特許第6238399号(P6238399)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238399
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】ディーゼル機関車
(51)【国際特許分類】
   B61C 5/00 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   B61C5/00
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-174428(P2013-174428)
(22)【出願日】2013年8月26日
(65)【公開番号】特開2015-42520(P2015-42520A)
(43)【公開日】2015年3月5日
【審査請求日】2016年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】500156117
【氏名又は名称】神鋼物流株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 盛吾
(72)【発明者】
【氏名】中垣 重光
(72)【発明者】
【氏名】西川 和毅
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】大迫 一敏
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−349313(JP,A)
【文献】 特公昭61−057934(JP,B2)
【文献】 特開昭55−051651(JP,A)
【文献】 特開平11−115616(JP,A)
【文献】 特開2003−322072(JP,A)
【文献】 特開平08−100754(JP,A)
【文献】 実開昭55−034918(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61C 5/00 − 5/04
F02N 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機関車を走行させるディーゼルエンジンと、
前記機関車の運転を制御する制御装置と、
前記ディーゼルエンジンを動力源とする発電機と、
前記発電機で充電されるバッテリとを備え、
前記バッテリを電源として、前記ディーゼルエンジンの始動と前記制御装置の作動を行うディーゼル機関車において、
前記バッテリを2系統の電源に分けて、一方の系統の電源で前記ディーゼルエンジンを始動し、他方の系統の電源で前記制御装置を作動するように構成し、
前記ディーゼルエンジンの始動を検知する手段が前記制御装置に接続され、前記始動が前記ディーゼルエンジンの始動を検知する手段により検知されないときに前記始動をリトライするリトライ回路が前記制御装置に組み込まれ、
前記ディーゼルエンジンの始動が、前記一方の系統の電源で駆動されるセルモータ側の歯車を前記ディーゼルエンジン側の歯車と噛み合わせて行うものであり、
前記ディーゼルエンジンの始動を検知する手段は、前記ディーゼルエンジン側の歯車の回転を検出するピックアップセンサであり、
このピックアップセンサの検出出力に基づいて前記始動を検知するものとしたことを特徴とするディーゼル機関車。
【請求項2】
前記ディーゼルエンジンの始動を遠隔操作で行うようにした請求項1に記載のディーゼル機関車。
【請求項3】
前記機関車を、前記ディーゼルエンジンで駆動されるコンプレッサで蓄圧されるエアタンクのエアを供給してブレーキを作動させるエアブレーキを備えたものとし、前記エアタンクのエア供給口に、エアの供給を遮断する電磁開閉弁を設けた請求項1または2に記載のディーゼル機関車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼル機関車に関し、特に停車待機時間の長いものに好適なディーゼル機関車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば製鉄所の構内では、広い構内に離間して配置した製銑、製鋼、連続鋳造、圧延等の各工程の工場間に軌条を敷設し、溶銑、溶鋼、半製品、製品等をディーゼル機関車で搬送している。このような構内で使用される構内ディーゼル機関車は、各工程での停車待機時間が長く、かつ、待機時間も一定しないことが多い。
【0003】
上述した構内ディーゼル機関車は各工程の進捗に合わせて運行する必要があり、速やかに運転を再開できるように、ディーゼルエンジンを稼働したまま待機させている。このため、待機中のディーゼルエンジンの無駄な稼動によって、燃料消費量が多くなるとともに、余分な排ガスによって環境が汚染される問題がある。
【0004】
このような待機中のディーゼルエンジンの無駄な稼動を低減する手段としては、ディーゼルエンジンのほかにモータを搭載し、エンジン駆動とモータ駆動を併用する電気式ディーゼル機関車が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された電気式ディーゼル機関車は、主ディーゼルエンジンを動力源とする主発電機と、補助ディーゼルエンジンを動力源とする補助発電機とを設け、主発電機を電源としてモータを駆動し、補助発電機を電源として主ディーゼルエンジンの運転/停止と制御装置の作動を行うようにしている。
【0005】
なお、従来のディーゼル機関車は、ディーゼルエンジンを動力源とする発電機を備え、この発電機で充電されるバッテリを共通の電源として、ディーゼルエンジンの運転/停止と制御装置の作動を行っている。また、構内ディーゼル機関車は、一人の運転者で連結される貨車や連結部等の点検も行えるように、機関車から離れて遠隔操縦できるようにしたものが多い(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−203420号公報
【特許文献2】特開2002−364399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された電気式ディーゼル機関車は、ディーゼルエンジンの無駄な稼動を低減することができるが、仕様変更に莫大な費用を必要とする問題がある。
【0008】
なお、ディーゼルエンジンの無駄な稼動を低減する手段としては、一般の車両で採用されているアイドリングストップを行うことが考えられる。しかしながら、ディーゼル機関車は、ディーゼルエンジンの運転/停止と制御装置の作動を共通の電源で行っているので、アイドリングストップを行うと、再始動時にディーゼルエンジン始動用のセルモータを駆動したときに、電源電圧が急激に低下して、制御装置内に記憶された運転用データがリセットされる等の不具合が生じ、制御装置が正常に作動しない恐れがある。このため、ディーゼルエンジンを安定して再始動させることができず、待機後の速やかな運転再開が要求される構内ディーゼル機関車にはそのままでは適用できない問題がある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、アイドリングストップを行っても、安価な仕様変更でディーゼルエンジンを安定して再始動させることができるディーゼル機関車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、機関車を走行させるディーゼルエンジンと、前記機関車の運転を制御する制御装置と、前記ディーゼルエンジンを動力源とする発電機と、前記発電機で充電されるバッテリとを備え、前記バッテリを電源として、前記ディーゼルエンジンの始動と前記制御装置の作動を行うディーゼル機関車において、前記バッテリを2系統の電源に分けて、一方の系統の電源で前記ディーゼルエンジンを始動し、他方の系統の電源で前記制御装置を作動する構成を採用した。
【0011】
すなわち、バッテリを2系統の電源に分け、一方の系統の電源でディーゼルエンジンを始動し、他方の系統の電源で制御装置を作動することにより、ディーゼルエンジンの再始動時に、制御装置を作動する電源の電圧低下を防止して、アイドリングストップを行っても、安価な仕様変更でディーゼルエンジンを安定して再始動させることができるようにした。
【0012】
前記ディーゼルエンジンの始動を遠隔操作で行うことにより、遠隔操縦される構内ディーゼル機関車に好適なものとすることができる。
【0013】
前記ディーゼルエンジンの始動を検知する手段と、前記始動が検知されないときに始動をリトライするリトライ回路とを設けることにより、遠隔操縦する運転者がディーゼルエンジンの始動を検知できなくても、自動的、かつ確実にディーゼルエンジンを始動することができる。
【0014】
前記ディーゼルエンジンの始動が、前記一方の系統の電源で駆動されるセルモータ側の歯車を前記ディーゼルエンジン側の歯車と噛み合わせて行うものである場合は、前記ディーゼルエンジンの始動を検知する手段を、前記ディーゼルエンジン側の歯車の回転を検出するセンサを設けて、このセンサの検出出力に基づいて前記始動を検知するものとすることができる。
【0015】
前記機関車を、前記ディーゼルエンジンで駆動されるコンプレッサで蓄圧されるエアタンクのエアを供給してブレーキを作動させるエアブレーキを備えたものとし、前記エアタンクのエア供給口に、エアの供給を遮断する電磁開閉弁を設けることにより、アイドリングストップ中にコンプレッサが停止されても、ブレーキへのエア配管等におけるエア漏れを防止して、ブレーキのエア圧を十分に確保することができる。なお、電磁開閉弁としたのは、電気信号で弁を開閉するためである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るディーゼル機関車は、バッテリを2系統の電源に分け、一方の系統の電源でディーゼルエンジンを始動し、他方の系統の電源で制御装置を作動するようにしたので、ディーゼルエンジンの再始動時に、制御装置を作動する電源の電圧低下を防止して、アイドリングストップを行っても、安価な仕様変更でディーゼルエンジンを安定して再始動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ディーゼル機関車の実施形態を示すケーシングを外した側面図
図2図1のディーゼルエンジンの始動装置を示す側面図
図3図1のディーゼル機関車の電気系統図
図4図1のディーゼル機関車のエアブレーキのエア系統図
図5図4のエアタンクにおけるアイドリングストップ中のエア圧の変化を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を説明する。このディーゼル機関車は製鉄所の構内で運行される構内ディーゼル機関車であり、図1に示すように、4対の車輪1aを備えた台車1に、制御装置2、ディーゼルエンジン3、トルクコンバータ4、トランスミッション5および燃料タンク6が搭載され、ディーゼルエンジン3の出力がトルクコンバータ4、第1推進軸7a、トランスミッション5、第2推進軸7b、第3推進軸7cおよび減速機8を介して各車輪1aに伝達される。台車1には、後述するエアブレーキ用のエア制御機器41、コンプレッサ42およびエアタンク43も搭載されている。コンプレッサ42はディーゼルエンジン3で駆動される。また、台車1は、ケーシング10で覆われ、その前後には、運転者用のデッキ11と連結器12も取り付けられている。このディーゼル機関車は、運転者が携帯する送信機によって遠隔操縦され、ディーゼル機関車には受信機(図示省略)も取り付けられている。
【0019】
図2は、前記ディーゼルエンジン3の始動装置を示す。ディーゼルエンジン3のクランク軸3aにはフライホイール歯車3bが取り付けられており、始動装置としてのセルモータ20の歯車20aが、ソレノイド21によってフライホイール歯車3bに噛み合わされるようになっている。ディーゼルエンジン3を始動するときは、ソレノイド21を作動してロッド21aを引き込むことにより、その先端に取り付けられたレバー22で歯車20aを前方へ押し出してフライホイール歯車3bと噛み合わせ、セルモータ20を駆動することにより、フライホイール歯車3bを回転させてディーゼルエンジン3を始動する。
【0020】
前記ディーゼルエンジン3の始動時には、フライホイール歯車3bとセルモータ20の歯車20aが噛み合わず、フライホイール歯車3bが回転しないことがあるが、離れた位置で遠隔操縦によってディーゼルエンジン3を始動する運転者は、フライホイール歯車3bが回転してディーゼルエンジン3が始動したか否かを検知することができない。
【0021】
前記フライホイール歯車3bの外周側には、その回転を検出するピックアップセンサ23が設けられている。また、前記制御装置2には、ピックアップセンサ23でフライホイール歯車3bの回転が検出されないときに、ディーゼルエンジン3の始動をリトライするリトライ回路が組み込まれている。このリトライ回路は、先の始動操作から1秒後にリトライ指令を出力するようになっており、多くても3回程度のリトライでディーゼルエンジン3を始動させることができる。したがって、遠隔操縦する運転者がディーゼルエンジン3の始動を検知できなくても、自動的、かつ確実にディーゼルエンジン3を始動することができる。
【0022】
図3は、上述したディーゼル機関車の電気系統図である。このディーゼル機関車は、ディーゼルエンジン3を動力源とする発電機30と、発電機30で充電される4台のバッテリ31a、31bを備えている。2台ずつのバッテリ31aとバッテリ31bとは、電源ボックス32を介して別々の電源ケーブル33a、33bで、始動装置としてのセルモータ20およびソレノイド21とディーゼル機関車の制御装置2とに2系統に分けて接続されている。したがって、ディーゼルエンジン3の始動と制御装置2の作動が別系統の電源で行われるので、始動時にセルモータ20を駆動するバッテリ31a側の電圧が低下しても、制御装置2を作動するバッテリ31b側の電圧が低下することはなく、制御装置2を正常に作動させて、ディーゼルエンジン3を安定して再始動させることができる。
【0023】
図示は省略するが、前記制御装置2は信号ケーブルでエンジン系、ブレーキ系等の各種センサや制御機器に接続され、ディーゼル機関車全体の運転を制御する制御回路と運転用データの記憶回路が組み込まれている。制御装置2は遠隔操縦用の受信機とピックアップセンサ23にも接続され、前記リトライ回路も組み込まれている。
【0024】
図4は、前記エアブレーキのエア系統図である。ディーゼルエンジン3で駆動されるコンプレッサ42で蓄圧されるエアタンク43のエアは、エア配管44で車輪1aに設けられたブレーキシリンダ45に供給され、エアタンク43の供給口に電磁開閉弁46が取り付けられている。この電磁開閉弁46はディーゼルエンジン3とコンプレッサ42が停止するアイドリングストップ時に閉とされる。
【0025】
図5は、前記エアタンク43に圧力計を取り付けて、アイドリングストップ中のエア圧の変化を測定した結果を示す。エアブレーキを確実に作動させる最低の限界エア圧は4kg/cmであり、初期のエア圧は8kg/cmに対して、24時間経過してもエア圧は6kg/cm程度までしか低下していない。この測定結果より、前記電磁開閉弁46を取り付けることにより、かなり長時間アイドリングストップしてコンプレッサ42が停止しても、エアブレーキを作動させる十分なエア圧を確保できることが確認できた。表示は省略するが、電磁開閉弁46を取り付けない場合は、エア配管44等におけるエア漏れによって、エア圧は24時間よりもかなり短い時間で4kg/cm以下に低下する。
【0026】
上述した実施形態では、4台のバッテリを2台ずつ2系統の電源に分割したが、バッテリの総台数と分割台数は実施形態のものに限定されることはなく、ディーゼル機関車の大きさ等に応じて任意に選定することができる。
【0027】
上述した実施形態では、製鉄所の構内で使用される構内ディーゼル機関車としたが、本発明に係るディーゼル機関車は、停車待機時間が長い他のディーゼル機関車にも適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 台車
1a 車輪
2 制御装置
3 ディーゼルエンジン
3a クランク軸
3b フライホイール歯車
4 トルクコンバータ
5 トランスミッション
6 燃料タンク
7a、7b、7c 推進軸
8 減速機
10 ケーシング
11 デッキ
12 連結器
20 セルモータ
20a 歯車
21 ソレノイド
21a ロッド
22 レバー
23 ピックアップセンサ
30 発電機
31a、31b バッテリ
32 電源ボックス
33a、33b 電源ケーブル
41 エア制御機器
42 コンプレッサ
43 エアタンク
44 エア配管
45 ブレーキシリンダ
46 電磁開閉弁
図1
図2
図3
図4
図5