(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光源装置の出力光が一方の開口端から入射し、入射した光が内部を伝搬して他方の開口端より出射されるライトトンネルを備え、該ライトトンネルの他方の開口端より出射された光を前記表示素子に照射する照明光学系を、さらに有する、請求項4に記載のプロジェクタ。
【背景技術】
【0002】
水銀ランプを光源とする高輝度のプロジェクタが提供されているが、水銀ランプは有害物質である水銀を含むため、環境への影響を配慮し、水銀フリーの製品開発が急務となっていた。このような背景の中、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)を光源とするプロジェクタの開発が進められ、これらを光源とする低輝度のLEDプロジェクタやレーザープロジェクタがすでに市場に投入されている。
しかし、高輝度の緑色のLEDや小型で高出力な緑色のLDは、未だ量産化されていないため、高輝度のLEDプロジェクタやレーザープロジェクタは、未だ市場に投入されていない。
そこで、光源に蛍光体を用いた高輝度のプロジェクタが提案されている。特許文献1、2には、蛍光体を用いたプロジェクタの光源装置が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の光源装置は、固体光源ユニット、集光部、拡散板、ダイクロイックミラー、コンデンサレンズ、位相差板、反射板及び蛍光発光板を有する。
固体光源ユニットは、アレイ状に配置された複数の青色半導体レーザーを備える。青色半導体レーザー毎にコリメートレンズが設けられており、各青色半導体レーザーから出力された青色光はそれぞれコリメートレンズにより平行光束化される。固体光源ユニットは、S偏光及びP偏光の青色光をそれぞれ出射するように構成されている。
固体光源ユニットから出射した青色光は、集光部及び拡散板を介してダイクロイックミラーに入射する。集光部は、正のパワー(正の屈折力ともいう。)を有する第1のレンズと、負のパワー(負の屈折力ともいう。)を有する第2のレンズとからなり、第1のレンズが固体光源ユニット側に配置されている。第1及び第2のレンズは、固体光源ユニットからの青色光の光束径を縮小する。拡散板は、集光部からの青色光を拡散する。
【0004】
ダイクロイックミラーは、青色の波長帯域において、P偏光で入射する光を透過し、S偏光で入射する光を反射し、かつ、緑色及び赤色の波長帯域の光を透過する特性を有する。拡散板からの青色拡散光のうち、S偏光はダイクロイックミラーによって反射されてコンデンサレンズに入射する。一方、P偏光はそのままダイクロイックミラーを透過して位相差板に入射する。
ダイクロイックミラーからの青色反射光(S偏光)は、コンデンサレンズによって蛍光発光板上に集光される。蛍光発光板は回転可能な円盤状のものであって、蛍光体層を含む。蛍光体層は、赤色蛍光を発する赤色蛍光体領域と緑色蛍光を発する緑色蛍光体領域を含み、蛍光発光板が回転することで、青色光が赤色蛍光体領域及び緑色蛍光体領域に順次照射される。赤色蛍光体領域からの赤色蛍光及び緑色蛍光体領域からの緑色蛍光はそれぞれ、コンデンサレンズを介してダイクロイックミラーに入射する。赤色蛍光及び緑色蛍光は、ダイクロイックミラーを透過する。
ダイクロイックミラーからの青色透過光(P偏光)は、位相差板を通過し、反射板に入射する。反射板は、入射した青色光を位相差板の方向に反射する。反射板からの青色反射光は、再び、位相差板を通過してダイクロイックミラーに入射する。青色透過光(P偏光)は、位相差板を二回通過することで、S偏光に変換される。位相差板からの青色光(S偏光)は、ダイクロイックミラーによって反射される。ダイクロイックミラーからの青色反射光(S偏光)は、ダイクロイックミラーを透過した赤色蛍光及び緑色蛍光と同一の光路で光源装置より出射される。
【0005】
特許文献2に記載の光源装置は、複数の青色LD(レーザーダイオード)、複数のコリメートレンズ、集光レンズ、凹レンズ、ダイクロイックミラー、集光レンズ群及び蛍光ホイールを有する。
青色LD毎にコリメートレンズが設けられており、各青色LDから出力された青色光はそれぞれコリメートレンズにより平行光束化される。各青色LDから各コリメートレンズを介して出射した青色光は、集光レンズ、凹レンズ、ダイクロイックミラー及び集光レンズ群を介して蛍光ホイールの緑色蛍光体が形成された蛍光体層に照射される。
各青色LDと各コリメートレンズは、各青色LDからの青色光の蛍光体層上の照射領域が互いに重なるように配置されている。
特許文献1や特許文献2に記載された光源装置を備えたプロジェクタにおいて、蛍光体より発した蛍光は、照明光学系を介してディジタルマイクロミラーデバイス(DMD)や液晶表示素子などの表示素子に照射される。表示素子により形成した画像は、投射光学系により外部のスクリーンン上に投射される。
【0006】
励起光の照射サイズを小さくすると、単位面積当たりの光密度が高くなるため、励起光のピーク光強度が高くなる。反対に、励起光の照射サイズを大きくすると、単位面積当たりの光密度が低くなるため、励起光のピーク光強度が低くなる。このように、励起光のピーク光強度は励起光の照射サイズによって決まる。
一般に、蛍光体の発光強度は励起光の光強度に依存するが、励起光の光強度がある値に達すると、それ以上高くしても、蛍光体の発光強度は増大せず、飽和または低下する現象が起こり、励起光から蛍光への波長変換効率が低下する。このため、励起光の照射サイズは、そのような現象が生じないように設定する必要がある(第1の制約)。
また、蛍光体領域(蛍光体層)の発光サイズは、励起光の照射サイズ(スポットサイズ)に依存する。励起光の照射サイズを大きくすると、発光サイズが大きくなって、蛍光を照明光学系や投射光学系に効率よく取り込むことが困難になる。このため、励起光の照射サイズは、蛍光を照明光学系や投射光学系に確実に取り込むことができるように設定する必要がある(第2の制約)。
通常、励起光の照射サイズは、上記の第1及び第2の制約を満たす適切なサイズに設定される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態による光源装置の構成を示す模式図である。
図1を参照すると、光源装置は、励起光源である固体光源ユニット6、縮小光学系7、集光光学系8、拡散板1f及び蛍光体ユニット9を有する。
固体光源ユニット6は、複数の固体光源1a及び複数のコリメータレンズ1bを有する。固体光源1aは、例えば、青色の波長域にピーク波長を有する青色光を出力する青色レーザーダイオード(LD)である。ここでは、24個の青色LDが6×4の行列状に配置されている。ただし、青色LDの数は24個に限定されない。青色LDの数は、必要に応じて増減してもよい。
コリメータレンズ1bは、固体光源1a毎に設けられており、各固体光源1aより出力された励起光はそれぞれ対応するコリメータレンズ1bによって平行光束化される。
縮小光学系7は、固体光源ユニット6からの励起光(疑似平行光)の光束径を縮小する。出射光束径を入射光束径よりも小さくすることで、縮小光学系7以降に配置される部材のサイズを小さくすることができる。
【0012】
縮小光学系7は、レンズ1c〜1eと、これらレンズ1c〜1eを保持する保持部とを有する。固体光源ユニット6側から、レンズ1c、レンズ1d、レンズ1eの順序で配置されている。レンズ1c及び1dはいずれも正のパワー(正の屈折力)を持ち、レンズ1eは負のパワー(負の屈折力)を持つ。レンズ1cのパワーは、レンズ1dのパワーより小さい。レンズ1cの屈折率は、縮小光学系7の他のレンズの屈折率よりも小さい。
保持部は、レンズ1cを縮小光学系7の光軸方向に往復移動するレンズ移動部7aを有する。レンズ移動部7aは、レンズ枠と、レンズ枠を光軸方向に往復移動させるための送りねじを備えた移動軸と、移動軸に連結された回転部とを有する。回転部を回転させると、その回転動作に連動して移動軸が回転し、レンズ枠が光軸方向に移動する。回転部の回転には、正回転と逆回転がある。回転部を正回転させた場合は、レンズ枠は固体光源ユニット6側の方向に移動し、回転部を逆回転させた場合には、レンズ枠は固体光源ユニット6側とは反対側の方向に移動する。これにより、レンズ1cを縮小光学系7の光軸方向に自由に往復移動させることができ、縮小光学系7の倍率を変更することができる。なお、レンズ移動部7aの構成は一例であり、レンズ1cを縮小光学系7の光軸に沿って移動することができるのであれば、レンズ移動部7aはどのような構成であってもよい。
【0013】
縮小光学系7のレンズ構成は、レンズ1c〜1eに限定されない。縮小光学系7は、正のパワーを持つ2枚以上のレンズと、負のパワーを持つ少なくとも1枚のレンズを有するものであればよい。ただし、正のパワーを持つ2枚以上のレンズのうちのパワーが最も小さなレンズが、固体光源ユニット6側に配置され、かつ、レンズ移動部7aにより保持される。レンズ移動部7aにより保持されたパワーが最も小さなレンズの屈折率は、縮小光学系7の他のレンズの屈折率以下である。
縮小光学系7からの励起光は、拡散板1fを介して集光光学系8に入射する。拡散板1fは、縮小光学系7からの励起光を拡散する。拡散角は、例えば3°程度である。ここで、拡散角は、光束の中心を通る光線(中心光線)と光束の最も外側を通る光線とのなす角度である。
集光光学系8は、レンズ1g、1hを備え、縮小光学系7から拡散板1fを介して入射した励起光を蛍光体ユニット9の蛍光体ホイール1i上に集光する。集光光学系8のレンズ構成は、レンズ1g、1hに限定されない。集光光学系8は、3枚以上のレンズを含んでいてもよい。
蛍光体ユニット9は、蛍光体ホイール1iと、蛍光体ホイール1iを回転する駆動部(モーター)9aとを有する。
図2に、蛍光体ホイール1iの一例を示す。
【0014】
図2を参照すると、蛍光体ホイール1iは、円盤状の反射鏡10を備える。反射鏡10の中心部はハブ9bを介して駆動部9aの回転軸に連結されている。反射鏡10上には、外周部に沿って所定の幅の蛍光体領域が形成されており、該蛍光体領域は、2つの切り欠き10aによって第1及び第2の蛍光体領域に分断されている。第1及び第2の蛍光体領域はそれぞれ、黄色蛍光体領域10Y、赤色蛍光体領域10R及び緑色蛍光体領域10Gを含む。黄色蛍光体領域10Y、赤色蛍光体領域10R及び緑色蛍光体領域10Gは、円周方向に順に並べられている。
蛍光体ホイール1iの回転バランスをとるために、切り欠き10aは、反射鏡10の外周部の対向する2か所の部分に設けられている。切り欠き10aは、透過領域としての役割を果たす。蛍光体ホイール1iを所定の速度で回転させることで、固体光源ユニット6からの青色光(励起光)が、黄色蛍光体領域10Y、赤色蛍光体領域10R、緑色蛍光体領域10G及び切り欠き10aの透過領域に順に照射される。
黄色蛍光体領域10Yは、黄色の蛍光を発光する蛍光体を含む。赤色蛍光体領域10Rは、赤色の蛍光を発光する蛍光体を含む。緑色蛍光体領域10Gは、緑色の蛍光を発光する蛍光体を含む。黄色蛍光体、赤色蛍光体及び緑色蛍光体はいずれも、固体光源ユニット6からの青色光で励起することができる。なお、黄色蛍光は、緑色から赤色の波長範囲の光を含む。
黄色蛍光体領域10Yからの黄色蛍光、赤色蛍光体領域10Rからの赤色蛍光、緑色蛍光体領域10Gからの緑色蛍光及び切り欠き10aの透過領域からの青色光が、光源装置の出力光として用いられる。黄色蛍光体領域10Y、赤色蛍光体領域10R、緑色蛍光体領域10G及び切り欠き10aの透過領域それぞれの円周方向における面積の割合(円周方向の分割比)は、光源装置の出力光に含まれる黄色光、赤色光、緑色光及び青色光それぞれの光強度のバランスに応じて適宜に設定される。
【0015】
次に、本実施形態の光源装置の動作について具体的に説明する。
固体光源ユニット6からの青色光(励起光)は、縮小光学系7によって光束径が縮小され、拡散板1fによって拡散された後、集光光学系8によって蛍光体ホイール1i上に集光される。レンズ移動部7aの回転部を正回転または逆回転すると、レンズ1cとレンズ1dの合焦点距離が変化し、その結果、蛍光体ホイール1i上における励起光の照射サイズ(スポットサイズ)が変化する。ここで、励起光の照射スポットの形状は、固体光源1aの配列形状に対応する。
図3に、固体光源ユニット6の固体光源1aの配列形状の一例を模式的に示す。この例では、青色LDよりなる固体光源1aが、6×4の行列状に配置されている。縮小光学系7及び集光光学系8は、6×4の行列状に配置された24個の青色LDの光源像を蛍光体ホイール1i上に結像する。
【0016】
図4A〜
図4Cに、蛍光体ホイール1i上に照射された励起光の強度分布を示す。
図4Aは、レンズ1cが予め設定された基準位置に配置された状態における励起光の強度分布を示す。
図4Bは、レンズ1cが基準位置より固体光源ユニット6側に0.5mmだけ移動した状態における励起光の強度分布を示す。
図4Cは、レンズ1cが基準位置より固体光源ユニット6側に1.0mmだけ移動した状態における励起光の強度分布を示す。
図5A〜
図5Cに、拡散板1fを取り除いた状態で蛍光体ホイール1i上に結像される光源像を模式的に示す。
図5Aは、レンズ1cが
図1に示した位置Pに配置された状態における光源像を示す。
図5Bは、レンズ1cが位置Pより固体光源ユニット6側に0.5mmだけ移動した状態における光源像を示す。
図5Cは、レンズ1cが位置Pより固体光源ユニット6側に1.0mmだけ移動した状態における光源像を示す。
図4A及び
図5Aから分かるように、レンズ1cが位置Pに配置された状態において、固体光源ユニット6からの励起光は、青色LDの配列形状(矩形)の状態を維持したまま縮小されて蛍光体ホイール1iに照射される。
図4B及び
図5Bから分かるように、レンズ1cが位置Pより固体光源ユニット6側に0.5mmだけ移動した状態においても、固体光源ユニット6からの励起光は、青色LDの光源配列(矩形)の状態を維持したまま縮小されて蛍光体ホイール1iに照射される。同様に、
図4C及び
図5Cから分かるように、レンズ1cが位置Pより固体光源ユニット6側に1.0mmだけ移動した状態においても、固体光源ユニット6からの励起光は、青色LDの光源配列(矩形)の状態を維持したまま縮小されて蛍光体ホイール1iに照射される。
【0017】
また、
図4A〜
図4Cから分かるように、レンズ1cが位置Pに配置された状態の励起光の照射サイズが最も大きく、レンズ1cが固体光源ユニット6側へ移動すると、励起光の照射サイズは徐々に小さくなる。このように、レンズ1cを縮小光学系7の光軸に沿って移動させることで、レンズ1cとレンズ1dの合焦点距離が変化し、その結果、励起光の照射サイズが変化する。
ただし、励起光の照射サイズが変化しても、励起光のスポット形状は、青色LDの光源配列の形状(矩形)を維持する。固体光源ユニット6の青色LDの配置間隔や拡散板1fの拡散角は、拡散板1fを通過した励起光の強度分布が「トップハット」と呼ばれる均一な強度分布となるように設計されており、励起光のスポット形状を維持することで、均一な強度分布を維持することが可能となる。
【0018】
以上説明した本実施形態の光源装置によれば、レンズ等の光学部品の個体差によるばらつきや組み付け位置のばらつきにより、励起光の照射サイズが適切なサイズから外れた場合に、レンズ1cを移動することで照射サイズを適切なサイズに調整することができる。これにより、光学部品のばらつき等による光源装置の光出力レベルの低下を抑制することができ、安定した高い光出力レベルを有する。
加えて、蛍光の発光サイズは励起光の照射サイズに依存することから、励起光の照射サイズの調整により、蛍光の発光サイズも適切なサイズとすることができる。よって、本実施形態の光源装置をプロジェクタに適用した場合に、光源装置より出力した蛍光を照明光学系や投射光学系に確実に取り込むことができる。
【0019】
また、光源に近い側のレンズで大きく光束を曲げると収差(主に歪曲収差や球面収差)が発生し、その収差を後段の光学系で補正することが困難になる場合がある。この場合、収差(主に歪曲収差や球面収差)の発生により、励起光の強度分布が不均一になる。例えば、
図5Aに示した6×4の行列状に配置された固体光源1aの光源像において、歪曲収差により光源像が歪曲し、また、球面収差により部分的に光源像がボケて、隣接する光源像が重なることで、励起光の強度分布が不均一になる。励起光の強度分布が不均一になると、光強度が高い部分で、蛍光体の飽和現象等により波長変換効率が低下する場合がある。したがって、励起光の強度分布を均一にする上で、前段での収差発生を抑えることが効果的である。本実施形態の光源装置では、固体光源ユニット6に近い側のレンズ1cの正のパワーを他のレンズよりも小さくし、かつ、レンズ1cの屈折率も他のレンズよりも小さくすることで、収差(主に歪曲収差や球面収差)の発生を抑制する。これにより、励起光の強度分布を均一にしている。
さらに、励起光の強度分布がガウス分布である場合、励起光のスポットの中心部分では、光強度が高くなって、蛍光体の飽和現象等により波長変換効率が低下する場合がある。本実施形態の光源装置によれば、固体光源1aをアレイ状に配列し、拡散板1fで励起光を拡散させることで、励起光の強度分布はより均一なものになっている。
さらに、蛍光体ホイール1iを回転させることで、単位時間当たりの蛍光体に供給される光エネルギー量を低減でき、励起光による蛍光体の温度上昇を抑制することができる。これにより、蛍光体の発光強度飽和や温度上昇による波長変換効率の低下を抑制することができる。
【0020】
(プロジェクタ)
図6は、本発明の光源装置を備えたプロジェクタの一例を示す模式図である。
図6を参照すると、プロジェクタは、光源装置、リレー光学系、色合成系、照明光学系、投射光学系及び表示素子11を有する。
光源装置は、
図1に示した固体光源ユニット6、縮小光学系7、集光光学系8、拡散板1f及び蛍光体ユニット9を有する。リレー光学系は、蛍光体ユニット9の蛍光体ホイール1iを透過した青色光を色合成系に導くものであって、レンズ2a、2b、2d、2f、2h、ミラー2c、2e、2gを含む。色合成系は、蛍光体ホイール1iからの黄色蛍光、赤色蛍光及び緑色蛍光と、リレー光学系からの青色光とを合成するものであって、ダイクロイックミラー3a、レンズ3b及びライトトンネル3cを含む。ダイクロイックミラー3aは、光源装置の拡散板1fとレンズ1gの間の光路上に配置されている。レンズ2a、2b、2d、2f、2h、3bはいずれも集光レンズである。
【0021】
光源装置において、蛍光体ホイール1iを回転させて、励起光(青色光)を黄色蛍光体領域10Y、赤色蛍光体領域10R、緑色蛍光体領域10G及び切り欠き10aの透過領域に順次照射する。黄色蛍光体領域10Yからの黄色蛍光、赤色蛍光体領域10Rからの赤色蛍光及び緑色蛍光体領域10Gからの緑色蛍光は、レンズ1h及びレンズ1gを順次通過して、色合成系のダイクロイックミラー3aの一方の面に入射する。切り欠き10aの透過領域を透過した励起光(青色光)は、リレー光学系に入射する。
リレー光学系において、蛍光体ホイール1iからの青色光は、レンズ2a、2bを通過後、ミラー2cにて略90°の角度で反射される。ミラー2cからの青色反射光は、レンズ2dを通過後、ミラー2eにて略90°の角度で反射される。ミラー2eからの青色反射光は、レンズ2fを通過後、ミラー2gにて略90°の角度で反射される。ミラー2gからの青色反射光は、レンズ2hを通過後、色合成系のダイクロイックミラー3aの他方の面に入射する。
【0022】
図7に、ダイクロイックミラー3aの分光透過特性を示す。ダイクロイックミラー3aは、可視光のうち、青色の波長帯域の光を透過し、それ以外の波長帯域の光を反射する特性を有する。このような特性を有するダイクロイックミラー3aは、誘電体多層膜より実現できる。
色合成系において、ダイクロイックミラー3aは、固体光源ユニット6からの励起光(青色光)を透過させる。また、ダイクロイックミラー3aは、蛍光体ホイール1iからの黄色蛍光、緑色蛍光及び赤色蛍光を反射し、リレー光学系からの青色光を透過させる。
ダイクロイックミラー3aを透過した青色光及びダイクロイックミラー3aで反射された黄色蛍光、緑色蛍光及び赤色蛍光は、同一光路でレンズ3bに入射する。レンズ3bは、ダイクロイックミラー3aからの青色光、黄色蛍光、緑色蛍光及び赤色蛍光をライトトンネル3cの一方の開口端上に集光する。すなわち、ライトトンネル3cには、黄色蛍光、赤色蛍光、緑色蛍光、青色光が順次入射する。
【0023】
レンズ1g、1hは、励起光を蛍光体ホイール1i上に集光する役割を持つだけでなく、蛍光体ホイール1iからの黄色蛍光、緑色蛍光及び赤色蛍光をそれぞれ平行光束化する役割を持つ。縮小光学系7からの励起光の光束径とレンズ1g、1hによって平行光束化された蛍光の光束径はほぼ一致する。また、リレー光学系を通ってダイクロイックミラー3cに入射する青色光の光束径も、これら励起光及び蛍光の光束径とほぼ一致する。これにより、ライトトンネル3c以降の照明光学系での、蛍光と青色光の取り込み角度を一致させることができ、均一な照明光を得ることができる。また、縮小光学系7により光束径を縮小した励起光をダイクロイックミラー3aに供給するように構成したことで、集光光学系8、拡散板1f、リレー光学系及び色合成系の小型化が可能となっている。
ライトトンネル3cは、直方体形状の中空構造のものであって、一方の開口端より入射した光が内部を伝搬して他方の開口端より出射される。ライトトンネル3cの一方の開口端面(入射面)は、レンズ3bの焦点位置に配置されている。蛍光体ホイール1iの照射面とライトトンネル3の入射面とは結像関係にある。ライトトンネル3cの他方の開口端より出射した光は、矩形の均一な強度分布を持つ光となって、照明光学系に供給される。
【0024】
照明光学系は、レンズ4a、4b、4d及びミラー4cを含む。レンズ4a、4b、4dは集光レンズである。ライトトンネル3の他方の開口端より出射した光は、レンズ4a、4bを順次通過した後、ミラー4cにて反射される。ミラー4cからの反射光は、レンズ4dを介して表示素子11に照射される。この照明光学系では、ライトトンネル3cの出射端の矩形の均一な強度分布を維持したまま照明光が表示素子11に拡大照明される。
表示素子11は、映像信号に応じて照明光学系からの光束を空間的に変調して画像を形成する。表示素子11は、例えば、ディジタルマイクロミラーデバイス(DMD)である。DMDは、複数の微小ミラーを有し、各微小ミラーは、駆動電圧に応じて角度が変化するように構成されており、オン状態を示す駆動電圧が供給された場合とオフ状態を示す駆動電圧が供給された場合とで反射角度が異なる。映像信号に応じて各微小ミラーをオンオフ制御することで、入射光束を空間的に変調して画像を形成する。なお、表示素子11として、DMDの他、液晶パネルなどを用いることもできる。
表示素子11に形成された画像は、投射光学系の投射レンズ5aによって投射面上に拡大投射される。投射面は、スクリーンや壁など、画像を投射できるものであればよい。
本プロジェクタによれば、蛍光の発光サイズを調整することで、光源装置の発光効率と後段の光学系での取り込み効率のバランスをとることができ、プロジェクタ全体としての総合的な光学系の光利用効率を高めることができる。
以上説明した光源装置及びプロジェクタは、本発明の一例であり、その構成は適宜に変更することができる。
【0025】
また、本発明は、以下の付記1〜5のような形態をとり得るが、これら形態に限定されない。
[付記1]
蛍光体を備えた蛍光体部と、
前記蛍光体を励起する励起光を出力する励起光源と、
前記励起光源より出力された前記励起光の光束径を縮小する縮小光学系と、
前記縮小光学系によって光束径が縮小された励起光を前記蛍光体部上に集光する集光光学系と、を有し、
前記縮小光学系は、
正のパワーを持つ2枚以上のレンズを含む複数のレンズと、
前記複数のレンズを保持する保持部と、を有し、
前記2枚以上のレンズのうちの正のパワーが最も小さなレンズが前記励起光源側に配置され、
前記保持部は、前記正のパワーが最も小さなレンズを前記縮小光学系の光軸方向に往復移動するレンズ移動部を有し、
前記正のパワーが最も小さなレンズの屈折率は、前記縮小光学系の他のレンズの屈折率以下である、光源装置。
[付記2]
前記励起光源は、
アレイ状に配置された複数の固体光源と、
前記複数の固体光源それぞれの出力光を平行光束化する複数のコリメータレンズと、を有し、
前記縮小光学系及び集光光学系は、前記複数の固体光源の光源像を前記蛍光体部上に結像する、付記1に記載の光源装置。
[付記3]
前記縮小光学系と前記集光光学系の間の光路上に設けられ、入射光を拡散する拡散板を、さらに有する、付記1又は2に記載の光源装置。
[付記4]
付記1から3のいずれか1つに記載の光源装置と、
前記光源装置から出力された光を空間的に変調して画像を形成する表示素子と、
前記表示素子により形成された画像を拡大投射する投射光学系と、を有するプロジェクタ。
[付記5]
前記光源装置の出力光が一方の開口端から入射し、入射した光が内部を伝搬して他方の開口端より出射されるライトトンネルを備え、該ライトトンネルの他方の開口端より出射された光を前記表示素子に照射する照明光学系を、さらに有する、付記4に記載のプロジェクタ。
上記付記1〜3の光源装置において、励起光源、縮小光学系、集光光学系及び蛍光体部はそれぞれ、
図1に示した固体光源ユニット6、縮小光学系7、集光光学系8および蛍光体ユニット9に対応する。拡散板は、
図1に示した拡散板1fに対応する。
上記付記4〜5のプロジェクタにおいて、表示素子及び投射光学系はそれぞれ
図6に示した表示素子11及び投射レンズ5aに対応する。また、ライトトンネルは、
図6に示したライトトンネル3cに対応する。