【実施例1】
【0023】
(実施例1の構成)
図2は、本発明の実施例1におけるスイッチング電源を示す概略の構成図である。
【0024】
このスイッチング電源は、例えば、LLC共振コンバータであり、DC電源1に接続された一対の+側入力端子2a及び−側入力端子2bを有している。一対の入力端子2a,2bは、DCの入力電力Pin(入力電圧Vin及び入力電流Iin)を入力する端子であり、この入力端子2a,2bに、スイッチング回路10が接続されている。
【0025】
スイッチング回路10は、DCの入力電圧Vinをスイッチングして第1AC電圧を出力する回路であり、複数(例えば、4つ)のスイッチング素子(例えば、N型のMOSFET)11〜14を有している。4つのMOSFET11〜14の内、2つのMOSFET11,12が、入力端子2a,2bに対して直列接続され、更に、2つのMOSFET13,14が、入力端子2a,2bに対して直列接続されて、フル・ブリッジ構成となっている。4つのMOSFET11〜14は、スイッチング周波数fを有する4つのスイッチングパルスS11〜S14によってそれぞれオン/オフ動作する。各MOSFET11〜14のドレイン及びソース間には、ダイオード11a〜14aがそれぞれ逆方向に並列接続されている。各ダイオード11a〜14aは、各MOSFET11〜14のボディ・ダイオード、又は外付けのダイオードである。
【0026】
MOSFET11及びMOSFET12の接続点と、MOSFET13及びMOSFET14の接続点とには、共振回路20が接続されている。共振回路20は、固有の共振周波数f0を有し、スイッチング回路10から出力される第1AC電圧を共振させる回路であり、共振インダクタ21、励磁インダクタ22及び電流共振コンデンサ23の直列回路により構成されている。
【0027】
共振回路20の出力側には、トランス30が接続されている。トランス30は、共振回路20から出力されるAC電圧を変圧して第2AC電圧を出力するものであり、励磁インダクタ22に並列接続された1次巻線31と、2次巻線32と、により構成されている。なお、共振回路20の共振インダクタ21は、トランス30の漏れインダクタンス、更に、励磁インダクタ22は、トランス30の励磁インダクタンスをそれぞれ利用できる。
【0028】
トランス30の2次巻線32には、整流平滑回路40が接続されている。整流平滑回路40は、2次巻線32から出力される第2AC電圧を全波整流してDC電圧を生成する回路であり、4つの整流ダイオード41〜44からなるブリッジ回路と、この出力側に並列接続された平滑コンデンサ45と、により構成されている。平滑コンデンサ45には、一対の+側出力端子46a及び−側出力端子46bが並列接続されている。この出力端子46a,46bからは、DCの出力電力Pout(出力電圧Vout及び出力電流Iout)が出力される。
【0029】
+側入力端子2a及び−側入力端子2b間には、DCの入力電圧Vinを測定する入力電圧測定器51が接続されている。入力電圧測定器51は、分圧抵抗等により構成されている。更に、−側入力端子2b側には、DCの入力電流Iinを測定する入力電流測定器52が接続されている。入力電流測定器52は、シャント抵抗等により構成されている。
【0030】
同様に、+側出力端子46a及び−側出力端子46b間には、DCの出力電圧Voutを測定する出力電圧測定器53が接続されている。出力電圧測定器53は、分圧抵抗等により構成されている。更に、−側出力端子46b側には、DCの出力電流Ioutを測定する出力電流測定器54が接続されている。出力電流測定器54は、シャント抵抗等により構成されている。
【0031】
入力電圧測定器51、入力電流測定器52、出力電圧測定器53、及び出力電流測定器54の出力側には、スイッチング電源の制御装置60が接続されている。制御装置60は、入力電圧測定器51、入力電流測定器52、出力電圧測定器53、及び出力電流測定器54の測定値を入力し、スイッチング回路10内のMOSFET11〜14をオン/オフ動作させるためのスイッチングパルスS11〜S14を生成する機能を有している。
【0032】
スイッチング電源では、スイッチング周波数fを変化させることで、出力電圧Voutを制御することができる。そのため、制御装置60は、周波数変調(SFM)制御を行う機能を有し、マイクロコンピュータ、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)等のプログラム制御可能なプロセッサ等により構成されている。
【0033】
図1は、
図2中の制御装置60の構成例を示す機能ブロック図である。
この制御装置60は、入力電圧検出部61、入力電流検出部62、出力電圧検出部63、及び出力電流検出部64を有している。
【0034】
入力電圧検出部61は、入力電圧測定器51で測定された入力電圧Vinの測定値からデジタル信号の入力電圧値vinを検出するものであり、アナログ/デジタル変換器(以下「A/D変換器」という。)等で構成されている。入力電流検出部62は、入力電流測定器52で測定された入力電流Iinの測定値からデジタル信号の入力電流値iinを検出するものであり、A/D変換器等で構成されている。出力電圧検出部63は、出力電圧測定器53で測定された出力電圧Voutの測定値からデジタル信号の出力電圧値voutを検出するものであり、A/D変換器等で構成されている。更に、出力電流検出部64は、出力電流測定器54で測定された出力電流Ioutの測定値からデジタル信号の出力電流値ioutを検出するものであり、A/D変換器等で構成されている。
【0035】
入力電圧検出部61及び入力電流検出部62の出力側には、入力電力計測部としての入力電力算出部65が接続されている。入力電力算出部65は、検出された入力電圧値vinと入力電流値iinとを乗算して入力電力値pinを算出するものであり、この出力側に、第1判定部67が接続されている。出力電圧検出部63の出力側には、第2判定部68が接続されている。
【0036】
第1判定部67は、算出された入力電力値pinが
第2入力電力制限値piaよりも大きいか否か(即ち、pin>pia又はpin≦pia)を判定し、小さいときには(pin≦pia)、第1判定結果S67aを出力し、大きいときには(pin>pia)、第2判定結果S67bを出力するものであり、この出力側に、定電圧制御部69及び定電力制御部70が接続されている。
【0037】
第2判定部68は、検出された出力電圧値voutが、入力電力制限開始の第2出力電圧設定値vobよりも大きいか否か(即ち、vout>vob又はvout≦vob)を判定し、大きいときには(vout>vob)、第2判定結果S67bを出力し、小さいときには(vout≦vob)、第3判定結果S68を出力するものであり、この出力側に、定電力制御部70及び入力電力制限制御部71が接続されている。
【0038】
定電圧制御部69は、第1判定結果S67aを入力すると、検出された出力電圧値voutが、第1出力電圧設定値voaとなるよう、スイッチング周波数fを決定して定電圧制御信号S69を出力するものであり、この出力側に、スイッチングパルス生成部72が接続されている。定電力制御部70は、第2判定結果S67bを入力すると、
第2入力電力制限値piaに基づき、入力電力値pinを定電力制御し、その結果、出力電力Poutが定電力となるよう、スイッチング周波数fを決定して定電力制御信号S70を出力するものであり、この出力側に、スイッチングパルス生成部72が接続されている。
【0039】
入力電力制限制御部71は、過電流を防止するために、第3判定結果S68が入力されると、算出された入力電力値pinが、検出された出力電圧値voutに応じた
第1入力電力制限値
piAとなるよう、スイッチング周波数fを決定して入力電力制限制御信号S71を出力するものであり、この出力側に、スイッチングパルス生成部72が接続されている。出力電圧値voutに応じた
第1入力電力制限値
piAは、例えば、
第2入力電力制限値piaから入力電力制限値pib[W/V]を減算した値である。
【0040】
スイッチングパルス生成部72は、定電圧制御信号S69、定電力制御信号S70、又は入力電力制限制御信号S71のいずれか1つの制御信号に基づき、スイッチング回路10内の4つのMOSFET11〜14をオン/オフ動作させるための4つのスイッチングパルスS11〜S14を生成する機能を有している。
【0041】
(実施例1のスイッチング電源の全体の動作)
図2のスイッチング電源において、
図6中のLLC共振の通常動作範囲(a)における概略の定電圧出力動作を説明する。
【0042】
制御装置60は、出力端子46a,46bから出力される出力電圧Voutが一定となるように、スイッチングパルスS11〜S14を出力して、スイッチング回路10内のMOSFET11〜14をオン/オフ動作させる。DC電源1から供給されたDC電圧が、入力端子2a,2bに入力されると、その入力電圧Vinが、スイッチング回路10によってスイッチングされ、第1AC電圧に変換される。
【0043】
変換された第1AC電圧は、共振回路20及びトランス30の1次巻線31へ供給され、これらの共振回路20及びトランス30の1次巻線31に、共振回路20の共振周波数f0に対応した疑似正弦波電流が流れる。すると、トランス30の2次巻線32に、第2AC電圧(即ち、誘起電圧)が発生する。発生した誘起電圧は、整流平滑回路40により、DC電圧に変換された後に平滑コンデンサ45で平滑される。これにより、DCの出力電力Pout(即ち、DCの出力電圧Vout及び出力電流Iout)が出力端子46a,46bから出力される。
【0044】
制御装置60は、出力電圧測定器53で測定された出力電圧Voutの測定値に基づき、その出力電圧Voutが一定となるように、出力電圧Voutが高い場合は、スイッチング周波数fを増加し、出力電圧Voutが低い場合は、スイッチング周波数fを低下するようなスイッチングパルスS11〜S14を生成し、スイッチング回路10を制御する。これにより、定電圧出力が得られる。
【0045】
(実施例1の制御装置の制御方法)
図3は、
図1及び
図2のスイッチング電源における電圧垂下特性を示す図である。
【0046】
図3において、横軸は、出力電流測定器54で測定されて制御装置60内で検出された出力電流値iout、縦軸は、出力電圧測定器53で測定されて制御装置60内で検出された出力電圧値voutである。
【0047】
図3において、領域(1)は、出力電流値ioutのゼロから入力電力制限値pia(即ち、垂下開始点)までの間の定電圧制御領域、領域(2)は、入力電力制限値piaから入力電力制限開始の第2出力電圧設定値vobまでの間の入力電力Pinの定電力制御領域、及び、領域(3)は、第2出力電圧設定値vob以下の入力電力制限制御領域である。
【0048】
図4は、
図1の制御装置60における制御方法を示すフローチャートである。
以下、
図1及び
図3を参照しつつ、
図4のフローチャートの制御処理を説明する。
【0049】
図4のフローチャートにおいて、
図1の制御装置60の動作が開始されると、各種計測処理のステップST1へ進む。ステップST1において、入力電圧測定器51、入力電流測定器52、出力電圧測定器53、及び出力電流測定器54により、DC入力電圧Vin、DC入力電流Iin、DC出力電圧Vout、及びDC出力電流Ioutがそれぞれ測定され、これらの測定値が制御装置60内に入力される。
【0050】
制御装置60内において、入力電圧検出部61によって入力電圧値vinが検出されると共に、入力電流検出部62によって入力電流値iinが検出され、これらの入力電圧値vin及び入力電流値iinが入力電力算出部65に入力される。更に、出力電圧検出部63によって出力電圧値voutが検出されると共に、出力電流検出部64によって出力電流値ioutが検出され、その出力電圧値voutが第2判定部68に入力される。入力電力算出部65は、入力電圧値vinと入力電流値iinとを乗算して入力電力値pinを算出し、第1判定部67へ与え、第1判定処理のステップST2へ進む。
【0051】
ステップST2において、第1判定部67は、入力電力値pinが
第2入力電力制限値piaよりも大きいか否かを判定し、小さいときには(pin≦pia、NO)、第1判定結果S67aを定電圧制御部69へ出力して定電圧制御処理(1)のステップST3へ進む。前記判定結果が大きいときには(pin>pia、YES)、第2判定結果S67bを定電力制御部70へ出力して定電力制御処理(2)のステップST4へ進む。
【0052】
ステップST3において、定電圧制御部69は、出力電圧値voutが第1出力電圧設定値voaとなるようスイッチング周波数fを決定し、定電圧制御信号S69をスイッチングパルス生成部72へ与える。スイッチングパルス生成部72では、定電圧制御信号S69に基づき、決定されたスイッチング周波数fのスイッチングパルスS11〜S14を生成し、スイッチング回路10内のMOSFET11〜14をオン/オフ動作させる。これにより、通常の制御ループである定電圧制御(1)が行われ、ステップST1へ戻る。
【0053】
ステップST4において、定電力制御部70は、
第2入力電力制限値piaに基づき、入力電力値pinを定電力制御し、その結果、出力電力Poutが定電力となるよう、スイッチング周波数fを決定し、定電力制御信号S70をスイッチングパルス生成部72へ与える。スイッチングパルス生成部72では、定電力制御信号S70に基づき、決定されたスイッチング周波数fのスイッチングパルスS11〜S14を生成し、スイッチング回路10内のMOSFET11〜14をオン/オフ動作させる。これにより、入力電力Pinの定電力制御(2)が行われ、第2判定処理のステップST5へ進む。
【0054】
ステップST5において、第2判定部68は、出力電圧値voutが入力電力制限開始の第2出力電圧設定値vobよりも大きいか否かを判定し、大きいときには(vou>vob、YES)、第2判定結果S67bを定電力制御部70へ与え、ステップST4に戻る。これにより、ステップST4の定電力制御(2)が行われる。第2判定部68は、前記判定結果が小さいときには(vout≦vob、NO)、第3判定結果S68を入力電力制限制御部71に与え、入力電力制限制御処理(3)のステップST6へ進む。
【0055】
ステップST6において、入力電力制限制御部71は、過電流を防止するための制御として、入力電力値pinが出力電圧値voutに応じた
第1入力電力制限値
piA(=
第2入力電力制限値pia−入力電力制限量pib)となるようスイッチング周波数fを決定し、入力電力制限制御信号S71をスイッチングパルス生成部72へ与える。スイッチングパルス生成部72では、入力電力制限制御信号S71に基づき、決定されたスイッチング周波数fのスイッチングパルスS11〜S14を生成し、スイッチング回路10内のMOSFET11〜14をオン/オフ動作させる。これにより、入力電力制限制御(3)が行われ、制御処理が終了する。
【0056】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、入力電圧Vinと入力電流Iinを計測して入力電力値pinを算出し、入力電力制限制御部71の入力電力制限機能によってその入力電力値pinを制限している。又、出力電圧Voutを計測し、この出力電圧値voutによって入力電力値pinを更に制限している。これにより、過電流設定値imaxの手前で、出力電圧値voutを低下させることが可能となり、従来の課題である出力の停止を防止できる。
【実施例2】
【0057】
(実施例2の構成)
図5は、本発明の実施例2におけるスイッチング電源を示す概略の構成図であり、実施例1を示す
図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0058】
本実施例2のスイッチング電源は、実施例1と同様に、LLC共振コンバータであるが、次のような点が異なっている。
【0059】
本実施例2では、実施例1のフル・ブリッジ構成のスイッチング回路10に代えて、2つのMOSFET11,12を有するハーフ・ブリッジ構成のスイッチング回路10Aが設けられている。これに加えて、本実施例2では、実施例1の4つの整流ダイオード41〜44及び平滑コンデンサ45を有する整流平滑回路40に代えて、2つの整流ダイオード41,42及び平滑コンデンサ45を有する整流平滑回路40Aが設けられている。
【0060】
更に、実施例1の制御装置60では、4つのスイッチングパルスS11〜S14を生成する構成になっているが、本実施例2の制御装置60Aでは、2つのスイッチングパルスS11,S12を生成する構成になっている。即ち、本実施例2の制御装置60Aでは、実施例1を示す
図2中の制御装置60において、スイッチングパルス生成部72により、2つのスイッチングパルスS11,S12を生成する構成になっている点等が、実施例1と異なっている。
その他の構成は、実施例1と略同様である。
【0061】
(実施例2の動作・制御方法)
本実施例2の制御装置60Aでは、出力端子46a,46bから出力される出力電圧Voutが一定となるように、2つのスイッチングパルスS11,S12を出力して、スイッチング回路10A内の2つのMOSFET11,12をオン/オフ動作させる。これにより、実施例1と略同様に、定電圧出力が得られる。
又、本実施例2の制御装置60Aにおける制御方法は、実施例1と略同様である。
【0062】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1と略同様に、過電流設定値imaxの手前で、出力電圧値voutを低下させることが可能となり、従来の課題である出力の停止を防止できる。
【0063】
(変形例)
本発明は、上記実施例1、2に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)、(b)のようなものがある。
【0064】
(a) 制御装置60,60Aを除いたスイッチング電源の主回路は、
図2及び
図5の構成に限定されず、種々の変形が可能である。
【0065】
例えば、
図2及び
図5中のスイッチング回路10,10Aにおいて、MOSFET11〜14に代えて、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等の他のスイッチング素子を用いても良い。又、
図2中のスイッチング回路10において、2つのMOSFET13,14に代えて、2つのダイオードを用い、この2つのダイオードを、ダイオード11a,12aと同じ向きに直列に接続したり、或いは、2つのMOSFET11,13に代えて、2つのダイオードを用い、この2つのダイオードを、ダイオード12a,14aと同じ向きに接続しても良い。このような構成に変更しても、実施例1と略同様の作用効果を奏することができる。
【0066】
(b)
図1の制御装置60は、他の構成に変更しても良い。
図1では、入力電圧値vinと入力電流値iinとを掛け合わせて入力電力値pinを計測しているが、例えば、入力電流Iinのみ測定し、入力電圧Vinは制御装置60にテーブルを設けたものから当てはめて、入力電力Pinを推測することも可能である。又、
図4のフローチャートも、他の処理手順に変更が可能である。