【文献】
Wen-jen Hwu,Targeted therapy for metastatic melanoma:From bench to bedside,Hemonctoday,2010年 6月25日
【文献】
European Journal of Cancer,2011年 7月27日,Vol.47, No.14,p.2150-2157
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
MEK阻害剤と組み合わせた使用のための個体における結腸直腸癌を治療し又はその進行を遅延させるための抗PD-L1抗体を含む医薬であって、抗PD-L1抗体が、配列番号:15のHVR-H1配列、配列番号:16のHVR-H2配列、及び配列番号:3のHVR-H3配列を含む重鎖と;配列番号:17のHVR-L1配列、配列番号:18のHVR-L2配列、及び配列番号:19のHVR-L3配列を含む軽鎖とを含み、MEK阻害剤がGDC-0973であるか、又はその薬学的に許容可能な塩である、医薬。
MEK阻害剤と組み合わせた使用のための個体における非小細胞肺癌(NSCLC)を治療し又はその進行を遅延させるための抗PD-L1抗体を含む医薬であって、抗PD-L1抗体が、配列番号:15のHVR-H1配列、配列番号:16のHVR-H2配列、及び配列番号:3のHVR-H3配列を含む重鎖と;配列番号:17のHVR-L1配列、配列番号:18のHVR-L2配列、及び配列番号:19のHVR-L3配列を含む軽鎖とを含み、MEK阻害剤がGDC-0973であるか、又はその薬学的に許容可能な塩である、医薬。
MEK阻害剤と組み合わせた使用のための個体におけるメラノーマを治療し又はその進行を遅延させるための抗PD-L1抗体を含む医薬であって、メラノーマがBRAF野生型であり、抗PD-L1抗体が、配列番号:15のHVR-H1配列、配列番号:16のHVR-H2配列、及び配列番号:3のHVR-H3配列を含む重鎖と;配列番号:17のHVR-L1配列、配列番号:18のHVR-L2配列、及び配列番号:19のHVR-L3配列を含む軽鎖とを含み、MEK阻害剤がGDC-0973であるか、又はその薬学的に許容可能な塩である、医薬。
【発明を実施するための形態】
【0020】
I.一般的技術
ここに記載され又は参照された技術及び手順は、当業者により一般によく理解され、例えばSambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual 3版 (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubelら, 編, (2003));シリーズMethods in Enzymology(Academic Press, Inc.): PCR 2: A Practical Approach (M.J. MacPherson, B.D. Hames 及び G.R. Taylor編. (1995)), Harlow 及び Lane, 編. (1988) Antibodies, A Laboratory Manual, and Animal Cell Culture (R.I. Freshney, 編. (1987));Oligonucleotide Synthesis (M.J. Gait編, 1984);Methods in Molecular Biology, Humana Press; Cell Biology: A Laboratory Notebook (J.E. Cellis編, 1998) Academic Press; Animal Cell Culture (R.I. Freshney), 編, 1987);Introduction to Cell and Tissue Culture (J.P. Mather 及び P.E. Roberts, 1998) Plenum Press;Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures (A. Doyle, J.B. Griffiths, 及び D.G. Newell, 編, 1993-8) J. Wiley and Sons; Handbook of Experimental Immunology (D.M. Weir 及び C.C. Blackwell編);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J.M. Miller 及び M.P. Calos, 編, 1987);PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullisら編, 1994);Current Protocols in Immunology (J.E. Coliganら編, 1991);Short Protocols in Molecular Biology (Wiley and Sons, 1999);Immunobiology (C.A. Janeway 及び P. Travers, 1997);Antibodies (P. Finch, 1997);Antibodies: A Practical Approach (D. Catty.編, IRL Press, 1988-1989);Monoclonal Antibodies: A Practical Approach (P. Shepherd 及び C. Dean 編, Oxford University Press, 2000);Using Antibodies: A Laboratory Manual (E. Harlow 及び D. Lane (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999);The Antibodies (M. Zanetti 及び J. D. Capra, 編, Harwood Academic Publishers, 1995);及びCancer: Principles and Practice of Oncology (V.T. DeVitaら編, J.B. Lippincott Company, 1993)に記載されている広く使用されている方法のような一般的な方法を使用して一般に用いられる。
【0021】
II.定義
「PD-1軸結合アンタゴニスト」なる用語は、T細胞機能(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞死滅)を回復させ又は増強するという結果を伴い、PD-1シグナル伝達軸上のシグナル伝達から生じるT細胞機能不全を除去するように、PD-1軸結合パートナーのその結合パートナーの一又は複数のいずれかとの相互作用を阻害する分子である。ここで使用される場合、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト及びPD-L2結合アンタゴニストを含む。
【0022】
「PD-1結合アンタゴニスト」なる用語は、PD-1と、その結合パートナーの一又は複数、例えばPD-L1、PD-L2との相互作用から生じるシグナル伝達を低減させ、ブロックし、阻害し、抑止し又は干渉する分子である。いくつかの実施態様では、PD-1結合アンタゴニストは、その結合パートナーへのPD-1の結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-L1及び/又はPD-L2に対するPD-1の結合を阻害する。例えば、PD-1結合アンタゴニストは、PD-L1及び/又はPD-L2とのPD-1の相互作用から生じるシグナル伝達を低減させ、ブロックし、阻害し、抑止し又は干渉する抗PD-1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及び他の分子を含む。一実施態様では、PD-1結合アンタゴニストは、機能不全T細胞の機能不全を低下させる(例えば、抗原認識に対するエフェクター反応を増強させる)ように、PD-1を介したシグナル伝達を媒介したTリンパ球で発現される細胞表面タンパク質により又はそれを通して媒介される負の同時刺激シグナルを低減させる。いくつかの実施態様では、PD-1結合アンタゴニストは抗PD-1抗体である。特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはここに記載のMDX-1106である。他の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはここに記載のメルク3745である。他の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはここに記載のCT-011である。
【0023】
「PD-L1結合アンタゴニスト」なる用語は、PD-L1と、一又は複数のその結合パートナー、例えばPD-1、B7-1のいずれかとの相互作用から生じるシグナル伝達を低減し、ブロックし、阻害し、抑止し又は干渉する他の分子である。いくつかの実施態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、その結合パートナーへのPD-L1の結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-1及び/又はB7-1へのPD-L1の結合を阻害する。いくつかの実施態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-L1と一又は複数のその結合パートナー、例えばPD-1、B7-1との相互作用から生じるシグナル伝達を低減、ブロック、阻害、抑止又は干渉する他の分子を含む。一実施態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、機能不全T細胞の機能不全性が低下するように(例えば、抗原認識に対するエフェクター反応を増強させる)、PD-L1を介したシグナル伝達を媒介するTリンパ球において発現される細胞表面タンパク質により又はそれを通して媒介される負の同時刺激シグナルを低減させる。いくつかの実施態様では、PD-L1結合アンタゴニストは抗PD-L1抗体である。特定の態様では、抗PD-L1抗体はここに記載のYW243.55.S70である。他の特定の態様では、抗PD-L1抗体はここに記載のMDX-1105である。他の特定の態様では、抗PD-L1抗体はここに記載のMPDL3280Aである。
【0024】
「PD-L2結合アンタゴニスト」なる用語は、PD-L2と、一又は複数のその結合パートナー、例えばPD-1との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、ブロック、阻害、抑止又は干渉する他の分子である。いくつかの実施態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、その結合パートナーへのPD-L2の結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-1へのPD-L2の結合を阻害する。いくつかの実施態様では、PD-L2アンタゴニストは、抗PD-L2抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-L2と一又は複数のその結合パートナー、例えばPD-1との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、ブロック、阻害、抑止又は干渉する他の分子を含む。一実施態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、機能不全T細胞の機能不全性が低下するように(例えば、抗原認識に対するエフェクター反応を増強させる)、PD-L2を介したシグナル伝達を媒介するTリンパ球において発現される細胞表面タンパク質により又はそれを通して媒介される負の同時刺激シグナルを低減させる。いくつかの実施態様では、PD-L2結合アンタゴニストはイムノアドヘシンである。
【0025】
免疫機能不全の文脈における「機能不全」なる用語は、抗原刺激に対して免疫応答性が減少した状態を意味する。この用語は、抗原認識が生じうるが、その後の免疫応答が感染又は腫瘍増殖を制御するのに効果的でない消耗及び/又はアネルギー両方の共通要素を含む。
【0026】
ここで使用される「機能障害性」なる用語は、抗原認識に対する難治性又は不応答性、特に、増殖、サイトカイン産生(例えば、IL-2)及び/又は標的細胞死滅のような、下流のT細胞のエフェクター機能に抗原認識を翻訳する能力の損傷を含む。
【0027】
「アネルギー」なる用語は、T細胞受容体を介して送達される不完全又は不十分なシグナルから生じる抗原刺激に対する不応答の状態を言う(例えば、ras活性化の不存在下における細胞内Ca
2+の増加)。また、T細胞アネルギーは、同時刺激の非存在下、抗原での刺激時に生じ得、同時刺激の文脈においてさえ、抗原による続く活性化に対して細胞が不応性になる。無応答状態は、しばしばインターロイキン2の存在によって覆される場合がある。アネルギーT細胞は、クローン増殖を受けず、及び/又はエフェクター機能を獲得しない。
【0028】
「消耗(exhaustion)」なる用語は、多くの慢性感染症及び癌の間に生じる持続的なTCRシグナル伝達から生じるT細胞機能不全の状態としてのT細胞の消耗を意味する。それが不完全又は欠損シグナル伝達を通してではなく、持続的なシグナル伝達から生じるという点でアネルギーとは区別される。これは、乏しいエフェクター機能、阻害性受容体の持続的な発現、及び機能的エフェクター又は記憶T細胞のそれとは異なる転写状態により定められる。消耗は、感染や腫瘍の最適な調節を防止する。消耗は、外因性の負の調節経路(例えば、免疫調節サイトカイン)だけでなく、細胞本来の負の調節(同時刺激)経路(PD-1、B7-H3、B7-H4など)の両方から生じうる。
【0029】
「T細胞機能の増強」は、持続又は増幅された生物学的機能を有するようにT細胞を誘導し、強いり又は刺激し、もしくは消耗した又は不活性なT細胞を再生又は再活性化することを意味する。T細胞機能を増強の例は、介入の前のそのようなレベルに対しての、CD8
+T細胞からのγ-インターフェロンの分泌増加、増殖増加、抗原応答性増加(例えば、ウイルス、病原体、又は腫瘍クリアランス)を含む。一実施態様では、増強のレベルは少なくとも50%、又は60%、70%、80%、90%、100%、120%、150%、200%である。この増強を測定する方法は当業者に知られている。
【0030】
「T細胞機能不全疾患」は、抗原刺激に対する応答性の低下によって特徴付けられるT細胞の疾患又は状態である。特定の実施態様では、T細胞機能不全疾患は、PD-1を介した不適切なシグナル伝達の増加に関連している疾患である。別の実施態様では、T細胞機能不全疾患は、T細胞がアネルギー性であるか、又はサイトカインを分泌し、増殖し、又は細胞溶解活性を実行する能力が低下しているものである。特定の態様では、応答性の減少により、免疫原を発現する病原体又は腫瘍に対して効果のない制御となる。T細胞機能不全を特徴とするT細胞機能不全疾患の例は、未解決の急性感染症、慢性感染症や腫瘍免疫を含む。
【0031】
「腫瘍免疫」は、腫瘍が免疫認識及びクリアランスを回避するプロセスを意味する。従って、治療概念として、腫瘍免疫は、このような回避が減衰されるとき「治療され」、腫瘍は、免疫系によって認識され、攻撃される。腫瘍認識の例は、腫瘍結合、腫瘍縮小及び腫瘍クリアランスを含む。
【0032】
「免疫原性」は、免疫応答を誘発する特定の物質の能力をいう。腫瘍は免疫原性であり、腫瘍免疫原性の増強が免疫応答による腫瘍細胞のクリアランスに役立つ。腫瘍免疫原性の増強の例は、抗PDL抗体及びMEK阻害剤での処理を含む。
【0033】
「持続応答」は、処置の中止後の腫瘍増殖の低減に対する持続効果を意味する。例えば、腫瘍の大きさは、投与フェーズの開始時における大きさと比較して同じか又は小さいままでありうる。いくつかの実施態様では、持続応答は、少なくとも治療期間と同じか、又は治療時間の少なくとも1.5×、2.0×、2.5×、又は3.0×の長さである。
【0034】
「抗体」なる用語は、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する完全長抗体を含む)、多エピトープ特異性を有する抗体組成物、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体、ダイアボディ、単鎖分子、並びに抗体断片(例えば、Fab、F(ab')
2、及びFv)を含む。「免疫グロブリン」(Ig)なる用語は、ここでの「抗体」と交換可能に使用される。
【0035】
塩基性4鎖抗体単位は、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖からなるヘテロ四量体糖タンパク質である。IgM抗体は、J鎖と称される付加的なポリペプチドと共に5つの塩基性ヘテロ四量体からなり、よって10の抗原結合部位を有する一方、IgA抗体は、重合してJ鎖と共に多価集合体を形成可能な2−5の塩基性4鎖単位を含む。IgGの場合、4鎖単位は一般的に約150000ダルトンである。各L鎖は一つの共有ジスルフィド結合によりH鎖に連結する一方、2つのH鎖はH鎖のアイソタイプに応じて、一又は複数のジスルフィド結合により互いに連結している。また各H及びL鎖は、規則的に離間した鎖内ジスルフィド架橋を有している。各H鎖は、N末端に可変ドメイン(V
H)と、これに続いてα及びγ鎖それぞれに対して3つの定常ドメイン(C
H)と、μ及びεアイソタイプに対しては4つのC
Hドメインを有する。各L鎖は、N末端に可変ドメイン(V
L)と、これに続いてその他端に定常ドメインを有する。V
LはV
Hに整列しており、C
Lは重鎖の第1定常ドメイン(C
H1)に整列している。特定のアミノ酸残基は軽鎖と重鎖の可変ドメインの界面を形成すると考えられている。V
HとV
Lは対になって、互いに単一の抗原結合部位を形成している。異なったクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology, 第8版, Daniel P. Stites, Abba I. Terr and Tristram G. Parslow(編), Appleton & Lange, Norwalk, CT, 1994, 71頁, 6章を参照のこと。任意の脊椎動物種からのL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ及びラムダと称される、明確に区別される2つのタイプの一方を割り当てることができる。それらの重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、種々のクラス又はアイソタイプに割り当てることができる。免疫グロブリンには、それぞれ、α、δ、ε、γ及びμと命名された重鎖を有するIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの5つのクラスがある。γ及びαクラスは、さらにCH配列及び機能の比較的小さな差異に基づいてサブクラスに分割され、例えばヒトは、次のサブクラス:IgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2を発現する。
【0036】
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを意味する。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ「VH」及び「VL」とも称される。これらのドメインは一般的に(同じクラスの他の抗体と比較して)抗体の最も可変の部分であり、抗原結合部位を含む。
【0037】
「可変」なる用語は、可変ドメインのあるセグメントが、抗体間で配列が広範に相違しているという事実を意味する。Vドメインは抗原結合を媒介し、特定の抗体のその特定の抗原への特異性を定める。しかしながら、可変性は、可変ドメインの全スパンにわたって均一に分布しているのではない。実際、V領域は、軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方の高頻度可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに濃縮される。可変ドメインのより高度に保持された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、βシート構造に連結し、ある場合にはその一部を形成するループを形成する3つのHVRにより連結されたβシート配置を主にとる4つのFRをそれぞれ含んでいる。各鎖のHVRは、FR領域によって近接して保持され、他の鎖のHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabatら, Sequences of Immunological Interest, 第5版, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関連しているものではないが、種々のエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞傷害への抗体の関与を示す。
【0038】
ここで使用される「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち、集団に含まれる個々の抗体は、少量で存在しうる自然に生じる可能性がある突然変異及び/又は翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化)を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物に対し、各モノクローナル抗体は抗原の単一の決定基に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養により合成され、他の免疫グロブリンによって汚染されていない点で有利である。「モノクローナル」との修飾詞は、実質的に均一な抗体集団から得られているという抗体の特徴を示し、抗体を任意の特定の方法で生産する必要があると解釈されるものではない。例えば、本発明において使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler and Milstein., Nature, 256:495-97(1975); Hongoら, Hybridoma, 14(3):253-260(1995), Harlowら, Antibodies: A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 第2版. 1988); Hammerlingら: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas, 563-681(Elsevier, N.Y., 1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4816567号を参照)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clacksonら, Nature, 352: 624-628(1991); Marksら, J. Mol. Biol., 222:581-597(1992); Sidhuら, J. Mol. Biol., 338(2):299-310(2004); Leeら, J. Mol. Biol., 340(5):1073-1093(2004); Fellouse, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 101(34):12467-12472(2004);及びLeeら, J. Immunol. Methods, 284(1-2):119-132(2004)、及びヒト免疫グロブリン座位又はヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部又は全部を有する、ヒト又はヒト様抗体を動物において生成させるための技術(例えば、国際公開第1998/24893号; 国際公開第1996/34096号; 国際公開第1996/33735号;国際公開第1991/10741号; Jakobovitsら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551(1993); Jakobovitsら, Nature, 362: 255-258(1993); Bruggemannら, Year in Immunol., 7:33(1993); 米国特許第5,545,807号; 同5,545,806号; 同5,569,825号; 同5,625,126号; 同5,633,425号; 及び同5,661,016号; Marksら, Bio/Technology, 10: 779-783(1992); Lonbergら, Nature, 368:856-859(1994); Morrison, Nature, 368:812-813(1994); Fishwildら, Nature Biotechnol., 14:845-851(1996); Neuberger, Nature Biotechnol., 14:826(1996);及びLonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol., 13:65-93(1995)を参照)を含む、種々の技術により作製されうる。
【0039】
「ネイキッド抗体」なる用語は、細胞障害性部分又は放射標識にコンジュゲートしない抗体を意味する。
【0040】
「全長抗体」、「無傷抗体」及び「全抗体」なる用語は、交換可能に使用され、抗体断片ではなく、実質的に無傷形態の抗体を意味する。特に、全抗体は、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有するものが含まれる。定常ドメインは天然配列定常ドメイン(例えば、ヒトの天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異体であってよい。いくつかの場合、無傷抗体は一又は複数のエフェクター機能を有する。
【0041】
「抗体断片」は、無傷抗体の一部、好ましくは無傷抗体の抗原結合及び/又は可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')
2、及びFv断片;ダイアボディ;線形抗体(米国特許第5641870号, 実施例2;Zapataら Protein Eng. 8(10): 1057-1062[1995]);単鎖抗体分子;及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗体結合断片を生成し、残りは容易に結晶化する能力を反映して「Fc」断片と命名される。Fab断片は、H鎖(V
H)の可変領域ドメイン、及び一方の重鎖の第1定常ドメイン(C
H1)と共に、全L鎖とからなる。各Fab断片は抗原結合に対して一価である、すなわち単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理により、抗原を架橋結合でき、異なる抗原-結合活性を有するFab断片に連結した2つのジスルフィドにほぼ相当する、単一の大きなF(ab')
2断片が生じる。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含むC
H1ドメインのカルボキシ末端に数個の残基が付加されていることによりFab断片とは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基(類)が遊離チオール基を担持しているFab'に対するここでの命名である。F(ab')
2抗体断片は、間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として生産された。抗体断片の他の化学結合も知られている。
【0042】
Fc断片は、ジスルフィドにより互いに保持された双方のH鎖のカルボキシ-末端部分を有する。抗体のエフェクター機能はFc領域における配列により決定され、該領域はある種の細胞に見出されるFcレセプター(FcR)により認識される部分である。
【0043】
「Fv」は、完全な抗原-認識及び-結合部位を含む最小抗体断片である。この断片は、堅固な非共有結合をなした一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。これら2つのドメインの折り畳みから、抗原結合に対するアミノ酸残基に寄与し、抗体に抗原結合特異性を付与する6つの高頻度可変ループ(H及びL鎖からそれぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
【0044】
「sFv」又は「scFv」と省略される「単鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に連結するV
H及びV
L抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、sFvが抗原結合に望まれる構造の形成を可能にするポリペプチドリンカーをV
HとV
Lドメインの間にさらに含む。sFvの概説については、Pluckthun, The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)を参照のこと。
【0045】
本発明の抗体の「機能的断片」は 、一般には無傷の抗体の抗原結合又はFcR結合能力を保持しているもしくは修飾されたFcR結合能力を有している無傷抗体の一部を含む。抗体断片の例としては、線形抗体、単鎖抗体分子及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。
【0046】
「ダイアボディ」なる用語は、Vドメインの鎖内ではなく鎖間ペアリングが達成され、よって二価断片、すなわち2つの抗原-結合部位を有する断片に至るように、V
H及びV
Lドメイン間に、短いリンカー(約5-10残基)を有するsFv断片(前述の段落)を構築することにより調製される小型の抗体断片を意味する。二重特異性ダイアボディは、2つの「クロスオーバー」sFv断片のヘテロ二量体であり、2つの抗体のV
H及びV
Lドメインは、異なるポリペプチド鎖上に存在している。ダイアボディは、例えば欧州特許第404,097号;国際公開第93/11161号;及びHollingerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)にさらに詳細に記載されている。
【0047】
ここで、モノクローナル抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種由来の抗体、あるいは特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか相同であり、鎖の残りの部分が他の種由来、あるいは他の抗体クラスあるいはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一であるか相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、並びにそれが所望の生物的活性を有する限りそれら抗体の断片を特に含む(米国特許第4,816,567号、及びMorrisonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855(1984))。ここで関心あるキメラ抗体は、抗体の抗原結合領域が、例えば関心ある抗体を用いて、免疫化されたマカクザルにより生成された抗体から誘導されたものである、PRIMATIZED(登録商標)抗体を含む。ここで使用される場合、「ヒト化抗体」は「キメラ抗体」のサブセットを使用する。
【0048】
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むものキメラ抗体ある。一実施態様では、ヒト化抗体は、レシピエントのHVR(以下に定める)の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類のような所望の特異性、親和性及び/又は能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)のHVRの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク(「FR」)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見出されない残基を含んでもよい。これらの修飾は抗体の特性、例えば結合親和性をさらに洗練するためになされる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、全てあるいはほとんど全ての高度可変ループが非ヒト免疫グロブリン配列のものに対応し、全てあるいはほとんど全てのFR領域がヒト免疫グロブリン配列のものであるが、FR領域は、抗体の特性、例えば結合親和性、異性化、免疫原性等を改善する、一又は複数の個々のFR残基置換を含みうる。FRにおけるこれらのアミノ酸置換の数は、典型的には、H鎖においては6以下、L鎖においては3以下である。ヒト化抗体は、任意には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含む。さらなる詳細は、Jonesら, Nature 321, 522-525(1986);Reichmannら, Nature 332, 323-329(1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2, 593-596(1992)を参照。またさらに、例えばVaswani and Hamilton, Ann. Allergy, Asthma & Immunol., 1:105-115(1998); Harris, Biochem. Soc. Transactions, 23:1035-1038(1995); Hurle and Gross, Curr. Op. Biotech., 5:428-433(1994); 及び米国特許第6,982,321号及び米国特許第7,087,409号を参照。
【0049】
「ヒト抗体」は、ヒトによって生産される抗体のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有する抗体、及び/又はここにおいて開示されたヒト抗体を作製するいずれかの技術を使用して製造された抗体である。ヒト抗体のこの定義は、特に非ヒト抗原結合残基を含んでなるヒト化抗体を除く。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリを含む、当該技術で公知の種々の技術を使用して生成可能である。Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381(1991); Marksら, J. Mol. Biol., 222:581(1991)。また、ヒトモノクローナル抗体の調製に有用なのは、Coleら, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R.Liss, p. 77(1985); Boernerら, J. Immunol., 147(1):86-95(1991)に記載の方法である。また、van Dijk and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol., 5: 368-74(2001)を参照。ヒト抗体は、抗原誘発に反応するこのような抗体が生成されるように修飾された、トランスジェニック動物に抗原を投与することにより調製可能であるが、その内在性座位は、例えば免疫化キセノマウスで無効である(例えば、XENOMOUSE
TM技術に関し、米国特許第6,075,181号及び同6,150,584号を参照)。また、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されるヒト抗体に関し、例えば、Liら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103:3557-3562(2006)を参照。
【0050】
ここで使用される場合、「高頻度可変領域」、「HVR」又は「HV」なる用語は、配列において高頻度可変であり、及び/又は構造的に定まったループを形成する抗体可変ドメインの領域を意味する。一般に、抗体は6つのHVRを含む;つまり、VHに3つ(H1、H2、H3)、VLに3つ(L1、L2、L3)である。天然の抗体では、H3及びL3は6つのHVRの最大の多様性を示し、特にH3は抗体に微細な特異性を付与するのに独特の役割を果たすと考えられている。例えばXuら, Immunity 13:37-45 (2000);Johnson及びWu, Methods in Molecular Biology 248:1-25 (Lo編, Human Press, Totowa, NJ, 2003)を参照。確かに、重鎖のみからなる天然に生じるラクダ抗体は軽鎖の不存在下で機能的で安定である。例えば、Hamers-Castermanら, Nature 363:446-448 (1993)及びSheriffら, Nature Struct. Biol. 3:733-736 (1996)を参照。
【0051】
多数のHVRの描写がここで使用され、また含まれる。カバット相補性決定領域(CDRs)は配列変化に基づいており、最も一般的に使用されている(Kabatら, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))。Chothiaは、構造的ループ位置の代わりを言及している(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。AbM HVRは、カバットCDRとChothia構造的ループの間の妥協を表し、オックスフォード・分子AbM抗体モデリングソフトウェアにより使用される。「接触」HVRは、利用できる複合体結晶構造の分析に基づく。これらそれぞれのHVRの残基を以下に記す。
ループ カバット AbM Chothia 接触
L1 L24-L34 L24-L34 L26-L32 L30-L36
L2 L50-L56 L50-L56 L50-L52 L46-L55
L3 L89-L97 L89-L97 L91-L96 L89-L96
H1 H31-H35B H26-H35B H26-H32 H30-H35B (カバット番号付け)
H1 H31-H35 H26-H35 H26-H32 H30-H35 (Chothia 番号付け)
H2 H50-H65 H50-H58 H53-H55 H47-H58
H3 H95-H102 H95-H102 H96-H101 H93-H101
【0052】
HVRは次の通り「拡張HVR」を含みうる:VL中の24-36又は24-34(L1)、46-56又は50-56(L2)及び89-97又は89-96(L3)と、VH中の26-35(H1)、50-65又は49-65(H2)及び93-102、94-102又は95-102(H3)。これらの定義の各々に対して上掲のKabat等に従って、可変ドメイン残基を番号付けした。
【0053】
「カバットにおける可変ドメイン残基ナンバリング」又は「カバットにおけるアミノ酸位置ナンバリング」及びその変形の表現は、Kabatら. 上掲における抗体の編集の重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインについて使用されるナンバリングシステムを意味する。このナンバリングシステムを使用すると、実際の線形アミノ酸配列は、FR又はHVRの可変ドメインを短くする、又はそこに挿入される、対応のより少ない又は付加的なアミノ酸を含有可能である。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入(カバットに従い残基52a)、及び重鎖FR残基82の後に挿入残基(例えば、カバットに従い残基82a、82b、及び82c等)を含む。残基のカバットナンバリングは、「標準的な」カバット番号の配列を有する抗体配列に相同な領域で配列させることにより付与された抗体について決定できる。
【0054】
「フレームワーク」又は「FR」残基は、ここで定義するようにHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
【0055】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」又は「アクセプターヒトフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において、最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般的に、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般的に、配列のサブグループは、Kabatら, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD(1991)にあるようなサブグループである。具体例には以下のものが含まれ、VLについて、サブグループはサブグループカッパI、カッパII、カッパIII又はカッパIV、上掲のKabatらでありうる。さらに、VHについて、サブグループは、サブグループI、サブグループII、又はサブグループIII、Kabatら, 上掲でありうる。あるいは、ヒトコンセンサスフレームワークは、ヒトフレームワーク残基が、種々のヒトフレームワーク配列のコレクションとドナーフレームワーク配列を整列させることによって、ドナーフレームワークに対するその相同性に基づいて選択された場合のように、上記の特定の残基から誘導することができる。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「から得られる」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでもよく、又は既存のアミノ酸配列変化を含有してもよい。いくつかの実施態様では、既存のアミノ酸変化の数は、10以下、又は9以下、又は8以下、又は7以下、又は6以下、又は5以下、又は4以下、又は3以下、又は2以下である。
【0056】
「VHサブグループIIIコンセンサスフレームワーク」は、上掲のKabatらの可変重サブグループIIIにおけるアミノ酸配列から得られたコンセンサス配列を含む。一実施態様では、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークのアミノ酸配列は、次の配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(HC-FR1)(配列番号:4)、WVRQAPGKGLEWV(HC-FR2)、(配列番号:5)、RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(HC-FR3、配列番号:6)、WGQGTLVTVSA(HC-FR4)(配列番号:7)それぞれの少なくとも一部又は全てを含む。
【0057】
「VLカッパIコンセンサスフレームワーク」は、上掲のKabatらの可変軽カッパサブグループIのアミノ酸配列から得られたコンセンサス配列を含む。一実施態様では、、VHサブグループIコンセンサスフレームワークのアミノ酸配列は次の配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(LC-FR1)(配列番号::11)、WYQQKPGKAPKLLIY(LC-FR2)(配列番号:12)、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(LC-FR3)(配列番号:13)、FGQGTKVEIKR(LC-FR4)(配列番号:14)それぞれの少なくとも一部又は全てを含む。
【0058】
特定の位置、例えばFc領域での「アミノ酸修飾」とは、特定の残基が欠失又は置換され、又は特定の残基に隣接して少なくとも1のアミノ酸残基が挿入されることを意味する。特定の残基に対する挿入「隣接」とは、 その1〜2残基内への挿入を意味する。挿入は、特定の残基に対してN-末端又はC-末端であってよい。ここで、好ましいアミノ酸修飾は置換である。
【0059】
「親和成熟」抗体とは、変化を有しない親抗体と比較し、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じせしめる、抗体の一又は複数のHVRにおける一又は複数の変化を伴うものである。一実施態様では、親和成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルの親和性を有する。親和成熟抗体は、当該分野において知られる手順によって生産される。例えば、Marksら. Bio/Technology, 10:779-783(1992)は、VH-及びVLドメインシャフリングによる親和成熟について記載している。HVR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、例えばBarbasら, Proc Nat Acad. Sci, USA 91:3809-3813(1994);Schier ら, Gene, 169:147-155(1995);Yeltonら, J. Immunol.155:1994-2004(1995);Jacksonら, J. Immunol.154(7):3310-9(1995);及びHawkinsら, J. Mol. Biol.226:889-896(1992)に記載されている。
【0060】
ここで使用される場合、用語「特異的に結合する」又は「に特異的」とは、生体分子を含む分子の異種集団の存在下、標的の存在を決定する、標的と抗体との間の結合などの測定可能で再現性のある相互作用を意味する。例えば、標的(エピトープすることができる)に特異的に結合する抗体は、他の標的に結合するよりも高い親和性、結合活性、容易性、及び/又は期間で、この標的に結合する抗体である。一実施態様では、無関係な標的への抗体の結合の程度は、ラジオイムノアッセイ(RIA)により測定された場合、標的に対する抗体の結合の約10%未満である。所定の実施態様では、標的に特異的に結合する抗体は、乖離定数(Kd)≦1μM、≦100nM、≦10nM、又は≦0.1nMを有する。所定の実施態様では、抗体は、異なる種からのタンパク質間で保存されているタンパク質上のエピトープに、特異的に結合する。別の実施態様では、特異的結合が含まれることができるが、排他的結合を必要としない 。
【0061】
ここで用いられる場合、「イムノアドヘシン」なる用語は、異種タンパク質(「アドヘシン」)の結合特異性と免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能とを組合せた抗体様分子を指す。構造的には、イムノアドヘシンは、所望の結合特異性を持ち、抗体の抗原認識及び結合部位以外である(即ち「異種の」)アミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合物を含む。イムノアドヘシン分子のアドへシン部分は、典型的には少なくともレセプター又はリガンドの結合部位を含む隣接アミノ酸配列である。イムノアドヘシンの免疫グロブリン定常ドメイン配列は、IgG-1、IgG-2(IgG2A及びIgG2Bを含む)、IgG-3又はIgG-4サブタイプ、IgA(IgA-1及びIgA-2を含む)、IgE、IgD又はIgM等の任意の免疫グロブリンから得ることができる。Ig融合体は、好ましくはIg分子内の少なくとも1の可変領域に換えて、ここで記載の抗体又はポリペプチドのドメインの置換を含む。特に好ましい実施態様では、免疫グロブリン融合体は、IgG1分子のヒンジ、CH2及びCH3、又はヒンジ、CH1、CH2及びCH3領域を含む。免疫グロブリン融合体の製造については、1995年6月27日発行の米国特許第5,428,130号を参照のこと。例えば、ここに記載の併用療法に有用な第2の医薬として有用なイムノアドヘシンは、それぞれ、PD-L1 ECD-Fc、PD-L2 ECD-Fc、及びPD-1 ECD-Fc等、免疫グロブリン配列の定常ドメインに融合した、PD-1の細胞外又はPD-L1又はPD-L2結合部分、もしくはPD-L1又はPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を有するポリペプチドを含む。細胞表面レセプターのIgのFc及びECDをイムノアドヘシンの組み合わせは、時々、可溶性レセプターと呼ばれている
【0062】
「融合タンパク質」及び「融合ポリペプチド」は、部分の各々が異なる特性を有するポリペプチドにおいて、互いに共有結合した2つの部分を有するポリペプチドを意味する。特性は生物学的特性、例えばインビトロ又はインビボでの活性であってよい。また特性は、単に化学的又は物理学的特性、例えば標的分子への結合性、反応の触媒性等であってよい。2つの部分は単一のペプチド結合によって、又はペプチドリンカーを介して直接連結しうるが、互いに読み枠内にあることもできる。
【0063】
「PD-1オリゴペプチド」、「PD-L1オリゴペプチド 」、又は「PD-L2オリゴペプチド」は 、それぞれPD-1、PD-L1又はPD-L2のネガティブ同時刺激ポリペプチドと、好ましくは特異的に結合するオリゴペプチドであるオリゴペプチドであり、それぞれ、ここに記載のレセプター、リガンド又はシグナル伝達成分を含む。このようなオリゴペプチドは、公知のオリゴペプチド合成法を用いて化学的に合成することができ、あるいは組換え技術を用いて精製することもできる。このようなオリゴペプチドは通常、少なくとも約5アミノ酸長、あるいは少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100アミノ酸長以上である。このようなオリゴペプチドは、よく知られている技術を用いて同定することができる。これに関して、ポリペプチド標的に特異的に結合する能力のあるオリゴペプチドをスクリーニングするオリゴペプチドライブラリーのための技術が、当該分野で周知であることに留意されたい(例えば 、米国特許第5,556,762、5,750,373、4,708,871、4,833,092、5,223,409、5,403,484、5,571,689、5,663,143、PCT公開番号84/03506及び同84/03564号; Geysenら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81:3998-4002 (1984); Geysenら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 82:178-182 (1985); Geysenら, Synthetic Peptides as Antigens, 130-149 (1986); Geysenら, J. Immunol. Meth., 102:259-274 (1987); Schoofsら, J. Immunol., 140:611-616 (1988), Cwirla, S. Eら. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378 (1990); Lowman, H.Bら. Biochemistry, 30:10832 (1991); Clackson, Tら. Nature, 352: 624 (1991); Marks, J. Dら, J. Mol. Biol., 222:581 (1991); Kang, A.S. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:8363 (1991), 及び Smith, G. P., Current Opin. Biotechnol., 2:668 (1991)。
【0064】
「ブロック」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物活性を抑制又は低減するものである。いくつかの実施態様では、ブロック抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原の生物活性を実質的に又は完全に阻害する。本発明の抗PD-L1抗体は、抗原刺激に対する機能不全状態から、T細胞により機能的応答(例えば、増殖、サイトカイン生成、標的細胞死滅)が回復するように、PD-1を介したシグナル伝達をブロックする。
【0065】
「アゴニスト」又は活性化抗体は、それが結合する抗原によるシグナル伝達を促進又は開始するものである。いくつかの実施態様では、アゴニスト抗体は、天然リガンドの存在なしでシグナル伝達を引き起こすか、又は活性化する。
【0066】
ここで用語「Fc領域」は、天然配列Fc領域及び変異体Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化するかも知れないが、通常、ヒトIgG重鎖Fc領域はCys226の位置又はPro230からそのカルボキシル末端までの位置のアミノ酸残基から伸長すると定義される。Fc領域のC末端リジン(EUナンバリングシステムによれば残基447)は、例えば抗体の生成又は精製中に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組換え的に操作することによって、取り除くことができる。従って、無傷抗体の組成物は、全てのK447残基が除去された抗体群、K447残基が除去されていない抗体群、及びK447残基を有する抗体と有さない抗体の混合を含む抗体群を含みうる。本発明の抗体に使用される適切な天然配列Fc領域は、ヒトIgG1、IgG2(IgG2A、IgG2B)、IgG3及びIgG4を含む。
【0067】
「Fcレセプター」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合するレセプターを記載する。好ましいFcRは天然配列ヒトFcRである。さらに好ましいFcR、IgG抗体(ガンマレセプター)に結合し、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスのレセプターを含むものであり、これらのレセプターの対立遺伝子変異体及び選択的スプライシング型を含み、FcγRIIレセプターは、FcγRIIA(「活性化レセプター」)及びFcγRIIB(「阻害レセプター」)を含み、それらは、主としてその細胞質ドメインにおいて異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化レセプターFcγRIIAは、その細胞質ドメインに、免疫レセプターチロシン−ベース活性化モチーフ(ITAM)を有する。阻害レセプターFcγRIIBは、その細胞質ドメインに、免疫レセプターチロシン−ベース阻害モチーフ(ITIM)を有する(Daeron, Annu. Rev. Immunol., 15:203-234(1997)参照)。FcRはRavetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991);Capelら, Immunomethods 4:25-34 (1994);及びde Haasら, J. Lab. Clin. Med. 126:330-41(1995)において概説されている。将来同定されるものも含む他のFcRが、ここにおける用語「FcR」に包含される。
【0068】
「Fcレセプター」又は「FcR」なる用語は、胎児への母のIgGの移動(Guyerら, J. Immunol. 117:587(1976)、及びKimら, J. Immunol. 24:249(1994))の原因となる、新生児レセプター、FcRnを含む。FcRnへの結合性を測定する方法は公知である(例えば、Ghetie and Ward, Immunology Today,18(12):592-8(1997); Ghetieら, Nature Biotechnology, 15(7):637-40(1997); Hintonら, J. Biol. Chem.,279(8):6213-6(2004); 国際公開第2004/92219号(Hintonら)を参照)。インビボにおけるヒトFcRnへの結合性、及びヒトFcRn高-親和性結合ポリペプチドの血清半減期は、例えばヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウス又は形質移入したヒト株化細胞、又は変異Fc領域を有するポリペプチドが投与された霊長類においてアッセイ可能である。国際公開第2000/42072号(Presta)には、FcRnへの改善された又は低下した結合性を有する抗体変異体が記載されている。また、例えばShieldsら, J. Biol. Chem., 9(2): 6591-6604(2001)を参照。
【0069】
ここで使用される場合、語句「実質的に低減」又は「実質的に異なる」は、当業者が、該値(例えばKd値)により測定される生物学的特徴の範囲内で、2つの値の間に統計的に有意な差異があるとみなすような、2つの数値(一般的に、一方は分子に関連しており、他方は参照/比較分子に関連している)の間の十分高度な差異を示す。前記2つの値の間の差異は、例えば、参照/比較分子に対する値の関数として、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、及び/又は約50%以上である。
【0070】
ここで使用される場合、用語「実質的に類似」又は「実質的に同様」は、当業者が、該値(例えばKd値)により測定される生物学的特徴の範囲内で、2つの値の間に、ほとんど又は全く生物学的及び/又は統計的に有意な差異がないとみなすような、2つの数値(例えば、一方は本発明の抗体に関連しており、他方は参照/比較抗体に関連している)の間の十分高度な類似性を示す。前記2つの値の間の差異は、例えば、参照/比較分子に対する値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、及び/又は約10%未満である。
【0071】
ここで用いられる場合、「担体」は、薬学的に許容されうる担体、賦形剤、又は安定化剤を含み、用いられる用量及び濃度でそれらに暴露される細胞又は哺乳動物に対して無毒である。生理学的に許容されうる担体は、水性pH緩衝溶液であることが多い。生理学的に許容されうる担体の例は、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸塩のバッファー;アスコルビン酸を含む酸化防止剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジン;グルコース、マンノース又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;マンニトール又はソルビトール等の糖アルコール類;ナトリウム等の塩形成対イオン;及び/又は非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN
TM、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS
TMを含む。
【0072】
「パッケージ挿入物」は、指示、使用法、用量、投与、禁忌、包装された製品と組合せられる他の医薬、及び/又はこのような医薬の使用に関する注意についての情報を含む、医薬又は薬物の市販パッケージに常套的に含まれる指示を意味する。
【0073】
ここで使用される場合、用語「治療」 は、 臨床病理の経過中に処置される個体又は細胞の自然経過を変化させるために設計された臨床的介入を意味する。治療の望ましい効果には、疾患の進行速度を低下させる、疾患状態を緩和又は改善する、及び予後を改善させることが挙げられる。例えば、これに限定されるものではないが、癌細胞の増殖を減少させる(又は破壊する)、疾患に起因する症状を低減させる、疾患に罹患した個人の生活の質を向上させる、疾患を治療するために必要な他の薬の用量を減少させる、及び/又は個体の生存を延長することを含み、癌に関連する一又は複数の症状が軽減又は除去されたならば、個体は成功裏に「治療」されたことになる。
【0074】
ここで使用される場合、「疾患進行の遅延化」は、疾患(例えば癌)の発症を先送りする、妨げる、遅くする、阻止する、安定化させる、及び/又は延期させることを意味する。この遅延化の程度は、処置される疾患及び/又は個体の病歴に応じて、様々な時間になる可能性がある。当業者に明らかであるように、個体が疾患を発症しないように、十分又は有意な遅延化は、事実上、予防を包む。例えば、このような転移の発達などの後期癌は遅延化したものでありうる。
【0075】
「有効量」は、少なくとも、特定の疾患の測定可能な改善又は予防に効果を発揮するのに必要な最小濃度である。ここで有効量は、疾患状態、年齢、性別、及び患者の体重、及び個体において所望の応答を誘発する抗体の能力などの要因に応じて変化し得る。有効量はまた、治療的に有益な効果が、処置の任意の毒性又は有害作用を上回る量である。予防的使用のための有益又は所望の結果には、疾患の生化学的、組織学的及び/又は疾患の症状、疾患の発症中に提示される合併症及び中間的な病理学的表現型を含む、リスクを配乗又は低減する、重症度を軽減する、又は疾患の発症を遅延化させるような結果が含まれる。治療的使用のための有益又は所望の結果には、例えば、疾患に起因する一又は複数の症状を減少させる、疾患に罹患している人の生活の質を向上させる、疾患を処置するために必要な他の薬の用量を減少させる、ターゲティングを介して他の医薬の効果を増強させる、及び/又は生存を延長すること等の臨床結果が含まれる。癌又は腫瘍のケースにおいて、薬剤の有効量は、癌細胞数の低減;腫瘍サイズの低減;周辺器官への癌細胞の浸潤の阻害(すなわち、ある程度までの遅延化又は所望の停止);腫瘍転移の阻害(すなわち、ある程度までの遅延化又は所望の停止);腫瘍成長のある程度までの阻害;及び/又は疾患に関連する一又は複数の徴候のある程度までの軽減に効果を有しうる。有効量は、1又は複数回の投与で投与することができる。この発明の目的のために、薬剤、化合物、又は製薬用組成物の有効量は、直接的又は間接的に予防的又は治療的処置を達成するのに十分な量である。臨床的文脈において理解されるように、薬剤、化合物、又は製薬用組成物の有効量は、又は別の薬剤、化合物、又は製薬用組成物と併せて達成されてもされなくてもよい。したがって、「有効量」は、一又は複数の治療薬を投与する状況で考慮することができ、単一の薬剤は、一又は複数の他の薬剤と組合せて、望ましい結果が達成される可能性がある又は達成されるならば、有効量で付与されたと考えてよい。
【0076】
ここで使用される場合、「と組合せて」は、別の処置様式に加えて、1つの処置様式の投与を意味する。このように、「と組合せて」とは、個体への他の処置様式の投与の前、間及び後に、ある投与様式を投与することを意味する。
【0077】
ここで使用される場合、「完全寛解」又は「CR」とは、すべての標的病変の消失を意味し、「部分寛解」又は「PR」とは、基準となるベースラインSLDを参照として取り、標的病変の最長径(SLD)の合計の少なくとも30%の減少を意味し;「安定疾患」又は「SD」は、治療が開始されてからの最小のSLDを参照として取り、PRを変えるのに十分な標的病変の収縮、またPDを変えるのに十分な増加もないことを意味する。
【0078】
ここで使用される場合、「進行性疾患」又は「PD」は、処置開始時、又は一又は複数の新規の病変の存在下で記録された最小のSLDを参照として取り、標的病変のSLDにおいて、少なくとも20%増加がみられるものを意味する。
【0079】
ここで使用される場合、「無増悪生存期間」(PFS)は、処置される疾患(例えば癌)が悪化しない、治療中及び治療後の時間の長さを意味する。無増悪生存期間は、患者が完全寛解又は部分寛解を受けている時間の長さ、並びに患者が安定した疾患を受けている時間の長さを含んでいてもよい。
【0080】
ここで使用される場合、「奏効率」(ORR)は、完全寛解(CR)率及び部分寛解(PR)率の合計を意味する。
【0081】
「全生存」は特定の時間期間の後に生きている可能性があるグループ内の個体の割合を意味する。
【0082】
「化学療法剤」は癌の処置に有用な化合物である。化学療法剤の例には:アルキル化剤、例えばチオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標));スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン(piposulfan);アジリジン類、例えばベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa);アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ-ラパコン(lapachone);ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトセシン(合成類似体トポテカン(topotecan)(HYCAMTIN(登録商標))、CPT-11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標)、アセチルカンプトセシン、スコポレクチン(scopolectin)、及び9-アミノカンプトセシンを含む);ブリオスタチン;ペメトレキセド;カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)及びバイゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);ポドシロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(cryptophycin)(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin);デュオカルマイシン(duocarmycin)(合成類似体、KW-2189及びCBI-TM1を含む);エレトロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin);TLK-286;CDP323、経口用アルファ-4インテグリンインヒビター;サルコディクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);ナイトロジェンマスタード、例えばクロランブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード;ニトロス尿素(nitrosureas)、例えばカルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン、及びラニムスチン;抗生物質、例えばエネジン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、カリケアマイシンガンマ1I、カリケアマイシンオメガI1(例えば、Nicolaouら, Angew Chem. Intl. Ed. Engl. 33:183-186(1994)を参照);ダイネマイシン(dynemicin)、ダイネマイシンA;エスペラマイシン;並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN(登録商標)、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、ドキソルビシンHClリポソーム注射(DOXIL(登録商標))及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダラルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えばメトトレキサート、ゲンシタビン(gemcitabine)(GEMZAR(登録商標))、テガフール(UFTORAL(登録商標))、カペシタビン(XELODA(登録商標))、エポシロン、及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate);プリン類似体、例えばフルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine)、及びイマチニブ(2-フェニルアミノピリミジン誘導体)、並びに他のc-kit阻害剤;抗副腎薬、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸リプレニッシャー、例えばフロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシノイド、例えばメイタンシン及びアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products, Eugene, OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2',2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(ABRAXANE
TM)、及びドセタキセル(TAXOTERE(登録商標));クロランブシル;6 -チオグアニン、メルカプトプリン、メトトレキサート、シスプラチン及びカルボプラチンのような白金類似体;ビンブラスチン(VELBANR(登録商標));白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVINR(登録商標))、オキサリプラチン;ロイコボリン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));ノバントロン;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;上述した任意のものの薬学的に許容可能な塩、酸又は誘導体;並びにシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの併用療法の略称であるCHOP等の上述した2又はそれ以上の組合せ、5-FU及びロイコボリンと組合せてオキサリプラチン(ELOXATIN
TM)を用いた治療法の略称であるFOLFOXが含まれる。
【0083】
化学治療剤の付加的な例には、癌の増殖を促進可能なホルモン効果を調整、低減、ブロック又は抑制するように働く抗ホルモン剤が含まれ、多くの場合は組織的又は全身処置の形態である。それらはホルモンそれ自体であってもよい。具体例には、抗エストロゲン及び選択的エストロゲンレセプターモジュレーター(SERM)など、例えばタモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン(raloxifene)(EVISTA(登録商標))、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びトレミフェン(FARESTON(登録商標));抗プロゲステロン;エストロゲンレセプターダウン-レギュレーター(ERD);エストロゲンレセプターアンタゴニスト、例えばフルベストラント(FASLODEX(登録商標));卵巣を抑制又は活動停止させるように機能する薬剤、例えば黄体化(leutinizing)ホルモン-放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、例えば酢酸ロイプロリド(LUPRON(登録商標)及びELIGARD(登録商標))、酢酸ゴセレリン、酢酸ブセレリン及びトリプテレリン(tripterelin);他の抗アンドロゲン、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)及びビカルタミド;及びアロマターゼ酵素を阻害するアロマターゼ阻害物質、副腎でのエストロゲン産生を調節するものであり、例えば4(5)-イミダゾール類、アミノグルテチミド、メゲストロールアセテート(MEGASE(登録商標))、エキセメスタン(AROMASIN(登録商標))、ホルメスタニエ(formestanie)、ファドロゾール、ボロゾール(RIVISOR(登録商標))、レトロゾール(FEMARA(登録商標))、及びアナストロゾール(ARIMIDEX(登録商標))が含まれる。さらに、化学治療剤のこのような定義には、ビスホスホナート、例えばクロドロナート(例えば、BONEFOS(登録商標)又はOSTAC(登録商標))、エチドロナート(DIDROCAL(登録商標))、NE-58095、ゾレドロン酸/ゾレドロナート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロナート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロナート(AREDIA(登録商標))、チルドロナート(SKELID(登録商標))又はリゼドロナート(ACTONEL(登録商標));並びにトロキサシタビン(troxacitabine)(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に付粘着性細胞増殖に関係するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を抑制するもの、例えばPKC-アルファ、Raf、H-Ras、及び上皮成長因子レセプター(EGF-R);ワクチン、例えばTHERATOPE(登録商標)ワクチン、及び遺伝子治療用ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン及びVAXID(登録商標)ワクチン;トポイソメラーゼ1インヒビター(例えば、LURTOTECAN(登録商標));フルベストラントなどの抗エストロゲン類;イマチニブ又はEXEL-0862(チロシンキナーゼ阻害剤)等のKit阻害剤;EGFR阻害剤、例えばエルロチニブ又はセツキシマブ;抗VEGF阻害剤、例えばベバシズマブ;アリノテカン;rmRH(例えば、ABARELIX(登録商標));ラパチニブ及びラパチニブジトシレート(GW572016としても知られるErbB-2及びEGFR二重チロシンキナーゼ小分子阻害剤);17AAG(熱ショックタンパク質(HSP)90毒であるゲルダナマイシン誘導体)、及び上述した任意のものの薬学的に許容可能な塩、酸、又は誘導体が含まれる。
【0084】
「サイトカイン」という用語は、一つの細胞集団から放出されるタンパク質であって、他の細胞に対して細胞間メディエータとして作用するもの、又はタンパク質生成細胞において自己分泌作用を有するものを一般的に称する。このようなサイトカインの例としては、リンフォカイン、モノカイン、;PROLEUKIN(登録商標)rIL-2を含む、IL-1、IL-1α、IL-2、IL-3、 IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、 IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17A-F、IL-18からIL-29(例えばIL-23)、IL-31等のインターロイキン(IL);腫瘍壊死因子、例えばTNF-α又はTNF-β、TGF-β1-3;及び白血病抑制因子(「LIF」)、毛様体神経栄養因子(「CNTF」)、CNTF様サイトカイン(「CLC」)、カルジオトロフィン(「CT」)、及びキットリガンド(「KL」)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。
【0085】
ここで使用される場合、用語「ケモカイン」は、選択的に白血球の走化性及び活性化を誘導する能力を有する可溶性因子(例えば、サイトカイン)を意味する。それらは、血管新生、炎症、創傷治癒、及び腫瘍形成のプロセスを惹起する。例えば、ケモカインには、IL-8、マウスケラチノサイト誘引物質(KC)のヒト相同体が含まれる。
【0086】
ここ及び添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「又は」及び「the」は、文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0087】
「約」への参照として、ここでの値又はパラメータは、値又はパラメータそれ自体を対象としたバリエーションが含まれる(又は記載される)。例えば、「約X」に言及した記述は、「X」の記述を含む。
【0088】
ここで使用される場合「アルキル」なる用語は、1から12の炭素原子の飽和した直鎖状又は分枝鎖一価炭化水素基を意味する。アルキル基の例には、限定されないが、メチル(Me,-CH
3)、エチル(Et,-CH
2CH
3)、1-プロピル(n-Pr,n-プロピル,-CH
2CH
2CH
3)、2-プロピル(i-Pr,i-プロピル,-CH(CH
3)
2)、1-ブチル(n-Bu,n-ブチル,-CH
2CH
2CH
2CH
3)、2-メチル-1-プロピル(i-Bu,i-ブチル,-CH
2CH(CH
3)
2)、2-ブチル(s-Bu,s-ブチル,-CH(CH
3)CH
2CH
3)、2-メチル-2-プロピル(t-Bu,t-ブチル,-C(CH
3)
3)、1-ペンチル(n-ペンチル,-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2-ペンチル(-CH(CH
3)CH
2CH
2CH
3)、3-ペンチル(-CH(CH
2CH
3)
2)、2-メチル-2-ブチル(-C(CH
3)
2CH
2CH
3)、3-メチル-2-ブチル(-CH(CH
3)CH(CH
3)
2)、3-メチル-1-ブチル(-CH
2CH
2CH(CH
3)
2)、2-メチル-1-ブチル(-CH
2CH(CH
3)CH
2CH
3)、1-ヘキシル(-CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3)、2-ヘキシル(-CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3)、3-ヘキシル(-CH(CH
2CH
3)(CH
2CH
2CH
3))、2-メチル-2-ペンチル(-C(CH
3)
2CH
2CH
2CH
3)、3-メチル-2-ペンチル(-CH(CH
3)CH(CH
3)CH
2CH
3)、4-メチル-2-ペンチル(-CH(CH
3)CH
2CH(CH
3)
2)、3-メチル-3-ペンチル(-C(CH
3)(CH
2CH
3)
2)、2-メチル-3-ペンチル(-CH(CH
2CH
3)CH(CH
3)
2)、2,3-ジメチル-2-ブチル(-C(CH
3)
2CH(CH
3)
2)、3,3-ジメチル-2-ブチル(-CH(CH
3)C(CH
3)
3、1-ヘプチル、1-オクチル等が含まれる。
【0089】
「アルケニル」なる用語は、少なくとも一の不飽和部位、つまり炭素−炭素sp
2二重結合を有する2から12の炭素原子の直鎖状又は分枝鎖状の一価炭化水素基を称し、ここで、アルケニル基は「シス」及び「トランス」配向、又は「E」及び「Z」配向を有する基を含む。例には、限定されないが、エチレニル又はビニル(-CH=CH
2)、アリル(-CH
2CH=CH
2)等々が含まれる。
【0090】
「アルキニル」なる用語は、少なくとも一の不飽和部位、つまり炭素−炭素sp三重結合を有する2から12の炭素原子の直鎖状又は分枝状一価炭化水素基を意味する。例には、限定されないが、エチニル(-C≡CH)、プロピニル(プロパルギル,-CH
2C≡CH)等々が含まれる。
【0091】
「炭素環」、「カルボシクリル」、「炭素環式化合物」及び「シクロアルキル」という用語は、単環として3から12の炭素原子を、又は二環式環として7から12の炭素原子を有する、一価の非芳香族の飽和又は部分的に不飽和の環を意味する。7から12の原子を有する二環式炭素環は、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]又は[6,6]系として配置され得、9又は10の環原子を有する二環式炭素環は、ビシクロ[5,6]又は[6,6]系として、又はビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン及びビシクロ[3.2.2]ノナンのような架橋系として配置され得る。単環式炭素環の例には、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペンタ-1-エニル、1-シクロペンタ-2-エニル、1-シクロペンタ-3-エニル、シクロヘキシル、1-シクロヘキサ-1-エニル、1-シクロヘキサ-2-エニル、1-シクロヘキサ-3-エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル等々が含まれる。
【0092】
「アリール」は、親芳香族環系の単一炭素原子から一つの水素原子を取り除くことによって誘導される6−18の炭素原子の一価芳香族炭化水素基を意味する。幾つかのアリール基は「Ar」として例示構造において表される。アリールは飽和、部分的不飽和環、又は芳香族炭素環又は複素環式環に縮合した芳香族環を含む二環式基を含む。典型的なアリール基には、限定されないが、ベンゼン(フェニル)、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、インデニル、インダニル、1,2-ジヒドロナフタレン、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル等々が含まれる。
【0093】
「複素環」、「ヘテロシクリル」及び「複素環式化合物」なる用語は、ここでは交換可能に使用され、少なくとも一の環原子が、窒素、酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCであり、一又は複数の環原子は以下に記載の一又は複数の置換基で独立して置換されていてもよい、3から18の環原子の飽和又は部分的不飽和(つまり、環内に一又は複数の二重及び/又は三重結合を有する)炭素環式基を意味する。複素環は、3から7の環員(2から6の炭素原子とN、O、P及びSから選択される1から4のヘテロ原子)を有する単環、又は7から10の環員(4から9の炭素原子とN、O、P及びSから選択される1から6のヘテロ原子)を有する二環、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]系でありうる。複素環は、Paquette, Leo A.;「Principles of Modern Heterocyclic Chemistry」(W.A. Benjamin, New York, 1968)、特に1、3、4、6、7、及び9章;「The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A series of Monographs」(John Wiley & Sons,New York, 1950 to present)、特に13、14、16、19、及び28巻;及びJ. Am. Chem. Soc. (1960) 82:5566に記載されている。「ヘテロシクリル」はまた複素環基に飽和、部分的不飽和環、又は芳香族炭素環又は複素環式環が縮合した基を含む。複素環式環の例には、限定されないが、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、イミダゾリジニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、及びアザビシクロ[2.2.2]ヘキサニルが含まれる。スピロ部分がまたこの定義の範囲内に含まれる。環原子がオキソ(=O)部分で置換されている複素環基の例はピリミジノニル及び1,1-ジオキソ-チオモルホリニルである。
【0094】
「ヘテロアリール」なる用語は、5又は6員の環の一価芳香族基を称し、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される一又は複数のヘテロ原子を含む5-18原子の縮合環系(少なくとも一が芳香族)を含む。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル(例えば2-ヒドロキシピリジニルを含む)、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、ピリミジニル(例えば4-ヒドロキシピリミジニルを含む)、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルである。
【0095】
複素環又はヘテロアリール基は、それが可能な場合、炭素(炭素連結)又は窒素(窒素連結)結合でありうる。例を挙げると、限定ではないが、炭素結合複素環又はヘテロアリールはピリジンの2、3、4、5、又は6位、ピリダジンの3、4、5又は6位、ピリミジンの2、4、5、又は6位、ピラジンの2、3、5又は6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール又はテトラヒドロピロールの2、3、4'又は5位、オキサゾール、イミダゾール又はチアゾールの2、4又は5位、イソオキサゾール、ピラゾール、又はイソチアゾールの3、4又は5位、アジリジンの2又は3位、アゼチジンの2、3又は4位、キノリンの2、3、4、5、6、7又は8位、又はイソキノリンの1、3、4、5、6、7又は8位で結合する。
【0096】
例を挙げると、限定ではないが、窒素結合複素環又はヘテロアリールは、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2-ピロリン、3-ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2-ピラゾリン、3-ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H-インダゾールの1位;イソインドール又はイソインドリンの2位;モルホリンの4位;及びカルバゾール、又はβ-カルボリンの9位で結合する。
【0097】
ヘテロアリール又はヘテロシクリルに存在するヘテロ原子は酸化形態、例えばN
+→O
−、S(O)及びS(O)
2を含む。
【0098】
「ハロ」なる用語は、F、Cl、Br又はIを意味する。
【0099】
ここで使用される場合、「薬学的に許容可能な塩」なる語句は、本発明の化合物の薬学的に許容可能な有機又は無機塩を意味する。例示的な塩には、限定されるものではないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸ホスフェート、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸シトレート、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシル酸塩」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(つまり、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))塩、アルカリ金属(例えば、ナトリウム及びカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、及びアンモニウム塩が含まれる。薬学的に許容可能な塩は、アセテートイオン、スクシネートイオン又は他の対イオンのような他の分子を含みうる。対イオンは親化合物上の電荷を安定化する任意の有機又は無機部分でありうる。さらに、薬学的に許容可能な塩は、その構造中に一を越える荷電原子を有しうる。複数の荷電原子が薬学的に許容可能な塩の一部である場合は、複数の対イオンを有しうる。よって、薬学的に許容可能な塩は一又は複数の荷電原子及び/又は一又は複数の対イオンを有しうる。
【0100】
本発明の化合物が塩基である場合、所望の薬学的に許容可能な塩は、当該分野で利用できる任意の適切な方法、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸等のような無機酸で、又は例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、例えばグルクロン酸又はガラクツロン酸、αヒドロキシ酸、例えばクエン酸又は酒石酸、アミノ酸、例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸、芳香族酸、例えば安息香酸又はケイ皮酸、スルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸又はエタンスルホン酸等のような有機酸での遊離塩基の処理によって調製することができる。
【0101】
本発明の化合物が酸である場合、所望の薬学的に許容可能な塩は、任意の適切な方法、例えば無機又は有機塩基、例えばアミン(第1級、第2級又は第3級)、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物等での遊離酸の処理によって調製することができる。適切な塩を例証する例には、限定されないが、アミノ酸、例えばグリシン及びアルギニン、アンモニア、第1級、第2級、及び第3級アミン、及び環状アミン、例えばピペリジン、モルホリン及びピペラジンから誘導される有機塩基、及びナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムから誘導される無機塩が含まれる。
【0102】
「薬学的に許容可能な」なる語句は、物質又は組成物が、処方物に含有される他の成分、及び/又はそれで治療されている哺乳動物と、化学的に及び/又は毒物学的に適合性がなければならないことを示している。
【0103】
「溶媒和物」は一又は複数の溶媒分子と本発明の化合物の会合体又は複合体を意味する。溶媒和物を形成する溶媒の例には、限定されないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンが含まれる。「水和物」なる用語は、溶媒分子が水である複合体を意味する。
【0104】
ここに記載の本発明の態様及び変形は、態様及び変形の「からなる」及び/又は「から本質的になる」が含まれると理解される。
【0105】
III.方法
一態様では、個体にPD-1軸結合アンタゴニストとMEK阻害剤の有効量を投与することを含む、個体における癌を治療し又はその進行を遅延させるための方法が提供される。いくつかの実施態様では、本処置により、処置の中止後も、個体において応答が維持される結果となった。
【0106】
この発明の方法は、増強された免疫原性が、このような癌の処置のため、腫瘍免疫原性の増大が所望される状態の処置における使用が見出されている。処置される、又はそれらの進行が遅延化される種々の癌には、限定されるものではないが、BRAF V600E変異を有しうる癌、BRAF野生型を有しうる癌、KRAS野生型を有しうる癌、又は活性化KRAS変異を有しうる癌が含まれる。
【0107】
いくつかの実施態様では、個体はメラノーマを有する。メラノーマは初期又は後期段階であってもよい。いくつかの実施態様では、個体は結腸直腸癌を有する。結腸直腸癌は初期又は後期段階であってもよい。いくつかの実施態様では、個体は非小細胞肺癌を有する。非小細胞肺癌は初期又は後期段階であってもよい。いくつかの実施態様では、個体は膵臓癌を有する。膵臓癌持っています。膵臓癌は初期又は後期段階であってもよい。いくつかの実施態様では、個体は血液学的悪性疾患を有する。血液学的悪性腫瘍は初期又は後期段階であってよい。いくつかの実施態様では、個体は卵巣癌を有する。卵巣癌は初期又は後期段階であってもよい。いくつかの実施態様では、個体は乳癌を有する。乳癌は初期又は後期段階であってもよい。いくつかの実施態様では、個体は腎細胞癌を有する。腎細胞癌は初期又は後期段階であってもよい。
【0108】
いくつかの実施態様では、個体は、例えば、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、及び齧歯類(例えばマウス及びラット)などの哺乳動物である。いくつかの実施態様では、処置される個体はヒトである。
【0109】
別の態様では、PD-1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤の有効量を投与することを含む、癌を有する個体における免疫機能を増強する方法が、ここで提供される。
【0110】
いくつかの実施態様では、個体におけるCD8 T細胞が、PD-1経路アンタゴニスト及びMEK阻害剤の投与前に対し、プライミング、活性化、増殖及び/又は細胞溶解活性を相対的に増強した。いくつかの実施態様では、CD8 T細胞のプライミングは、CD8 T細胞におけるCD44発現の上昇及び/又は細胞溶解活性の増強によって特徴付けられる。いくつかの実施態様では、CD8 T細胞の活性化は、γ-IFN
+CD8 T細胞の頻度の上昇により特徴付けられる。いくつかの実施態様では、CD8 T細胞は抗原特異的T細胞である。いくつかの実施態様では、PD-L1表面発現を介したシグナル伝達による免疫回避が抑制される。
【0111】
いくつかの実施態様では、個体中の癌細胞は、PD-1経路アンタゴニスト及びMEK阻害剤の投与前に対して、MHCクラスI抗原の発現を上昇させる。
【0112】
いくつかの実施態様では、個体において抗原提示細胞は、PD-1経路アンタゴニスト及びMEK阻害剤の投与前に対して、成熟及び活性化度合いが増強している。いくつかの実施態様では、前記抗原提示細胞は樹状細胞である。いくつかの実施態様では、抗原提示細胞の成熟は、CD83
+樹状細胞 の頻度の増加によって特徴付けられる。いくつかの実施態様では、抗原提示細胞の活性化は、樹状細胞上のCD80及びCD86の発現の上昇によって特徴付けられる。
【0113】
いくつかの実施態様では、サイトカインIL-10及び/又はケモカインIL-8、マウスKCのヒト相同体の血清レベルは、個体において、抗PD-L1抗体及びMEK阻害剤の投与前に対して減少している。
【0114】
いくつかの実施態様では、癌はT細胞浸潤のレベルが上昇している。
【0115】
いくつかの態様では、本発明の併用療法は、PD-1結合軸アンタゴニストとMEK阻害剤の投与を含む。PD-1軸結合アンタゴニストとMEK阻害剤は、当技術分野で公知の任意の適切な方法で投与することができる。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤を、(同時に)並行して又は(異なる時点で)連続的に投与することができる。
【0116】
いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は同時投与される。いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は間欠的に投与される。いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は、PD-1軸結合アンタゴニストの投与前に投与される。いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は、PD-1軸結合アンタゴニストの投与と同時投与される。いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は、PD-1軸結合アンタゴニストの投与後に投与される。
【0117】
いくつかの実施態様では、PD-1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤の有効量を個体に投与することを含み、追加療法をさらに投与することを含む、個体における癌を治療し又はその進行を遅延させるための方法が提供される。追加療法は、放射線療法、外科手術(例えば、乳腺腫瘤摘出及び乳房切除術)、化学療法、遺伝子治療、DNA治療、ウイルス性治療、RNA治療、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、又はこれらの組合せであってもよい。追加療法は、アジュバント又はネオアジュバント療法の形態であってもよい。いくつかの実施態様では、追加療法は、小分子酵素阻害剤又は抗転移剤の投与である。いくつかの実施態様では、追加療法は副作用制限剤( 例えば、処置の副作用の発生及び/又は重症度を軽減することを意図した薬剤、特に鎮吐薬)の投与である。いくつかの実施態様では、追加療法は放射線療法である。いくつかの実施態様では、追加療法は手術である。いくつかの実施態様では、追加療法は放射線療法と外科手術との組合せである。いくつかの実施態様では、追加療法はガンマ照射である。いくつかの実施態様では、追加療法は、PI3K/AKT/mTOR経路、HSP90阻害剤、チューブリン阻害剤、アポトーシス阻害剤、及び/又は化学予防剤を標的とする療法である。追加療法は、上述した一又は複数の化学療法剤であってもよい。
【0118】
PD-1軸結合アンタゴニストとMEK阻害剤は、同じ投与経路で、又は異なる投与経路によって投与することができる。いくつかの実施態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、移植、吸入により、髄腔内、脳室内、鼻腔内に投与される。いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、移植、吸入により、髄腔内、脳室内、鼻腔内に投与される。有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤は、疾患の予防又は処置のために投与される。PD-1軸結合アンタゴニスト及び/又はMEK阻害剤の適切な量は、治療される疾患の種類、PD-1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤の種類、疾患の重症度及び経過、個々の臨床状態、個人の病歴や処置への反応、及び主治医の裁量に依存する。
【0119】
当該技術で公知又は以下に記載のPD-1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤が、本方法で使用されうる。
【0120】
PD-1軸結合アンタゴニスト
PD-1軸結合アンタゴニストとMEK阻害剤の有効量を個体に投与することを含む、個体における癌を治療し又はその進行を遅延させるための方法がここで提供される。例えば、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト及びPD-L2結合アンタゴニストを含む。「PD-1」の代替名にはCD279及びSLEB2が含まれる。「PD-L1」の代替名には、B7-H1、B7-4、CD274、及びB7-Hが含まれる。「PD-L2」の代替名には、B7-DC、BTDC、及びCD273が含まれる。いくつかの実施態様では、PD-1、PD-L1及びPD-L2は、ヒトPD-1、PD-L1及びPD-L2である。
【0121】
いくつかの実施態様では、PD-1結合アンタゴニストは、そのリガンド結合パートナーに対するPD-1の結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-1リガンド結合パートナーは、PD-L1及び/又はPD-L2である。別の実施態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、その結合パートナーへのPD-L1の結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L1結合パートナーは、PD-1及び/又はB7-1である。別の実施態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、その結合パートナーへのPD-L2の結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L2結合パートナーはPD-1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、又はオリゴペプチドであってもよい。
【0122】
いくつかの実施態様では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、又はキメラ抗体)である。いくつかの実施態様では、抗PD-1抗体は、MDX-1106、メルク3475及びCT-011からなる群から選択される。いくつかの 実施態様では、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域に融合したPD-L1又はPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を含むイムノアドヘシンである(例えば、免疫グロブリン配列ぼFc領域)。いくつかの実施態様では、PD-1結合アンタゴニストはAMP-224である。 いくつかの実施態様では、PD-L1結合アンタゴニストは抗PD-L1抗体である。いくつかの実施態様では、抗PD-L1結合アンタゴニストは、YW243.55.S70、MPDL3280A及びMDX-1105からなる群から選択される。また、BMS-936559としても知られているMDX-1105は、WO2007/005874に記載の抗PD-L1抗体である。抗体 YW243.55.S70(それぞれ配列番号20及び21に示す重鎖及び軽鎖可変領域配列)は、WO2010/077634A1に記載されている抗PD-L1である。また、MDX-1106-04として公知のMDX-1106、ONO-4538又はBMS-936558は、WO2006/121168に記載されている抗PD-1抗体である。また、MK-3475又はSCH-900475として知られるメルク3745は、WO2009/114335に記載されている抗PD-1抗体である。またHBAT又はHBAT-1としても公知のCT-011は、WO2009/101611に記載されている抗PD-1抗体である。また、B7-DCIgとして公知のAMP-224は、WO2010/027827及びWO2011/066342に記載されているPD-L2-Fc融合体可溶性受容体である。
【0123】
いくつかの実施態様では、抗PD-1抗体はMDX-1106である。「MDX-1106」の代替名には、MDX-1106-04、ONO-4538、BMS-936558又はニボルマブ(Nivolumab)が含まれる。いくつかの実施態様では、抗PD-1抗体はニボルマブ(CAS登録番号:946414-94-4)である。さらなる実施態様では 配列番号:22由来の重鎖可変領域アミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は配列番号:23由来の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含有する、単離された抗PD-1抗体が提供される。さらに別の実施態様では、重鎖及び軽鎖配列を有する単離された-抗PD-1抗体が提供され、ここで:
(a)重鎖配列は、重鎖配列:QVQLVESGGGVVQPGRSLRLDCKASGITFSNSGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWY DGSKRYYADSVKGRFTISRDNSKNTLFLQMNSLRAEDTAVYYCATNDDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号:22)に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有し、又は
(b)軽鎖配列は、軽鎖配列:EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRAT GIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQSSNWPRTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号::23)に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する。
【0124】
本発明の方法に有用な抗PD-L1抗体、及びその作製方法の例は、出典明示によりここに組み込まれる、PCT特許出願WO2010/077634A1に記載されている。
【0125】
いくつかの実施態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは抗PD-L1抗体である。いくつかの実施態様では、抗PD-L1抗体は、PD-L1とPD-1との間及び/又はPD-L1とB7-1との間の結合を阻害することができる。いくつかの実施態様では、抗PD-L1抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施態様では、抗PD-L1抗体は、Fab、Fab'-SH、Fv、scFv、及び(Fab')2断片からなる群から選択される抗体断片である。いくつかの実施態様では、抗PD-L1抗体はヒト化抗体である。いくつかの実施態様では、抗PD-L1抗体はヒト抗体である。
【0126】
WO2010/077634A1に記載されているような、このような抗体を含有する組成物を含む、この発明に有用な抗PD-L1抗体は、癌を処置するため、MEK阻害剤と組合せて使用することができる。いくつかの実施態様では、抗PD-L1抗体は、配列番号:20のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び配列番号:21のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含有する。
【0127】
一実施態様においては、抗PD-L1抗体は、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3配列を有する重鎖可変領域ポリペプチドを含有し、ここで:
(a)HVR-H1配列はGFTFSX
1SWIH(配列番号:1)であり;
(b)HVR-H2配列はAWIX
2PYGGSX
3YYADSVKG(配列番号:2)であり;
(c)HVR-H3配列はRHWPGGFDY(配列番号:3)であり;
さらにここで、X
1はD又はGであり;X
2はS又はLであり;X
3はT又はSである。
【0128】
特定の一態様では、X
1はDであり;X
2はSであり;X
3はTである。他の態様では、ポリペプチドは、式-(HC-FR1)-(HVR-H1)-(HC-FR2)-(HVR-H2)-(HC-FR3)-(HVR-H3)-(HC-FR4)に従って、HVRの間に並置された可変領域重鎖フレームワーク配列を含む。さらなる態様では、フレームワーク配列はヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる態様では、フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。さらに別の態様では、フレームワーク配列の少なくとも1つは以下の通りであり:
HC-FR1は、EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号:4)であり
HC-FR2は、WVRQAPGKGLEWV(配列番号:5)であり
HC-FR3は、RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:6)であり
HC-FR4は、WGQGTLVTVSA(配列番号:7)である。
【0129】
さらに別の態様では、重鎖ポリペプチドは、さらに、前記HVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3を有する軽鎖可変領域と組合され、ここで:
(a)HVR-L1配列はRASQX
4X
5X
6X
7TX
8A(配列番号:8)であり;
(b)HVR-L2配列はSASX
9LX
10Sであり(配列番号:9)であり;
(c)HVR-L3配列はQQX
11X
12X
13X
14PX
15T(配列番号:10)であり;
さらにここで:X
4はD又はVであり;X
5はV又はIであり;X
6はS又はNであり;X
7はA又はFであり;X
8はV又はLであり;X
9はF又はTであり;X
10はY又はAであり;X
11は、Y、G、F又はSであり;X
12は、L、Y、F又はWであり;X
13は、Y、N、A、T、G、F又はIであり;X
14は、H、V、P、T又はIであり;X
15は、A、W、R、P又はTである。
【0130】
さらなる態様では、X
4はDであり;X
5はVであり;X
6はSであり;X
7はAであり;X
8はVであり;X
9はFであり;X
10はYであり;X
11はYであり;X
12はLであり;X
13はYであり;X
14はHであり;X
15はAである。他の態様では、軽鎖は、式-(LC-FR1)-(HVR-L1)-(LC-FR2)-(HVR-L2)-(LC-FR3)-(HVR-L3)-(LC-FR4)に従って、HVRの間に並置された可変領域軽鎖フレームワーク配列を含む。さらなる態様では、フレームワーク配列はヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる態様では、フレームワーク配列は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。さらに別の態様では、フレームワーク配列の少なくとも1つは以下の通りであり:
LC-FR1は、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号:11)であり
LC-FR2は、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号:12)であり
LC-FR3は、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:13)であり
LC-FR4は、FGQGTKVEIKR(配列番号:14)である。
【0131】
他の実施態様では、重鎖及び軽鎖可変領域配列を有する、単離された抗PD-1抗体又は抗原結合断片が提供され、ここで:
(a)重鎖は、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3を含有し;ここでさらに、
(i)HVR-H1配列はGFTFSX1SWIH(配列番号:1)であり
(ii)HVR-H2配列はAWIX2PYGGSX3YYADSVKG(配列番号:2)であり
(iii)HVR-H3配列はRHWPGGFDY(配列番号:3)であり
(b)軽鎖は、HVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3を含有し;ここでさらに、
(i)HVR-L1配列はRASQX
4X
5X
6X
7TX
8A(配列番号:8)であり
(ii)HVR-L2配列はSASX
9LX
10S(配列番号:9)であり
(iii)HVR-L3配列はQQX
11X
12X
13X
14PX
15T(配列番号:10)であり
さらにここで:X
1はD又はGであり;X
2はS又はLであり;X
3はT又はSであり;X
4はD又はVであり;X
5はV又はIであり;X
6はS又はNであり;X
7はA又はFであり;X
8はV又はLであり;X
9はF又はTであり;X
10はY又はAであり;X
11は、Y、G、F又はSであり;X
12は、L、Y、F又はWであり;X
13は、Y、N、A、T、G、F又はIであり;X
14は、H、V、P、T又はIであり;X
15は、A、W、R、P又はTである。
【0132】
特定の態様では、X
1はDであり;X
2はSであり;X
3はTである。別の態様では、X
4はDであり;X
5はVであり;X
6はSであり;X
7はAであり;X
8はVであり;X
9はFであり;X
10はYであり;X
11はYであり;X
12はLであり;X
13はYであり;X
14はHであり;X
15はAである。さらなる別の態様では、X
1はDであり;X
2はSであり;X
3はTであり;X
4はDであり;X
5はVであり;X
6はSであり;X
7はAであり;X
8はVであり;X
9はFであり;X
10はYであり;X
11はYであり;X
12はLであり;X
13はYであり;X
14はHであり;X
15はAである。
【0133】
さらなる態様では、重鎖可変領域は、(HC-FR1)-(HVR-H1)-(HC-FR2)-(HVR-H2)-(HC-FR3)-(HVR-H3)-(HC-FR4)として、HVRの間に並置された一又は複数のフレームワーク配列を含み、軽鎖可変領域は、(LC-FR1)-(HVR-L1)-(LC-FR2)-(HVR-L2)-(LC-FR3)-(HVR-L3)-(LC-FR4)として、HVRの間に並置された一又は複数のフレームワーク配列を含む。さらなる態様では、フレームワーク配列はヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる態様では、重鎖フレームワーク配列は、カバットサブグループI、II又はIII配列に由来する。さらなる態様では、重鎖フレームワーク配列はVHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。さらに別の態様では、一又は複数の重鎖フレームワーク配列は以下の通りであり:
HC-FR1は、EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号:4)であり
HC-FR2は、WVRQAPGKGLEWV(配列番号:5)であり
HC-FR3は、RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:6)であり
HC-FR4は、WGQGTLVTVSA(配列番号:7)である。
【0134】
さらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、カバットカッパI、II、II又はIVサブグループ配列に由来する。さらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列はVLカッパIコンセンサスフレームワークである。さらに別の態様では、一又は複数の軽鎖フレームワーク配列は以下の通りであり:
LC-FR1は、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号:11)であり
LC-FR2は、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号:12)であり
LC-FR3は、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:13)であり
LC-FR4は、FGQGTKVEIKR(配列番号:14)である。
【0135】
さらに別の特定の態様では、抗体はさらに、ヒト又はマウスの定常領域を含む。さらに別の態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、IgG4からなる群から選択される。さらに別の特定の態様では、ヒト定常領域はIgG1である。さらに別の態様では、マウス定常領域はIgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3からなる群から選択される。さらに別の態様では、マウス定常領域はIgG2Aである。さらに別の特定の態様では、抗体は、エフェクター機能を低減又は最小にさせる。さらに別の特定の態様では、最小限のエフェクター機能は、「エフェクターレスFc変異」又は非グリコシル化に起因する。さらなる実施態様では、エフェクターレスFc変異は、定常領域中のN297A又はD265A/N297A置換である。
【0136】
さらに他の実施態様では、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む抗PD-L1抗体が提供され、ここで:
(a)重鎖は、それぞれGFTFSDSWIH(配列番号:15)、AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号:16)及びRHWPGGFDY(配列番号:3)に対して、少なくとも85%の配列同一性を有するHVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3配列をさらに有し、又は
(b)軽鎖は、それぞれRASQDVSTAVA(配列番号:17)、SASFLYS(配列番号:18)及びQQYLYHPAT(配列番号:19)に対して、少なくとも85%の配列同一性を有するHVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3配列をさらに有する。
【0137】
特定の態様では、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%である。他の態様では、重鎖可変領域は、(HC-FR1)-(HVR-H1)-(HC-FR2)-(HVR-H2)-(HC-FR3)-(HVR-H3)-(HC-FR4)として、HVRの間に並置された一又は複数のフレームワーク配列を含み、軽鎖可変領域は、(LC-FR1)-(HVR-L1)-(LC-FR2)-(HVR-L2)-(LC-FR3)-(HVR-L3)-(LC-FR4)として、HVRの間に並置された一又は複数のフレームワーク配列を含む。さらなる他の態様では、フレームワーク配列はヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる他の態様では、重鎖フレームワーク配列は、カバットサブグループI、II又はIII配列に由来する。さらなる態様では、重鎖フレームワーク配列はVHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。さらなる態様では、一又は複数の重鎖フレームワーク配列は以下の通りであり:
HC-FR1は、EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号:4)であり
HC-FR2は、WVRQAPGKGLEWV(配列番号:5)であり
HC-FR3は、RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:6)であり
HC-FR4は、WGQGTLVTVSA(配列番号:7)である。
【0138】
さらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、カバットカッパI、II、II又はIVサブグループ配列に由来する。さらなる他の態様では、軽鎖フレームワーク配列はVLカッパIコンセンサスフレームワークである。さらに別の態様では、一又は複数の軽鎖フレームワーク配列は以下の通りであり:
LC-FR1は、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号:11)であり
LC-FR2は、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号:12)であり
LC-FR3は、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:13)であり
LC-FR4は、FGQGTKVEIKR(配列番号:14)である。
【0139】
さらに別の特定の態様では、抗体はさらに、ヒト又はマウスの定常領域を含む。さらに別の態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、IgG4からなる群から選択される。さらに別の特定の態様では、ヒト定常領域はIgG1である。さらに別の態様では、マウス定常領域はIgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3からなる群から選択される。さらに別の態様では、マウス定常領域はIgG2Aである。さらに別の特定の態様では、抗体は、エフェクター機能を低減又は最小にさせる。さらに別の特定の態様では、最小限のエフェクター機能は、「エフェクターレスFc変異」又は非グリコシル化に起因する。さらなる実施態様では、エフェクターレスFc変異は、定常領域中のN297A又はD265A/N297A置換である。
【0140】
さらに他の実施態様では、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む、単離された抗PD-L1抗体が提供され、ここで:
(a)重鎖は、重鎖配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWIS PYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSA(配列番号:20)に対して、少なくとも85%の配列同一性を有し、又は
(b)軽鎖は、軽鎖配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIY SASF LYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号:21)に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する。
【0141】
特定の態様では、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%である。他の態様では、重鎖可変領域は、(HC-FR1)-(HVR-H1)-(HC-FR2)-(HVR-H2)-(HC-FR3)-(HVR-H3)-(HC-FR4)として、HVRの間に並置された一又は複数のフレームワーク配列を含み、軽鎖可変領域は、(LC-FR1)-(HVR-L1)-(LC-FR2)-(HVR-L2)-(LC-FR3)-(HVR-L3)-(LC-FR4)として、HVRの間に並置された一又は複数のフレームワーク配列を含む。さらなる他の態様では、フレームワーク配列はヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる態様では、重鎖フレームワーク配列は、カバットサブグループI、II又はIII配列に由来する。さらなる他の態様では、重鎖フレームワーク配列はVHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。さらなる他の態様では、一又は複数の重鎖フレームワーク配列は以下の通りであり:
HC-FR1は、EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号:4)であり
HC-FR2は、WVRQAPGKGLEWV(配列番号:5)であり
HC-FR3は、RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:6)であり
HC-FR4は、WGQGTLVTVSA(配列番号:7)である。
【0142】
さらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、カバットカッパI、II、II又はIVサブグループ配列に由来する。さらなる他の態様では、軽鎖フレームワーク配列はVLカッパIコンセンサスフレームワークである。さらに別の態様では、一又は複数の軽鎖フレームワーク配列は以下の通りであり:
LC-FR1は、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号:11)であり
LC-FR2は、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号:12)であり
LC-FR3は、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:13)であり
LC-FR4は、FGQGTKVEIKR(配列番号:14)である。
【0143】
さらに別の特定の態様では、抗体はさらに、ヒト又はマウスの定常領域を含む。さらに別の態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、IgG4からなる群から選択される。さらに別の特定の態様では、ヒト定常領域はIgG1である。さらに別の態様では、マウス定常領域はIgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3からなる群から選択される。さらに別の態様では、マウス定常領域はIgG2Aである。さらに別の特定の態様では、抗体は、エフェクター機能を低減又は最小にさせる。さらに別の特定の態様では、最小限のエフェクター機能は原核細胞における生成に起因する。さらに別の特定の態様では、最小限のエフェクター機能は「エフェクターレスFc変異」又は非グリコシル化に起因する。さらなる実施態様では、エフェクターレスFc変異は、定常領域中のN297A又はD265A/N297A置換である。
【0144】
さらに他の実施態様では、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む、単離された抗PD-L1抗体が提供され、ここで:
(a)重鎖は、重鎖配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:24)に対して、少なくとも85%の配列同一性を有し、又は、
(b)軽鎖は、軽鎖配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIY SASF LYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号:21)に対して、少なくとも85%の配列同一性を有する。
【0145】
特定の態様では、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%である。他の態様では、重鎖可変領域は、(HC-FR1)-(HVR-H1)-(HC-FR2)-(HVR-H2)-(HC-FR3)-(HVR-H3)-(HC-FR4)として、HVRの間に並置された一又は複数のフレームワーク配列を含み、軽鎖可変領域は、(LC-FR1)-(HVR-L1)-(LC-FR2)-(HVR-L2)-(LC-FR3)-(HVR-L3)-(LC-FR4)として、HVRの間に並置された一又は複数のフレームワーク配列を含む。さらなる他の態様では、フレームワーク配列はヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる態様では、重鎖フレームワーク配列は、カバットサブグループI、II又はIII配列に由来する。さらなる他の態様では、重鎖フレームワーク配列はVHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。さらなる他の態様では、一又は複数の重鎖フレームワーク配列は以下の通りであり:
HC-FR1は、EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号:4)であり
HC-FR2は、WVRQAPGKGLEWV(配列番号:5)であり
HC-FR3は、RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:6)であり
HC-FR4は、WGQGTLVTVSS(配列番号:25)である。
【0146】
さらなる態様では、軽鎖フレームワーク配列は、カバットカッパI、II、II又はIVサブグループ配列に由来する。さらなる他の態様では、軽鎖フレームワーク配列はVLカッパIコンセンサスフレームワークである。さらに別の態様では、一又は複数の軽鎖フレームワーク配列は以下の通りであり:
LC-FR1は、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号:11)であり
LC-FR2は、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号:12)であり
LC-FR3は、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:13)であり
LC-FR4は、FGQGTKVEIKR(配列番号:14)である。
【0147】
さらに別の特定の態様では、抗体はさらに、ヒト又はマウスの定常領域を含む。さらに別の態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、IgG4からなる群から選択される。さらに別の特定の態様では、ヒト定常領域はIgG1である。さらに別の態様では、マウス定常領域はIgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3からなる群から選択される。さらに別の態様では、マウス定常領域はIgG2Aである。さらに別の特定の態様では、抗体は、エフェクター機能を低減又は最小にさせる。さらに別の特定の態様では、最小限のエフェクター機能は原核細胞における生成に起因する。さらに別の特定の態様では、最小限のエフェクター機能は「エフェクターレスFc変異」又は非グリコシル化に起因する。さらなる実施態様では、エフェクターレスFc変異は、定常領域中のN297A又はD265A/N297A置換である。
【0148】
さらに別の実施態様では、抗PD-1抗体はMPDL3280Aである。、さらなる実施態様では、配列番号:24由来の重鎖可変領域アミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び/又は配列番号:25由来の軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離された抗PD-1抗体が提供される。さらなる実施態様では、重鎖及び/又は軽鎖配列を有する単離された抗PD-1抗体が提供され、ここで、
(a)重鎖配列は、重鎖配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:26)に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の配列同一性を有し、又は
(b)軽鎖配列は、軽鎖配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号:27)に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の配列同一性を有する。
【0149】
さらに別の実施態様では、本発明は、少なくとも1の薬学的に許容可能な担体と組合せて、上述の抗PD-L1抗体のいずれかを含む組成物を提供する。
【0150】
さらなる実施態様では、抗PD-L1抗体の軽鎖及び重鎖可変領域配列をコードする、単離された核酸が提供され、ここで:
(a)重鎖は、それぞれGFTFSDSWIH(配列番号:15)、AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号:16)及びRHWPGGFDY(配列番号:3)に対して、少なくとも85%の配列同一性を有するHVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3配列をさらに有し、又は
(b)軽鎖は、それぞれRASQDVSTAVA(配列番号:17)、SASFLYS(配列番号:18)及びQQYLYHPAT(配列番号:19)に対して、少なくとも85%の配列同一性を有するHVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3配列をさらに有する。
【0151】
特定の態様では、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%である。他の態様では、重鎖可変領域は、(HC-FR1)-(HVR-H1)-(HC-FR2)-(HVR-H2)-(HC-FR3)-(HVR-H3)-(HC-FR4)として、HVRの間に並置された一又は複数のフレームワーク配列を含み、軽鎖可変領域は、(LC-FR1)-(HVR-L1)-(LC-FR2)-(HVR-L2)-(LC-FR3)-(HVR-L3)-(LC-FR4)として、HVRの間に並置された一又は複数のフレームワーク配列を含む。さらなる他の態様では、フレームワーク配列はヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる態様では、重鎖フレームワーク配列は、カバットサブグループI、II又はIII配列に由来する。さらなる他の態様では、重鎖フレームワーク配列はVHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである。さらなる他の態様では、一又は複数の重鎖フレームワーク配列は以下の通りであり:
HC-FR1は、EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号:4)であり
HC-FR2は、WVRQAPGKGLEWV(配列番号:5)であり
HC-FR3は、RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(配列番号:6)であり
HC-FR4は、WGQGTLVTVSA(配列番号:7)である。
【0152】
さらなる他の態様では、軽鎖フレームワーク配列は、カバットカッパI、II、II又はIVサブグループ配列に由来する。さらなる他の態様では、軽鎖フレームワーク配列はVLカッパIコンセンサスフレームワークである。さらに別の態様では、一又は複数の軽鎖フレームワーク配列は以下の通りであり:
LC-FR1は、DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号:11)であり
LC-FR2は、WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号:12)であり
LC-FR3は、GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号:13)であり
LC-FR4は、FGQGTKVEIKR(配列番号:14)である。
【0153】
さらに別の特定の態様では、ここに記載の抗体(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、又は抗PD-L2抗体)はさらに、ヒト又はマウスの定常領域を含む。さらに別の態様では、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、IgG4からなる群から選択される。さらに別の特定の態様では、ヒト定常領域はIgG1である。さらに別の態様では、マウス定常領域はIgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3からなる群から選択される。さらに別の態様では、マウス定常領域はIgG2Aである。さらに別の特定の態様では、抗体は、エフェクター機能を低減又は最小にさせる。さらに別の特定の態様では、最小限のエフェクター機能は原核細胞における生成に起因する。さらに別の特定の態様では、最小限のエフェクター機能は「エフェクターレスFc変異」又は非グリコシル化に起因する。さらなる実施態様では、エフェクターレスFc変異は、定常領域中のN297A又はD265A/N297A置換である。
【0154】
さらに別の特定の態様では、ここに記載の抗体のいずれかをコードする核酸が提供される。いくつかの態様では、核酸はさらに、先に記載した抗PD-L1、抗PD-1、又は抗PD-L2抗体のいずれかをコードする核酸の発現に適したベクターを含む。さらに別の特定の態様では、ベクターはさらに、核酸の発現に適した宿主細胞を含む。さらに別の特定の態様では、宿主細胞は真核細胞又は原核細胞である。さらに別の特定の態様では、真核細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)などの哺乳動物細胞である。
【0155】
抗体又はその抗原結合断片は、先に記載した抗PD-L1、抗PD-1、又は抗PD-L2抗体、又は抗原結合断片のいずれかをコードする核酸を含む宿主細胞を、発現に適した形態で、抗体又はその断片を産生するのに適した条件下にて培養し、抗体又は断片を回収することを含む方法によって、当技術分野で公知の方法を用いて製造することができる。
【0156】
さらに別の実施態様では、本発明は、少なくとも1の薬学的に許容可能な担体と、ここで提供されたような、抗PD-L1、抗PD-1、又は抗PD-L2、又はその抗原結合断片を含有する組成物を提供する。いくつかの実施態様では、個体に投与される抗PD-L1、抗PD-1、又は抗PD-L2抗体、又はその抗原結合断片は、一又は複数の薬学的に許容可能な担体を含有する組成物である。ここに記載又は当該技術で公知の薬学的に許容可能な担体のいずれかが使用される。
【0157】
MEK阻害剤
本発明は、PD-1経路アンタゴニスト及びMEK阻害剤の有効量を投与することを含む、個体における癌の進行を遅延化又は癌を処置する方法を提供する。任意の公知のMEK阻害剤は、例えば、その内容が参照としてここに導入されるPCT特許出願WO03/077914A1、WO2005/121142A1、WO2007/044515A1、WO2008/024725A1、及びWO2009/085983A1に記載されているMEK阻害化合物等を意図している。投与されるMEK阻害剤は製薬用組成物又は処方物であってもよい。いくつかの実施態様では、製薬用組成物又は処方物は、ここに記載の一又は複数のMEK阻害剤及び薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含有する。
【0158】
いくつかの実施態様では、MEK阻害剤はMEKの競合的阻害剤である。いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は活性化KRAS突然変異に対してより選択的である。いくつかの実施態様では、MEK阻害剤はMEKのアロステリック阻害剤である。いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は活性化BRAF変異(例えば、BRAF V600E変異)に対してより選択的である。いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は、MEK1及び/又はMEK2(例えば、ヒトMEK1及び/又はMEK2)と結合し、その活性を阻害する。
【0159】
いくつかの実施態様では、MEK阻害剤はまた、GDC-0973、G-38963、G02443714(「AS703206」としても公知)、G02442104(「GSK-1120212」としても公知)、及びG00039805(「AZD-6244」としても公知)からなる群から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物である。
【0160】
いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は、式(I):
[上式中、A、X、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6及びR
7は、A群、B群、C群、又は群Dに定められてるものであり:
A群:
Aは、場合によってはR
10、R
12、R
14、R
16、及びR
19から選択される、1、2、3又は4の基で置換されていてもよいアリーレンであり、ここでR
10、R
12、R
14及びR
16は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、-NHS(O)
2R
8、-CN、-C(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
8R
8’及び-NR
8C(O)R
8’であり、R
19は、水素、アルキル、又はアルケニルであり;
Xは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、又はハロアルコキシであり;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は独立して、水素、ハロ、ニトロ、-NR
8R
8’、-OR
8、-NHS(O)
2R
8、-CN、-S(O)
mR
8、-S(O)
2NR
8R
8’、-C(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
8R
8’、-NR
8C(O)OR
8’、-NR
8C(O)NR
8R
8’’、-NR
8C(O)OR
8’、-NR
8C(O)R
8’、-CH
2N(R
25)(NR
25aR
25b)、-CH
2NR
25C(=NH)(NR
25aR
25b)、-CH
2NR
25C(=NH)(N(R
25a)(NO
2))、-CH
2NR
25C(=NH)(N(R
25a)(CN))、-CH
2NR
25C(=NH)(R
25)、-CH
2NR
25C(NR
25aR
25b)=CH(NO
2)、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロシクロアルキルであり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、場合によってはハロ、アルキル、ハロアルキル、ニトロ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアリールアルキル、任意に置換されたヘテロアリール、-OR
8、-NR
8R
8’、-NR
8S(O)
2R
9、-CN、-S(O)
mR
9、-C(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
8R
8’、-NR
8C(O)NR
8’R
8’’、-NR
8C(O)OR
8’及び-NR
8C(O)R
8’から独立して選択される1、2、3、4、5、6又は7の基で置換されていてもよく;又はR
1及びR
2の一方はそれらが結合している炭素と共同して、R
3及びR
4はそれらが結合している炭素と共同して、R
5及びR
6はそれらが結合している炭素と共同して、C(O)又はC(=NOH)を形成し;
mは、0、1又は2であり;
R
7は、水素、ハロ又はアルキルであり;
各R
8、R
8’及びR
8’’は独立して、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、任意に置換されたアルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルオキシカルボニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールオキシカルボニル、任意に置換されたアリールアルキル、任意に置換されたアリールアルキルオキシ、任意に置換されたアリールアルキルオキシカルボニル、ニトロ、シアノ、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたヘテロアリール、-S(O)R
31(ここで、nは0、1又は2であり、R
31は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、又は任意に置換されたヘテロアリールである)、-NR
34SO
2R
34(ここで、R
34は水素又はアルキルであり、R
34aはアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクロアルキルである)、-SO
2NR
35R
35a(ここで、R
35は水素又はアルキルであり、またR
35aは、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクロアルキル)、-NR
32C(O)R
32a(ここで、R
32は水素又はアルキルであり、R
32aはアルキル、アルケニル、アルコキシ、又はシクロアルキルである)、-NR
30R
30’(ここで、R
30及びR
30’は独立して、水素、アルキル、もしくはヒドロキシアルキルである)、及び-C(O)NR
33R
33a(ここで、R
33は水素又はアルキルであり、R
33aはアルキル、アルケニル、アルキニル、又はシクロアルキルである)から選択される1、2、3、4又は5の基で置換されていてもよく、及び
各R
9は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから選択され;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、及びジアルキルアミノから選択される1、2、3、4又は5の基で置換されていてもよく;
B群:
Aは、場合によってはR
10、R
12、R
14、R
16、及びR
19から選択される、1、2、3又は4の基で置換されていてもよいヘテロアリーレンであり、ここでR
10、R
12、R
14及びR
16は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、又はアルキルカルボニルアミノであり;R
19は、水素、アルキル、又はアルケニルであり;前記各アルキル及びアルケニルは、単独で又はR
10、R
12、R
14、R
16及びR
19内の別の基の一部として独立して、ハロ、ヒドロキシ、又はアルコキシで置換されていてもよく;
Xは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、又はハロアルコキシであり;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
3及びR
6は独立して、水素、ハロ、ニトロ、-NR
8R
8’、-OR
8、-NHS(O)
2R
8、-CN、-S(O)
mR
8、-S(O)
2NR
8R
8’、-C(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
8R
8’、-NR
8C(O)OR
8’、-NR
8C(O)NR
8R
8’’、-NR
8C(O)OR
8’、-NR
8C(O)R
8’、-CH
2N(R
25)(NR
25aR
25b)、-CH
2NR
25C(=NH)(NR
25aR
25b)、-CH
2NR
25C(=NH)(N(R
25a)(NO
2))、-CH
2NR
25C(=NH)(N(R
25a)(CN))、-CH
2NR
25C(=NH)(R
25)、-CH
2NR
25C(NR
25aR
25b)=CH(NO
2)、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロシクロアルキルであり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、場合によってはハロ、アルキル、ハロアルキル、ニトロ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアリールアルキル、任意に置換されたヘテロアリール、-OR
8、-NR
8R
8’、-NR
8S(O)
2R
9、-CN、-S(O)
mR
9、-C(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
8R
8’、-NR
8C(O)NR
8’R
8’’、-NR
8C(O)OR
8’及び-NR
8C(O)R
8’から独立して選択される1、2、3、4、5、6又は7の基で置換されていてもよく;又はR
1及びR
2の一方はそれらが結合している炭素と共同して、R
3及びR
4はそれらが結合している炭素と共同して、R
5及びR
6はそれらが結合している炭素と共同して、C(O)又はC(=NOH)を形成し;
mは、1又は2であり;
R
7は、水素、ハロ又はアルキルであり;
各R
8、R
8’及びR
8’’は独立して、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから選択され;ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、任意に置換されたアルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルキル、カルボキシ、カルボキシエステル、ニトロ、シアノ、-S(O)
nR
31(ここで、nは、0、1、又は2であり、R
31は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、又は任意に置換されたヘテロアリールである)、-NR
36S(O)
2R
36a(R
36は水素、アルキル、又はアルケニルであり、R
36aはアルキル、アルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、又は任意に置換されたヘテロアリールである)、-S(O)
2NR
37R
37a(ここで、R
37は水素、アルキル、又はアルケニルであり、R
37aはアルキル、アルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、又は任意に置換されたヘテロアリールである)、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアリールアルキル、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールアルキルオキシ、任意に置換されたヘテロアリール、-NHC(O)R
32(ここで、R
32は、アルキル、アルケニル、アルコキシ、又はシクロアルキルである)、及び-NR
30R
30’(ここで、R
30及びR
30’は独立して、水素、アルキル、又はヒドロキシアルキルである)、及び-C(O)NHR
33(ここで、R
33は、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はシクロアルキルである)から選択される1、2、3、4又は5の基で置換されていてもよく;
C群:
Aは次の式:
であり、ここで、R
10は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ハロアルキル、-NHS(O)
2R
8、-CN、-C(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
8R
8’及び-NR
8C(O)R
8’であり;
R
10aは、水素、アルキル又はアルケニルであり;
Y
1は、=CH-又は=N-であり;
Xは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、又はハロアルコキシであり;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
3及びR
6は独立して、水素、ハロ、ニトロ、-NR
8R
8’、-OR
8、-NHS(O)
2R
8、-CN、-S(O)
mR
8、-S(O)
2NR
8R
8’、-C(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
8R
8’、-NR
8C(O)OR
8’、-NR
8C(O)NR
8R
8’’、-NR
8C(O)OR
8’、-NR
8C(O)R
8’、-CH
2N(R
25)(NR
25aR
25b)、-CH
2NR
25C(=NH)(NR
25aR
25b)、-CH
2NR
25C(=NH)(N(R
25a)(NO
2))、-CH
2NR
25C(=NH)(N(R
25a)(CN))、-CH
2NR
25C(=NH)(R
25)、-CH
2NR
25C(NR
25aR
25b)=CH(NO
2)、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロシクロアルキルであり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、場合によってはハロ、アルキル、ハロアルキル、ニトロ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアリールアルキル、任意に置換されたヘテロアリール、-OR
8、-NR
8R
8’、-NR
8S(O)
2R
9、-CN、-S(O)
mR
9、-C(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
8R
8’、-NR
8C(O)NR
8’R
8’’、-NR
8C(O)OR
8’及び-NR
8C(O)R
8’から独立して選択される1、2、3、4、5、6又は7の基で置換されていてもよく;又はR
1及びR
2の一方はそれらが結合している炭素と共同して、R
3及びR
4はそれらが結合している炭素と共同して、R
5及びR
6はそれらが結合している炭素と共同して、C(O)又はC(NOH)を形成し;
mは、1又は2であり;
R
7は、水素、ハロ又はアルキルであり;及び
各R
8、R
8’及びR
8’’は独立して、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから選択され;ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、任意に置換されたアルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルキル、カルボキシ、カルボキシエステル、ニトロ、シアノ、-S(O)
nR
31(ここで、nは、0、1、又は2であり、R
31は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、又は任意に置換されたヘテロアリールである)、-NR
36S(O)
2R
36a(ここで、R
36は水素、アルキル、又はアルケニルであり、R
36aはアルキル、アルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、又は任意に置換されたヘテロアリールである)、-S(O)
2NR
37R
37a(ここで、R
37は水素、アルキル、又はアルケニルであり、R
37aはアルキル、アルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、又は任意に置換されたヘテロアリールである)、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアリールアルキル、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールアルキルオキシ、任意に置換されたヘテロアリール、-NHC(O)R
32(ここで、R
32は、アルキル、アルケニル、アルコキシ、又はシクロアルキルである)、及び-NR
30R
30’(ここで、R
30及びR
30’は独立して、水素、アルキル、又はヒドロキシアルキルである)、及び-C(O)NHR
33(ここで、R
33は、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はシクロアルキルである)から選択される1、2、3、4又は5の基で置換されていてもよく;又は
D群:
Aは次の式:
又は
であり、R
40及びR
40aは独立して、水素又はアルキルであり;
Xは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、又はハロアルコキシであり;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
3及びR
6は独立して、水素、ハロ、ニトロ、-NR
8R
8’、-OR
8、-NHS(O)
2R
8、-CN、-S(O)
mR
8、-S(O)
2NR
8R
8’、-C(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
8R
8’、-NR
8C(O)OR
8’、-NR
8C(O)NR
8R
8’’、-NR
8C(O)OR
8’、-NR
8C(O)R
8’、-CH
2N(R
25)(NR
25aR
25b)、-CH
2NR
25C(=NH)(NR
25aR
25b)、-CH
2NR
25C(=NH)(N(R
25a)(NO
2))、-CH
2NR
25C(=NH)(N(R
25a)(CN))、-CH
2NR
25C(=NH)(R
25)、-CH
2NR
25C(NR
25aR
25b)=CH(NO
2)、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロシクロアルキルであり;ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、場合によってはハロ、アルキル、ハロアルキル、ニトロ、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアリールアルキル、任意に置換されたヘテロアリール、-OR
8、-NR
8R
8’、-NR
8S(O)
2R
9、-CN、-S(O)
mR
9、-C(O)R
8、-C(O)OR
8、-C(O)NR
8R
8’、-NR
8C(O)NR
8’R
8’’、-NR
8C(O)OR
8’及び-NR
8C(O)R
8’から独立して選択される1、2、3、4、5、6又は7の基で置換されていてもよく;又はR
1及びR
2の一方はそれらが結合している炭素と共同して、R
3及びR
4はそれらが結合している炭素と共同して、R
5及びR
6はそれらが結合している炭素と共同して、C(O)又はC(NOH)を形成し;
mは、1又は2であり;
R
7は、水素、ハロ又はアルキルであり;及び
各R
8、R
8’及びR
8’’は独立して、水素、ヒドロキシ、任意に置換されたアルコキシ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから選択され;ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルは独立して、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、任意に置換されたアルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルキル、カルボキシ、カルボキシエステル、ニトロ、シアノ、-S(O)
nR
31(ここで、nは、0、1、又は2であり、R
31は、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、又は任意に置換されたヘテロアリールである)、-NR
36S(O)
2R
36a(ここで、R
36は水素、アルキル、又はアルケニルであり、R
36aはアルキル、アルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、又は任意に置換されたヘテロアリールである)、-S(O)
2NR
37R
37a(ここで、R
37は水素、アルキル、又はアルケニルであり、R
37aはアルキル、アルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、又は任意に置換されたヘテロアリールである)、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアリールアルキル、任意に置換されたアリールオキシ、任意に置換されたアリールアルキルオキシ、任意に置換されたヘテロアリール、-NHC(O)R
32(ここで、R
32は、アルキル、アルケニル、アルコキシ、又はシクロアルキルである)、及び-NR
30R
30’(ここで、R
30及びR
30’は独立して、水素、アルキル、又はヒドロキシアルキルである)、及び-C(O)NHR
33(ここで、R
33は、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はシクロアルキルである)から選択される1、2、3、4又は5の基で置換されていてもよい]
化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物である。
【0161】
いくつかのバリエーションにおいて、式(I)のMEK阻害剤化合物は、式I(a)又はI(B):
を有するA群の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物であり、ここで変数は、式(I)、A群で定められた、又は出典明示によりここに組み込まれるWO2007/044515A1に定められたものである。
【0162】
いくつかのバリエーションにおいて、式(I)のMEK阻害剤化合物は、式I(c)、I(d)I(e)、I(f)、I(g)、I(h)、I(i)、I(j)、I(k)、I(m)、I(n)、I(o)、I(p)、I(q)、I(r)、I(s)、I(u)、I(v)、I(w)、I(x)、I(cc)又はI(dd):
を有するB群の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物であり、ここで変数は、式(I)、B群で定められた、又は出典明示によりここに組み込まれるWO2007/044515A1に定められたものである。
【0163】
いくつかのバリエーションにおいて、式(I)のMEK阻害剤化合物は、式I(y)又はI(z):
を有するC群の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物であり、ここで変数は、式(I)、C群で定められた、又は出典明示によりここに組み込まれるWO2007/044515A1に定められたものである。
【0164】
いくつかのバリエーションにおいて、式(I)のMEK阻害剤化合物は、式I(aa)又はI(bb):
を有するD群の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物であり、ここで変数は、式(I)、D群で定められた、又は出典明示によりここに組み込まれるWO2007/044515A1に定められたものである。
【0165】
いくつかの実施態様では、式(I)のMEK阻害剤化合物は、WO2007/044515A1、表1、71−144頁(ここでは、式I種と集合的に称される)に列挙された化合物第1−362番から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物である。
【0166】
出典明示によりここに組み込まれるWO2007/044515A1に記載したように、式(I)の任意の変形も包含される。一般式(I)の化合物、又は任意のその変形は、当技術分野で公知の方法を用いて合成することができ、例えば、合成方法は、出典明示によりここに組み込まれる、WO2007/044515A1に記載されている。
【0167】
ここで別に定義しない限り、式(I)の化合物を説明する際に使用される用語は、WO2007/044515A1に定義されたものと同じ意味を有すると理解されるべきである。
【0168】
いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は、式(II):
[上式中、
Z
1は、CR
1又はNであり;
Z
2は、CR
2又はNであり;
Z
3は、CR
3又はNであり;
Z
4は、CR
4又はNであり;
ここで、Z
1、Z
2、Z
3及びZ
4の1又は2がNであり;
R
1、R
2、R
3及びR
4は独立して、H、ハロ、CN、CF
3、-OCF
3、-NO
2、-(CR
14R
15)
nC(=Y)R
11、-(CR
14R
15)
nC(=Y)OR
11、-(CR
14R
15)
nC(=Y)NR
11R
12、-(CR
14R
15)
nNR
11R
12、-(CR
14R
15)
nOR
11、-(CR
14R
15)
nSR
11、-(CR
14R
15)
nNR
12C(=Y)R
11、-(CR
14R
15)
nNR
12C(=Y)OR
11、-(CR
14R
15)
nNR
13C(=Y)NR
11R
12、-(CR
14R
15)
nNR
12SO
2R
11、-(CR
14R
15)
nOC(=Y)R
11、-(CR
14R
15)
nOC(=Y)OR
11、-(CR
14R
15)
nOC(=Y)NR
11R
12、-(CR
14R
15)
nOS(O)
2(OR
11)、-(CR
14R
15)
nOP(=Y)(OR
11)(OR
12)、-(CR
14R
15)
nOP(OR
11)(OR
12)、-(CR
14R
15)
nS(O)R
11、-(CR
14R
15)
nS(O)
2R
11、-(CR
14R
15)
nS(O)
2NR
11R
12、-(CR
14R
15)
nS(O)(OR
11)、-(CR
14R
15)
nS(O)
2(OR
11)、-(CR
14R
15)
nSC(=Y)R
11、-(CR
14R
15)
nSC(=Y)OR
11、-(CR
14R
15)
nSC(=Y)NR
11R
12、C
1-C
12アルキル、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;
Wは
であり;
R
5及びR
6は独立して、H又はC
1-C
12アルキルから選択され;
X
1は、R
11、-OR
11、-NR
11R
12、-S(O)R
11、及び-S(O)
2R
11から選択され;X
1がR
11又は-OR
11である場合、X
1のR
11又は-OR
11及び-R
5は、場合によっては、それらが結合している窒素原子と共同して、O、S及びNから選択される0-2の付加的なヘテロ原子を有する4-7員の飽和又は不飽和環を形成し、ここで該環は、CN、CF
3、-OCF
3、-NO
2、オキソ、-Si(C
1-C
6アルキル)、-(CR
19R
20)
nC(=Y')R
16、-(CR
19R
20)
nC(=Y')OR
16、-(CR
19R
20)
nC(=Y')NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nNR
16R
17、-(CR
19R
20)
nOR
16、-(CR
19R
20)
n-SR
16、-(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y')R
17、-(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y')OR
17、-(CR
19R
20)
nNR
18C(=Y')NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nNR
17SO
2R
16、-(CR
19R
20)
nOC(=Y')R
16、-(CR
19R
20)
nOC(=Y')OR
16、-(CR
19R
20)
nOC(=Y')NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nOS(O)
2(OR
16)、-(CR
19R
20)
nOP(=Y')(OR
16)(OR
17)、-(CR
19R
20)
nOP(OR
16)(OR
17)、-(CR
19R
20)
nS(O)R
16、-(CR
19R
20)
nS(O)
2R
16、-(CR
19R
20)
nS(O)
2NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nS(O)(OR
16)、-(CR
19R
20)
nS(O)
2(OR
16)、-(CR
19R
20)
nSC(=Y')R
16、-(CR
19R
20)
nSC(=Y')OR
16、-(CR
19R
20)
nSC(=Y')NR
16R
17、及びR
21から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
X
2は、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;
R
11、R
12及びR
13は独立して、H、C
1-C
12アルキル、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、又は
R
11及びR
12はそれらが結合している窒素と共同して、O、S及びNから選択される0-2のヘテロ原子を有する3-8員の飽和、不飽和又は芳香族環を形成し、ここで該環は、ハロ、CN、CF
3、-OCF
3、-NO
2、C
1-C
6アルキル、-OH、-SH、-O(C
1-C
6アルキル)、-S(C
1-C
6アルキル)、-NH
2、-NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)
2、-SO
2(C
1-C
6アルキル)、-CO
2H、-CO
2(C
1-C
6アルキル)、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHSO
2(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)SO
2(C
1-C
6アルキル)、-SO
2NH
2、-SO
2NH(C
1-C
6アルキル)、-SO
2N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)NH
2、-OC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-OC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)O(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)O(C
1-C
6アルキル)、及び-N(C
1-C
6アルキル)C(O)O(C
1-C
6アルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
R
14及びR
15は独立して、H、C
1-C
12アルキル、アリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、及びヘテロアリールから選択され;
m及びnは独立して、0、1、2、3、4、5、又は6から選択され;
Yは独立して、O、NR
11、又はSであり;
ここで、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、X
1、X
2、R
11、R
12、R
13、R
14、及びR
15の各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは独立して、ハロ、CN、CF
3、-OCF
3、-NO
2、オキソ、-Si(C
1-C
6アルキル)、-(CR
19R
20)
nC(=Y')R
16、-(CR
19R
20)
nC(=Y')OR
16、-(CR
19R
20)
nC(=Y')NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nNR
16R
17、-(CR
19R
20)
nOR
16、-(CR
19R
20)
n-SR
16、-(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y')R
17、-(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y')OR
17、-(CR
19R
20)
nNR
18C(=Y')NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nNR
17SO
2R
16、-(CR
19R
20)
nOC(=Y')R
16、-(CR
19R
20)
nOC(=Y')OR
16、-(CR
19R
20)
nOC(=Y')NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nOS(O)
2(OR
16)、-(CR
19R
20)
nOP(=Y')(OR
16)(OR
17)、-(CR
19R
20)
nOP(OR
16)(OR
17)、-(CR
19R
20)
nS(O)R
16、-(CR
19R
20)
nS(O)
2R
16、-(CR
19R
20)
nS(O)
2NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nS(O)(OR
16)、-(CR
19R
20)
nS(O)
2(OR
16)、-(CR
19R
20)
nSC(=Y')R
16、-(CR
19R
20)
nSC(=Y')OR
16、-(CR
19R
20)
nSC(=Y')NR
16R
17、及びR
21から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
各R
16、R
17及びR
18は独立して、H、C
1-C
12アルキル、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで該アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールは、ハロ、オキソ、CN、-OCF
3、CF
3、 -NO
2、C
1-C
6アルキル、-OH、-SH、-O(C
1-C
6アルキル)、-S(C
1-C
6アルキル)、-NH
2、-NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)
2、-SO
2(C
1-C
6アルキル)、-CO
2H、-CO
2(C
1-C
6アルキル)、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHSO
2(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)SO
2(C
1-C
6アルキル)、-SO
2NH
2、-SO
2NH(C
1-C
6アルキル)、-SO
2N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)NH
2、-OC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-OC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)O(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)O(C
1-C
6アルキル)、及び-N(C
1-C
6アルキル)C(O)O(C
1-C
6アルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;又は
R
16及びR
17はそれらが結合している窒素と共同して、O、S及びNから選択される0-2のヘテロ原子を有する3-8員の飽和、不飽和又は芳香族環を形成し、ここで該環は、ハロ、CN、-OCF
3、CF
3、-NO
2、C
1-C
6アルキル、-OH、-SH、-O(C
1-C
6アルキル)、-S(C
1-C
6アルキル)、-NH
2、-NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)
2、-SO
2(C
1-C
6アルキル)、-CO
2H、-CO
2(C
1-C
6アルキル)、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHSO
2(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)SO
2(C
1-C
6アルキル)、-SO
2NH
2、-SO
2NH(C
1-C
6アルキル)、-SO
2N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)NH
2、-OC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-OC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)O(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)O(C
1-C
6アルキル)、及び-N(C
1-C
6アルキル)C(O)O(C
1-C
6アルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
R
19及びR
20は独立して、H、C
1-C
12アルキル、-(CH
2)
n-アリール、-(CH
2)
nカルボシクリル、-(CH
2)
n-ヘテロシクリル、及び-(CH
2)
n-ヘテロアリールから選択され;
R
21は、C
1-C
12アルキル、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここでR
21の各メンバーは、ハロ、CN、-OCF
3、CF
3、-NO
2、C
1-C
6アルキル、-OH、-SH、-O(C
1-C
6アルキル)、-S(C
1-C
6アルキル)、-NH
2、-NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)
2、-SO
2(C
1-C
6アルキル)、-CO
2H、-CO
2(C
1-C
6アルキル)、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHSO
2(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)SO
2(C
1-C
6アルキル)、-SO
2NH
2、-SO
2NH(C
1-C
6アルキル)、-SO
2N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)NH
2、-OC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-OC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)O(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)O(C
1-C
6アルキル)、及び-N(C
1-C
6アルキル)C(O)O(C
1-C
6アルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
各Y’は独立して、O、NR
22、又はSであり;
R
22は、H又はC
1-C
12アルキルである]
の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物である。
【0169】
いくつかのバリエーションにおいて、式(II)のMEK阻害剤化合物は、式(II-1-a)、(II-1-b)、(II-1-c)の(II-1-d)、(II-1-e)、(II-1-f)、(II-1-g)、(II-1-h)、(II-1-i)、(II-2-a)、(II-2-b)、(II-2-c)、(II-2-d)、(II-2-e)、(II-2-f)、(II-2-g)、(II-2-h)、(II-2-i)、(II-3-a)、(II-3-b)、(II-3-c)、(II-3-d)、(II-3-e)、(II-3-f)、(II-3-g)、(II-3-H)、又は(II-3-i):
の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物であり、ここで変数は、式(II)で定められた、又は出典明示によりここに組み込まれるWO2008/024725A1に定められたものである。
【0170】
いくつかの実施態様では、式(II)のMEK阻害剤化合物は、WO2008/024725A1の実施例5−18、20−102、105−109、111−118、120−133、136−149、及び151−160の化合物(ここでは、式II種と集合的に称される)から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物である。これらの化合物は、実施例8a又は8bのいずれかに記載されたアッセイ(MEK活性アッセイ)において、10μM以下のIC
50を示した。
【0171】
出典明示によりここに組み込まれるWO2008/024725A1に記載したようなMEK阻害剤化合物(及び/又はその溶媒和物及び塩)、例えば式(II)のアザベンゾフラン化合物(WO2008/024725A1、例えば3頁に式Iと命名)、及びWO2008/024725A1に記載したその変形も包含される。式(II)の化合物は、当技術分野で公知の方法を用いて合成することができ、例えば、合成方法は、出典明示によりここに組み込まれる、WO2008/024725A1に記載されている。
【0172】
いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は、式(III):
[上式中、
Z
1は、CR
1又はNであり;
R
1は、H、C
1-C
3アルキル、ハロ、CF
3、CHF
2、CN、OR
A、又はNR
AR
Aであり;
R
1’は、H、C
1-C
3アルキル、ハロ、CF
3、CHF
2、CN、OR
A、又はNR
AR
Aであり;
ここで各RAは独立して、H又はC
1-C
3アルキルであり;
Z
2は、CR
2又はNであり;
Z
3は、CR
3又はNであり;但し、Z
1、Z
2及びZ
3の一つのみが同時にNであり得ることを条件とし;
R
2及びR
3は独立して、H、ハロ、CN、CF
3、-OCF
3、-NO
2、-(CR
14R
15)
nC(=Y')R
11、-(CR
14R
15)
nC(=Y')OR
11、-(CR
14R
15)
nC(=Y')NR
11R
12、-(CR
14R
15)
nNR
11R
12、-(CR
14R
15)
nOR
11、-(CR
14R
15)
nSR
11、-(CR
14R
15)
nNR
12C(=Y')R
11、-(CR
14R
15)
nNR
12C(=Y')OR
11、-(CR
14R
15)
nNR
13C(=Y')NR
11R
12、-(CR
14R
15)
nNR
12SO
2R
11、-(CR
14R
15)
nOC(=Y')R
11、-(CR
14R
15)
nOC(=Y')OR
11、-(CR
14R
15)
nOC(=Y')NR
11R
12、-(CR
14R
15)
nOS(O)
2(OR
11)、-(CR
14R
15)
nOP(=Y')(OR
11)(OR
12)、-(CR
14R
15)
nOP(OR
11)(OR
12)、-(CR
14R
15)
nS(O)R
11、-(CR
14R
15)
nS(O)
2R
11、-(CR
14R
15)
nS(O)
2NR
11R
12、-(CR
14R
15)
nS(O)(OR
11)、-(CR
14R
15)
nS(O)
2(OR
11)、-(CR
14R
15)
nSC(=Y')R
11、-(CR
14R
15)
nSC(=Y')OR
11、-(CR
14R
15)
nSC(=Y')NR
11R
12、C
1-C
12アルキル、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;
R
4は、H、C
1-C
6アルキル又はC
3-C
4カルボシクリルであり;
YはW-C(O)-又はWであり;
Wは
であり;
R
5は、H又はC
1-C
12アルキルであり;
X
1は、R
11及び-OR
11から選択され;X
1がR
11である場合、X
1は、R
5及びそれらが結合している窒素原子と共同して、O、S及びNから選択される0-2の付加的なヘテロ原子を有する4-7員の飽和又は不飽和環を形成し、ここで該環は、ハロ、CN、CF
3、-OCF
3、-NO
2、オキソ、-(CR
19R
20)
nC(=Y')R
16、-(CR
19R
20)
nC(=Y')OR
16、-(CR
19R
20)
nC(=Y')NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nNR
16R
17、-(CR
19R
20)
nOR
16、-(CR
19R
20)
n-SR
16、-(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y')R
17、-(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y')OR
17、-(CR
19R
20)
nNR
18C(=Y')NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nNR
17SO
2R
16、-(CR
19R
20)
nOC(=Y')R
16、-(CR
19R
20)
nOC(=Y')OR
16、-(CR
19R
20)
nOC(=Y')NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nOS(O)
2(OR
16)、-(CR
19R
20)
nOP(=Y')(OR
16)(OR
17)、-(CR
19R
20)
nOP(OR
16)(OR
17)、-(CR
19R
20)
nS(O)R
16、-(CR
19R
20)
nS(O)
2R
16、-(CR
19R
20)
nS(O)
2NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nS(O)(OR
16)、-(CR
19R
20)
nS(O)
2(OR
16)、-(CR
19R
20)
nSC(=Y')R
16、-(CR
19R
20)
nSC(=Y')OR
16、-(CR
19R
20)
nSC(=Y')NR
16R
17、及びR
21から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
各R
11'は独立して、H、C
1-C
12アルキル、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;
R
11、R
12及びR
13は独立して、H、C
1-C
12アルキル、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、又は
R
11及びR
12はそれらが結合している窒素と共同して、O、S及びNから選択される0-2のヘテロ原子を有する3-8員の飽和、不飽和又は芳香族環を形成し、ここで該環は、ハロ、CN、CF
3、-OCF
3、-NO
2、C
1-C
6アルキル、-OH、-SH、-O(C
1-C
6アルキル)、-S(C
1-C
6アルキル)、-NH
2、-NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)
2、-SO
2(C
1-C
6アルキル)、-CO
2H、-CO
2(C
1-C
6アルキル)、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHSO
2(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)SO
2(C
1-C
6アルキル)、-SO
2NH
2、-SO
2NH(C
1-C
6アルキル)、-SO
2N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)NH
2、-OC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-OC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)O(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)O(C
1-C
6アルキル)、及び-N(C
1-C
6アルキル)C(O)O(C
1-C
6アルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
R
14及びR
15は独立して、H、C
1-C
12アルキル、アリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、及びヘテロアリールから選択され;
W'は:
であり、ここで
は
であり、
各X
2は独立して、O、S、又はNR
9であり;
各R
7は独立して、H、ハロ、CN、CF
3、-OCF
3、-NO
2、-(CR
14R
15)
nC(=Y')R
11、-(CR
14R
15)
nC(=Y')OR
11、-(CR
14R
15)
nC(=Y')NR
11R
12、-(CR
14R
15)
nNR
11R
12、-(CR
14R
15)
nOR
11、-(CR
14R
15)
nSR
11、-(CR
14R
15)
nNR
12C(=Y')R
11、-(CR
14R
15)
nNR
12C(=Y')OR
11、-(CR
14R
15)
nNR
13C(=Y')NR
11R
12、-(CR
14R
15)
nNR
12SO
2R
11、-(CR
14R
15)
nOC(=Y')R
11、-(CR
14R
15)
nOC(=Y')OR
11、-(CR
14R
15)
nOC(=Y')NR
11R
12、-(CR
14R
15)
nOS(O)
2(OR
11)、-(CR
14R
15)
nOP(=Y')(OR
11)(OR
12)、-(CR
14R
15)
nOP(OR
11)(OR
12)、-(CR
14R
15)
nS(O)R
11、-(CR
14R
15)
nS(O)
2R
11、-(CR
14R
15)
nS(O)
2NR
11R
12、-(CR
14R
15)
nS(O)(OR
11)、-(CR
14R
15)
nS(O)
2(OR
11)、-(CR
14R
15)
nSC(=Y')R
11、-(CR
14R
15)
nSC(=Y')OR
11、-(CR
14R
15)
nSC(=Y')NR
11R
12、C
1-C
12アルキル、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;
各R
8は独立して、C
1-C
12アルキル、アリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、及びヘテロアリールから選択され;
R
9、H、-(CR
14R
15)
nC(=Y')R
11、-(CR
14R
15)
nC(=Y')OR
11、-(CR
14R
15)
nC(=Y')NR
11R
12、-(CR
14R
15)
qNR
11R
12、-(CR
14R
15)
qOR
11、-(CR
14R
15)
qSR
11、-(CR
14R
15)
qNR
12C(=Y')R
11、-(CR
14R
15)
qNR
12C(=Y')OR
11、-(CR
14R
15)
qNR
13C(=Y')NR
11R
12、-(CR
14R
15)
qNR
12SO
2R
11、-(CR
14R
15)
qOC(=Y')R
11、-(CR
14R
15)
qOC(=Y')OR
11、-(CR
14R
15)
qOC(=Y')NR
11R
12、-(CR
14R
15)
qOS(O)
2(OR
11)、-(CR
14R
15)
qOP(=Y')(OR
11)(OR
12)、-(CR
14R
15)
qOP(OR
11)(OR
12)、-(CR
14R
15)
nS(O)R
11、-(CR
14R
15)
nS(O)
2R
11、-(CR
14R
15)
nS(O)
2NR
11R
12、C
1-C
12アルキル、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから選択され;
R
10はH、C
1-C
6アルキル又はC
3-C
4カルボシクリルであり;
X
4は
であり;
R
6は、H、ハロ、C
1-C
6アルキル、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-OCF
3、-NO
2、-Si(C
1-C
6アルキル)、-(CR
19R
20)nNR
16R
17、-(CR
19R
20)
nOR
16、又は-(CR
19R
20)
n-SR
16であり;
R
6’は、H、ハロ、C
1-C
6アルキル、カルボシクリル、CF
3、-OCF
3、-NO
2、-Si(C
1-C
6アルキル)、-(CR
19R
20)
nNR
16R
17、-(CR
19R
20)
nOR
16、-(CR
19R
20)
n-SR
16、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり;
pは、0、1、2又は3であり;
nは、0、1、2又は3であり;
qは、2又は3であり;
ここで、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
6’、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
11’、R
12、R
13、R
14、R
15及びR
Aの各アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは独立して、ハロ、CN、CF
3、-OCF
3、-NO
2、オキソ、-Si(C
1-C
6アルキル)、-(CR
19R
20)
nC(=Y')R
16、-(CR
19R
20)
nC(=Y')OR
16、-(CR
19R
20)
nC(=Y')NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nNR
16R
17、-(CR
19R
20)
nOR
16、-(CR
19R
20)
n-SR
16、-(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y')R
17、-(CR
19R
20)
nNR
16C(=Y')OR
17、-(CR
19R
20)
nNR
18C(=Y')NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nNR
17SO
2R
16、-(CR
19R
20)
nOC(=Y')R
16、-(CR
19R
20)
nOC(=Y')OR
16、-(CR
19R
20)
nOC(=Y')NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nOS(O)
2(OR
16)、-(CR
19R
20)
nOP(=Y')(OR
16)(OR
17)、-(CR
19R
20)
nOP(OR
16)(OR
17)、-(CR
19R
20)
nS(O)R
16、-(CR
19R
20)
nS(O)
2R
16、-(CR
19R
20)
nS(O)
2NR
16R
17、-(CR
19R
20)
nS(O)(OR
16)、-(CR
19R
20)
nS(O)
2(OR
16)、-(CR
19R
20)
nSC(=Y')R
16、-(CR
19R
20)
nSC(=Y')OR
16、-(CR
19R
20)
nSC(=Y')NR
16R
17、及びR
21から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
各R
16、R
17及びR
18は独立して、H、C
1-C
12アルキル、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで該アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールは、ハロ、CN、-OCF
3、CF
3、 -NO
2、C
1-C
6アルキル、-OH、-SH、-O(C
1-C
6アルキル)、-S(C
1-C
6アルキル)、-NH
2、-NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)
2、-SO
2(C
1-C
6アルキル)、-CO
2H、-CO
2(C
1-C
6アルキル)、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHSO
2(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)SO
2(C
1-C
6アルキル)、-SO
2NH
2、-SO
2NH(C
1-C
6アルキル)、-SO
2N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)NH
2、-OC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-OC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)O(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)O(C
1-C
6アルキル)、及び-N(C
1-C
6アルキル)C(O)O(C
1-C
6アルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;又は
R
16及びR
17はそれらが結合している窒素と共同して、O、S及びNから選択される0-2のヘテロ原子を有する3-8員の飽和、不飽和又は芳香族環を形成し、ここで該環は、ハロ、CN、-OCF
3、CF
3、-NO
2、C
1-C
6アルキル、-OH、-SH、-O(C
1-C
6アルキル)、-S(C
1-C
6アルキル)、-NH
2、-NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)
2、-SO
2(C
1-C
6アルキル)、-CO
2H、-CO
2(C
1-C
6アルキル)、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHSO
2(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)SO
2(C
1-C
6アルキル)、-SO
2NH
2、-SO
2NH(C
1-C
6アルキル)、-SO
2N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)NH
2、-OC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-OC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)O(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)O(C
1-C
6アルキル)、及び-N(C
1-C
6アルキル)C(O)O(C
1-C
6アルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
R
19及びR
20は独立して、H、C
1-C
12アルキル、-(CH
2)
n-アリール、-(CH
2)
nカルボシクリル、-(CH
2)
n-ヘテロシクリル、及び-(CH
2)
n-ヘテロアリールから選択され;
R
21は、C
1-C
12アルキル、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここでR
21の各メンバーは、ハロ、オキソ、CN、-OCF
3、CF
3、-NO
2、C
1-C
6アルキル、-OH、-SH、-O(C
1-C
6アルキル)、-S(C
1-C
6アルキル)、-NH
2、-NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)
2、-SO
2(C
1-C
6アルキル)、-CO
2H、-CO
2(C
1-C
6アルキル)、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)(C
1-C
6アルキル)、-NHSO
2(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)SO
2(C
1-C
6アルキル)、-SO
2NH
2、-SO
2NH(C
1-C
6アルキル)、-SO
2N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)NH
2、-OC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-OC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-OC(O)O(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-N(C
1-C
6アルキル)C(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)NH(C
1-C
6アルキル)、-NHC(O)N(C
1-C
6アルキル)
2、-NHC(O)O(C
1-C
6アルキル)、及び-N(C
1-C
6アルキル)C(O)O(C
1-C
6アルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
各Y’は独立して、O、NR
22、又はSであり;
R
22は、H又はC
1-C
12アルキルである]
の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物である。
【0173】
いくつかのバリエーションにおいて、式(III)のMEK阻害剤化合物は、式(III-a)又は(III-b):
を有する化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物であり、ここで変数は、式(III)で定められた、又は出典明示によりここに組み込まれるWO2009/085983A1に定められたものである。
【0174】
いくつかの実施態様では、式(III)のMEK阻害剤化合物は、表1に列挙された化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物から選択される化合物である。
【0175】
表1の化合物は、WO2009/085983A1に相当する。化合物(III)-5−(III)-20及び(III)-22−(III)-24は、実施例8bに記載のアッセイ(MEK活性アッセイ)において、0.5μM以下のIC
50を示す。これらの化合物のいくつかは、0.1μM以下のIC
50を示す。化合物(III)-21及び(III)-25は、10μM以下のIC
50を示す。WO2009/085983A1の49頁を参照。
【0176】
出典明示によりここに組み込まれるWO2009/085983A1に記載したようなMEK阻害剤化合物(及び/又はその溶媒和物及び塩)、例えば式(III)のイミダゾピリジン化合物(WO2009/085983A1、例えば3頁に式Iと命名)、及びWO2009/085983A1に記載したその変形も包含される。式(III)の化合物は、当技術分野で公知の方法を用いて合成することができ、例えば、合成方法は、出典明示によりここに組み込まれる、WO2009/085983A1に記載されている。
【0177】
いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は、式(IV):
の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物であり、ここで変数は、4−9頁において、式IについてはWO03/077914A1で定められ、又は出典明示によりここに組み込まれるWO03/077914A1に記載された任意の適用可能なバリエーションである。
【0178】
いくつかの変形において、式(IV)のMEK阻害剤化合物は、式(IV-a)、(IV-b)、(IV-c)又は(IV-d):
の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物であり、ここで変数は、それぞれ10-13ページにおいて、式II、III、IIIa及びIIIb(III)について、WO03/077914A1で定められ、又は出典明示によりここに組み込まれるWO03/077914A1に記載された任意の適用可能なバリエーションである。
【0179】
いくつかの実施態様では、式(IV)のMEK阻害剤化合物は、
7-フルオロ-6-(4-ブロモ-2-メチル-フェニルアミノ)-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸シクロプロピルメトキシ-アミド;
6-(4-ブロモ-2-クロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸シクロプロピルメトキシ-アミド;
6-(4-ブロモ-2-クロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3-メチル-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2-ヒドロキシ-エトキシ)-アミド;
6-(4-ブロモ-2-クロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3-メチル-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2,3-ジヒドロキシ-プロポキシ)-アミド;
6-(4-ブロも-2-クロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルメチル)-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2-ヒドロキシ-エトキシ)-アミド;
[6-(5-アミノ-[1,3,4]オキサジアゾール-2-イル)-4-フルオロ-1H-ベンゾイミダゾール-5-イル]-(4-ブロモ-2-メチル-フェニル)-アミン;
1-[6-(4-ブロモ-2-クロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3-メチル-3H-ベンゾイミダゾール-5-イル]-2-ヒドロキシ-エタノン;
1-[6-(4-ブロモ-2-クロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3H-ベンゾイミダゾール-5-イル]-2-メトキシ-エタノン;
6-(4-ブロモ-2-クロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3-メチル-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチル-エトキシ)-アミド;
6-(4-ブロモ-2-クロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3-(テトラヒドロ-フラン-2-イルメチル)-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2-ヒドロキシ-エトキシ)-アミド;
6-(4-ブロモ-2-クロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2-ヒドロキシ-エトキシ)-アミド;
6-(-ブロモ-2-フルオロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3-メチル-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2-ヒドロキシ-エトキシ)-アミド、及び
6-(2,4-ジクロロ-フェニルアミノ)-7-フルオロ-3-メチル-3H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸(2-ヒドロキシ-エトキシ)-アミド;
又はその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物
からなる群から選択される化合物である。
【0180】
参照としてここに組み込まれるWO03/077914A1に記載したように、式(IV)の任意の変形も包含される。式(IV)の化合物、又は任意のその変形は、当技術分野で公知の方法を用いて合成することができ、例えば、合成方法は、出典明示によりここに組み込まれる、WO03/077914A1に記載されている。
【0181】
いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は、式(V):
の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物であり、ここで変数は、頁6-10にて、式[I]についてはWO2005/121142A1で定められ、又は出典明示によりここに組み込まれるWO2005/121142A1に記載された任意の適用可能なバリエーションである。
【0182】
また、WO2005/121142A1に記載されたような式(V)の任意のバリエーション、例えばWO2005/121142A1、特に表1の実施例1−1から1−343、表2の実施例2−1及び2−2、表3の実施例3−1から3−9、表4の実施例4−1から4−148に記載の個々のMEK阻害剤化合物も包含される。式(V)の化合物、又は任意のその変形は、当技術分野で公知の方法を用いて合成することができ、例えば、合成方法は、出典明示によりここに組み込まれる、WO2005/121142A1に記載されている。
【0183】
いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は、式(VI):
の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又はエステルであり、ここで:
R1は、ブロモ、ヨード、エチニル、シクロアルキル、アルコキシ、アゼチジニル、アセチル、ヘテロシクリル、シアノ、直鎖アルキル及び分枝鎖アルキルからなる群から選択され;
R2は、水素、塩素、フッ素、及びアルキルからなる群から選択され;
R3は、水素、塩素及びフッ素からなる群から選択され;
R4は、水素、任意に置換されたアリール、アルキル、及びシクロアルキルからなる群から選択され;
R5は、水素、及び
からなる群から選択され;
ここでR6は、ヒドロキシル、アルコキシ、シクロアルキル、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアリール、及び任意に置換されたヘテロアリールからなる群から選択され;
R7及びR8は独立して、水素及び任意に置換されたアルキルからなる群から選択され;又は
R6及びR7は共同してシクロアルキル基を形成することができ、R8は水素である。
【0184】
いくつかのバリエーションにおいて、MEK阻害剤化合物は、式(VI)のもの、又はその薬学的に許容可能な塩又はエステルであり、ここで変数は、式IについてはWO2007/096259A1で定められ、又は出典明示によりここに組み込まれるWO2007/096259A1の4−10頁に記載された任意の適用可能なバリエーションである。さらにMEK阻害剤は、参照としてここに組み込まれる、WO2007/096259A1の実施例1−182に記載の化合物を包含する。
【0185】
いくつかの実施態様では、式(VI)のMEK阻害剤化合物は、以下:
(2S,3S)-N-(4-ブロモ-フェニル)-2-[(R)-4-(4-メトキシ-フェニル)-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル]-3-フェニル-ブチラミド;
(2S,3S)-N-(4-ヨード-フェニル)-2-[(R)-4-(4-メトキシ-フェニル)-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル]-3-フェニル-ブチラミド;
(2S,3S)-N-(2-フルオロ-4-ヨード-フェニル)-2-{(R)-4-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル}-3-フェニル-ブチラミド;
(2S,3S)-N-(4-エチニル-2-フルオロ-フェニル)-2-{(R)-4-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル}-3-フェニル-ブチラミド;
(2R,3S)-N-(4-エチニル-2-フルオロ-フェニル)-2-{(R)-4-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル}-3-フェニル-ブチラミド;
(2S,3S)-N-(2-クロロ-4-ヨード-フェニル)-2-{(R)-4-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル}-3-フェニル-ブチラミド;
(2S,3S)-2-{(R)-4-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル}-N-(4-ヨード-2-メチル-フェニル)-3-フェニル-ブチラミド;
(2S,3S)-N-(2-クロロ-4-ヨード-フェニル)-2-{(R)-4-[4-((R)-2,3-ジヒドロキシ-プロポキシ)-フェニル]-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル}-3-フェニル-ブチラミド;
(2S,3S)-N-(2-クロロ-4-ヨード-フェニル)-2-{(R)-4-[4-((S)-2,3-ジヒドロキシ-プロポキシ)-フェニル]-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル}-3-フェニル-ブチルアミド;
(2S,3S)-2-{(R)-2,5-ジオキソ-4-[4-(2-オキソ-2-ピロリジン-1-イル-エトキシ)-フェニル]-イミダゾリジン-1-イル}-N-(2-フルオロ-4-ヨード-フェニル)-3-フェニル-ブチラミド;
(2S,3S)-2-((R)-2,5-ジオキソ-4-チオフェン-3-イル-イミダゾリジン-1-イル)-N-(4-ヨード-フェニル)-3-フェニル-ブチルアミド;
(S)-2-[(R)-4-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシン-6-イル)-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル]-N-(2-フルオロ-4-ヨード-フェニル)-3-フェニル-プロピオンアミド;
(S)-2-[(R)-4-(4-アセチルアミノ-フェニル)-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル]-N-(2-フルオロ-4-ヨード-フェニル)-3-フェニル-プロピオンアミド;
(4-{(R)-1-[(1S,2S)-1-(2-フルオロ-4-ヨード-フェニルカルバモイル)-2-フェニル-プロピル]-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-4-イル}-フェノキシメチル)-ホスホン酸ジメチルエステル;
(2S,3S)-N-(2-フルオロ-4-ヨード-フェニル)-2-((R)-4-イソプロピル-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル)-3-フェニル-ブチラミド;
(S)-N-(2-フルオロ-4-ヨード-フェニル)-2-{(R)-4-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル}-3-メチル-ブチラミド;
(S)-N-(2-フルオロ-4-ヨード-フェニル)-2-[(R)-4-(4-メトキシ-フェニル)-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル]-3-o-トリル-プロピオンアミド;
(S)-N-(2-フルオロ-4-ヨード-フェニル)-2-[(R)-4-(4-メトキシ-フェニル)-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル]-3-m-トリル-プロピオンアミド;
(S)-N-(2-フルオロ-4-ヨード-フェニル)-2-[(R)-4-(4-メトキシ-フェニル)-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル]-3-p-トリル-プロピオンアミド;及び
(S)-N-(4-シクロプロピル-2-フルオロ-フェニル)-3-(4-フルオロ-フェニル)-2-{(R)-4-[4-(2-ヒドロキシ-1-ヒドロキシメチル-エトキシ)-フェニル]-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-1-イル}-プロピオンアミド;
からなる群から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩もしくはエステルである。
【0186】
いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は、式(VII):
の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又はエステルであり、ここで:
R1は、ハロゲン、エチニル、及びシクロアルキルからなる群から選択され;
R2は、水素及びCH(R3)(R4)からなるる群から選択され;
R3は、低級アルキル、低級アルコキシ、任意に置換されたアリール、及び任意に置換されたヘテロアリールからなる群から選択され;
R4は、水素及び低級アルキルからなる群から選択され;
R5は、水素であるか、又は、R2及びR2とR5が結合している炭素と共同して、低級シクロアルキルを形成し;及び
R6は、水素、低級アルキル、低級シクロアルキル、任意に置換されたアリール、及び任意に置換されたヘテロアリールからなる群から選択される。
【0187】
いくつかのバリエーションにおいて、MEK阻害剤化合物は、式(VI)のもの、又はその薬学的に許容可能な塩又はエステルであり、ここで変数は、式IについてはWO2009/021887A1で定められ、又は出典明示によりここに組み込まれるWO2009/021887A1の4−5頁に記載された任意の適用可能なバリエーションである。さらにMEK阻害剤は、参照としてここに組み込まれる、WO2009/021887A1の実施例1−21に記載の化合物を包含する。
【0188】
いくつかの実施態様では、式(VI)のMEK阻害剤化合物は、
(R)-5-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-3-[(S)-1-(6-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-フェニル-エチル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(R)-5-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-3-(5-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イルメチル)-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(R)-5-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-3-[(S)-1-(5-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-メチル-プロピル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(R)-5-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-3-[(1R,2R)-1-(5-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-メトキシ-プロピル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
3-[(S)-1-(5-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-フェニル-エチル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン;トリフルオロ-酢酸を含む化合物;
(R)-3-[(S)-2-(4-フルオロ-フェニル)-1-(5-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-エチル]-5-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(R)-5-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-3-[(S)-1-(5-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-(4-メトキシ-フェニル)-エチル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(R)-5-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-3-[(S)-1-(5-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-チオフェン-2-イル-エチル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(R)-3-[(1S,2S)-1-(6-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-フェニル-プロピル]-5-フェニル-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(R)-3-[(1S,2S)-1-(6-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-フェニル-プロピル]-5-(4-メトキシ-フェニル)-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(R)-5-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-3-[(1S,2S)-1-(6-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-フェニル-プロピル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(R)-3-[(1S,2S)-1-(6-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-フェニル-プロピル]-5-[4-(2-メトキシ-エトキシ)-フェニル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
2-(4-{(R)-1-[(1S,2S)-1-(6-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-フェニル-プロピル]-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-4-イル}-フェノキシ)-N,N-ジメチル-アセトアミド;
N,N-ビス-(2-ヒドロキシ-エチル)-2-(4-{(R)-1-[(1S,2S)-1-(6-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-フェニル-プロピル]-2,5-ジオキソ-イミダゾリジン-4-イル}-フェノキシ)-アセトアミド;
(R)-3-[(1S,2S)-1-(5-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-フェニル-プロピル]-5-イソプロピル-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(R)-5-シクロヘキシル-3-[(1S,2S)-1-(5-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-フェニル-プロピル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(R)-5-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-3-[1-(5-ヨード-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-シクロプロピル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(R)-3-[(1S,2S)-1-(6-ブロモ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-フェニル-プロピル]-5-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(R)-3-[(S)-1-(5-シクロプロピル-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-フェニル-エチル]-5-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
(R)-3-[(S)-1-(5-エチニル-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-フェニル-エチル]-5-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン;及び
(R)-3-[(1S,2S)-1-(5-エチニル-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-2-フェニル-プロピル]-5-[4-(2-ヒドロキシ-エトキシ)-フェニル]-イミダゾリジン-2,4-ジオン;
からなる群から選択される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩又は溶媒和物である。
【0189】
いくつかの実施態様では、MEK阻害剤は、GDC-0973(メタノン、[3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]フェニル][3-ヒドロキシ-3-(2S)-2-ピペリジニル-1-アゼチジニル]-)、G-38963、G02443714、G02442104及びG00039805、又はその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される。
【0190】
IV キット
別の態様では、癌に罹患した個体の免疫機能を増強するため、又は個体における癌の進行を遅延化するため又は処置するための、PD-1軸結合アンタゴニスト及び/又はMEK阻害剤を含有するキットが提供される。いくつかの実施態様では、キットは、PD-1軸結合アンタゴニストと、個体における癌を治療し又はその進行を遅延させる、又は癌を有する個体における免疫機能を増強するため、MEK阻害剤と組合せてPD-1軸結合アンタゴニストを使用することについての指示書を含むパッケージ挿入物を含む。いくつかの実施態様では、キットは、MEK阻害剤と、個体における癌を治療し又はその進行を遅延させる、又は癌を有する個体における免疫機能を増強するため、PD-1軸結合アンタゴニストと組合せてMEK阻害剤を使用することについての指示書を含むパッケージ挿入物を含んでいてもよい。いくつかの実施態様では、キットは、PD-1軸結合アンタゴニストとMEK阻害剤、及び個体における癌を治療し又はその進行を遅延させる、又は癌を有する個体における免疫機能を増強するために、PD-1軸結合アンタゴニストとMEK阻害剤を使用することについての指示書を含むパッケージ挿入物を含んでもよい。ここに記載のいずれかのPD-1軸結合アンタゴニスト及び/又はMEK阻害剤が、キットに含まれていてよい。
【0191】
いくつかの実施態様では、キットは、ここに記載の、一又は複数のPD-1軸結合アンタゴニスト及びMEK阻害剤を収容する容器を含む。好適な容器は、例えばボトル、バイアル(例えば、二重チャンバーバイアル)、シリンジ(例えば、シングル又は二重チャンバーシリンジなど)、及びテスト用チューブを含む。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成することができる。いくつかの実施態様では、キットは、ラべル(例えば、容器上又は容器に付随)又はパッケージ挿入物を含み得る。ラベル又はパッケージ挿入物は、その中に含まれる化合物が、癌を治療し又はその進行を遅延させる、又は癌を有する個体の免疫機能を増強するのに有用である、又は意図しているものであることを示す。キットはさらに、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む商業的及び使用者の見地から望ましい他の材料を含んでもよい。
【実施例】
【0192】
本発明はさらに、例示のために提供され、限定することを意図するものではない以下の実施例を参照することによって理解することができる。
【0193】
実施例1:腫瘍細胞上のMHCI発現を増強させるMEK阻害剤
MEK阻害剤(MEKi)を用いた処置により、腫瘍細胞の免疫原性が増強したかどうかを決定するために、MEK阻害剤、GDC-0973及びG-38963で処理した腫瘍細胞株上のMHC-Iの表面発現をアッセイした。簡単に言うと、ヒトメラノーマ細胞株(MALME-3M、A2058、A375、HS294T、SK23、SKMEL-28、537Mel、RPMI-795)とヒト結腸直腸細胞株(Colo320 DM、Colo205、WiDr、Colo741、RKO、DLD-1、HM7、HCT-15)を、1マイクロモルのGDC-0973又はG-38963、BRAF阻害剤(BRAFi)GDC-0879、又はDMSOビヒクルで24時間処理した。処理に続いて、細胞を、その後のFACS分析のためにHLA-A、B、Cに対する抗体を用いて表面MHCクラスI発現について染色した。示されたデータは、MEKiGDC-0973を用いた処置ためのものである。標識されたアイソタイプが一致する抗体を非特異的染色のレベルを決定するために使用した。ヒストグラムのデータ分析及び構成により、MHC-Iの細胞表面発現が ビヒクル処理した細胞と比較して、MEKi処理された細胞において、アップレギュレーションされていることが示された(
図1A)。対照的に、BRAFi処理細胞におけるMHC-Iの細胞表面発現は、ビヒクル処理し細胞と比較してアップレギュレートされなかった(
図2)。これらの結果は、メラノーマ及び結腸直腸腫瘍細胞の両方においてMHC-Iの増強された細胞表面発現が、MEK阻害に対して特異的であり、RAS/RAF/MEKシグナル伝達経路の一般的な阻害によるものではないことを実証する。
【0194】
MEK阻害剤(MEKi)を用いた処置により、ヒト腫瘍細胞に対するマウス腫瘍細胞の免疫原性が増強したかどうかを決定するために、MEKiGDC-0973で処理したマウス腫瘍細胞株上のMHC-Iの表面発現をアッセイした。簡単に述べると、マウスメラノーマ細胞株(MC38及びB16.F10)及びマウス結腸直腸細胞株(CT26)を、MEKi GDC-0973、G-38963又はビヒクルで処理した。簡単に述べると、細胞を1マイクロモルMEK阻害剤又はDMSOビヒクルコントロールで24時間刺激した。処理後、細胞を、MHC-I(H-2D)に対する抗体で染色して表面化させ、発現を後続するFACS分析によりアッセイした。標識されたアイソタイプが一致する抗体を使用し、非特異的染色のレベルを決定した。ヒストグラムのデータ分析と構成により、ビヒクル処理細胞 と比較して、MEKi処理細胞において、MHC-Iの細胞表面発現がアップレギュレーションされていることが示された(
図1B)(MEKi GDC-0973についてのデータは図示せず)。これらの結果は、マウス又はヒト由来にかかわらず、いくつかのメラノーマ及び結腸直腸腫瘍細胞株にわたって、増強された細胞表面発現が発生したことを実証する。
【0195】
MHC-Iの増強された細胞表面発現が腫瘍細胞に特異的であるかどうかを決定するために、ヒト末梢血単核細胞(PMBC)上のMHC-I発現に対するMEKi処理の効果をアッセイした。簡単に説明すると、PMBCを、等量の室温のPBSで希釈し、続いてFicoll-充填Leucosepチューブ(Greiner Bio-One)上にオーバーレイで希釈することで、全血から単離した。遠心分離後、ついで、PBMC界面を2回洗浄し、培養媒体(10%のウシ胎児血清、20μMのHEPES、55μMの2-メルカプトエタノール、50μg/mlのゲンタマイシン、及び次のサプリメントの1:100希釈物、Gibco:Gluta-MAX、ピルビン酸ナトリウム、ペニシリン/ストレプトマイシン、及び非必須アミノ酸を含有するRPMI-1640)に再懸濁させた。細胞を、ウェル当たり4x10
6で6ウェルプレートに、ウェルあたり合計4mlになるように播種した。MEK阻害剤GDC-0973を、1μM又は3μMのどちらかで添加した。細胞を24時間後に回収し、FACS染色のため96ウェルV底プレートに分配した。細胞を次の抗体(全てBD Biosciences、1:10で氷上で30分):CD3-FITC、HLA-ABC-PE、CD4-APC、CD19-FITC、及びCD14-FITCで染色した。死亡細胞を除去するために、ヨウ化プロピジウムを含有せしめた。サンプルを、BD FACSCaliberフローサイトメーターに流し、FlowJoソフトソフトウェア(Tree Star, Inc.)を用いてデータを分析した。ヒストグラムのデータ分析及び構造により、MHC-Iの細胞表面発現が、ビヒクル処理細胞と比較して、1μM」のMEKi GDC-0973又は3μMのMEKi GDC-0973を用いた処理で、CD4+T細胞(
図3A)、CD8+T細胞(
図3B)、B細胞(
図3C)、又は単球(
図3D)においてアップレギュレートされなかったことが示された。これらの結果は、MEK阻害剤処理によって、MHC-Iの増強された細胞表面発現が、腫瘍細胞に特異的であることを実証する。
【0196】
実施例2:同時刺激シグナルによる、MEK阻害剤でのTCRシグナル伝達の不活性化に対する耐性T細胞の作製
最近の研究には、MEK阻害剤治療によりTリンパ球の機能が損われることが示されている(Boniら、Cancer Res., 70(13)、2010)。MEK阻害剤処理により、CD8+T細胞が損なわれることを確認するために、T細胞は、T細胞刺激シグナルと組合せて、MEKiで処理し、T細胞の増殖についてアッセイした。簡単に説明すると、ヒトCD8+T細胞を、製造業者の指示に従って、StemCell Technologies humanCD8 RosetteStepを使用し、全血から精製した。精製された細胞を、抗CD3又は抗CD3/抗CD28Dynabeads(Invitrogen)のいずれかの、ウェルあたり200000のものを用い、96ウェルU底プレート中で三連でウェル200000で播種した。最終培養濃度がウェル当たり200μlの総体積で0.5%DMSOとなるように、MEK阻害剤GDC-0973及びG-38963を、10μMから0.001μMまで10倍に滴定した。培養培地は、10%のウシ胎児血清、20μMのHEPES、55μMの2-メルカプトエタノール、50μg/mlのゲンタマイシン、及び次のサプリメントの1:100希釈物、Gibco:Gluta-MAX、ピルビン酸ナトリウム、ペニシリン/ストレプトマイシン、及び非必須アミノ酸を含有するRPMI-1640であった。48時間後に、ウェルを3H-チミジンの1μCi/ウェルでパルスし、凍結前、さらに16時間培養し、収穫した。データ分析は、抗CD3を用いたCD8+T細胞の処理により、未刺激T細胞(白丸)と比較して、T細胞活性化(黒三角)が刺激されることを実証した。二つの異なるMEK阻害剤を用いたT細胞の処理により、0.01μMのMEKi処理で発生した増殖が誘発されたT細胞受容体のほぼ完全な阻害と、試験したすべてのMEKi濃度で、抗CD3(黒丸、黒四角)の刺激効果が低減した(
図4A)。対照的に、MEKi処理T細胞における抗CD3及び抗CD28を用いた同時刺激(黒丸、黒四角)は、T細胞活性化におけるMEKiの阻害効果を克服するのに十分であった(
図4B)。これらの予想外の結果は、MEKi処理によるTCRシグナル伝達の阻害が、例えばB細胞、マクロファージ、及び樹状細胞などの抗原提示細胞によってT細胞に提供される、十分なT細胞同時刺激を提供することによって克服することができることを実証する。
【0197】
理論に縛られることなく、同時刺激の重要な成分は、PI3キナーゼの活性化であると考えられ、その細胞質CYMNMモチーフを有するPI3Kのp85サブユニットの会合を介してCD28によって提供される。PD-1は、SHP2との相互作用を介して、PI3Kの活性を阻害する。従って、PD1軸の遮断が 増強されたT細胞の同時刺激をもたらす、PI3キナーゼを脱抑制をきたすと、T細胞の活性化におけるMEKiの阻害効果を克服する手段を提供することができる。PD-1/-L1遮断は、例えば、B7.1及びB7.2のような同時刺激リガンドの発現が、多くの場合、ほとんどの腫瘍又は腫瘍微小環境等の制限するときの条件下で、同時刺激を高めることである。PD1軸の遮断とMEKiを組合せると、PD1/PDL1遮断を介してPI3Kの阻害を緩和することにより(信号2を高める)、またMEKiによる腫瘍のMHC Iのアップレギュレーションを通して、TCRによるAgの認識を高めることで、腫瘍特異的T細胞免疫が増強される。
【0198】
実施例3:樹状細胞の成熟及び活性化を特異的に増強させるMEK阻害剤
MEK阻害剤処理が、樹状細胞(DC)を刺激することにより、腫瘍の免疫原性を増強すかどうかを決定するために、単球由来の樹状細胞を、DC同時刺激分子CD40に対し、抗体と組合せ、濃度を増加させたMEKi GDC-0973、MEKi GDC-38963又はBRAFi GDC-0879で処理した。簡単に説明すると、ヒト単球を、製造業者の指示に従って、StemCell Technologies human monocyte RosetteStepを使用し、全血から精製した。単球を、合計7日間、50ng/mlのヒトGM-CSFと100ng/mlのヒトIL−4に、mlあたり約0.5-1.0×10
6でT175フラスコに播種し、2日毎に半分の培地を交換した。ついで、細胞を収集し、1μg/mlのPfizer抗CD40の有無にかかわらず、96ウェル平底プレートに100000細胞/ウェルで播種した。MEK阻害剤及びBRAF阻害剤を、最終培養濃度がウェル当たり200μlの総体積で0.5%DMSOとなるように、10μMから0.001μMまで10倍に滴定した。48時間後に、細胞を収集し、96ウェルV底プレートに移した。細胞を、まずFc受容体ブロックし(Miltenyi)、ついで、次の抗体(BD Biosciences、1:10で氷上で30分):HLA-DR、-DP、-DQ-FITC、HLA-ABC-PE、CD83-APC、CD14-FITC、CD80-PE及びCD86-APCで染色した。死亡細胞を除去するために、ヨウ化プロピジウムを含有せしめた。サンプルを、BD FACSCaliberフローサイトメーターに流し、FlowJoソフトソフトウェア(Tree Star, Inc.)を用いてデータを分析した。ヒストグラムのデータ分析及び構造により、成熟マーカ-CD83(
図5A)、MHC-II(
図5B)、及び同時刺激分子CD86(
図5C)を発現する細胞の頻度が、ビヒクル処理細胞と比較して、1μMのMEKi GDC-0973で処理した細胞において増加したことが実証された。対照的に、1μMのBRAFiで処理したDCにおけるこれらのDC表面活性化マーカーの細胞表面発現はアップレギュレートされず、ビヒクル処理し細胞と類似していた。さらに、MEKi G-38963(黒四角)又はMEKi GDC-0973(黒丸)のいずれかの濃度を増加させると、濃度依存的にDC成熟及び活性化のこれらの表面マーカーを発現するDCの頻度が増強された(
図5D-5F)。対照的に、BRAFi(黒三角)処置は、抗CD40同時刺激効果を増強しなかった。これらの新規な結果は、増強された DCの成熟及び活性化が、MEK阻害剤治療に特異的であり、RAS/RAF/MEKシグナル伝達経路の一般的な阻害によるものではないことを実証する。さらに、MEKiは、濃度依存的に、抗CD40で同時刺激したヒト単球由来DCの活性化を増強し、MEKiがDCにおいて免疫調節効果を有し得ることを示した。
【0199】
実施例4:腫瘍増殖を促進するサイトカインの血清レベルを減少させる抗PD-L1抗体とMEK阻害剤を用いた同時処置
MEKi処置が、同時刺激因子の存在下で、T細胞及びDC活性を増強させるという新規の発見の故に、MEKiが抗PD-L1抗体処置の抗腫瘍効果を増強させ、腫瘍担持動物のサイトカインレベルを調整するかどうかを決定するために、MEKi G-38963を抗PD-1抗体と組合せて使用した。これらの実験で用いた抗PD-L1抗体は、PRO314483、LOT#59554.96であり、ヒトPD-L1に対して惹起し、ヒト及びマウスPD-L1の両方を認識する。簡単に言えば、7日後、マウスを麻酔し、血清のために眼窩で採血した。サイトカインの血清レベルの分析を、BioRad Bio-Plexアッセイを用いて実施し、免疫抑制性サイトカインIL-10がメラノーマ(
図6A)及び結腸直腸(
図6C)腫瘍の両方のインビボモデルにおいて、有意に減少したことが決定された。IL-10レベルは、抗PD-L1抗体又はMEKi処置単独で減少したが、MEKiと抗PD-L1を用いた同時処理ではかなり低減した。さらに、マウスケモカインKC、腫瘍進行において役割を担うことが知られているヒトケモカインIL-8のホモログの血清レベルも、メラノーマ(
図6B)及び結腸直腸(
図6D)腫瘍の両方のインビボモデルにおいてかなり低下し、MEKiと抗PD-L1抗体を用いた同時処置によって、最も有意に低減した。これらの結果は、抗PD-L1抗体とMEK阻害剤の併用治療が、腫瘍成長を促進させるサイトカインの放出を阻害することを示す。
【0200】
実施例5:インビボでの結腸直腸腫瘍における抗PD-L1抗体の抗腫瘍効果を増強するMEK阻害剤
MEKiが抗PD-L1抗体の抗腫瘍効果を増強どうかを決定するために、結腸直腸腫瘍のマウスモデルを併用治療で処置した。簡単に述べると、マウスに腫瘍細胞を皮下接種し、腫瘍を増殖させた。腫瘍を担持するマウスが200立方ミリメートル(
図7A)又は450立方ミリメートル(
図7B)の平均腫瘍体積を達成したとき、マウスを無作為に1-4の処置群に割り当てた。1群:21日間、毎日、経口、MCTコントロールビヒクルに加えて、3週間、週に3回、10mg/kgのアイソタイプコントロール抗体(抗gp120、PRO67181、PUR番号20455)を腹腔内受容させ;2群:3週間、週に3回、10mg/kgの抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号59554.96を腹腔内受容させ;3群:21日間、毎日、経口、75mg/kgのMEKi G-38963に加えて、3週間、週に3回、10mg/kgのアイソタイプコントロール抗体(抗gp120、PRO67181、PUR番号20455)を腹腔内受容させ;4群:21日間、毎日、経口、75mg/kgのMEKi G-38963に加えて、3週間、週に3回、10mg/kgの抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号59554.96を腹腔内受容させた。腫瘍増殖及び体重変化について、マウスをモニターした。初期(
図7A)又は後期(
図7B)の介入のいずれかにおいて、抗PD-L1抗体のPRO314483、ロット番号5944.96を用いたPD-LLの遮断は、腫瘍の増殖を防止するのに単剤療法として非常に有効であった。MEKi G-38963を用いた処置は、初期又は後期介入のいずれかで腫瘍増殖を防止する場合に、単剤療法としても非常に有効であり、抗PD-L1抗体処置に匹敵した。抗PD-L1抗体とMEKiを用いた併用療法は、初期又は後期介入の両方で、腫瘍成長をかなり阻害し、抗PD-L1抗体単独又はMEKi処置単独よりも有意に効果的であった。さらに、腫瘍増殖の初期段階での同時処置は、腫瘍体積の有意な減少をもたらしただけでなく、持続的な応答を示した。初期介入は、少なくとも92日間維持された約60%の完全寛解をもたらした。これらの結果は、MEKiはPD-L1遮断の抗腫瘍活性を増強し、したがって腫瘍増殖を阻害するため、抗PD-LI抗体と相乗的に働いたことを示している。
【0201】
MEKiが抗PD-L1抗体の抗腫瘍効果を増強しているかどうかを決定するために、結腸直腸腫瘍のためのマウスモデルを、2つの異なる研究において、異なるMEK阻害剤、MEKiGDC-0973を用いた併用治療で処置した。
【0202】
第1の研究において、雌のBALB/cマウスに、100μLのHBSS:マトリゲルに、100000のCT26マウス結腸直腸の細胞が入ったものを、片側性胸部の皮下に接種した。マウスが約200立方ミリメートルの平均腫瘍容積を達成したときに、それらを実験0日目に無作為に9の処置群の一つに割り当て、処置を実験1日目に開始した。10匹のマウスの群に、経口的に21日間毎日200μlの容量を次のように与えた:1群はMCTビヒクルを受容し、2群は0.5mg/kgのGDC-0973を受容し、3群は1.0mg/kgのGDC-0973を受容し、4群は2.0mg/kgのGDC-0973を受容し、5群は3.0mg/kgのGDC-0973を受容し、6群は4.0mg/kgのGDC-0973を受容し、7群は5.0mg/kgのGDC-0973を受容し、8群は6.0mg/kgのGDC-0973を受容し;9群は7.5mg/kgのGDC-0973を受容した。
【0203】
第二の研究において、雌のBALB/cマウスに、100μLのHBSS:マトリゲルに、100000のCT26マウス結腸直腸の細胞が入ったものを、片側性胸部の皮下に接種した。マウスが約200立方ミリメートルの平均腫瘍容積を達成したときに、それらを実験0日目に無作為に異なる6の処置群の一つに割り当て、処置を実験1日目に開始した。10匹のマウスの群に、経口的に21日間毎日200μlの容量を次のように与えた:1群は、21日間、毎日、200uL量で経口的にMCTビヒクル、及び10mg/kgのアイソタイプコントロール抗体(抗gp120、PRO67181、PUR番号20455)を週に3回腹腔内受容し;2群は、21日間、毎日、経口的に7.5mg/kgのGDC-0973を受容し;3群は、週に3回腹腔内に、10mg/kgの抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号5944.96を受容し;4群は、21日間、毎日、経口的に10mg/kgの抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号5944.96を受容し;5群は、週に3回腹腔内に、10mg/kgの抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号5944.96、及び21日間、毎日、経口的に3.0mg/kgのGDC-0973を受容し;6群は、週に3回腹腔内に、10mg/kgの抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号5944.96、及び21日間、毎日経口的に6mg/kgのGDC-0973を受容した。抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号5944.96は、定常領域のエフェクターレスFC D265A/N297A置換を有する、IgG2aのマウス定常領域と、MPDL3280Aのヒト可変領域及びを含む、逆キメラである。
【0204】
両方の試験については、マウスを試験期間中、週2-3回、腫瘍増殖及び体重の変化をモニターした。腫瘍増殖の測定のために、腫瘍体積を、UltraCal-IV calipers(モデル54-10-111;Fred. V. Fowler Company;Newton, MA)を用いて測定し、互いに直交する長さ及び幅の測定値と、腫瘍体積を、以下の方程式を使用して算出した:
腫瘍体積(mm
3)=(縦×幅
2)×0.5
【0205】
体重の測定のために、マウスをAdventura Pro AV812スケール(Ohaus Corporation;PineBrook, NJ)を用いて秤量した。パーセント体重変化は、次式を用いて計算した。
体重変化(%)=[(重量
Day new−重量
Day 0)/重量
Day 0]×100
【0206】
R,バージョン2.9.2(R Development Core Team 2008;R Foundation for Statistical Computing;Vienna, Austria)を使用してデータを分析し、混合モデルを、nlmeパッケージ、バージョン3.1-96(Pinheiro Jら, R package version3.2009, 1-96)を使用してR内に適合させた。プロットは、マック用のPrismバージョン5.0b(GraphPad Software, Inc;La Jolla, CA)で行った。混合モデリングアプローチを使用し、経時的に同じ動物からの腫瘍体積の反復測定を分析した(Pinheiro Jら, Statistics and Computing, Springer. 2010)。このアプローチを、無作為欠損(MAR)として統計的に分類可能であるという理由で、試験終了前に反復測定及び、控えめなドロップアウトの両方で取り組んだ。時間と線量によって、log
2(容積)での固定効果の変更を、線量の自動決定された自然スプライン基底と時間の自然な3回帰スプライン基底の主効果との相互作用の和としてモデル化した。妨害及び成長率(スロープ)が、動物によって無作為に変化することが想定された。コントロール処置群のパーセンテージ(%TGI)としての腫瘍増殖阻害を、コントロールに対する一日あたりの各処置群について近似曲線(AUC)下の面積のパーセンテージとして計算し、コントロール処置マウスは、研究にて以下の等式:
%TGI=100×(1−AUC
dose/AUC
vehicles)
を使用した。
【0207】
完全寛解(CR)は、研究中の任意の時点で、個々の動物におけるその腫瘍体積が検出(LOD)の限界を下回ったものと定義した。部分寛解(PR)は、研究中の任意の時点で、個々の動物におけるその腫瘍体積が、最初の腫瘍体積の50%減少したものと定義した。全奏効率(ORR)は、完全及び部分寛解の和と定義した。
【0208】
進行5X(TTP5X)までの時間は、出発体積の5倍を超える、グループの適合腫瘍体積(上述した混合モデリング分析に基づく)の日数での時間として定められ、最半日で概算し、その群のTTP5Xとして報告した。直線状の混合効果分析を使用し、経時的に同じ動物からの体重変化の反復測定を分析した。
【0209】
濃度を増加させたMEKi GDC-0973による処置は、処置の20日目、7.5mg/kgのGDC-0973処置群で示された、最大阻害を伴う腫瘍増殖を抑制した(
図8A、表2)。
【0210】
抗PD-L1抗体とMEKi GDC-0973との併用治療により、抗PD-L1抗体又はMEKi GDC-0973単独を用いた処置と比較して、より長い時間、腫瘍成長の増強された減少を示した(
図8B、表3)。さらに、MEKi GDC-0973(1mg/kgで、3mg/kg、6mg/kg)の低用量濃度は、より高濃度のMEKi GDC-0973を単独で使用した場合と比較して、抗PD-L1抗体と組合せて使用される場合の腫瘍増殖抑制に、より効果的であった(7.5mg/kg)(
図8A及びB、表3)。
【0211】
さらなる研究は、結腸直腸腫瘍のマウスモデルにおける併用治療のために使用される場合、追加のMEK阻害剤(G02443714、G02442104、及びG00039805)もまた、抗PD-L1抗体の抗腫瘍効果を高めるかどうかを決定するために行った。
【0212】
MEK阻害剤G02443714を用いた併用療法において、雌のBALB/cマウスに、100μLのHBSS:マトリゲルに、100000のCT26マウス結腸直腸の細胞が入ったものを、片側性胸部の皮下に接種した。マウスが約200立方ミリメートルの平均腫瘍容積を達成したときに、それらを実験0日目に無作為に異なる4の処置群の一つに割り当て、処置を実験1日目に開始した。10匹のマウスの群に次のように与えた:1群は、21日間、毎日、200uL量で経口的にMCTビヒクル、及び10mg/kgのアイソタイプコントロール抗体(抗gp120、PRO67181、PUR番号20455)を週に3回腹腔内に受容し;2群は、21日間、毎日、経口的に25mg/kgのG02443714を受容し;3群は、週に3回腹腔内に、10mg/kgの抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号5944.96を受容し;4群は、週に3回腹腔内に、10mg/kgの抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号5944.96を受容し、21日間、毎日、経口的に25mg/kgのG02443714を受容した。G02443714並びに経口用ビヒクル(MCT)は、抗PD-L1及び/又はアイソタイプコントロール抗体の投与の4時間前、胃管栄養法に経口投与した。
【0213】
MEK阻害剤G02442104を用いた併用療法において、雌のBALB/cマウスに、100μLのHBSS:マトリゲルに、100000のCT26マウス結腸直腸の細胞が入ったものを、片側性胸部の皮下に接種した。マウスが約200立方ミリメートルの平均腫瘍容積を達成したときに、それらを実験0日目に無作為に異なる4の処置群の一つに割り当て、処置を実験1日目に開始した。10匹のマウスの群に次のように与えた:1群は、21日間、毎日、200uL量で経口的にMCTビヒクル、及び10mg/kgのアイソタイプコントロール抗体(抗gp120、PRO67181、PUR番号20455)を週に3回腹腔内に受容し;2群は、21日間、毎日、経口的に25mg/kgのG02442104を受容し;3群は、週に3回腹腔内に、10mg/kgの抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号5944.96を受容し;4群は、週に3回腹腔内に、10mg/kgの抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号5944.96を受容し、21日間、毎日、経口的に25mg/kgのG02442104を受容した。G02442104並びに経口用ビヒクル(MCT)は、抗PD-L1及び/又はアイソタイプコントロール抗体の投与の4時間前、胃管栄養法に経口投与した。
【0214】
MEK阻害剤G00039805を用いた併用療法において、雌のBALB/cマウスに、100μLのHBSS:マトリゲルに、100000のCT26マウス結腸直腸の細胞が入ったものを、片側性胸部の皮下に接種した。マウスが約200立方ミリメートルの平均腫瘍容積を達成したときに、それらを実験0日目に無作為に異なる4の処置群の一つに割り当て、処置を実験1日目に開始した。10匹のマウスの群に次のように与えた:1群は、21日間、毎日、200uL量で経口的にMCTビヒクル、及び10mg/kgのアイソタイプコントロール抗体(抗gp120、PRO67181、PUR番号20455)を週に3回腹腔内に受容し;2群は、21日間、毎日、経口的に100mg/kgのG00039805を受容し;3群は、週に3回腹腔内に、10mg/kgの抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号5944.96を受容し;4群は、週に3回腹腔内に、10mg/kgの抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号5944.96を受容し、21日間、毎日、経口的に100mg/kgのG00039805を受容した。G00039805並びに経口用ビヒクル(MCT)は、抗PD-L1及び/又はアイソタイプコントロール抗体の投与の4時間前、胃管栄養法に経口投与した。
【0215】
G02443714、G02442104、又はG00039805を用いた、3つ全ての組合わせについて、マウスを、試験期間中、週に2-3回、腫瘍増殖及び体重変化についてモニターした。腫瘍増殖の測定のために、腫瘍体積を、UltraCal-IV calipers(モデル54-10-111;Fred. V. Fowler Company;Newton, MA)を用いて測定し、互いに直交する長さ及び幅の測定値と、腫瘍体積を、以下の方程式を使用して算出した:
腫瘍体積(mm
3)=(縦×幅
2)×0.5
【0216】
体重の測定のために、マウスをAdventura Pro AV812スケール(Ohaus Corporation;PineBrook, NJ)を用いて秤量した。パーセント体重変化は、次式を用いて計算した。
体重変化(%)=[(重量
Day new−重量
Day 0)/重量
Day 0]×100
【0217】
R,バージョン2.9.2(R Development Core Team 2008;R Foundation for Statistical Computing;Vienna, Austria)を使用してデータを分析し、混合モデルを、nlmeパッケージ、バージョン3.1-96(Pinheiro Jら, R package version3.2009, 1-96)を使用してR内に適合させた。プロットは、マック用のPrismバージョン5.0b(GraphPad Software, Inc;La Jolla, CA)で行った。混合モデリングアプローチを使用し、経時的に同じ動物からの腫瘍体積の反復測定を分析した(Pinheiro Jら, Statistics and Computing, Springer. 2010)。このアプローチを、無作為欠損(MAR)として統計的に分類可能であるという理由で、試験終了前に反復測定及び、控えめなドロップアウトの両方で取り組んだ。時間と線量によって、log
2(容積)での固定効果の変更を、線量の自動決定された自然スプライン基底と時間の自然な3回帰スプライン基底の主効果との相互作用の和としてモデル化した。妨害及び成長率(スロープ)が、動物によって無作為に変化することが想定された。コントロール処置群のパーセンテージ(%TGI)としての腫瘍増殖阻害を、コントロールに対する一日あたりの各処置群について近似曲線(AUC)下の面積のパーセンテージとして計算し、コントロール処置マウスは、研究にて以下の等式:
%TGI=100×(1−AUC
dose/AUC
vehicles)
を使用した。
【0218】
完全寛解(CR)は、研究中の任意の時点で、個々の動物におけるその腫瘍体積が検出(LOD)の限界を下回ったものと定義した。部分寛解(PR)は、研究中の任意の時点で、個々の動物におけるその腫瘍体積が、最初の腫瘍体積の50%減少したものと定義した。全奏効率(ORR)は、完全及び部分寛解の和と定義した。
【0219】
進行5X(TTP5X)までの時間は、出発体積の5倍を超える、グループの適合腫瘍体積(上述した混合モデリング分析に基づく)の日数での時間として定められ、最半日で概算し、その群のTTP5Xとして報告した。直線状の混合効果分析を使用し、経時的に同じ動物からの体重変化の反復測定を分析した。
【0220】
抗PD-L1抗体とG02443714との併用治療は、18日目に観察された20%の部分寛解を有する、抗PD-L1抗体又はG02443714単独での処置と比較して、より長い期間、腫瘍増殖の増強低下をもたらした(
図9)。抗PD-L1抗体とG02442104との併用治療は、37.5日目に観察された、40%の部分寛解及び10%の完全寛解を伴い、抗PD-L1抗体又はMEKi G02442104単独での処置と比較して、より長い時間、腫瘍成長の増強低下をもたらした(
図10)。さらに、抗PD-L1抗体とG00039805との併用治療は、22日目に観察された、30%の部分寛解を伴い、抗PD-L1抗体又はMEKi G00039805単独での処置と比較してより長い時間、腫瘍成長の増強低下をもたらした(
図11)。要するに、これらの結果は、様々なMEK阻害剤が、腫瘍増殖を阻害するため、抗PD-LI抗体の抗腫瘍活性を増強可能であることを実証する。
【0221】
実施例6:インビボでのメラノーマ腫瘍における抗PD-L1抗体の抗腫瘍活性を増強するMEK阻害剤
MEKiが、抗PD-L1抗体の抗腫瘍効果を増強するかどうかを決定するために、メラノーマ腫瘍のマウスモデルを併用治療で処置した。簡単に述べると、マウスに腫瘍細胞を皮下接種し、腫瘍を増殖させた。腫瘍を担持するマウスが100-200立方ミリメートルの平均腫瘍体積を達成したとき、マウスを無作為に1-4の処置群に割り当てた。1群:21日間、毎日、経口、MCTコントロールビヒクルに加えて、3週間、週に3回、10mg/kgのアイソタイプコントロール抗体(抗gp120、PRO67181、PUR番号20455)を腹腔内受容させ;2群:3週間、週に3回、10mg/kgの抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号59554.96を腹腔内受容させ;3群:21日間、毎日、経口的に、75mg/kgのMEKi G-38963に加えて、3週間、週に3回、10mg/kgのアイソタイプコントロール抗体(抗gp120、PRO67181、PUR番号20455)を腹腔内受容させ;4群:21日間、毎日、経口的に、75mg/kgのMEKi G-38963に加えて、3週間、週に3回、10mg/kgの抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号59554.96を腹腔内受容させた。腫瘍増殖及び体重変化について、マウスをモニターした。Cloudman91S(
図12)において、抗PD-L1抗体PRO314483、ロット番号5944.96を用いたPD-LLの遮断は、腫瘍の増殖を防止するのに単剤療法として有効であった。MEKi G-38963を用いた処置は、腫瘍増殖を防止する場合に、単剤療法としても非常に有効であり(
図12)、抗PD-L1抗体処置に匹敵した。抗PD-L1抗体とMEKiを用いた併用療法は、双方のメラノーマ細胞株において、腫瘍成長をかなり阻害した。対照的に、テモダール、化学療法剤が、抗PD-L1抗体と組合せて使用された場合は、抗PD-L1抗体の抗腫瘍活性を阻害した(
図14)。T細胞OX40同時刺激分子をブロックする抗体が、MEK阻害剤G-38963と組合せて使用される場合に、同様の結果が得られた(
図14)。これらの結果は、MEKiはPD-L1遮断の抗腫瘍活性を増強し、したがって腫瘍増殖を阻害するため、抗PD-LI抗体と相乗的に働いたことを示している。これらの結果は、MEKiが特異的にPD-L1遮断の抗腫瘍活性を増強し、従ってメラノーマ腫瘍の増殖を阻害するため、抗PD-LI抗体と相乗的に作用したことを示している。
【0222】
実施例7:PDL1抗体活性と独立して樹状細胞の活性化を増加させるMEK阻害剤
これまでの研究では、MEK阻害剤は、MEKiの効果が、PD-L1発現の変化によって媒介されたことを示唆している、表面PD-L1のダウンレギュレーションによって免疫機能を増強することができることが示されている。増強された腫瘍の免疫原性が、MEKの活性化時に、PD-L1発現の依存性に起因しているかどうかを決定するために、樹状細胞の活性を、MEKi GDC-0973単独、抗PD-L1抗体(Fcガンマレセプターへの結合を効果的に防止するため、Fc変異を有するマウスIgG2a定常配列に融合したMPDL3280Aの可変領域から構成されるキメラ抗体)単独、又はMEKiと抗PD-L1抗体との組合せで処置した場合と比較した。簡潔には、マウス骨髄細胞を7日間、40ng/mlのマウスGM-CSFとともに、10センチメートルの非組織培養処理皿当たり10ミリリットルの総体積当たり2×10
6で単離し、播種した。新鮮な培地を、2-3日ごとに半交換した。培養培地は、10%のウシ胎児血清、20μMのHEPES、55μMの2-メルカプトエタノール、50μg/mlのゲンタマイシン、及び次のサプリメントの1:100希釈物、Gibco:Gluta-MAX、ピルビン酸ナトリウム、ペニシリン/ストレプトマイシン、及び非必須アミノ酸を含有するRPMI-1640であった。7日目に、すべての細胞を回収し、洗浄した後、96ウェル平底プレートに100000細胞/ウェルで播種した。MEK阻害剤GDC-0973を、1μMの最終濃度で添加し、抗PDL1のヒト/マウス逆キメラ又は抗ブタクサマウスIgG2aアイソタイプコントロール(Genentech PUR22251)を10μg/mlで加えた。1μg/mlの各々の最終濃度を細胞に添加する前に、抗CD40クローンFGK-45(Genentechロット68020-62)を、室温で1時間、ヤギ抗ラットIgG Fc-ガンマ-受容体(Jackson ImmunoResearch)と架橋させた。刺激の48時間後、細胞を採取し、96ウェルV底プレートに移した。サンプルはブロックされた第1Fcレセプター(BD Biosciencesからの精製された抗CD16/CD32、5μg/ml)であり、ついで、I-A/IE-FITC、H-2Db/H-2Kb-ビオチン(ストレプトアビジン-PEが続く)、CD11c-APC、CD86-FITC、及びCD80-PE(全てBD Biosciences)で染色した。死亡細胞を除去するために、ヨウ化プロピジウムを含有せしめた。サンプルを、BD FACSCaliberフローサイトメーターに流し、FlowJoソフトソフトウェア(Tree Star, Inc.)を用いてデータを分析した。機能的にブロックする抗PD-L1抗体単独を用いた処理により、MHC-IのDC表面発現が穏やかに増加するが(
図15A)、DC活性化マーカーMHC-II(
図15B)、CD80(
図15C)、又はCD86(
図15D)の発現を誘導しなかった(
図15A)。
対照的に、MEKi処置は、MHC-II、CD80、及びCD86、並びにMHC-I発現を増強した。興味深いことに、MEKiと抗PD-LI抗体の併用治療は、MEKi単独と比較して、DCの表面活性化マーカーを変化させなかった。同様の結果は、同時刺激性の抗CD40抗体の添加で得られた(
図15E-H)。これらの新しい知見は、MEKiが、PD-L1発現におけるその影響とは独立して、DCの活性化を誘導したことを示している。要するに、これらの結果は、MEKiが、抗PDLからの固有のメカニズムによって、腫瘍免疫原性を増加させ、抗腫瘍免疫の最適増強のために、MEKiとPD-L1遮断を組合せるためのサポートを提供することを実証している。
【0223】
実施例8a:MEKアッセイ(MEK活性アッセイ)
昆虫細胞中で発現させた構成的に活性化されたヒト変異体MEK1を、62.5nMのキナーゼアッセイにおける最終濃度で酵素活性の供給源として使用する。
【0224】
アッセイを、基質として大腸菌で産生された組換えGST-ERK1を使用して、50μMのATPの存在下で30分間実施する。基質のリン酸化が検出され、Cisbioにより供給されるHTRF試薬を使用して定量される。これらは、アロフィコシアニンに結合した抗GST抗体(XL665)とユーロピウムクリプテートに結合した抗ホスホ(Thr202/Tyr204)ERK抗体で構成される。抗ホスホ抗体はThr202とTyr204で二重にリン酸化されたERK1を認識する。両方の抗体がERK1に結合する場合(すなわち、基質がリン酸化される場合)、クリプテートからアロフィコシアニンへのエネルギー移動が340nmでの励起後に生じ、産生されたリン酸化基質の量に比例する蛍光が放出されることになる。蛍光はマルチウェル蛍光計を使用して検出される。
【0225】
化合物はDMSOで希釈し、その後、アッセイ緩衝液に添加し、アッセイにおける最終DMSO濃度は1%とされる。
【0226】
IC
50は、所定の化合物がコントロールの50%阻害を達成する濃度として定義される。IC
50値は、XLfitソフトウェアパッケージ(バージョン2.0.5)を使用して計算される。
【0227】
実施例8b:MEKアッセイ(MEK活性アッセイ)
昆虫細胞で発現した構成的に活性化したヒト変異体MEK1を、15nMのキナーゼアッセイにおける最終濃度で酵素活性の供給源として使用する。
【0228】
アッセイを、基質として大腸菌で産生された組換えGST−ERK1を使用して、50μMのATPの存在下で30分間実施する。基質のリン酸化が検出され、Cisbioにより供給されるHTRF試薬を使用して定量される。これらは、アロフィコシアニンと結合した抗GST抗体(XL665)とユーロピウムクリプテートに結合した抗ホスホ(Thr202/Tyr204)ERK抗体で構成される。これらはそれぞれ、4μg/ml及び0.84μg/mlの最終濃度で使用される。抗リン抗体はThr202とTyr204で二重にリン酸化されたERK1を認識する。両方の抗体がERK1に結合する場合(すなわち、基質がリン酸化される場合)、クリプテートからアロフィコシアニンへのエネルギー移動が340nmでの励起後に生じ、産生されたリン酸化基質の量に比例する蛍光が放出されることになる。蛍光はマルチウェル蛍光計を使用して検出される。
【0229】
化合物はDMSOで希釈し、その後、アッセイ緩衝液に添加し、アッセイにおける最終DMSO濃度は1%とされる。
【0230】
IC
50は、所定の化合物がコントロールの50%阻害を達成する濃度として定義される。IC
50値は、XLfitソフトウェアパッケージ(バージョン2.0.5)を使用して計算される。
【0231】
ここで引用された全ての特許、特許出願、文献、論文は、その全体が出典明示によりここに援用される。