(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る吸収性物品の製造方法の好ましい一実施形態について、
図1から
図5を参照しながら、以下に説明する。まず、吸収性物品の製造方法を実施する製造装置の好ましい一例を、
図1によって説明する。
【0009】
図1に示すように、本発明の吸収性物品の製造方法では、図示はしていないが、パルプシートを解繊機により解繊したパルプと、ポリマー供給部(図示せず)から吸収性ポリマーを加工機(積繊機)101のダクト102内に供給する。そして積繊機101でパルプとともに吸収性ポリマーを堆積して吸収性物品の吸収体10を作製する。作製された吸収体10は、搬送ライン110上に供給され、搬送ライン110上を搬送される。搬送される吸収体10に対して、搬送ライン110上に配された照明部121から照明光Lを照射し、搬送ライン110を挟んで照明部121に対向する位置に配された撮像部122で、吸収体10を透過した透過照明光Ltを受光して撮像する。
上記照明部121と撮像部122を設置する位置は、例えば、コンベア(例えば、バキュームコンベア)111上に供給された台紙50上に積繊機101から吸収体10を供給した後から、吸収体10を包むように台紙50を折る台紙折り部112に達する前までの間が好ましい。例えば、吸収体10の照明にコンベア111の影響を受けないコンベア111と台紙折り部112との間に配することが好ましい。この間は、照明光Lで1枚の台紙50と1枚の吸収体10を透過照明した吸収体10(台紙50も含む)以外は撮像部122に撮影されない領域となっている。台紙折り部112より下流側では、台紙50が折られるため、吸収体10を透過した光に台紙50を折った部分が影となって影響がでる可能性があるため、好ましくない。一方コンベア111上ではコンベア111が撮像され、好ましくない。
【0010】
照明部121は、通常の白色照明光を照射する照明装置を用いることができる。特に、単一波長の照明装置を用いる必要はない。また、吸収体10に照射される照明光Lにむらを生じないように、図示はしないがコリメートレンズとフライアイレンズの組み合わせ等の照度を均一化する光学手段によって、むらのない均一な照度の照明光とすることが好ましい。その照度は、吸収体10および台紙50を透過する照度であればよい。
【0011】
撮像部122は、画像処理しやすくするために、撮像素子を有する撮像装置を用いることが好ましい。撮像素子としては、電荷結合素子(CCD)であってもCMOSセンサであってもよい。撮像素子は、必ずしもカラー撮像素子である必要はなく、例えば256階調のグレースケールでの階調表現ができる撮像素子であればよく、さらに高階調な階調表現ができる撮像素子であってもよい。また、撮像素子の2画素もしくは4画素またはそれ以上の複数画素を1画素として、階調表現を高めてもよい。
【0012】
撮像部122には、撮像した画像信号を処理する画像処理装置123が接続されている。画像処理装置123は、例えば、パーソナルコンピュータを用いることができ、下記に説明する画像処理を実行する。
【0013】
次に、撮像部122によって取得された吸収体10の画像の画像処理を含む検査方法を第1実施形態として、
図2から
図5を参照して以下に説明する。この画像処理は、フラットな吸収体の画像処理に適用されるのが好ましい。
【0014】
図2に示すように、検査する吸収体のマスター画像を登録する(S1)。すなわち、検査する吸収体の基準となる吸収体の形状を登録する。
【0015】
次に、取得した吸収体の画像に検査領域を設定する(S2)。この検査領域は、例えば、
図3に示すように、予め、マスター画像に対して設定しておく。例えば、吸収体の10の前側部F、中央部C、後側部Rの3区分に対応して検査領域11(11F)、11(11C)、11(11R)を設定する。この検査領域11の設定は、上記区分に限定されることはなく、さらに細分化してもよい。また、検査領域の大きさ、形状、位置は検査対象に応じて適宜設計可能である。さらに吸収体を漏れなく検査するために、マスター画像に対して複数の検査領域を設定する場合は、隣り合う検出領域同士が重なっていることが好ましい。その重なり量は、検査対象により異なるが好ましくは5mm以上40mm以下、より好ましくは10mm以上20mm以下の範囲とする。
【0016】
図2に示すように、撮像部122(
図1参照)で吸収体10を透過照明にて撮像し、吸収体10の透過画像を得る(S3)。以下、透過画像を画像という。
そして得られた吸収体の画像に上記検査領域11を当てはめて、得られた画像の検査領域11F、11C、11R毎に吸収体10の濃度を測定する(S4)。
【0017】
吸収体10の濃度の測定は、検査領域11内の画素(ピクセル)のそれぞれの吸収体濃度を求め、その平均値を検査領域11の吸収体濃度とする。例えば、検査領域11内に30万個の画素がある場合、その30万画素の各吸収体濃度を求める。例えば、
図4に示すように、吸収体濃度を0から255までの256階調とし、各階調における画素数を吸収体濃度の濃度分布として求める。なお、グラフの縦軸は画素数であり、横軸は階調、すなわち吸収体濃度である。そして検査領域11の全画素の吸収体濃度を加算してその基準平均濃度値X(base)を算出する。
【0018】
上記検査フローでは、各検査領域の濃度で製品の良否を判定している。これを各検査領域で測定した吸収体濃度から、予め測定しておいた吸収体濃度と吸収体坪量との相関関係に基づいて各検査領域の吸収体坪量を求め、各検査領域の吸収体坪量と当該検査領域の規定坪量とを比較して吸収体の良否を判定するのも好ましい。例えば、
図5に示すように、吸収体濃度と吸収体坪量との関係は、実験によって直線で示せる相関関係を有することがわかっている。グラフは、縦軸に濃度を階調で示し、横軸に吸収体坪量(g/m
2)を示した。具体的には、吸収体濃度と吸収体坪量の関係は、一次関数に近似されるように、吸収体濃度が高くなると吸収体坪量が減少し、吸収体濃度が低くなると吸収体坪量が増大する。したがって、吸収体濃度がわかれば、
図5に示した相関関係から坪量を求めることが容易にできる。また、溝部と非溝部など吸収体濃度が極端に異なる箇所のように同じ近似直線に乗らない場合には、それぞれの領域で近似直線を作成する。
このようにして、吸収体坪量をインライン上で測定することが可能になる。
【0019】
次に
図2に示すように、予め、図示していない記憶装置に記憶しておいた各検査領域の規定濃度の上限値Y、下限値Zを参照する(S5)。そして上記基準平均濃度値Xが規定の上限値Yと下限値Zとを含み上限値Yと下限値Zとの間、すなわちZ≦X≦Yなる関係にあるか否かを調べ、製品の良否を判定する(S6)。
判定の結果、基準平均濃度値Xが上限値Yより大きい、X>Yなる関係、または下限値Z未満である、X<Zなる関係の場合、その吸収体は不良品として製品を排出し、次の吸収体の検査を指示する(S7)。製品の排出については、排出する製品の吸収体を登録しておき、後の工程の不良製品排出時に排出登録しておいた吸収体を含む製品を排出することができる。
判定の結果、基準平均濃度値Xが、上限値Y以下であり下限値Z以上であるZ≦X≦Yなる関係の場合、その吸収体を次の工程に送り、次の吸収体の検査を指示する(S8)。
次の吸収体の検査を指示した場合、再び、次の吸収体を撮像(S3)し、以下、上記同様に検査を行う。なお、図示はしていないが、次の吸収体の検査に移行する際に、次に検査する吸収体の有無の判定を行うのが好ましい。そして検査をする次の吸収体がない場合には、検査フローを終了する。
【0020】
次に、撮像部122(
図1参照)によって取得された吸収体画像の画像処理を含む別の方法を第2実施形態として、
図6から
図10を参照して以下に説明する。この画像処理は、溝(薄肉部)を有する吸収体の画像処理に適用されるのが好ましい。薄肉部とは吸収体の厚さが薄い部分をいう。
図6に示すように、検査する吸収体のマスター画像を登録する(S1)。すなわち、検査する吸収体の基準となる吸収体の形状や溝部の位置等を登録する。
【0021】
次に、取得した吸収体画像に検査領域を設定する(S2)。この検査領域は、
図7に示すように、予め、マスター画像に対して検査領域を設定しておく。例えば、吸収体10の前側部F1、F2、中央部C1、C2、後側部R1、R2の6区分に対応して検査領域11について検査領域11F1、11F2、11C1、11C2、11R1、11R2を設定する。この検査領域11の設定は、上記区分に限定されることはなく、さらに細分化してもよい。また、検査領域の重なり量は上記の通りである。もしくは、後述する吸収体ブロック1個分である。
【0022】
図6に示すように、撮像部122で吸収体10を透過照明にて撮像し、吸収体10の透過画像を得る(S3)。以下、透過画像を画像という。
そして得られた吸収体の画像に上記検査領域11を当てはめて、検査領域11F1、11F2、11C1、11C2、11R1、11R2毎に吸収体10の濃度を測定する(S4)。
【0023】
図6に示すように、吸収体濃度の測定は、検査領域11内における画素(ピクセル)のそれぞれの吸収体濃度を求め、その平均値を検査領域11の吸収体濃度とした。例えば、検査領域11内に30万個の画素がある場合、その30万画素の各吸収体濃度を求める。例えば、
図8(b)に示すように、吸収体濃度を0から255までの256階調とし、各階調における画素数を吸収体濃度の濃度分布として求める。なお、グラフは、縦軸は画素数であり、横軸は階調、すなわち吸収体濃度である。そして検査領域11の全画素の吸収体濃度を加算してその平均濃度値X(base)を算出する。
【0024】
次に平均濃度値Xを基準溝部の吸収体濃度と非溝部の吸収体濃度に分ける(S11)。
図8(a)に示すように、非溝部12は、吸収体10の肉厚が溝底部の溝部13より厚くなっているので透過照明光が溝部13より弱く受光されるため、暗く撮像される。したがって、
図8(b)に示すように、基準平均濃度値Xより暗い領域が非溝部12となる。そして、
図8(b)の左側部分の拡大図(d)に示すように、基準平均濃度値Xよい暗い領域の平均濃度を非溝部の基準平均濃度値Xaとして求める(S12)。
一方、溝部13は、吸収体の肉厚が薄くなっているので透過照明光が強く受光されるため、明るく撮像される。したがって、基準平均濃度値Xより明るい領域が溝部13となる。ここで、非溝部12と溝部13とを明確に区画するため、基準平均濃度(階調)値Xにα階調を加算する。この加算処理を行わない場合は、
図8(a)に示すように、溝部13の輪郭がぼやけた状態になり、非溝部12と溝部13とを区画することが困難になる。そこでぼやけた部分を明確化するために5階調から10階調分のαを加算する。αの値は、実験等によって、予め求めておくことが好ましい。その結果、
図8(c)に示すように、非溝部12と溝部13とが明確になる。そして、
図8(b)の右側部分の拡大図(e)に示すように、X+αより明るい領域の平均濃度を溝部の基準平均濃度値Xbとして求める(S13)。
【0025】
上記検査フローでは、各検査領域の吸収体濃度で製品の良否を判定している。これを、前述したのと同様にして、各検査領域で測定した吸収体濃度から、予め測定しておいた吸収体濃度と吸収体坪量との相関関係に基づいて各検査領域の吸収体坪量を求め、各検査領域の吸収体坪量と当該検査領域の規定坪量とを比較して吸収体の良否を判定するのも好ましい。
例えば、
図9に示すように、試料1から試料6の順に、吸収体坪量を多くした試料を用意し、上記検査方法によって各吸収体坪量を求めた。その結果を表1に示す。
【0027】
次に非溝部の場合、
図6に示すように、予め、図示していない記憶装置に記憶しておいた各検査領域の規定濃度の上限値Ya、下限値Zaを参照する(S14)。そして上記基準平均濃度値Xaが規定の上限値Yaと下限値Zaとの間にあるか否かを調べ、製品の良否を判定する(S15)。
判定の結果、基準平均濃度値Xaが、上限値Yaより大きいまたは下限値Zaより小さい場合、その吸収体は不良品として製品を排出し、次の吸収体の検査を指示する(S16)。製品の排出については、排出する製品(吸収体)を登録しておき、後の工程の不良製品排出時に排出登録しておいた吸収体を含む製品を排出することができる。
判定の結果、基準平均濃度値Xaが、上限値Y以下、下限値Z以上の場合、その吸収体を次の工程に送り、次の吸収体の検査を指示する(S17)。
次の吸収体の検査を指示した場合、再び、吸収体を撮像する(S3)で、次の吸収体を撮像し、以下、上記同様に検査を行う。なお、図示はしていないが、次の吸収体の検査に移行する際に、次に検査する吸収体の有無の判定を行うのが好ましい。そして検査をする次の吸収体がない場合には、検査フローを終了する。
【0028】
次に溝部の場合、予め、図示していない記憶装置に記憶しておいた各検査領域の規定濃度の上限値Yb、下限値Zbを参照する(S18)。そして上記基準平均濃度値Xbが規定の上限値Ybと下限値Zbとの間にあるか否かを調べ、製品の良否を判定する(S19)。
判定の結果、基準平均濃度値Xbが、上限値Ybより大きいまたは下限値Zbより小さい場合、その吸収体は不良品として製品を排出し、次の吸収体の検査に移行する(S16)。製品の排出については、排出する製品(吸収体)を登録しておき、後の工程の不良製品排出時に排出登録しておいた吸収体を含む製品を排出することができる。
判定の結果、基準平均濃度値Xbが、上限値Yb以下で下限値Zb以上の場合、その吸収体を次の工程に送り、次の吸収体の検査に移行する(S19)。
次の吸収体の検査に移行した場合、再び、吸収体を撮像する(S3)で、次の吸収体を撮像し、以下、上記同様に検査を行う。なお、図示はしていないが、次の吸収体の検査に移行する際に、次に検査する吸収体の有無の判定を行うのが好ましい。そして検査をする次の吸収体がない場合には、検査フローを終了する。
【0029】
その結果を
図10に示す。縦軸に濃度、すなわち階調を示し、横軸に吸収体坪量をg/m
2の単位で示した。吸収体濃度と吸収体坪量の関係は、一次関数に近似され、吸収体濃度が高くなると吸収体坪量が減少し、吸収体濃度が低くなると吸収体坪量が増大する。
このようにして、吸収体坪量をインライン上で測定することが可能になる。
【0030】
次に、
図1に示した撮像部122によって取得された吸収体画像を画像処理するさらに別の方法を第3実施形態として、
図11および
図12を参照して以下に説明する。この画像処理は、坪量が異なる領域を有する吸収体の画像処理に適用されるのが好ましい。検査フローは前記
図2によって説明した検査フローを用いる。
【0031】
前記
図2に示すように、検査する吸収体のマスター画像を登録する(S1)。すなわち、検査する吸収体の基準となる吸収体の外形状、坪量の異なる領域の形状等を吸収体のマスター画像として登録する。
【0032】
次に、取得した吸収体の画像に検査領域を設定する(S2)。この検査領域は、例えば、
図11に示すように、予め、マスター画像に対して設定しておく。例えば、吸収体が低坪量部、中坪量部、高坪量部の3区分にされている場合は、例えば、低坪量部の検査領域を検査領域11a、11b、11c、11e、11h、11i、11kとし、中坪量部の検査領域を検査領域11d、11f、11jとし、高坪量部の検査領域を検査領域11gとする。ここで、低坪量部の検査領域を6区分、中坪量部の検査領域を3区分にしているのは、各検査領域間の面積差を少なくして、各検査領域の画素数差を少なくするためである。各検査領域11aから11kまでは、各検査領域内が溝等の薄肉部がないフラットな状態にある。
上記低坪量部、中坪量部、高坪量部は相対的な坪量の差であり、各坪量部が、それぞれある一定の範囲の坪量でなくともよい。あくまでも、各坪量部間における坪量が多いか、少ないかの相対的な関係である。
上記検査領域11aから11kの設定は、上記区分に限定されることはなく、区分数を少なくしても、さらに細分化してもよい。なお、坪量が同等の領域が隣り合っている場合は隣り合う検査領域の一部が重なり、隣の領域の坪量が異なる坪量領域の場合は隣り合う検査領域が重ならない。
【0033】
次に、上記各検査領域11aから11kまで、順に、前記
図2によって説明した検査フローに基づいて、各検査領域11aから11kまでの吸収体濃度を求め、吸収体坪量を求める。
なお、検査領域の吸収体に溝部を有する場合には、前記
図6によって説明した検査フローに基づいて、対象となる検査領域の検査を行えばよい。
このようにして、吸収体坪量をインライン上で測定することが可能になる。
【0034】
低坪量部の検査結果を示す濃度ヒストグラムの一例として、
図12に示すように、低坪量部の基準平均濃度値X1となる。また図示していない中坪量部の基準平均濃度値、高坪量部の基準平均濃度値は、低坪量部から中坪量部、高坪量部になるにつれて、平均濃度値は低くなる方向にシフトする。
【0035】
次に、吸収体10が吸収体ブロックを有する場合についての検査方法を以下に説明する。
【0036】
図13に示すように、吸収体10は、その一面側に溝14を有している。溝14は、例えば、吸収体10の長手方向(Y方向)に複数本の縦溝14Aを有し、長手方向と直交する幅方向(X方向)に複数本の横溝14Bを有する。この横溝14Bは、例えば、長手方向の1列ごとに長手方向の配置位置をずらして配置されている。これらの縦溝14Aおよび横溝14Bは繋がっており連続した溝となっている。なお、溝14の配置形態は種々の形態を採用することが可能であり、例えば、一部が斜め格子状に配置されていてもよいし、曲線状であってもよい。
溝14の深さDが100%未満の場合には溝14の側部に複数の吸収体ブロック15が分立され、その溝14の底部に吸収体10の一部が残される。この場合、複数の吸収体ブロック15同士は、溝14の底部に存する吸収体10B(溝部12)によって繋がっている。一方、溝14の深さDが吸収体10の厚さTの100%の場合には吸収体10は溝14によって複数の吸収体ブロックに分離される。
【0037】
また上記吸収体10は、例えば、パルプ21と吸水性ポリマー22とを有する。例えば、積繊して成形されるパルプ21間に吸水性ポリマー22が分散されているものである。または、積繊して成形されるパルプ21の層間に吸水性ポリマー22が分散されているものであってもよい。
【0038】
上記のような吸収体ブロック15を有する吸収体10の吸収体坪量を検査するには、上記第2実施形態で説明した検査方法を用いればよい。また、吸収体ブロック15が集まるある領域の吸収体坪量が他の吸収体ブロック15が集まる領域の吸収体坪量と異なる場合には、上記第3実施形態と同様に、同等の吸収体坪量に設計された領域内で検査領域を設定し、各検査領域において上記第2実施形態の検査方法を行えばよい。
このようにして、吸収体坪量をインライン上で測定することが可能になる。
【0039】
上記各実施形態における検査方法を実施するには、吸収体10は、透過照明光が透過する材料で作製されていることが好ましい。例えば、積繊により製造される吸収体10は、その構成材料として、特に制限はないが、繊維材料、多孔質体、それらの組み合わせなどを用いることができる。繊維材料としては例えば、木材パルプ、コットン、麻などの天然繊維、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等の合成樹脂からなる単繊維、これらの樹脂を2種以上含む複合繊維、アセテートやレーヨンなどの半合成繊維を用いることができる。合成樹脂からなる繊維を用いる場合、該繊維は熱によって形状変化する熱収縮繊維であっても良い。例えば、熱によって繊度が太くなるが繊維長が短くなるもの、または、熱によって繊度はほとんど変化しないが、形状がコイル状に変形することで見かけの繊維の占有する長さが短くなるものであってもよい。多孔質体としては、スポンジ、不織布、吸水性ポリマーの凝集物などを用いることができる。
【0040】
吸収体10に含まれる吸収性ポリマーとしては、自重の5倍以上の液体を吸収、保持でき、かつゲル化し得るものが好ましい。形状は特に問わず、球状、塊状、ブドウ状、粉末状または繊維状であってよい。好ましくは大きさが1μm〜1000μm、より好ましくは10μm〜500μmの粒子状のものである。そのような吸収性ポリマーの例としては、デンプンや架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸またはアクリル酸アルカリ金属塩の重合体または共重合体等、ポリアクリル酸およびその塩ならびにポリアクリル酸塩グラフト重合体を挙げることができる。ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩を好ましく用いることができる。また、アクリル酸にマレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはスチレンスルホン酸等のコモノマーを吸収性ポリマーの性能を低下させない範囲で共重合させた共重合体も好ましく使用することができる。
【0041】
吸収体10に吸収性ポリマーが含まれていることは本発明において必須ではない。吸収体10に吸収性ポリマーが含まれている場合、吸収体10の質量に占める吸収性ポリマーの割合は、5質量%以上95質量%以下が好ましい。特に、生理用ナプキンや軽失禁などの低排せつ量の液を吸収する物品の場合では10質量%以上30質量%以下が好ましく、おむつなどの高排せつ量の液を吸収する物品の場合では50質量%以上80質量%以下であることが好ましい。
【0042】
台紙(中間シート)50(
図1参照)としては、排泄された液の引き込みおよび拡散機能や保持機能を有するもの、液戻り量を軽減するもの、吸水性ポリマーの漏れを抑制するもの、吸収体の崩れを抑制するもの等が用いられる。
そのような性能を有するシートとしては、例えば親水性を有する繊維を含むか、もしくは親水性油剤等で処理した繊維を含む不織布やフィルム、または多孔質体等が挙げられる。台紙の繊維の例として、(1)針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ等の木材パルプや木綿パルプ、ワラパルプ等の非木材パルプ等の天然セルロース繊維、(2)レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維、(3)ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維等の親水性合成繊維、(4)ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維を界面活性剤により親水化処理したもの等が挙げられ、これらの1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0043】
台紙50としては、例えば、ティッシュペーパーなどの紙、織布、不織布、編布、パーチメント、パピルス、パルプ積繊体等を用いることができる。不織布としては、例えば、ケミカルボンド不織布、サーマルボンド不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布、ステッチボンド不織布等が挙げられる。
【0044】
これらのシートは単層の状態でもよく、あるいは複数層が積層されて1枚のシートとなっている多層構造のものでもよい。また、伸縮性を有するシートでもよい。伸縮性を有するシートとしては、例えば弾性樹脂を含む繊維を構成繊維として含む不織布(弾性不織布)や、弾性樹脂を含むフィルム(弾性フィルム)や、発泡などの手段によって構造中に3次元ネットワークを形成させた弾性樹脂からなる弾性多孔質体などが挙げられる。
【0045】
台紙50の坪量は5g/m
2以上80g/m
2以下が好ましく、特に10g/m
2以上30g/m
2以下が好ましい。また、厚みは0.05mm以上5.0mm以下が好ましく、特に0.1mm以上3.0mm以下が好ましい。
台紙50は、図示していない表面シートと吸収体10の間のみに配されてもよいし、吸収体10と図示していない裏面シートとの間に配されていてもよく、また、吸収体10を包むように配されていてもよい。
【0046】
上記材料で作製される吸収体10および台紙50であれば、透過照明光による検査を実施することができる。
【0047】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の形態を開示する。
【0048】
<1>
吸収性物品の吸収体を積繊により製造する加工機から搬出された吸収体を、搬送ライン上で、前記吸収体を透過する透過照明光を照射して撮像する工程と、前記吸収体の撮影画像に少なくとも1つ以上の検査領域を設定し、該検査領域毎に吸収体濃度を測定する工程と、前記各検査領域で測定した吸収体濃度から、予め測定しておいた吸収体濃度と吸収体坪量との相関関係に基づいて各検査領域の吸収体坪量を求める工程と、前記各検査領域の吸収体坪量と当該検査領域の規定坪量とを比較して前記吸収体の良否を判断する工程とを有する吸収性物品の製造方法。
<2>
前記吸収体は溝が配された吸収体であり、前記検査領域内の前記吸収体濃度の平均を基準値として、前記基準値を境に吸収体濃度が濃い方を溝部、該基準値から一定量の吸収体濃度を加算した値を非溝部として区別し、溝部のみの吸収体濃度と、非溝部のみの吸収体濃度を求めることで、溝部の吸収体坪量と非溝部の吸収体坪量を求める<1>に記載の吸収性物品の製造方法。
<3>
前記非溝部の場合、予め、記憶装置に記憶しておいた各検査領域の規定濃度の上限値Ya、下限値Zaを参照して、基準平均濃度値Xaが規定濃度の上限値Yaと下限値Zaとの間にあるか否かを調べ、製品の良否を判定する<2>に記載の吸収性物品の製造方法。
<4>
前記溝部の場合、予め、記憶装置に記憶しておいた各検査領域の規定濃度の上限値Yb、下限値Zbをして、基準平均濃度値Xbが規定濃度の上限値Ybと下限値Zbとの間にあるか否かを調べ、製品の良否を判定する<2>または<3>に記載の吸収性物品の製造方法。
<5>
前記判定の結果、基準平均濃度値Xbが、上限値Ybより大きいまたは下限値Zbより小さい場合、その吸収体は不良品として製品を排出し、次の吸収体の検査に移行する<4>に記載の吸収性物品の製造方法。
<6>
前記吸収体は、坪量の異なる領域を有する吸収体であり、前記検査領域の設定において、前記吸収体坪量が異なる領域の形状に沿って前記検査領域を設定する<1>から<5>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<7>
前記吸収体の良否を判断する工程で、規定坪量から外れた吸収体を後工程の排出機構にて排除する<1>から<6>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<8>
前記吸収体は、透過照明光が透過する材料で作製されている<1>から<7>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<9>
前記吸収体は、前記積繊により製造する加工機でパルプとともに吸収性ポリマーを堆積して作製する<1>から<8>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<10>
前記搬送ライン上に供給されて搬送される前記吸収体に対して、前記搬送ライン上に配された照明部から照明光を照射し、前記搬送ラインを挟んで前記照明部に対向する位置に配された撮像部で、前記吸収体を透過した透過照明光を受光して撮像する<1>から<9>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<11>
前記照明部と前記撮像部を設置する位置は、前記搬送ライン(例えば、バキュームコンベア)上に供給された台紙上に前記積繊により製造する加工機から前記吸収体を供給した後から、前記吸収体を包むように前記台紙を折る台紙折り部に達する前までの間である<10>に記載の吸収性物品の製造方法。
<12>
前記照明部の照度は、前記吸収体および前記台紙を透過する照度である<10>または<11>に記載の吸収性物品の製造方法。
<13>
前記撮像部は、画像処理しやすくするために、撮像素子を有する撮像装置を用いる<10>から<12>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<14>
前記吸収体の基準となる吸収体の形状を登録したマスター画像に対して複数の前記検査領域を設定する場合は、隣り合う検出領域同士が重なっている<1>から<13>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<15>
吸収体濃度と吸収体坪量の関係は、一次関数に近似され、濃度が高くなると吸収体坪量が減少し、濃度が低くなると吸収体坪量が増大する<1>から<14>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<16>
検査する吸収体の基準となる吸収体の外形状、吸収体坪量の異なる領域の形状等を吸収体のマスター画像として登録する<1>から<15>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<17>
前記検査領域の設定は、吸収体坪量が同等の領域が隣り合っている場合は隣り合う検査領域の一部が重なる<1>から<16>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<18>
前記検査領域の設定は、隣の領域の吸収体坪量が異なる坪量領域の場合は隣り合う検査領域が重ならない<1>から<16>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<19>
前記吸収体は、その一面側に溝を有している<1>から<17>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<20>
前記溝は、前記吸収体の長手方向(Y方向)に複数本の縦溝を有し、長手方向と直交する幅方向(X方向)に複数本の横溝を有する<19>に記載の吸収性物品の製造方法。
<21>
前記吸収体に吸収性ポリマーが含まれている場合、前記吸収体の質量に占める吸収性ポリマーの割合は、5質量%以上95質量%以下が好ましい<1>から<20>のいずれか1に記載の吸収性物品の製造方法。
<22>
前記吸収体の質量に占める前記吸収性ポリマーの割合は、生理用ナプキンや軽失禁などの低排せつ量の液を吸収する物品の場合では10質量%以上30質量%以下が好ましい<21>に記載の吸収性物品の製造方法
<23>
前記吸収体の質量に占める吸収性ポリマーの割合は、おむつなどの高排せつ量の液を吸収する物品の場合では50質量%以上80質量%以下である<21>に記載の吸収性物品の製造方法。