(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示の一実施形態について説明する。なお、図面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
本実施形態に係る熱処理装置Mは、
図1に示すように、冷却装置R、中間搬送装置H、並びに2つの加熱装置K1及びK2を合体させた装置である。なお、本実施形態の熱処理装置は3つの加熱装置を備えているが、
図1は冷却装置Rの中心を含む縦断面を示しているので、3つ目の加熱装置は省略されている。
【0014】
図1、
図2に示す冷却装置Rは、冷却室RS内に収容された被処理物Xに冷却媒体を接触させることで被処理物Xを冷却する冷却装置本体RHと、
図2に示すようにこの冷却装置本体RHに設けられて、この冷却装置本体RHで冷却に用いられた冷却媒体を回収し、回収された冷却媒体を冷却して上記冷却装置本体RHに循環させる冷却媒体循環装置RJと、冷却室RS内の気圧を大気圧と近似した圧力で安定させる圧力安定装置RAと、冷却室RS内の気圧を上昇させる昇圧ガス(例えば、窒素あるいは空気)を冷却室RS内に供給する昇圧ガス供給装置RG(昇圧ガス供給部)と、を備えて構成されている。なお、以下、冷却室RS内の「気圧」を、単に冷却室RS内の「圧力」と称する。
【0015】
図1に示すように冷却装置本体RHは、冷却チャンバー1、複数の冷却ノズル2、複数のミストヘッダー3等を備える。
【0016】
冷却チャンバー1は、縦型円筒形の容器(中心軸線が鉛直方向に平行な容器)であり、内部空間が冷却室RSである。この冷却チャンバー1の上部は中間搬送装置Hに接続されており、冷却チャンバー1には冷却室RSを中間搬送装置Hの内部空間(搬送室HS)に連通させる開口が形成されている。冷却室RSには、この開口を介して被処理物Xが搬入/搬出される。
【0017】
複数の冷却ノズル2は、冷却室RS内に収容された被処理物Xの周囲に離散配置されている。より具体的には、複数の冷却ノズル2は、被処理物Xの周囲において、鉛直方向に多段(具体的には5段)かつ冷却チャンバー1(冷却室RS)の周方向に一定間隔をあけて、被処理物Xを全体として取り囲むように、かつ、被処理物Xとの距離が極力等距離となるように離散配置されている。
【0018】
例えば、最上段に属する複数の冷却ノズル2は2つのノズルグループにグループ分けされており、各々のノズルグループにミストヘッダー3が個別に設けられている。一方、最下段及び中間の3段に属する複数の冷却ノズル2は、各段毎に3つのノズルグループにグループ分けされており、各々のノズルグループについてミストヘッダー3が個別に設けられている。このような各ノズルグループの各冷却ノズル2は、ノズル軸の向きが被処理物Xを向くように調節されており、ミストヘッダー3を介して
図2に示す冷却媒体循環装置RJの冷却ポンプ4から供給された冷却媒体を被処理物Xに向けて噴霧する。
【0019】
また、
図1に示すように最上段に属する複数の冷却ノズル2は、鉛直方向において被処理物Xの上端よりも高い位置に配置されている。一方、最下段に属する複数の冷却ノズル2は、被処理物Xの下端と略同等な高さに配置されている。さらには、最上段に属する複数の冷却ノズル2は、他の段の冷却ノズル2よりも冷却チャンバー1の内側(冷却チャンバー1の鉛直中心軸線寄り)、つまり他の段の冷却ノズル2よりも冷却チャンバー1の内面から離間して配置される。
【0020】
上記冷却媒体は、熱処理の冷却用に一般的に用いられる冷却油よりも粘性が低い液体であり、本実施形態では水が用いられている。上記冷却ノズル2の噴射孔は、冷却媒体としての冷却水が所定の噴霧角で均一かつ一定粒径の液滴で噴霧されるように形状設定されている。また、各冷却ノズル2の噴霧角及び互いに隣り合う冷却ノズル2の間隔は、冷却ノズル2から拡がるように噴き出た液滴が、隣の他の冷却ノズル2から拡がるように噴き出た液滴と交差あるいは衝突するように設定されている。
【0021】
すなわち、このような複数の冷却ノズル2は、被処理物Xを冷却媒体の液滴の集合体つまり冷却水のミストで全体的に包囲するように冷却水を被処理物Xに向けて噴霧する。上記冷却水ミストは、均一な粒径の液滴かつ均一なミスト濃度で被処理物Xの周りに形成されることが好ましい。
【0022】
本実施形態の冷却装置本体RHは、このような冷却水ミストを用いて被処理物Xを冷却する、つまり被処理物Xをミスト冷却する。なお、この冷却装置本体RHにおける冷却温度や冷却時間等の冷却条件は、被処理物Xにおける熱処理の目的や被処理物Xの材質等に応じて適宜設定される。
【0023】
冷却装置本体RHは、前述した冷却水ミストを用いた被処理物Xのミスト冷却に加えて、被処理物Xを冷却水に浸漬させる冷却(浸漬冷却)が実施可能である。この浸漬冷却は、冷却室RSの底部に配置された複数の噴出ノズル8から供給される冷却水(冷却媒体)を冷却チャンバー1内に貯留し、冷却チャンバー1内の冷却水に被処理物Xを浸漬して冷却する。すなわち、
図2に示す冷却媒体循環装置RJの冷却ポンプ4の吐出側(下流側)には切換弁9a及び9bが設けられており、冷却ポンプ4は、切換弁9a及び9bの切り換えにより上記複数のミストヘッダー3及び複数の噴出ノズル8の一方に冷却水を供給する。なお、この冷却ポンプ4については、冷却水の吐出圧の時間変動が極力少ないポンプが選定される。
【0024】
冷却媒体循環装置RJは、冷却装置本体RHから冷却水を回収する第1回収路30及び第2回収路31と、これら第1回収路30及び第2回収路31(オーバーフロー配管)によって回収された冷却水を貯留する冷却水槽32と、冷却水槽32に接続する第1循環路33と、第1循環路33から分岐する第2循環路34と、を備えて構成されている。
【0025】
第1回収路30は、冷却装置本体RHの底部に一端側が接続し、他端側が冷却水槽32に接続する配管によって形成されており、この配管の途中に開閉弁35を有している。なお、第1回収路30を形成する配管は、本実施形態ではその他端側が上記冷却水槽32に被着された上蓋(図示せず)に取り付けられている。従って、この配管は、冷却水槽32に貯留された冷却水の水面上に、冷却装置本体RHから回収した冷却水をその他端側開口から吐出する。
【0026】
第2回収路31は、冷却装置本体RHの冷却室RSの上部に一端側が接続し、他端側が冷却水槽32に接続する配管によって形成されるオーバーフロー配管である。この第2回収路31を形成する配管も、本実施形態ではその他端側が上記冷却水槽32に被着された上記上蓋に取り付けられ、従って、冷却水槽32に貯留された冷却水の水面上に、冷却装置本体RHから回収した冷却水をその他端側開口から吐出する。つまり、冷却室RS内に供給される冷却水は、冷却室RS内の所定の水位を超えたときには、第2回収路31を介してオーバーフローして冷却水槽32に回収されるため、第2回収路31の一端の接続位置よりも冷却室RS内の水位が高くなることが防止される。
【0027】
第1回収路30は、冷却装置本体RHにおいて被処理物Xをミスト冷却した際に、冷却室RS内の底部に溜まった冷却水を回収するのに用いられ、第2回収路31は、冷却装置本体RHにおいて被処理物Xを浸漬冷却した際に、冷却室RS内に溜まった冷却水をオーバーフローさせて回収するのに用いられる。
【0028】
冷却水槽32は、例えば、直方体形状の一般的な水槽であり、一方の短辺側の底面に排水口を有している。この排水口は、第1循環路33に接続されている。第1循環路33は、一端側が冷却水槽32の上記排水口に接続し、他端側が冷却水槽32内の底部側に配置される噴射ノズル42に接続する配管である。
【0029】
上記噴射ノズル42は、冷却水槽32内の底部側にてこれに貯留される冷却水の水面より下方に配置されており、第1循環路33から返送され、循環させられた冷却水を貯留された冷却水中に噴射することにより、冷却水槽32内の冷却水に水平方向に大きな対流を起こさせ、撹拌して混合する。これにより、冷却室RSから第1回収路30または第2回収路31によって回収され、冷却水槽32内に貯留された冷却水と、第1循環路33によって返送され、循環させられた冷却水とは、均一に混合される。
【0030】
また、この第1循環路33の経路中には、上記冷却ポンプ4が設けられている。これにより、冷却水槽32の排水口から冷却水が導出させられ、第1循環路33を流れる。冷却ポンプ4は、通常時には連続運転するようになっており、したがって上記した冷却室RS(冷却装置本体RH)での被処理物Xの冷却時にも、作動して冷却水槽32内の冷却水を第1循環路33に流すようになっている。
【0031】
また、この第1循環路33の経路中には、冷却ポンプ4の下流側に、熱交換器37が配設されている。熱交換器37は、図示しない冷却器(チラー)から送られてくる冷却水と、第1循環路33を流れる冷却水との間で熱交換させる公知の装置であり、第1循環路33を流れる冷却水を例えば30℃程度に冷却するように構成されている。
【0032】
また、この第1循環路33の経路中には、上記冷却ポンプ4と熱交換器37との間に、定流量弁38が配設されている。このような構成のもとに第1循環路33は、冷却水槽32内の冷却水を導出し、熱交換器37を通過させて冷却し、冷却後の冷却水を再度、冷却水槽32内に返送するようになっている。
【0033】
また、第1循環路33には、冷却ポンプ4の下流側で、かつ、上記定流量弁38の上流側、従って熱交換器37の上流側の部分から分岐し、冷却装置本体RHに接続する第2循環路34が設けられている。すなわち、第1循環路33に、第2循環路34である配管が接続されている。この第2循環路34を形成する配管は、第1分岐路39を形成する配管と、第2分岐路40を形成する配管とに分岐している。
【0034】
第1分岐路39を形成する配管には、上記ミストヘッダー3にそれぞれ接続する複数の分岐管41が設けられており、これら分岐管41を介して第1分岐路39は冷却装置本体RHに接続している。すなわち、冷却水槽32から導出され、第2循環路34の第1分岐路39を流れる冷却水は、分岐管41及びミストヘッダー3を介して冷却ノズル2から冷却室RS内に噴霧される。なお、分岐管41には、それぞれ切換弁9bが設けられている。
【0035】
また、第2分岐路40を形成する配管は、上記噴出ノズル8にそれぞれ接続するヘッダー(図示せず)に接続しており、これによって第2分岐路40も冷却装置本体RHに接続している。すなわち、冷却水槽32から導出され、第2循環路34の第2分岐路40を流れる冷却水は、ヘッダーを介して噴出ノズル8から冷却室RS内に噴出される。なお、第2分岐路40を形成する配管には、切換弁9aが設けられている。
【0036】
また、本実施形態では、
図2に示したように第1循環路33中の冷却ポンプ4と熱交換器37との間に、第1循環路33を形成する配管を流れる冷却水量を一定にする、定流量弁38を配設している。この定流量弁38は、例えば冷却室RSにおける冷却ノズル2の冷却水の噴射圧を高めるべく、冷却ポンプ4の出力を高めて送水量を多くした際、第1循環路33を通って冷却水槽32に返送される冷却水量を一定量に制限し、これによって第2循環路34に送られる冷却水量を冷却ポンプ4の出力に応じて多くするために設けられている。
【0037】
このような定流量弁38が無い場合、冷却ポンプ4の出力を高めて送水量を多くしても、第1循環路33を通って冷却水槽32に返送される冷却水量が多くなってしまうため、第2循環路34に送られる冷却水量が増加せず、冷却ノズル2からの冷却水の噴射圧を所望の圧に高めるのが困難になる。しかし、定流量弁38を設けたことにより、冷却ポンプ4の出力を高めることで冷却ノズル2からの冷却水の噴射圧を所望の圧に容易に高めることが可能になる。
【0038】
圧力安定装置RAは、冷却室RS内の圧力を検出する圧力センサ51と、冷却室RS内の圧力を低下させるために第2回収路31を介して冷却室RS内を外部に対して開放状態とする圧力逃がし弁52と、圧力センサ51の検出結果に基づいて圧力逃がし弁52を制御する制御部53と、を備えて構成されている。
【0039】
圧力センサ51は、上記冷却室RS内において、冷却室RSの上部に接続される第2回収路31の一端より高い位置に設けられ、冷却室RS内の圧力を検出する。この圧力センサ51は、冷却室RSの圧力を示す圧力検出信号を制御部53に出力する。
【0040】
圧力逃がし弁52は、第2回収路31に設けられる。例えば、圧力逃がし弁52は、第2回収路31の上部に設けられる排気口31a(
図2参照)に設けられる。つまり、圧力逃がし弁52は、その開放と閉鎖を切り替えることによって、排気口31aの開放と閉鎖を切り替える。圧力逃がし弁52は、開放されることで冷却室RSの内部と外部とを連通するように構成されている。
【0041】
この圧力逃がし弁52は、制御部53から入力される制御指令に従って動作し、冷却室RS内の圧力が大気圧と近似した圧力(大気圧よりも僅かに低い圧力、後述する第2圧力値D2)となると、開放されるように構成されている。この結果、第2回収路31の上部に設けられる排気口31aが開放されるため、冷却室RS内に溜まる気体が外部に放出されて、冷却室RS内の圧力は大気圧で安定する。このような圧力逃がし弁52が無い場合、冷却室RS内の圧力が不適切に上昇し、熱処理装置Mや冷却装置Rの緊急停止といった不具合が生じる場合がある。
【0042】
制御部53は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、圧力センサ51及び圧力逃がし弁52に電気的に接続されこれらと各種信号の送受信を行うインターフェイス回路等と、を備えて構成されている。この制御部53は、圧力逃がし弁52と通信を行い、上記ROMに記憶された各種演算制御プログラム及び圧力センサ51から入力される圧力検出信号に基づいて圧力逃がし弁52の動作を制御する。例えば、制御部53は、圧力センサ51の検出結果が第2圧力値D2(しきい値)以上である場合に、圧力逃がし弁52を開放するように圧力逃がし弁52を制御する。すなわち、制御部53は、圧力センサ51から入力される冷却室RS内の圧力の検出結果(圧力値)と、上記RAM等に記憶された第2圧力値D2(しきい値)とを比較し、上記検出結果が第2圧力値D2以上である場合に、圧力逃がし弁52を開放する。制御部53の上記比較は、所定の時間間隔毎に実施される。第2圧力値D2は、大気圧よりも低い値に設定されている。
【0043】
昇圧ガス供給装置RGは、冷却室RS内の圧力を上昇させる昇圧ガス(例えば、窒素あるいは空気)を貯留するための昇圧ガスタンク61と、昇圧ガスタンク61と冷却チャンバー1とを連結し昇圧ガスタンク61から冷却室RSに送出される昇圧ガスが流通する昇圧ガス配管63と、昇圧ガス配管63の途中に設けられたバルブ62と、を備えて構成されている。
【0044】
昇圧ガスタンク61は、昇圧ガスを貯留する容器であり、昇圧ガス配管63の一端に接続されている。例えば、昇圧ガスに不活性ガスである窒素ガスを用いる場合は、窒素ガス又は液体窒素が昇圧ガスタンク61に貯留されている。また、昇圧ガスタンク61に窒素ガスが随時補給されてもよい。
【0045】
昇圧ガス配管63は、一端側が昇圧ガスタンク61に接続し、他端側が冷却室RS(例えば、冷却室RSの上部側)に接続する配管である。これにより、昇圧ガスタンク61から昇圧ガスが導出させられ、昇圧ガス配管63を流れるようになっている。
【0046】
バルブ62は、昇圧ガス配管63を閉塞可能であり、バルブ62の開閉によって、昇圧ガス配管63を介した昇圧ガスの冷却室RSへの供給及び供給停止を切り替える。バルブ62の開閉動作は、図示しない制御装置によって制御されている。上述したように、昇圧ガスタンク61には昇圧ガスが貯留されているため、制御装置の制御に基づいてバルブ62が開放するのみで、昇圧ガスタンク61内の昇圧ガスを昇圧ガス配管63を介して冷却室RS内に供給可能となっている。なお、バルブ62は、上述した定流量弁38と同様に、昇圧ガス配管63を流通する昇圧ガスの流量を一定値に制限可能であってもよい。
【0047】
図1に戻り、中間搬送装置Hは、搬送チャンバー10、冷却室載置台11、冷却室昇降台(図示せず)、冷却室昇降シリンダー13、一対の搬送レール14、プッシャーシリンダー15及び16、加熱室昇降台17並びに加熱室昇降シリンダー18等を備えて構成されている。搬送チャンバー10は、冷却装置Rと加熱装置K1及びK2との間に設けられた容器であり、内部空間が搬送室HSである。被処理物Xは、バスケット等の容器(収納容器)内に収容された状態で、外部の搬送装置によって搬入/搬出口(図示略)から搬送チャンバー10内に搬入される。搬送チャンバー10は、内部の搬送室HSを真空状態とできるように構成されている。
【0048】
冷却室載置台11は、冷却装置Rで被処理物Xを冷却する際に被処理物Xを載せる支持台であり、被処理物Xの底部が極力広く露出するように被処理物Xを支持する。この冷却室載置台11は、冷却室昇降台(図示せず)上に設けられている。冷却室昇降台は、冷却室載置台11を支持する支持台、つまり被処理物Xを冷却室載置台11を介して支持する支持台であり、冷却室昇降シリンダー13の可動ロッドの先端に固定されている。
【0049】
冷却室昇降シリンダー13は、上記冷却室昇降台を上下動(昇降)させるアクチュエータである。すなわち、冷却室昇降シリンダー13及び上記冷却室昇降台は、冷却装置Rの専用搬送装置であり、冷却室載置台11上に載置された被処理物Xを搬送室HSから冷却室RSに搬送するとともに冷却室RSから搬送室HSに搬送する。
【0050】
一対の搬送レール14は、搬送チャンバー10内の底部に水平方向に延在するように敷設されている。これら搬送レール14は、冷却装置Rと加熱装置K1との間で被処理物Xを搬送させる際のガイド部材(案内部材)である。プッシャーシリンダー15は、搬送チャンバー10内の被処理物Xを加熱装置K1に向けて搬送するために、被処理物Xを押圧するアクチュエータである。プッシャーシリンダー16は、被処理物Xを加熱装置K1から冷却装置Rに搬送するために、被処理物Xを押圧するアクチュエータである。
【0051】
すなわち、一対の搬送レール14並びにプッシャーシリンダー15及び16は、被処理物Xを加熱装置K1と冷却装置Rとの間で搬送する専用搬送装置である。なお、
図1には一対の搬送レール14並びにプッシャーシリンダー15及び16が示されているが、本実施形態の中間搬送装置Hは、合計で3セットの搬送レール14並びにプッシャーシリンダー15及び16を備えている。すなわち、搬送レール14並びにプッシャーシリンダー15及び16は、加熱装置K1用だけではなく、加熱装置K2用に、また図示しない3つ目の加熱装置用にも設けられている。
【0052】
加熱室昇降台17は、被処理物Xを中間搬送装置Hから加熱装置K1に搬送する際に被処理物Xが載置される支持台である。すなわち、被処理物Xは、上記プッシャーシリンダー15によって
図1の右方向に押圧されることにより、加熱室昇降台17上に搬送される。加熱室昇降シリンダー18は、上記加熱室昇降台17上の被処理物Xを上下動(昇降)させるアクチュエータである。すなわち、加熱室昇降台17及び加熱室昇降シリンダー18は、加熱装置K1の専用搬送装置であり、加熱室昇降台17上に載置された被処理物Xを搬送室HSから加熱装置K1の内部(加熱室KS)に搬送するとともに加熱室KSから搬送室HSに搬送する。
【0053】
加熱装置K1及びK2並びに3つ目の加熱装置は略同一の構成を有する。従って、以下では代表して加熱装置K1の構成を説明する。加熱装置K1は、加熱チャンバー20、断熱容器21、複数の加熱ヒータ22、真空排気管23、真空ポンプ24、撹拌翼25及び撹拌モータ26等を備えている。
【0054】
加熱チャンバー20は、搬送チャンバー10上に設けられた容器であり、内部空間が加熱室KSである。この加熱チャンバー20は、前述した冷却チャンバー1と同様に縦型円筒形の容器(中心軸線が鉛直方向に平行な容器)であるが、冷却チャンバー1よりも小型に形成されている。断熱容器21は、上記加熱チャンバー20内に設けられた縦型円筒形の容器であり、所定の断熱性能を有する断熱材から形成されている。
【0055】
複数の加熱ヒータ22は、棒状の発熱体であり、垂直に延びる姿勢で断熱容器21の内側かつ周方向に所定間隔で設けられている。これら複数の加熱ヒータ22は、加熱室KS内に収容された被処理物Xを所望温度(加熱温度)まで加熱する。なお、この加熱温度や加熱時間等の加熱条件は、被処理物Xに対する熱処理の目的や被処理物Xの材質等に応じて適宜設定される。
【0056】
上記加熱条件には加熱室KS(加熱チャンバー20)内の真空度(圧力)が含まれる。真空排気管23は、加熱室KSに連通する配管であり、一端が断熱容器21の上部に接続され、他端が真空ポンプ24に接続されている。真空ポンプ24は、このような真空排気管23を介して加熱室KS内の空気を吸引する排気ポンプである。加熱室KS内の真空度は、真空ポンプ24による空気の排気量によって決定される。
【0057】
撹拌翼25は、断熱容器21内の上部に、回転軸が鉛直方向(上下方向)に延びる姿勢で設けられた回転翼である。この撹拌翼25は、撹拌モータ26によって駆動されることによって、加熱室KS内の空気を撹拌する。撹拌モータ26は、出力軸が鉛直方向(上下方向)に平行となるように加熱チャンバー20上に設けられた回転駆動部である。撹拌モータ26は加熱チャンバー20の上部外面に設けられており、その出力軸は加熱チャンバー20の壁部を貫通している。攪拌モータ26の出力軸は、加熱チャンバー20内に位置する撹拌翼25の回転軸に対して、加熱チャンバー20の気密性(シール性)を損なわないように連結されている。
【0058】
なお、
図1には示していないが、本実施形態に係る熱処理装置Mは、専用の制御装置を備えている。この制御装置は、ユーザが熱処理における各種条件を入力して設定する操作部と、内部に予め記憶された制御プログラム等に基づいて上記冷却ポンプ4、加熱ヒータ22、各種シリンダー、真空ポンプ24及び昇圧ガス供給ポンプ62等の各駆動部を制御することにより、被処理物Xに対して上記設定情報に従った熱処理を実行させる制御部と、を備えている。このような制御装置は、特に冷却ポンプ4に対して、前述したように通常時には停止させることなく、連続運転させるように制御する。
【0059】
次に、このように構成された熱処理装置の動作(熱処理方法)、特に冷却装置の動作(冷却処理方法)について詳しく説明する。この熱処理装置の動作は、上記制御装置が設定情報に基づいて主体的に実行する。なお、周知のように熱処理には目的に応じて様々な種類がある。以下では、熱処理の一例として被処理物Xを焼入れする場合の動作について説明する。
【0060】
焼入れは、例えば被処理物Xを温度T1よりも高い温度に加熱した後に温度T1から温度T2まで急速冷却し、温度T2で一定時間保持した後に緩やかに冷却することにより完了する。外部の搬送装置によって搬入/搬出口から中間搬送装置H内に収容された被処理物Xは、例えばプッシャーシリンダー15が作動することによって加熱室昇降台17上に搬送され、さらに加熱室昇降シリンダー18が作動することによって加熱室KS内に収容される。
【0061】
そして、被処理物Xは、加熱ヒータ22が一定時間通電されることによって温度T1よりも高い温度に加熱され、所定の熱処理が実施されると、加熱室昇降シリンダー18が作動し、さらにプッシャーシリンダー16が作動することによって冷却室載置台11上に搬送される。そして、冷却室昇降シリンダー13が作動することによって冷却室RSに搬送される。なお、被処理物Xの、搬送室HS、加熱室KS、及び冷却室RSでの搬送中は、これらの3室は真空状態に保たれている。
【0062】
冷却室RSに搬送される被処理物Xに対しては、予め設定された冷却処理、すなわちミスト冷却、浸漬冷却のいずれかの冷却処理がなされる。
冷却室RSにて被処理物Xをミスト冷却する場合には、搬送された被処理物Xを冷却室RSに収容した後、連続運転している冷却ポンプ4の吐出口側に位置する第2循環路34の分岐路において、切換弁9aを閉鎖し、切換弁9bを開放することによって、第1分岐路39に冷却水を流通させる。これにより、冷却水の供給先が冷却ノズル2に選択され、冷却ノズル2から冷却水の液滴(ミスト)が被処理物Xに向けて噴射される。すなわち、被処理物Xは、冷却ノズル2から噴射される冷却水の液滴によってミスト冷却される。このミスト冷却において、複数の冷却ノズル2から噴射された冷却水は、
図2に示す第1回収路30を介して冷却水槽32に連続的に返送される。
【0063】
また、被処理物Xを浸漬冷却する場合には、被処理物Xを冷却室RSに収容する前に、まず、上記のミスト冷却と同様にして冷却水の供給先を冷却ノズル2に選択し、開閉弁35を閉鎖した状態で、この冷却ノズル2から冷却水の液滴を噴射することにより、冷却室RS内にある程度冷却水を溜める。続いて、切換弁9aを開放し、切換弁9bを閉鎖することで冷却水の供給先を噴出ノズル8とする。なお、浸漬冷却を実施する場合に、冷却ノズル2から冷却水を噴射することなく、切換弁9aを開放し、切換弁9bを閉鎖することで第2分岐路40に冷却水を流通させて、冷却水の供給先を噴出ノズル8としてもよい。
【0064】
このようにして複数の噴出ノズル8から冷却媒体を供給することにより、冷却室RS内を冷却水で満たす。次いで、冷却水で満たされた冷却室RS内に被処理物Xを収容することにより、浸漬冷却を行う。これにより、被処理物Xは、冷却水中に浸漬されて温度T2まで急冷される。この浸漬冷却は所定時間に亘って行われるが、この浸漬冷却において、複数の噴出ノズル8から冷却水が冷却室RS内に連続的に供給され、これによって冷却室RS内の冷却水が撹拌される。また、
図2に示す第2回収路31と冷却室RSとの連結部分からオーバーフローした冷却水は、この第2回収路31を介して冷却水槽32に返送される。そして、このような浸漬冷却が完了すると、開閉弁35が開放されて冷却室RS内の冷却水が第1回収路30を介して短時間で冷却水槽32に返送され、これによって被処理物Xは、冷却水(冷却媒体)に浸漬された状態から空気中に設置された状態に短時間で移行する。
【0065】
以下、被処理物Xのミスト冷却中の冷却装置Rの動作について、より詳細に説明する。
図3は冷却室RS内の圧力変化と被処理物Xの温度変化とを示すグラフであって、
図3の紙面上側のグラフは冷却室RS内の圧力変化を示し、
図3の紙面下側のグラフは被処理物Xの温度変化を示している。なお、以下、
図3の紙面上側のグラフを
図3(a)、
図3の紙面下側のグラフを
図3(b)と称する場合がある。
図3(a)及び
図3(b)の横軸は同一の時間軸を示している。
【0066】
加熱装置によって温度T1よりも高い温度まで加熱された被処理物Xは、中間搬送装置Hを介して冷却室RSに搬入される。なお、上述したように、被処理物Xの搬送中の搬送室HSや冷却室RSは真空状態に保たれており、真空状態での冷却室RS内の圧力を圧力D0とする。温度T1より高い温度まで加熱された被処理物Xの温度は、搬送中の熱放射によって徐々に低下する。
【0067】
冷却室RS内に被処理物Xが搬入されると、被処理物Xが搬送される冷却チャンバー1の不図示の開口が閉鎖され、冷却室RSは密閉状態となる。
図3の時刻P0において、上記制御装置の制御に基づいて昇圧ガス供給装置RGのバルブ62が開放される。冷却室RSは真空状態に保たれており、昇圧ガスタンク61には昇圧ガス(又は液化した昇圧ガス)が貯留されているため、バルブ62が開放するのみで、昇圧ガスタンク61内の昇圧ガスは昇圧ガス配管63を介して冷却室RS内に供給される。昇圧ガスは一定の流量で冷却室RS内に供給され、冷却室RS内の圧力は時間の経過とともに徐々に上昇する(
図3(a)参照)。なお、昇圧ガスの供給は、冷却室RS内の圧力が後述する第2圧力値D2に到達するまで実施される。
【0068】
昇圧ガスの供給により、冷却室RS内の圧力が第1圧力値D1となった時刻P1で、複数の冷却ノズル2から冷却水(ミスト)が被処理物Xに向けて噴霧される第1噴霧工程が開始される。冷却室RS内の圧力が低すぎると冷却ポンプ4が適切に動作できない場合があるため、第1圧力値D1は、冷却ポンプ4の適切な動作及び冷却ノズル2からの適切な冷却水の噴霧が可能である圧力値に設定されている。なお、時刻P1では被処理物Xの温度は温度T1となっているため、被処理物Xの冷却処理は温度T1から開始される。噴霧された冷却水(ミスト)は、高温の被処理物Xに付着し、そこで蒸発することで被処理物Xから蒸発熱を奪い、よって被処理物Xが冷却される。
【0069】
本実施形態のミスト冷却では、第1噴霧工程に続いて、時刻P2から時刻P4まで均熱工程(冷却媒体の供給停止期間)を実施する。この均熱工程は、急速なミスト冷却によって生じる被処理物Xの内部と外面との温度差を緩和するために行われる。均熱工程では、冷却ノズル2からの冷却水の噴霧が停止される。本実施形態では、時刻P2での冷却室RS内の圧力は、大気圧よりも低い圧力となっている。また、時刻P2と時刻P4との間の時刻P3で、冷却室RS内の圧力は大気圧より僅かに低い第2圧力値D2に到達し、その後冷却室RSが大気開放されて冷却室RS内の圧力は大気圧に等しくなる。なお、第2圧力値D2は大気圧に近い圧力であるため、
図3(a)では、便宜上、第2圧力値D2と大気圧とを同一の値として記載している。このような均熱工程が実施されることで、被処理物Xの内部と外面との温度差が緩和される。この結果、被処理物Xの材質の不均一化や変形等を抑制できる。
【0070】
均熱工程に続いて、時刻P4から時刻P5まで第2噴霧工程を実施する。この第2噴霧工程では、上記第1噴霧工程と同様に、複数の冷却ノズル2から冷却水(ミスト)が被処理物Xに向けて噴霧される。第2噴霧工程が実施されることにより、被処理物Xは温度T2まで冷却される。時刻P5から、被処理物Xは温度T2から緩やかに冷却されて、本実施形態のミスト冷却は終了する。
【0071】
次に、上述したミスト冷却中の圧力安定装置RAの動作を説明する。
図3を用いて説明した上記ミスト冷却では、均熱工程が開始される時刻P2での冷却室RS内の圧力は、大気圧や第2圧力値D2よりも低くなっている。被処理物Xの表面に凹部等が形成されている場合、第1噴霧工程が終了した時点でその凹部等に冷却水が溜まっている場合がある。また、被処理物Xの冷却処理の温度プロファイルによっては、時刻P2の時点で、冷却水が蒸発するに十分な温度を被処理物Xが有している場合がある。
【0072】
このように、均熱工程が開始される時刻P2で、被処理物Xに多量の冷却水が付着しているとともに、被処理物Xの温度が高い場合には、均熱工程において、被処理物Xに付着した冷却液の蒸発により蒸気が発生し続ける。一方、冷却ノズル2からの冷却水の噴霧は停止しており、被処理物Xから発生した蒸気は冷却ノズル2から供給される冷却水によって冷却されずに冷却室RS内にとどまる。このため、発生する蒸気によって冷却室RS内の圧力が予期せず急激に上昇する場合があり、このような冷却室RSの圧力上昇に伴って、熱処理装置Mや冷却装置Rの緊急停止といった不具合が生じる場合がある。
【0073】
しかしながら、本願の冷却装置Rは圧力安定装置RAを備えており、圧力安定装置RAの制御部53が、圧力センサ51から入力される冷却室RS内の圧力の検出結果(圧力値)と、第2圧力値D2(しきい値)とを所定の時間間隔毎に比較している。このため、冷却室RS内の圧力が急激に上昇した場合でも、上記検出結果が第2圧力値D2以上となった時点で、制御部53が圧力逃がし弁52を開放する。圧力逃がし弁52が開放されることで、冷却室RSの内部と外部とが第2回収路31や排気口31aを介して連通されるため、冷却室RS内の圧力は速やかに大気圧と等しくなる。従って、本実施形態の均熱工程において、被処理物Xに付着した冷却液の蒸発により蒸気が発生し続けている場合であっても、冷却室RS内の圧力が大気圧を超えることを防止できる。よって、熱処理装置Mや冷却装置Rの緊急停止を防止して、被処理物の高い処理効率を維持できる。
【0074】
圧力センサ51の圧力検出から圧力逃がし弁52の開放動作までには多少の時間(タイムラグ)を要する場合がある。このため、冷却室RS内の圧力が大気圧を超えることを確実に防止すべく、第2圧力値D2は、大気圧よりも低い値に設定されている。この第2圧力値D2の値は、上記タイムラグ等に鑑みて適切に調整してよい。
【0075】
どのような場合に冷却室RS内の急激な圧力上昇が発生するかを予測することは困難であるため、制御部53による、圧力センサ51の検出結果(圧力値)と第2圧力値D2(しきい値)とを比較は、所定の時間間隔毎に実施されている。このため、冷却室RS内の圧力が急激に上昇せずに、
図3(a)に示すように時間とともに次第に上昇している場合であっても、冷却室RS内の圧力値が第2圧力値D2以上となったときに、制御部53は圧力逃がし弁52を開放し、冷却室RSの内部と外部とを圧力逃がし弁52等を介して連通させる。すなわち、冷却室RS内の圧力が急激に上昇しない通常の冷却工程においても、冷却室RS内の圧力が第2圧力値D2に到達したときの冷却室RSの大気開放は、圧力逃がし弁52によって行われている。
【0076】
このような本実施形態によれば、冷却室RSに接続される第2回収路31に設けられ、開放することによって冷却室RSの内部の圧力を大気圧と等しくさせる圧力逃がし弁52を冷却装置Rが具備する。このため、冷却室RS内部の圧力が高くなってしまった場合でも、圧力逃がし弁52を開放させることで冷却室RS内部の圧力を大気圧と等しくさせて、冷却室RSの内部圧力の大気圧を超える不適切な上昇を防止することができる。また、本実施形態によれば、従来から搭載されている第2回収路31(オーバーフロー配管)に圧力逃がし弁52を設けることで、冷却装置Rの大きな改修を行うことなく、冷却室RSの内部圧力の大気圧を超える上昇の防止を実現することができる。
【0077】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき、構成の負荷、省略、置換、及びその他の変更が可能である。例えば以下のような変形例が考えられる。
【0078】
(1)上記実施形態では、オーバーフロー配管である第2回収路31に圧力逃がし弁52を取り付けたが、本開示はこれに限定されない。例えば、冷却装置Rに設けられる図示しない排気配管(冷却室RSの内部と外部とを連通可能な配管)に圧力逃がし弁52を設け、この排気配管を介して冷却室RS内の蒸気を外部に排出して、冷却室RS内の圧力を大気圧と等しくするようにしてもよい。また、配管を介さずに、冷却室RS(冷却チャンバー1)の壁部に開口を設け、この開口に圧力逃がし弁52を取り付けるようにしてもよい。
【0079】
(2)上記実施形態では、昇圧ガス配管63の途中にバルブ62が設けられているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、昇圧ガスタンク61から冷却室RS内への昇圧ガスの供給速度を向上させる必要のある場合には、上記バルブ62に代えて、又は上記バルブ62とともに、昇圧ガスを冷却室RSに向けて送り出す供給ポンプを昇圧ガス配管63の途中に設けてもよい。昇圧ガスの供給時にこの供給ポンプを駆動させることで、昇圧ガスの供給速度を向上させることができる。
【0080】
(3)上記実施形態のミスト冷却では、均熱工程が開始される時刻P2では冷却室RS内の圧力が大気圧より低くなっている。しかし、冷却室RS内の圧力が既に大気圧と等しくなっている時点で、均熱工程が開始されてもよい。すなわち、上記第1噴霧工程の実施中に、冷却室RS内の圧力が第2圧力値D2に到達し、その結果、冷却室RS内の圧力が大気圧に等しくなってもよい。
【0081】
(4)上記実施形態のミスト冷却では、被処理物Xの冷却中に、冷却室RS内への冷却液の供給停止期間である均熱工程を1回設けている。しかし、被処理物Xの冷却中に、冷却液の供給停止期間を複数回設けてもよい。すなわち、冷却液の噴霧工程を間欠的に行ってもよい。また、言い換えれば、噴霧工程と均熱工程とを交互に実施してもよい。
【0082】
(5)上記実施形態では冷却媒体として水を用いているが、冷却媒体として代替フロンや有機溶剤等を用いることも可能である。
【0083】
(6)上記実施形態では熱処理装置Mについて説明しているが、本開示は加熱装置を備えない冷却装置に適用することも可能である。この場合には、冷却装置が、昇圧ガス供給部RG、圧力逃がし弁52、圧力センサ51、及び制御部53等を備える。