特許第6238313号(P6238313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許62383135−アミノ−4−ニトロソ−1−アルキル−1H−ピラゾール塩のテレスコーピング合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238313
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】5−アミノ−4−ニトロソ−1−アルキル−1H−ピラゾール塩のテレスコーピング合成
(51)【国際特許分類】
   C07D 231/38 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   C07D231/38 BCSP
【請求項の数】22
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-557733(P2014-557733)
(86)(22)【出願日】2013年2月13日
(65)【公表番号】特表2015-507013(P2015-507013A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】US2013025847
(87)【国際公開番号】WO2013122989
(87)【国際公開日】20130822
【審査請求日】2014年8月15日
【審判番号】不服-3851(P-3851/J1)
【審判請求日】2016年3月14日
(31)【優先権主張番号】12155707.8
(32)【優先日】2012年2月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフラム ガイベル
(72)【発明者】
【氏名】インゴ ウェーバー
(72)【発明者】
【氏名】アミン オサン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス シュペックバッハー
【合議体】
【審判長】 佐藤 健史
【審判官】 齊藤 真由美
【審判官】 加藤 幹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/023209(WO,A1)
【文献】 特表平7−502542(JP,A)
【文献】 特表平10−506672(JP,A)
【文献】 Holschbach MH et al,Tetrahed Lett,2003年,Vol.44,p.41−43
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus,REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−アルキル−1H−ピラゾール塩(I)を合成するためのプロセスであって、
a)アクリロニトリル(III)及びヒドラジン水和物を用いて、1,4マイケル付加を介して中間体3−ヒドラジニルプロパンニトリル(IV)を合成する工程と;
【化1】
b)中間体(IV)とアルデヒド(V)との縮合を介して中間体3−(2−アルキリデンヒドラジニル)プロパンニトリル(VI)を合成する工程と;
【化2】
(式中、Rは、C3〜C7非置換直鎖アルキル基である);
c)塩基の存在下で中間体(VI)による環化を介して中間体5−アミノ−1−n−アルキル−1H−ピラゾール(VII)を合成する工程と;
【化3】
d)酸HZの存在下で中間体(VII)によるニトロソ化工程を介して5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−アルキル−1H−ピラゾール塩(I)を合成する工程と、
【化4】
を含み、
前記工程d)の前記酸HZが、HCl、CFCOOH、HSO、HSO、HCO、HNO、CHCOOH、HPO、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
前記工程d)の前記ニトロソ源が、3−メチルブチルニトリル、ニトロシルスルホン酸、tert−ブチルニトリル、ブチルニトリル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、プロセス。
【請求項2】
Rが、ペンチルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記工程a)の溶媒が、1,2−ジメトキシエタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、キシロール、メチル−tert−ブチルエーテル、tert−ブタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、水、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記工程a)の溶媒が、n−プロパノールである、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記工程b)の溶媒が、前記工程a)の溶媒と同じである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記工程c)の溶媒が、1,2−ジメトキシエタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、水、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記工程c)の溶媒が、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、及びメタノールからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記工程c)の溶媒が、n−プロパノールである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記工程c)の前記塩基が、ナトリウムメチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化第一鉄、水酸化第二鉄、水酸化亜鉛、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムtert−ブチラート、カリウムtert−ブチラート、及びこれらの混合物から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記工程c)の前記塩基が、ナトリウムメチラート、カリウムメチラート、及びリチウムメチラートからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記工程d)の前記酸HZが、HCl、HSO、及びHSOからなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記工程d)の前記酸HZが、HClである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記工程d)の溶媒が、1,2−ジメトキシエタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、水、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記工程d)の溶媒が、1,2−ジメトキシエタンである、請求項1〜13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記工程d)の前記ニトロソ源が、3−メチルブチルニトリルである、請求項1〜14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−ヘキシル−ピラゾール−HCl(I−a)を合成するための、請求項1〜15のいずれか一項に記載のプロセスであって、
a)3−ヒドラジニルプロパンニトリル(IV)を合成する工程と、
【化5】
b)3−(2−ヘキシリデンヒドラジニル)プロパンニトリル(VI−a)を合成する工程と、
【化6】
c)5−アミノ−1−n−ヘキシル−ピラゾール(VII−a)を合成する工程と、
【化7】
d)5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−ヘキシル−ピラゾール−HCl(I−a)を合成する工程と、を含むプロセス。
【化8】
【請求項17】
4,5−ジアミノ−1−n−アルキル−ピラゾール塩(IX)を製造するためのプロセスであって、
中間体5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−アルキル−ピラゾール塩(I)を合成する工程であって、請求項1〜15のいずれか一項に記載のプロセスによる工程を含み、
該プロセスは、
e)塩基性処理を介して、5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−アルキル−ピラゾール塩(I)を5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−アルキル−ピラゾール(VIII)に転換する工程と、
【化9】
次いで、
f)還元剤及び酸HZ’の存在下で、5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−アルキル−ピラゾール(VIII)を4,5−ジアミノ−1−n−アルキル−ピラゾール塩(IX)に転換する工程と、をさらに含み、
前記酸HZ’が、HSOである、プロセス。
【化10】
【請求項18】
4,5−ジアミノ−1−n−アルキル−ピラゾール塩(IX)を製造するプロセスであって、
中間体5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−アルキル−ピラゾール塩(I)を合成する工程であって、請求項1〜15のいずれか一項に記載のプロセスによる工程を含み、
該プロセスは、
g)塩基5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−アルキル−ピラゾール塩(I)の存在下での還元、次いで、酸HZ’の酸処理により、4,5−ジアミノ−1−n−アルキル−1H−ピラゾール塩(IX)を合成する工程をさらに含み、
前記酸HZ’が、HSOである、プロセス。
【化11】
【請求項19】
Rがペンチルである、請求項17又は18に記載のプロセス。
【請求項20】
化合物5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾール。
【請求項21】
式5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾールHZ(式中、HZは、HCl、HSO又はHSOから選択される)の塩。
【請求項22】
前記HZは、HClである、請求項21に記載の塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)の5−アミノ−4−ニトロソ−1−アルキル−1H−ピラゾール塩誘導体のテレスコーピング合成、化合物(I)自体、及び一般式(IX)の1−アルキル−4,5−ジアミノピラゾール塩の製造における中間体としてのその使用に関する。式(IX)の化合物は、酸化的毛髪染料組成物における前駆体染料として用いることができる。
【0002】
【化1】
Rは、一置換又は多置換又は非置換、直鎖又は分枝鎖、飽和又は一不飽和若しくは多不飽和のアルキル基である。HZ及びHZ’は、鉱酸又は有機酸である。
【背景技術】
【0003】
自然界では珍しいが、ピラゾール、その誘導体、及び生理学的に適合する塩類は、医薬品、農薬、及び毛髪染料等の多くの分野で利用されている。これらピラゾール誘導体の高い潜在力の発見により、多くの刊行物が、ピラゾール及び関連化合物の合成を取り上げている。
【0004】
特に、酸化的毛髪染料分野では、一般式(II)の1−置換−4,5−ジアミノピラゾール及びその塩類が、酸化的染色媒体の存在下で様々なカップラーと共に用いられたときに広範な色を提供する初期中間体として興味深いことが示されている。
【0005】
【化2】
【0006】
米国特許第6,452,019号には、4,5−ジアミノ−1−(2’−ヒドロキシエチル)ピラゾール及びその酸付加塩類(硫酸の付加塩等)を調製するための改善されたプロセスが開示されている。前記プロセスは、アルキル(アルコキシメチレン)シアノアセテート及び2−ヒドロキシエチルヒドラジンから出発する工程と、中間体化合物5−アミノ−4−アルコキシカルボニル−1−(2’−ヒドロキシエチル)ピラゾール、5−アミノ−4−カルボキシル−1−(2’−ヒドロキシエチル)ピラゾール、5−アミノ−1−(2’−ヒドロキシエチル)ピラゾール、5−アミノ−1−(2’−ヒドロキシエチル)4−ニトロソピラゾールの形成との組み合わせを含む。
【0007】
米国特許第5,663,366号には、式(D)の4,5−ジアミノピラゾール誘導体化合物を製造するプロセスが記載されている:
【0008】
【化3】
(式中、R1及びR2は、独立して、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキルラジカル、及び2〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキルラジカルからなる群から選択されるが、ただし、R2は、t−ブチルでなくてもよい)。前記プロセスでは、a)ジメチルホルムアミド(DMF)中のC1〜C6アルキルハロゲン化物、C2〜C4ヒドロキシアルキルハロゲン化物、又はハロゲン化ベンジルを用いて変換することによって(プロセスI)、あるいはC1〜C6アルキル硫酸塩、C2〜C4ヒドロキシアルキル硫酸塩、又は硫酸ベンジル及び苛性溶液を用いて変換することによって(プロセスII)、まず3,5−ジブロモ−4−ニトロソピラゾール(A)の1位をアルキル化し;b)続く工程では、60℃〜80℃の温度で、溶媒としてC1〜C6アルキルアミン、C2〜C4ヒドロキシアルキルアミン、若しくはベンジルアミンの水溶液、アルコール溶液、若しくは水−アルコール溶液中、又は対応するアミン自体中で、一般式(B)のN−置換3,5−ジブロモ−4−ニトロピラゾールを加熱し;c)次いで、白金含量10重量パーセントの白金−活性炭素触媒を用いて一般式(C)の化合物を水素添加して、一般式(D)の化合物を生成する。
【0009】
Hans Hohnは、雑誌「Zeitschrift fur Chemie」,10(10),386〜8;1970においてピラゾール誘導体の合成について記載している。
【0010】
【化4】
【0011】
本発明は、一般式(I)のキー中間体を介して一般式(II)の1−置換4,5−ジアミノピラゾールに達する新規合成経路について記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,452,019号
【特許文献2】米国特許第5,663,366号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Hans Hohnは、雑誌「Zeitschrift fur Chemie」,10(10),386〜8;1970
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
具体的には、本発明は、1つずつ且つ間に後処理を行うことなく試薬を反応器に添加する、逐次ワンポット合成を提供する。したがって、本発明によって提供されるプロセスの主な利点は、「後処理」、すなわち、中間体を単離及び精製するために通常化学反応の最後に必要とされるいくつかの操作が回避されることである。更に、ヒドラジン等の毒性中間体との接触を避けることができる。ヒドラジン自体及びいくつかのアルキル置換及びフェニル置換誘導体は、公式に、CLP規則1272/2008/ECのAnnex VIにおいて発癌物質Carc IB(以前の分類:DSDのcarc cat 2)として分類されている。最後の工程として、反応混合物中に存在する過剰のニトロソ源によって、任意の未反応ヒドラジンを窒素ガスに分解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
新規プロセスは、テレスコーピングワンポット合成の付加物である一般式(I)のキー中間体を介して、一般式(II)の化合物を合成するために開発された。したがって、この新規プロセスにより、新規、高収率、高コスト効率、且つ簡便なプロセスで前記一般式(II)の化合物を製造することができる。テレスコーピングプロセスは、
(a)1,4−マイケル付加を介して中間体3−ヒドラジニルプロパンニトリル(IV)を合成する工程と、
【0016】
【化5】
(b)縮合を介して中間体3−(2−アルキリデンヒドラジニル)プロパンニトリル(VI)を合成する工程と
【0017】
【化6】
(式中、Rは、一置換又は多置換又は非置換、直鎖又は分枝鎖、飽和又は一不飽和若しくは多不飽和のアルキル系である)、
(c)(VI)の環化を介して中間体5−アミノ−1−アルキル−1H−ピラゾール(VII)を合成する工程と、
【0018】
【化7】
(d)ニトロソ化を介して中間体5−アミノ−4−ニトロソ−1−アルキル−1H−ピラゾール塩(I)を合成する工程と
【0019】
【化8】
(式中、Rは、一置換又は多置換又は非置換、直鎖又は分枝鎖、飽和又は一不飽和若しくは多不飽和のアルキル又はヘテロアルキル基である)を含む。より具体的には、Rは、C1〜C11直鎖非置換アルキル基、特にC3〜C7、特にペンチルであり得る。
【0020】
次いで、式(I)の中間体化合物を更に処理して、式(IX)の4,5−アミノ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾールの塩を形成することができる。本発明のこの態様及び他の態様を、以下の非限定的詳細な説明において更に論じる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾールHCl塩(本明細書ではI−a)の1HNMRである。
図2】4,5−アミノ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾールヘミ硫酸塩(本明細書ではIX−a)の1HNMRである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
用語の定義
テレスコーピングワンポット合成に含まれる様々な工程、及び記載される中間体に至る様々な工程について、次に記載する。本発明の範囲内には、多数の潜在的にかつ実際に互換異性のある化合物が含まれることを理解すべきである。本発明が特定の構造に言及するときには、妥当な互変異性構造すべてが更に包含されることを理解すべきである。当該技術分野では、互変異性構造は、ただ1つの構造によって表されることが多く、本発明は、この一般的慣習に従う。
【0023】
用語「置換」は、C1〜C12直鎖又は分枝鎖の炭素鎖の群から選択される置換基に加えて、ハロゲン、メトキシ、エトキシ、リン、硫黄、又は窒素誘導体化置換基を指す。
【0024】
中間体化合物(I)を製造するために記載される工程は、1つずつ且つ間に後処理を行うことなく試薬を反応器に添加する、逐次ワンポット合成において実施されることを理解されたい。反応工程には、下記のような好適な溶媒が必要である。
【0025】
I.第1の工程a)は、アクリロニトリル(III)及びヒドラジン水和物を用いて1,4マイケル付加を介して3−ヒドラジニルプロパンニトリル(IV)を形成することからなる:
(a)中間体3−ヒドラジニルプロパンニトリル(IV)の合成
【0026】
【化9】
【0027】
工程a)の溶媒の非限定例は、ペンタン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、キシロール、メチル−tert−ブチル−エーテル、tert−ブタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メチル−テトラヒドロフラン、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、水、及びこれらの混合物を含む。好ましい実施形態では、溶媒は、n−プロパノールである。適用可能な場合、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(BMIM)のヘキサフルオロリン酸塩等のイオン性液体を、本発明の様々な反応において溶媒として用いてもよい。
【0028】
反応後時間の後、得られる反応混合物は、(IV)を単離するための任意の後処理を行うことなく以下の工程b)を介して直ちに変換される。
【0029】
II.第2の工程b)は、中間体(IV)とアルデヒド(V)との縮合を介して中間体3−(2−アルキリデンヒドラジニル)プロパンニトリル(VI)を形成することからなる:
(b)中間体3−(2−アルキリデンヒドラジニル)プロパンニトリル(VI)の合成
【0030】
【化10】
Rは、一置換又は多置換又は非置換、直鎖又は分枝鎖、飽和又は一不飽和若しくは多不飽和のアルキル又はヘテロアルキル基である。より具体的には、Rは、C1〜C11直鎖非置換アルキル基、特にC3〜C7、特にペンチルであってよい。工程b)の溶媒は、工程a)で用いるものと同じ溶媒であってよい。
【0031】
第2の反応工程b)の後、縮合反応を実施する。得られる水及び溶媒は、蒸留等の従来の方法を用いて除去することができる。また、共沸化合物を作製し、縮合工程b)中に発生した水の除去を改善するために、追加の溶媒(例えば、トルエン)を添加してもよい。
【0032】
中間体(IV)の中間体(VI)への変換が完了すると、反応容器内に存在する無溶媒粗中間体(VI)を直接次の工程で用いる。
【0033】
III.第3の工程c)は、塩基の存在下で中間体(VI)の環化を介して5−アミノ−1−アルキル−1H−ピラゾール(VII)を形成することからなる:
(c)中間体5−アミノ−1−アルキル−1H−ピラゾール(VII)の合成
【0034】
【化11】
【0035】
工程c)の溶媒の非限定例は、1,2−ジメトキシエタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル−テトラヒドロフラン、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、水、及びこれらの混合物を含む。好ましい実施形態では、溶媒は、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノールからなる群から選択され、より好ましくは、n−プロパノールである。
【0036】
工程c)の塩基の非限定例は、ナトリウムメチラート(=ナトリウムメトキシド)、カリウムメチラート、リチウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムエチラート、リチウムエチラート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化第一鉄又は水酸化物、水酸化第二鉄又は水酸化鉄(III)、水酸化亜鉛、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、アルカリ及びアルカリ土類アルコラート、並びに金属水酸化物(例えば、ナトリウムt−ブチラート、カリウムt−ブチラート)、並びにこれらの混合物を含む。好ましい実施形態では、好ましい塩基は、ナトリウムメチラート、カリウムメチラート、及びリチウムメチラートからなる群から選択される。
【0037】
IV.第4の工程d)は、酸の存在下で中間体(VII)のニトロソ化工程を介して中間体5−アミノ−4−ニトロソ−1−アルキル−1H−ピラゾール塩(I)を形成することからなる:
(d)5−アミノ−4−ニトロソ−1−アルキル−1H−ピラゾール塩(I)の合成
【0038】
【化12】
HZは、任意の好適な鉱酸又は有機酸から選択してよい。工程d)の酸HZの非限定例は、HCl、CF3COOH、H2SO4、H2SO3、H2CO3、HNO3、CH3COOH、H3PO4、及びこれらの混合物を含む。好ましい実施形態では、酸HZは、HCl、H2SO4、H2SO3からなる群から選択され、より好ましくはHClである。酸条件は、当該技術分野において周知である通り、ニトロソ源からNO+−ユニットを作製するために必要であると考えられる。
【0039】
工程d)の溶媒の非限定例は、1,2−ジメトキシエタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル−テトラヒドロフラン、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、水及びこれらの混合物を含む。好ましい実施形態では、溶媒は、好ましくは1,2−ジメトキシエタンである。
【0040】
工程d)のニトロソ源の非限定例は、3−メチルブチルニトリル、ニトロシルスルホン酸、t−ブチルニトリル、ブチルニトリル、ニトリル塩(例えば、ナトリウム及びカリウムニトリル)及びこれらの混合物を含む。好ましい実施形態では、ニトロソ源は、好ましくは3−メチルブチルニトリルである。
【0041】
上記工程のうちの最後の工程が実施された後、形成された際に、又は適切な溶媒を用いて反応混合物を粉砕することにより化合物(I)が沈殿する。したがって、テレスコーピングワンポット合成の終わりにおいて、反応容器は、溶媒に可溶性である式(VII)の未反応中間体と、沈殿物として式(I)の所望の化合物とを含む。簡便な濾過により、式(I)の化合物を塩として単離できる。
【0042】
式(I)の化合物を用いて実施できる更なる反応の非限定例を以下に記載する。実際、この一連の反応が成功裏に完了したら、化合物(I)をその遊離塩基に変換し、次いで、必要に応じて別の塩に再度変換することができる。
【0043】
V.第5の反応e)は、塩基の存在下で中間体(I)による塩基性処理を介して中間体5−アミノ−4−ニトロソ−1−アルキル−1H−ピラゾール(VIII)を形成することからなる:
(e)5−アミノ−4−ニトロソ−1−アルキル−1H−ピラゾール(VIII)の合成
【0044】
【化13】
【0045】
工程e)の塩基の非限定例は、アンモニア、アルコラート(例えば、ナトリウムメチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート)、アルカリ又はアルカリ土類水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化第一鉄又は水酸化鉄(II)、水酸化第二鉄又は水酸化鉄(III)、水酸化亜鉛、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸アンモニウム、ナトリウムt−ブチラート、カリウムt−ブチラート)、及びこれらの混合物を含む。好ましい塩基は、アンモニアであってよい。
【0046】
工程e)の溶媒の非限定例は、ペンタン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル−テトラヒドロフラン、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、水、及びこれらの混合物を含む。好ましい実施形態では、溶媒は、水とメタノールとの混合物であってよい。
【0047】
VI.第6の反応f)は、還元剤の存在下で中間体(VIII)で出発して4,5−アミノ−1−アルキル−1H−ピラゾール−HZ(IX)を形成し、続いて、酸HZ’により酸処理することからなる:
(f)4,5−アミノ−1−アルキル−1H−ピラゾール(IX)の合成
【0048】
【化14】
【0049】
工程f)の溶媒の非限定例は、ペンタン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル−テトラヒドロフラン、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、及びこれらの混合物を含む。好ましい実施形態では、溶媒は、水及びメタノールからなる群から選択される。
【0050】
工程f)の還元剤の非限定例は、Fe、Pd/C、Pd/(OH)2、Raney−Ni、PtO2及びこれらの混合物からなる群から選択される金属触媒と共に、ヒドラジン、H2等の水素源を含む。好ましい実施形態では、還元剤は、H2とPd/Cとの混合物である。
【0051】
HZ’は、任意の好適な有機酸又は鉱酸から選択してよい。工程f)の酸HZ’の非限定例は、HCl、H2SO4、0.5 H2SO4、H3PO4、CH3COOH、リンゴ酸、及びこれらの混合物を含む。好ましい実施形態では、酸は、HCl及び0.5 H2SO4からなる群から選択され、より好ましくは、0.5 H2SO4である。0.5 H2SO4とは、ピラゾール出発材料のモル量の約半分が反応して、ヘミ硫酸塩を沈殿させることを意味する。
【0052】
化合物(IX)に達するために、上記工程(e)+(f)の代替は、工程(g)、すなわち、塩基性処理を介して中間体(I)を処理することである。工程(g)については、以下に記載する。
【0053】
VII.第7の工程g)は、還元剤及び塩基の存在下で、中間体(I)の塩基性処理を介して、4,5−アミノ−1−アルキル−1H−ピラゾール−HZ(IX)を形成し、続いて、酸HZ’で酸処理することからなる:
(g)4,5−アミノ−1−アルキル−1H−ピラゾール(IX)の合成
【0054】
【化15】
【0055】
工程g)の溶媒の非限定例は、ペンタン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル−テトラヒドロフラン、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール及びこれらの混合物を含む。好ましい実施形態では、溶媒は、水及びメタノール、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0056】
工程f)の還元工程1)のための還元剤の非限定例は、Fe、Pd/C、Pd/(OH)2、Raney−Ni、PtO2及びこれらの混合物からなる群から選択される金属触媒と共に、ヒドラジン、H2等の水素源を含む。好ましい実施形態では、還元剤は、H2とPd/C触媒である。
【0057】
工程g)の還元工程1)のための塩基の非限定例は、アンモニア;ナトリウムメチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルコラート;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化第一鉄又は水酸化鉄(II)、水酸化第二鉄又は水酸化鉄(III)、水酸化亜鉛、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸アンモニウム等のアルカリ又はアルカリ土類水酸化物、ナトリウムt−ブチラート、カリウムt−ブチラート、及びこれらの混合物を含む。好ましい塩基は、酢酸ナトリウム、トリエチルアミン、又はジイソプロピルエチルアミンから選択してよい。
【0058】
工程g)の工程2)の酸HZ’の非限定例は、HCl、H2SO4、0.5 H2SO4、H3PO4、CH3COOH、リンゴ酸、及びこれらの混合物を含む。好ましい実施形態では、酸は、HCl、0.5 H2SO4からなる群から選択され、より好ましくは0.5 H2SO4である。
【0059】
VIII.実施例:5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾール−HCl(I−a)の全合成に至るテレスコーピングワンポット反応プロセスの適用
以下は、本発明のプロセス及び組成物の非限定例である。これらの実施例は単に説明のために示すものであり、本発明を限定するものと解釈すべきでなく、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの改変が可能であり、当業者にはこれらのことが理解されよう。特に指示がない限り、濃度はすべて重量パーセントとして列挙される。
【0060】
上記プロセスは、5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−ヘキシル−ピラゾール−HCl式(I−a)を合成するために利用することができる。1つのテレスコーピングプロセスでは、以下の工程を含む:
(a)3−ヒドラジニルプロパンニトリル(IV)の合成
【0061】
【化16】
(b)3−(2−ヘキシリデンヒドラジニル)プロパンニトリル(VI−a)の合成
【0062】
【化17】
(c)5−アミノ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾール(VII−a)の合成
【0063】
【化18】
(d)5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾール−HCl(I−a)の合成
【0064】
【化19】
【0065】
化合物(I−a)における後続反応の非限定例は、以下であり得る:
(e)5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾール(VIII−a)の合成
【0066】
【化20】
(f)4,5−ジアミノ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾールヘミ硫酸塩の(IX−a)の合成
【0067】
【化21】
【0068】
後続反応(e)+(f)の代替として、化合物(I−a)における反応は、以下であり得る:
(g)4,5−ジアミノ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾール(IX−a)の合成
【0069】
【化22】
【0070】
これら実施例を以下に詳細に説明する。
工程(a)、(b)、(c)、及び(d):5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾールx HCl(I−a)の合成
【0071】
【表1】
【0072】
この化合物の1HNMRスペクトルを図1に示す。
【0073】
工程(e)5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾール(VIII−a)の合成
【0074】
【表2】
【0075】
工程(f)4,5−ジアミノ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾールx 0.5 H2SO4(IX−a)の合成(5−アミノ−4−ニトロソ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾール(VIII−a)(遊離塩基)で出発)
【0076】
【表3】
【0077】
この化合物の1HNMRスペクトルを図2に示す。
【0078】
工程(g):4,5−アミノ−1−n−ヘキシル−ピラゾールヘミ硫酸塩の合成−酢酸ナトリウムを用いる(I−a)から(IX−a)への直接還元
【0079】
【表4】
【0080】
工程(g’):4,5−アミノ−1−n−ヘキシル−1H−ピラゾールヘミ硫酸塩の合成−トリエチルアミンを用いる(I−a)から(IX−a)への直接還元
【0081】
【表5】
【0082】
最後に
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40ミリメートル」として開示される寸法は、「約40ミリメートル」を意味するものである。
【0083】
特に明示しない限り、「好ましい」と開示されている任意の実施形態は、保護の範囲を限定するものではない。
図1
図2