(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
層状の立体自由形状製作の方法であって、該方法は、少なくとも少数の層の各々に対し、複数のモデル材を吐出して、コア領域および前記コア領域を少なくとも部分的に包囲するエンベロープ領域を形成し、前記複数のモデル材を硬化させて、それによって複数の硬化された層ならびにコア領域を構成する積層コアおよびエンベロープ領域を構成する積層シェルから構成される物体を製作することを含み、前記コア領域および前記エンベロープ領域は、異なるモデル材から作られるかまたはモデル材の異なる組み合わせから作られ、前記コア領域を特徴付ける熱変形温度(HDT)より、前記エンベロープ領域を特徴付ける熱変形温度(HDT)の方が高く、前記エンベロープ領域を特徴付ける熱変形温度(HDT)は、60℃より高い、方法。
前記複数のモデル材を吐出して、前記層と平行に少なくとも1つのシェル部を形成するステップをさらに含み、前記少なくとも1つのシェル部を特徴付ける材料特性は、前記コアを特徴付ける材料特性とは異なる、請求項1または2に記載の方法。
前記層中の少なくとも2つのエンベロープ領域について、前記少なくとも2つのエンベロープ領域の外側エンベロープ領域の硬化したときのアイゾッド衝撃抵抗(IR)値は、前記少なくとも2つのエンベロープ領域の内側エンベロープ領域の硬化したときのアイゾッド衝撃抵抗(IR)値より高い、請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
物体の表面に対して垂直な方向での前記シェルのうちの少なくとも1つのシェルの厚さは、約0.085mm、約0.25mm、および約0.43mmからなる群から選択される、請求項4〜9のいずれかに記載の方法。
立体自由形状製作方法によって製作される積層重合体構造であって、前記積層重合体構造は、積層コアの少なくとも1つの層が積層シェルの少なくとも1つの層と同一平面で係合するように、一つ以上の積層シェルによって少なくとも部分的に包囲された積層コアを含み、前記積層コアを特徴付ける熱変形温度(HDT)より、前記積層シェルのうちの少なくとも1つを特徴付ける熱変形温度(HDT)の方が高く、前記積層シェルのうちの少なくとも1つを特徴付ける熱変形温度(HDT)は、60℃より高い、積層重合体構造。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明は、その一部の実施形態では、立体自由形状製作(SFF)に関し、さらに詳しくはシェル物体のSFFに関するが、それに限定されない。
【0066】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示されるか、および/または図面および/または実施例において例示される構成要素および/または方法の組み立ておよび構成の細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0067】
本発明の実施形態の方法およびシステムは、物体の形状に対応する構成パターン状に複数の層を形成することによって、三次元物体を層状に製作する。
【0068】
本書で使用する場合、用語「物体」は物体全体またはその一部分を指す。
【0069】
各層は、二次元表面を走査してそれをパターン化する立体自由形状製作装置によって形成される。走査中に、装置は二次元層または表面上の複数の目標位置に移動し、各目標位置または目標位置群に対し、目標位置または目標位置群を構築材で埋めるべきか否か、かつどの種類の構築材をそこに送達すべきかを決定する。決定は、表面のコンピュータ画像に従って行なわれる。
【0070】
本発明の一部の実施形態では、SFFは三次元印刷を含む。これらの実施形態では、構築材は、支持構造上に構築材を層状に堆積するように、1組のノズルを有する吐出ヘッドから吐出される。こうしてSFF装置は、埋めるべき目標位置に構築材を吐出し、他の目標位置を空所のまま残す。装置は典型的には複数の吐出ヘッドを含み、各々の吐出ヘッドは異なる構築材を吐出するように構成することができる。したがって、異なる目標位置を異なる構築材で埋めることができる。構築材の種類は、主に2つのカテゴリすなわちモデル材およびサポート材に分類することができる。サポート材は、製作工程中に物体または物体部分を支持するために、かつ/または他の目的で、例えば中空または多孔質物体を提供するために、支持マトリクスまたは支持構造として役立つ。支持構造はさらに、例えばさらなる支持強度のために、モデル材要素を含むことがある。
【0071】
モデル材は一般的に、それだけで、すなわちいずれかの他の物質と混合または組み合わせる必要なく、三次元物体を形成することのできる、立体自由形状製作用に調製された組成物である。
【0072】
最終的三次元物体は、モデル材、またはモデル材とサポート材との組合せ、またはそれらの変形(例えば硬化後)から形成される。これらの作業は、立体自由形状製作分野の技術者にはよく知られている。
【0073】
本発明の種々の例示的実施形態では、物体は、吐出される、2つ以上の異なるモデル材を、各々SFFの異なる吐出ヘッドから吐出することによって製作される。材料は任意選択的にかつ好ましくは、印刷ヘッドの同一パス中に層状に堆積される。層内の材料および材料の組合せは、物体の所望の特性に応じて選択される。
【0074】
本発明の一部の実施形態に係る、物体12のSFFに適したシステム10の代表的非限定実施例を
図1A〜Bに示す。システム10は、複数の吐出ヘッド21を有する立体自由形状製作装置14を含む。各ヘッドは、
図1Bに示すように、構築材24を吐出する1つ以上のノズル22の列を含むことが好ましい。
【0075】
装置14は三次元印刷装置であることが好ましいが、必須ではなく、三次元印刷装置の場合、吐出ヘッド21は印刷ヘッドであり、構築材はインクジェット技術を介して吐出される。用途によっては、立体自由形状製作装置が三次元印刷技術を使用する必要がない場合があるので、これは必ずしも当てはまらない。本発明の様々な例示的実施形態に従って構想される立体自由形状製作装置の代表的実施例は、結合剤噴射粉体ベース装置および溶融堆積モデリング装置、溶融材料堆積装置を含むが、それらに限定されない。
【0076】
各吐出ヘッドは任意選択的にかつ好ましくは、任意選択的に温度制御ユニット(例えば温度センサおよび/または加熱装置)ならびに材料レベルセンサを含むことのある構築材リザーバを介して供給される。構築材を吐出するために、吐出ヘッドノズルを介して材料の液滴を選択的に堆積させるべく、例えば圧電インクジェット印刷技術の場合と同様に、吐出ヘッドに電圧信号が印加される。各ヘッドの吐出率は、ノズルの個数、ノズルの種類、および印加電圧信号レート(周波数)によって異なる。そのような吐出ヘッドは、立体自由形状製作分野の技術者には公知である。
【0077】
吐出ノズルまたはノズル列の総数は、吐出ノズルの半数がサポート材を吐出するように指定され、かつ吐出ノズルの半数がモデル材を吐出するように指定されるように、すなわちモデル材を噴射するノズルの個数がサポート材を噴射するノズルの個数と同一となるように、選択することが好ましいが、必須ではない。
図1Aの代表的実施例には、4つの吐出ヘッド21a、21b、21c、および21dが示される。ヘッド21a、21b、21c、および21dの各々がノズル列を有する。この実施例では、ヘッド21aおよび21bをモデル材用に指定することができ、ヘッド21cおよび21dをサポート材用に指定することができる。こうして、ヘッド21aは第1モデル材を吐出することができ、ヘッド21bは第2モデル材を吐出することができ、ヘッド21cおよび21dはどちらもサポート材を吐出することができる。代替的実施形態では、例えばヘッド21cおよび21dを結合して、サポート材を堆積するための2つのノズル列を有する単一ヘッドにすることができる。
【0078】
しかしながら、それは本発明の範囲を制限することを意図するものではなく、モデル材堆積ヘッド(モデリングヘッド)の個数とサポート材堆積ヘッド(サポートヘッド)の個数とは異なってもよいことを理解されたい。一般的に、モデリングヘッドの個数、サポートヘッドの個数、およびそれぞれの各ヘッドまたはヘッド列におけるノズルの個数は、サポート材の最大吐出率とモデル材の最大吐出率との間の予め定められた比率αを達成するように選択される。予め定められた比率αの値は、製作される各層でモデル材の高さとサポート材の高さが等しくなることを確実にするように選択することが好ましい。αの典型値は約0.6から約1.5である。
【0079】
本書で使用する場合、用語「約」とは±10%を意味する。
【0080】
例えば、α=1の場合、全てのモデリングヘッドおよびサポートヘッドが動作するときに、サポート材の総吐出率はモデル材の総吐出率と一般的に同一である。
【0081】
好適な実施形態では、各々がp個のノズルの列をm個有するM個のモデリングヘッド、および各々がq個のノズルの列をs個有するS個のサポートヘッドが存在するので、M×m×p=S×s×qとなる。M×m個のモデリング列およびS×s個のサポート列は各々、別個の物理ユニットとして製造することができ、それらを列群に組み立てかつ分解することができる。この実施形態では、各々のそのような列は任意選択的にかつ好ましくはそれ自体の温度制御ユニットおよび材料レベルセンサを備え、その動作のために個々に制御された電圧を受け取る。
【0082】
装置14はさらに、1つ以上の放射源26を備えることができ、それは、使用するモデル材に応じて、例えば紫外線もしくは可視光もしくは赤外線ランプ、または他の電磁放射源、または電子ビーム源とすることができる。放射源26は、モデル材を硬化または凝固させるのに役立つ。
【0083】
吐出ヘッド21および放射源26は、作業面として働くトレイ30上で往復移動するように動作することが好ましいフレームまたはブロック28内に装着することが好ましい。一般的な慣例では、トレイ30はX‐Y面内に配置される。トレイ30は好ましくは、垂直に(Z方向に沿って)、典型的には下向きに移動するように構成される。種々の例示的実施形態では、装置14はさらに、1つ以上のレベリング装置32、例えばローラ34を備える。レベリング装置32は、新たに形成された層の厚さを、その上に後続層が形成される前に、矯正、水平化、および/または確立するように働く。レベリング装置32は、レベリング中に発生した過剰な材料を回収するための廃棄物回収装置36を含むことが好ましい。廃棄物回収装置36は、材料を廃棄物タンクまたは廃棄物カートリッジに送達する任意の機構を含むことができる。
【0084】
使用中に、吐出ヘッド21は走査方向(本書ではX方向という)に移動し、トレイ30上を吐出ヘッドが通過する過程で、構築材を予め定められた配置構成に選択的に吐出する。構築材は典型的に、1種類以上のサポート材および1種類以上のモデル材を含む。ヘッド21の通過に続いて、放射源26によるモデル材の硬化が行なわれる。ヘッド21が逆方向に通過して、ちょうど堆積されたばかりの層の起点に戻るときに、予め定められた配置構成に応じて、構築材の追加吐出を行なうことができる。ヘッド21の順方向および/または逆方向の通過中に、このようにして形成された層は、順方向および/または逆方向の移動中のヘッド21の経路を追従することが好ましいレベリング装置32によって、矯正することができる。ひとたびヘッド21がX方向に沿ってそれらの起点に戻ると、ヘッドは割出し方向(本書ではY方向という)に沿って別の位置に移動し、X方向に沿った往復移動によって同じ層を形成し続けることができる。代替的に、ヘッド21は順方向移動と逆方向移動との間に、あるいは2回以上の順方向‐逆方向移動の後に、Y方向に移動することができる。単一の層を完成するためにヘッド21によって実行される一連の走査を、本書では単一走査サイクルという。
【0085】
ひとたび層が完成すると、その後に印刷すべき層の所望の厚さに応じて、トレイ30はZ方向に予め定められたZレベルまで下降する。該手順が繰り返されて、三次元物体12が層状に形成される。
【0086】
別の実施形態では、トレイ30は、層内で、ヘッド21の順方向および逆方向通過の間に、Z方向に変位することができる。そのようなZ変位は、レベリング装置を一方向に表面と接触させかつ他の方向の接触を防止するために実行される。
【0087】
システム10はさらに、構築材容器またはカートリッジを含みかつ複数の構築材を製作装置14に供給する構築材供給装置50を備える。制御ユニット52は、システム10の動作モードに基づいて、製作装置14および供給装置50を制御する。制御ユニット52は、例えば標準テッセレーション言語(STL)またはステレオリソグラフィ輪郭線(SLC)フォーマットの形のコンピュータ・オブジェクト・データに基づいて、製作命令に関係するデジタルデータを送信するデータプロセッサ54と通信することが好ましい。典型的には、制御ユニット52は、各吐出ヘッドまたはノズル列に印加される電圧、およびそれぞれの印刷ヘッド内の構築材の温度を制御する。
【0088】
後でさらに詳述する通り、本発明の実施形態は、異なる吐出ヘッドから異なる材料を吐出することによる物体の製作を構想している。本発明の実施形態は、とりわけ、所与の数の材料から材料を選択し、かつ選択された材料およびそれらの特性の所望の組合せを定義する能力をもたらす。本発明の実施形態では、層内の材料の堆積後の空間的結合を可能にし、それによってそれぞれの位置(単数または複数)における複合材料を形成するために、異なる材料による異なる三次元空間位置の占有を達成するか、あるいは2つ以上の異なる材料による略同一の三次元位置もしくは隣接三次元位置の占有を達成するように、層内の各材料の堆積の空間位置を画定する。
【0089】
モデル材の任意の堆積後の結合または混合が構想される。例えば特定の材料が吐出された後、材料は元の特性を維持する。しかし、それが別のモデル材または同一位置または近接位置に吐出される他の吐出材料と同時に吐出された場合、吐出された材料とは異なる特性(単数または複数)を有する複合材料が形成される。
【0090】
こうして本発明の実施形態は、広範囲の材料の組合せの堆積、および物体の各部分を特徴付けるために望ましい特性に応じて、物体の異なる部分を複数の異なる材料の組合せから構成することのできる物体の製作を可能にする。
【0091】
システム10のようなSFFシステムの原理および動作に関するさらなる詳細は米国特許出願公開第20100191360号に見られ、その内容を参照によって本書に援用する。
【0092】
SFFは幅広く実践されており、世界中で任意形状の構造を製作するための常法となってはいるが、本発明者らはそれに特定の作動上の制限があることに気付いた。例えば、本発明者らは、現在利用可能なモデル材から得られる熱機械的特性の範囲は通常、特に、UV重合に関係するモデル材の場合、および低分子量原料(例えばモノマーおよびオリゴマー)から形成されるモデル材であって、特に原料がラジカル機構、例えばアクリル系官能基の付加反応によって重合された場合、不充分であることに気付いた。
【0093】
例えばイスラエル国のObjet Geometries Ltd.によって市販されているPolyJet(商標)システムでは、室温より高い、例えば約50℃以上の熱変形温度(HDT)を持つ剛性材料は、UV照射により架橋重合体を生成する製品を調製することによって得られる。比較として、熱可塑性高分子では、剛性は結晶領域、高分子鎖絡み合い、または高平均分子量重合体によって達成することができ、これは架橋結合を必要としない。原則的に、UV重合物では、そのような絡み合いは高分子量のオリゴマー(例えば50000gr/mol超)を使用したときに発生させることができるが、そのようなオリゴマーの比較的高い粘度は、インクジェットをベースとする印刷またはステレオリソグラフィで実現することを困難にするので、そうした絡み合いはあまり好ましくない。
【0094】
低分子量、例えば5000gr/mol未満を有するモデル材を使用すると、重合体ガラス転移温度(T
g)およびHDTに相関する機械的特性を有する非晶質構造を生じる傾向がある。次に、T
gの値は、とりわけ重合体の骨格柔軟性および架橋密度に依存し、あるいは、さらに詳しくは、原料の1分子当たりの反応基の平均個数に依存する。非晶質材料のT
gが高くなると、材料の脆性も増大し、したがって材料の応力散逸の能力も低減することが、本発明者らによって明らかになった。
【0095】
本発明者らによって実行された実験で、モデル材の衝撃抵抗とそのHDTとの間の負の相関が明らかになった(下述する実施例の節の
図5を参照されたい)。同様の相関が、破断点伸びとT
gまたはHDTとの間でも本発明者らによって明らかになった。
【0096】
追加の実施例として、PolyJet(商標)システムで典型的に使用されるゴム状材料が考えられる。これらの材料は、例えばインクジェットによる吐出を可能にする比較的低い粘度を有するように、かつ室温より低い、例えば10℃以下のT
gを発現させるように調製される。後者は、比較的低い架橋度を持つ製品を調製することによって、かつ固有の柔軟な分子構造を持つモノマーおよびオリゴマーを使用することによって得られる。しかし、PolyJetゴム状材料は、例えばゴム状材料と比較したときに、低い引裂き抵抗(TR)値および/または変形後の遅い復帰速度を有する傾向がある。
【0097】
本書で、「T
g」とはE”曲線の極大値の位置と定義されるガラス転移温度を意味し、ここでE”は温度の関数としての物質の損失弾性率である。
【0098】
一部のモデル材、特にUV重合可能な材料は、物体の自由形状製作中にカールのような望ましくない変形を呈することが認識されている。本発明の発明者らによって行なわれた、カールの問題の解決策の探求中に、カールの程度は、重合プロセス中に物質が受ける体積収縮の程度、および製作中の物質のHDTとシステムの温度との間の温度差に比例することが明らかになった。本発明者らは、比較的高い体積収縮および比較的高いHDT(例えば重合温度の範囲)を持つ物質ではカールが特に顕著であることを見出した。
【0099】
本発明者らは、SFFを介して製作される他の物体と比較して改善された熱機械的特性を享受する積層高分子物体または構造を考案した。
【0100】
一般的に、本発明の種々の例示的実施形態に係る構造は、2つ以上の熱硬化性(例えばUV重合可能な)モデル材から形成されるシェル構造である。該構造は典型的には、少なくとも1層のコアが、シェルの少なくとも1層と同一平面を占めるように、少なくとも部分的に1つ以上の積層シェルによって被覆された積層コアを含む。構造の表面に対し垂直に測定した各シェルの厚さは、典型的には少なくとも10μmである。本発明の種々の例示的実施形態では、コアおよびシェルは熱機械的特性が互いに異なる。これは、コアおよびシェルを異なるモデル材、またはモデル材の異なる組合せから製作することによって容易に達成される。コアおよびシェルの熱機械的特性を本書では、それぞれ「コア熱機械的特性」および「シェル熱機械的特性」という。
【0101】
本発明の一部の実施形態に係る構造の代表的な非限定実施例を
図2A〜Dに示す。
【0102】
図2Aは構造60の略斜視図であり、
図2Bは
図2Aの線A‐Aに沿った構造60の断面図である。提示を明確にするために、デカルト座標系も示す。
【0103】
構造60は、z方向に沿って積み重ねられた複数の層62を含む。構造60は典型的にはSFF技術によって、例えば層を順次形成するシステム10を用いて製作される。したがって、z方向を本書では構造の「構築方向」ともいう。したがって、層62は構築方向に対し垂直である。構造60は円筒として図示されているが、本発明の実施形態の構造はどんな形状も取ることができるので、これは必ずしも当てはまらない。
【0104】
構造60のシェルおよびコアをそれぞれ64および66に示す。図示する通り、コア66の層およびシェル64の層は同一平面上に存在する。SFF技術はシェル64およびコア66の同時製作を可能にし、形成された特定の層に対し、層の内部はコアの層を構成し、層の周縁部はシェルの層を構成する。
【0105】
シェル64に寄与する層の外周部を、本書では層の「エンベロープ領域」という。
図2Aおよび
図2Bの非限定実施例では、層62の各々はエンベロープ領域を有する。すなわち、
図2Aおよび
図2Bの各層はコアおよびシェルの両方に寄与する。しかし、これは必ずしも当てはまらない。なぜなら、用途によっては、何らかの理由でコアを環境に暴露させることが望ましい場合があるためである。これらの用途では、層の少なくとも幾つかはエンベロープ領域を含まない。そのような構成の代表的実施例を
図2Cの断面図に示し、コアに寄与するがシェルに寄与しない幾つかの層68と、コアおよびシェルの両方に寄与する幾つかの層70とを示す。一部の実施形態では、1つ以上の層がコア熱機械的特性を持つ領域を含まず、シェル熱機械的特性を持つ領域のみを備える。これらの実施形態は、構造が1つ以上の薄い部分を有する場合に特に有用であり、構造のこれらの部分を形成する層は、コア領域を持たないことが好ましい。そのような構造の代表的実施例を
図13に示し、後に続く実施例の節でさらに詳しく説明する。また、1つ以上の層がシェル熱機械的特性の領域を含まず、コア熱機械的特性の領域のみを備える実施形態も構想される。
【0106】
シェルはまた、任意選択的に、かつ好ましくは、z方向に対し上および/または下から構造60を被覆する。これらの実施形態では、構造60の最上部および/または最下部の幾つかの層は、コア66とは異なる少なくとも1つの材料特性を有する。本発明の種々の例示的実施形態では、構造60の最上部および/または最下部は、シェル64と同じ材料特性を有する。この実施形態の代表的実施例を
図2Dに示す。例えば頂部または底部シェルが構造の上または下の層を含み、したがって物体を形成する層に要求される厚さと同じ厚さを有する場合、構造60の頂部/底部シェルは、側部シェルより薄く(例えば2倍薄く)することができる。
【0107】
SFFを介して構造を形成するのに適した好適な工程については後述する。
【0108】
本発明の一部の実施形態に係る構造および方法のさらなる詳細な説明を提示する前に、それによってもたらされる利点および潜在的な用途に注目したい。
【0109】
本発明者らは、改善された熱機械的特性を持つ物体の構築を、物体の製作に使用されるモデル材のいずれもそうした特性を持たない場合でも、可能にする積層製造SFF技術を考案した。例えば、本発明の実施形態は高い耐温度性および高い靭性を持つ構造の製作を可能にする。熱硬化性材料(例えばUV硬化性材料)を使用するSFFの分野では、公知のモデル材のいずれもそのような特性を持たない。なぜなら、高い耐温度性を持つモデル材は比較的脆弱である一方、高靭性を持つモデル材は比較的低い耐温度性を持つからである。本発明の実施形態はまた、例えば高い耐温度性および低いカール性を持つ構造の製作をも可能にする。本発明の実施形態はまた、エラストマー材料に基づく構造の製作をも可能にする。例えば、本発明の実施形態は、比較的高速の復帰時間および向上した引裂き抵抗を持つエラストマー構造の製作を可能にする。
【0110】
本発明の実施形態のシェルおよびコアは同時に製作されるので、シェルのパラメータ、例えば厚さ、選択的被覆率、可変厚さ、および組成等は高水準の精度で制御することができる。これは、これらのパラメータを制御することが非常に難しい従来の製作後被覆技術とは対照的である。
【0111】
意外にも、比較的薄いシェル(構造の表面に対し垂直な平面内で測定したときに例えば約100μm)でも、同一寸法の非シェル構造と比較して、構造の熱機械的特性にかなり作用することが本発明者らによって発見された。本発明者らは、この作用がシェルの特性および隣接する内側のシェルまたはコアの特性によって決定付けられることを発見した。この作用は、コア‐シェル関係を持たずに製作される構造ではもたらされない熱機械的特性を有する構造の製作を可能にするので、有利である。
【0112】
本発明の一部の実施形態では、剛性構造用のシェル材は、約25℃から約40℃の温度範囲内で少なくとも80%の破断点ひずみによって特徴付けられる。本発明の一部の実施形態では、シェル材は、約25℃から約40℃の温度範囲内で少なくとも1000MPaの引張り強さによって特徴付けられる。本発明の一部の実施形態では、シェル材は、少なくとも25℃の熱変形温度(HDT)によって特徴付けられる。本発明の一部の実施形態では、シェル材は、約25℃から約40℃の温度範囲内で約45J/mの衝撃抵抗によって特徴付けられる。
【0113】
上記の機械的特性および熱的特性のいずれか一方または組合せは、コアおよびシェルが形成されるモデル材の賢明な選択および構成によって達成することができる。本発明の一部の実施形態では、シェルはコアより低いスチフネスを有する。本発明者らが実施した実験で、改善された熱機械的特性は、2つの隣接するシェル材間または(コアを被覆する)シェル材とコア材との間の弾性率比を約1から約20までの間となるように選択することによって得ることができることが明らかになった。一部の実施形態では、弾性率比は約1.3から約5である。
【0114】
靭性が向上した構造を製作することを希望する場合、最低弾性率の材料を外側のシェル材として使用することが好ましく、かつ最高弾性率の材料を内側のシェルまたはコア材として使用することが好ましい。
【0115】
耐熱性が向上しかつカールへの寄与が低減した構造を製作することを希望する場合、より高い弾性率の材料をシェルとして使用することが好ましく、かつより低い弾性率の材料をコアとして使用することが好ましい。また、構造がそれぞれ低いカール、高い耐温度性、および高い靭性によって特徴付けられるコアと中間シェルと最外シェルとを有するように、追加的最外シェルを付加する実施形態も構想される。
【0116】
本発明の一部の実施形態では、本書でさらに後述するように、ASTM規格の方法によって測定したときに、コアは60℃未満、50℃、または40℃未満、または30℃未満のHDTを有し、シェルは60℃超、または50℃超、または40℃超、または30℃超のHDTを有する。そのような実施形態では、比較的低いカールおよび高い耐温度性を持つ物体を得ることができ、HDTの低いコアは低カール傾向に関与し、シェルの高いHDTは、製作された物体の高い耐温度性に関与する。
【0117】
一部の実施形態では、製作された構造のコアおよびシェルは、それらの熱変形温度(HDT)および/またはアイゾッド衝撃抵抗(IR)が異なる。例えば、コアを特徴付けるIRは、シェルを特徴付けるIRより低くすることができ、コアを特徴付けるHDTは、シェルを特徴付けるHDTより高くすることができる。この実施形態では、HDTの高いコアは高い耐温度性を誘発し、シェルの高いIRは、そのようなコア‐シェル構造および材料で製造された物体全体に靭性をもたらす。任意選択的に、かつ好ましくは、同一の構造で両方の関係が満たされる。すなわち、IR値はコア領域の方がシェルより低いが、HDTはコア領域の方がシェルより高い。
【0118】
本書で使用する場合、用語「熱変形温度」(HDT)とは、それぞれの材料または材料の組合せが何らかの特定の温度時に予め定められた荷重により変形する温度を指す。材料または材料の組合せのHDTを決定するための適切な試験手順は、ASTM D‐648シリーズ、特にASTM D‐648‐06およびASTM D‐648‐07の方法である。本発明の種々の例示的実施形態では、構造のコアおよびシェルは、ASTM D‐648‐06の方法によって測定した場合、それらのHDTおよびASTM D‐648‐07の方法によって測定した場合、それらのHDTが異なる。本発明の一部の実施形態では、構造のコアおよびシェルは、ASTM D‐648シリーズの任意の方法によって測定した場合、それらのHDTが異なる。本書の実施例の大部分で、0.45MPaの圧力時のHDTが使用される。
【0119】
本書で使用する場合、用語「アイゾッド衝撃抵抗」とは、それぞれの材料または材料の組合せに衝撃力が加えられた後の単位厚さ当たりのエネルギの損失を指す。材料または材料の組合せのアイゾッド衝撃抵抗を決定するための適切な試験手順は、ASTM D‐256シリーズ、特にASTM D‐256‐06シリーズである。本発明の一部の実施形態では、構造のコアおよびシェルは、ASTM D‐256‐06シリーズの任意の方法によって測定した場合、それらのアイゾッド衝撃抵抗値が異なる。標準ASTM方法では、切欠きを機械加工する必要があることが知られている。しかし、多くの場合、この工程はシェルを切削し、コアを切欠き先端に露出させる。したがって、この標準方法は、本発明の一部の実施形態に従って構築された構造の衝撃抵抗を評価するのにはあまり好ましくない。衝撃抵抗を決定するための好適な手順について、これから述べる。これらの手順は、SFFが三次元印刷を含む場合に特に有用である。
【0120】
第1手順では、試験片にシェル材から作られる矩形のパッチを印刷する。パッチの寸法は、(標準ASTM手順によって要求される)切欠きの作成後にシェル材の0.25mmの層が完全に残るように計算される。
【0121】
第2手順では、試験片の印刷後に切欠きを切削する代わりに、試験片に切欠きを印刷する。トレイ上の試験片の向きは垂直であり、例えばZ‐Y面内に存する(本書では「向きF」という)。
【0122】
本発明の一部の実施形態に適したIR値の代表的範囲は、コアに対しては約20J/m、シェルに対しては約40J/mであるが、それらに限定されない。本発明の一部の実施形態に適した熱変形温度の代表的範囲は、コアに対しては約50℃、シェルに対しては約70℃であるが、それらに限定されない。
【0123】
本発明の一部の実施形態では、コアは、0.45MPaの圧力時に、約40℃から約50℃のHDTを特徴とする材料から作られる。そのような熱的特性を有するモデル材の代表例として、商品名VeroGray(商標)でObjet Geometriesによって市販されているモデル材がある。本発明の一部の実施形態では、シェルは、約40J/mから約50J/mのIR値、例えば約40J/mを特徴とする材料から作られる。そのような熱的特性を有するモデル材の代表例として、商品名DurusWhite(商標)でObjet Geometriesによって市販されているモデル材がある。
【0124】
本発明の一部の実施形態では、コアおよびシェルは両方ともゴム状材料である。
【0125】
本書で使用する場合、用語「ゴム状材料」とは、室温よりかなり低いTg、例えば約10℃未満のTgを特徴とする材料を指す。
【0126】
コアおよびシェルがゴム状材料から作られる場合、コア材料はシェル材より低い破断点伸び値ε
R、例えばε
R>1%を有する。コアのε
Rとシェルのε
Rとの間に少なくとも30%、または少なくとも60%、または少なくとも90%、または少なくとも120%の差があることが好ましい。例えばコアが50%のε
R値を有する場合、シェルは少なくとも30%大きいε
R値、すなわち80%以上のε
R値を有する。典型的には、シェルのε
R値は少なくとも100%であるが、必須ではない。
【0127】
本発明の一部の実施形態では、コアは、約2Kg/cmから約12Kg/cm、例えば約4Kg/cmまたは約10Kg/cmのTR、および約45%から約50%のε
R値を特徴とする材料から作られる。一部の実施形態では、材料は次の特性、すなわち約1MPaから約5MPa、例えば約2MPaまたは約4.36MPaの引張り強さ、および約−12℃から約4℃、例えば約−10.7℃または約2.6℃のガラス転移温度の1つ以上をも有する。そのような熱的特性を有するモデル材の代表例として、商品名TangoBlack(商標)およびTangoGray(商標)でObjet Geometriesによって市販されているモデル材がある。
【0128】
本発明の一部の実施形態では、シェルは、約2Kg/cmから約4Kg/cm、例えば約3Kg/cmのTR、および約200%から約236%のε
R値を特徴とする材料から作られる。一部の実施形態では、材料は次の特性、すなわち約1MPaから約2MPaの引張り強さ、および約−12℃から約−8℃のガラス転移温度の1つ以上をも有する。そのような熱的特性を有するモデル材の代表例として、商品名TangoBlack Plus(商標)およびTango Plus(商標)でObjet Geometriesによって市販されているモデル材がある。
【0129】
モデル材は、立体自由形状製作装置の特定の容器またはカートリッジに含まれる材料、または装置の異なる容器から堆積されるモデル材の組合せとすることができる。本発明の実施形態のコアおよびシェルを形成するモデル材は、上述した実施形態の1つ以上に従って、所望の熱的および機械的特性を有してよい。しかし、これは必ずしも当てはまらない。なぜなら、本発明の発明者らは、材料の組合せから所望の特性を得るための技術を考案したからである。この技術についてこれから説明する。
【0130】
例えば所望のHDTを有するコアを持つことを希望すると仮定する。さらに、所望のHDTより高いHDTを有する、材料Aと称する市販のモデル材、および所望のHDTより低いHDTを有する、材料Bと称する市販のモデル材があると仮定する。本発明の一部の実施形態では、コアはこれら両方の材料から形成され、構造の各層に対し、所望のHDTによって特徴付けられる組合せをもたらすように、材料AおよびBが層のコア領域全体にモザイク状に交錯される。したがって、材料を事前に混合して、層を形成するために混合物を使用するのではなく、むしろ材料AおよびBが、層のコア領域全体にわたって互いに横方向に変位した異なる空間位置を占め、各々の材料の基本変位単位は単一画素(または3次元画素を表わすボクセル)である。そのような組合せをデジタル材料(DM)という。デジタル材料の代表的実施例を
図3に示す。これは、層のある領域全体にわたってモザイク状に交錯する材料AおよびBを示している。
【0131】
代表的実施例として、約40℃のHDTを特徴とする材料A、および約75℃のHDTを特徴とする材料Bを考慮する。材料AおよびBがA:B=3:1の相対面密度比で、すなわち材料Bの各画素に対し3画素の材料Aが堆積される場合、約50℃のHDTを特徴とするDMを得ることができる。材料の任意の予め定められた表面密度比のために、デジタル材料は、例えば規則的なまたはランダムな交錯によって形成することができる。また、交錯が半ランダム、例えば小領域の反復パターンであり、各小領域がランダム交錯を含む実施形態も構想される。
【0132】
上記の実施形態は特に構造のコアのDMに重点を置いて説明したが、コアに対するより詳細な言及は、決して本発明の発明を制限するものと解釈すべきではないことを理解されたい。詳しくは、コアおよびシェルのいずれもDMから形成することができる。
【0133】
コアおよびシェルが両方とも、同一モデル材から構成されるDMから形成される場合、コアのモデル材のいずれかの相対面密度は、シェルまたはエンベロープ領域の材料の相対面密度とは異なる。しかし、一部の実施形態では、コアはDMから形成され、シェルは単一のモデル材から形成されるか、またはその逆に、コアは単一のモデル材から形成され、シェルはDMから形成される。
【0134】
本発明の種々の例示的実施形態では、x‐y面内で(構築方向zに対して垂直に)測定したシェルの厚さは、構築方向に不均一である。換言すると、構造の異なる層は異なる幅のエンベロープ領域を有することができる。例えばx‐y面に平行な方向に沿ったシェルの厚さは、その方向に沿ったそれぞれの層の直径の百分率として計算することができ、こうして厚さを層の大きさに依存させる。本発明の種々の例示的実施形態では、シェルの厚さは、シェルの外面に対する接線方向でありかつ構築方向に対して垂直な方向に不均一である。構造の層に関して、これらの実施形態は、それぞれの層の外周に沿って不均一な幅を有するエンベロープ領域に対応する。
【0135】
本発明の一部の実施形態では、構造のシェルまたはその一部分はそれ自体、2つ以上のエンベロープ領域を備えた「シェル付き」構造である。特にこれらの実施形態では、構造は、少なくとも1つの中間エンベロープ領域によって少なくとも部分的に包囲された内部コアを含み、中間エンベロープは外側エンベロープ領域によって包囲される。構築方向に対し垂直に測定した中間エンベロープ領域の厚さは、任意選択的にかつ好ましくは、最外エンベロープ領域の厚さより大きい(例えば10倍の大きさ)。これらの実施形態では、中間エンベロープ領域は構造のシェルとして働き、したがって上で詳述したようにシェルの特性を有する。最外エンベロープシェルはまた、中間エンベロープの荷重下の破損を防止するためにも役立つ。
【0136】
中間エンベロープ領域と最外エンベロープとの最外界面における凹凸は、荷重下で亀裂の発生を引き起こすことがあることが本発明者らによって発見された。そのような亀裂は、シェル内部およびおそらくコア内部に浸透する。本発明の種々の例示的実施形態では、最外エンベロープは、中間エンベロープ領域と最外エンベロープ領域との間の界面に発生した亀裂の伝搬を防止または低減させる保護カバーになる。最外エンベロープはまた、最外エンベロープ‐大気界面から始まった亀裂を消散させるように機能することもできる。また、エンベロープ‐エンベロープ界面における亀裂の発生を阻止する最外エンベロープの能力はエンベロープ‐エンベロープ材料の弾性率比に関係する一方、エンベロープ‐大気界面からの亀裂伝搬に抵抗する最外エンベロープの能力は、最外エンベロープの靭性に関係することも、本発明者らによって明らかになった。したがって、最外エンベロープの弾性率をε
1で表わし、最外エンベロープに隣接するエンベロープの弾性率をε
2で表わすと、本発明の一部の実施形態では、比ε
2/ε
1は約1.3から約5であり、最外エンベロープの衝撃抵抗は少なくとも40J/m、または少なくとも50J/m、または少なくとも60J/m、または少なくとも70J/mであり、例えば約80J/m以上である。
【0137】
本発明の実施形態の構造は、例えば上記のシステム10を用いて、上述の通り層状に形成することができる。本発明の種々の例示的実施形態では、コンピュータ実装方法が自動的に、構造の特定の要素に対するシェルの動的適応を実行する。該方法は、任意選択的に、かつ好ましくは、ユーザ入力を使用して構造の各領域のシェルを計算し、それぞれのモデル材またはモデル材の組合せに対し外面のボクセルを割り当てる。コンピュータ実装方法は、データプロセッサ(例えばデータプロセッサ54)を介して立体自由形状製作装置を制御する制御ユニット(例えば制御ユニット52;
図1参照)によって実行することができる。
【0138】
本発明の実施形態の方法を実現するコンピュータプログラムは一般的に、フロッピー(登録商標)ディスク、CD‐ROM、フラッシュ・メモリ・デバイス、およびポータブル・ハード・ドライブのような、しかしそれらに限定されない配布媒体でユーザに配布することができる。配布媒体から、コンピュータプログラムはハードディスクまたは同様の中間記憶媒体にコピーすることができる。コンピュータプログラムは、配布媒体または中間記憶媒体のいずれかからコンピュータの実行メモリにロードし、本発明の方法に従って作動するようにコンピュータを構成することによって実行することができる。これらの操作は全て、コンピュータシステム分野の技術者には周知である。
【0139】
本発明の実施形態のコンピュータ実装方法は、多くの形で具現することができる。例えば、それは、方法作業を実行するために、コンピュータのような有形媒体で具現することができる。それは、方法作業を実行するためのコンピュータ可読命令を含む、コンピュータ可読媒体で具現することができる。それはまた、有形媒体上のコンピュータプログラムを実行するように、またはコンピュータ可読媒体上の命令を実行するように構成されたデジタルコンピュータ能力を有する電子装置に具現することもできる。
【0140】
図4Aは、製作工程中に形成することのできる単一の層80を示す。層80は、コア領域82と、コア領域82を包囲するエンベロープ領域84とを含む。したがって、層80と同様の幾つかの層が積層堆積される場合、コア領域は積層コアを形成し、エンベロープ領域は積層シェルを形成するので、領域82は構造のコアに寄与し、領域84は構造のシェルに寄与する。
【0141】
図4Bは、製作工程中に形成することのできる別の層90を示す。層90は、コア領域92と、コア領域92を一部分だけ包囲するエンベロープ領域94とを含む。構造が層90と同様の1つ以上の層を含む場合、形成されるシェルはコアを完全には包囲しない。
【0142】
図4Aおよび
図4Bに示すように、エンベロープ領域84および94の幅は、層の外周全体にわたって不均一である。均一な幅のエンベロープ領域102がコア領域104を包囲する層100の代表的実施例を
図4Cに示す。そのような層も本発明者らによって構想される。
【0143】
エンベロープ領域の幅は、上述の通り、構造の構築方向に変化することができる。
図4Dおよび
図4Eは、構築方向に沿って異なる位置に対応する2つの層110および120を示す。層110(
図4D)は、エンベロープ領域112によって包囲されるコア領域114を有し、層120(
図4E)は、エンベロープ領域122によって包囲されるコア領域124を有する。
【0144】
ひとたび構造の層が形成されると、コア領域の外周を前記エンベロープ領域の外周に結合するように、コアおよびエンベロープ領域を形成するモデル材は硬化される。
【0145】
本発明の一部の実施形態では、構造の最上部および/または最下部にもシェルを形成するように、1つ以上の追加シェル層が吐出される。これらの層は上からまたは下からコアを被覆するように働くので、コア領域を欠くことが好ましい。コアを上から被覆することを希望する場合、追加シェル層は他の全ての層の上に吐出され、コアを下から被覆することを希望する場合、追加層は作業面(例えばトレイ30;
図1参照)上に吐出される一方、他の全ての層はその後に吐出される。
【0146】
エンベロープ領域のいずれかは、任意選択的に少なくとも10μmの幅を有する。好ましくは、全てのエンベロープ領域が少なくとも10μmの幅を有する。
【0147】
コア領域およびエンベロープ領域のいずれも、かつ任意選択的に最上部および/または最下部の追加層も、構造のコアおよびシェルに関して上述した熱的および/または機械的特性を有するモデル材またはモデル材の組合せ(例えばデジタル材料)を用いて製作することができる。
【0148】
したがって、一部の実施形態では、コアおよびエンベロープ領域の弾性率間の比率は、硬化したときに約1.3から約20である。一部の実施形態では、コア領域の特性T
gまたはHDTは約50℃未満であり、エンベロープ領域の特性T
gまたはHDTは約50℃を超える。一部の実施形態では、コア領域の特性ε
R値は、硬化したときに、エンベロープ領域の特性ε
R値より低い。一部の実施形態では、コア領域の特性TR値は、硬化したときにエンベロープ領域の特性TR値より低い。一部の実施形態では、コア領域の特性IR値はエンベロープ領域の特性IR値より低い。一部の実施形態では、コア領域の特性HDTはエンベロープ領域の特性HDTより高い。
【0149】
本発明の一部の実施形態では、シェルは、他の領域の機械的特性に影響を及ぼすことなく、選択された領域だけの材料特性を変化させるために、構造の様々な領域に選択的に製作される。
【0150】
本出願から成熟する特許の存続期間の期間中には、多くの関連するSFF用のモデル材が開発されることが予想され、モデル材の用語の範囲は、すべてのそのような新しい技術を先験的に包含することが意図される。
【0151】
本明細書中で使用される用語「約」は、±10%を示す。
【0152】
用語「例示的」は、本明細書では「例(example,instance又はillustration)として作用する」ことを意味するために使用される。「例示的」として記載されたいかなる実施形態も必ずしも他の実施形態に対して好ましいもしくは有利なものとして解釈されたりかつ/または他の実施形態からの特徴の組み入れを除外するものではない。
【0153】
用語「任意選択的」は、本明細書では、「一部の実施形態に与えられるが、他の実施形態には与えられない」ことを意味するために使用される。本発明のいかなる特定の実施形態も対立しない限り複数の「任意選択的」な特徴を含むことができる。
【0154】
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
【0155】
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0156】
表現「から本質的になる(consisting essentially of)」は、さらなる成分、工程および/または部分が、主張される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物、方法または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。
【0157】
本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
【0158】
本開示を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
【0159】
数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
【0160】
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
【0161】
本明細書中上記に描かれるような、および、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
【実施例】
【0162】
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
【0163】
異なるモデル材の効果および特性の研究が本発明者らによって実施された。
【0164】
図5は、幾つかのモデル材におけるHDTと衝撃抵抗との間の逆相関関係を実証する実験結果を示す。
図5に提示したモデル材は、イスラエル国Objet Geometries Ltd.によって販売されている市販のモデル材である。この関係は、2つの特性の間にトレードオフが存在し、かつそのような所定の熱機械的特性の組合せを示す材料は、市販の材料ではめったに達成できないという本発明者らの発見を実証している。
【0165】
本発明者らは、3つの属性、すなわち形状、適合性、および機能に関して材料の幾つかの組合せを分析した。
【0166】
剛性材料の場合、本発明者らは、T
gまたはHDTが中程度で靭性の材料が機能に対する解決をもたらすことができるが、そのようなT
gの材料の環境変形特性、例えば材料クリープのため、他の属性(形状および適合性)を損ねることを発見した。本発明者らは、靭性材料が温暖な環境に暴露されない頑健な形状または構造に対する解決をもたらすが、他の構造に対しては適切な解決をもたらさないことを発見した。本発明者らはさらに、T
gが高く脆性の材料が、柔軟性または衝撃抵抗を要求する機能的適用には失敗することがあるが、形状および適合性の属性に関しては満足な結果をもたらすことを発見した。さらに高いT
g(例えば50℃超)を持つ材料はさらにいっそう脆く、かつ印刷中のカール状変形が顕著である。
【0167】
ゴム状材料の場合、高い伸びの材料はすでに入手可能であるが、これらの材料は良好なエラストマー性を持たず、むしろ弾性的挙動と塑性的挙動との組合せを有することを、本発明者らは発見した。より大きいエラストマー様挙動を持つ他の材料は脆弱すぎて(引裂き強度が低く)、標準ゴム材を必要とする用途には使用できないことを、本発明者らは発見した。
【0168】
本発明者らが実施した実験において、幾つかのコア‐シェル構造を持つ物体をSFFによって製作した。構造は改善された特性からの利益を享受した。例えば、本発明者らは、中程度のHDTおよび高靭性の組合せを持つ剛性構造、温度抵抗(例えば高いHDT)および低減したカールの組合せを持つ剛性構造、高いHDTおよび著しく改善された靭性の組合せを持つ剛性構造、高いHDT、低減したカール、および著しく改善された靭性の組合せを持つ剛性構造、ならびに高い破断点伸び、変形後の高速復帰、および調節可能な弾性率の組合せを持つゴム状構造を製作することに成功した。
【0169】
中程度のHDTおよび高靭性の組合せを持つ剛性構造材料は、シェルが表面からコアに向かう亀裂の伝搬を防止する高靭性を有するコア‐シェル構造を製作することによって得ることができる。コアは、中程度のHDTを有するが脆性が比較的高い材料から作成することができる。シェルの厚さは、靭性以外の総合的な機械的特性に対するその影響を低減するように選択することができる。例えば、厚さは、物体表面に対する法線方向の厚さを0.17mmと0.34mmとの間とすることができる。
【0170】
高いHDTおよび低減されたカールの組合せを持つ剛性構造は、シェルが高いT
gまたは高いHDTの材料を含むコア‐シェル構造を製作することによって得ることができる。該シェルは、高いHDTおよび経時的または昇温時クリープの低減を構造にもたらす。シェルの厚さは、HDT、およびコアまたは中間シェル(存在する場合)のカール挙動、ならびに構造の所望の挙動に依存する。典型的には、厚さ0.5mm〜1.0mmのシェルを作製するために、約75℃のHDTを有する材料を使用することができるが、必須ではない。コアは、SFF工程中に著しいカールを生じない中程度のHDT(典型的には約45℃から約50℃であるが、必須ではない)を持つ材料を含むことができる。シェルおよびコアは各々、上で詳述した通り、デジタル材料から作成することができる。例えばコアは、例えば10×10×230mmのビームに印刷したときに、HDTが約50℃でカールが3.5mm未満のDMをもたらすように、それぞれ40℃のHDTを持つモデル材と75℃のモデル材との間で3:1の表面密度比を使用して作成することができる。
【0171】
高いHDTおよび著しく改善された靭性の組合せを持つ剛性構造は、シェルがコアおよび中間シェル(存在する場合)が荷重下で破損するのを防止する高靭性材料を含むコア‐シェル構造を製作することによって得ることができる。シェルの厚さは、靭性以外の総合的な機械的特性に対するその影響を低減するために、充分に小さくなるように選択することができる。典型的には、シェルの厚さは0.17mmから0.34mmとすることができるが、必須ではない。コアは、高いT
gまたは高いHDTの材料を含むことができる。コアは、高いHDTおよび経時的なまたは昇温時の材料クリープの低減を構造にもたらす。
【0172】
高いHDT、低減されたカール、および著しく改善された靭性の組合せを持つ剛性構造は、コア、中間シェル、および最外シェルを有する構造により得ることができる。最外シェルは高靭性材料を含むことができる。このシェルの役割は、荷重を加えたときに中間シェルが(およびしたがってコアも同様に)損傷(例えば破損)するのを防止することである。中間シェルは高いT
gまたは高いHDTの材料を含むことができる。このシェルは、高い耐温度性および経時的なまたは昇温時のクリープの低減を構造にもたらす。中間シェルの厚さは、コアのHDTおよびカール挙動、ならびに構造の所望の挙動に依存する。典型的には、例えば厚さが0.5mm〜1.0mmの中間シェルを製作するために、約75℃のHDTを有する材料を使用することができるが、必須ではない。コアは、中程度のHDTの材料(例えば約45℃から約50℃のHDT)および多少低いカール挙動(例えば4mm未満のカール;ここでカールは印刷された10×10×230mmのビームの縁の、その反対側の縁に300gの荷重が加えられたときの平坦面からのめくれ上がりと定義される)を含むことができる。コアは、高いHDTのモデル材(例えば約75℃から約200℃のHDT)と多少低いHDTのモデル材(例えば約25℃から約45℃のHDT)とのDM混合物から形成することができる。表面密度比は、所望のHDTおよびカール特性に応じて選択することができる。
【0173】
高い破断点伸び、変形後の高速復帰、および調節可能な弾性率の組合せを持つゴム状構造は、シェルが表面からの亀裂の伝搬を防止または軽減する高い伸びの材料を含むコア‐シェル構造を製作することによって得ることができる。該シェルは、荷重が加えられたときに内部コアおよび中間シェル(存在する場合)の損傷を防止する。シェルの厚さは、亀裂の伝搬を防止する以外の総合的な機械的特性に対するその影響を低減するために、充分に小さくなるように選択することができる。典型的には、シェルの厚さは約0.17mmから約0.34mmであるが、必須ではない。コアは、所望の引張り弾性率および圧縮弾性率、変形後の高速復帰を持つが、シェルと比較すると破断点伸びが低い材料または材料の組合せ(例えばデジタル材料)を含むことができる。
【0174】
SFFを介して構造を製作するときに、性能の非一貫性がしばしば観察される。それは主に、製作された構造毎に、かつ同一構造の異なる領域(例えばコアおよびシェル)の間でも、著しく変化することのある材料の靭性を考慮するときに現われる。その理由は層毎の製作工程に存在する。例えばインクジェット方式の3D印刷機では、層毎の製作工程は結果的に、(印刷トレイに平行な)横方向平面内だけでなく構築方向にも様々な表面モルフォロジーを生じることがある。構造の垂直側面は、製作された構造の靭性を著しく低減させる尖鋭な先端を持つ微視的表面亀裂(
図6)を含むことがある。特定の構造では、破断点撓み、破断点最大荷重、および強度のような機械的パラメータは、10分の1〜20分の1に低減される。これは、FullCure(登録商標)535モデル材を用いて印刷されたビームの破断点撓みおよび破断点最大荷重を示す
図7Aおよび
図7Bで実証される。グラフは、破断点撓み(「撓み」)および最大荷重(「マックス荷重」)を印刷されるビームとx−y面との間の角度の関数として示す。
【0175】
製作の幾つかの段階で外面を液状形態に維持しながら、かつ他のどんな材料とも接触せずに、構造を製作するときに、重力および濡れ性は液状樹脂を流動させ、したがって構造の表面を平滑化する。これは正の角度の表面(上向きまたは外向きの表面)で実現することができる。他の角度(下向きの表面)の場合、構造の崩壊を防止するために、サポート材または支持構造の追加が必要になる。モデル材とサポート材との接触は結果的に、構造の全体的靭性を著しく低減させる亀裂表面モルフォロジーを生じることが、本発明者らによって明らかになった。表面におけるそのような粗さは、構造の特性に異方性、例えば異方性曲げ弾性率または異方性引掻き抵抗を生じる。粗さの別の影響は脆性の増加であり、それは低い衝撃抵抗および破断点伸び/撓みの低下によって表わすことができる。
【0176】
以下は、本発明の実施形態のコア‐シェル構造の特性を研究するために本発明者らによって実施された実験の説明である。
【0177】
材料
実験では、Objet Geometries Ltd.の市販のモデル材を使用した。これらの材料は広範囲の特性を含む。例えばVeroGray(商標)は剛性モデル材であり、TangoPlus(商標)(Tango+)は軟性のゴム状モデル材である。別名RGD535として知られる材料FullCure(登録商標)535(FC535)、および別名RGD515として知られる材料FullCure(登録商標)515(FC515)は、利用可能な特性の範囲を拡張し、Objet Geometriesの複数材料Connex(商標)プラットフォーム専用であり、典型的に他の材料と組み合わせて使用される。本研究に使用した他の材料として、VeroGray(商標)、DurusWhite(商標)、FullCure登録商標970(TangoBlack(商標))、およびFullCure登録商標980(TangoBlack Plus(商標))がある。
【0178】
比較研究として印刷後のシェル付着を使用した実験では、標準樹脂、加法製造調質材、エポキシおよびシリコンA+B樹脂、例えばRP Tempering(商標)化合物(米国Par3 Technology)、ならびにFC515による手動コーティング(ブラシ使用)に続くUVチャンバ内での硬化を使用した。
【0179】
以下で、高耐衝撃材(HIM)という用語は、良好な衝撃抵抗を持つ靭性材料(例えばFC515)を記載するために使用し、高T
g材(HTM)という用語は、高いT
gおよび高いHDTを持つ稠密な材料(例えばFC535)を記載するために使用する。
【0180】
ソフトウェア
2つの異なるモデル材および1つのサポート材の異なる空間的配列を設計かつ試験する能力をもたらすために、ソフトウェアを開発した。ソフトウェアはまた、異なるデジタル材料を設計する能力をももたらした。加えて、ソフトウェアは、予め定められた厚さの正確なシェル(特定の表面の空間的向きによって、ずれは+0.03mmから+0.08mmまで変化する)の画定を可能にするシェル形成機能を含むものであった。ソフトウェアはまた、1つ以上のシェル層の画定を可能にする多重シェル形成機能をも含んでいた。
【0181】
ソフトウェアはまた、ランダムビットマップ(2つ以上のモデル材のランダムな組合せ)の生成を可能にするランダムDMジェネレーターをも含んでいた。これは、広範囲の均質なDMを形成するための容易かつ単純なツールをもたらす。その特性は基本的に連続的に変化することができる。
【0182】
立体自由形状製作装置
標準Connex(商標)500印刷機(Objet Geometries)を使用して、全ての材料および構造を印刷した。
【0183】
印刷モード
実験は、光沢面のみならず、艶消し面の製作をも含んだ。
【0184】
艶消し面は、モデル材をサポート材と接触させて印刷することによって製作した。そのような場合、両方の液体が凝固する前に接触するという事実のため、それらは界面で部分的に混合し、その結果、サポート材を除去した後、艶消し面が得られる。艶消し印刷モードは、凝固前に機械的支持を必要とする領域(例えば空洞付近の領域)だけでなく、サポート材で完全に覆われたオブジェクトから得られた。
【0185】
光沢面は、空気以外の他の材料と接触しないモデル材を印刷することによって製作された。光沢印刷モードは、平滑で艶のある光沢面を生じた。艶消し面は構造の表面全体に得ることができるが、光沢面は、サポート材と接触する必要のない表面にだけ得ることができることに注目されたい。
【0186】
試験
印刷変形(カール)は、10×10×230mm
3のバーを印刷し、試験片の他端に300グラムの重量を加えながら、試験片の一端の平坦面からのめくれ上がりを測定することによって定量的に評価した。この研究では、4mm以下のめくれ上がりを大部分の主流用途にとっての許容範囲とみなした。
【0187】
新しい材料の性能を評価するために、幾つかの応用試験を開発した。標準ASTM方法および自己定義方法を実現し、純粋成分およびDM構造を特徴付けた。
【0188】
結果
高い熱安定性および高い靭性を持つ構造
高T
g材の開発の目的は、70℃を超えるHDTを有しかつ比較的低い印刷変形(低カール)すなわち10mm未満を呈する材料を提供することであった。配合FC535は65℃のT
gおよび70℃のHDTを有する。下の表1はFC535の特性を示す。
【0189】
この材料の印刷変形(カール)は、最大許容値より高い7.5mmであった。比較的低温(100℃未満)のカール後処理で、変形を増大させずに、FC535のHDTを約100℃に上昇させた。
【0190】
次の実験の目的は、FC535に靭性を与えることであった。非晶質HTM(例えばFC535)は、他の市販の剛性材料と同様に、低い衝撃抵抗を有し、かつ非常に脆弱である。脆弱性は、サポート材と直接接触しかつ垂直印刷面と平行に応力を受ける構造の部分で増幅される。そのような応力は亀裂の端を事実上分離させ、比較的低いひずみで損傷を引き起こす。
【0191】
材料の脆弱性およびその発現を定量的に評価するために、一連の試験を設計した。
【0192】
衝撃抵抗
(i)標準切欠き試験片。矩形の試験片を印刷し、その後に切込みを切削する(ASTM D256)。
(ii)切欠き付き試験片を様々な向きに印刷する
【0193】
引張り試験
破断点百分率伸びを測定する(ASTM D638)
【0194】
曲げ抵抗
(i)様々な向きに印刷された試験片に対する三点曲げ(屈曲)試験(ASTM D695)
(ii)固定ビーム曲げ
【0195】
追加的試験はスナップ試験、繰返し試験、ボール・アンド・クロー構造試験、およびばね構造試験を含んだ。これらの試験用の試験片を
図8A〜
図8Dにそれぞれ示す。
【0196】
下の表2は、デジタル材料を作成するために種々の組合せに使用した上記試験用の3つのモデル材の特性を示す。
【0197】
アイゾッド切込みの先端に位置する材料は、測定される衝撃抵抗値に強く影響する。この挙動は、靭性材料、例えば約90J/mの衝撃抵抗を有するFC515試験片(印刷された切欠き、光沢付き)に、同一条件で約30J/mの衝撃抵抗を有する高T
gのFC535材料から作られた外側シェル層を印刷したときに、この挙動は明確に発現した。驚くことに、約100μmの最小可能なFC535のエンベロープ層を追加しただけでも、衝撃抵抗は30J/m未満まで低下した。
【0198】
上記の実験は、最外表面の組成が構造の衝撃特性を決定することを実証した。
【0199】
印刷の向き
印刷の向きとは、印刷面(印刷トレイ)に対して製作される物体の向きを指す。
図8Eは、本書で言及する種々の異なる向きを示す。
【0200】
FC535およびFC515から作られた構造
構造の全断面積(3×12.7mm)の約20%とすることのできる、HIM(本実施例ではFC515)から作られた幅が約0.25mmのシェル、およびFC535から作られたコア。引張り強さおよび弾性率は、HIMのシェルの導入後に10%未満だけ減少したが、破断点ひずみは約10%から35%超に増加した。HIMのシェルは、それが無ければ破壊的影響を有する表面欠陥から物品を保護する(特に艶消し面)と、本発明者らは推測した。下の表2aは、種々の製作された種々の試験片に対する向きF時の衝撃抵抗をまとめたものである。
【0201】
図8Fは、0.25mmのFC515シェル付きのFC535対シェル無しのFC535の引張り試験の結果を示す。図示する通り、FC515によるシェルは、稠密材料FC535の弾性率をわずか約15%だけ低減する一方、その破断点伸びを約10%から約40%に高めることによって、FC535の靭性を著しく改善する。
【0202】
屈曲試験
屈曲試験は主にスナップ適用のシミュレーションのために使用した。これらを適用すると、細いビームは変位し、かつ急速にその初期位置に復帰する。したがって、2つの関連パラメータを測定した。すなわち、破断前の最大曲げ変位、および曲げ抵抗(最大荷重)である。このタイプの適用に対して望ましい特性は、高い破断点撓みを伴うスチフネスである。屈曲試験用の試験片は様々な向きに印刷モードで異なるビーム幅に印刷した。屈曲試験および試験した試験片を
図8Aおよび
図9A〜
図9Cに示す。
【0203】
下の表3および表4、ならびに
図10A〜
図10Bは、三次元事象でFC515シェル付きおよびそれ無しの状態で印刷しかつ試験した1mm、2mm、および3mmのFC535ビームの性能をまとめたものである。
【0204】
上記の結果は、85ミクロンのシェルの追加が、最適とは言えない結果をもたらすことを実証した。これは、艶消し印刷時に層がモデル‐サポート混合層に変換されたためであると推測される。
【0205】
シェルの厚さを170ミクロンに増大したとき、伸びに対する顕著な影響が観察された。3mmのビームの場合、最大荷重も増大した(相乗効果)。
【0206】
250ミクロンのシェルの場合、製作されたビームは高い柔軟性を有したが、1mmのビームは多少軟化した。
【0207】
どちらのビーム幅でも、光沢FC(商標)535試験片は、シェル無しでさえも優れた性能を示した。この事実は、表面欠陥の役割を際立たせるものである。そのような欠陥が無い場合、稠密な材料は優れた靭性を有する。しかし、欠陥が存在すると、稠密な材料は脆弱になるが、HIMは靭性を維持する。HIMによる表面改質は材料の欠陥を妨げるので、亀裂伝搬に対する感受性が低下する。換言すると、表面改質は表面欠陥をHIM内に維持し、それによって表面欠陥が伝搬するのを防止する。
【0208】
ビーム試験片を様々な向きに印刷することによって、表面欠陥の影響をさらに調査した。結果を下の表5にまとめる。最も深刻な欠陥の向きが曲げ応力ビームと平行になる向きEでは、破断点伸びが最低になる。向きDでは、亀裂が応力に対し垂直になり、したがって脆性に対する影響は低い。本発明者らによって収集された実験データは、Dの向きでは、1画素のシェルでさえ顕著な効果を有することを示している。向きDで行なわれた試験は全て、向きEおよびFに比べて優れていた。
【0209】
他の比較試験では、高解像度印刷モードの影響を調査した。光沢状および艶無しで向きEに印刷された0.25mmのHIMのシェル試験片により、脆性材料(FC535)および高衝撃材料(FC515)から作られた2mmのビームに対して試験を実施した。結果を
図11に示す。
【0210】
繰返しスナップ試験およびスナップ部品試験の結果を下の表6および表7にまとめる。
【0211】
DurusWhite(商標)の薄いシェルによるVeroGray(商標)の靭性の改善
VeroGrey(商標)(VG)は、Objet Geometries Ltd.から現在市販されているモデル材の中で、最も高い昇温時寸法安定性(低い材料クリープ)を示す。他方、VGは最も脆弱な材料である。
【0212】
DurusWhite(商標)(DW)は、Objet Geometries Ltd.から市販されているモデル材の中で、最も高い靭性および衝撃抵抗を有する。
【0213】
本発明者らは、VGおよびDWの組合せを使用して、VGと同様のHDTおよびDWと同様の靭性によって特徴付けられる構造を作成することができることを実証した。形状構成によっては相乗効果が観察され、複合シェル部品の靭性は純粋VGまたは純粋なDWより高い。実験データを表8〜表12にまとめる。
【0214】
表9、表10、および表11は、アイゾッド衝撃抵抗、K
IC、および最大荷重特性が、使用した純粋な材料のどれよりも高くなる相乗効果を実証する。特に、測定されたアイゾッド衝撃抵抗(19.1、表9参照)は、純粋なVG(14.9)および純粋なDW(18.3)より高く、測定されたK
IC値(1.37;1.44、表10参照)は純粋なVG(0.76)および純粋なDW(1.15)より高く、かつ測定された最大荷重値(19.0、表11参照)は、純粋なVG(低すぎて測定できない)および純粋なDW(13.2)より高い。
【0215】
ゴム状デジタル材料
FullCure(登録商標)970(TangoBlack(商標))から作られたコアおよびFullCure(登録商標)970(TangoGrey(商標))から作られたコアを、FullCure980(TangoBlack Plus(商標))から作られたシェルおよびFullCure(登録商標)930(Tango Plus(商標))から作られたシェルによって包囲した。シェルの厚さは約0.25mmであった。結果的に得られた構造および純粋な材料構造基準の引張りひずみの関数としての引張り応力を
図12A〜
図12Bに示す。図示する通り、結果的に得られたシェル構造の強度は、該構造を含む別々の構成要素の強度よりずっと高い。FullCure(登録商標)930のシェルおよびFullCure(登録商標)970のコアは結果的に、FullCure(登録商標)930より高い伸びおよび高い強度をもたらすが、逆の場合、非常に劣った結果になる。FullCure(登録商標)930はFullCure(登録商標)970より幾分高い塑性挙動を有するので、シェルをFullCure(登録商標)930で作成すると、FullCure(登録商標)970(コア材)の特性の大部分を持つ材料が得られるが、破断点伸びおよび強度は著しく改善される。
【0216】
考察
多くの場合、シェルは物体の全体積のごくわずかな割合から構成されるだけであるので、シェルは、一部の実施形態では、コアの脆性を著しく低減させると結論付けられる。小さいシェルの厚さは、欠陥の大部分または全部、および特に水平方向の亀裂の端点を包含するのに充分である。シェルは実際、構造の一部であるので、シェルは構造の寸法精度に影響を及ぼすことなく作成される。シェルは、シェル‐大気界面に加えて、シェル‐コア(またはシェル‐シェル)界面にも寄与する。熱機械的特性に対するシェルの貢献は、大きい亀裂の入った表面(シェル界面)で特に明瞭である。靭性エンベロープ材はコアと同時に生成されるので、エンベロープ材はコアと完全に相互作用するシェルに寄与し、コア‐シェル界面における凹凸はシェル材で埋められ、逆の場合も同様であり、その結果、シェル材とコア材(または中間シェル)との間の優れた共有接着が達成される。それにより、界面における材料特性の漸進的遷移を確実にするモデル‐モデル混合層が形成される。靭性シェルは稠密な材料の界面の凸凹(モデル‐モデル界面)の端部を固定し、それらの伝搬および亀裂への変化を防止する。
【0217】
本研究は、本発明の実施形態のコア‐シェル構造が向上した弾性率および亀裂抵抗を有することを実証した。靭性シェル材は稠密な材料の表面の弱点を除去するが、靭性シェル材は外側表面の亀裂をそれ自体の体積内に移動させる。したがって、稠密なコアに適切な保護をもたらすために、靭性シェル材は顕著な亀裂抵抗特性を示す。この特性は、衝撃抵抗、本質的破壊仕事、K
IC、または亀裂前試験片に応力が加えられる他の試験のいずれかによって特徴付けることができる。本研究では、垂直印刷試験片に対して測定された値に基づいて、材料の改質を行ない、水平方向の印刷欠陥を切欠き面の内側に配置した。この試験の結果、試験した既存の材料の全てに比較的低い衝撃抵抗値が得られた。すなわち、VeroGray(商標)では〜16J/m、FC535では〜14J/m、およびDurusWhite(商標)では〜25J/mであった。優れた亀裂保護性能の場合、コア‐シェル構造は少なくとも30J/mの衝撃抵抗でこの試験に合格することができると考えられる。この値は軟質材料では容易に達成することができるが、1GPaを超える弾性率および室温を超えるHDTを有する材料では稀な特性である。
【0218】
伸展性材料を使用してシェルを作成した場合(例えばTangoPlusBlack(商標)で包囲されたVeroGray(商標))、伸展性材料のシェルは亀裂の端を拘束することができないので、稠密な材料内の亀裂伝搬を防止することができない。モデル‐モデル界面における急なスチフネスの遷移は、荷重が加えられたときに応力の集中を引き起こし、破砕が始まる。一部の実施形態では、シェルの弾性率はコアの少なくとも3分の1である。これは、モデル‐モデル界面の急速な亀裂発生を防止し、シェル‐サポート界面、すなわち最外シェル面に亀裂が発生しなければ、応力に耐える。
【0219】
1つ以上の中間層を使用すると、靭性をさらに高めることができる。例えば本発明の実施形態の構造は、それぞれの弾性率が約0.2GPa、約0.6GPa、約1.8GPa、および約3.5GPaの3つのシェルと1つのコアを含むことができる。ここで、最後の弾性率はコアであり、最初の弾性率は最外シェルである。
【0220】
シェルの厚さは、印刷工程の特性に従って選択することが好ましい。本研究では、製作工程は約150ミクロンの界面粗度に関連付けられた。したがって、効果的な強靭化を達成するように、少なくとも250ミクロンのシェル層が好ましい。より精密な界面を得る工程では、シェルの厚さをより小さくすることができる。シェルの厚さを増大することにより、最大靭性が達成される厚さまで、構造の靭性を向上することができる。これは、本研究で観察された相乗効果によって確認された。
【0221】
本発明の実施形態の工程の利点は、コアおよびシェルが同時に製作されることである。これは、これら2つの材料間の界面における最適な重なり合いおよび接着を可能にする。外側のシェルを形成するための印刷後の異なる工程を試験し、コアおよびシェルの同時製作工程によって得られる結果と比較した。
【0222】
設計方法
本発明の一部の実施形態では、コンピュータ実装方法が、次のパラメータ、すなわち各表面の空間的向き、印刷モード(光沢または艶消し)、および隔壁の厚さの少なくとも1つを考慮に入れながら、印刷される構造の特定の要素に対するシェルの動的適応を自動的に実行する。そのようなコンピュータ実装方法はトレイ上に構造をマッピングすることができ、かつ関連パラメータを抽出する。次いで該方法はユーザ入力を使用して、各領域に対し対応するシェル(外周)構造を計算し、外面のボクセルを第2モデル材に割り当てる。コンピュータ実装方法は、データプロセッサ(例えばデータプロセッサ54)を介して立体自由形状製作装置を制御する制御ユニット(例えば制御ユニット52、
図1参照)によって実行することができる。
【0223】
寸法安定性は主に、典型的にはより高い応力を受け、したがって変形しやすい薄い部品で表明される。本発明の種々の例示的実施形態では、薄い部品のために、シェルの厚さは低減される。代替的に、HIMの全部またはその一部分は、高いT
gの材料(例えばFC(商標)535)およびHIMを含む、例えば両方のモデル材の50:50のランダム分布を含む、DMに置き換えることができる。
【0224】
演算子に対し、要素(構造の領域)、厚さウィンドウ、およびそれらの対応するシェル形状構成のリストを提示することができる。例えば0.5mm〜1.0mmの要素は0.1mmのHIMシェルを受け取ることができ、1.0mm〜2.0mmの要素は0.2mmのシェルを受け取ることができ、より厚い要素は0.3mmのシェルを受け取ることができる。コンピュータ実装方法は、部品の特定の要素の形状構成にしたがって適切なシェル構造を生成するために、部品の3D形状構成を考慮に入れることができる。結果的に得られる構造の略図を
図13に示す。
図13において、赤色の部分はHTMであり、黄色の部分すなわち外側のエンベロープはHIMである。
【0225】
シェル構造の実験試験は、シェルの効率が印刷の向きに依存することを示した。これは、モデル材とサポート材との間の界面の特徴および表面欠陥の深刻度がx、y、およびz方向の間で異なるためである。違いはx‐y面とz方向との間で顕著である。特に、モデル材とサポート材との間の層内界面における欠陥は、両タイプの材料が同一面を占める場合、より目立つようになり、層間界面ではあまり目立たない。したがって、構造の水平面(構築方向に対し垂直)はより薄いシェルを含むことができ、それでも依然として靭性の充分な改善を達成することができる。本発明の種々の例示的実施形態では、コンピュータ実装方法は、3つの直交方向の間の予め定められた比率を維持するように、シェルの厚さを計算する。例えば、x:y:z=2:2:1の比率では、本発明の実施形態のコンピュータ実装方法は、水平面を被覆するシェルの厚さを非水平面を被覆するシェルの厚さの半分になるように計算することができる。
【0226】
使用する製作工程において、光沢面と艶消し面との間に機械的特性の相違が存在する。実験結果は、光沢面の場合、単一画素(本実施例の場合、0.085mm)のHIMシェルでさえも脆性材料に著しく改善された靭性をもたらすことを示した。他方、艶消し面の場合、実験結果は、2画素(0.17mm)で同様の効果が得られることを示した。したがって、本発明の一部の実施形態では、コンピュータ実装方法は、艶消し面および光沢面に対し異なるシェルの厚さを計算する。他の実施形態では、光沢面はシェルを欠落させることができ、艶消し面だけがシェルを有する。
【0227】
多層シェルを形成する能力を活用して、熱安定性と靭性との間のバランスが優れた印刷部品をもたらす、複雑なシェル構造を設計することができる。本発明の発明者らによって開発されたコンピュータ実装方法は、複数のシェル(例えば2から10のシェル)を有するデジタル材料を画定することができる。各シェルは絶対厚さを持つことができ、任意の純粋な材料またはDM(サポート材、およびサポート材との複数のDMを含む)から作成ことができる。
【0228】
工程の分解能のため、2つの異なる材料を適切な分解能で堆積することができない場合があること、および特にサポート材で包囲されていない垂直壁で、シェルの多少の剥離が発生することがあり得ることを本発明者らは認識している。これらの場合、本発明の実施形態のコンピュータ実装方法は、隣接する相間(シェル‐シェルまたはシェル‐コア)の接着を促進する中間シェルを製作するための製作パラメータを計算する。この中間シェルは約40〜200ミクロンの厚さを有することができ、モデル材の組合せ、好ましくは離接材料の50%:50%のランダム堆積を含むDMから作成することができる。他の中間シェルも本発明の範囲から除外されない。本発明者らによって実施された実験では、1:4から4:1のランダム混合が、構造印刷信頼性の著しい改善を達成することが示された。2つ以上のDMを中間シェルに使用することができる。代表的実施例として、3つの中間シェル、すなわち表面密度比が1:3のDMの85μmのシェル、表面密度比がランダム1:1のDMの85μmのシェル、および表面密度比が3:1のDMの85μmのシェルを製作することができる。
【0229】
本発明の種々の例示的実施形態では、コンピュータ実装方法は、モデル材間の界面における特性の漸進的変化を達成するように、1組のシェルを製作するための製作パラメータを計算する。シェルは任意選択的に、かつ好ましくは、各シェルに対し異なる表面密度比を持つ異なるモデル材の空間分布(好ましくはランダム分布であるが、必須ではない)を含むDMから作成される。例えば稠密かつ脆弱であるコア材を考慮する。そのようなコアは4つのシェル(例えば各々100ミクロン)で被覆することができ、そこで各連続シェルでは(最外部から内側に向かって)、靭性の構成要素の割合が20パーセントずつ増加するので、コアに隣接するシェルはコアの材料の80%を有する。この手法は、界面領域における応力集中の低減を可能にする。
【0230】
本発明の種々の例示的実施形態では、コンピュータ実装方法は、交互シェルを製作するための製作パラメータを計算する。例えば、交互の熱的および/または機械的性質を有する1組のシェルを製作することができる。
【0231】
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
【0232】
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。