(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
(地域防災情報システムの構成)
図1は本発明の実施の形態1に係る地域防災情報システムの構成を示す図である。
本実施の形態の地域防災情報システムは、火災警報器10と、移報アダプタ20と、子機30と、中継機40と、親機50と、ゲートウェイ60と、サーバー70とを備えている。
【0012】
火災警報器10、及び移報アダプタ20は、所定の地域内における住戸Hにそれぞれ1つ又は複数設けられる。
これら1つ又は複数の火災警報器10及び移報アダプタ20は、無線信号の送受信を行うことができる機器によりグループを構成しており、本実施の形態では、親となる火災警報器10をグループ内に1台設け、残りの機器を子としている。
図1では住戸H内を1グループとしているが、例えば住戸H内に複数のグループを構成することもできる。また、特に限定するものではないが、基本的には親となる火災警報器10は、グループ内のすべての機器と通信できる位置に設けられている。そして、他の火災警報器10等からの警報信号等を受信すると、グループ内の他の機器に対して再送信して確実に連動させるようにする。また、例えばグループ内の各機器は、通信元、通信先を特定するために、グループ内において固有に設定されたアドレスをそれぞれ有する。
【0013】
火災警報器10は、例えば火災等を検出すると音、表示等による警報を行い、利用者(例えば居住者)に報知する。また、グループ内の他の火災警報器10から火災に係る警報信号を受信すると、連動して警報を発する。
【0014】
移報アダプタ20は、火災に係る信号(警報信号)を子機30に移報(出力)するための装置である。本実施の形態の移報アダプタ20は、火災等を検出する機能は有していないが、火災警報器10からの信号に基づいて、連動して警報を行うことができるものとする。また、移報アダプタ20にも火災警報器10と同様に固有のアドレスが設定されており、通信においては子の機器として扱われる。
【0015】
子機30は、所定の地域内における住戸Hに設けられる。子機30は、移報アダプタ20から移報された警報信号を含む通信情報を、無線通信により送信する装置である。子機30から送信される通信情報には、移報された警報信号とともに、当該子機30の識別IDが付加される。なお、子機30の識別IDに代えて又はこれに加えて、当該住戸Hにおける火災警報器10のグループに固有に設定されたアドレス(グループID)を付加しても良い。
【0016】
中継機40は、所定の地域内に設けられ、子機30からの通信情報を受信して再送信する装置である。
親機50は、例えば地域内の管理部C(後述)に設けられ、子機30及び中継機40の少なくとも一方からの通信情報を受信する装置である。この親機50は、ゲートウェイ60を介して通信回線(例えばインターネット71)に接続される。
ゲートウェイ60は、親機50が取得した警報信号を含む通信情報のプロトコル変換を行い、通信回線(例えばインターネット71)を経由してサーバー70へ通信情報を送信する。
【0017】
子機30、中継機40、及び親機50の間の無線通信は、例えば特定小電力無線を使用して、プロアクティブ型のルーティングプロトコルを採用したアドホックネットワークシステムを用いている。このようなアドホックネットワークシステムは、中継機能を利用したマルチホップ通信方式により、通信エリアを逐次的に拡張することが可能となる。
なお、子機30、中継機40、及び親機50の間の無線通信の方式はこれに限るものではなく、任意の通信方式を用いることができる。また、中継機40を省略して、子機30と親機50とが直接通信するようにしても良い。
【0018】
図2は本発明の実施の形態1に係る子機30、中継機40、及び親機50の配置位置を示す図である。
図2に示すように、中継機40は、例えば地域内における屋外の支柱等の上部に設置される。親機50は、例えば地域内においてインターネット71への接続環境が整っている管理部Cの建屋近傍の屋外に設置される。
中継機40及び親機50は、互いに通信可能な位置に配置される。また、中継機40は、少なくとも1つの子機30との間で通信可能な位置に配置される。これにより地域内の各住戸Hに配置された子機30は、中継機40及び親機50の少なくとも一方との間で通信を行うことが可能となる。
なお、子機30に中継機40の機能を持たせ、他の住戸Hの子機30から送信された通信情報を子機30が中継するようにしても良い。
【0019】
なお、本実施の形態においては、中継機40を介して、子機30と親機50とが無線通信する場合を説明するが、本発明はこれに限るものではなく、子機30と親機50とを有線により接続しても良い。
また、中継機40や親機50を介さず、各子機30が直接、ゲートウェイ60を介してインターネット71に接続するようにしても良い。
【0020】
再び
図1において、サーバー70は、インターネット71に接続され、電子メールを送受信する機能を有するコンピュータにより構成されている。サーバー70は、例えばPOP3(Post Office Protocol Version 3)およびSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)等のプロトコルに準拠した通信により、インターネット71を介して、地域内の居住者が所持する1つ又は複数の情報端末80宛に電子メールを送信する。
なお、本実施の形態では、親機50とサーバー70とが、ゲートウェイ60及び通信回線(例えばインターネット71)を介して接続する場合を説明するが、本発明はこれに限るものではなく、親機50とサーバー70とを直接又は所定のインターフェースを介して接続するようにしても良い。
【0021】
情報端末80は、例えば、携帯電話、タブレット端末、パーソナルコンピュータなど、電子メールを送受信する機能を有する機器である。
【0022】
次に、地域防災情報システムを構成する各機器の詳細について説明する。
【0023】
(火災警報器10)
図3は本発明の実施の形態1に係る火災警報器10の回路構成を示す図である。
図3において、火災警報器10は、制御回路101、電池102、電源回路103、電池電圧検出回路104、送受信回路105、アンテナ106、火災検出回路107、警報音制御回路108、表示回路109及び点検・警報停止スイッチ120を備える。
【0024】
制御回路101は、入力される信号等に基づいて処理を行い、火災警報器10が有する回路等の制御を行う。例えば、火災検出回路107からの信号に基づいて、警報音制御回路108、表示回路109を動作させて音、表示によって火災に係る警報等を行う。送受信回路105を介して、グループ内における他の機器との通信処理を行う。記憶素子121は、例えばEEPROM等の不揮発性メモリであり、制御回路101が実行する処理に係るプログラム、自己及びグループ内の他の機器に設定されたアドレス、属するグループのグループID等の各種データを格納している。
【0025】
電池102は、電源回路103に直流電源を供給する。電源回路103は、電池102の電圧を所定電圧に制御し、火災警報器10の各回路に供給する。電池電圧検出回路104は、電池102の印加に係る電圧を検出し、検出した電圧に応じた電池電圧検出信号を制御回路101に出力する。
【0026】
電池電圧検出回路104からの電圧検出信号に基づいて、電池残量が低下したこと、電池切れの閾値を超えたことを判断すると、制御回路101は、警報音制御回路108と表示回路109を駆動させて電池切れ等を報知させる。
【0027】
送受信回路105は、無線信号を送受信するためのアンテナ106に接続されている。送受信回路105は、アンテナ106を介して入力された(送られた)無線信号を処理し、自己のアドレスが通信先のデータとして含まれている(通信先としてすべてのアドレスとしている場合も含む)と判断した場合には受信処理を行う。自己のアドレス以外の無線信号と判断した場合には受信処理を行わない。受信処理した信号は、制御回路101へ出力する。また、送受信回路105は、制御回路101の処理に係る状態信号等の送信処理を行う。
【0028】
火災検出回路107は、火災現象に基づく煙や熱等の物理的変化を検出して検出内容に応じた信号を制御回路101に出力する。ここでは、特に詳細に区別することなく、火災の検出に係る信号を出力するものとして説明する。
【0029】
警報音制御回路108は、ブザー・スピーカ等(図示せず)から警報音を発生させる動作を制御する回路である。表示回路109は、例えば発光ダイオード等の表示灯の点灯動作を制御する回路である。ここでは、表示灯の点灯制御を行う回路であるものとして説明するが、例えば、火災警報器10が文字、数字等を表示できる表示手段を有している場合には、文字等を表示させる制御を行うようにしてもよい。
【0030】
点検・警報停止スイッチ120は、利用者が火災警報器10に連動点検を行わせるために押下するスイッチである。また、別構成にすることもできるが、本実施の形態では、火災に係る警報時において、利用者が火災に係る警報を停止させるためのスイッチも兼ねているものとする。さらに、例えば半押し又は全押し、短押し又は長押し等で区別することにより、スイッチの使い分けを行うことができる。
【0031】
(移報アダプタ20)
図4は本発明の実施の形態1に係る移報アダプタ20の回路構成を示す図である。
図4において、移報アダプタ20は、火災警報器10と同様に、制御回路201、電池202、電源回路203、電池電圧検出回路204、送受信回路205、アンテナ206、警報音制御回路208、表示回路209及び点検・警報停止スイッチ220を備える。これらの回路等は、基本的には前述した火災警報器10の対応する回路等と同様の動作を行う。ただし、システムにおける役割の違いから、制御回路201は、火災警報器10の制御回路101の処理とは異なる処理を行う場合がある。また、制御回路201は記憶素子221を有し、制御回路201が実行する処理のプログラム、自己及びグループ内の他の機器に設定されたアドレス等の各種データを格納している。そして、火災警報器10と異なり、火災等の検出を行うものではないため、本実施の形態の移報アダプタ20は、火災検出回路107に対応する回路は有していないものとする。
【0032】
また、本実施の形態の移報アダプタ20は、移報出力回路230、火災警報音出力設定スイッチ231及び移報出力設定スイッチ232を有している。移報出力回路230は子機30へ火災に係る警報信号等を含む移報信号を出力(送信)するための構成である。なお、移報出力回路230は子機30等に有線接続されているが、無線接続であってもよい。
【0033】
また、火災警報音出力設定スイッチ231は、移報アダプタ20において、警報音を発生させるか否かを設定するためのスイッチ(ディップスイッチ等の設定手段)である。ここで、火災警報音出力設定スイッチ231は、警報音(火災警報音)の発生について設定するものである。このため、本実施の形態の移報アダプタ20は、他の音(例えば電池切れ、センサ異常、通信異常等の異常報知に係る音等)については、火災警報音出力設定スイッチ231の設定に関係なく発生させるものとする。また、本実施の形態の火災警報音出力設定スイッチ231による設定の変更は、電源が投入されたとき、リセットボタン(図示せず)等によりリセットされた際に有効となる。このため、通常時にスイッチを切り換えても設定は変更されないものとする。
【0034】
移報出力設定スイッチ232は、例えば連動点検時において、移報出力回路230から移報信号を出力するか否かを設定するためのスイッチである。ここでは、移報出力設定手段をスイッチで構成するが、例えば要求に合わせて施した設定を記憶素子221にデータベースとして記憶させておく等、特にスイッチに限定するものではない。これについては火災警報音出力設定スイッチ231についても同様である。
【0035】
(子機30)
図5は本発明の実施の形態1に係る子機30の回路構成を示す図である。
図5において、子機30は、制御回路301、電池302、電源回路303、電池電圧検出回路304、送受信回路305、アンテナ306、表示回路309、誤報スイッチ331、復旧スイッチ332、及び移報入力回路330を備える。
【0036】
制御回路301は、入力される信号等に基づいて処理を行い、子機30が有する回路等の制御を行う。例えば、移報入力回路330からの信号に基づいて、警報信号と識別IDとを含む通信情報を生成する。生成した通信情報は、送受信回路305を介して、中継機40及び親機50との通信処理を行う。記憶素子321は、例えばEEPROM等の不揮発性メモリであり、制御回路301が実行する処理に係るプログラム、自己に設定されたアドレス(識別ID)等の各種データを格納している。なお、子機30の識別IDは、システム内の子機30において固有に設定される。
【0037】
電池302は、電源回路303に直流電源を供給する。電源回路303は、電池302の電圧を所定電圧に制御し、子機30の各回路に供給する。電池電圧検出回路304は、電池302の印加に係る電圧を検出し、検出した電圧に応じた電池電圧検出信号を制御回路301に出力する。
なお、本実施の形態では、電池302から直流電源を供給する場合を説明するが、本発明はこれに限らず、電源回路403を商用電源(AC100V等)に対応する構成とし、電池302に代えて商用電源を供給するようにしても良い。
【0038】
電池電圧検出回路304からの電圧検出信号に基づいて、電池残量が低下したこと、電池切れの閾値を超えたことを判断すると、制御回路301は、表示回路309を駆動させて電池切れ等を報知させる。
【0039】
送受信回路305は、無線信号を送受信するためのアンテナ306に接続されている。送受信回路305は、制御回路301が生成した通信情報を所定の通信方式の無線信号に変調して送信する。
【0040】
表示回路309は、例えば発光ダイオード等の表示灯の点灯動作を制御する回路である。ここでは、表示灯の点灯制御を行う回路であるものとして説明するが、これに限らず、文字、数字等を表示させる制御を行うようにしてもよい。
【0041】
誤報スイッチ331は、利用者の操作により、火災警報器10からの警報信号が誤報であった旨の信号を含む通信情報を送信させるためのスイッチである。
復旧スイッチ332は、利用者の操作により、火災等を警報する状態が終息した(復旧した)旨の信号を含む通信情報を送信させるためのスイッチである。
なお、誤報スイッチ331及び復旧スイッチ332を1つのスイッチで構成し、例えば半押し又は全押し、短押し又は長押し等で区別することにより、スイッチの使い分けを行うことができる。
【0042】
移報入力回路330は移報アダプタ20からの火災に係る警報信号等を含む移報信号を入力(受信)するための構成である。なお、移報入力回路330は移報アダプタ20に有線接続されているが、無線接続であってもよい。
【0043】
(中継機40)
図6は本発明の実施の形態1に係る中継機40の回路構成を示す図である。
図6において、中継機40は、制御回路401、充電電池402、電源回路403、電池電圧検出回路404、送受信回路405、アンテナ406、太陽電池407、及び充電切換回路408を備える。
【0044】
制御回路401は、入力される信号等に基づいて処理を行い、中継機40が有する回路等の制御を行う。例えば、送受信回路405が受信した通信情報に、自己の識別IDを含めた通信情報を生成する。生成した通信情報は、送受信回路405を介して、他の中継機40及び親機50との通信処理を行う。記憶素子421は、例えばEEPROM等の不揮発性メモリであり、制御回路401が実行する処理に係るプログラム、自己に設定されたアドレス(識別ID)等の各種データを格納している。なお、中継機40の識別IDは、システム内の中継機40において固有に設定される。
ここで、制御回路401は、送受信回路405が受信した無線信号の受信電界強度の情報を付加した通信情報を生成するようにしても良い。この受信電界強度の情報は、親機50を介してサーバー70に送られ、最も強い電波を受信した中継機40の位置を、火災等の警報信号を送信した子機30に最も近い中継機40として検出するようにしても良い。なお、中継機40は、自身よりも先に中継した中継機40からの通信情報を中継する場合は、自身よりも先に中継した中継機40の識別IDと受信電界強度の情報に後続して、自身の識別IDと受信電界強度の情報とを付加した通信情報を生成するようにするとよい。これにより、サーバー70は、複数の中継機40を経由した通信情報であっても、先頭の中継機IDにおける受信電界強度の情報を比較すれば、最も強い電波を受信した中継機40の位置を、火災等の警報信号を送信した子機30に最も近い中継機40として検出することができる。また、中継機40は、自身よりも先に中継した中継機40からの通信情報を中継する場合は、少なくとも自身の受信電界強度の情報を付加しないようにしても同様な効果を奏することができる。また、同様な効果を奏するその他の構成を採用することもできる。
【0045】
送受信回路405は、無線信号を送受信するためのアンテナ406に接続されている。送受信回路405は、子機30及び他の中継機40から送信された通信情報を受信する。また、制御回路301が生成した通信情報を所定の通信方式の無線信号に変調して送信する。
【0046】
充電電池402は、電源回路403に直流電源を供給する。電源回路403は、充電電池402の電圧を所定電圧に制御し、中継機40の各回路に供給する。電池電圧検出回路404は、充電電池402の印加に係る電圧を検出し、検出した電圧に応じた電池電圧検出信号を制御回路401に出力する。
【0047】
太陽電池407は、充電切換回路408を介して充電電池402に接続される。制御回路401は、電池電圧検出回路404からの電圧検出信号に基づいて、一定の電圧を下回る場合には、充電切換回路408を動作させて太陽電池407と充電電池402とを接続させて太陽電池407からの電力を充電電池402に供給させる。また、一定の電圧を超えた場合には、充電切換回路408を動作させて太陽電池407と充電電池402との接続を遮断させて充電を停止させる。
なお、本実施の形態では、充電電池402及び太陽電池407から直流電源を供給する場合を説明するが、本発明はこれに限らず、電源回路403を商用電源(AC100V等)に対応する構成とし、充電電池402及び太陽電池407に代えて商用電源を供給するようにしても良い。
【0048】
(親機50)
図7は本発明の実施の形態1に係る親機50の回路構成を示す図である。
図7において、親機50は、中継機40と同様に、制御回路501、充電電池502、電源回路503、電池電圧検出回路504、送受信回路505、アンテナ506、太陽電池507、及び充電切換回路508を備える。これらの回路等は、基本的には前述した中継機40の対応する回路等と同様の動作を行う。ただし、システムにおける役割の違いから、制御回路501は、中継機40の制御回路401の処理とは異なる処理を行う場合がある。また、制御回路501は記憶素子521を有し、制御回路501が実行する処理のプログラム、自己に設定されたアドレス等の各種データを格納している。
また、親機50は、情報出力回路530を有している。情報出力回路530は、ゲートウェイ60に通信情報を出力(送信)するための構成である。情報出力回路530は、例えば、RS232C等のシリアル通信方式のインターフェースにより構成される。なお、情報出力回路530とゲートウェイ60との間は有線接続されているが、無線接続であってもよい。
【0049】
(サーバー70)
図8は本発明の実施の形態1に係るサーバー70の記憶情報700の構成を示す図である。
図8において、サーバー70には、子機30の識別IDと、住戸名と、電子メールアドレスの情報とを有する記憶情報700が予め記憶されている。
子機30の識別IDは、子機30固有の識別情報であり、子機30が送信する警報情報に付加される情報である。
住戸名は、子機30の識別IDに対応する住戸を識別する情報である。例えば居住者の氏名等の情報である。なお、住戸名の情報は省略しても良い。
電子メールアドレスは、子機30の識別IDに対応して記憶され、所定の地域内の居住者が所持する1つ又は複数の情報端末80の電子メールアドレスの情報である。ここで、「居住者が所持する」とは、地域内の居住者及びこれに準ずるものが電子メールの情報内容を確認しうる情報端末80を言うものであり、居住者が実際に手にしている情報端末80に限定されるものではない。また、必ずしも情報端末80が常に地域内に存在している場合に限定されるものではない。例えば携帯可能な情報端末80であれば地域外に存在する場合があり得ることは勿論のことである。
【0050】
なお、本実施の形態では子機30の識別IDに対応して電子メールアドレスの情報が記憶される場合を説明するが、これに限らず、警報信号を発信した火災警報器10が配置された住戸を特定する情報であればよい。例えば、子機30の識別IDに代えて、火災警報器10のグループアドレス(グループID)を用いても良い。
【0051】
なお、サーバー70及びゲートウェイ60には商用電源が供給されるが、停電等により電源供給が遮断された場合に、電源供給を実施する無停電電源装置を設けるようにしても良い。
これにより、本実施の形態における地域防災情報システムを構成する、火災警報器10、移報アダプタ20、子機30、中継機40、親機50、ゲートウェイ60、及びサーバー70は、電池又は無停電電源装置から電源が供給されることとなり、例えば災害などにより商用電源からの供給が停止した場合であっても動作を継続することができる。
【0052】
(動作)
次に、本実施の形態1における地域防災情報システムの動作について説明する。
【0053】
(警報動作)
火災警報器10の制御回路101は、火災検出回路107から信号が入力されたかどうかを判断する。火災検出による信号が入力されたものと判断すると、警報音制御回路108を動作させて、火元となる火災である旨の音声等を発生させ、表示回路109を動作させて火災である旨を表示させる火元警報を行わせる。そして、送受信回路105に、グループ内の他の機器に警報を連動させるための連動制御信号を、アンテナ106を介して送信させる。
一方、火災警報器10の制御回路101は、アンテナ106、送受信回路105を介して、他の火災警報器10からの連動制御信号を受信すると、警報音制御回路108を動作させて他の場所での火災である旨の音等を発生させ、表示回路109を動作させて火災である旨を表示させる連動警報を行わせる。
【0054】
なお、警報を行った後、点検・警報停止スイッチ120が押下されると、警報音制御回路108による音の発生、表示回路109による表示を停止させ、火元警報又は連動警報を停止させる。また、送受信回路105に、他の機器の連動警報を停止させるための連動警報停止信号を送信させる。
火災警報器10の制御回路101は、アンテナ106、送受信回路105を介して、他の火災警報器10からの連動警報停止信号を受信すると、警報音制御回路108による音の発生、表示回路109による表示を停止させ、連動警報を停止させる。
【0055】
移報アダプタ20の制御回路201は、アンテナ206、送受信回路205を介して、火災警報器10からの連動制御信号を受信すると、移報出力回路230に火災に係る警報の移報信号(警報信号)を出力させる。また、このとき、火災警報音出力設定スイッチ231がオンになっている場合には、警報音制御回路208、表示回路209を動作させて連動警報を行わせる。
【0056】
なお、点検・警報停止スイッチ220が押下され、警報停止の指示がなされると、火災警報音出力設定スイッチ231の設定に応じて、警報音制御回路208による音の発生、表示回路209による表示を停止させ、連動警報を停止させる。
【0057】
(電子メール配信動作)
子機30の制御回路301は、移報入力回路330に移報アダプタ20からの移報信号が入力されたと判断すると、警報信号と当該子機30の識別IDとを含む通信情報を生成し、送受信回路305に送信させる。なお、このとき、表示回路309を動作させて警報信号を送信している旨を表示させるようにしても良い。
【0058】
なお、誤報スイッチ331又は復旧スイッチ332が押下され、誤報又は復旧の指示がなされると、子機30の制御回路301は、誤報信号又は復旧信号と、当該子機30の識別IDとを含む通信情報を生成し、送受信回路305に送信させる。
【0059】
中継機40の制御回路401は、アンテナ406、送受信回路405を介して、子機30又は他の中継機40からの通信情報を受信すると、受信した通信情報に自己の識別IDを含めた通信情報を生成し、送受信回路305に送信させる。なお、送受信回路405が受信した無線信号の受信電界強度の情報を付加した通信情報を生成するようにしても良い。なお、ここでは受信した通信情報に自己の識別IDや受信電界強度の情報を付加する場合を説明するが、本発明はこれに限らず、受信した通信情報(無線信号)を増幅・成形して再送信のみを行うようにしても良い。
【0060】
親機50の制御回路501は、アンテナ506、送受信回路505を介して、子機30又は中継機40からの通信情報を受信すると、情報出力回路530に通信情報を出力させる。ゲートウェイ60は、親機50から入力された通信情報のプロトコル変換を行い、インターネット71を経由してサーバー70に当該通信情報を送信する。
【0061】
サーバー70は、親機50から取得した通信情報を解析し、通信情報に含まれる信号と識別IDと、予め記憶した記憶情報700とに基づき、電子メールを生成して送信する。
通信情報に含まれる信号が警報信号である場合、当該住戸の火災警報器10が火災等を検出した旨の情報と、子機30の識別IDの情報を電子メールの本文とし、子機30の識別IDに対応する電子メールアドレスを宛先とする電子メールを生成する。
【0062】
なお、通信情報に中継機40の識別IDが付加されている場合には、中継機40の識別IDの情報を電子メール本文に付加しても良い。なお、複数の中継機40から子機30の識別IDが同一の通信情報を取得した場合には、サーバー70は、無線信号の受信電界強度の情報に基づき、最も強い電波を受信した中継機40の位置を、火災等の警報信号を送信した子機30に最も近い中継機40として検出し、この中継機40の識別IDを電子メール本文に付加するようにしても良い。
【0063】
図9は本発明の実施の形態1に係る情報端末80が受信する電子メールの一例を示す図である。
例えば
図9に示すように、通信情報に含まれる信号が警報信号である場合には、電子メールの件名を「緊急メール」とし、子機30の識別IDに対応する電子メールアドレスを宛先とする。そして、電子メール本文には、記憶情報700から取得した住宅名と、中継機40及び子機30の識別IDの情報と、予め設定された文章(テンプレート)とを合成して、「○○さん宅から火災通報を受信しました。現在地は中継機1付近です。子機IDは1234です。」などの文章を生成する。
【0064】
一方、通信情報に含まれる信号が誤報信号又は復旧信号である場合、警報が誤報であった旨の情報、又は、警報が復旧した旨の情報と、子機30の識別IDの情報を電子メール本文とし、子機30の識別IDに対応する電子メールアドレスを宛先とする電子メールを生成する。なお、上述したように中継機40の識別IDも付加しても良い。
例えば、誤報信号である場合には、電子メールの件名を「誤報通知メール」とし、子機30の識別IDに対応する電子メールアドレスを宛先とする。そして、電子メール本文には、記憶情報700から取得した住宅名と、中継機40及び子機30の識別IDの情報と、予め設定された文章(テンプレート)とを合成して、「○○さん宅からの火災通報は誤報です。現在地は中継機1付近です。子機IDは1234です。」などの文章を生成する。
例えば、復旧信号である場合には、電子メールの件名を「復旧通知メール」とし、子機30の識別IDに対応する電子メールアドレスを宛先とする。そして、電子メール本文には、記憶情報700から取得した住宅名と、中継機40及び子機30の識別IDの情報と、予め設定された文章(テンプレート)とを合成して、「○○さん宅の火災は復旧しました。現在地は中継機1付近です。子機IDは1234です。」などの文章を生成する。
【0065】
なお、上記の例では、住宅名、子機30の識別ID、中継機40の識別IDの情報を電子メール本文に付加する場合を説明したが、これらの少なくとも1つを付加するようにしても良い。また、電子メールの内容は、警報信号を発信した火災警報器10が配置された住戸を特定する情報であればよい。
【0066】
情報端末80は、インターネット71を介して、サーバー70から配信された電子メールを受信する。そして、情報端末80を所持する居住者は、受信した電子メールの内容から、地域内の住戸で火災等の警報が発生した旨を確認する。これにより、居住者は直ちに避難行動や初期消火活動を迅速に実施すると共に、公設消防などへ連絡する。
【0067】
以上のように本実施の形態においては、火災警報器10からの警報信号を、子機30、中継機40、親機50を介してサーバー70へ送信し、所定の地域内の居住者が所持する情報端末80に対して、火災等を検出した旨の情報を含む電子メールを送信するので、地域内で発生した火災等の警報信号を地域内の居住者が共有することができる。
【0068】
実施の形態2.
本実施の形態2では、火災警報器10が火災等を検出した住戸Hの位置情報が付与された地図情報を、電子メールに含めて送信する形態について説明する。
なお、本実施の形態2における地域防災情報システムの各機器の構成は上記実施の形態1と同様であり、実施の形態1と同様の構成には同一の符号を付し説明を省略する。
【0069】
図10は本発明の実施の形態2に係るサーバー70の記憶情報710の構成を示す図である。
図10において、サーバー70には、子機30の識別IDと、住戸名と、位置情報と、電子メールアドレスの情報とを有する記憶情報710が予め記憶されている。
子機30の識別ID、住戸名、及び電子メールアドレスの情報は、上記実施の形態1の記憶情報700と同様である。
位置情報は、子機30の識別IDに対応する住戸の位置を特定する位置情報である。例えば、緯度経度の情報や、住所、地名などの情報を用いることができる。なお、ジオコーディングなどの技術を用いることで、住所や地名などの地理的名称情報を、緯度経度の地理座標の情報に変換する技術が知られている。以下、本実施の形態では、緯度経度の情報を用いる場合を説明する。
【0070】
本実施の形態2の地域防災情報システムにおいても、火災警報器10、移報アダプタ20、子機30、中継機40、親機50は、上述した実施の形態1と同様の動作を行い、警報等の信号を含む通信情報がサーバー70に送信される。
サーバー70は、上記実施の形態1の動作に加え、記憶情報710に記憶された位置情報に基づき、子機30の識別IDに対応する住戸Hの位置を示す地図情報を、電子メールに含めて送信する。
【0071】
この地図情報は、インターネット71を介して、地図検索サービスサイトから取得することができる。地図検索サービスサイトとは、住所や地名、緯度経度などの情報を入力すると該当する位置の地図情報を提供するウェブサイトである。このような地図検索サービスサイトでは、入力した位置情報に該当する位置を矢印などで表示し、その周辺を含む地図情報が提供される。なお、地図検索サービスサイトに入力する位置情報を緯度経度の情報とすることで、該当する位置を表示する矢印等がより精度良く表示される。
サーバー70は、記憶情報710を参照して、子機30の識別IDに対応する位置情報を、地図検索サービスサイトに送信し、この地図検索サービスサイトから取得した地図情報を、電子メールに含めて送信する。
【0072】
なお、地図情報の取得は、地図検索サービスサイトからの情報に限らず、予めサーバー70に当該地域における地図情報を記憶するようにしても良い。
【0073】
図11は本発明の実施の形態2に係る情報端末80が受信する電子メールの一例を示す図である。
例えば
図11に示すように、上述した実施の形態1の電子メールの内容に加え、子機30の識別IDに対応する住戸Hの位置を示す地図情報を付加した電子メールを生成する。
なお、ここではサーバー70が生成する電子メールに地図情報を付加する場合を説明したが、これに加え又はこれに代えて、地図検索サービスサイトで検索された該当地図を表示するページのURL情報を電子メールに含めるようにしても良い。この場合、電子メールを受信した情報端末80から当該URLにアクセスし、地図情報を地図検索サービスサイトから直接取得するようにしても良い。
【0074】
なお、上記の説明では、子機30の識別IDに対応する位置情報を記憶して、住戸Hの位置を示す地図情報を付加する場合を説明したが、これに代えて又はこれに加え、中継機40の位置を示す地図情報を用いても良い。この場合、記憶情報710には中継機40の識別IDに対応して当該中継機40の位置情報が予め記憶され、上述した動作と同様に、この中継機40の位置情報を用いて地図情報を取得する。
【0075】
以上のように本実施の形態においては、火災警報器10が火災等を検出した住戸Hの位置情報が付与された地図情報を、電子メールに含めて送信するので、火災等が発生した住戸Hの位置を地域内の居住者が共有することができる。
また、予め記憶した位置情報を、インターネット71を介して地図検索サービスサイトに送信し、この地図検索サービスサイトから取得した地図情報を、電子メールに含めて送信するので、サーバー70に地図情報を記憶する必要が無く、構成を簡易にすることができる。
【0076】
なお、上記実施の形態1及び2では、居住者が所持する情報端末80を宛先として電子メールを送信する場合を説明したが、これに加えて又はこれに代えて、地域内に設置された防災サイレン設備及び防災放送設備の起動装置に対して電子メールを送信し、防災サイレン設備及び防災放送設備の少なくとも一方を自動起動するようにしても良い。
ここで、防災サイレン設備及び防災放送設備は、例えば、火災情報、自然災害情報、警戒宣言、避難勧告などの緊急防災情報をサイレン又は音声で報知するため、広域避難場所、区役所・支所、小学校、消防署等に設定されている設備であり、地域内の各所に設けられたサイレンやスピーカ等及び地域内の住戸に設けられた防災無線等を作動させるものである。
【0077】
防災サイレン設備及び防災放送設備の起動装置は、インターネット71に接続され電子メールを受信する機能を有するコンピュータにより構成され、防災サイレン設備及び防災放送設備を作動させるリレー機器等に対して作動信号を出力可能に構成されている。サーバー70の記憶情報には、子機30の識別IDに対応して起動装置の電子メールアドレスが予め記憶されている。
そして、サーバー70は、上述した動作と同様に、親機50からの通信情報を受信すると電子メールを生成し、起動装置に対して電子メールを送信する。
起動装置は、受信した電子メールを解析して、火災等の通報であると判断すると、リレー機器に作動信号を出力して、防災サイレン設備及び防災放送設備の少なくとも一方を起動させる。
【0078】
なお、受信メールが火災等の通報であるか否かの判断は、例えば、電子メール文中に所定の文字列(例えば「緊急メール」)が含まれている場合に火災等の通報であると判断する。また例えば、サーバー70が生成する電子メールに、所定のコマンド符号を含めて送信し、起動装置はこのコマンド符号を含む電子メールを受信した場合に、火災等の通報であると判断するようにしても良い。
【0079】
このように、防災サイレン設備及び防災放送設備の起動装置に対して火災等を検出した旨の情報を含む電子メールを送信し、起動装置は防災サイレン設備及び防災放送設備の少なくとも一方を自動起動することで、地域内で発生した火災等の警報信号を、地域内の居住者が共有することができる。また、情報端末80を所持していない居住者であっても火災等の警報情報を早期に共有することができる。