(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6238423
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】フィルター構造体
(51)【国際特許分類】
B01D 46/00 20060101AFI20171120BHJP
B01D 39/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
B01D46/00 C
B01D39/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-90134(P2017-90134)
(22)【出願日】2017年4月28日
【審査請求日】2017年5月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505337021
【氏名又は名称】ピーコックエレメント製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183715
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 康治
(72)【発明者】
【氏名】▲つる▼見 信行
(72)【発明者】
【氏名】▲つる▼見 俊介
【審査官】
神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−531742(JP,A)
【文献】
特開平08−038839(JP,A)
【文献】
特開2011−131158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00−41/04
B01D 46/00−46/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアクリーナハウジング内に保持され、入口部から吸引した空気中の微粒子を除去して濾過した空気として出口部から排出するフィルター要素と、このフィルター要素を支持・補強すると共にエアクリーナハウジング部の内壁と接触して前記フィルター要素から前記出口部の経路とを確保するフレーム部とを備えたフィルター構造体であって、前記フィルター要素の出口側に装着され2つの部材から構成された前記フレーム部の一部が着脱可能に嵌合・固定する固定手段を備え、前記フレーム部が、前記フィルター要素の出口部端部外郭部を保持するフレーム基部と、前記ハウジング部の内壁と接触する部分を有するシール部材を備えるフレーム分離部とからなり、前記固定手段が、前記フレーム基部と前記シール部材を備えるフレーム分離部とを着脱可能に嵌合・固定するものであることを特徴とするフィルター構造体。
【請求項2】
前記フレーム基部が、前記出口部端部外郭部全周を保持する保持部と、この外郭部全周から縮径する縮径部と、この縮径部から前記出口部側に筒状に延びた環部とを備え、前記フレーム分離部が、フレーム基部の環部に嵌合する環状部と、該環状部の下部に形成された底面部と、該環状部の上端部から外側に突設したフック形体からなる外延部を備え、前記固定手段として、前記フレーム基部の環部と、この環部に嵌合される前記フレーム分離部の環状部と、前記環状部の外延部に取り付けられたシール部材を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルター構造体。
【請求項3】
前記固定手段として、前記フレーム基部の環部に対して前記フレーム分離部の環状部が嵌合される際に、前記フレーム基部の環部と前記フレーム分離部の環状部との嵌合位置を固定する掛止手段を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載のフィルター構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車や発電設備等のエンジンへの取り入れ空気の濾過に使用する交換可能なエアクリーナのフィルターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用エンジン又は発電設備用エンジンへの空気取入れ口からの空気の流れ、ガス・タービンへ送られるガスの流れ、様々な燃焼炉への空気の流れは、その中に粒子物質を含むことが多い。粒子物質は、これが関連するさまざまな機構の内部作動部に到達すると、これに対して実質的な損害を与える可能性がある。そのため、このようなシステムのためには、関連するエンジン、タービン、炉、または他の機器の上流におけるガス等の流れから粒子物質を除去することが好ましい。
【0003】
このため、種々のエアフィルターが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
図6は従来のフィルター部の略側面図である。
図6に示す通り従来のエアフィルターはフィルター要素109と、フィルター要素109の入口部102の台座部104と、フィルター要素109の出口部103のフレーム部101とが一体となったフィルター部100が図示しないハウジング部の内部に着脱自在に保持される。
【0004】
このフレーム部101は、フィルター要素109の出口部103に取付けられてフィルター部100を支持・補強すると共にハウジング部の内壁に接触して出口部103との経路を確保するため、樹脂モールド105で一体化され、フィルター要素109とフレーム部101とが一体となったフィルター部100を構成している。尚、
図6では、フィルター要素109の入口部102にもハウジング部の入口側に接触する台座部104が装着されているが、密閉性を重視されていないため、単体のフレームであり単純にフィルター要素109の捲回を保持させるためのものである。
【0005】
このようなフィルター部100は、一定時間の使用後微粒子が目詰まりしてその用途目的が達成できなくなると消耗品として除去され新たなフィルターと交換される。その際、フレーム部101もフィルター部100と一体化しているため、フィルター要素109とフレーム部101とが一体となったフィルター部100が交換され、廃棄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2002−542417号公報
【特許文献1】特表2007−515291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このタイプのエアフィルターはプラスティックの補強やパッキングが接着されセットとして販売されている。このため一定時間の使用後、その使用目的が達成できなくなり新たなフィルター要素に交換される際、フィルター要素に装着したフレーム及びフレームに取り付けたシール部材もフィルター要素と共に廃棄される。
【0008】
フレーム自体は磨耗、損傷しているわけではなく、フィルター要素の交換の都度フレームも共に廃棄されことは経済的に合理的でない。また廃棄処分されるフレームやシール部材の原材料が樹脂等であることから環境保護の面からも妥当でない。
【0009】
本発明は、係る課題を解決するためフィルター要素交換時にフィルター要素に装着されたフレームを全て廃棄することなくその一部を再利用できるフィルター構造体を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載された発明に係るフィルター構造体は、エアクリーナハウジング内に保持され、入口部から吸引した空気中の微粒子を除去して濾過した空気として出口部から排出するフィルター要素と、このフィルター要素を支持・補強すると共にエアクリーナハウジング部の内壁と接触して前記フィルター要素から前記出口部の経路とを確保するフレーム部とを備えたフィルター構造体であって、前記フィルター要素に装着された前記フレーム部の一部が着脱可能に嵌合・固定する固定手段を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に記載された発明に係るフィルター構造体は、請求項1に記載のフレーム部が、前記フィルター要素の出口部端部外郭部を保持するフレーム基部と、前記ハウジング部の内壁と接触する部分を有するフレーム分離部とからなり、前記固定手段が、前記フレーム基部と前記フレーム分離部とを着脱可能に嵌合・固定するものであることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載された発明に係るフィルター構造体は、請求項2に記載のフレーム基部が、前記出口部端部外郭部全周を保持する保持部と、この外郭部全周から縮径する縮径部と、この縮径部から前記出口部側に筒状に延びた環部とを備え、前記フレーム分離部が、フレーム基部の環部に嵌合する環状部と、該環状部の下部に形成された底面部と、該環状部の上端部から外側に突設したフック形体からなる外延部を備え、前記固定手段として、前記フレーム基部の環部と、この環部に嵌合される前記フレーム分離部の環状部と、前記環状部の外延部に取り付けられたシール部材を含むことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載された発明に係るフィルター構造体は、請求項3に記載の固定手段として、前記フレーム基部の環部に対して前記フレーム分離部の環状部が嵌合される際に、前記フレーム基部の環部と前記フレーム分離部の環状部との嵌合位置を固定する掛止手段を更に備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、廃棄物を極力減らすことは勿論のこと、新しいフィルターを簡単に交換することができるフィルター構造体を得ることができるという効果がある。また、取り外した部分のフレームを新たに交換されるフィルターに装着されたフレーム部分に嵌め込むことで再利用できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、エアクリーナハウジングの中に設置されたフィルター構造体10の概略断面図である。
【
図2】
図2は、第2フレームの説明図であり、図aはシール部材が取り付けられたフレーム分離部の概略断面図、図bはフレーム基部の概略断面図、図cはフレーム基部とフレーム分離部とが固定された状態を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、フィルター構造体の要部の拡大図である。
【
図4】
図4は、掛止手段を備えたフィルター構造体の要部の拡大図であり、図aはフレーム基部とフレーム分離部とが固定された状態を示し、図bはフレーム基部とフレーム分離部とが分離された状態を示す。
【
図5】
図5は、別の掛止手段を備えたフィルター構造体の要部の拡大図であり、図aはフレーム基部とフレーム分離部とが固定された状態を示し、図bはフレーム基部とフレーム分離部とが分離された状態を示す。
【
図6】
図6は、従来のフィルター部の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のフィルター構造体の実施の形態を
図1〜3に基づいて説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明のフィルター構造体10が保持されるエアクリーナハウジング01(以下ハウジングと言う)は、入口部02から吸引した空気を内部に保持されたフィルター構造体10で濾過して出口部03に送り出すものである。
ハウジング01は、内部のフィルター構造体10を交換する際に用いるカバーを備え、カバーには、パッキングとカバーを固定するネジ止めあるいはフック止め機構とを備えている(いずれも図示せず)。
【0018】
フィルター構造体10にはフレーム単体からなる第1フレーム20がフィルター要素11の第1端部12に装着されており、フレーム基部40と、フレーム分離部50と、圧縮性シール部材60から構成される第2フレーム30が第2端部13に装着されている。 そして、フィルター構造体10はフィルター要素11の第1端部12をハウジング01の空気入口02の領域に向け、その第2端部13を空気出口03の領域に向けて設置されている。
【0019】
本発明のフィルター要素11としては、空気中の微粒子を濾過するものであればよい。好ましいフィルター要素11としては、特許文献1及び特許文献2にも示されているような、縦溝流路を形成する波形シートと、この波形シートの波頂部に固定される面シートとからなるフィルターシートを円筒状又は陸上競技場のトラック状に縦溝流路を形成するように捲回して形成されるものであればよい。
このフィルター要素11の入口側に装着される第1フレーム部20と出口側に装着される第2フレーム部30とが一体化されてフィルター構造体10が構成されている。
【0020】
本発明の第2フレーム部30は、
図2に示すように着脱可能の2つの部材から構成されフィルター要素11の第2端部13に取付けられてフィルター要素11を支持・補強すると共にハウジング01の内壁04に接触してより密閉性を高めて出口部03との経路を確保するものであればよい。尚、前記密閉性とはフィルター要素11を通過しない空気が混入してエンジン内に送られないようにハウジング01の内壁04の一部と第2フレーム部30とが係合して密閉シール64を形成していることを意味する。
【0021】
本発明の固定手段としては、フィルター要素11に装着された第2フレーム部30の一部が着脱可能に嵌合・固定するものであればよい。好ましくは、本発明の第2フレーム部30がフィルター要素11の出口部端部外郭部14を保持するフレーム基部40と、ハウジング01の内壁04と接触する圧縮性のシール部材60を備えるフレーム分離部50とからなり、好ましい固定手段としては、フレーム基部40とフレーム分離部50とを着脱可能に嵌合・固定するものであればよい。これにより、フィルター交換時にフレーム分離部50を取り外してフレーム基部40が装着されたフィルター要素11の部分を交換することにより、廃棄物を極力減らすことは勿論のこと、新しいフィルターを簡単に交換することができるフィルター構造体10を得ることができる。
【0022】
また、より好ましくは、本発明のフレーム基部40が、フィルター要素11の出口部端部外郭部14を保持する保持部41と、この保持部41の外郭部全周から縮径する縮径部42と、この縮径部から前記出口部側に筒状に延びた環部43とを備え、フレーム分離部50がフレーム基部40の環部43に嵌合する環状部51と、該環状部51の下部に形成されフィルター要素11の第2端部13の出口面に当接する底面部52と、該環状部51の上端部の外縁から突設したフック形体からなる外延部54を備え、固定手段としてフレーム基部の環部43と、この環部に嵌合する前記フレーム分離部の環状部51と、外延部54に取り付けられた圧縮性のシール部材60とを含むものである。
【0023】
好ましくは、本発明の固定手段としては、フレーム基部40の環部43とフレーム分離部50の環状部51が嵌合する際に、フレーム基部40の環部43の所定の位置と、それに対応するフレーム分離部50の環状部51の位置に、嵌合位置を固定する掛止手段を更に備えてもよい。これにより、フレーム基部40とフレーム分離部50がより強固に嵌合されることになる。
【0024】
フレーム基部40の保持部41は装着されるフィルター要素11の形状に合わせて例えば、円形やトラック形状をしており、この内径は使用するフィルター要素11の外径にほぼ等しくフィルター要素11の出口部端部外郭部14と円滑に嵌合するように調整されている。
またその奥行き長さもフィルター要素11が嵌合した際、外れることのない距離があればよい。このように保持部41は、フレーム基部40をフィルター要素11に取り付ける役目を有する。
【0025】
フレーム基部40の保持部41をフィルター要素11の出口部端部外郭部14に嵌装させて形成された重複領域15には接着剤を使用してフレーム基部40をフィルター要素11の出口部端部外郭部14に接着させ重複領域15からの空気の漏れを防止している。
【0026】
環部43は保持部41に準じた形状を有するが、その内径はフィルター要素11を通過して濾過された空気がハウジング01の出口部03の方向にスムーズに流れるように保持部41の内径より小さいサイズとなっている。この環部43はフレーム分離部50の環状部51を嵌合して保持する役目を有し、第2フレームを構成する2つフレームを一体化する基部となる。
【0027】
保持部41と環部43の間を繋ぐ部分として縮径部42がある。縮径部42は、保持部
41と環部43の内径差のある区間を濾過された空気が抵抗なく流れる通路として保持部41から環部43に向かって一定の長さの狭窄した環で保持部41と環部43を繋いでいる。
【0028】
フレーム分離部50の環状部51は、
図2aに示すようにフレーム分離部50の本体を形成するものであり、フレーム基部40の環部43に準じた形状を有している。また、その環状部51は、フレーム基部40の環部43に密接に嵌合するように環状部51の外径はフレーム基部40の環部43の内径に合わせて調整されている。環状部51がフレーム基部40の環部43に嵌合されることでフレーム基部40とフレーム分離部50が一体化することになる。また、環状部51の長さは、フィルター要素11の第2端部13から延び出るフレーム基部40の縮径部42と環部43を合わせた長さとほぼ等しい距離を有する。
【0029】
底面部52は、環状部51の下部に位置している。この底面部52には剛性突っ張りと十字筋交い(図示せず)が形成されており、トラス構造53を形成して強度を補強するものである。この、トラス構造53によりフレーム基部40にフレーム分離部50が嵌合されることでフレーム基部40に構造的剛性をもたらす。これによりフィルター要素11の縁辺に取り付けられているフレーム基部40に外部から内向きの力が加わってもその耐圧構造によりフィルター要素11の端面縁部の屈曲や曲げを防ぐことができる。
【0030】
外延部54は、環状部51の上端部の外縁から突設した部分がフック形体を有しそれが環状部上端周部を環囲して形成されるものである。
この環状部上端に環装されるフック形体は、環状部外周壁55と、環状部上端の縁辺から外側に水平に延びる中間余長部56と、該中間余長部56の端部から下方に直角に延びる最終余長部57で構成される。
【0031】
この外延部54の最終余長部57を支持体として圧縮性のシール部材60が確保される。このシール部材60は、圧縮性素材からなる略凹形状を有しており
図3に示すように環状部51の上端部外縁に設けられているフック形体の最終余長部57を被包するように取り付けられている。その外側部61はハウジング01の内壁04と接触して密閉シール64を形成し、内側部62はフレーム基部40の環部43に対し内方向に力が掛かるように押圧してフレーム基部40とフレーム分離部50を着脱可能に嵌合・固定している。
【0032】
圧縮性シール部材60のハウジング01の内壁04に接触する外側部61は密閉シール64を形成するため、またフィルター要素11を保護する目的で外延部54のフック形体内に位置する内側部62と比較して肉厚が同等か又はやや厚い形状にしても良い。特に密閉性を高めるためハウジング01の内壁04の接触部全体に均等に圧接できるように、また接触面積を大きくする目的でその内壁04の形状に合わせて圧縮性シール部材60の外側部の上部側面63が緩やかな傾斜面を有している。
【0033】
このシール部材60の上部側面63の形状は、傾斜面に限定されるものでなくハウジング01の内壁04の形状に合わせて適宜変更することができる。一方、圧縮性シール部材60の内側部62はフレーム分離部50のフック形体の内に位置するため外側部61と比較して肉厚が同等か又はやや薄い形状としても良いが、フレーム基部40の環部43を押圧してフレーム分離部50をフレーム基部40の内側に固定するに十分な厚みが要求される。また、フレーム基部40の環部43が、圧縮性シール部材60の内側部62とフレーム分離部50の環状部51の間に円滑に入り込み易いように内側部62の下部側面65が丸み又は傾斜面を有しているのが好ましい。更に内側部62は、中央部が上端部および下端部に比較して肉厚になっており、その断面が劣弧となる形状であってもよい。これによりフレーム基部40とフレーム分離部50がより強固に固定される。
【0034】
圧縮性シール部材60は、上記目的を達成するためにその圧縮量は少なくとも15パーセントが要求されることから、例えばポリウレタン発泡材料、又はゴム等の弾性体から形成されることが好ましい。
【0035】
掛止手段は
図4に示すようにフレーム基部40の環部43の内側に嵌合されるフレーム分離部50の環状部51に向かって突設された断面が半円状の掛合部44が形成され、これに対応した被掛合部58がフレーム分離部50の環状部51に形成されている。フレーム分離部50をフレーム基部40の環部43に嵌合させて、掛合部44がフレーム分離部50の被掛合部58に嵌入することで、フレーム基部40とフレーム分離部50が着脱可能に掛合・固定される。
また、
図4のbに示すように圧縮性シール部材60の内側部62は、その中央部が肉厚の形状になっている。
【0036】
また別の掛止手段として
図5に示すようにフレーム基部40の環部43に内側に嵌合されるフレーム分離部50の環状部51に向かって突設する嵌合片45が形成され、これに対するフレーム分離部50の環状部51の対応箇所に嵌合孔59を形成させ、フレーム分離部50の環状部51をフレーム基部40の環部43に嵌め込むことで、嵌合片45が嵌合孔59に嵌入して、フレーム基部40とフレーム分離部50が着脱可能に掛合して固定される。
【0037】
この掛止手段により、フレーム基部40とレーム分離部50がより強固に一体化することになりフレーム分離部の予期しない離脱を防止できる。また、フレーム基部40に対するフレーム分離部50の嵌め込み位置を規定することになり正確に嵌合させることができる。
【0038】
上記したように、フィルター要素11の第2端部13の外郭部の全周を保持するフレーム基部40の保持部41と、この保持部41の外郭部全周から縮径する縮径部42と、この縮径部42からハウジング01の出口部03に筒状に延びた環部43、該環部43に嵌合したフレーム分離部50の環状部51の上端部外縁から突設した外延部54がハウジング01の出口部03の方向に伸びて前記外延部54に取り付けられた圧縮性シール部材60の外側部61がハウジング01の内壁04と接触して密閉シール64を形成し、ハウジング01の空気の入口部02と出口部03の領域間でフィルター要素11を通過しない空気が出口部03の領域に混入することを防止している。
【0039】
フレーム基部40からフレーム分離部50を分離する場合には、外部から力を加えることで容易にフレーム基部40からフレーム分離部50を分離することができる。
【0040】
第2フレーム部30は、フレーム分離部50の環状部51をフレーム基部40の環部43に嵌合させることで環部43の上半部はフレーム分離部50の外延部54のフック形体内に押し込まれフレーム分離部50の外延部54に取り付けられた圧縮性シール部材60で環部44が内方向に押圧されて環部43と環状部51が密接に接触して固定されている。
【0041】
従って、フレーム分離部50に対し上方に引く力を加え、フレーム基部40を下方に引く力を人為的に加えることで圧縮性のあるシール部材60によりフレーム基部40の環部43に押圧されていた力が開放され容易に分離することができる。
【0042】
また、フレーム基部40の環部43とフレーム分離部50の環状部51との嵌合位置を定めて固定する掛止手段を備えている場合には、フレーム分離部50の環状部51に対し内側に向けた力を人為的に加えることで容易に外れる。
【0043】
前述したようにフレーム基部40の保持部41は接着剤によりフィルター要素11に固定されているため、フレーム基部40からフレーム分離部50を分離するとフィルター要素11にはフレーム基部40のみが装着されている状態で残る。
【0044】
使用済みのフィルター要素11を新規なものと交換する場合、このようにフレーム分離部50を取り外し、フレーム基部40が装着されているフィルター要素11が廃棄される。そして、フレーム基部40のみが装着されている新規のフィルター要素11に取り外したフレーム分離部50が再度使用されることになる。この際、フレーム分離部50には圧縮性シール部材60が取り付けられており、これも再利用される。
これにより、廃棄物を極力減らすことは勿論のこと、新しいフィルターを簡単に交換することができるフィルター構造体を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のフィルタエレメント構造体は取替え交換する際に、フィルタエレメントに取り付けたフレームを廃棄することなく、フレームの一部を取り外し再利用することができることから経済的であり尚且つ環境にも配慮した製品である。
【符号の説明】
【0046】
10 フィルター構造体
11 フィルター要素
12 第1端部
13 第2端部
14 出口部端部外郭部
20 第1フレーム部
30 第2フレーム部
40 フレーム基部
41 保持部
42 縮径部
43 環部
44 掛合部
45 嵌合片
50 フレーム分離部
51 環状部
52 底面部
53 トラス構造
54 外延部
55 環状部外周壁
56 中間余長部
57 最終余長部
58 被掛合部
59 嵌合孔
60 圧縮性シール部材
61 外側部
62 内側部
63 上部側面
64 密閉シール
65 下部側面
【要約】
【課題】自動車等のエンジンへ送る空気を濾過するフィルターの交換時にフィルターに装着されたフレームを全て廃棄することなくその一部を再利用できるフィルター構造体を提供すること。
【解決手段】エアクリーナハウジング01内に保持され、入口部02から吸引した空気中の微粒子を除去して濾過した空気として出口部03から排出するフィルター要素11と、このフィルター要素11を支持・補強すると共にエアクリーナハウジング01の内壁04と接触して前記フィルター要素11から前記出口部03の経路とを確保するフレーム部30とを備えたフィルター構造体10であって、
前記フィルター要素11に装着された前記フレーム部30の一部が着脱可能に嵌合・固定する固定手段を備える。
【選択図】
図1