【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)展示会名 NECディスプレイソリューションズ最新映像機器内覧会 (2)開催日 2013年5月23日〜24日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
壁面に固定する基盤と、表示装置を装着する支持枠と、前記基盤に一端が取り付けられていて前記支持枠に他端が取り付けられた伸縮可能なリンク機構とを備えた表示装置の取り付け具であって、
前記基盤と支持枠の一方に設けられていて他方に向けて延びるガイド部材と、前記基盤と支持枠の他方に設けられていて前記ガイド部材に沿って相対的に摺動可能な摺動部材とを備え、
前記ガイド部材及び前記摺動部材は前記リンク機構を収縮した引き戻し位置で前記表示装置と前記基盤との間に収納されており、
前記支持枠を引き出す際に前記表示装置の厚みに相当する距離を越えた位置で前記摺動部材と前記ガイド部材とが外れるようにしたことを特徴とする表示装置の取り付け具。
前記基盤と支持枠の一方に係合受け部が設けられ、他方に前記係合受け部に嵌合可能な係合部が取り付けられ、前記リンク機構が収縮した位置で前記係合部が係合受け部に嵌合するようにした請求項1に記載された表示装置の取り付け具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された壁掛け器具では、大型表示画面を構成する際、複数の表示装置を縦横方向に密着させて配列させると、表示装置をメンテナンス等のために取り外す際、端部の表示装置は側面に指を入れて取り外し可能であるが、中央の表示装置は側面に指がかからないので取り外しが困難であった。
【0006】
また、特許文献2に記載された平面表示装置取り付け金具では、平面表示装置をメンテナンス等のためにロックを解除して引き出す際、平面表示装置の重量をリンク機構で支持するためにリンク機構が下方に撓んでしまい下側の平面表示装置に接触して擦ってしまうおそれがあった。特に平面表示装置は大画面を構成するために液晶パネルの外枠(ベゼル)が薄く小さいので下側の平面表示装置を擦って損傷させるおそれがあった。また、外枠は薄く強度が小さいため平面表示装置の引き出し時に手で操作するのは好ましくなかった。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、表示装置を引き出す際に下側に他の表示装置があっても接触しないようにした表示装置の取り付け具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る表示装置の取り付け具は、壁面に固定する基盤と、表示装置を装着する支持枠と、基盤に一端が取り付けられていて支持枠に他端が取り付けられた伸縮可能なリンク機構とを備えた表示装置の取り付け具であって、基盤と支持枠の一方に設けられていて他方に向けて延びるガイド部材と、基盤と支持枠の他方に設けられていてガイド部材に沿って摺動可能な摺動部材とを備え、
前記ガイド部材及び前記摺動部材は前記リンク機構を収縮した引き戻し位置で前記表示装置と前記基盤との間に収納されており、支持枠を引き出す際に表示装置の厚みに相当する距離を越えた位置で摺動部材とガイド部材とが外れるようにしたことを特徴とする。
本発明による表示装置の取り付け具によれば、表示装置を基盤から離間する方向に引き出す際、表示装置を装着した支持枠は摺動部材とガイド部材が当接して相対的に摺動して支持されるため、表示装置の荷重によって降下して撓んだり垂れたりすることを防止でき、そのため、下側に他の表示装置が取り付けられていても上側の表示装置が下側の表示装置に接触したり衝突したりすることを防止できる。また、単一の表示装置であっても、支持枠が基盤から離れた直後に表示装置の荷重で降下することを摺動部材とガイド部材によって防止できるためスムーズに表示装置の引き出し操作を行える。また、引き出し位置の支持枠を基板に戻すときにも同様に摺動部材とガイド部材が相対的に摺動して支持される。
【0009】
また、基盤と支持枠の一方に係合受け部が設けられ、他方に係合受け部に嵌合可能な係合部が取り付けられ、リンク機構が収縮した位置で係合部が係合受け部に嵌合するようにしたことを特徴とする。
リンク機構が収縮して表示装置を装着した支持枠が基盤側に位置すると、基盤と支持枠の一方に設けた係合受け部に係合部が嵌合することで堅固に支持枠を支持できる。
【0010】
また、リンク機構に設けられた摺動軸がリンク機構の伸縮をガイドするガイド溝に沿って摺動可能であり、支持枠に連結された第一ワイヤーが基盤に設けられた第一プーリーを介して接続された第一操作部と、摺動軸に連結された第二ワイヤーが基盤に設けられた第二プーリーを介して接続される第二操作部とを備え、第一操作部を操作することで表示装置を引き出し位置から基盤側に移動させ、第二操作部を操作することで表示装置を基盤から引き出すようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、第二操作部を操作することで第二ワイヤーが作動して表示装置を装着した支持枠を基盤から離間する方向に引き出して表示装置のメンテナンス等を行うことができ、第一操作部を操作することで第一ワイヤーが作動して表示装置を装着した支持枠を基盤側に移動させることができる。そのため、複数の表示装置を縦横方向に配列して大表示画面を行う際、表示装置を直接手で触ることなく引き出してメンテナンス等を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による表示装置の取り付け具によれば、表示装置を縦横方向に複数配列した状態でメンテナンス等のために1つの表示装置を引き出す際、他の表示装置の厚さの距離を越えた後で摺動部材とガイド部材が外れるため、他の表示装置に衝突したり接触したりすることを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態による表示装置の取り付け具について
図1乃至
図7により説明する。
図1及び
図2において、表示装置1の金属製の取り付け具2として、壁面等にねじ等で固定する基盤3と、表示装置1を着脱可能に取り付ける支持枠体4と、基盤3に対して支持枠体4の引き出しと引き戻し動作を行うリンク機構5とを備えている。表示装置1は液晶表示パネルやプラズマディスプレイパネル等、適宜の平板状の表示装置1を採用できる。
この取り付け具2はリンク機構5の伸縮によって表示装置1を取り付けた支持枠体4が基盤3に接触する引き戻された位置(
図4参照)と離間する引き出された位置(
図5参照)とを選択的に取り得るようになっている。また、支持枠体4の裏面にはリンク機構5に取り付けられた支持基部6が装着され、支持基部6に対して支持枠体4の位置調整を可能としている。支持枠体4と支持基部6とで表示装置1を支持する支持枠を構成する。なお、本明細書において、支持枠体4を基盤3から引き出す方向を前部、前方といい、基盤3側に引き戻す方向を後部、後方というものとする。
【0014】
取り付け具2における基盤3は、
図2及び
図3に示すように、ボルト等によって壁面に固定されるベース部7と、ベース部7の両側面に取り付けられたラッチプレート8と、ラッチプレート8の内側に取り付けられた一対の後部フロントアングル9とを備えている。
ラッチプレート8は上下方向に延びる長穴にボルトを装着することでベース部7の側部に上下動可能に取り付けられ、ラッチプレート8とベース部7にはラッチプレート8を上方に付勢する弾性部材としてバネ11が連結されている。また、ラッチプレート8の表示装置1側の端部には上下方向に係合受け部として凹溝8aが例えば2つ形成され、凹溝8aの上部には傾斜ガイド部8bが形成され、凹溝8aの前側には山部8cが形成されている。また、後部フロントアングル9にはその長手方向に沿って直線状のガイド溝9aが形成されている。
【0015】
また、基盤3のベース部7には支持枠体4の方向(水平方向)に延びるガイド部材10が取り付けられ、ガイド部材10は表示装置1の厚みより長い寸法に直線状に設定され、先端部を下方に曲げている。支持枠体4には引き戻し位置でガイド部材10に載置されて、支持枠体4と表示装置1をリンク機構5と分担して支持する摺動部材として例えば摺動ローラ12が取り付けられている。
支持枠体4が基盤3に当接した引き戻し位置でガイド部材10と摺動ローラ12は表示装置1と基盤3の間に収納されている。
そして、支持枠体4が基盤3に当接した引き戻し位置から離間する方向に引き出すことで摺動ローラ12がガイド部材10上を摺動し、表示装置1の厚みを越えた位置でガイド部材10から外れるようになっている。特に表示装置1は数10kgの重量があるため、リンク機構5だけで支持させるとリンク機構5が撓んでしなるおそれがあるが、ガイド部材10と摺動ローラ12で重量の一部を支えることで表示装置1を装着した支持枠体4がリンク機構5の撓みで降下することを防止できる。
【0016】
また、支持枠体4は表示装置1の裏面にねじ止め固定し、更にねじ13が上部と一方の側部にそれぞれ形成されている。
図4、
図5において、支持枠体4の後部と支持基部6の側部とには一対のチルトブラケット14がねじなどでそれぞれ固定されている。各チルトブラケット14には複数、例えば水平方向に長穴がそれぞれ形成され、これらの長穴を通してねじで固定することで支持基部6に対して支持枠体4を相対的に位置調整可能としている。また、チルトブラケット14にもねじ13が取り付けられている。
【0017】
これらのねじ13は支持基部6に対する支持枠体4と表示装置1の位置を縦横及び前後方向に調整するためのものであり、ねじ13の頭部に設けられたハンドルを回転させることで支持基部6に対する支持枠体4と表示装置1の固定位置を調整できる。そのため、表示装置1の位置調整は工具を用いずに行え、しかも調整に用いるねじ13について他のねじ13と異なる色を付与することで容易に識別できる。
【0018】
支持基部6の後部には、支持枠体4を引き戻した位置でラッチプレート8に形成された凹溝8aに嵌合する係合部として複数、例えば2本の係合ピン16がそれぞれ形成されている。そして、一対のチルトブラケット14の内側には一対の前部フロントアングル15が支持枠体4の裏面に固定した支持基部6に固定され、その長手方向に沿って直線状のガイド溝15aが形成されている。
前部フロントアングル15と後部フロントアングル9には1組のリンク機構5が取り付けられている。リンク機構5はセンターリンク17とその両側に配設された一対のサイドリンク18とが略X字状に交差する位置で軸部19によって回動可能に支持されている。
【0019】
そして、センターリンク17の一方の端部は軸17aが一対の前部フロントアングル15に回転可能に支持され、他方の端部は摺動軸17bが後部フロントアングル9のガイド溝9aに昇降可能に支持されている。一対のサイドリンク18の一方の端部は軸18aが後部フロントアングル9に回転可能に支持され、他方の端部は摺動軸18bが前部フロントアングル15のガイド溝15aに昇降可能に支持されている
そのため、
図4及び
図5に示すように、支持枠体4の支持基部6が基盤3に当接した引き戻し位置ではセンターリンク17の摺動軸17bが後部フロントアングル9のガイド溝9aの下端に位置し、サイドリンク18の摺動軸18bが前部フロントアングル15のガイド溝15aの下端に位置している。
【0020】
また、
図5に示す支持枠体4及び支持基部6において、表示装置1の傾き調整基準T1、T2、T3が
図6(a)、(b)、(c)の拡大図に示されている。
図6(a)に示す傾き調整基準T1は支持枠体4に固定されたチルトブラケット14の上側に開口部20が形成され、開口部20の上下部には指標21が付与されている。また、開口部20内の支持基部6の所定位置にはケガキ線としてマーク22が付与されている。また、
図6(b)に示す傾き調整基準T2は、支持基部6の側部下側にケガキ線としてマーク23が付与され、チルトブラケット14の下部には略V字形状の指標24が形成されている。また、
図6(c)に示す傾き調整基準T3は、支持枠体4に示す折り返し板4bに対して、支持基部6に取り付けた調整枠体6aにねじ13を介して設けた略コの字状の対向部材43が対向して形成されている。支持枠体4の折り返し板4bに形成された溝からなる第一指標42に対向部材43の上片43aが対向し、対向部材43の下片43bの第二指標44に支持枠体4の折り返し板4bが対向している。この傾き調整基準T3は表示装置1の左右位置と上下位置を調整できる。
【0021】
そのため、支持枠体4を基盤3から引き出した位置において、上部と側部のねじ13を締めるまたは緩めることで支持基部6に対する支持枠体4及び表示装置1の位置を調整することができる。
なお、上述した傾き調整部T1,T2、T3は必ずしも指標21、24とマーク22、23、第一及び第二指標42、44を一致させる調整でなくてもよく、双方の指標21、24とマーク22、23、第一及び第二指標42、44を基準として表示装置1を装着した支持枠体4と支持基部6の位置を調整することができればよい。
【0022】
また、
図1〜
図3において、支持基部6には第一ワイヤー26の一端が連結され、この第一ワイヤー26はベース部7の上部に取り付けられた第一プーリー27を介して下方に延びて他端が例えばリング状の第一操作部28に接続されている。そのため、第一操作部28を下方に引くことでリンク機構5を収縮させて摺動軸17b、18bをガイド溝9a,15aに沿って降下させ、支持枠体4を引き戻し位置に移動させることができる。
また、リンク機構5のセンターリンク17のガイド溝9aに嵌合された摺動軸17bには第二ワイヤー30の一端が連結され、第二ワイヤー30はベース部7の上部に取り付けられた第二プーリー31を介して下方に延びて他端が例えばリング状の第二操作部32に接続されている。そのため、第二操作部32を下方に引くことで摺動軸17b、18bをガイド溝9a,15aに沿って上昇させ、リンク機構5を伸張させて支持枠体4を引き出し位置に移動させることができる。
【0023】
また、基盤3の上部には一端に植設された支軸34に固定部材35が回動可能に取り付けられており、この固定部材35の他端に設けた嵌合ピン35aは基盤3の上部に設けた穴に嵌合されている。そして、支持枠体4を引き出した状態で、支軸34を中心に固定部材35を約90度回転させて支持枠体4の上部に設けた穴4aに嵌合ピン35aを嵌合することで、支持枠体4を引き出し状態に保持できる。
【0024】
また、基盤3における両側のラッチプレート8の上部には表示装置1のケーブル(図示せず)をクランプするためのブラケット37が左右両側に突出して設けられている。同様に、支持枠体4の左右両側のチルトブラケット14の上部にも同様にブラケット38が左右両側に突出して設けられている。そのため、表示装置1に接続された電源ケーブルや信号ケーブル等を各ブラケット37,38に引っ掛けて係止することで、邪魔にならずに保持できる。
また、
図1〜
図3に示すように、一対のラッチプレート8の下部には鎖を介して操作バー40が取り付けられている。支持枠体4が基盤3に引き戻された固定位置において、操作バー40を下方に引っ張ることでラッチプレート8の凹溝8aがピン16から外れる。
【0025】
本実施形態による表示装置1の取り付け具2は上述の構成を備えており、次にその使用方法を
図7を中心に説明する。
図7(a)において、複数の表示装置1がそれぞれ取り付け具2に装着されて壁面に保持されており、複数の表示装置1を縦横方向に密着させて配列することによって大表示画面を構成して全体で1つの画像を表示できる。そして、各表示装置1を装着した支持枠体4は基盤3に当接させた引き戻した位置に保持されている。
【0026】
例えば上側の表示装置1をメンテナンスするために引き出そうとする場合、操作バー40を下すことで、ラッチプレート8の凹溝8aが係合ピン16から離脱し、降下するラッチプレート8の傾斜ガイド部8bに支持基部6に設けた係合ピン16が押されて凹溝8aの位置から係合ピン16と支持枠体4が前進する。そして、第二操作部32を引き下ろすことで第二ワイヤー30が引っ張られてリンク機構5のセンターリンク17に設けた摺動軸17bとサイドリンク18に設けた摺動軸18bが後部フロントアングル9のガイド溝9aと前部フロントアングル15のガイド溝15aに沿ってそれぞれ上昇する。
これによってリンク機構5はセンターリンク17とサイドリンク18が互いに接近する方向に軸部19回りに回動して水平方向に伸張し、表示装置1を装着した支持枠体4を前方に引き出す。そのため、操作バー40の操作で支持枠体4が前進することで、第二操作部32を引き下ろす力を軽減できる。
【0027】
そして、支持枠体4が基盤3側の引き戻し位置から前方に引き出され、支持枠体4に設けた摺動ローラ12が基盤3に設けたガイド部材10上を摺動することで、支持枠体4に装着された表示装置1はリンク機構5とガイド部材10で荷重を分担して支持される。そして、
図7(b)に示すように、上側の表示装置1が下側の表示装置1の厚みの距離を越えた位置で摺動ローラ12がガイド部材10を外れるため、表示装置1の荷重はリンク機構5だけで支持することになるため、リンク機構5が若干しなって表示装置1が下方に移動する。
このとき、上側の表示装置1は下側の表示装置1より前方に位置するために、下側の表示装置1に接触したりしない。
【0028】
その後、リンク機構5のセンターリンク17の摺動軸17bとサイドリンク18の摺動軸18bが後部フロントアングル9のガイド溝9aと前部フロントアングル15のガイド溝15aの各上端に当接する引き出し位置で停止し、支持枠体4はこの位置でリンク機構5によって片持ち支持される。この状態で、固定部材35を、支軸34を中心に基盤3から約90度回動させて支持枠体4の上まで移動させ、嵌合ピン35aを支持枠体4に形成した穴4aに嵌合させる。そして、表示装置1を支持枠体4から外して、或いは外すことなく修理や点検、表示装置1の位置調整などのメンテナンスを行える。
【0029】
次に、メンテナンス完了後、引き出し位置の表示装置1を支持枠体4に装着して引き戻し位置に戻すために、第一操作部28を引き下げる。すると、第一ワイヤー26が引っ張られて支持枠体4を基盤3側に移動させるため、リンク機構5が収縮作動する。リンク機構5のセンターリンク17とサイドリンク18の摺動軸17b、18bは後部フロントアングル9と前部フロントアングル15のガイド溝9a,15aに沿って上端から下端まで降下する。そして、支持枠体4の引き戻し移動において、途中からはリンク機構5がしなって支持枠体4の摺動ローラ12が若干降下した位置から基盤3に設けたガイド部材10の先端に乗り上げて所定高さで摺動するので、引き戻し工程においても表示装置1が下側の表示装置1に接触することを防止できる。
【0030】
そして、支持枠体4が基盤3の近傍に近づくと、係合ピン16が凹溝8aの山部8cの傾斜部を押すため、ラッチプレート8はバネ11の付勢力に抗して降下し、山部8cを乗り越える。しかも、係合ピン16は傾斜ガイド部8bによってガイドされ、ラッチプレート8がバネ11の付勢力で元の位置に復帰する動作に連動して凹溝8aに嵌合する。
こうして表示装置1を装着した支持枠体4が基盤3側の引き戻し位置に戻される。しかも、係合ピン16はバネ11の付勢力で凹溝8aによって上側に押されるため、正確に位置決め固定される。
【0031】
上述のように本実施形態による表示装置1の取り付け具2によれば、表示装置1を縦横方向に複数配列させた場合に中央の表示装置1や上側の表示装置1のメンテナンス等を行うために引き出す際、表示装置1を装着した支持枠体4が下側の表示装置1の厚みを越える位置までガイド部材10上を摺動するため、表示装置1がその荷重で下方に降下することを確実に防止でき、下側の表示装置1に上側の表示装置1が接触したりすることを防止できる。特に、複数の表示装置1で大表示画面を構成する場合、表示装置1の表示画面の外枠(ベゼル)が薄く形成されていても損傷するおそれがない。また、表示装置1を引き戻し位置に戻す場合も同様な効果を奏する。
【0032】
また、1つの表示装置1だけを取り付け具2に装着した場合でも、係合ピン16と凹溝8aによる係合を解除した直後に表示装置1が自身の荷重で下側に垂れることを防止できるので、リンク機構5に与える衝撃を抑制できる。
更に、係合ピン16を凹溝8aに嵌合させる際、支持枠体4及び支持基部6がガイド部材10によって所定高さに保持されて水平移動するため、支持基部6に設けた係合ピン16が確実に凹溝8aに嵌合できる。しかも、支持枠体4を引き戻し位置に戻した際、支持枠体4は係合ピン16が基盤3に固定したラッチプレート8の凹溝8aに嵌合することでバネ11の付勢力も相俟って所定位置に係止でき、ガタが生じない。
【0033】
また、表示装置1を装着した支持枠体4を引き出し位置に引き出したり引き戻し位置に戻したりする際、操作レバー40と第一操作部28と第二操作部32を引き下ろすだけで行えるので操作が容易である。
更に、従来はリンク機構5を基盤3の左右両側に2組設けた構成を採用していたため、引き出しと引き戻しを行う際、リンク機構が同期しないで独立して作動することで変形して表示装置1が隣に配設した他の表示装置1に接触する恐れがあるが、本実施形態では、リンク機構5を1組で高強度に構成したため、リンク機構5が変形することなく動きがスムーズであり精度が高く位置ズレを生じない。
【0034】
なお、本発明による表示装置の取り付け具は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換を行うことができる。
例えば、上述の実施形態では、基盤3側にガイド部材10を設け、支持枠体4側に摺動ローラ12を設けたが、これに代えて基盤3側に摺動ローラ12を設け、支持枠体4側にガイド部材10を設けてもよい。この場合には、ガイド部材10は摺動ローラ12の上側に乗って摺動する。同様に、基盤3側のラッチプレート8に凹溝8aを設け、支持枠体4側の支持基部6に係合ピン16を設ける構成に代えて、基盤3側のラッチプレート8に係合ピン16を設け、支持枠体4側の支持基部6側に凹溝8aを設けてもよい。