【実施例】
【0015】
先ず、この発明を実施する装置は、流体の貯留槽(汚水桝)から流体(汚水)を真空排出する真空自動開閉装置の逆流防止装置であり、この発明の説明のためにボールバルブ式自動真空開閉弁の構成を、図面に基づいて説明すると共に、動作順序の一実施例を説明する。
【0016】
〔1〕 ボールバルブ式自動真空開閉弁の構成要素
ボールバルブ式自動真空開閉弁は、
図1に示すように地上装置部と貯留槽(汚水枡)(X)内に設置されるフロート部と密閉容器部及び地上装置と貯留槽内装置とを結び付ける装置部に分かれている。
【0017】
1) 地上装置部は、真空駆動源に連結した真空吸引管(1)とメインボールバルブ(2)及び該バルブを開閉するためのラック(3)は、バルブ側に設け、ピニオン(4)は単動型真空シリンダ(6)のシリンダのロッド(6a)に結合されている。
【0018】
前記単動型真空シリンダのためにシリンダロッド先端側には、ロッドを初期位置に戻すためのスプリング(5)がシリンダロッドの引っ張り用としてセットされている。
【0019】
2) 前記貯留槽(X)にセットされる装置は、密閉容器(7)及び大気開放型小型ボールバルブ(8)及びバルブを開閉するチェーン駆動型回転円盤(9)が取付けられている。
【0020】
フロート(13)とチェーン駆動型回転円盤(9)とは、チェーン(または紐)とで結合されている。チェーンの上部は引っ張り調整用のネジが取り付けられている。この部位からからの流体の浸入を防ぐために密封キャップ(14)が取り付けられている。フロート(13)と密閉容器(7)とは、チェーン部からの流体の浸入を防ぐために密封保持用ゴム製蛇腹(12)で結合されている。
【0021】
3) また、地上装置と貯留槽(汚水枡)(X)内との連結部品としては、吸引管(1)から分岐した吸引ホース(16)が、小型の大気圧開放型ボールバルブ(8)に結合されている。又、吸引ホース(16)にはシリンダロッドの速度を調整するための真空空気調整バルブ(19)が装着されている。
【0022】
密閉容器(7)内を大気圧で充満するために大気連通ホース(17)が密閉容器(7)と地上装置に取付けされている。特に、吸引ホース(15)には、吸引管(1)からの汚水が密閉容器(7)に逆浸入しないように逆流防止装置(20)が組み込まれている。
【0023】
又、メインボールバルブ(2)の他端かち流体(汚水)を貯留槽(汚水桝)(X)から吸引するための吸引管(18)が、該貯留槽の下部の位置まで挿入されている。
以上が、ボールバルブ式自動真空装置の主な構成要素である。
【0024】
〔2〕 作動順序
1) メインボールバルブ(2)及び小型の大気開放型ボールバルブ(8)が閉じられた状態で、貯留槽(汚水桝)(X)流体(汚水)が流入されてくる。この時、真空吸引管(1)及び吸引ホース(15)には真空圧が充満している。又、単動型真空シリンダ(6)のロッドはスプリング(5)には初期位置に引っ張られ、メインボールバルブ(2)は閉じた状態である。
【0025】
一方、チェーン駆動型回転円盤(9)に取り付けられた小型の大気開放型ボールバルブ(8)もスプリング(10)により閉じた状態である。流体(汚水)が貯留槽(汚水桝)(X)に溜まりフロート(13)に浮力が作用しだすと、チェーン(11)に張力が働きスプリング(10)に打ち勝ち、チェーン駆動型回転円盤(9)が回転し、小型の大気開放型ボールバルブ(8)が開きだす。
【0026】
その結果、真空圧が単動型真空シリンダ(6)に入りピニオン(4)がスプリング(5)に打ち勝ってラック(3)を回転させ、メインボールバルブ(2)を開く。
【0027】
吸引管(1)の真空圧は、吸引管(18)を経由して、流体(汚水)の排出を行う。両バルブが完全に開き流体(汚水)を完全に排出するとフロート(13)に作用している浮力がなくなり、小型の大気開放型メカニカルバルブ(8)はスプリング(10)に負けて閉じる。
【0028】
このとき、小型の大気開放型ボールバルブ(8)は、大気連通ホース(17)により大気が充満している密封容器(7)内の大気と置換される。それに従い、吸引ホース(16)に溜まった真空圧は大気圧となり、単動型真空シリンダ(6)の内部も大気圧となりロッド側と圧力がバランスする。
【0029】
このためスプリング(5)の力よりロッドのピニオン(4)は、ラック(3)を回転させメインボールバルブ(2)を「開」から「閉」の状態に移行させる。
この一連の動作のとき大気圧と真空圧のバランスの差異により、吸引ホース(15)のラインに逆流防止装置(20)を組み込んでいる。
【0030】
この発明の逆流防止装置に構成要素を、
図2に示すと、逆流防止装置(20)の小型の真空貯留タンク(A)(B)とし、これらタンク(A)(B)の吸引ホース(15)の間にチェック弁(C)を挿入した構成からなり、真空吸引管(1)から分岐した吸引ホース(15)は、小型の真空貯留タンク(A)の下部で連接されており、上部から吸引ホース(15)が出ている。
【0031】
該吸引ホース(15)と小型の真空貯留タンク(B)との間に、チェック弁(C)が配置されている。吸引ホース(15)は該タンク(B)の下部で連接されており、上部より分岐した吸引ホース(15)は、密封容器(7)の中に設置された小型の大気開放型ボールバルブ(8)に結合されている。
【0032】
〔3〕 逆流防止弁の作動原理の説明
浮力により小型の大気開放型ボールバルブ(8)が開くと、単動型真空シリンダ(6)内の大気圧が、真空圧と置換される。該シリンダ(6)の容積が大きいため、真空圧に置換する時に真空吸引管(1)から流体(汚水)を吸引することになる。流体(汚水)は、径管の小さな分岐された吸引ホース(15)より径管の大きな小型の真空貯留タンク(A)に吸引されるが、容積変化が大きいため真空流速及び吸引される汚水流速も急激に低下するため、流体(汚水)は下部に溜まるだけになる。
【0033】
小型の真空貯留タンク(A)の上部から吸引ホース(15)が出ているため、流体(汚水)は吸引され難くなっている。それでも通過した流体(汚水)は、更にチェック弁(C)で阻止される。
【0034】
次に、同様な機能を有した小型の真空貯留タンク(B)が装着されていることにより、流体(汚水)は完全に阻止され、密封容器(7)に浸入することはない。小型の真空貯留タンク(A)に溜まった流体(汚水)は、真空吸引管(1)内の真空流速により、ベルヌーイの原理から負圧が大きくなり、該真空吸引管側に吸引される。
【0035】
又、小型の真空貯留タンク(A)(B)は、真空圧のアキュムレータの役割も果たし、この発明の構造上、狭隘なスペースでの対応が必要となり、分岐した吸引ホース(15)及びホース(15)の口径が細くならざるを得ない。
【0036】
一方、単動型真空シリンダ(6)の口径は太いため真空圧の供給を、迅速かつ大量に行う必要がある。この時小型の真空貯留タンク(A)(B)がアキュムレータの役割を果たし、真空圧を、迅速かつ大量に供給し、数秒のタイムラグの防止を可能とした。この数秒のタイムラグの防止が、流体(汚水)を確実に、又、安全に排出するためのキーポイントになる。