特許第6238518号(P6238518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238518
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒およびこれを備えた光学機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   G02B7/02 E
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-250995(P2012-250995)
(22)【出願日】2012年11月15日
(65)【公開番号】特開2014-98821(P2014-98821A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086818
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】奥田 敏宏
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−205774(JP,A)
【文献】 特開2007−241266(JP,A)
【文献】 特開2007−033885(JP,A)
【文献】 特開平07−120658(JP,A)
【文献】 米国特許第05717969(US,A)
【文献】 特開2006−060940(JP,A)
【文献】 特開平09−243900(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/111345(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動レンズ群を保持する移動鏡筒と、
前記移動鏡筒へ電気信号を送る電気基板と、
前記移動鏡筒と前記電気基板とを電気接続し且つ前記移動鏡筒と前記電気基板との相対的な移動に伴い位置の変化する少なくとも1箇所の屈曲部を有するフレキシブルプリント基板と、
を備えたレンズ鏡筒であって、
前記フレキシブルプリント基板は、分岐部において途中分岐した第1の延伸部と第2の延伸部を有し、前記第1の延伸部と前記第2の延伸部にはそれぞれ前記屈曲部を構成する第1の範囲と第2の範囲があって、
前記第1の延伸部の前記第1の範囲を挟んだ両側の領域と、前記第2の延伸部の前記第2の範囲を挟んだ両側の領域とが、重ね合わせられており、
且つ前記第1の延伸部と前記第2の延伸部とが、前記第1の範囲と前記第2の範囲における前記少なくとも1箇所の屈曲部で互いに離間することを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記屈曲部は複数設けられ、前記第1の延伸部と前記第2の延伸部は、1箇所の屈曲部で互いに離間する一方、他の屈曲部で互いに当接することを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記第1の範囲と前記第2の範囲の延伸方向の長さが異なることを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記第1の延伸部は前記屈曲部の内側に配置されており、
前記第1の範囲と第2の範囲の延伸方向の長さを夫々L1、L2としたとき、
L2−L1>0を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記第1の延伸部の前記屈曲部の曲げ半径をRとしたとき、
L2−L1>2Rを満たすことを特徴とする請求項4に記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記第1の範囲の両端のうち、途中分岐した箇所からより遠い側の端には第1の目印が設けられおり、
前記第2の範囲の両端のうち、途中分岐した箇所からより遠い側の端には第2の目印が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
前記第1の延伸部には第3の範囲が設けられており、
前記第3の範囲は、前記第3の範囲の両端が接近するように折り曲げられた状態で前記第1の延伸部と前記第2の延伸部が重ねあわせられ、第3の範囲の延伸方向の長さをL3としたとき
L3=L2−L1を満たすことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項8】
前記第3の範囲の両端には第3の目印が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のレンズ鏡筒。
【請求項9】
前記第1の範囲の両端のうち、途中分岐した箇所からより遠い側の端には第1の目印が設けられおり、
前記第2の範囲の両端のうち、途中分岐した箇所からより遠い側の端には第2の目印が設けられており、
前記第1の延伸部には第3の範囲が設けられており、
前記第3の範囲の両端には第3の目印が設けられており、
前記第1の目印、第2の目印及び第3の目印はそれぞれ、前記フレキシブルプリント基板の形状、配線パターン及び印刷のうちの少なくとも一つにより設けられていることを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項10】
前記フレキシブルプリント基板には、前記移動鏡筒に電力を供給する電源系のパターン及び前記移動鏡筒と前記電気基板との間で信号の送受信を行う信号系のパターンが配置されており、前記重ね合わせて貼り付けられた際に前記電源系のパターンと前記信号系のパターンが向き合わないように配置されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のレンズ鏡筒と、固定レンズ群と、移動レンズ群と、を有することを特徴とする光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒およびこれを備えた光学機器に関し、特にフレキシブルプリント基板を備えた光学機器、例えば、一眼レフカメラ、コンパクトカメラ、TVカメラ、液晶プロジェクタ等に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
光学機器としての一眼レフカメラなど撮像装置に搭載されるレンズ鏡筒には、カメラと接続される電気基板と電気的制御手段とを電気接続する可撓性のフレキシブルプリント基板(FPC)が用いられている。変倍操作や焦点調節操作で光軸方向に進退するような移動鏡筒に電気的制御手段が取り付けられているような場合には、電気的制御手段と電気基板との間の相対位置が変化する。
【0003】
このため、変倍操作や焦点調節操作により、FPCの形状は変化する。繰り返しの形状変化があってもFPCの電気的接続機能が失われること(断線など)が起きにくくなるように、特許文献1および特許文献2では、FPCの接続方法に関する提案がされている。具体的には、特許文献1では、2つの群に取り付けられた電気的接続手段に対して接続された2つのFPCを互いに重ね合わせた状態で、レンズ鏡筒の空間に配置する方法が提案されている。また、特許文献2では、FPCの長尺可撓部領域が複数の分岐枝からなり、複数の分岐枝が互いに重なりあって伸長するように形成する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−120658号公報
【特許文献2】特開2010−205774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では2つのFPCを重ね合わせた状態で配置されるため、FPCに屈曲部があるような場合には略同じ位置に屈曲部がくるために、屈曲による張力が安定しなかったり、屈曲部同士がすれることで断線したりするという課題があった。また、特許文献2おいても、重ね合わせたFPCの屈曲部が同じ位置にくることで、特許文献1と同様の課題がある場合があった。
【0006】
本発明の目的は、複数の分岐枝を折りたたんだフレキシブルプリント基板を有し、折り重ねたそれぞれの屈曲部の位置を安定させることのできるレンズ鏡筒およびこれを備えた光学機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るレンズ鏡筒は、移動レンズ群を保持する移動鏡筒と、前記移動鏡筒へ電気信号を送る電気基板と、前記移動鏡筒と前記電気基板とを電気接続し且つ前記移動鏡筒と前記電気基板との相対的な移動に伴い位置の変化する少なくとも1箇所の屈曲部を有するフレキシブルプリント基板と、を備えたレンズ鏡筒であって、前記フレキシブルプリント基板は、分岐部において途中分岐した第1の延伸部と第2の延伸部を有し、前記第1の延伸部と前記第2の延伸部にはそれぞれ前記屈曲部を構成する第1の範囲と第2の範囲があって、前記第1の延伸部の前記第1の範囲を挟んだ両側の領域と、前記第2の延伸部の前記第2の範囲を挟んだ両側の領域とが、重ね合わせられており、且つ前記第1の延伸部と前記第2の延伸部とが、前記第1の範囲と前記第2の範囲における前記少なくとも1箇所の屈曲部で互いに離間することを特徴とする。
【0008】
また、上記レンズ鏡筒と、固定レンズ群と、移動レンズ群と、を有する光学機器も本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の分岐枝(延伸部)を折りたたんだフレキシブルプリント基板を有し、折り重ねたそれぞれの屈曲部の位置を安定させることのできるレンズ鏡筒およびこれを備えた光学機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係るフレキシブルプリント基板(FPC)を備えたレンズ鏡筒の構造に関し、(A)は断面図、(B)は斜視図、(C)は展開図である。
図2】本発明の実施形態に係るレンズ鏡筒を搭載した撮像装置の断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係るレンズ鏡筒におけるフレキシブルプリント基板(FPC)の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
《第1の実施形態》
(光学機器としての撮像装置)
図2は、本発明の実施形態に係るレンズ鏡筒を搭載した光学機器としての撮像装置(レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ)の断面図である。図2では、レンズ光軸(撮影光軸、以下光軸という)AXLの方向をZ方向とし、レンズ光軸AXLに対して直交する方向であって、撮像素子6の撮像面に平行な2方向のうち横方向をX方向、縦方向をY方向としている。
【0013】
1はカメラ本体(以下、単にカメラという)であり、2はカメラ1に着脱可能に装着された交換レンズである。まず、カメラ1の構造について説明する。図1で示した状態において、メインミラー3は交換レンズ2からの光束の光路上に配置され、その光束の一部を反射してファインダ光学系(7、8)に導き、かつ残りの光束を透過させる。
【0014】
メインミラー3の背後(像面)にはサブミラー4が配置されており、メインミラー3を透過した光束を反射して焦点検出ユニット5に導く。なお、メインミラー3およびサブミラー4は、不図示の駆動機構により、上記光路から一体的に挿脱することができる。
【0015】
焦点検出ユニット5は、いわゆる公知の位相差検出方式での焦点検出(交換レンズ2の焦点状態の検出)を行う。6はCCDセンサ又はCMOSセンサにより構成される撮像素子であり、この撮像素子6の受光面(撮像面)上には、交換レンズ2からの光束による物体像(像)が結像する。撮像素子6は、結像した被写体像を光電変換し、撮像信号を出力する。9はディスプレイパネルであり、撮像素子6の信号を入力とした不図示の信号処理部から出力される画像やその他様々な撮像情報を表示する機能を持つ。
【0016】
(交換レンズ)
交換レンズ2は、被写体側から像側へ順に第1レンズユニット101、第2レンズユニット102、第3レンズユニット103、第4レンズユニット104、第5レンズユニット105、第6レンズユニット106、第7レンズユニット107を有する。第1レンズユニット101乃至第7レンズユニットおよび絞りユニット108は、固定レンズ群と移動レンズ群を備える撮影光学系の一部を構成している。交換レンズ2は、後述する案内筒23とカム筒24の相対移動によって、移動レンズ群を光軸方向に移動させることができる。
【0017】
第2レンズユニット102は、フォーカスユニット109からの駆動力を受けて光軸方向に移動して焦点調節を行うフォーカスレンズを有する。第6レンズユニット106は、不図示の防振ユニット110からの駆動力を受けて、光軸に垂直な方向に駆動する。絞りユニット108は、第5レンズユニット105の物体側に配置され、カメラ1側に至る光束の光量を調節する。
【0018】
(レンズ鏡筒)
交換レンズ2を備えるレンズ鏡筒において、図2に示す21は固定環としての外装環であり、カメラ1に着脱可能なマウント43に固定される。22は固定筒であり、外装環21に対して固定されている。また、23は案内筒であり、不図示の直進溝を備える。また、24はカム筒であり、不図示のカム溝を備える。
【0019】
ここで、不図示のカムフォロワが移動鏡筒204の取り付け部に固定され、案内筒23の直進溝とカム筒24のカム溝に係合している。ズーム環41の回転によりカム筒24が回転されると、直進溝とカム溝の交差位置が変化することで不図示のカムフォロワの係合位置が移動し、光軸方向に進退、すなわち移動鏡筒204を光軸方向に進退させる。
【0020】
移動鏡筒204は、防振ユニット110の構成要素である。移動鏡筒204は、電気的に制御される被制御手段203を有し、固定筒22に固定され移動鏡筒204(被制御手段203)へ電気信号を送る電気基板202にて制御される。電気基板202と移動鏡筒204(被制御手段203)は、後述するフレキシブルプリント基板にて電気的に接続される。
【0021】
41は操作環としてのズーム環であり、変倍時に撮影者によって回転される。また、42は操作環としてのフォーカス環であり、焦点調節時に撮影者によって回転される。
【0022】
フォーカスユニット109は不図示の駆動源と、キー部(不図示)、フォーカス環42に取り付けられた溝部と係合する突起部(不図示)を備える。このような構成のレンズ鏡筒において、カメラ1の不図示のレリーズボタンの操作がなされると、オートフォーカス、露出決定動作の後、撮像装置の露光および取得された画像の記録動作がなされる。
【0023】
(フレキシブルプリント基板)
図1は、本実施形態に係るフレキシブルプリント基板(FPC)を示しており、移動鏡筒と電気基板との相対的な移動に伴い位置の変化する少なくとも1箇所の屈曲部を有する。
【0024】
図1で(A)は断面図、(B)は斜視図、(C)は展開図である。201はフレキシブルプリント基板であり、電気基板との接続部201a、被制御手段203との接続部201b、展開時に途中分岐した第1の延伸部201c、第2の延伸部201d、第1の範囲201e、第2の範囲201fを備える。電気基板202は、フレキシブルプリント基板と電気接続される接続部202aを備え、不図示の固定部に取り付けられている。
【0025】
被制御手段203は、フレキシブルプリント基板201と電気接続される接続部203a、移動鏡筒204との取り付け部203bを備える。本実施形態では、被制御手段203は防振ユニット110内のモータ、コイルを駆動させる電気基板としているが、モータやコイル等の駆動源であっても良い。
【0026】
なお、図1(A)で、移動鏡筒204は、被制御手段203の取り付け部204aを備える。また、26は保持板であり、案内筒23に対して締結等の手段で固定され、フレキシブルプリント基板201の固定部26aを備える。
【0027】
ここで、図1(C)に示すように、移動鏡筒204に取り付けられたフレキシブルプリント基板201は、接続部201bから第1、第2の延伸部201c、201dに分岐する。第1の延伸部201cから電気基板202へは接続部201a−1、第2の延伸部201dから電気基板202へは接続部201a−2にて接続される。
【0028】
第1の延伸部201cと第2の延伸部201dは、以下のようにして図のおもて面同士が重ね合わせられる。
【0029】
1)第1の延伸部201cを固定し、第2の延伸部201dを直線Aにて谷折りし、第1の延伸部201cを下側(紙面垂直方向の奥側)、第2の延伸部201dを上側(紙面垂直方向の手前側)の状態とする。
【0030】
2)第1の延伸部201cを下側、第2の延伸部201dを上側とした状態で、第1の範囲と第2の範囲の範囲外で、両面テープや他の固定手段にて貼り合わせて固定する。このとき、第1の延伸部201cには、第1の範囲の両端のうち、前記途中分岐した箇所からより遠い側の端には第1の目印(目印D)を設けている。
【0031】
また、第2の延伸部201dには、第2の範囲の両端のうち、前記途中分岐した箇所からより遠い側の端には第2の目印(目印E)を設けている。そして、これら目印D,Eが重なるように固定する。目印D,Eはそれぞれ、フレキシブルプリント基板201の形状(凸形状や凹形状、穴形状等)や配線パターン、印刷のうちの少なくとも一つにより設けるのがよい。
【0032】
これにより、第1の延伸部201cは、屈曲部の内側に配置されることとなる。そして、上述した手順で貼り合わせ固定される際、第1の範囲201e、第2の範囲201fの延伸方向(図の左右方向)の長さは、第1の範囲201eの方が短い上で固定されるので、固定後意図的に撓みを生じさせることができる。この状態のまま、屈曲部を構成するように組み込まれることで、図1(B)のように第1の延伸部201cにより作られる屈曲部B、第2の延伸部201dにより作られる屈曲部Cの延伸方向の位置を安定的にずらすことができる。即ち、夫々の屈曲部を互いに離間した状態にすることが可能となる。
【0033】
ズーム環41の回転によりカム筒24が回転されると、上述のように移動鏡筒204が光軸方向に進退し、屈曲部B及びCは移動鏡筒の移動量の半分、同じ方向に移動する。本実施形態では、第1の範囲201eと第2の範囲201fの延伸方向の長さを変えることにより、屈曲部Bと屈曲部Cの光軸方向の位置を安定的にずらすことができる。
【0034】
ここで、図1(C)に示した第1の範囲201eと第2の範囲201fの長さが同じ場合には、図1(A)において屈曲部BとCが互いに離間せずに重なることで、屈曲が妨げられたり、張力が不安定になったりする等の課題があった。これに比べ、本実施形態では、フレキシブルプリント基板の電気的接続機能の信頼性を上げることが可能になる。
【0035】
また、屈曲部Bの曲げ半径をR、第1の範囲201eの途中分岐した箇所から目印Dまでの延伸方向の長さをL1、前記第2の範囲201fの途中分岐した箇所から目印Eまでの延伸方向の長さをL2とする。このとき、L2−L1>2Rを満たすことにより、より安定的に屈曲部B、Cの位置をずらすことが可能になる。
【0036】
《第2の実施形態》
図3は、本発明の第2の実施形態に係るレンズ鏡筒におけるフレキシブルプリント基板(FPC)の展開図である。本実施形態では、第1の実施形態のフレキシブルプリント基板201と形状を異にしている。具体的には、第1の実施形態では、接続部201bから延伸部201c、201dに分岐し、分岐したまま電気基板202へ接続されていたが、本実施形態では、延伸部201c、201dに分岐した後、再び1つの接続部201aに合流する形状としている。
【0037】
これにより、電気基板202への接続がし易いこと、更には第1の延伸部201cの一部に第3の範囲として長さ調節部201gを設け、長さ調整部201gの両端に設けた第3の目印F、Fが重なるように折り曲げる等の処理をしておくことができる。これによって、直線Aに対して折りたたんだまま両面テープ等の手段で固定することができ、組立性の向上につながる。目印F,Fは、フレキシブルプリント基板201の形状(凸形状や凹形状、穴形状等)や配線パターン、印刷のうちの少なくとも一つにより設けるのがよい。

第3の範囲は、第3の範囲の両端が接近するように折り曲げられた状態で第1の延伸部と第2の延伸部が重ねあわせられ、第3の範囲の延伸方向の長さをL3としたとき、L3=L2−L1とすると、折りたたんで固定する際の作業性を向上させることができる。
【0038】
また、第1の延伸部201c、第2の延伸部201dの折り曲げ部Aに近い位置に被制御手段に電力を供給する電源系のパターン、離れた位置に被制御手段と電気基板との間で信号の送受信を行う信号系のパターンを向き合わないように配置する。これにより、折りたたんだ場合に電源系と信号系同士を離すことができる。これにより、電源系から信号系へノイズが入るのを低減することが可能になる。
【0039】
本実施形態では、光軸方向に移動する移動鏡筒に取り付けられたフレキシブルプリント基板ついて説明したが、例えば光軸に垂直な平面内で駆動して手ぶれ補正を行うシフト鏡筒に取り付けられるフレキシブルプリント基板であってもよい。
【0040】
(変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【0041】
例えば、図1(A)において、片側で2箇所、合計で4箇所と屈曲部が複数設けられ、屈曲部Bと屈曲部Cは互いに離間する一方、左下側に位置するもう一つの屈曲部では互いに当接しているが、全ての屈曲部において互いに離間させるようにすることもできる。この場合、図1(C)に示した第1の範囲と第2の範囲の長さを同じにすることができる。
【符号の説明】
【0042】
2・・レンズ鏡筒、201・・フレキシブルプリント基板、202・・電気基板、203・・被制御手段、204・・移動鏡筒
図1
図2
図3