって倒れたり、タイルが剥落したりすることを防止できる。また、隣接するタイルパネル200、200aがタイル剥落防止用補助金具300によって挟持されているので、タイルパネル200が1枚だけ倒れることも防止することができる。
【0043】
このように、既設のタイルパネル200であっても後付でワイヤーロープ310を支持するためのタイル剥落防止用補助金具300を取り付けることができる。タイルパネル200の裏側、すなわち、壁面100とタイルパネル200の間に作業者が手を入れることができなくても、タイルパネル200間に確保されている間隙230から後側金具500を送り込んで前側金具400とともにアンカーボルト120に固定することができる。タイルパネル200の前側にワイヤーロープ310を張ることで、タイルパネル200に自動車のタイヤから撥ねた石などが当たっても、割れたタイル210の破片が道路に落下又は飛散することを抑制することができる。また、タイル剥落防止用補助金具300でタイルパネル200を挟持しているので、地震等によりタイルパネル200自体が倒れるのを抑制することができる。
【0044】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。例えば、ワイヤーロープ310は、横方向だけでなく縦方向に並ぶ複数のタイルパネル200を押さえるために張られても良く、それを支持できるようにタイル剥落防止用補助金具300を取り付けても良い。
【符号の説明】
【0045】
100:壁面
110:コンクリート
120:アンカーボルト
130:ワッシャー
140:ナット
200:タイルパネル
210:タイル
220:下地
230:間隙
300:タイル剥落防止用補助金具
310:ワイヤーロープ
320:留具
400:前側金具
410:前当板
420:垂立板
430:中孔
440:留孔
450:通孔
500:後側金具
510:後当板
520:側縁部
530:中孔
540:長孔
600:把持片
610:取付部
【要約】
【課題】既設のタイルパネルであっても後付でワイヤーロープを支持するための金具を取り付けることが可能なタイル剥落防止用補助金具を提供する。
【解決手段】タイル剥落防止用補助金具は、複数のタイルパネルの前側を横断するように張られるワイヤーロープを通すために一のタイルパネルから他のタイルパネルにかけて前記タイルパネルの表面側に当てられる前側金具と、前記前側金具と前後に重なるように前記一のタイルパネルから前記他のタイルパネルにかけて前記タイルパネルの裏面側に当てられる後側金具と、前記後側金具の前面に板バネ状に取り付けられた把持片と、を有し、前記後側金具は、前記タイルパネルの表面側から前記把持片で保持されながら間隙を通して前記タイルパネルの裏面側に送り込まれ、前記前側金具と前記後側金具とが、前記一のタイルパネル及び前記他のタイルパネルを挟み込むように固定される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7