特許第6238336号(P6238336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238336
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両用ホイール
(51)【国際特許分類】
   B60B 1/08 20060101AFI20171120BHJP
   B60B 3/06 20060101ALI20171120BHJP
   B60B 1/14 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B60B1/08
   B60B3/06
   B60B1/14 J
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-120413(P2013-120413)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-237361(P2014-237361A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2015年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】平丸 真之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 友裕
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−087001(JP,A)
【文献】 特開平05−085101(JP,A)
【文献】 特開2000−289401(JP,A)
【文献】 特開平08−244401(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0096908(US,A1)
【文献】 特開2003−252001(JP,A)
【文献】 特開2007−118684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 1/08
B60B 1/14
B60B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車軸(17)が挿通される挿通孔(18,38)ならびに該挿通孔(18,38)を囲繞する環状のハブ側中空部(22,42)を有するハブ(19,39)と、該ハブ(19,39)を同軸に囲繞するリム(20,40)と、前記ハブ(19,39)および前記リム(20,40)間を連結する複数のスポーク(21A,21B;41A,41B)とを有して鋳造成形されて成り、複数の前記スポーク(21A,21B;41A,41B)内にスポーク側中空部(30,50)が形成される鞍乗り型車両用ホイールにおいて、
複数個の第1のスポーク(21A,41A)が前記ハブ(19,39)および前記リム(20,40)の周方向に等間隔をあけて前記ハブ(19,39)および前記リム(20,40)間に設けられ、
第1のスポーク(21A,41A)と同一個数である複数個の第2のスポーク(21B,41B)が、前記ハブ(19,39)および前記リム(20,40)の周方向で第1のスポーク(21A,41A)相互の間隔よりも小さな間隔を第1のスポーク(21A,41A)との間にあけつつ、第1のスポーク(21A,41A)に対をなして近接するようにして、前記ハブ(19,39)および前記リム(20,40)間に設けられ、
対をなす第1および第2のスポーク(21A,21B;41A,41B)の相互に対向する面が、各スポーク(21A,21B;41A,41B)の前記ハブ(19,39)から前記リム(20,40)に至る長手方向の全長に亘って形成されており、これらの面の長手方向の一部に、前記スポーク側中空部(30,50)に通じる第1の開口部(31A,31B,51)がそれぞれ設けられることを特徴とする鞍乗り型車両用ホイール。
【請求項2】
車軸(17)が挿通される挿通孔(18,38)ならびに該挿通孔(18,38)を囲繞する環状のハブ側中空部(22,42)を有するハブ(19,39)と、該ハブ(19,39)を同軸に囲繞するリム(20,40)と、前記ハブ(19,39)および前記リム(20,40)間を連結する複数のスポーク(21A,21B;41A,41B)とを有して鋳造成形されて成り、複数の前記スポーク(21A,21B;41A,41B)内にスポーク側中空部(30,50)が形成される鞍乗り型車両用ホイールにおいて、
複数個の第1のスポーク(21A,41A)が前記ハブ(19,39)および前記リム(20,40)の周方向に等間隔をあけて前記ハブ(19,39)および前記リム(20,40)間に設けられ、
第1のスポーク(21A,41A)と同一個数である複数個の第2のスポーク(21B,41B)が、前記ハブ(19,39)および前記リム(20,40)の周方向で第1のスポーク(21A,41A)相互の間隔よりも小さな間隔を第1のスポーク(21A,41A)との間にあけつつ、第1のスポーク(21A,41A)に対をなして近接するようにして、前記ハブ(19,39)および前記リム(20,40)間に設けられ、
前記スポーク(21A,21B;41A,41B)の少なくとも前記ハブ(19,39)側の部分に、前記ハブ側中空部(22,42)に通じる前記スポーク側中空部(30,50)が形成され、
対をなす第1および第2のスポーク(21A,21B;41A,41B)の相互に対向する面に、前記スポーク側中空部(30,50)に通じる第1の開口部(31A,31B,51)がそれぞれ設けられるとともに、これら第1および第2のスポーク(21A,21B;41A,41B)間で前記ハブ(19,39)の外周面に、前記ハブ側中空部(22,42)に通じる第2の開口部(32A,32B,52)が設けられることを特徴とする鞍乗り型車両用ホイール。
【請求項3】
車軸(17)が挿通される挿通孔(18,38)ならびに該挿通孔(18,38)を囲繞する環状のハブ側中空部(22,42)を有するハブ(19,39)と、該ハブ(19,39)を同軸に囲繞するリム(20,40)と、前記ハブ(19,39)および前記リム(20,40)間を連結する複数のスポーク(21A,21B;41A,41B)とを有して鋳造成形されて成り、複数の前記スポーク(21A,21B;41A,41B)内にスポーク側中空部(30,50)が形成される鞍乗り型車両用ホイールにおいて、
複数個の第1のスポーク(21A,41A)が前記ハブ(19,39)および前記リム(20,40)の周方向に等間隔をあけて前記ハブ(19,39)および前記リム(20,40)間に設けられ、
第1のスポーク(21A,41A)と同一個数である複数個の第2のスポーク(21B,41B)が、前記ハブ(19,39)および前記リム(20,40)の周方向で第1のスポーク(21A,41A)相互の間隔よりも小さな間隔を第1のスポーク(21A,41A)との間にあけつつ、第1のスポーク(21A,41A)に対をなして近接するようにして、前記ハブ(19,39)および前記リム(20,40)間に設けられ、
対をなす第1および第2のスポーク(21A,21B;41A,41B)の相互に対向する面に、前記スポーク側中空部(30,50)に通じる第1の開口部(31A,31B,51)と、同じく前記スポーク側中空部(30,50)に通じるとともに前記第1の開口部(31A,31B,51)よりも前記リム(20,40)側に配置される第3の開口部(33,53)とがそれぞれ設けられることを特徴とする鞍乗り型車両用ホイール。
【請求項4】
前記スポーク(21A,21B;41A,41B)の少なくとも前記ハブ(19,39)側の部分に、前記ハブ側中空部(22,42)に通じる前記スポーク側中空部(30,50)が形成され、対をなす第1および第2のスポーク(21A,21B;41A,41B)間で前記ハブ(19,39)の外周面に、前記ハブ側中空部(22,42)に通じる第2の開口部(32A,32B,52)が設けられることを特徴とする請求項または3記載の鞍乗り型車両用ホイール。
【請求項5】
第1の開口部(31A,31B,51)が第1および第2のスポーク(21A,21B;41A,41B)の長手方向に沿って長く形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鞍乗り型車両用ホイール。
【請求項6】
第1および第2の開口部(31A,32A;51,52)が連なって形成されることを特徴とする請求項2または4記載の鞍乗り型車両用ホイール。
【請求項7】
前記挿通孔(18,38)の軸線に沿う方向での第1および第2のスポーク(21A,21B;41A,41B)の前記ハブ(19,39)側の端部の軸方向幅(L1)が前記リム(20,40)側の端部の軸方向幅(L2)よりも大きく設定され、前記リム(20,40)および前記ハブ(19,39)の周方向での第1および第2のスポーク(21A,21B;41A,41B)の前記リム(20,40)側の端部の周方向幅(L3)が前記ハブ(19,39)側の端部の周方向幅(L4)よりも大きく設定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の鞍乗り型車両用ホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車軸が挿通される挿通孔ならびに該挿通孔を囲繞する環状のハブ側中空部を有するハブと、該ハブを同軸に囲繞するリムと、前記ハブおよび前記リム間を連結する複数のスポークとを有して鋳造成形されて成り、複数の前記スポーク内にスポーク側中空部が形成される鞍乗り型車両用ホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等の鞍乗り型車両用として鋳造成形されるホイールは一般的によく知られており、鋳造後の排砂のために、複数のスポーク間で開口するようにした開口部がハブに設けられるとともに、スポークにも車軸の軸線に沿う方向で開口する開口部が設けられるようにしたものが、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−297688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、自動二輪車等の鞍乗り型車両ではホイールの左右両面がそのまま外部に臨むことが一般的であり、上記特許文献1で開示されたもののように、車軸の軸線に沿う方向で開口する開口部がスポークに設けられるようにすると、意匠性が低下する可能性がある。そこで回転方向に開口する開口部をスポークに設けることが考えられるが、スポーク相互の間隔によっては開口部が外部から視認し易くなり、外観性の低下を招いてしまうことになる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、砂中子の排砂性に配慮しつつ、意匠性の向上を図った鞍乗り型車両用ホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車軸が挿通される挿通孔ならびに該挿通孔を囲繞する環状のハブ側中空部を有するハブと、該ハブを同軸に囲繞するリムと、前記ハブおよび前記リム間を連結する複数のスポークとを有して鋳造成形されて成り、複数の前記スポーク内にスポーク側中空部が形成される鞍乗り型車両用ホイールにおいて、複数個の第1のスポークが前記ハブおよび前記リムの周方向に等間隔をあけて前記ハブおよび前記リム間に設けられ、第1のスポークと同一個数である複数個の第2のスポークが、前記ハブおよび前記リムの周方向で第1のスポーク相互の間隔よりも小さな間隔を第1のスポークとの間にあけつつ、第1のスポークに対をなして近接するようにして、前記ハブおよび前記リム間に設けられ、対をなす第1および第2のスポークの相互に対向する面が、各スポークの前記ハブから前記リムに至る長手方向の全長に亘って形成されており、これらの面の長手方向の一部に、前記スポーク側中空部に通じる第1の開口部がそれぞれ設けられることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、車軸が挿通される挿通孔ならびに該挿通孔を囲繞する環状のハブ側中空部を有するハブと、該ハブを同軸に囲繞するリムと、前記ハブおよび前記リム間を連結する複数のスポークとを有して鋳造成形されて成り、複数の前記スポーク内にスポーク側中空部が形成される鞍乗り型車両用ホイールにおいて、複数個の第1のスポークが前記ハブおよび前記リムの周方向に等間隔をあけて前記ハブおよび前記リム間に設けられ、第1のスポークと同一個数である複数個の第2のスポークが、前記ハブおよび前記リムの周方向で第1のスポーク相互の間隔よりも小さな間隔を第1のスポークとの間にあけつつ、第1のスポークに対をなして近接するようにして、前記ハブおよび前記リム間に設けられ、前記スポークの少なくとも前記ハブ側の部分に、前記ハブ側中空部に通じる前記スポーク側中空部が形成され、対をなす第1および第2のスポークの相互に対向する面に、前記スポーク側中空部に通じる第1の開口部がそれぞれ設けられるとともに、これら第1および第2のスポーク間で前記ハブの外周面に、前記ハブ側中空部に通じる第2の開口部が設けられることを第2の特徴とする。
【0008】
また本発明は、車軸が挿通される挿通孔ならびに該挿通孔を囲繞する環状のハブ側中空部を有するハブと、該ハブを同軸に囲繞するリムと、前記ハブおよび前記リム間を連結する複数のスポークとを有して鋳造成形されて成り、複数の前記スポーク内にスポーク側中空部が形成される鞍乗り型車両用ホイールにおいて、複数個の第1のスポークが前記ハブおよび前記リムの周方向に等間隔をあけて前記ハブおよび前記リム間に設けられ、第1のスポークと同一個数である複数個の第2のスポークが、前記ハブおよび前記リムの周方向で第1のスポーク相互の間隔よりも小さな間隔を第1のスポークとの間にあけつつ、第1のスポークに対をなして近接するようにして、前記ハブおよび前記リム間に設けられ、対をなす第1および第2のスポークの相互に対向する面に、前記スポーク側中空部に通じる第1の開口部と、同じく前記スポーク側中空部に通じるとともに前記第1の開口部よりも前記リム側に配置される第3の開口部とがそれぞれ設けられることを第3の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第1または第3の特徴の構成に加えて、前記スポークの少なくとも前記ハブ側の部分に、前記ハブ側中空部に通じる前記スポーク側中空部が形成され、対をなす第1および第2のスポーク間で前記ハブの外周面に、前記ハブ側中空部に通じる第2の開口部が設けられることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第1〜第4の特徴の構成のいずれかに加えて、第1の開口部が第1および第2のスポークの長手方向に沿って長く形成されることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第2または第4の特徴の構成に加えて、第1および第2の開口部が連なって形成されることを第6の特徴とする。
【0012】
本発明は、第1〜第6の特徴の構成のいずれかに加えて、前記挿通孔の軸線に沿う方向での第1および第2のスポークの前記ハブ側の端部の軸方向幅が前記リム側の端部の軸方向幅よりも大きく設定され、前記リムおよび前記ハブの周方向での第1および第2のスポークの前記リム側の端部の周方向幅が前記ハブ側の端部の周方向幅よりも大きく設定されることを第7の特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の特徴によれば、スポーク毎にスポーク側中空部に通じる第1の開口部がそれぞれ設けられるので、砂中子の排砂性を高めることができ、しかも第1の開口部は、ハブおよびリムの周方向で近接して対をなす第1および第2のスポークの相互に対向する面の長手方向の一部に設けられるので、第1の開口部を外部から視認し難くして意匠性を高めることができるとともに軽量化を図ることも可能である。
【0014】
また本発明の第2および第4の特徴によれば、ハブの外周面に第2の開口部が設けられ、第2の開口部がハブ側中空部に通じているので砂中子の排砂性をより高めることができる。しかも第2の開口部は対をなす第1および第2のスポーク間に配置されるので、第2の開口部を外部から見え難くして視認性を高めることができる。
【0015】
本発明の第3の特徴によれば、スポーク側中空部に通じるとともに第1の開口部よりもリム側に配置される第3の開口部が、第1および第2のスポークの相互に対向する面に設けられるので、外部から視認し難く、意匠性を損なうことがないようにした第3の開口部によって、ホイールを塗装した際の塗料の排出性を高めることができるとともにスポーク側中空部に浸入した雨水の排水性が向上する。
【0016】
本発明の第5の特徴によれば、第1の開口部を各スポークの長手方向に沿って長くすることで、第1の開口部の開口面積を大きくして排砂性をより高めることができるとともに、より軽量化を図ることができる。
【0017】
本発明の第6の特徴によれば、第1および第2の開口部が連なって形成されるので、第1および第2の開口部を中子の連続した部分で形成することができるようにして、中子の強度を高めることができる。
【0018】
本発明の第7の特徴によれば、挿通孔の軸線に沿う方向での各スポークのハブ側の端部の幅がリム側の端部の幅よりも大きく、リムおよびハブの周方向で各スポークのリム側の端部の幅がハブ側の端部の幅よりも大きいので、ホイールの剛性バランスが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態を示すものであって自動二輪車の前輪の側面図である。
図2図1の2−2線断面図である。
図3】タイヤ、ブレーキディスクおよびパルサリングを取り外した状態でのホイールの側面図である。
図4図3の4−4線断面図である。
図5図3の5−5線断面図である。
図6図3の6−6線断面図である。
図7図3の7−7線断面図である。
図8図3の8−8線断面図である。
図9図3の9−9線断面図である。
図10】第2の実施の形態を示すものであって図2に対応した断面図である。
図11図10の11−11線に沿う断面図である。
図12】第3の実施の形態を示すものであって自動二輪車の後輪のホイールの一部切欠き側面図である。
図13図12の13ー13線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら説明する。
【0021】
本発明の第1の実施の形態について図1図9を参照しながら説明すると、先ず図1において、鞍乗り型車両である自動二輪車の前輪WFは、ホイール15Aにタイヤ16が装着されて成り、前記ホイール15Aは、車軸17が挿通される挿通孔18を有するハブ19と、前記タイヤ16が装着されるようにして前記ハブ19を同軸に囲繞するリム20と、前記ハブ19および前記リム20間を連結する複数個たとえば5個ずつの第1および第2のスポーク21A,21Bとを一体に有し、高圧鋳造によって成形される。
【0022】
前記ハブ19は、前記挿通孔18を形成する内筒部19aと、該内筒部19aを囲繞する外筒部19bと、前記内筒部19aおよび前記外筒部19bの一端部間を連結する第1の端壁部19cと、前記内筒部19aおよび前記外筒部19bの他端部間を連結する第2の端壁部19dとを有し、前記内筒部19a、前記外筒部19b、第1の端壁部19cおよび第2の端壁部19dで囲まれる環状のハブ側中空部22が、前記挿通孔18を囲繞するようにして前記ハブ19に形成される。
【0023】
第1および第2の端壁部19c,19dには、前輪WFを制動するための左右一対のディスクブレーキの一部を構成するブレーキディスク23,24が複数ずつのボルト25,26でそれぞれ締結される。また第1の端壁部19cには、前輪WFの車輪速を得るためのパルサリング27が前記ブレーキディスク23の外側に配置されるようにして複数のボルト28で締結される。
【0024】
図3および図4を併せて参照して、5個の第1のスポーク21Aは、前記ハブ19および前記リム20の周方向に等間隔をあけて前記ハブ19の外筒部19bおよび前記リム20間に設けられ、第1のスポーク21Aと同一個数である5個の第2のスポーク21Bは、前記ハブ19および前記リム20の周方向で第1のスポーク21A相互の間隔d1よりも小さな間隔d2を第1のスポーク21Aとの間にあけつつ、第1のスポーク21Aに対をなして近接するようにして、前記ハブ19の前記外筒部19bおよび前記リム20間に設けられる。
【0025】
前記挿通孔18の軸線に沿う方向での第1および第2のスポーク21A,21Bの前記ハブ19側の端部の軸方向幅L1は、前記リム20側の端部の軸方向幅L2よりも大きく設定され、また前記リム20および前記ハブ19の周方向で、第1および第2のスポーク21A,21Bの前記リム20側の端部の周方向幅L3は、前記ハブ19側の端部の周方向幅L4よりも大きく設定される。
【0026】
図5図9を併せて参照して、第1および第2のスポーク21A,21Bの少なくとも前記ハブ19側の部分には前記ハブ側中空部22に通じるスポーク側中空部30が形成されるものであり、この実施の形態では、第1および第2のスポーク21A,21Bのほぼ全長にわたるスポーク側中空部30が前記ハブ側中空部22に通じるようにして第1および第2のスポーク21A,21Bに形成される。
【0027】
対をなす第1および第2のスポーク21A,21Bの相互に対向する面は、各スポーク21A,21Bの前記ハブ19から前記リム20に至る長手方向の全長に亘って形成されており、これらの面の長手方向の一部には、前記スポーク側中空部30に通じる第1の開口部31Aがそれぞれ設けられる。また対をなす第1および第2のスポーク21A,21B間で前記ハブ19の外筒部19bの外周面には、前記ハブ側中空部22に通じる第2の開口部32Aが設けられる。
【0028】
しかも第1の開口部31Aは第1および第2のスポーク21A,21Bの長手方向に沿って長く形成され、第1および第2の開口部31A,32Aは相互に連なって形成される。
【0029】
さらに第1の開口部31Aよりも前記リム20側で第1および第2のスポーク21A,21Bには、円形である第3の開口部33がそれぞれ設けられる。この第3の開口部33は、前記スポーク側中空部30を形成するための中子の前記リム20側の端部を支持する幅木によって形成されるものであるが、この第3の開口部33もスポーク側中空部30に通じるようにして第1および第2のスポーク21A,21Bの相互に対向する面に開口する。
【0030】
次にこの第1の実施の形態の作用について説明すると、前輪WFのホイール15Aにおいて、複数個の第1のスポーク21Aがハブ19およびリム20の周方向に等間隔をあけて前記ハブ19および前記リム20間に設けられ、第1のスポーク21Aと同一個数である複数個の第2のスポーク21Bが、前記ハブ19および前記リム20の周方向で第1のスポーク21A相互の間隔d1よりも小さな間隔d2を第1のスポーク21Aとの間にあけつつ、第1のスポーク21Aに対をなして近接するようにして、前記ハブ19および前記リム20間に設けられ、第1および第2のスポーク21A,21Bに、それらのスポーク21A,21Bにそれぞれ形成されるスポーク側中空部30に通じる第1の開口部31Aがそれぞれ設けられるので、スポーク21A,21B毎にスポーク側中空部30に通じる第1の開口部31Aがそれぞれ設けられることによって砂中子の排砂性を高めることができるとともに軽量化を図ることができる。しかも第1の開口部31Aは、ハブ19およびリム20の周方向で近接して対をなす第1および第2のスポーク21A,21Bの相互に対向する面に設けられるので、第1の開口部31Aを外部から視認し難くして意匠性を高めることができる。
【0031】
また前記ハブ19の外周面に、該ハブ19が有するハブ側中空部22に通じる第2の開口部32Aが設けられるので、砂中子の排砂性をより高めることができる。しかも第2の開口部32Aは対をなす第1および第2のスポーク21A,21B間に配置されるので、第2の開口部32Aを外部から見え難くして視認性を高めることができる。
【0032】
また第1の開口部31Aが第1および第2のスポーク21A,21Bの長手方向に沿って長く形成されるので、第1の開口部31Aの開口面積を大きくして排砂性をより高めることができるとともに、より軽量化を図ることができる。
【0033】
また第1および第2の開口部31A,32Aが連なって形成されるので、第1および第2の開口部31A,32Aを中子の連続した部分で形成することができるようにして、中子の強度を高めることができる。
【0034】
また挿通孔18の軸線に沿う方向での第1および第2のスポーク21A,21Bの前記ハブ19側の端部の軸方向幅L1が前記リム20側の端部の軸方向幅L2よりも大きく、前記リム20および前記ハブ19の周方向での第1および第2のスポーク21A,21Bの前記リム20側の端部の周方向幅L3が前記ハブ19側の端部の周方向幅l4よりも大きいので、ホイール15Aの剛性バランスが向上する。
【0035】
さらに対をなす第1および第2のスポーク21A,21Bの相互に対向する面に、前記スポーク側中空部30に通じるとともに第1の開口部31Aよりも前記リム20側に配置される第3の開口部33がそれぞれ設けられるので、外部から視認し難く、意匠性を損なうことがないようにした第3の開口部33によって、ホイール15Aを塗装した際の塗料の排出性を高めることができるとともにスポーク側中空部30に浸入した雨水の排水性が向上する。
【0036】
本発明の第2の実施の形態について図10および図11を参照しながら説明すると、ホイール15Bにおいて、対をなす第1および第2のスポーク21A,21Bの相互に対向する面は、各スポーク21A,21Bの前記ハブ19から前記リム20に至る長手方向の全長に亘って形成されており、これらの面の長手方向の一部には、スポーク側中空部30に通じるとともに第1および第2のスポーク21A,21Bの長手方向に沿って長く形成される第1の開口部31Bがそれぞれ設けられる。また対をなす第1および第2のスポーク21A,21B間でハブ19の外筒部19bの外周面には、ハブ側中空部22に通じる第2の開口部32Bが、第1の開口部31Bとは独立して設けられる。
【0037】
また第1の開口部31Bよりもリム20側で第1および第2のスポーク21A,21Bの相互に対向する面には、スポーク側中空部30に通じるようにして第3の開口部33がそれぞれ設けられる。
【0038】
この第2の実施の形態では、第1の開口部31Bおよび第2の開口部32Bが相互に独立していることを除けば第1の実施の形態と同様の構成を有するようにホイール15Bが構成されており、第1および第2の開口部31B,32Bを中子の連続した部分で形成することによって中子の強度を高める効果は得られないものの、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0039】
本発明の第3の実施の形態について図12および図13を参照しながら説明すると、自動二輪車の後輪は、ホイール35にタイヤが装着されて成り、前記ホイール35は、車軸が挿通される挿通孔38を有するハブ39と、前記タイヤが装着されるようにして前記ハブ39を同軸に囲繞するリム40と、前記ハブ39および前記リム40間を連結する複数個たとえば5個ずつの第1および第2のスポーク41A,41Bとを一体に有して、基本的には第1の実施の形態における前記前輪WFのホイール15Aと同様の構造を有しており、高圧鋳造によって成形される。
【0040】
前記ハブ39には環状のハブ側中空部42が前記挿通孔38を囲繞するようにして形成される。5個の第1のスポーク41Aは、前記ハブ39および前記リム40の周方向に等間隔をあけて前記ハブ39および前記リム40間に設けられ、第1のスポーク41Aと同一個数である5個の第2のスポーク41Bは、前記ハブ39および前記リム40の周方向で第1のスポーク41A相互の間隔よりも小さな間隔を第1のスポーク41Aとの間にあけつつ、第1のスポーク41Aに対をなして近接するようにして、前記ハブ39および前記リム40間に設けられる。
【0041】
前記挿通孔38の軸線に沿う方向での第1および第2のスポーク41A,41Bの前記ハブ39側の端部の軸方向幅は、前記リム40側の端部の軸方向幅よりも大きく設定され、また前記リム40および前記ハブ39の周方向での第1および第2のスポーク41A,41Bの前記リム40側の端部の周方向幅は前記ハブ39側の端部の周方向幅よりも大きく設定される。
【0042】
第1および第2のスポーク41A,41Bのほぼ全長にわたるスポーク側中空部50が前記ハブ側中空部42に通じるようにして第1および第2のスポーク41A,41Bに形成される。また対をなす第1および第2のスポーク41A,41Bの相互に対向する面は、各スポーク41A,41Bの前記ハブ39から前記リム40に至る長手方向の全長に亘って形成されており、これらの面の長手方向の一部には、前記スポーク側中空部50に通じる第1の開口部51がそれぞれ設けられる。また対をなす第1および第2のスポーク41A,41B間で前記ハブ39の外周面には、前記ハブ側中空部42に通じる第2の開口部52が設けられる。
【0043】
しかも第1の開口部51が第1および第2のスポーク41A,41Bの長手方向に沿って長く形成されるとともに、第1および第2の開口部51,52が連なって形成される。さらに第1の開口部51よりも前記リム40側で第1および第2のスポーク41A,41Bの相互に対向する面には、円形である第3の開口部53がそれぞれ設けられる。
【0044】
この第3の実施の形態によっても上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0046】
たとえば本発明は、自動二輪車だけでなく自動三輪車を含む鞍乗り型車両用車輪のホイールとして広く適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
15A,15B,35・・・ホイール
17・・・車軸
18,38・・・挿通孔
19,39・・・ハブ
20,40・・・リム
21A,41A・・・第1のスポーク
21B,41B・・・第2のスポーク
22,42・・・ハブ側中空部
30,50・・・スポーク側中空部
31A,31B,51・・・第1の開口部
32A,32B,52・・・第2の開口部
L1,L2・・・軸方向幅
L3,L4・・・周方向幅

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13