特許第6238308号(P6238308)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6238308喫煙品のためのマウスピースライニングペーパー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238308
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】喫煙品のためのマウスピースライニングペーパー
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20171120BHJP
   A24D 1/02 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   A24D3/04
   A24D1/02
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-543722(P2014-543722)
(86)(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公表番号】特表2015-500635(P2015-500635A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】AT2012050187
(87)【国際公開番号】WO2013078494
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2015年11月12日
(31)【優先権主張番号】A1783/2011
(32)【優先日】2011年12月1日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】514133542
【氏名又は名称】タンパピエル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Tannpapier GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】グリエスマイヤー,ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ピューリンガー,バルバラ
(72)【発明者】
【氏名】シュチュル,マルコ
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−062400(JP,A)
【文献】 特開平05−292936(JP,A)
【文献】 実開昭62−086894(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D1/00−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルターのケーシングの最も外部の層を形成する、喫煙品のためのマウスピースライニングペーパー(1)であって、
前記マウスピースライニングペーパー(1)は、硬化されたワニスから作られる局所的に限定された隆起(3、13、23)の構造が提供され、
前記隆起(3、13、23)の間に、前記硬化されたワニスが提供されない前記マウスピースライニングペーパー(1)の表面領域(2)があり、それより上に、
前記隆起(3、13、23)が前記マウスピースライニングペーパー(1)の平面に垂直な方向に少なくとも5μm突出し、前記隆起(3、13、23)が前記マウスピースライニングペーパー(1)の外側に配置されている、
ことを特徴とするマウスピースライニングペーパー。
【請求項2】
請求項1に記載のマウスピースライニングペーパーにおいて、
前記硬化されたワニスが提供されない前記表面領域(2)は、少なくとも1つのその他の物質に被覆および/または含浸される、
ことを特徴とするマウスピースライニングペーパー。
【請求項3】
請求項1または2に記載のマウスピースライニングペーパーにおいて、
前記マウスピースライニングペーパー(1)の隆起していない前記表面領域(2)に塗布されるさらなる物質は、前記硬化されたワニスの前記隆起(3、13、23)ほどには多量には塗布されていない、
ことを特徴とするマウスピースライニングペーパー。
【請求項4】
請求項2に記載のマウスピースライニングペーパーにおいて、
前記硬化されたワニスが提供されない前記表面領域(2)は、前記ワニスの高分子マトリックスから突出する有色顔料を有するワニスと、知覚活動を有する物質と、その表面に結晶を有する物質と、マトリックス及び内部に閉じ込められた形でそこで囲まれる知覚活動を伴う物質を有する物質と、ペースト状、ジェル状、粘着性がある、および/またはべたつき感がある物質と、周囲に硬化した液体マトリックスがない粒子とから成るグループから選択される少なくとも1つのその他の物質に被覆および/または含浸される、
ことを特徴とするマウスピースライニングペーパー。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れか1項に記載のマウスピースライニングペーパーにおいて、
前記表面領域(2)のうち、紙巻き煙草のタバコロッドにより近いところに配置される前記表面領域(2)には、前記紙巻き煙草の開放されたフィルター端部により近いところに配置される前記表面領域(2)とは異なる物質が提供される、
ことを特徴とするマウスピースライニングペーパー。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のマウスピースライニングペーパーにおいて、
前記隆起(3、13、23)は、金属および/またはセラミックに対して、印字されていないマウスピースライニングペーパー(1)および/または前記表面領域(2)の前記マウスピースライニングペーパー(1)より低い摩擦係数を有する、硬化されたワニスから成る
ことを特徴とするマウスピースライニングペーパー。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載のマウスピースライニングペーパーにおいて、
隆起(3)は、島のように分離されていない領域(2)から上へ突出し、
それは隆起の形態において、互いにいずれの接続もないことを意味する、
ことを特徴とするマウスピースライニングペーパー。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のマウスピースライニングペーパーにおいて、
前記マウスピースライニングペーパー(1)はフィルムまたはフォイル材である、
ことを特徴とするマウスピースライニングペーパー。
【請求項9】
請求項に記載のマウスピースライニングペーパーにおいて、
前記マウスピースライニングペーパー(1)はセルロース水和物から成る、
ことを特徴とするマウスピースライニングペーパー。
【請求項10】
請求項8または9に記載のマウスピースライニングペーパーにおいて、
前記隆起(3、13、23)を成す前記硬化されたワニスは、吸湿性および/または吸水性がある、
ことを特徴とするマウスピースライニングペーパー。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載のマウスピースライニングペーパーにおいて、
穿孔穴を有する、
ことを特徴とするマウスピースライニングペーパー。
【請求項12】
請求項11に記載のマウスピースライニングペーパーにおいて、
前記穿孔穴は、表面領域(2)だけに配置される、
ことを特徴とするマウスピースライニングペーパー。
【請求項13】
フィルターのケージングの最も外部の層を形成する、喫煙品のためのマウスピースライニングペーパーの生成方法であって、
第1に、前記マウスピースライニングペーパー(1)は、硬化されたワニスから作られる局所的に限定された隆起(3、13、23)の構造が提供され、前記隆起(3、13、23)の間に前記硬化されたワニスが提供されていない前記マウスピースライニングペーパー(1)の表面領域(2)があり、それより上に、前記隆起(3、13、23)が前記マウスピースライニングペーパー(1)の平面に垂直な方向に少なくとも5μm突出しており、
第2に、前記隆起(3、13、23)の間に配置されかつ前記硬化されたワニスが提供されていない前記マウスピースライニングペーパーの前記表面領域(2)に、少なくとも1つのさらなる物質が塗布される、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記隆起(3、13、23)の生成が、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、グラビア印刷及びグラビア輪転印刷から成るグループから選択される方法により前記マウスピースライニングペーパー(1)ワニス物質塗布することによって実行される、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載の方法であって、
前記隆起(3、13、23)が提供される前記マウスピースライニングペーパーに前記少なくとも1つのさらなる物質が提供されることと、前記マウスピースライニングペーパーが、ガス状、蒸気状、エアゾール状、または粉体状の活性物質、あるいはその組合せによる活性物質で処理されることと、ガス状、蒸気状、エアゾール状、または粉体状の活性物質、あるいはその組合せによる活性物質で強化される環境で、ロールとして貯蔵および/または強制的に浸水されることと、
を特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
隆起(3)は、島のように分離されていない領域(2)から上へ突出し、
それは隆起の形態において、互いにいずれの接続もないことを意味する、
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13または14に記載の方法であって、
前記少なくとも1つのさらなる物質が、粉体の形態、すなわち液体マトリックスによって互いに連結していない多数の粒子として、前記隆起(3、13、23)の間に配置される前記表面領域(2)に塗布される
とを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記粉体の塗布前に、前記表面領域(2)に接触粘着剤が提供される、
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項13または14に記載の方法において、
前記マウスピースライニングペーパーに穿孔穴が設けられており、前記穿孔穴は、前記隆起(3、13、23)から少し離れて形成される、または
前記隆起(3、13、23)を形成するために硬化されるワニスは、前記穿孔穴から少し離れて前記マウスピースライニングペーパーに塗布される、
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記穿孔穴および前記隆起(3、13、23)が提供されたあと、前記マウスピースライニングペーパーがボビンを形成するために巻き上げられる、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙品のためのマウスピースライニングペーパーに関するものである。
【0002】
従来のフィルター付き紙巻き煙草の5つの重要な部品は、タバコロッド、後者を包むシガレットペーパー、フィルター、フィルター包装紙、およびマウスピースライニングペーパーである。
【0003】
マウスピースライニングペーパーは、多くの場合「チップペーパー」または略して「チップ」とも呼ばれ、フィルターおよびフィルター包装紙を包む。フィルター付き紙巻き煙草の喫煙時、紙巻き煙草を吸う人の唇に触れるのは、フィルター付き紙巻き煙草のその部分である。また、マウスピースライニングペーパーは通常、タバコロッドの長手方向の領域でフィルター付き紙巻き煙草の長手方向にわずかに突き出し、シガレットペーパーをそこで包み、接着剤により後部と連結する。この接着剤による製作の結果、フィルター部およびタバコロッド部は、紙巻き煙草製造機で機械的に連結される。マウスピースライニングペーパーは主に実際は紙であるが、フィルムまたはフォイルとすることもできる。マウスピースライニングペーパーがフィルムまたはフォイルとして形成される場合、たとえば、セルロース水和物から成ることができる。
【0004】
タバコロッド近くの端部では、マウスピースライニングペーパーは通常、いくらか穿孔されるように設計され、紙巻き煙草を吸うとき、周囲からの空気がフィルターに入り、タバコロッドから来る煙の流れとそこで混合され、それによって、発煙量が有利なことには変更される。
【0005】
通常、マウスピースライニングペーパーは、視覚的に魅力的なプリントを有する。このプリントは、多くの場合コルクまたはタバコを思い出させる。また、視覚的なプリントに加えて、喫煙時、嗅覚、味覚、冷たさ(新鮮さ)、または熱(鋭さ)などの1つまたは複数の感覚を引き起こす物質の被覆、または物質による含浸物を有するマウスピースライニングペーパーも使用される。たとえば、国際公開第2006128551A1号パンフレットに、インクジェットプリンタを用いて、たとえば、マウスピースライニングペーパーに芳香物質を加えることが提案されている。
【0006】
独国特許発明第3411511C2号明細書に、高温により色を永続的に変える物質をマウスピースライニングペーパーに備えることが提案されている。色変化をもたらすために、マウスピースライニングペーパーは、構造がマウスピースライニングペーパー上に型押しされるような表面構造を有する、加熱された押型で型押しされる。
【0007】
マウスピースライニングペーパーと実際のフィルターとの間には、通常、フィルター包装紙が配置され、その主機能は本質的にフィルターの材料または材料成分を機械的に固定することであり、少なくとも、すべてがマウスピースライニングペーパーによっていかなる場合でも一緒に保持されるまで固定し、紙巻き煙草製造機で加えられるだけである。独国特許発明第3005793C2号明細書に、空気透過性の理由のために非常に多孔性の高い紙から、完成した紙巻き煙草では最終的に中間層となるフィルター包装紙を形成すること、および、非常に微細な格子の粗いワニスで前記の紙を印刷することが提案されている。粗いワニスは、多孔性の高い紙の、そうでない場合に当惑するほど低い機械的安定性を改善する。粗いワニスは微細格子としてだけ加えられるため、要求される高い空気透過性を低下させない。独国特許発明第3005793C2号明細書に、ホットメルトプラスチック粘着剤が、好適な粗いワニスとして提案されている。
【0008】
この説明における粗いワニスは、明白な高い構造の微細格子を表面に印刷できるワニスである。たとえばこの目的のために、センチメートルあたり5〜30本並ぶラインを印刷することができ、このラインは印刷されていない表面から10μm〜30μm上向きに突き出す。しかし、たとえばセンチメートルあたりラインが100本並ぶ、より微細な構造を印刷することも可能である。
【0009】
粗いワニスを使用して、明白なプリントを生成することができる。この目的の用途は、点字の印刷、財政的な注記の検出可能性の改善、およびパッケージの触知感覚の改善である。後者は、たとえば、国際公開第2011/001200A1号パンフレットで提案されている。
【0010】
粗いワニスの用途のさらなる重要な領域は、表面の摩擦特性を変えることに関する。目的に応じて、好適なワニス塗り材料を選ぶことによって、摺動する能力または摩擦係数を向上させることができる。
【0011】
独国特許発明第2927893C2号明細書に、タバコ粉末を含有する粗いワニスを用いた構造をシガレットペーパーに印刷し、見た目および感覚をタバコの葉にできる限り近づけることが提案されている。
【0012】
明らかに、視覚的にマウスピースライニングペーパーを構成し、視覚以外の感覚の手段によっても同じことを備える多くの可能な方法が、すでに存在する。しかし、この目的のために利用できる物質、および物質の状態の選択について厳しい制限がある。1つの重要な制限は、マウスピースライニングペーパーが、フィルター付き紙巻き煙草の製造およびパッケージングの間、かなりの摩擦と圧縮の荷重を受けるという事実から生じる。その他の制限は、特に高い大気湿度などの環境の影響の結果として生じ、それは完成した製品の機能性物質に有害な影響を与える可能性がある。
【0013】
本発明の主目的は、前のパラグラフに記載の制限を削減し、よって、マウスピースライニングペーパーの特性に影響を与える目的で使用できる物質および物質の状態の可能な選択肢を広げることである。
【0014】
目的を達成するために、粗いワニスの局所的に限定された印刷により、高い表面を有するマウスピースライニングペーパーを提供することが提案される。有益なさらなる進展において、さらなる物質が、マウスピースライニングペーパーの高くない領域に利用されるが、利用されるとしても、マウスピースライニングペーパーへの粗いワニスほど多量には利用されない。
【0015】
完成した状態で、したがって、マウスピースライニングペーパーの表面は、平面、および後者から上向きに突き出す山を有する状況を構成し、ここで、たとえば着色剤または香料などの物質が平面に適用され、これらの平面から突き出す山は硬化した粗いワニスから成る。
【0016】
粗いワニスによって形成される隆起の最も重要な機能は、より低く配置される表面に適用される物質の保護である。この保護機能は、マウスピースライニングペーパーに当たる硬い要素、または後者の上のすべりまたは摩擦が、粗いワニスの隆起の先端だけで主にまたは排他的に接触し、その間に位置する表面とは接触しないという点で実現される。結果として、間に位置する表面においては、接触の影響を受けやすい物質さえ、長い間ダメージを受けない状態に保つことができる。
【0017】
本発明は、図面を使用することによりさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、様式化された斜視図に、本発明による第1のマウスピースライニングペーパーの断面を示す。
図2図2は、様式化された斜視図に、本発明による第2のマウスピースライニングペーパーの断面を示す。
図3図3は、部分断面図に、紙巻き煙草包装機の一部を示す。ここで、視線方向は紙巻き煙草の運搬方向と平行である。
【0019】
図1および図2によると、マウスピースライニングペーパー1の片面には、粗いワニスを塗布することによって、隆起3、13が提供される。
【0020】
明瞭化のために、図1および図2に記載の図は、縮尺通りには現実を示していない。粗いワニスから形成される隆起3、13の高さは、非常に拡大されて、不相応に図示されている。実際に現実のケースで描かれる場合以外、粗いワニスから形成される隆起3、13の表面の部分面は、丸みのない近隣の表面に隣接する平坦な表面として専ら描画される。
【0021】
図1に記載の例においては、互いに離れて間隔のあいた、十字形の輪郭を有する島状の隆起の格子が、粗いワニスによって形成される。粗いワニスで覆われない領域2は、互いから切り離される個々の部分的な領域に分けられない。
【0022】
図2に記載の例においては、粗いワニスからなる隆起13は、粗いワニスが塗布されない矩形の領域2を囲む、いくつかの格子周期上を連続する交線の格子を形成する。
【0023】
粗いワニスから形成される隆起により、より下にある表面領域2は、鈍器によって触れられることから保護されるが、これは、鈍器が隆起3、13のメッシュに当たるためである。したがって、隆起3、13はスペーサとして作用する。
【0024】
このスペーサ機能により、保護された方法でより下にある表面領域2は、それらの機械的損傷または一般の接触に対するあまりに高い感度のために、これまでこの目的のために使用できなかった被膜を使用することが可能である。たとえば、これは以下を意味する。
− ここで、領域2に、ワニスの高分子マトリックスから突出する比較的大きい有色顔料を有するワニスさえ塗布することが可能である。これまで、非常に有益な視覚効果を実現できる、このようなワニスの使用は、突出する色素が、紙巻き煙草の製造およびパッケージングの間に、それ自体および機械部品の上で、マウスピースライニングペーパー1の摩擦によってこすり落とされるため、ほとんど不可能であった。
− ここで、一般に、摩耗に敏感な多孔性の非常にもろい層を領域2に塗布すること、および、領域2をそれとともに含浸させることさえ可能である。
− 乾燥過程中、表面に小さな結晶が発生する物質を、領域2に提供することができる。これらの結晶は視覚的に有益に見せることができ、それらは優れた味にすることができる。たとえば、結晶は主に塩または糖から成ることができる。
− 最初に、硬化したマトリックス、および内部に閉じ込められた形でそこで囲まれる知覚活動を伴う物質から成る多数の被膜および含浸を、領域2に使用することができ、内部に閉じ込められた知覚活動を伴う物質は、生じる周囲条件によってのみ解放される。これまで、知覚活動を伴う物質が内部に閉じ込められた形で含有された層は、本出願のためには、機械的にあまりに感度が高かった。
注:この文書において、「知覚活動を伴う物質」という用語は、概略の様式で、風味(味覚によって認識できる)、香り(嗅覚によって認識できる)などの物質、冷たさ(新鮮さ)または熱またはその他の刺激として認めることができる物質、あるいは匂い物質の感覚を変更する、たとえば中和または吸収する物質を示す。
− ここで、領域2に、その他の要求される機能に加えて、ペースト状またはジェル状のまま残る、あるいはペースト状またはジェル状になることもできる物質、および、したがって、直接接触する場合、粘着感またはべたつき感を感じるおそれのある物質も提供することができる。これまで、このタイプの物質は使用できなかったが、それは、そうすると紙巻き煙草が互いにはりついたためである。特に、被覆または含浸する物質(たとえば、糖またはクエン酸など)は、比較的長い時間、高い大気湿度に保たれると、粘着性を持つが、最初に、容易に塗布することもできる。
− また、粉体、すなわち薄片、スパイス結晶、植物の粉末などの小粒子を領域2に塗布することも可能であり、多数のこれらの粒子は、粉体または粉末などとして共同で存在し、液体、硬化性マトリックスに囲まれない。これまで、これはほとんど可能ではなかったが、それは、紙巻き煙草を吸い終わる前に、粒子が再びこすり落とされるためである。
粉体の粒子は、粘結剤を使用することなく、完全にまたはほぼ完全に、表面領域2に塗布することができる。
しかし、最初に領域2を粘結剤の薄い層で印刷し、次に、まだ硬化していない粘結剤に粉体を塗布することも、もちろん可能である。その場合、粒子の表面のごく一部だけが、粘結剤と接触する。
したがって、意図されるように、喫煙者の唇または指に転送され、結果として前記人の唇または指と接触する手段を、マウスピースライニングペーパーに塗布できる。これは、主に、スキンケア物質、および(たとえば、指の上の)強烈なにおいを避けることを助ける物質について、興味深い。
【0025】
より低く配置される、マウスピースライニングペーパー1の表面領域2の被膜または含浸のための保護機能に加えて、さらなる利点は、構造化された隆起3、13によって実現できる。
【0026】
マウスピースライニングペーパー1が紙巻き煙草製造機で最終的に処理される前に、多様なプリントおよび可能な含浸が提供される。個々の処理工程の間、マウスピースライニングペーパー1はロールの形態で存在する。さまざまなプリントおよび含浸から生じる溶媒のために、これらのロールから蒸発させることが必要である。構造化された隆起3、13が存在するため、この蒸発は、これらの隆起がない場合より速く行われ、よって、それらのスペーサ機能のため、前記隆起は、より優れた紙の換気をもたらす。したがって、中間貯蔵時間を省くことが可能である。この点について、島のように互いから切り離される局所隆起3(図1)の配置は、連続的ネットワークを形成する隆起13(図2)より有益である。
【0027】
この目的のために、島のように互いから好ましくは切り離されなければならない構造化された隆起によって、除去すべき物質の蒸発を速めることができるだけでなく、逆に、前記マウスピースライニングペーパーが、関連した気相で強化される環境でロールとして貯蔵される間に、ガス、蒸気、エアゾール、または粉体、および/またはその組合せとして存在する、要求される物質のマウスピースライニングペーパーとの接触について、速めることも可能である。この接触の結果、たとえば、適度に蒸気相として取り扱うことができて、知覚活動を有することができるいくつかの物質は、マウスピースライニングペーパーに非常に慎重に加えることができる。しかし、「熟成させる」という意味において、すでにマウスピースライニングペーパーの中または上にある物質について、マウスピースライニングペーパーを囲む物質の気相との穏やかな反応によって、ゆっくりと変更させることも可能である。マウスピースライニングペーパーと気相との接触を強めるために、たとえばブロワーで、気相を移動させることができる。
【0028】
隆起の構造3が、完成した紙巻き煙草のフィルター包装紙に面して配置されるマウスピースライニングペーパー1の面に塗布される場合、その結果、空気が、マウスピースライニングペーパー1とフィルター包装紙との間の増加した範囲へ流れることができる状況が実現される。これは、要求される発煙量の調整のために役に立ち、フィルターでタバコロッドから来る煙の流れと混合される新鮮な空気によって、広い範囲で確実に行われる。この点についても、互いから切り離される局所隆起3(図1)の配置は、連続的ネットワークを形成する隆起13(図2)より有益である。
【0029】
構造化された隆起3、13により、紙巻き煙草をつかむときの触覚感覚を改善できる。特に、その結果、満杯の紙巻き煙草パックから紙巻き煙草を抜くことをより簡単にする。
【0030】
図3は、紙巻き煙草のマウスピースライニングペーパーに非常に強い摩擦が要求される紙巻き煙草包装機の部分を示す。紙巻き煙草4を紙巻き煙草パックに詰めるために、パックに送られる紙巻き煙草4は、狭くなっている送出チャンネル5に沿って、紙巻き煙草4の長手方向に移動される。この過程で、紙巻き煙草4はますます強く、互いに押しつけられて、送出チャンネル5の壁にこすれる。後者が紙巻き煙草4のフィルター部を囲むため、この摩擦は紙巻き煙草のマウスピースライニングペーパー1で主に生じ、それはタバコロッド部と比較してより強い。本発明によると、マウスピースライニングペーパー1は、硬化された粗いワニスから作られる隆起3、13、23の構造とともに、その外側に提供されるため、これらの隆起の間に配置されるマウスピースライニングペーパー1の表面は、送出チャンネル5の壁による摩擦から保護されている。この使用目的のために、硬化すると金属に対して最も低い可能な摩擦係数を示すワニス材料によって隆起23が形成される場合、それは有益である。
【0031】
紙巻き煙草製造機で、マウスピースライニングペーパーの部分は、紙巻き煙草のフィルター部に巻き取られる。マウスピースライニングペーパーの端部は、紙巻き煙草の円周方向で小さな範囲に互いに重なって、互いに接着される。接着動作時、一定の最小限の粘着力が、マウスピースライニングペーパーの重なり合う端部の間で、非常に速く実現されなければならないが、それは、そうでない場合、紙巻き煙草製造機のサイクル速度が低下するためである。接着される要素の吸水性能が向上される、および/または、接着される要素が表面から突出する部品によって機械的固着を促進する場合、最小限の粘着力は、促進された方法で実現される。隆起3、13、23は、このように突出する部品を構成する。それらは、よく水を吸収する物質を、好ましくは含有する。使用されるマウスピースライニングペーパーが本当の紙ではなく、たとえばセルロース水和物のフィルムである場合、接着時のエージェントとしての構造化された隆起3、13、23の用途は、その場合、決定的に重要で、有益である。
【0032】
主にタバコロッド側のマウスピースライニングペーパーの半分において、前記紙は、通常、いくらか穿孔されるように設計されており、紙巻き煙草を吸うと、周囲からの空気がフィルターに入ってタバコロッドから来る煙の流れとそこで混合し、それは、発煙量が有利なことには変わることを意味する。マウスピースライニングペーパーが本当の紙でなくフィルムである場合、経験では、通常レーザによってもたらされる穿孔の結果、マウスピースライニングペーパーの平面から突き出す小さなバリが個々の穿孔穴の端に形成されることが、示されている。紙巻き煙草製造機での処理の前に、多くの個々の巻層によりボビンを形成するために、マウスピースライニングペーパーが巻き上げられるよう意図されると、このバリは、その場合、非常に大きな支障をきたす。これは、個々の巻層において、前記バリが配置される巻層の表面が、前記バリが配置される次の内側の巻上げの表層上に、明確にあるためである。これは、巻上げの結果として、穿孔穴がない表面より、穿孔穴が配置されるマウスピースライニングペーパーの表面で、とても高い引張応力が生じる影響を最終的に有する。影響は巻上げ数の増加によって、とても高くなり、結果として、巻上げの可能な最大数が、大幅に制限される。対策としては、比較的少ない数の巻上げを有するボビンのみ巻き取る、または、穿孔は紙巻き煙草製造機だけで生成し、特にマウスピースライニングペーパーは、穿孔の後は、ボビンを形成するために、もはやまったく巻き上げない、のいずれかである。どちらの対策も、欠点を有する。第1に、ロジスティックの経費の望ましくない増大という影響を有する可能性がある。第2に、フィルムとして形成されるマウスピースライニングペーパーのいくつかのタイプおよび厚さの場合に、紙巻き煙草製造機が動作することができる最高速度に、大幅な制限という影響を有する可能性がある。
【0033】
フィルムとして形成されるマウスピースライニングペーパーは、硬化されたワニスの隆起3、13、23の構造とともに形成されるため、マウスピースライニングペーパーがボビンを形成するために巻き上げられる際、穿孔開口まわりのバリとして穿孔によって形成されたそれらの隆起は、重要ではない。巻上げ時に要求されるマウスピースライニングペーパー上の引張力は、結果として、マウスピースライニングペーパーのより大きな幅にわたって、均等によりよく配置される。結果として、穿孔区域にまったく損傷を与えることなく、より多い巻上数を有するボビンを形成することが可能である。
【0034】
穿孔穴が隆起3、13、23の間にあるフィルムとして形成されるマウスピースライニングペーパーの表面領域2だけに適用される場合、効果は特に大きい。
【0035】
記載された保護機能のために、硬化された粗いワニスの隆起3、13、23は、マウスピースライニングペーパー1の平面に垂直の方向で上に突出し、個々の隆起の間にあり、粗いワニスが提供されないマウスピースライニングペーパー1の表面領域2より上にあることが重要である。幾何的考慮点から、隆起間の距離がより大きくなり、塗布される表面がより凸状に湾曲する場合、隆起がより大きく突出しなければならないことは、端的に分かる。構造化された被膜は、約5〜15μmの被覆高さから認知できる。
【0036】
主に接触される表面に主に塗布され、その結果、より少ない程度で、主に吸収されるその種のワニスは、粗いワニスの材料として好適である。多くの粗いワニスが、専門家内で知られている。
【0037】
マウスピースライニングペーパーへの粗いワニスの塗布のための好適な方法は、主にスクリーン印刷、特にロータリースクリーン印刷、およびまた、グラビア印刷、特にグラビア輪転印刷である。ロータリースクリーン印刷およびグラビア輪転印刷は、紙テープによく適している。本出願の最も高速な印刷は、グラビア輪転印刷によって可能である。グラビア印刷の場合、くぼみを有する表面の字枠はワニスで濡らされ、次にドクタによって拭かれ、次に印刷される表面と接触させられて、印刷される表面に付着したままになっているくぼみにワニスの一部が残る。グラビア輪転印刷の場合、字枠は、プレスロールとして知られているロールである。これは、水平の軸まわりに回転し、そのより下方の円周の表面はワニスの槽中を移動し、そのより上方の円周の表面は印刷される紙に触れるような方法で配置され、それはプレスロールの周速度で移動する。プレスロールの円周の表面は、くぼみを有する。プレスロールの円周の表面は、ワニスの槽で、ワニスにより濡らされる。ワニスの槽の中から持ち上げられた過剰なワニスは、ドクタによってプレスロールの表面からぬぐい去られ、くぼみで配置される残りのワニスの一部は、印刷される紙との接触で紙から転送される。プレスロールの円周の表面上の前述のくぼみは、マウスピースライニングペーパーの従来の印刷の場合、約30μm〜50μmの深さである。本発明によるワニス構造を生成するためのマウスピースライニングペーパーの印刷のためには、(表面領域2が加圧により印刷されない、および印刷された構造が比較的美しい場合)くぼみは少なくとも約20μmの深さでなければならず、最高約240μmの深さがありえる。深さが100μmと150μmとの間にある場合、非常に優れた結果が実現される。
【0038】
さらに、印刷された構造は、マウスピースライニングペーパーの片側の全表面上に、均一密度で広がる必要はないことに、注目すべきである。たとえば、さらにおよび/または異なって形づくられた隆起は、主に喫煙者の唇に触れる表面よりも、主に喫煙者の指に触れる表面に塗布することができる。
【0039】
さらに、隆起しないマウスピースライニングペーパーの表面領域2は、マウスピースライニングペーパーの異なる領域で別に処理することができる。たとえば、指の上の強烈なにおいを避けることを支援する物質は、完成した紙巻き煙草のタバコロッドにより近いところに配置されたマウスピースライニングペーパーの部分に塗布することができ、その結果、紙巻き煙草を吸う人の指で主に触られる。紙巻き煙草のフィルター部の開放端の方に向けては、マウスピースライニングペーパーの表面領域2は、むしろ香料またはリップケア物質を提供する必要がある。
図1
図2
図3