【実施例】
【0041】
次に、本発明について実施例により具体的に説明するが、本発明は、本実施例に限定されるものではない。なお、本実施例では、土材料についてJIS A 1204:2000にしたがって粒度試験を行い、粒径加積曲線を作成した。この粒度試験では、ふるいの呼び寸法が75mm、53mm、37.5mm、26.5mm、19mm、9.5mm、4.75mm、2mm、0.85mm、0.425mm、0.25mm、0.106mm、0.075mmである試験用鋼製ふるいを用いた。
【0042】
[実施例1]
実施例1は、対象とする元の土材料が比較的均等係数が大きいが、曲率係数が小さい砂質土の場合である。
図3に、実施例1の元の土材料について行った粒度試験から得た粒径加積曲線を示し、
図4に、実施例1の元の材料の各粒径について通過質量百分率のデータを示す。
図3、
図4から均等係数Uc、および、曲率係数Uc'を求めると、Uc=6.29、Uc'=0.73であり、実施例1の元の土材料は式(1)を満足せず、粒度のよい土でなく、締まりやすい土ではないと判断される。
【0043】
実施例1の元の材料について
図3、
図4から中央粒径D
50を求めると、0.31mmであり、粒径0.25mmが中央粒径D
50よりも小さく、中央粒径D
50に最も近く、全体に対する質量割合で23%を占めるため、除去すべき粒径の範囲を0.25mmとし、呼び寸法が0.425mm、および、0.106mmのふるいを用いて、ふるい分けをし、大きい寸法のふるい(0.425mm)を通過し、小さい寸法のふるい(0.106mm)に残った土を除去することで方法(i)による土材料を得た。この方法(i)による土材料について粒度試験を行い、その結果を
図3、
図4に示す。
図3、
図4から均等係数Uc=6.11、曲率係数Uc'=1.58が得られ、式(1)を満足し、元の土材料を、粒度のよい土、締まりやすい土に改良することができた。
【0044】
次に、上記元の土材料に上記除去した土を全体に対する質量割合で35%になるように加えて混合することで方法(ii)による土材料を得た。この方法(ii)による土材料について粒度試験を行い、その結果を同じく
図3、
図4に示す。
図3、
図4から均等係数Uc=4.57、曲率係数Uc'=1.01が得られ、式(1)を満足し、元の土材料を、粒度のよい土、締まりやすい土に改良することができた。
【0045】
[実施例2]
実施例2は、対象とする元の土材料が均等係数が小さく、単一粒径に近い場合である。
図5に実施例2の元の材料、方法(i)による土材料、および、方法(ii)による土材料についての粒度試験による粒径加積曲線を示す。
図6に、粒度試験における各粒径について通過質量百分率のデータを示す。
図5、
図6から元の土材料は、均等係数Uc=1.92、曲率係数Uc'=0.85であり、式(1)を満足せず、粒度のよい土でなく、締まりやすい土ではない。
【0046】
実施例2の元の土材料は、中央粒径D
50が0.41mmであり、粒径0.25mmおよび粒径0.106mmの各成分の和が中央粒径D
50よりも小さく全体に対する質量割合で11%を占めるため、除去すべき粒径の範囲を0.106mm〜0.25mmとし、ふるい目の呼び寸法が0.425mm、および、0.075mmのふるいを用いてふるい分けをし、大きい寸法のふるい(0.425mm)を通過し、小さいふるい目のふるい(0.075mm)に残った土を除去することで方法(i)による土材料を得た。この方法(i)による土材料は、
図5,
図6から均等係数Uc=3.33、曲率係数Uc'=1.63であり、式(1)を満足し、元の土材料を、粒度のよい土、締まりやすい土に改良することができた。
【0047】
次に、上記元の土材料に上記除去した土を全体に対する質量割合で35%になるように加えて混合することで方法(ii)による土材料を得た。この方法(ii)による土材料は、
図5,
図6から均等係数Uc=3.08、曲率係数Uc'=1.02が得られ、式(1)を満足し、元の土材料を、粒度のよい土、締まりやすい土に改良することができた。
【0048】
[比較例1、2]
比較例1,2は、実施例1の元の材料を対象にした方法(i)に対し設定する粒径範囲を質量割合で40%、5%としたものである。比較例1として、実施例1の元の土材料について中央粒径D
50(0.31mm)よりも小さく、中央粒径D
50に最も近く、全体に対する質量割合で40%を占める粒径の範囲を設定し、この範囲の粒径成分を除去した。すなわち、ふるい(0.425mm)を通過し、ふるい(0.106mm)に残った土、および、ふるい(0.075mm)に残った土の一部を全体に対する質量割合で40%を占めるように除去した。
【0049】
比較例2として、実施例1の元の土材料についてふるい(0.106mm)に残った土の一部を全体に対する質量割合で5%を占めるように除去した。
【0050】
図7に、比較例1(40%除去)、比較例2(5%除去)についての粒度試験による粒径加積曲線を示す。実施例1の方法(i)による結果もあわせて示す。
図8に、比較例1,2の粒度試験における各粒径について通過質量百分率のデータを示す。
図7,
図8から比較例1の土材料(40%除去)は、均等係数Uc=2.32、曲率係数Uc'=0.92であり、式(1)を満足せず、粒度のよい土でなく、締まりやすい土ではない。同様に、比較例2の土材料(5%除去)は、均等係数Uc=6.43、曲率係数Uc'=0.71であり、式(1)を満足せず、粒度のよい土でなく、締まりやすい土ではない。
【0051】
[比較例3]
比較例3は、実施例2の元の材料を対象にした方法(i)に対し設定する粒径範囲を質量割合で5%としたものである。比較例3として、実施例2の元の土材料(中央粒径D
50=0.41mm)についてふるい(0.425mm)を通過し、ふるい(0.25mm)に残った土の一部を全体に対する質量割合で5%を占めるように除去した。
【0052】
図9に、比較例3(5%除去)についての粒度試験による粒径加積曲線を示す。実施例2の方法(i)による結果もあわせて示す。
図10に、比較例3の粒度試験における各粒径について通過質量百分率のデータを示す。
図9,
図10から比較例3の土材料(5%除去)は、均等係数Uc=1.34、曲率係数Uc'=0.46であり、式(1)を満足せず、粒度のよい土でなく、締まりやすい土ではない。
【0053】
[比較例4,5]
比較例4,5は、実施例1の元の材料を対象にした方法(ii)に対し除去した土を質量割合で20%、50%混合したものである。比較例4,5として、実施例1の元の土材料に除去した土を全体に対する質量割合で20%になるように加えて混合した土材料、および、同様にして50%になるようにして土材料を得た。
図11に、比較例4(20%含有)、比較例5(50%含有)についての粒度試験による粒径加積曲線を示す。実施例1の方法(ii)による結果もあわせて示す。
図12に、比較例4,5の粒度試験における各粒径について通過質量百分率のデータを示す。
図11,
図12から比較例4の土材料(20%含有)は、均等係数Uc=6.14、曲率係数Uc'=0.75であり、式(1)を満足せず、粒度のよい土でなく、締まりやすい土ではない。同様に、比較例5の土材料(50%含有)は、均等係数Uc=2.56、曲率係数Uc'=0.95であり、式(1)を満足せず、粒度のよい土でなく、締まりやすい土ではない。
【0054】
[比較例6,7]
比較例6,7は、実施例2の元の材料を対象にした方法(ii)に対し除去した土を質量割合で20%、50%混合したものである。比較例6,7として、実施例2の元の土材料に除去した土を全体に対する質量割合で20%になるように加えて混合した土材料、および、同様にして50%になるようにして土材料を得た。
図13に、比較例6(20%含有)、比較例7(50%含有)についての粒度試験による粒径加積曲線を示す。実施例2の方法(ii)による結果もあわせて示す。
図14に、比較例6,7の粒度試験における各粒径について通過質量百分率のデータを示す。
図13,
図14から比較例6の土材料(20%含有)は、均等係数Uc=2.59、曲率係数Uc'=0.97であり、式(1)を満足せず、粒度のよい土でなく、締まりやすい土ではない。同様に、比較例7の土材料(50%含有)は、均等係数Uc=2.67、曲率係数Uc'=0.84であり、式(1)を満足せず、粒度のよい土でなく、締まりやすい土ではない。
【0055】
以上のように本発明を実施するための形態および実施例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。たとえば、本発明が適用可能な材料は、砂質土に限るものでなく、礫(レキ)成分でも適用可能であることはもちろんである。
【0056】
また、対象とする土材料から除去すべき粒径の範囲を設定するときの粒径とは、粒度試験において用いられるふるいの呼び寸法に対応する粒径であってよいが、これに限定されるものではなく、たとえば、別に設定した呼び寸法のシリーズに対応する粒径であってもよい。
【0057】
また、設定した粒径の範囲内の成分を除去するときに用いるふるいの呼び寸法は、上記の粒度試験時に用いるものに限定されず、たとえば、別に設定した呼び寸法のシリーズであってもよい。
【0058】
また、土材料が粒度のよい土(締まりやすい土)か否かを判断する基準として、日本統一土質分類法で提示された式(1)を採用したが、本発明は、これに限定されず、別の判断基準であってもよい。