特許第6238519号(P6238519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238519
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】水田修復方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 7/00 20060101AFI20171120BHJP
   C02F 11/14 20060101ALI20171120BHJP
   B01D 21/01 20060101ALI20171120BHJP
   C02F 1/56 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   E02F7/00 C
   C02F11/14 EZAB
   B01D21/01 111
   C02F1/56 B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-260417(P2012-260417)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2013-144920(P2013-144920A)
(43)【公開日】2013年7月25日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】393003837
【氏名又は名称】株式会社アステック
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 常平
(72)【発明者】
【氏名】上田 浩三
(72)【発明者】
【氏名】小倉 舞
(72)【発明者】
【氏名】高田 史朗
(72)【発明者】
【氏名】家永 陽二郎
(72)【発明者】
【氏名】和田 信一郎
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−167432(JP,A)
【文献】 特開2010−089016(JP,A)
【文献】 特開2004−162265(JP,A)
【文献】 特開2011−255261(JP,A)
【文献】 特開2008−012487(JP,A)
【文献】 特開平09−168800(JP,A)
【文献】 特開2003−238278(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0134102(US,A1)
【文献】 米国特許第05279637(US,A)
【文献】 米国特許第05853590(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/01
C02F 1/54−1/56
C02F 11/14
E02F 7/00−7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
津波によって被災した水田を修復するための水田修復方法であって、
津波により異物が混入した水田の作土を掘削する掘削工程と、
洗浄水により前記掘削した作土を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程後における前記作土のスラリーから前記異物である微細瓦礫を除去する微細瓦礫除去工程と、
前記微細瓦礫除去工程後のスラリーから前記異物である砂分を除去する砂分除去工程と、
前記砂分除去工程後のスラリーに、遊離のアルミニウムイオンを含まない鉱物原料を主成分とする凝集剤を添加することにより、スラリー中に含まれる細粒分を凝集させて回収する細粒分回収工程と、
を有し、
前記細粒分を、水田に利用可能な粒径の細粒分として回収し、前記回収した細粒分を水田に返送する
ことを特徴とする水田修復方法。
【請求項2】
前記細粒分回収工程が、遊離のアルミニウムイオンを含まない鉱物原料を主成分とする凝集剤にキトサンを添加してなる凝集剤を使用して、スラリー中に含まれる細粒分を凝集させて回収する
ことを特徴とする請求項1に記載の水田修復方法。
【請求項3】
前記凝集剤は、
土或いは岩石(火山放出物を含む)の風化物からなる含水アルミニウムケイ酸塩微粒子を主体とする鉱物原料中の鉱物粒子集合体を破壊して得られる単位粒子と、キトサン粒子と、を混合したものを主成分とし、
前記単位粒子中の含水アルミニウムケイ酸塩構造は破壊されずに残存し、
前記単位粒子及び前記キトサン粒子が水中に存在し、且つ前記単位粒子が懸濁物質を除外した処理対象水中で自己凝集性を有するとともに、前記単位粒子及び前記キトサン粒子が処理対象物質を荷電中和する
ことを特徴とする請求項2に記載の水田修復方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、津波によって被災した水田を修復するための水田修復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から津波によって被災した水田を効果的に修復するための水田修復方法の開発が望まれている。図3(b)に示すように、通常の水田は、粘土等から形成される心土層(粘土層)と、この心土層の上に形成され水田として利用される作土層と、から構成されている。そして、図3(a)に示すように、津波によって水田が被災すると、砂分、微細瓦礫(缶類、石、コンクリート片等)及び海水による塩分が作土層の層上に異物として堆積するとともに、作土層の層内にも異物として砂分、微細瓦礫及び塩分が混入する。そのため、津波によって被災した水田を作付け可能な水田として修復するためには、単に、作土層の層上に堆積した異物を掘削除去するだけでなく、異物が混入した作土層を掘削し、除塩及び異物除去し、再度水田に返送する必要がある。すなわち、津波により異物が混入した作土を再度水田として利用するための再利用処理が必要となる。
【0003】
従来、湾岸或いは河川等から浚渫した浚渫土砂の再生処理方法として、浚渫ロボットで浚渫した湾岸或いは河川等からの浚渫物と、埋め立て土砂を回転式破砕機で細粒化した土砂とを液体サイクロンに同時に投入し、液体サイクロンの底部に沈殿した固形物をアクアスクリーンで洗浄して塩分を除去した土砂或いは砂分を分離するとともに、液体サイクロン上部の細粒分を含んだ処理水をシックナータンク(沈降槽)にて凝集沈殿により固液分離して、上記細粒分から脱水ケーキを生成するものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−167432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すような従来の再利用処理方法において、凝集沈殿に使用される凝集剤としては、PAC(ポリ塩化アルミニウム)等が一般的である。そして、このPACには、溶解性のアルミニウムが存在する。そのため、PACの凝集剤を添加して脱水ケーキを生成し、その脱水ケーキを水田の作土として使用すると、溶解したアルミニウムと肥料成分(P)とが結合して肥効を低減させる等し、土壌成分に影響を与える。このことから、PACの凝集剤を添加する従来の再利用処理方法では、処理した脱水ケーキを作土として水田に返送して再利用することができないという問題があった。すなわち、津波によって被災した水田を従来の再利用処理方法を利用して作付け可能な水田に修復することは困難であった。
【0006】
そこで、本発明は、津波によって被災した水田を作付け可能な水田に修復するための水田修復方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上であり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、第1の発明に係る水田修復方法は、津波によって被災した水田を修復するための水田修復方法であって、津波により異物が混入した水田の作土を掘削する掘削工程と、洗浄水により前記掘削した作土を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程後における前記作土のスラリーから前記異物である微細瓦礫を除去する微細瓦礫除去工程と、前記微細瓦礫除去工程後のスラリーから前記異物である砂分を除去する砂分除去工程と、前記砂分除去工程後のスラリーに、遊離のアルミニウムイオンを含まない鉱物原料を主成分とする凝集剤を添加することにより、スラリー中に含まれる細粒分を凝集させて回収する細粒分回収工程と、を有し、前記細粒分を、水田に利用可能な粒径の細粒分として回収し、前記回収した細粒分を水田に返送するものである。
【0009】
第2の発明に係る水田修復方法は、第1の発明に係る水田修復方法において、前記細粒分回収工程が、遊離のアルミニウムイオンを含まない鉱物原料を主成分とする凝集剤にキトサンを添加してなる凝集剤を使用して、スラリー中に含まれる細粒分を凝集させて回収するものである。
【0010】
第3の発明に係る水田修復方法は、第2の発明に係る水田修復方法において、前記凝集剤が、土或いは岩石(火山放出物を含む)の風化物からなる含水アルミニウムケイ酸塩微粒子を主体とする鉱物原料中の鉱物粒子集合体を破壊して得られる単位粒子と、キトサン粒子と、を混合したものを主成分とし、前記単位粒子中の含水アルミニウムケイ酸塩構造は破壊されずに残存し、前記単位粒子及び前記キトサン粒子が水中に存在し、且つ前記単位粒子が懸濁物質を除外した処理対象水中で自己凝集性を有するとともに、前記単位粒子及び前記キトサン粒子が処理対象物質を荷電中和するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、細粒分回収工程において使用する凝集剤を、鉱物原料を主成分とする凝集剤としていることから、回収した細粒分が土壌成分に影響を与えることはない。そのため、津波によって被災した水田より掘削した作土から回収した細粒分(脱水ケーキ)を作土として水田に返送し、再度利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例に係る水田修復方法の全体構成を示す概略図である。
図2】(a)細粒分回収設備の第1の構成、(b)細粒分回収設備の第2の構成、(c)細粒分回収設備の第3の構成、(d)細粒分回収設備の第4の構成を示す概略図である。
図3】(a)津波によって被災した水田、(b)修復後の水田(通常の水田)を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明に係る水田修復方法の概略を説明する。
【0014】
本発明に係る水田修復方法においては、まず、津波によって被災した水田に堆積した異物をこの水田から掘削除去する。ここで、異物とは、砂分、微細瓦礫(缶類、石、コンクリート片等)及び海水による塩分をいう(以下同じ)。さらに、この津波による被災により異物が混入した前記水田の作土を掘削する(掘削工程)。そして、前記掘削した作土を洗浄水により洗浄する(洗浄工程)。これにより、前記異物である塩分が除去される。さらに、前記洗浄後における前記作土のスラリーから前記異物である微細瓦礫を除去する(微細瓦礫除去工程)。そして、微細瓦礫を除去したスラリーから前記異物である砂分を除去する(砂分除去工程)。さらに、砂分が除去されたスラリーに凝集剤を添加することにより、スラリー中に含まれる細粒分を凝集させ、脱水後回収する(細粒分回収工程)。ここで、回収された細粒分は、水田に利用可能な粒径の細粒分(脱水ケーキ)として回収する。そして、回収した細粒分(脱水ケーキ)を作土として水田に返送する。
【0015】
次に、本発明に係る水田修復方法の各工程について、図に基づいて説明する。
【0016】
図3(a)に示すように、津波によって水田が被災すると、津波による異物が作土層の層上に堆積するとともに、作土層の層内にも混入する。
従って、図1に示すように、掘削工程においては、まず、津波によって被災した水田に堆積した異物の層を重機により掘削除去する。さらに、前記異物が混入した作土5を前記水田から重機により掘削する。
【0017】
次の洗浄工程においては、上記掘削工程において掘削した作土5と、洗浄水である清水とをドラム型のドラムウォッシャ(泥土洗浄機)10に投入する。そして、ドラムウォッシャ10において、作土5に混入した異物である塩分を洗浄により除去するとともに、作土5の塊部分を粉砕する。なお、ドラムウォッシャ10は、作土5の洗浄及び解泥設備の一例であり、本発明は、ドラムウォッシャ10に限定されるものではない。
【0018】
次の微細瓦礫除去工程においては、上記洗浄工程後における作土5のスラリーを微細瓦礫除去スクリーン(振動ふるい機)20に投入する。そして、微細瓦礫除去スクリーン20によりスラリー中に含まれる異物である微細瓦礫を除去する。微細瓦礫除去スクリーン20には、所定の粒径にふるい分け可能なスクリーンが設けられる。
【0019】
次の砂分除去工程においては、上記微細瓦礫除去工程において微細瓦礫が除去されたスラリーを砂分回収設備30に投入する。そして、砂分回収設備30によりスラリー中に含まれる異物である砂分を除去する。砂分回収設備30には、振動ふるい、サイクロン及び貯泥槽を装備したサンドデハイダ(図示せず)が設けられる。このサンドデハイダは、ふるい目の異なる複数(例えば、2種類)のふるいにより、上記スラリーから所定の粒径の砂分をふるい分ける。なお、上記サンドデハイダにおける砂分の除去性能等の理由から、上記サンドデハイダのみではスラリー中に含まれる砂分を十分に除去できない場合は、サンドデハイダで処理後、さらに静沈槽に投入して砂分を除去する構成としても構わない。このように、砂分除去工程において所定の粒径にふるい分けて砂分を除去することにより、砂分が除去されたスラリーを次の細粒分回収工程で処理することとなるため、次の細粒分回収工程における細粒分回収処理の負荷が軽減できる。また、除去した砂分を建設資材或いは水田以外の農用地に利用することができる。
【0020】
次の細粒分回収工程においては、上記砂分除去工程において砂分が除去されたスラリーを、細粒分回収設備40に投入する。そして、細粒分回収設備40によりスラリー中の細粒分を回収する。ここで回収された細粒分は、水田に利用可能な粒径の細粒分として回収され、作土として水田に返送される。
【0021】
ここで、細粒分回収設備40の構成について説明する。図2に示すように、細粒分回収設備40は、以下の4つの構成が可能である。
【0022】
図2(a)に示すように、第1の構成としては、上記砂分除去工程において砂分が除去されたスラリーを、スクリューデカンタ41に投入する。そして、スクリューデカンタ41によりスラリー中の細粒分を回収する。さらに、スクリューデカンタ41で処理後のスラリーに凝集剤50を添加することにより、スラリー中に含まれる細粒分を凝集させる。そして、凝集剤50を添加したスラリーをフィルタプレス42に投入することにより、脱水ケーキを生成する。なお、フィルタプレス42で処理した後の濾水は、細粒分回収設備40外に排水する。
第1の構成においては、スクリューデカンタ41で回収した細粒分及び凝集剤50を添加しフィルタプレス42により生成した脱水ケーキを作土として水田に返送する。また、第1の構成においては、スラリーに凝集剤を添加する前に、スクリューデカンタ41で第1回目の細粒分の回収を行うため、スラリーに添加する凝集剤50の添加量を減らすことができる。
【0023】
図2(b)に示すように、第2の構成は、上記第1の構成において、スクリューデカンタ41の処理後に添加していた凝集剤50を、スクリューデカンタ41の処理前に添加する構成である。第2の構成においては、第1の構成と同様に、スクリューデカンタ41で回収した細粒分及びフィルタプレス42により生成した脱水ケーキを作土として水田に返送する。
【0024】
図2(c)に示すように、第3の構成は、上記第1の構成において、凝集剤50の添加をスクリューデカンタ41の処理前及び処理後に行う構成である。第3の構成においては、第1及び第2の構成と同様に、スクリューデカンタ41で回収した細粒分及びフィルタプレス42により生成した脱水ケーキを作土として水田に返送する。
【0025】
図2(d)に示すように、第4の構成としては、上記砂分除去工程において砂分が除去されたスラリーに凝集剤50を添加後、フィルタプレス42に投入して脱水ケーキを生成する。そして、フィルタプレス42により生成した脱水ケーキを作土として水田に返送する。
【0026】
次に、細粒分回収工程において使用する凝集剤50について説明する。凝集剤50は、特許第5054334号で製造される遊離のアルミニウムイオンを含まない鉱物原料を主成分とする凝集剤(商標登録第5007243号:登録商標「ドロンパ」(株)アステック社製 )、又は該凝集剤にキトサンを配合したものである。
なお、以下の説明では、特許第5054334号で製造される遊離のアルミニウムイオンを含まない鉱物原料を主成分とする凝集剤(商標登録第5007243号:登録商標「ドロンパ」(株)アステック社製 )にキトサンを配合したものを凝集剤50とする。
【0027】
凝集剤50の製造方法の第1の工程は、土或いは岩石(火山放出物を含む)の風化物からなる含水アルミニウムケイ酸塩微粒子を主体とする鉱物原料を採取後選別する工程である。凝集剤50の主原料は、土或いは岩石(火山放出物を含む)の風化物からなる含水アルミニウムケイ酸塩微粒子を主体とする鉱物原料であり、粘土鉱物であるアロフェンが挙げられる。
【0028】
第2の工程は、前記鉱物原料を分散処理用容器に入れて水を加えた状態で、攪拌法、振動法又は振とう法により破壊して単位粒子を得る工程である。この工程では、鉱物原料中の鉱物粒子集合体を破壊する際に、単位粒子中の含水アルミニウムケイ酸塩構造を破壊しない範囲で攪拌法、振動法又は振とう法から選ばれる一つの方法、又はこれらを組み合わせた方法を選択採用する。
【0029】
第1の工程で採取した土或いは岩石(火山放出物を含む)の風化物は、強固に結合した鉱物粒子集合体である場合、又は結合が比較的弱い鉱物粒子集合体である場合がある。そのため、結合力の程度によって、攪拌法、振動法又は振とう法から選ばれる一つの方法又はこれらを組み合わせた方法を選択使用すればよい。
【0030】
攪拌法としては、スターラー、攪拌翼、水中ポンプ、水中ミキサーによる攪拌等が挙げられる。振動法としては、高周波バイブレーター、音波による振動等が挙げられる。振とう法としては、往復振とう、旋回振とう等が挙げられる。
【0031】
土或いは岩石風化物に含まれる鉱物微粒子の主体は含水アルミニウムケイ酸塩であり、それらは機械的な摩砕によって容易に構造破壊されてしまう。その結果、アルミニウムがイオンとして溶出しやすくなる等の問題を生ずる。そのため原料となる土或いは岩石風化物を機械的に摩砕することは好ましくない。
【0032】
このように第2の工程を行うことで、含水アルミニウムケイ酸塩構造を破壊することなく、それらの鉱物粒子集合体だけを破壊して単位粒子を得ることができる。また、原料中に含まれるシルト或いは砂サイズの鉱物までも微細化し、それらが新たな懸濁粒子となって処理対象水に加えられることがない。
【0033】
第2の工程において添加される水の添加量に関しては特別な制限はないが、注入に用いる装置の仕様、製造した凝集剤の輸送コスト等を勘案して決定する。
【0034】
第3の工程は、第2の工程における水中での分散処理によって得られた単位粒子が水に分散あるいは緩い会合状態で存在する溶液と、キトサン溶液とを混合する工程である。第2工程で得られる単位粒子を含む溶液と、キトサン溶液とを混合することで凝集剤50が得られる。
このように得られる凝集剤50(商標登録第5007243号:登録商標「ドロンパ」(株)アステック社製 にキトサンを配合したもの)は、自然界に存在する鉱物原料を主成分としており、遊離のアルミニウムイオンを含まないことを特徴としている。すなわち、凝集剤50は、水田に混入しても問題のない成分により構成されている。
【0035】
このため、添加した凝集剤50は、アルミニウムの溶解による肥効の低減等、土壌成分に影響を与えることがない。従って、上記細粒分回収工程において凝集剤50を添加して生成した脱水ケーキを作土として水田に返送することができる。
【0036】
さらに、凝集剤50(商標登録第5007243号:登録商標「ドロンパ」(株)アステック社製 にキトサンを配合したもの)中の単位粒子(第2の工程で得られた単位粒子)は、懸濁物質を除外した処理対象水中で自己凝集性を有することに特徴がある。ここで、「自己凝集性」とは、処理対象水から懸濁粒子を除いた水(たとえば処理対象水をメンブランフィルターでろ過して得られる水)に添加したときに、自ら凝集することを意味する。さらにまた、凝集剤50(商標登録第5007243号:登録商標「ドロンパ」(株)アステック社製 にキトサンを配合したもの)中の単位粒子(第2の工程で得られた単位粒子)及びキトサン粒子は、静電気力により処理対象物質を荷電中和することに特徴があり、懸濁粒子を効率良く凝集させることが可能になる。さらにまた、凝集剤50(商標登録第5007243号:登録商標「ドロンパ」(株)アステック社製 にキトサンを配合したもの)は、キトサンが配合されていることで、作土5中に含まれる異物である塩分を含んだスラリーでも凝集効果を落とさずに、さらに効果的に懸濁粒子を凝集させることができる。
【0037】
次に、実施例を示して本発明に係る水田修復方法を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【実施例】
【0038】
処理前の作土5(処理前土壌)、砂分除去工程での砂分(SD砂分)、細粒分回収工程での脱水ケーキの電気伝導度(EC)(mS/cm)、塩素濃度(mg/kg(dry))、及び土壌成分(N、P、K、Ca)の成分量(mg/kg)の測定は、次の通りとした。
(1)電気伝導度(EC)
上記電気伝導度(EC)は、JIS K 0102.3に記載された手順に基づいて電気伝導率計を用いて測定した。
(2)塩素濃度
上記塩素濃度は、JIS K 0102.35.3に準じてイオンクロマトグラフ法で測定した。
(3)N、P、K、Caの量
上記N(全窒素/固形分)の量は、底質調査方法に準じて中和滴定法で測定した。また、上記P(全リン/固形分)の量は、底質調査方法に準じてUV計を用いた比色試験により測定した。さらに、上記K及びCaの成分量は、ICP発光分光分析法で測定した。
【0039】
本発明に係る水田修復方法において掘削される作土5(処理前土壌)は、表1に示す層厚10〜15cmの水田作土層を重機で掘削した作土である。なお、表1中の表泥層とは、津波によって流されてきた澱の層(泥等を含んだ層)であり、表1中の砂層とは、津波によって流されてきた砂の層であり、表1中の作土層とは、もともとの水田の層である。また、一般に、水田として利用可能な土壌(作土)の電気伝導度は、0.4mS/cm以下(好ましくは0.3mS/cm以下)とされ、塩素濃度は、1000mg/kg(dry)以下とされている。従って、表1から明らかなように、本実施例で掘削された作土5(処理前土壌)は、水田として適していないことが言える。
【0040】
【表1】
【0041】
洗浄工程においては、上記掘削した作土5をドラムウォッシャ10に6.5t/hで供給し、水洗した。また、洗浄固液比(土:水)を1:1〜1:2とした。
【0042】
微細瓦礫除去工程においては、微細瓦礫除去スクリーン20における第1段目のスクリーンのふるい目を20mmとし、第2段目のスクリーンのふるい目を5mmとした。そして、粒径が5mm以下のスラリーを次工程の砂分除去工程に送り、その他のものを微細瓦礫として除去した。
【0043】
砂分除去工程においては、砂分を除去する装置としてサンドデハイダを用いた。そして、サンドデハイダにおける第1段目のふるいのふるい目を2mmとし、第2段目のふるいのふるい目を0.5mmとした。そして、粒径が0.5mm以下のスラリーを次工程の細粒分回収工程に送り、粒径が0.5mmより大きいものは、砂分(SD砂分)として除去し、建設資材或いは水田以外の農用地に利用した。
【0044】
細粒分回収工程においては、上記砂分除去工程において砂分が除去されたスラリーに凝集剤50を添加後、フィルタプレス42に投入して脱水ケーキを生成した(図2(d)に示す第4の構成)。また、細粒分回収工程において添加する凝集剤50は、特許第5054334号で製造される遊離のアルミニウムイオンを含まない鉱物原料を主成分とする凝集剤(商標登録第5007243号:登録商標「ドロンパ」(株)アステック社製 )にキトサンを配合してなるものとし、スラリー1m3あたり3kg添加した。そして、細粒分回収工程において回収する細粒分(脱水ケーキ)の粒径は0.5mm以下とした。
【0045】
処理前の作土5(処理前土壌)、砂分除去工程での砂分(SD砂分)、細粒分回収工程での脱水ケーキの電気伝導度(EC)(mS/cm)及び塩素濃度(mg/kg(dry))を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
処理前の作土5(処理前土壌)、砂分除去工程での砂分(SD砂分)、細粒分回収工程での脱水ケーキのN、P、K、Caの成分量(mg/kg)を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
表2から明らかなように、細粒分回収工程での脱水ケーキは、電気伝導度(EC)が0.39mS/cm、塩素濃度が690mg/kg(dry)である。つまり、細粒分回収工程での脱水ケーキは、水田で利用可能な作土となり得る。なお、砂分除去工程での砂分(SD砂分)についても、電気伝導度(EC)が0.20mS/cm、塩素濃度が190mg/kg(dry)であるため、建設資材として利用可能なことはもちろんのこと、農用地の利用も可能である。
【0050】
また、表3から明らかなように、細粒分回収工程での脱水ケーキにおける土壌成分(N、P、K、Ca)の量は、処理前の作土5(処理前土壌)とほとんど変わっていない。そのため、凝集剤50(商標登録第5007243号:登録商標「ドロンパ」(株)アステック社製 にキトサンを配合したもの)を添加して生成した脱水ケーキを作土として水田に返送しても作物の生育に影響はない。
【符号の説明】
【0051】
5 作土
10 ドラムウォッシャ
20 微細瓦礫除去スクリーン
30 砂分除去設備
40 細粒分回収設備
50 凝集剤
図1
図2
図3