特許第6238324号(P6238324)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238324
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】空気調和機および空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/02 20060101AFI20171120BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20171120BHJP
   A63F 13/215 20140101ALI20171120BHJP
   A63F 13/54 20140101ALI20171120BHJP
   A63F 13/424 20140101ALI20171120BHJP
   A63F 13/35 20140101ALI20171120BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20171120BHJP
   A63F 13/24 20140101ALI20171120BHJP
   A63F 13/25 20140101ALI20171120BHJP
【FI】
   F24F11/02 105A
   F24F11/02 104A
   G06F3/01 510
   A63F13/215
   A63F13/54
   A63F13/424
   A63F13/35
   A63F13/80 D
   A63F13/24
   A63F13/25
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-213070(P2016-213070)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2017-133822(P2017-133822A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2016年11月1日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516314398
【氏名又は名称】井上 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】井上 真理
【審査官】 関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−090655(JP,A)
【文献】 特開2006−209077(JP,A)
【文献】 特開2001−190830(JP,A)
【文献】 特開2002−028366(JP,A)
【文献】 特開2002−045569(JP,A)
【文献】 特開2015−128510(JP,A)
【文献】 特開2007−195572(JP,A)
【文献】 特開2015−096779(JP,A)
【文献】 特開昭62−114581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02
A63F 9/24
A63F 13/00−13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機および室外機を備える空気調和機において、
音声により使用者と尻取りを行う音声認識応答手段と、
前記使用者による空気調和のための各種パラメータの設定を行うリモートコントローラとを備え、
前記リモートコントローラには、前記空気調和のための各種パラメータを表示する表示手段が設けられるとともに、該リモートコントローラは、双方向で前記室内機と通信を行う通信手段を備えており、
前記音声認識応答手段は、前記表示手段に、該音声認識応答手段で認識された使用者の言葉および該音声認識応答手段が回答した言葉を表示させ、かつ前記認識された使用者の言葉を表示させる際に、同音異義語が存在する場合には、該同音異義語の複数の候補を表示させ、前記使用者に選択操作を行わせることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記音声認識応答手段は、前記室内機に取付けられるマイクロフォンおよびスピーカと、それらによる音声入出力を実現するとともに、前記マイクロフォンによる音声入力を解読し、回答を求め、前記スピーカから出力させる演算処理装置とを備えて構成されることを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
前記リモートコントローラに、前記尻取りを開始するための尻取り機能起動釦が設けられており、その釦操作に応答して前記音声認識応答手段が動作することを特徴とする請求項1または2記載の空気調和機。
【請求項4】
前記音声認識応答手段は、前記尻取り機能起動釦の操作の回数で、攻守を選択可能であることを特徴とする請求項3記載の空気調和機。
【請求項5】
前記請求項1〜4の何れか1項に記載の空気調和機と、ネットワークと、サーバコンピュータと、使用者が所持する携帯情報端末とを備え、前記音声認識応答手段は前記ネットワークを介してサーバコンピュータと通信可能であり、前記携帯情報端末も前記ネットワークを介してサーバコンピュータと通信可能である空気調和システムであって、
前記音声認識応答手段は、前記使用者との尻取りの対戦の情報を前記サーバコンピュータに送信して集計させ、集計結果を前記携帯情報端末に送信可能であることを特徴とする空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機およびそれを用いる空気調和システムに関し、特にその新規な付加機能に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は、従来から、温度や湿度などの室内環境を快適に整えるものである。しかしながら、製品は、どの社も、価格に応じた似た機能を搭載しているに過ぎず、提供される室内空間も、似たものとなる。そこで、特許文献1には、フロントパネルの格子の部分に発光する装飾を設けて、使用者に楽しい空間を提供するようにした空気調和機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−161706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、本件発明者も、従来に無かった室内空間を提供することができる新規な空気調和機を発明するに至った。
【0005】
本発明の目的は、従来に無い室内空間を提供することができる空気調和機およびそれを用いる空気調和システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の空気調和機は、音声により使用者と尻取りを行う音声認識応答手段を備えることを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、空気調和機は、従来、温度や湿度などの室内環境を快適に整えるものであるが、本発明では、たとえばその室内機に、音声認識応答手段を設け、その音声認識応答手段によって、新たな付加機能として、音声により使用者と尻取りを行うゲーム機能を備える。
【0008】
前記音声認識応答手段は、たとえば、前記室内機に取付けられるマイクロフォンおよびスピーカと、それらによる音声入出力を実現するとともに、前記マイクロフォンによる音声入力を解読し、回答を求め、前記スピーカから出力させる演算処理装置とを備えて構成される。
【0009】
これによって、従来に無かった室内空間を提供することができる。具体的には、室内が、楽しい空気になったり、ほっこり和みのある空気になったり、白熱した空気になったり、退屈や寂しさを紛らわす空気になったり等、従来の空気調和機で実現できなかった空気を演出することができる。なお、空気調和機の室外機に関しては従来と特段変化は無いが、室内機にファンモータやセンサ、およびユーザインターフェイスが備えられるだけで、室外機に、パワーコントローラや主制御基板が備えられる場合などでは、上記演算処理装置は、室外機に設けられてもよい。
【0010】
また、本発明の空気調和機では、前記室内機には、関連して、前記使用者による空気調和のための各種パラメータの設定を行うリモートコントローラが設けられており、該リモートコントローラに、前記尻取りを開始するための尻取り機能起動釦が設けられており、その釦操作に応答して前記音声認識応答手段が動作することを特徴とする。
【0011】
上記の構成によれば、室内機に設けられるリモートコントローラを使用して、空調のON/OFF操作や温度調整操作と同様に、尻取り機能起動釦を操作するだけで、尻取りのゲームを開始することができる。
【0012】
さらにまた、本発明の空気調和機では、前記リモートコントローラには、前記尻取りのルールを選択する手段と、難易度を選択する手段との少なくとも一方が、さらに設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記の構成によれば、様々なルールや難易度を選択可能にすることで、ゲームをより白熱させたり、或いは、大人と子供とのように、使用者に合わせたりすることができる。また、そのようにルールや難易度を選択可能とするにあたって、その選択操作を、前述の尻取り機能起動釦の操作と同様に、簡単に行うことができる。
【0014】
また、本発明の空気調和機では、前記尻取りのルールを選択する手段および難易度を選択する手段として、十字に配列されたファンクションキーと、それらの中央に配置された決定キーとを用いることを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、尻取りのルールと難易度との両方を選択切換えできるようにする。その際、それらの選択手段として、十字に配列されたファンクションキーと、そのファンクションキーの中央に配置された決定キーとを用い、上下キーで選択した項目を、左右キーや決定キーを使用して選択する。
【0016】
したがって、ルールと難易度との両方を、容易に、かつ詳細に選択し、設定することができる。なお、選択項目は上下スクロールで指定できるので、他の設定、たとえば音量設定や、音質設定を、同じファンクションキーを用いて選択するようにしてもよい。
【0017】
さらにまた、本発明の空気調和機では、前記リモートコントローラには、前記空気調和のための各種パラメータを表示する表示手段が設けられるとともに、該リモートコントローラは、双方向で前記室内機と通信を行う通信手段を備えており、前記音声認識応答手段は、前記表示手段に、尻取りされた言葉を表示させることを特徴とする。
【0018】
上記の構成によれば、音声認識応答手段で認識されたり、音声認識応答手段が回答した言葉を、通信手段を介してリモートコントローラで受信し、その表示手段に表示させる。
【0019】
したがって、使用者は、聞き逃した言葉を確認したり、発した言葉が正確に認識されているか、或いは音声認識応答手段側の回答を、正確に判定することができる。
【0020】
また、本発明の空気調和機では、前記音声認識応答手段は、前記尻取り機能起動釦の操作の回数で、攻守を選択可能であることを特徴とする。
【0021】
上記の構成によれば、尻取り機能起動釦を所定回数操作することで、使用者が先攻となるか、空気調和機が先攻となるか、つまり攻守を切替えることができる。
【0022】
したがって、攻守切替えの釦を設ける必要は無く、また使用者はゲームの開始から一連の操作で攻守切替えまで行うことができる。
【0023】
さらにまた、本発明の空気調和機では、前記音声認識応答手段は、前記尻取り機能起動釦の操作の回数で、前記ルールおよび/または難易度の設定カスタマイズモードに切替わることを特徴とする。
【0024】
上記の構成によれば、尻取り機能起動釦を所定回数操作することで、ルールや難易度の設定カスタマイズモードに切替わる。
【0025】
したがって、モード切替えの釦を設ける必要は無く、また使用者はゲームの開始から一連の操作でモード切替えまで行うことができる。
【0026】
また、本発明の空気調和システムは、前記の空気調和機と、ネットワークと、サーバコンピュータと、使用者が所持する携帯情報端末とを備え、前記音声認識応答手段は前記ネットワークを介してサーバコンピュータと通信可能であり、前記携帯情報端末も前記ネットワークを介してサーバコンピュータと通信可能である空気調和システムであって、
前記音声認識応答手段は、前記使用者との尻取りの対戦の情報を前記サーバコンピュータに送信して集計させ、集計結果を前記携帯情報端末に送信可能であることを特徴とする。
【0027】
上記の構成によれば、いわゆるネットワークエアコンなどとして空気調和機がネットワークに接続されている場合に、音声認識応答手段が、使用者と空気調和機との尻取りの対戦の情報、たとえば、最小限では何対何で、どちらの勝ち等の対戦結果だけを、最大限では、やり取りされた総ての言葉を、前記サーバコンピュータに送信して集計させ、集計結果を使用者が所持する携帯情報端末に送信可能とする。
【0028】
したがって、興趣性を向上することができるとともに、使用者は対戦結果を復習して、次の対戦に役立てたりすることができる。
【0029】
さらにまた、本発明の空気調和システムでは、前記サーバコンピュータは、複数の空気調和機および携帯情報端末と通信し、前記集計結果を前記複数の携帯情報端末に公開することを特徴とする。
【0030】
上記の構成によれば、複数の使用者の、たとえば対戦成績が公開されると、ランク付けが行われたりして、空気調和機に搭載された当該尻取りゲーム機能の興趣性を、より向上することができる。
【0031】
また、本発明の空気調和システムでは、前記空気調和機の前記音声認識応答手段は、その言葉を発することで負けが決定するばくだんワードを予め決定しており、そのばくだんワードを、前記サーバコンピュータは任意のタイミングで送信して、携帯情報端末で確認可能とすることを特徴とする。
【0032】
上記の構成によれば、ばくだんワードを指定された場合、空気調和機からサーバコンピュータへ送信されており、サーバコンピュータは、使用者が、そのばくだんワードを引いた時に携帯情報端末に送信し、或いは、ばくだんワードが指定された時点で送信しておいて使用者が負けたときに携帯情報端末を確認することで、該ばくだんワードを確認することができ、興趣性を向上することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の空気調和機およびそれを用いる空気調和システムは、以上のように、音声認識応答手段を設け、その音声認識応答手段によって、新たな付加機能として、音声により使用者と尻取りを行うゲーム機能を備える。
【0034】
それゆえ、従来に無かった室内空間を提供することができ、室内が、楽しい空気になったり、ほっこり和みのある空気になったり、白熱した空気になったり、退屈や寂しさを紛らわす空気になったり等、従来の空気調和機で実現できなかった空気を演出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施の一形態に係る空気調和機における室内機を模式的に示す正面図である。
図2】前記空気調和機におけるリモートコントローラの一例を拡大して示す正面図である。
図3】前記リモートコントローラの表示部で、尻取りゲーム開始時の表示の一例を拡大して示す図である。
図4】前記リモートコントローラを介する難易度やルールの設定画面の一例を示す図である。
図5】尻取りのゲーム中でのエアコンが発した同音異義語の判別表示の様子と、使用者が発した同音異義語の意味を指定するプロセスとを示した図である。
図6】本発明の実施の他の形態に係る空気調和システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の一形態に係る空気調和機(以下、エアコンと言うこともある)における室内機1を模式的に示す正面図である。室内機1は、上部に空気取り入れ口11を備え、下部に空気吹き出し口12を備え、正面の側部に、各種のインジケータ13やリモコン送受信部14を備えている。注目すべきは、この室内機1は、音声により使用者と尻取りを行う音声認識応答手段2を備えていることである。
【0037】
本実施形態では、音声認識応答手段2は、室内機1に取付けられるマイクロフォン21およびスピーカ22と、それらによる音声入出力を実現するとともに、マイクロフォン21による音声入力を解読し、回答を求め、スピーカ22から出力させる演算処理装置23とを備えて構成される。演算処理装置23でのプログラムや尻取りの語彙の更新は、演算処理装置23に着脱可能なメモリカードなどで行うことができる。スピーカ22には、応答音などのための既設のスピーカが併用されてもよい。
【0038】
ここで、空気調和機は、従来、温度や湿度などの室内環境を快適に整えるものであるが、本発明は、室内機1に、音声認識応答手段2を設け、その音声認識応答手段2によって、新たな付加機能として、音声により使用者と尻取りを行うゲーム機能を備えるものである。
【0039】
これによって、この空気調和機は、従来に無かった室内空間を提供することができる。具体的には、室内が、楽しい空気になったり、ほっこり和みのある空気になったり、白熱した空気になったり、退屈や寂しさを紛らわす空気になったり等、従来の空気調和機で実現できなかった空気を演出することができる。なお、空気調和機の室外機に関しては従来と特段変化は無いが、室内機1にファンモータやセンサ、およびユーザインターフェイスが備えられるだけで、室外機に、パワーコントローラや主制御基板が備えられる場合などでは、演算処理装置23は、室外機に設けられてもよい。
【0040】
また、空気調和機には、通常、室内機1に関連して、リモートコントローラ(以下、リモコンと言う)が設けられている。図2は、本実施形態の一例のリモコン3の正面図である。リモコン3は、縦長の本体30の上部に表示部31を備え、その下方に、運転切換えスイッチ32〜35,38や、アップダウンスイッチ36,37などを備え、また頂部にはリモコン送受信部39を備える。スイッチ32は冷房運転開始のスイッチであり、スイッチ33は暖房運転開始のスイッチであり、スイッチ34は除湿運転開始のスイッチであり、スイッチ35は加湿運転開始のスイッチであり、スイッチ38は運転停止のスイッチである。アップダウンスイッチ36は設定温度を上下するスイッチであり、アップダウンスイッチ37は設定湿度を上下するスイッチである。これら空気調和のための各種パラメータの設定を行うスイッチ32〜38の設定状況や運転状況は、液晶パネルなどで実現される表示部31に表示される。この他、風向や風量のスイッチ、タイマーのスイッチなど、本体30の表面上、或いはカバー内に、適宜、図示しない必要なスイッチが配列されている。
【0041】
注目すべきは、リモコン3には、尻取り機能を起動する尻取り機能起動釦(以下、尻取り釦と言う)41が設けられており、その尻取り釦41の操作に応答して、音声認識応答手段2が動作することである。これによって、室内機1に設けられるリモコン3を使用して、空調のON/OFF操作や温度調整操作と同様に、尻取り釦41を操作するだけで、尻取りのゲームを開始することができる。
【0042】
そして、好ましくは、音声認識応答手段2は、尻取り釦41の操作の回数で、攻守を選択可能であり、また後述するようなルールおよび/または難易度の選択操作を含む設定カスタマイズモードに切替わる。具体的には、尻取り釦41が1回操作されると、尻取り開始であり、また使用者が先攻、つまり問題を出すことになる。その状態での表示部31の表示例を、図3で示す。尻取り釦41が2回操作されると、尻取り開始であり、また空気調和機が先攻、つまり使用者が後攻で答えを出すことになる。
【0043】
さらに、リモコン3において、尻取り釦41の横には、十字に配列されたファンクションキー44〜47と、それらの中央に配置された決定キー48とが設けられている。そして、前記尻取り釦41が3回操作されると、前記設定カスタマイズモードとなり、表示部31は、図4で示すような設定選択画面となる。使用者は、上下キー44,45で選択した項目を、左右キー46,47や決定キー48を使用して、詳細設定する。
【0044】
前記ファンクションキー44〜47および決定キー48で設定される難易度は、たとえば、図4で示すように、「易」、「普」、「難」、「超難」の4段階に選択可能である。そして、演算処理装置23には、たとえば50万語が登録されており、「超難」が選択されると、該演算処理装置23が発する(使用可能な)言葉としては、総ての50万語が使用可能、つまりエアコン側の語彙の範囲が広がってエアコンの耐性が上がり、利用者が勝ち難くなる(難易度が高い)。「難」が選択されると、演算処理装置23が使用可能な言葉としては、たとえば30万語に絞られてエアコンの耐性が少し下がり、利用者がより有利になる(難易度が下がる)。使用者の使用可能な言葉については、制限は無い。そして、使用者が、図4で示すタイムアウト時間を経過しても答えられなければ使用者の負けになり、反対にエアコンの応答時に、演算処理装置23に登録され、前記難易度の段階に対応した言葉を使い切ってしまっていれば、つまり返す言葉が残っていなければ、演算処理装置23(エアコン)の負けとなる。
【0045】
また、ルールについては、図4で示すように、たとえば濁音や半濁音で終わったら、同様に濁音や半濁音で返さないとならないか否か、つまり言葉尻を厳密に判定するか、緩やかに判定するかである。また、他のルールとしては、図4で示すように、「しゃ」、「しゅ」、「しょ」をOKとするか否かである。さらに他のルールとしては、一般名詞のみとするか固有名詞を含めるか否かや、図4で示すように、その言葉を発することで負けが決定する禁句(ばくだん)ワードを指定するか否かなどである。
【0046】
こうした難易度やルールの設定は、上述のように、使用者が尻取り釦41を3回操作し、ファンクションキー44〜47を操作することで、各機能にフラグを立てて、選択しているか否かを切換えることができる。その選択状況は、温度や湿度などの運転状況を表示する表示部31に、図4で示すように、前記運転状況に代えて設定中だけ、表示することができる。なお、図4の設定の意向が総て整えば、使用者によって決定キー48が操作されて、設定が確定する。同時に、設定カスタマイズモードが終了となるが、カスタマイズされた設定がより認知し易いように、表示部31には、所定時間、たとえば10秒の間、設定された画面が表示され、その後に運転状況の表示に戻る。なお、前述の所定時間の表示中であっても、任意の機能釦は有効である。また、尻取りゲームの対戦中には、設定カスタマイズモードには移行できない。
【0047】
こうして、尻取り釦41を所定回数(上述の例では3回)操作することで、ルールや難易度の設定カスタマイズモードに切替えることができ、モード切替えの釦を設ける必要は無く、また使用者はゲームの開始から一連の操作で容易にモード切替えまで(カスタマイズを)行うことができる。また、音声認識応答手段2は、尻取り釦41の操作の回数で、使用者が先攻となるか、空気調和機が先攻となるか、つまり攻守を切替えることができ、攻守切替えの釦を設ける必要も無く、また使用者はゲームの開始から一連の操作で攻守切替えまで行うことができる。
【0048】
また、上述のようにして、様々なルールや難易度を選択可能にすることで、ゲームをより白熱させたり、或いは、図4のように、大人と子供とのように、使用者に合わせたりすることができる。また、そのようにルールや難易度を選択可能とするにあたって、その選択操作を、尻取り釦41の操作と同様に、ファンクションキー44〜47および決定キー48の操作で簡単に行うことができる。さらに、選択項目は上下キー44,45のスクロールで指定できるので、図4で示すような他の設定、たとえば、音量設定、応答音声が男性であるか女性であるか(音質)の設定、或いは使用者の年齢なども、同じファンクションキー44〜47および決定キー48を用いて選択することができる。
【0049】
ここで、空気調和機のリモコン3は、通常、該リモコン3から室内機1への上りの指示を行う送信機だけが搭載されることが多いが、本実施形態では、室内機1側のリモコン送受信部14と共に、リモコン3にはリモコン送受信部39が設けられている。リモコン送受信部39,14は、赤外線や無線LAN等の近距離無線通信などで、双方向通信を行うことができる。その双方向通信手段を利用して、本実施形態では、音声認識応答手段2は、該音声認識応答手段2で認識された使用者の言葉や、該音声認識応答手段2が回答した言葉を、表示部31に表示させる。
【0050】
その様子を、図5に示す。音声認識応答手段2(エアコン)は「はし」と言い、その言葉を吹き出しで示している。そして、その言葉の下に、注釈で、「川にかかっているもの」と表示されている。これで、たとえば「橋」と「箸」等の同音異義語を適切に判別、確認することができる。このように、音声認識応答手段2(エアコン)側の回答の意味合いは、回答される以前に認識されているので、必ず表示される。一方、使用者の回答は、「しま」であり、同音異義語で複数の候補が存在する場合には、前記上下キー44,45および決定キー48の操作で選択可能なように、表示部31に表示される。このとき、スピーカ22から、「選択決定入力をして下さい」とアナウンスが行われてもよい。図5では、「島」「志摩」「縞」の3つの候補およびその注釈が示されている。
【0051】
このようにして、使用者は、聞き逃した言葉を確認したり、同音異義語などに対して、音声認識応答手段2側の回答を正確に判定したり、自身の回答を正確に認識させたりすることができる。
(実施の形態2)
上述の実施形態は、空気調和機は、各使用者宅に設置されて、電源のみが供給されるスタンドアローン機である。一方、近年では、外出先からON/OFFしたりすることが可能なように、ネットワークに接続された、いわゆるネットワークエアコンも広まりつつある。
【0052】
そこで、本実施形態は、そのネットワークエアコン機能を利用する。図6は、本発明の実施の他の形態に係る空気調和システムのブロック図である。本システムでは、複数の空気調和機(図6では室内機1a,1bで示す)と、その利用者がそれぞれ所持する携帯情報端末7a,7bと、サーバコンピュータ6と、それらを接続するネットワーク5とを備えて構成される。
【0053】
空気調和機(1a,1b)の演算処理装置23などは、ネットワークインターフェイスを備え、インターネットなどのネットワーク5を介してサーバコンピュータ6に接続される。空気調和機(1a,1b)側には自機のID、IPアドレスおよびサーバコンピュータ6のIPアドレスと共に、使用者の携帯情報端末7a,7bのメールアドレスやパスワードが登録される。一方、使用者は、携帯情報端末7a,7bからサーバコンピュータ6に、前記メールアドレス、パスワードおよびエアコンのIDが登録される。これによって、携帯情報端末7a,7bから、たとえば前記ON/OFFの指令を送信すると、サーバコンピュータ6が中継して、空気調和機(1a,1b)のIPアドレスにその指令を送信し、空気調和機(1a,1b)の遠隔操作が可能となる。
【0054】
このように構成されるネットワークエアコンのシステムにおいて、空気調和機(1a,1b)の演算処理装置23は、使用者との尻取りの対戦の情報、たとえば、最小限では何対何で、どちらの勝ち等の対戦結果だけを、最大限では、やり取りされた総ての言葉を、サーバコンピュータ6に送信して集計させ、集計結果を使用者が所持する携帯情報端末7a,7bに送信可能とする。
【0055】
たとえば尻取りのやりとりが白熱し、エアコンと使用者とを合わせて100の言葉のやり取りが達成された時など、対戦ワードのやり取りの経過記録や、何回言葉のやり取りが続いた等の情報を、演算処理装置23がサーバコンピュータ6に送信し、サーバコンピュータ6が使用者の携帯情報端末7a,7bに送信する。たとえば、そうして受信されたメールが、対戦戦績の認定証としての機能も発揮し、そのメールを尻取り白熱コンテストに応募し、他の使用者と間接的に競うことができる。このように構成することで、興趣性を向上することができるとともに、使用者はまた、対戦結果を復習して、次の対戦に役立てたりすることができる。
【0056】
また、尻取りゲームを開始し、ばくだんワードが設定されている場合には、演算処理装置23は、そのばくだんワードを、自機のIDやIPアドレス、および使用者のパスワードやメールアドレスと共に、サーバコンピュータ6にデータ送信している。サーバコンピュータ6は、これに応答して、たとえばばくだんワードを受信した時点で使用者の携帯情報端末7a,7bに送信し、使用者は実際の対戦前にメールが届いたことを確認し、実際の対戦を開始する。そして、尻取りゲームを終了してから、または、ばくだんワードを引いた時点で、そのメールの内容を確認する。
【0057】
或いは、サーバコンピュータ6は、使用者が、そのばくだんワードを引いた時に、携帯情報端末7a,7bにばくだんワードを送信するようにしてもよい。こうして、使用者が負けたときに携帯情報端末7a,7bを確認することで、該ばくだんワードを確認することができ、興趣性を向上することができる。
【符号の説明】
【0058】
1,1a,1b 室内機
11 空気取り入れ口
12 空気吹き出し口
13 インジケータ
14 リモコン送受信部
2 音声認識応答手段
21 マイクロフォン
22 スピーカ
23 演算処理装置
3 リモコン
30 本体
31 表示部
32 冷房運転開始のスイッチ
33 暖房運転開始のスイッチ
34 除湿運転開始のスイッチ
35 加湿運転開始のスイッチ
36 設定温度を上下するアップダウンスイッチ
37 設定湿度を上下するアップダウンスイッチ
38 停止スイッチ
39 リモコン送受信部
41 尻取り機能起動釦(尻取り釦)
44〜47 ファンクションキー
48 決定キー
5ネットワーク
6 サーバコンピュータ
7a,7b 携帯情報端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6