【実施例】
【0129】
以下に、安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物のいくつかの非限定的な例を挙げる。表中で、「組成」に対する以下の略語を適用する。
【0130】
「I」は、プロテインキナーゼ阻害剤(PKI)を表す;
「P」は、ポリマー性安定化マトリックス形成性成分を表す;
「S」は、可溶化剤を表す;
「I+P」は、阻害剤とポリマー性安定化マトリックス形成性成分の物理的な混合物、すなわちさらなる処理がないものを表す;
「I+S」は、阻害剤と可溶化剤の物理的な混合物を表す;
「I+P+S」は、阻害剤と、ポリマー性安定化マトリックス形成性成分と、可溶化剤の物理的混合物を表す;
「I/P」は、阻害剤とポリマー性安定化マトリックス形成性成分の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を表す;
「I/P+S」は、阻害剤とポリマー性安定化マトリックス形成性成分の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子であって、別に可溶化剤が加えられたものを表す;
「I/P/S」は、阻害剤と、ポリマー性安定化マトリックス形成性成分と、可溶化剤の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を表す。
「Exp」は、実験番号を表す。
【0131】
安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子は、以下に表Aに示す例示的なPKI、ポリマー性安定化マトリックス形成性成分(「ポリマー」)、可溶化剤、溶液濃度、比率、溶媒、逆溶媒、温度、及び圧力で製造した。
【0132】
PKI/ポリマー比が約20〜70%w/wである、溶媒中の3〜6%w/vPKI/ポリマー溶液を、高速液体クロマトグラフィーポンプを使用して、1ml/分の流量で、100g/分のCO
2(超臨界又は亜臨界)流と共にポンプ輸送して、XSprayのRightSizeノズルに通した。沈殿チャンバー中の圧力を約100〜175バールに設定し、温度を約10から50℃に設定した。両方の流れはノズル内で接触し、ハイブリッドナノ粒子が形成し、その後、回収チャンバーにおいて粒子中に回収した。CO
2及び溶媒は回収チャンバーの濾過システムを通り、沈殿チャンバー及び回収チャンバー内の圧力を維持する背圧調整出口により排出された。PKI/ポリマー溶液をポンプ輸送し、PKI/ポリマー溶液の調製に使用したのと同じ溶媒で配管を洗浄した後、沈殿チャンバーと回収チャンバーの両方の中に残存する溶媒は、これらのチャンバーに純粋なscCO
2を大量に流して除去した。大量に流すプロセスの後、CO
2を回収チャンバーからゆっくりと排出した。CO
2が完全に除去されると、濾過システムについている粒子を分析のために回収した。
【0133】
I/P/Sタイプの粒子では、定義された量の可溶化剤をPKI/ポリマー溶液に加えて溶解させてから、上述の方法による沈殿のためのノズルに溶液をポンプ輸送して通した。
【0134】
I/P+Sタイプの粒子では、定義された量の可溶化剤をガラスバイアル中で安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子に加える。ガラスバイアルをゆっくりと回転させて、可溶化剤をハイブリッドナノ粒子と混合する。
【0135】
溶解測定試験の全般的な説明
方法は、希望する量の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子の粉末をガラスバイアルに加え、次いでそれに適切な媒体(典型的にはFaSSIF、FeSSIF、又はSGF)を注ぐことからなる。媒体は、製造業者の説明書に従って調製した。加える粉末の量は、希望する「全PKI濃度」による。高い薬物充填量の粉末を試験し比較するいくつかの実験では、安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子中のPKIの実際の量を考慮に入れなかった。他の実験では、薬物充填量を最初にHPLCにより見積もって、薬物濃度を得るための粉末の量を計算した。
【0136】
典型的には、粉末を8mLガラス瓶に加え、7mLの溶液を加えた(典型的にはFaSSIF、FeSSIF、又はSGF)。ガラス瓶を振とう器に置いて(1分あたりおよそ1回転)溶解させた。500μlの試料を異なる時点で採取し、その後およそ15000gで3分間遠心分離した。次いで、得られた上清をHPLCにより分析した(C
18カラムEclipse、4.6mm×15cm、1mL/分、検出254〜400nM。全般的に、試料を、5、30、及び90分後、最後に150分後に採取した。
【0137】
実施例1.ニロチニブを含む安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物−pH6.5及びpH5での溶解度
ニロチニブ塩基又はニロチニブHClがプロテインキナーゼ阻害剤の一例であるいくつかの実験を実施した。実験は、約pH6.5の溶液、すなわちFaSSIF(空腹時人工腸液)における溶解の5、30、及び90分後に可溶化したPKIの濃度(mg/L)を測定して実施した。さらに、約pH5の別な溶液、すなわちFeSSIF(摂食時人工腸液)で実験を実施した。溶液の試料を種々の時間間隔で採取し、プロテインキナーゼ阻害剤の量を、上述の溶解測定試験により測定した。
【0138】
FaSSIF溶液での代表的な結果を以下の表1及び2に与えるが、表1は、溶解の5、30、及び90分後のニロチニブHClの濃度(mg/L)のデータを与え、表2は、溶解30分後の可溶化したニロチニブHClの%、溶解90分間の曲線下面積(AUC−mg/分/L)、及び溶液に加えられた未処理の結晶性形態のニロチニブHClと比較した安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子のAUC増加のデータを与える(実験1〜40)。表3及び4において、表1及び2と同様に示した、FeSSIF溶液での溶解データを与える(実験41〜55)。表5は、それぞれFaSSIF及びFeSSIFで実施した類似の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子による比較実験のデータを与える(実験56〜57)。表6は、それぞれFaSSIF及びFeSSIFで実施した実験のさらなる比較データを表す。
【0139】
実施例1の結論
実験17〜23は、溶解度増加が、ニロチニブHCl及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分による安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物で得られることを示す。特別な増加が、ポリマー性安定化マトリックス形成性成分、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP HP55)及びポリビニルアセテートフタレート(PVAP)で達成される。これらの向上は、ニロチニブHClをポリマー性安定化マトリックス形成性成分と物理的に混合する場合には得られない。実験24〜36は、さらなる溶解度増加が、独立した可溶化剤が加えられる場合の、ニロチニブHCl及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分による安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子で得られることを明確に示している。特別な向上は、ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールコポリマー(Soluplus)又はd−α−トコフェロール酸ポリエチレングリコール1000サクシネート(TPGS)などの独立した可溶化剤の添加により達成される。これらの向上は、ニロチニブHCl、可溶化剤、及び/又はポリマー性安定化マトリックス形成性成分を物理的に混合した時には得られなかった(I+S又はI+P+S)。ニロチニブHCl、ポリマー性安定化マトリックス形成性、及び可溶化剤による安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子(I/P/S)では、特別な向上は全く得られなかった。
【0140】
FaSSIF及びFeSSIFにおいてそれぞれ実施した結果は、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子が、溶解度の類似な増加を与えることを示す。PKI製剤による1つの問題は、食事の影響である。食品がほとんどの場合PKIのバイオアベイラビリティーを増加させるという事実にもかかわらず、PKIのいくつかは空腹状態で投与するように表示されている。低いバイオアベイラビリティーは、PKIに関連する消化の問題を部分的に説明するかもしれない。FaSSIFとFeSSIFにおける類似の溶解速度は、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子(例えば、実験56/57)が、その溶解度向上により、食事の影響及び患者の消化の問題を低減することができ、それにより用量の低減が可能であることを示す。このように、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子は、食品の摂取とともに与えることができる。
【0141】
実施例2.エルロチニブHClを含む安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物−pH6.5及びpH5での溶解度
エルロチニブHClがPKIの一例であるいくつかの実験を実施した。実験は、約pH6.5の溶液、すなわちFaSSIF(空腹時人工腸液)における溶解5、30、及び90分後にPKIの濃度(mg/L)を測定して実施した。さらに、約pH5の別な溶液、すなわちFeSSIF(摂食時人工腸液)において実験を実施した。溶液の試料を種々の時間間隔で採取し、PKIの量を、上述の溶解測定試験により測定した。
【0142】
FaSSIF溶液での代表的な結果を以下の表7及び8に与えるが、表7は、溶解5、30、及び90分後のエルロチニブHClの濃度(mg/L)のデータを与え、表8は、溶解30分後の可溶化したエルロチニブHClの%、溶解90分間の曲線下面積(AUC−mg/分/L)、及び溶液に加えられた未処理の結晶性形態のエルロチニブHClと比較した、安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子のAUC増加のデータを与える(実験58〜68)。表9及び10において、表7及び8と同様に示した、FeSSIF溶液での溶解データを与える(実験69〜73)。表11において、それぞれFaSSIF及びFeSSIFで実施した類似の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子による比較実験のデータ(実験74〜83)。表12は、それぞれFaSSIF及びFeSSIFで実施した実験のさらなる比較データを表わす。
【0143】
実施例2の結論
実験は、溶解度の増加が、エルロチニブHCl及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分による安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物で得られることを示す。特別な向上は、ポリマー性安定化マトリックス形成性成分、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC−AS)により達成される。実験65〜66及び72は、さらなる溶解度増加が、独立した可溶化剤が加えられる場合の、エルロチニブHCl及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分による安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子で得られることを示す。特別な向上は、独立した可溶化剤の添加により達成されるが、この場合、前記可溶化剤は、ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールコポリマー(Soluplus)及びd−α−トコフェロール酸ポリエチレングリコール1000サクシネート(TPGS)から選択される。この向上は、可溶化剤が安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子に組み込まれた場合には観察されなかった。
【0144】
エルロチニブHClと可溶化剤及び/又はHPMC ASとの物理的混合も、FaSSIFにおいては溶解度を向上させるが(実験59、60〜61、62〜63)、FeSSIFにおいてはそうではない(実験69〜72)。PKI製剤による1つの問題は食事の影響である。食品がほとんどの場合PKIのバイオアベイラビリティーを増加させるという事実にもかかわらず、PKIのいくつかは空腹状態で投与するように表示されている。低いバイオアベイラビリティーは、PKIに関連する消化の問題を部分的に説明するかもしれない。データは、安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子が、FaSSIFとFeSSIFの両方におけるその等しい溶解度向上により、食事の影響及び患者の消化の問題を低減し(実験76/77、及び82/83)、さらに潜在的に用量の低減を可能に得ることを示す。このように、これらの安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物は、食品の摂取とともに与えることができる。
【0145】
実施例3.パゾパニブを含む安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物−pH6.5及びpH5での溶解度
パゾパニブがPKIの一例であるいくつかの実験を実施した。実験は、約pH6.5の溶液、すなわちFaSSIF(空腹時人工腸液)における溶解5、30、及び90分後にPKIの濃度(mg/L)を測定して実施した。さらに、約pH5の別な溶液、すなわちFeSSIF(摂食時人工腸液)において実験を実施した。溶液の試料を種々の時間間隔で採取し、PKIの量を、上述の溶解測定試験により測定した。
【0146】
FaSSIF溶液での代表的な結果を以下の表13及び14に与えるが、表13は、溶解5、30、及び90分後のパゾパニブの濃度(mg/L)のデータを与え、表14は、溶解30分後の可溶化したパゾパニブの%、溶解90分間の曲線下面積(AUC−mg/分/L)、及び溶液に加えられた未処理の結晶性形態のパゾパニブと比較した、安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子によるAUC増加のデータを与える(実験84〜93)。表15及び16において、表13及び14と同様に示した、FeSSIF溶液での溶解データを与える(実験94〜101)。表17において、それぞれFaSSIF及びFeSSIFで実施した、類似の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子による比較実験のデータ(実験102〜109)。表18は、それぞれFaSSIF及びFeSSIFで実施した、安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子による実験のさらなる比較データを表す。
【0147】
実施例3の結論
実験は、溶解度の増加が、パゾパニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分による安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物で得られることを示す。特別な向上は、ポリマー性安定化マトリックス形成性成分、ポリビニルピロリドンK−90(PVP 90K)により達成される。実験91〜92は、さらなる溶解度の増加が、独立した可溶化剤が加えられる場合の、パゾパニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分による安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子で得られることを示す。特別な向上は、独立した可溶化剤の添加により達成されるが、この場合、前記可溶化剤は、ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールコポリマー(Soluplus)及びd−α−トコフェロール酸ポリエチレングリコール1000サクシネート(TPGS)から選択される。この向上は、可溶化剤が本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子に組み込まれた場合には観察されなかった。
【0148】
FaSSIF及びFeSSIFにおいてそれぞれ実施した結果は、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子が、溶解度の類似の増加を与えることを示す。PKI製剤による1つの問題は食事の影響である。食品がほとんどの場合PKIのバイオアベイラビリティーを増加させるという事実にもかかわらず、PKIのいくつかは空腹状態で投与するように表示されている。低いバイオアベイラビリティーは、PKIに関連する消化の問題を部分的に説明するかもしれない。FaSSIFとFeSSIFにおける類似の溶解速度は、安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子が、FaSSIFとFeSSIFの両方におけるその等しい溶解度向上により、食事の影響及び患者の消化の問題を低減することができ(例えば、実験89/100及び104/105)、さらに用量の低減が可能であることを示す。このように、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子は、食品の摂取とともに与えることができる。
【0149】
実施例4.ラパチニブを含む安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物−pH6.5での溶解度
ラパチニブ塩基又はトシル酸ラパチニブがPKIの一例であるいくつかの実験を実施した。実験は、約pH6.5の溶液、すなわちFaSSIF(空腹時人工腸液)における溶解5、30、及び90分後にPKIの濃度(mg/L)を測定して実施した。溶液の試料を種々の時間間隔で採取し、PKIの量を上述の溶解測定試験により実施した。
【0150】
FaSSIF溶液での代表的な結果を以下の表19及び20に与えるが、表19は、溶解5、30、及び90分後のラパチニブの濃度(mg/L)のデータを与え、表20は、溶解30分後の可溶化したラパチニブの%、溶解90分間の曲線下面積(AUC−mg/分/L)、及び溶液に加えられた製剤化されてないトシル酸ラパチニブと比較した、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子によるAUC増加のデータを与える(実験110〜126)。
【0151】
実施例4の結論
実験122〜125は、溶解度増加が、独立した可溶化剤が組成物に加えられる場合の、ラパチニブ、特にラパチニブ塩基及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分による、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子で得られることを明らかに示す。特別な向上は、ポリマー性安定化マトリックス形成性成分、ヒドロキシプロピルセルロースEF及びヒドロキシプロピルセルロースLFで達成される。さらに、独立した可溶化剤の添加により向上が達成されるが、この場合、前記可溶化剤は、ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールコポリマー(Soluplus)及びd−α−トコフェロール酸ポリエチレングリコール1000サクシネート(TPGS)から選択される。
【0152】
実施例5.ニロチニブHClを含む安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物−pH1.4での溶解度
ニロチニブHClがPKIの一例であるいくつかの実験を実施した。実験は、約pH1.4の溶液、すなわちSGF(人工胃液)における溶解5、30、及び90分後にPKIの濃度(mg/L)を測定して実施した。溶液の試料を種々の時間間隔で採取し、PKIの量を上述の溶解測定試験により実施した。
【0153】
SGF溶液での代表的な結果を以下の表21に与えるが、これは、溶解後5、30、及び90分後の、未処理の結晶性形態であるニロチニブHClとの物理的混合物と本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子の両方からの可溶化されたニロチニブHClのパーセンテージを与える。未処理のニロチニブHClと、ポリマー性安定化マトリックス形成性成分PVAPと、可溶化剤Soluplusの物理的混合物中に存在するニロチニブ(実験129)は、SGFに5分以内に完全に溶解した一方で、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子ではニロチニブはSGFに90分後に部分的にしか溶解しないが、ここで、成分は、可溶化剤を加えた(実験128)又は可溶化剤を加えない(実験127)安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子から構成されている。
【0154】
実施例5の結論
実験127〜129は、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子中のニロチニブHCl(実験127及び128)が、pH1.4で部分的に可溶化されることを示す。PVAPなどのポリマー性安定化マトリックス形成性成分による安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子は、酸性環境から部分的に保護されている。
【0155】
実施例6.ゲフィチニブを含む安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物−pH6.5での溶解度
ゲフィチニブがPKIの一例であるいくつかの実験を実施した。実験は、約pH6.5の溶液、すなわちFaSSIF(空腹時人工腸液)において、溶解の3、40、及び80分後のPKIの濃度(mg/L)を測定することにより実施した。溶液の試料を種々の時間間隔で採取し、PKIの量を上述の溶解測定試験により実施した。
【0156】
FaSSIF溶液における代表的な結果を以下の表22及び23に与えるが、表22は、溶解の3、40、及び80分後のゲフィチニブの濃度(mg/L)のデータを与え、表23は、溶解40分後の可溶化されたゲフィチニブの%、80分の溶解中の曲線下面積(AUC−mg/分/L)、及び溶液に加えられた製剤化されていないゲフィチニブと比較した、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子によるAUC増加のデータを与える(実験131〜137)。
【0157】
実験131〜137は、溶解度増加が、独立した可溶化剤が組成物に加えられる場合の、ゲフィチニブ、特にゲフィチニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分による、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物で得られることを示す。特別な向上は、ポリマー性安定化マトリックス形成性成分、ポリビニルピロリドンK−30(PVP 30K)及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP HP55)により達成される。さらに、向上は、独立した可溶化剤の添加により達成され、この場合、前記可溶化剤は、ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールコポリマー(Soluplus)である。
【0158】
実施例7.ダサチニブを含む安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物−pH6.5での溶解度
ダサチニブがPKIの一例であるいくつかの実験を実施した。実験は、約pH6.5の溶液、すなわちFaSSIF(空腹時人工腸液)において、溶解3、40、及び80分後のPKIの濃度(mg/L)を測定して実施した。溶液の試料を種々の時間間隔で採取し、PKIの量を上述の溶解測定試験により実施した。
【0159】
FaSSIF溶液における代表的な結果を表24及び25に与えるが、表24は、溶解3、40、及び80分後のダサチニブの濃度(mg/L)のデータを与え、表25は、溶解40分後の可溶化されたダサチニブの%、80分の溶解中の曲線下面積(AUC−mg/分/L)、及び溶液に加えられた製剤化されていないダサチニブと比較した、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子によるAUC増加のデータを与える(実験138〜141)。
【0160】
実験138〜141は、溶解度増加が、独立した可溶化剤が組成物に加えられる場合の、ダサチニブ、特にダサチニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分による、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物により得られることを示す。特別な向上は、ポリマー性安定化マトリックス形成性成分、コポリビドン(Kollidon VA64)により達成される。さらに、向上は、独立した可溶化剤の添加により達成されるが、この場合、前記可溶化剤は、ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールコポリマー(Soluplus)である。
【0161】
実施例8.トシル酸ソラフェニブを含む安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物−pH6.5での溶解度
トシル酸ソラフェニブがPKIの一例であるいくつかの実験を実施した。実験は、約pH6.5の溶液、すなわちFaSSIF(空腹時人工腸液)において、溶解3、40、及び80分後のPKIの濃度(mg/L)を測定して実施した。溶液の試料を種々の時間間隔で採取し、PKIの量を上述の溶解測定試験により実施した。
【0162】
FaSSIF溶液における代表的な結果を以下の表26及び27に与えるが、表26は、溶解3、40、及び80分後のソラフェニブの濃度(mg/L)のデータを与え、表27は、溶解40分後の可溶化されたソラフェニブの%、80分の溶解中の曲線下面積(AUC−mg/分/L)、及び溶液に加えられた製剤化されていないトシル酸ソラフェニブと比較した、組成物のAUC増加のデータを与える(実験142〜145)。
【0163】
実験138〜141は、溶解度増加が、独立した可溶化剤が組成物に加えられる場合の、ダサチニブ、特にダサチニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分による、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物により得られることを示す。特別な向上は、ポリマー性安定化マトリックス形成性成分、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP HP55)により達成される。さらに、向上は、独立した可溶化剤の添加により達成されるが、この場合、前記可溶化剤は、ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールコポリマー(Soluplus)である。
【0164】
実施例9.ニロチニブ塩基を含む安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物−pH6.5での溶解度
ニロチニブ塩基がPKIの一例であるいくつかの実験を実施した。実験は、約pH6.5の溶液、すなわちFaSSIF(空腹時人工腸液)において、溶解3、40、及び80分後のPKIの濃度(mg/L)を測定して実施した。溶液の試料を種々の時間間隔で採取し、PKIの量を上述の溶解測定試験により実施した。
【0165】
FaSSIF溶液における代表的な結果を以下の表28及び29に表すが、表28は、溶解3、40、及び80分後のニロチニブ塩基の濃度(mg/L)のデータを与え、表29は、溶解40分後の可溶化されたニロチニブ塩基の%、80分の溶解中の曲線下面積(AUC−mg/分/L)、及び溶液に加えられた製剤化されていないニロチニブ塩基と比較した、組成物のAUC増加のデータを与える(実験146〜149)。
【0166】
実施例10.クリゾチニブを含む安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物−pH6.5での溶解度
クリゾチニブがPKIの一例であるいくつかの実験を実施した。実験は、約pH6.5の溶液、すなわちFaSSIF(空腹時人工腸液)において、溶解3、40、及び80分後のPKIの濃度(mg/L)を測定して実施した。溶液の試料を種々の時間間隔で採取し、PKIの量を上述の溶解測定試験により実施した。FaSSIF溶液における代表的な結果を以下の表30及び31に表すが、表30は、溶解3、40、及び80分後のクリゾチニブの濃度(mg/L)のデータを与え、表31は、溶解40分後の可溶化されたクリゾチニブの%、80分の溶解中の曲線下面積(AUC−mg/分/L)、及び溶液に加えられた製剤化されていないクリゾチニブと比較した、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子によるAUC増加のデータを与える(実験150〜156)。
【0167】
実験150〜156は、溶解度増加が、独立した可溶化剤が組成物に加えられる場合の、クリゾチニブ、特にクリゾチニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分による、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物で得られることを示す。特別な向上は、ポリマー性安定化マトリックス形成性成分、ポリビニルピロリドンK−30(PVP 30K)及びコポリビドン(Kollidon VA64)で達成される。さらに、向上は、独立した可溶化剤の添加により達成されるが、この場合、前記可溶化剤は、ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールコポリマー(Soluplus)及びPEG−40水添ヒマシ油(Cremophor RH40)から選択される。
【0168】
実施例11.アキシチニブを含む安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物−pH6.5での溶解度
アキシチニブがPKIの一例であるいくつかの実験を実施した。実験は、約pH6.5の溶液、すなわちFaSSIF(空腹時人工腸液)において、溶解3、40、及び80分後のPKIの濃度(mg/L)を測定して実施した。溶液の試料を種々の時間間隔で採取し、PKIの量を上述の溶解測定試験により実施した。FaSSIF溶液における代表的な結果を以下の表32及び33に表すが、表32は、溶解3、40、及び80分後のアキシチニブの濃度(mg/L)のデータを与え、表33は、溶解40分後の可溶化されたアキシチニブの%、80分の溶解中の曲線下面積(AUC−mg/分/L)、及び溶液に加えられた製剤化されていないアキシチニブと比較した、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子によるAUC増加のデータを与える(実験157〜163)。
【0169】
実験157〜163は、溶解度増加が、独立した可溶化剤が組成物に加えられる場合の、アキシチニブ、特にアキシチニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分による本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物で得られることを示す。特別な向上は、ポリマー性安定化マトリックス形成性成分、コポリビドン(Kollidon VA64)及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC AS)により達成される。さらに、向上は、独立した可溶化剤の添加により達成されるが、この場合、前記可溶化剤は、ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールコポリマー(Soluplus)である。
【0170】
実施例12.ベムラフェニブを含む安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子の組成物−pH6.5での溶解度
ベムラフェニブがPKIの一例であるいくつかの実験を実施した。実験は、約pH6.5の溶液、すなわちFaSSIF(空腹時人工腸液)において、溶解3、40、及び80分後のPKIの濃度(mg/L)を測定して実施した。溶液の試料を種々の時間間隔で採取し、PKIの量を上述の溶解測定試験により実施した。
【0171】
FaSSIF溶液における代表的な結果を以下の表34及び35に表すが、表34は、溶解3、40、及び80分後のベムラフェニブの濃度(mg/L)のデータを与え、表35は、溶解の40分後の可溶化されたベムラフェニブの%、80分の溶解中の曲線下面積(AUC−mg/分/L)、及び溶液に加えられた製剤化されていないベムラフェニブと比較した、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子によるAUC増加のデータを与える(実験164〜170)。
【0172】
実験164〜170は、溶解度増加が、独立した可溶化剤が組成物に加えられる場合の、ベムラフェニブ、特にベムラフェニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分による本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物で得られることを示す。特別な向上は、ポリマー性安定化マトリックス形成性成分、コポリビドン(Kollidon VA64)及びセルロースアセテートフタレート(CAP)で達成される。さらに、向上は、独立した可溶化剤の添加により達成されるが、この場合、前記可溶化剤は、ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールコポリマー(Soluplus)である。
【0173】
実施例13.本発明の組成物のシンク条件での溶解速度測定
本発明の組成物のシンク条件での溶解測定を、希望する量の粉末を、フロースルーセルシステム(SOTAX,Allschwill,Switzerland)に加え、セルをその装置に取り付け、次いで、ポンプにより適切な媒体(典型的には、FaSSIF、FeSSIF、SGF)を粉末に通すことからなる方法で測定した。装置の温度は、37℃に設定した。セルに加えられる粉末の量は、粉末の薬物充填量に依存する。粉末の正確な量は、粉末の薬物充填量分析から得られる結果から計算した。
【0174】
典型的には、3.5から7mgのPKIをフロースルーセルに加え、8から16ml媒体/分(好ましくは約8ml媒体/分)の流量を、ポンプ輸送で粉末に通した。セルを通る媒体の1mlの試料を所定の時間に回収した。これらの試料をHPLCにより分析した(例えば、C18カラムEclipse、4.6mm×15cm、1ml/分、検出254−400nm)。フロースルーセルから媒体が出る瞬間から0、0.5、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、及び40分後に試料を採取した。フロースルーセルに加えた活性物質の量の可溶化された累積%を計算し、時間(分)に対してプロットした。0から10分に測定したグラフの初期の傾き(「初期溶解速度」)を見積もり、ある溶解媒体におけるシンク条件37℃での物質の溶解速度として採用した。
【0175】
各実験は、未処理の形態のPKIと、阻害剤及び代表的なポリマー性安定化マトリックス形成性成分による本発明の安定な非晶質のハイブリッド粒子を含む組成物との比較を含む。
【0176】
実施例13.1.ニロチニブHClを含む本発明の組成物のシンク条件での溶解速度測定
ニロチニブHClによる実験において、フロースルーセル中で4mgを秤量して(実験500)、ニロチニブ塩基及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分HPMCP HP55による本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子(実験501)と比較した。結果を以下の表36に表す。
【0177】
実験500〜501は、ニロチニブ塩基による本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子の初期溶解速度が、未処理の結晶性形態のニロチニブHClの初期溶解速度より優れていることを示す。
【0178】
実施例13.2.エルロチニブHClを含む本発明の組成物のシンク条件での溶解速度測定
エルロチニブHClによる実験において、フロースルーセル中で3.5mgを秤量して(実験510)、エルロチニブHCl及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分HPMC ASによる本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子(実験511)と比較した。結果を以下の表37に表す。
【0179】
実験510〜511は、エルロチニブHCl及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分HPMC ASによる本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物の初期溶解速度が、未処理の結晶性形態のエルロチニブHClの初期溶解速度より優れていることを示す。
【0180】
実施例13.3.パゾパニブHClを含む本発明の組成物のシンク条件での溶解速度測定
パゾパニブHClによる実験において、フロースルーセル中で3.5mgを秤量して(実験520)、パゾパニブHCl及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分PVP90Kによる本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子(実験521)と比較した。結果を以下の表38に表す。
【0181】
実験520〜521は、パゾパニブHCl及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分PVP90Kによる本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物の初期溶解速度が、未処理の結晶性形態のパゾパニブHClの初期溶解速度より優れていることを示す。
【0182】
実施例13.4.トシル酸ラパチニブを含む本発明の組成物のシンク条件での溶解速度測定
トシル酸ラパチニブによる実験において、フロースルーセル中で4mgを秤量して(実験530)、ラパチニブ塩基及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分HPC lfによる本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子(実験531)と比較した。結果を以下の表39に表す。
【0183】
実験530〜531は、ラパチニブ塩基及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分HPC lfによる本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物の初期溶解速度が、未処理の結晶性形態のトシル酸ラパチニブの初期溶解速度より優れていることを示す。
【0184】
実施例13.5.ゲフィチニブを含む本発明の組成物のシンク条件での溶解速度測定
ゲフィチニブによる実験において、フロースルーセル中で3.5mgを秤量して(実験540)、ゲフィチニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分HPMCP HP55による本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子(実験541)と比較した。結果を以下の表40に表す。
【0185】
実験540〜541は、ゲフィチニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分HPMCP HP55による本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物の初期溶解速度が、未処理の結晶性形態のゲフィチニブの初期溶解速度より優れていることを示す。
【0186】
実施例13.6.ダサチニブを含む本発明の組成物のシンク条件での溶解速度測定
ダサチニブによる実験において、フロースルーセル中で3.5mgを秤量して(実験550)、ダサチニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分コポリビドン−Kollidon VA64による本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子(実験551)と比較した。結果を以下の表41に表す。
【0187】
実験550〜551は、ダサチニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分コポリビドン(Kollidon VA64)による本発明の安定な非晶質のハイブリッドを含む組成物の初期溶解速度が、未処理の結晶性形態のダサチニブの初期溶解速度より優れていることを示す。
【0188】
実施例13.7.トシル酸ソラフェニブを含む本発明の組成物のシンク条件での溶解速度測定
トシル酸ソラフェニブによる実験において、フロースルーセル中で3.5mgを秤量して(実験560)、トシル酸ソラフェニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分HPMCP HP55による本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子(実験561)と比較した。結果を以下の表42に表す。
【0189】
実験560〜561は、トシル酸ソラフェニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分HPMCP HP55による本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物の初期溶解速度が、未処理の結晶性形態のトシル酸ソラフェニブの初期溶解速度より優れていることを示す。
【0190】
実施例13.8.クリゾチニブを含む本発明の組成物のシンク条件での溶解速度測定
クリゾチニブによる実験において、フロースルーセル中で3.5mgを秤量して(実験570)、クリゾチニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分PVP 30Kによる本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子(実験571)と比較した。結果を以下の表43に表す。
【0191】
実験570〜571は、クリゾチニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分PVP 30Kによる本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物の初期溶解速度が、未処理の結晶性形態のクリゾチニブの初期溶解速度より優れていることを示す。
【0192】
実施例13.9.アキシチニブを含む本発明の組成物のシンク条件での溶解速度測定
アキシチニブによる実験において、フロースルーセル中で3.5mgを秤量して(実験580)、アキシチニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分であるKollidon VA64(実験581)又はHPMC AS(実験582)による、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子と比較した。結果を以下の表44に表す。
【0193】
実験580〜582は、アキシチニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分であるKollidon VA64又はHPMC ASによる本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物の初期溶解速度が、未処理の結晶性形態のアキシチニブの初期溶解速度より優れていることを示す。
【0194】
実施例13.10.ベムラフェニブを含む本発明の組成物のシンク条件での溶解速度測定
ベムラフェニブによる実験において、フロースルーセル中で3.5mgを秤量して(実験590)、ベムラフェニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分であるKollidon VA64(実験591)又はCAP(実験592)による、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子と比較した。結果を以下の表45に表す。
【0195】
実験590〜592は、ベムラフェニブ及びポリマー性安定化マトリックス形成性成分であるKollidon VA64又はCAPによる本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む組成物の初期溶解速度が、未処理の結晶性形態のベムラフェニブの初期溶解速度より優れていることを明確に示す。
【0196】
実施例14.本発明の組成物の経口投与後の血漿中レベルのインビボ測定
4匹のビーグル犬のいくつかの群に、任意に可溶化剤ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールコポリマーを加えた、ニロチニブ塩基とポリマー性安定化マトリックス形成性成分であるPVAPとHPMCP HP55のいずれかによる本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含むカプセル組成物の単回経口投与量(5mg/kg)を与え、ニロチニブHClを含む市販の製剤と比べた。試験した安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を、実施例9の実験146〜149に記載する。犬の胃の内容物は、カプセル投薬の5分前に重炭酸ナトリウム溶液で中和するか、投与10分前にHCl−KCl緩衝剤で酸性化した。1群の犬には、ニロチニブの単回静脈内投与(1mg/kg)も与えた。ニロチニブの血漿中レベルを、選択的LC−MS/MS法により決定した。試験したどの動物にも副作用は全く観察されなかった。
【0197】
結果及び結論
ニロチニブ塩基の平均±SEM血漿中濃度−時間プロファイルを
図22〜25に、薬物動態パラメーター及び結果を表46A及び46Bに示す。
【0198】
外れ値を計算し、グラブス検定に従い、ある値が95%信頼区間(α=5%)でその他からの有意な外れ値であるかどうかに基づいて除外した。n=4で95%信頼区間でグラブス検定の棄却限界値Zは1.48である。Z=(平均−疑わしい値)/SD
【0199】
酸性の胃に与えた市販のニロチニブ製剤のT
1/2は2つの値しか得られなかったので、それを例外として、値を平均±SDで表す。
【0200】
静脈内(IV)データは、pHを3.3から3.5に調整した10%HPβCD中の0.2mg/mLのニロチニブ溶液を1mg/kgで一定速度でIV注入して得た。Co:511±46ng/mL;T
1/2:3.3±1.8時間;AUC0−24時間:1000±300ng*時間/mL。
【0201】
値を平均±SDで与える。静脈内(IV)データは、pHを3.3から3.5に調整した10%HPβCD中の0.2mg/mLのニロチニブ溶液を1mg/kgで一定速度でIV注入して得た。Co:511±46ng/mL;T
1/2:3.3±1.8時間;AUC0−24時間:1000±300ng*時間/mL。
【0202】
酸性化された胃に投与した市販のニロチニブ製剤は、同じ製剤を中和された胃に投与した後の約2倍の血漿中レベルを示した。ニロチニブ塩基とポリマー性安定化マトリックス形成性成分としてのPVAP及びHPMCP HP55による、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を含む両製剤は、血漿曝露の著しい向上を示し、酸性化された胃に与えた市販の製剤の約2倍の血漿中レベルであった。さらに、本発明の方法により製造された安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を組み合わせると、程度の差はあるが胃内pHに依存しない血漿曝露を与えることができるだろう。
【0203】
経口アベイラビリティーのさらなる向上は、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子による製剤を、可溶化剤ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールコポリマーと組み合わせた場合に見られた。このように、ニロチニブ塩基とポリマー性安定化マトリックス形成性成分としてのPVAP及びHPMCP HP55による本発明の組成物であって、可溶化剤ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールコポリマーが加えられ、酸性化された胃に投与されたものは、市販の製剤より血漿中レベルが2.3倍から3.1倍高くなった。この試験において、ニロチニブ塩基とポリマー性安定化マトリックス形成性成分としてのHPMCP HP55による本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子であって、可溶化剤ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールコポリマーが加えられ(I/P+S)、中和された胃の内容物に投与された場合に、高い経口バイオアベイラビリティーが達成された。この試験において、曝露は、同じ中和された条件下で投与された市販の経口製剤よりも約7倍増加した。この試験において最高のバイオアベイラビリティー、36±24%は、ニロチニブ塩基とポリマー性安定化マトリックス形成性成分としてのPVAPによる本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子が中和された胃に投与された時に達成された。しかし、この試験の行程は、この試験での最高の標準偏差も伴った。
【0204】
剤形の物性の最適化による吸収及びバイオアベイラビリティーの向上に基づく、ニロチニブ安定な非晶質ハイブリッドナノ粒子による本発明の組成物のインビボ性能の向上があった。イヌ−ヒトの胃腸の薬物吸収プロセスには密接な関係がありそうなので(Persson,E.M.et al.Pharm.Res.2005,22,2141−2151)、イヌでのインビボ試験の結果により、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子の患者での類似の吸収性が予測され得る。有利な吸収性を有する本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子は、現在の診療で利用される経口投与量が低減され得ることも予測する。さらに、本発明の安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子は、PKIの吸収及びバイオアベイラビリティーにおけるpH依存症を低くし得る。
【0205】
実施例15.本発明のハイブリッドナノ粒子による組成物の安定性の程度/レベルの測定
本発明のハイブリッドナノ粒子を含む組成物の安定性試験において、X線粉末回折及びAUCの測定による溶解速度を測定して、粒子が、室温で(18〜25℃)少なくとも11か月にわたり安定であることが示された。
【0206】
ニロチニブ及びHPMCP HP55を含む本発明の方法により製造された安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子による一連の実験において、生じた粒子は、XRPD並びにAUCの測定による溶解速度を測定して、薬物充填量40%で安定な非晶質のハイブリッドナノ粒子を与えた(I/Pニロチニブ塩基/HPMCP HP55:実験146)。物質は、およそ127℃で1つのガラス転移温度を示したが、それは固有の安定性を持つ単一の非晶相を示す。部分的に結晶性のバッチも、類似の固有な安定性を処理した(processed)。薬物充填量40%の部分的に結晶性のハイブリッドナノ粒子、I/Pニロチニブ塩基/HPMCP HP55の室温での(18〜25℃)の6か月の保存は、物理的な不安定性の徴候を全く示さなかった。
【0207】
熱重量測定では、周囲温度から120℃で1.7%の質量減少が示された。
【0208】
25℃での動的水蒸気吸収分析では、0から90%RHでおよそ7%の相対的質量増加があった(0から90%RHへのサイクルを3回したが、相変化は起こらなかった)。
【0209】
高いガラス転移温度、室温から120℃への1.7%の質量増加、及び中程度の吸湿性(hygrospopicity)は固有の安定性を提案する。これは、種々の条件でのいくつかのバッチの安定性試験により支持される。最長の安定点は、室温で(18〜25℃)12か月である。どのバッチも条件も、物理的不安定性の徴候を示さなかった(
図27)。
【0210】
変調示差走査熱量測定(mDSC)
変調示差走査熱量測定(mDSC)分析を、RC90冷蔵冷却システム(Home Automation,New Orleans,USA)を備えたTA Instruments Q200型(New Castle,USA)で実施した。試料を、Tzeroローマスアルミニウムパン中で7±2mgに秤量し、Tzeroリッドで密封した。次いで、それらを、従来の変調温度の振幅1℃及び変調期間40秒で、3℃/分の加熱速度で0から170℃に加熱した。超高純度窒素をパージガスとして50mL/分の流量で使用した。データ分析は全てTA Universal Analysisソフトウェア、バージョン4.7Aを使用して実施した。セル定数及び温度較正は、装置操作の前に、インジウム標準を使用して実施した。DSCの結果を、ヒートフローのフォワード成分及びリバース成分(forward and reverse components)の両方の点で評価した。
【0211】
熱重量分析(TG)は、Seiko TG/DTA 6200で、およそ10から20mgの試料を含む開放90μlPtパンで、200mL/分の窒素流で実施した。温度プログラムは、周囲温度(20℃)から400℃であり、加熱速度は10℃/分であった。ブランクを差し引き、TGデータを試料のサイズに対して規格化し、Muse Standard Analysisソフトウェア、バージョン6.1 Uを使用して分析した。
【0212】
動的水蒸気収着(DVS)
試料の吸湿性を、DVS−1(Surface Measurement Ltd.,UK)を使用して、動的水蒸気収着重量測定(DVS)により試験した。およそ10mgの物質をガラスカップに秤量した。試料上の目標相対湿度(RH)がステップあたり10%RHで0%から90%に段階的に上昇し、次いで同様に0%RHに減少する時に、相対重量を20秒間隔で記録した。各試料を、連続した3回の完全サイクルで試験した。次のレベルのRHに進む条件は、15分以内で0.002%以下の重量変化であり、ステップごとの最大総時間は24時間であった。このタイプの実験におけるゆっくりとした平衡のため、得られた数は、水の吸収の低めの見積もりであるとみなすべきである。温度は25℃に保った。
【0213】
X線粉末回折(XRPD)
XRD実験を、ブラッグ・ブレンターノ型に設定したX’Pert Pro回折計(PANanalytical,Almelo,Netherlands)で実施した。回折計には、20μmニッケルフィルター及び2.122°2θの有効長(active length)を有するX’Celerator RTMS検出器を備えていた。代表的な試料を、ゼロバックグラウンド石英単結晶検体支持台(Siltronix,Archamps,France)の上に置いた。実験は、周囲温度及び湿度で、Cu Kα放射線(45kV及び40mA)を利用して実施した。走査は、連続モードで、4.5〜40°の2θの範囲で、自動発散スリット及び散乱防止スリットを使用し、観測長(observed length)10mm、通常の計数時間(common counting time)299.72秒、及びステップサイズ0.0167°2θで実施した。データ収集は、アプリケーションソフトウェア、X’Pert Data Collector V.2.2j及び装置制御ソフトウェアV.2.1Eを使用して実施し、パターン分析は、X’Pert Data Viewer V.1.2cを使用して実施した(ソフトウェアは全て、PANanalytical,Almelo,Netherlandsから得た)。
【0214】
AUCの測定による溶解速度
以下に述べる実験171及び実験172に記載の安定なハイブリッドナノ粒子(I/P)を、実験148に従って、ニロチニブ塩基、HPMCP HP55により製造し、室温で11か月保存した。非シンク溶解速度を異なる時点で試験し、結果を表47及び
図26に表す。ポリビニルカプロラクタム−ポリ酢酸ビニル−ポリエチレングリコールコポリマーを加えて、溶解度を高めた。80分にわたるAUCの比較は、粒子の溶解速度プロファイルが、11か月の保存の後実際的に変化しておらず、例えば、製造し、試験し、11か月保存した粒子と比べた、製造し、試験した粒子のAUCの比は97%を超えることを明確に示した。