(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6238534
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】リーク電流保護回路が備えられたパワーモジュール
(51)【国際特許分類】
H02M 1/08 20060101AFI20171120BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20171120BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20171120BHJP
H02M 1/00 20070101ALI20171120BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H01L27/04 H
H02M1/00 H
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-51513(P2013-51513)
(22)【出願日】2013年3月14日
(65)【公開番号】特開2013-192444(P2013-192444A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2016年3月9日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0026201
(32)【優先日】2012年3月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】金 鎬正
(72)【発明者】
【氏名】申 在光
(72)【発明者】
【氏名】鄭 佑仁
(72)【発明者】
【氏名】崔 賢植
【審査官】
東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−71174(JP,A)
【文献】
特開2006−277082(JP,A)
【文献】
特開2009−272415(JP,A)
【文献】
特開2012−19501(JP,A)
【文献】
特開2008−270048(JP,A)
【文献】
特開2007−318571(JP,A)
【文献】
特開2010−110092(JP,A)
【文献】
特開2003−143833(JP,A)
【文献】
特開2003−70231(JP,A)
【文献】
特開2011−182066(JP,A)
【文献】
特開2007−174756(JP,A)
【文献】
特開2011−239666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00 −11/00
H03K 17/00 −17/70
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー素子と、
該パワー素子に接続されている周辺部と、
を備え、
前記周辺部は、
CMOSと、
前記CMOSのゲートに接続されていると共に、該CMOSを介して前記パワー素子に接続されているゲートドライバと、
前記ゲートドライバの動作制御する制御ブロックと、
入力端が前記パワー素子に接続され、出力端が前記制御ブロックに接続されたリーク電流保護回路と、
を備え、
前記リーク電流保護回路は、
複数のNMOSトランジスタと、
該複数のNMOSトランジスタに接続された複数のPMOSトランジスタと、
入力端が前記NMOSトランジスタ及び前記PMOSトランジスタの接続配線に接続され、出力端が前記制御ブロックに接続された比較器と、
を備え、
前記複数のNMOSトランジスタのうち、2個のNMOSトランジスタは、前記パワー素子に接続され、前記複数のNMOSトランジスタのうち、前記2個のNMOSトランジスタは、前記比較器に接続され、
前記リーク電流保護回路の前記入力端は、前記パワー素子のゲートに接続された第1入力端と前記パワー素子のソースに接続された第2入力端と、を備え、
前記第1入力端は、前記2個のNMOSトランジスタの一方のゲートに接続され、前記第2入力端は、前記2個のNMOSトランジスタの他方のゲートに接続されたパワーモジュール。
【請求項2】
前記リーク電流保護回路は、
前記比較器の一方の入力端に接続された第1回路部、及び前記比較器の他方の入力端に接続された第2回路部を含むことを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記第1回路部は、2個のNMOSトランジスタと、2個のPMOSトランジスタとを含み、前記2個のNMOSトランジスタのうち一方のNMOSトランジスタのゲートに、前記パワー素子のゲート電圧が印加され、他方のNMOSトランジスタのゲートに、第1電圧が印加されることを特徴とする請求項2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記第2回路部は、2個のNMOSトランジスタと、2個のPMOSトランジスタとを含み、前記2個のNMOSトランジスタのうち一方のNMOSトランジスタのゲートに、前記パワー素子のソース電圧が印加され、他方のNMOSトランジスタのゲートに、前記第1電圧より低い第2電圧が印加されることを特徴とする請求項3に記載のパワーモジュール。
【請求項5】
パワー素子と、前記パワー素子に接続された周辺部を備え、
前記周辺部は、
CMOSと、
前記CMOSのゲートに接続され、前記CMOSを介して前記パワー素子に接続されたゲートドライバと、
前記ゲートドライバを動作制御する制御ブロックと、
入力端が前記パワー素子に接続され、出力端が前記制御ブロックに接続されたリーク電流保護回路と、を備え、
前記リーク電流保護回路は、
複数のNMOSトランジスタと、
前記複数のNMOSトランジスタに接続された複数のPMOSトランジスタと、
入力端が前記NMOSトランジスタと前記PMOSトランジスタの接続配線に接続され、出力端が前記制御ブロックに接続された比較器と、を備え、
前記リーク電流保護回路は、3個のNMOSトランジスタ、及びこれにそれぞれ接続された3個のPMOSトランジスタを含み、前記比較器の2個の入力端にそれぞれ一つずつ接続された2個のNMOSトランジスタのゲートに印加される電圧が異なり、3番目のNMOSトランジスタのゲートには、バイアス電圧が印加されることを特徴とするパワーモジュール。
【請求項6】
ゲートに印加される電圧の高いNMOSトランジスタのチャネルの幅は、ゲートに印加される電圧の低いNMOSトランジスタのチャネルの幅より狭いことを特徴とする請求項5に記載のパワーモジュール。
【請求項7】
ゲートに印加される電圧の高いNMOSトランジスタのチャネルの長さは、ゲートに印加される電圧の低いNMOSトランジスタのチャネルの長さより長いことを特徴とする請求項5又は6に記載のパワーモジュール。
【請求項8】
パワー素子と、前記パワー素子に接続された周辺部を備え、
前記周辺部は、
CMOSと、
前記CMOSのゲートに接続され、前記CMOSを介して前記パワー素子に接続されたゲートドライバと、
前記ゲートドライバを動作制御する制御ブロックと、
入力端が前記パワー素子に接続され、出力端が前記制御ブロックに接続されたリーク電流保護回路と、を備え、
前記リーク電流保護回路は、
複数のNMOSトランジスタと、
前記複数のNMOSトランジスタに接続された複数のPMOSトランジスタと、
入力端が前記NMOSトランジスタと前記PMOSトランジスタの接続配線に接続され、出力端が前記制御ブロックに接続された比較器と、を備え、
前記リーク電流保護回路は、2個のNMOSトランジスタ及び該2個のNMOSトランジスタに接続された2個のPMOSトランジスタを含み、前記比較器の入力端は、1個であり、
前記2個のNMOSトランジスタのうち一方のNMOSトランジスタのゲートは、前記パワー素子のソースに接続され、前記2個のNMOSトランジスタのうち他方のNMOSトランジスタのゲートは、前記パワー素子のゲートに接続されることを特徴とするパワーモジュール。
【請求項9】
前記2個のNMOSトランジスタのゲートにそれぞれ異なる電圧が印加され、印加される電圧の高い一方のNMOSトランジスタのチャネルの幅は、他方のNMOSトランジスタのチャネルの幅より狭いことを特徴とする請求項8に記載のパワーモジュール。
【請求項10】
前記2個のNMOSトランジスタのゲートにそれぞれ異なる電圧が印加され、印加される電圧の高い一方のNMOSトランジスタのチャネルの長さは、他方のNMOSトランジスタのチャネルの長さより長いことを特徴とする請求項8又は9に記載のパワーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2012年3月14日に韓国特許庁に出願されており、本願明細書に参照によって組み込まれている韓国特許出願第2012−0026201号の優先権の利益を享受する。
【0002】
本発明は、パワー素子を含むモジュールに関し、さらに詳細には、リーク電流保護回路を有するパワー素子モジュール(パワーモジュール)に関する。
【背景技術】
【0003】
通常のMOS型電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:MOSFET)または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)は、動作と関連して多様な保護回路を有しているが、例えば、デサチュレーション (De−Saturation)、低電圧ロックアウト (Under Voltage Lock−Out:UVLO)、過電圧(Over Voltage)、ソフトターンオフ(Soft Turn−Off)に対する保護回路(Protection Circuit)を有している。通常のMOSFETまたはIGBTは、このように多様な保護回路を有しているが、これらの素子は、ゲートリーク電流と関連して問題を有しておらず、そのため、別途の保護回路を有していない。
【0004】
しかし、パワー素子、例えば、高電子移動度トランジスタ (High Electron Mobility Transistor:HEMT)の場合、ゲートリーク電流が発生する恐れがある。これにより、リーク電流を解決するために多様な方法が提示されてきたが、殆ど製造工程や構造的な変更を含む解決方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開第2003−0070231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、限界値(critical value)以上のリーク電流の発生を防止するパワーモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するために、本発明の一実施形態によるパワーモジュールは、パワー素子と、該パワー素子に接続(電気的に接続)されている周辺部と、を備え、前記周辺部は、相補型金属酸化膜半導体CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:CMOS)と、前記CMOSのゲートに接続されていると共に、該CMOSを介して前記パワー素子に接続されているゲートドライバと、前記ゲートドライバの動作制御する制御ブロックと、入力端が前記パワー素子に接続され、出力端が前記制御ブロックに接続されたリーク電流保護回路と、を備え、前記リーク電流保護回路は、複数のNMOS(N−channel MOS)トランジスタと、該複数のNMOSトランジスタに接続された複数のPMOSトランジスタと、入力端が前記NMOSトランジスタ及び前記PMOSトランジスタの接続配線に接続され、出力端が前記制御ブロックに接続された比較器と、を備える。
【0008】
このようなパワーモジュールにおいて、前記リーク電流保護回路は、前記比較部の一方の入力端に接続された第1回路部と前記比較部の他方の入力端に接続された第2回路部とを含む。この時、前記第1回路部は、2個のNMOSトランジスタと、2個のPMOSトランジスタとを含み、前記2個のNMOSトランジスタのうち一方のNMOSトランジスタのゲートに、前記パワー素子のゲート電圧が印加され、他方のNMOSトランジスタのゲートに、第1電圧が印加される。また、前記第2回路部は、2個のNMOSトランジスタと、2個のPMOSトランジスタとを含み、前記2個のNMOSトランジスタのうち一方のNMOSトランジスタのゲートに、前記パワー素子のソース電圧が印加され、他方のNMOSトランジスタのゲートに、前記第1電圧より低い第2電圧が印加される。
【0009】
前記リーク電流保護回路は、3個のNMOSトランジスタ及びそれにそれぞれ接続された3個のPMOSトランジスタを含み、前記比較器の2個の入力端にそれぞれ一つずつ接続された2個のNMOSトランジスタのゲートに印加される電圧が異なり、3番目のNMOSトランジスタのゲートには、バイアス電圧が印加される。
【0010】
ゲートに印加される電圧の高いNMOSトランジスタのチャネルの幅は、ゲートに印加される電圧の低いNMOSトランジスタのチャネルの幅より狭い。
【0011】
ゲートに印加される電圧の高いNMOSトランジスタのチャネルの長さは、ゲートに印加される電圧の低いNMOSトランジスタのチャネルの長さより長い。
【0012】
前記リーク電流保護回路は、2個のNMOSトランジスタ、及び該2個のNMOSトランジスタに接続された2個のPMOSトランジスタを含み、前記比較器の入力端は、1個である。この時、前記2個のNMOSトランジスタのゲートにそれぞれ異なる電圧が印加され、印加される電圧の高い一方のNMOSトランジスタのチャネルの幅は、他方のNMOSトランジスタのチャネルの幅より狭い。また、前記2個のNMOSトランジスタのゲートにそれぞれ異なる電圧が印加され、印加される電圧の高い一方のNMOSトランジスタのチャネルの長さは、他方のNMOSトランジスタのチャネルの長さより長い。
【0013】
本発明の他の実施形態によるパワーモジュールは、パワー素子と、該パワー素子に接続されている周辺部を備え、前記周辺部は、CMOSと、前記CMOSのゲートに接続されていると共に、該CMOSを介して前記パワー素子に接続されているゲートドライバと、前記ゲートドライバの動作制御する制御ブロックと、入力端が前記パワー素子と前記CMOSとを接続する配線に接続され、出力端が前記制御ブロックに接続されたリーク電流保護回路と、を含み、前記リーク電流保護回路は、大きさの異なる複数の抵抗と、入力端が複数の抵抗間に接続され、出力端が前記制御ブロックに接続された比較器と、を含む。
【0014】
このようなパワーモジュールにおいて、前記リーク電流保護回路は、直列に接続された第1及び第2抵抗と、直列に接続された第3及び第4抵抗とを含み、前記比較器の2個の入力端のうち一方の入力端は、前記第1及び第2抵抗の間に、他方の入力端は、前記第3及び第4抵抗の間にそれぞれ接続されたものである。
【0015】
前記第1抵抗の入力端と前記第3抵抗の入力端は、前記パワー素子と前記CMOSとを接続する配線の異なる二つの地点に接続され、各入力端の間に電位差を有する。
【0016】
前記配線に電圧降下要素が備えられ、前記第1抵抗の入力端は、前記電圧降下要素と前記CMOSとの間に接続され、前記第3抵抗の入力端は、前記電圧降下要素と前記パワー素子との間に接続される。
【0017】
前記電圧降下要素は、抵抗またはトランジスタである。
【0018】
前記第1抵抗の大きさは、前記第3抵抗の大きさと異なる。
【0019】
前記第2抵抗の大きさは、前記第4抵抗の大きさと異なる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、本発明の一実施形態によるパワーモジュールは、ゲートリーク電流保護回路を備える。したがって、パワー素子から発生するリーク電流が設定された限界リーク電流以上となることを感知して、パワー素子だけではなく、パワーモジュールの動作に関連した部品(例えば、ゲートドライバ)を保護することができる。これにより、パワー素子及びモジュールの安定した動作が維持できるので、パワー素子及びモジュールに対する動作信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパワー素子保護回路が備えられたパワーモジュールの構成を示す図である。
【
図2】本発明の他の実施形態に係るパワー素子保護回路が備えられたパワーモジュールの構成を示す図である。
【
図3】
図2で電圧降下要素が別途の抵抗である場合を示す図である。
【
図4】
図2で電圧降下要素がトランジスタである場合を示すダイアグラムである。
【
図5】第1実施形態に係る
図1のゲートリーク電流検出器の回路である。
【
図6】第2実施形態に係る
図1のゲートリーク電流検出器の回路である。
【
図7】第3実施形態に係る
図1のゲートリーク電流検出器の回路である。
【
図8】
図2のゲートリーク電流検出器の回路である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るパワー素子保護回路を備えるパワー素子モジュールを、添付した図面を参照して詳細に説明する。図面に示された層や領域の厚さは、明細書の明確性のために誇張して示した。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るパワー素子保護回路を備えるパワー素子モジュール(以下、第1パワー素子モジュール)を示す。
【0024】
図1を参照すれば、第1パワー素子モジュールは、パワー素子20、制御ブロック(control block)22、ゲートドライバ24、第1及び第2トランジスタ28,30、及びゲートリーク電流検出器(Gate Leakage Current Detector,26を備える。制御ブロック22は、ゲートリーク電流検出器26から受信した信号に基づいて、ゲートドライバ24の動作を制御する。ゲートドライバ24の動作は、制御ブロック22から受信した制御信号によって制御される。ゲートドライバ24は、第1及び第2トランジスタ28,30を通じてパワー素子20にゲート電圧を印加し、制御ブロック22から受信した制御信号によって、オン(ON)またはオフ(OFF)となる。第1トランジスタ28は、N型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。
【0025】
第2トランジスタ30は、P型MOSトランジスタである。第1及び第2トランジスタ28,30は、CMOSを構成する。パワー素子20は、例えば、高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)である。制御ブロック22は、ゲートドライバ24を通じてパワー素子20に接続(電気的に接続)されている。すなわち、ゲートドライバ24は、制御ブロック22とパワー素子20との間に備えられる。ゲートドライバ24は、ゲートリーク電流検出器26と直接接続されていない。
【0026】
ゲートドライバ24とパワー素子20との間に、第1及び第2トランジスタ28,30が備えられている。ゲートドライバ24は、第1及び第2トランジスタ28,30を介してパワー素子20に接続される。ゲートドライバ24は、第1及び第2トランジスタ28,30のゲートに接続されている。第1及び第2トランジスタ28,30は、並列に接続されている。ゲートリーク電流検出器26は、制御ブロック22とパワー素子20との間に備えられる。ゲートリーク電流検出器26の出力端は、制御ブロック22に接続される。ゲートリーク電流検出器26の2個の入力端のうち一方は、パワー素子20のソースに、他方は、第1及び第2トランジスタ28,30とパワー素子20のゲートとの間に接続される。ゲートリーク電流検出器26は、パワー素子20のゲートとソースとの間の電圧を測定し、測定された電圧が、設定された電圧以上となれば、制御ブロック22に制御信号を送り、制御ブロック22は、この制御信号によって、ゲートドライバ24の動作をオフ(OFF)にする。この結果、パワー素子20から電流の漏れがなくなり、第1パワー素子モジュールがリーク電流から保護される。前記設定された電圧は、パワー素子20のリーク電流が限界値以上となる電圧である。
【0027】
図2は、本発明の他の実施形態によるパワー素子保護回路を備えるパワー素子モジュール(以下、第2パワー素子モジュール)を示す。第2パワー素子モジュールは、第2ゲートリーク電流検出器36を備える。第2ゲートリーク電流検出器36の出力端は、制御ブロック22に接続される。第2ゲートリーク電流検出器36は、第1及び第2トランジスタ28,30とパワー素子20のゲートとの間に流れる電流を測定するように備えられたものである。そのため、第2ゲートリーク電流検出器36の第1及び第2入力端40,42は、第1及び第2トランジスタ28,30とパワー素子20のゲートとを接続する配線44に接続される。第1及び第2入力端40,42は、相互離隔されて配線44に接続されている。第1及び第2入力端40,42の間の配線44には、電流測定のための手段であって、電圧降下要素46が備えられる。その他の構成は、
図1の第1パワー素子モジュールと同一である。電圧降下要素46は、例えば、寄生抵抗、すなわち、配線44自体の抵抗であってもよく、
図3に示したように、配線44に別途に備えられた抵抗46Aであってもよく、
図4に示したように、配線44に備えられたトランジスタ44Bであってもよい。電圧降下要素46の両端の電位差によって、電圧降下要素46を流れる電流が発生する。したがって、配線44に流れる電流は、電圧降下要素46の両端の電圧を測定することによって測定される。このような理由で、第2ゲートリーク電流検出器36は、電圧測定を通じた電流を測定する検出器と見なすことができる。電圧降下要素46の両端で測定された電圧が、設定された電圧以上となれば、第2ゲートリーク電流検出器36は、制御ブロック22に制御信号を送る。以後の動作は、
図1で説明した通りである。
図2における上記設定された電圧は、電圧降下要素46を通過する電流が、設定された電流となる電圧である。この時、前記設定された電流は、パワー素子20から発生するリーク電流が、所定値以上となる電流である。すなわち、前記設定された電流以上の電流がパワー素子20に供給される場合、パワー素子20のリーク電流は、設定された値以上となる。
図1及び
図2で、パワー素子20を除外した残りは、便宜上、周辺部と称する。
【0028】
次いで、
図1のゲートリーク電流検出器26及び
図2の第2ゲートリーク電流検出器36の回路の実施形態を説明する。
【0029】
まず、
図1のゲートリーク電流検出器26の回路の例を、
図5ないし
図7を参照して説明する。
【0030】
図5は、第1実施形態に係る
図1のゲートリーク電流検出器26の回路を示す。
【0031】
図5を参照すれば、回路は、第1回路部C1と第2回路部C2、及び比較器86を含む。比較器86のポジティブ(positive)(+)入力端に第2回路部C2が接続され、ネガティブ(negative)(−)入力端に第1回路部C1が接続される。第1回路部C1は、第1及び第2NMOSトランジスタ50,52と第1及び第2PMOSトランジスタ54,56を含む。第1及び第2NMOSトランジスタ50,52のソースは、共通して接地されている。第1及び第2PMOSトランジスタ54,56のドレインは、共通して電源に接続されている。第1NMOSトランジスタ50のドレインと、第1PMOSトランジスタ54のソースは、接続されている。第2NMOSトランジスタ52のドレインと、第2PMOSトランジスタ56のソースは、接続されている。第2NMOSトランジスタ52と、第2PMOSトランジスタ56を接続する配線58に、比較器86のネガティブ(−)入力端が接続される。第1及び第2PMOSトランジスタ54,56のゲートは、相互接続されており、第1PMOSトランジスタ54のソースと接続される。第1NMOSトランジスタ50のゲートには、第1電圧Vaが印加される。第2NMOSトランジスタ52のゲートは、パワー素子20のゲートと接続されて、パワー素子20のゲートに印加される電圧n1が印加される。
【0032】
第2回路部C2は、第3及び第4NMOSトランジスタ60,62と、第3及び第4PMOSトランジスタ64,66を含む。第3及び第4NMOSトランジスタ60,62の接続関係と第3及び第4PMOSトランジスタ64,66の接続関係と、第3及び第4NMOSトランジスタ60,62と、第3及び第4PMOSトランジスタ64,66との接続関係は、第1回路部C1に含まれたトランジスタ50,52,54,56の接続関係と同一である。第2回路部C2で、第3NMOSトランジスタ60に第2電圧Vbが印加される。
【0033】
第4NMOSトランジスタ62のゲートは、パワー素子20のソースと接続されて、パワー素子20のソース電圧n2が印加される。第4NMOSトランジスタ62と、第4PMOSトランジスタ66の接続配線68に、比較器86のポジティブ(+)入力端が接続される。
【0034】
第1回路部C1の第2NMOSトランジスタ52のゲートに印加される電圧n1は、第2回路部C2の第4NMOSトランジスタ62のゲートに印加される電圧n2より常に高い。これにより、第1回路部C1の第1電圧Vaは、第2回路部C2の第2電圧Vbより低く維持される。これにより、比較器86のネガティブ(−)入力端に印加される電圧とポジティブ(+)入力端に印加される電圧とは、パワー素子20のゲートに印加される電圧n1と、ソースに印加される電圧n2との差が限界リーク電流以上のリーク電流を発生させる電圧差となるまで、一定に維持される。電圧n1と電圧n2との差が、リーク電流を発生させる上記電圧差となるにつれ、比較器86のネガティブ(−)入力端に入力される電圧が上昇する。その結果、比較器86の出力信号n3が発生する。比較器86の出力信号n3は、制御ブロック22の入力信号となる。制御ブロック22は、比較器86から信号n3が入力されると、ゲートドライバ24の動作をオフ(OFF)にする。
【0035】
図6は、第2実施形態による
図1のゲートリーク電流検出器26の回路を示す。
【0036】
図6を参照すれば、第1ないし第3NMOSトランジスタ70,72,74と、第1ないし第3PMOSトランジスタ80,82,84とを含む。第1ないし第3NMOSトランジスタ70,72,74のソースは、共通して接地されている。第1ないし第3PMOSトランジスタ80,82,84のドレインは、共通して電源が接続されており、ゲートは、相互接続されている。第1ないし第3PMOSトランジスタ80,82,84のソースは、それぞれ第1ないし第3NMOSトランジスタ70,72,74のドレインに接続されている。第3PMOSトランジスタ84のソースは、第1ないし第3PMOSトランジスタ80,82,84のゲートを接続する配線に接続されている。第2NMOSトランジスタ72と、第2PMOSトランジスタ82とを接続する配線に、比較器86のポジティブ(+)入力端が接続される。そして、第1NMOSトランジスタ70と、第1PMOSトランジスタ80とを接続する配線に、比較器86のネガティブ(−)入力端が接続される。第3NMOSトランジスタ74のゲートには、バイアス電圧Vbiasが印加される。第1NMOSトランジスタ70のゲートは、パワー素子20のゲートと接続されて、パワー素子20のゲート電圧n1が印加される。第2NMOSトランジスタ72のゲートは、パワー素子20のソースに接続されて、パワー素子20のソース電圧n2が印加される。電圧n1は、電圧n2より高い。第2NMOSトランジスタ72のチャネルの幅W2は、第1NMOSトランジスタ70のチャネルの幅W1より大きい(W2>W1)。または、第2NMOSトランジスタ72のチャネルの長さL2は、第1NMOSトランジスタ70のチャネルの長さL1より短い(L2<L1)。これにより、比較器86のネガティブ(−)入力端に印加される電圧と、ポジティブ(+)入力端に入力される電圧とは、電圧n1と電圧n2との差が限界リーク電流以上のリーク電流を発生させる電圧差となるまで一定に維持される。トランジスタ70,72を形成するとき、このような条件を考慮して、チャネルの幅、または長さを調節する。電圧n1と電圧n2との差がリーク電流を発生させる上記電圧差となるにつれ、比較器86のネガティブ(−)入力端に入力される電圧が上昇する。この結果、比較器86の出力信号n3が発生し、制御ブロック22を通じて、ゲートドライバ24がオフ(OFF)となる。
【0037】
図7は、第3実施形態に係る
図1のゲートリーク電流検出器26の回路を示す。
【0038】
図7を参照すれば、回路は、第1及び第2NMOSトランジスタ90,92と、第1及び第2PMOSトランジスタ100、102を含み、比較器96を含む。第1及び第2NMOSトランジスタ90,92のソースは、共通して接地されている。第1及び第2PMOSトランジスタ100、102のドレインに、共通電源が接続されている。第1NMOSトランジスタ90のドレインは、第1PMOSトランジスタ100のソースと接続される。第2NMOSトランジスタ92のドレインは、第2PMOSトランジスタ102のソースと接続される。第1及び第2PMOSトランジスタ100、102のゲートは、相互接続されている。第2PMOSトランジスタ102のソースは、第1及び第2PMOSトランジスタ100、102のゲートと接続される。第1NMOSトランジスタ90のドレインと第1PMOSトランジスタ100のソースとを接続する配線98に、比較器96の入力端が接続される。第1NMOSトランジスタ90のゲートは、パワー素子20のゲートと接続され、パワー素子20のゲートに印加される電圧n1が印加される。第2NMOSトランジスタ92のゲートは、パワー素子20のソースに接続され、パワー素子20のソースに印加される電圧n2が印加される。電圧n1は、電圧n2より高い(n1>n2)。第2NMOSトランジスタ92のチャネルの幅W22は、第1NMOSトランジスタ90のチャネルの幅W11より広い(W22>W11)。または、第2NMOSトランジスタ92のチャネルの長さL22は、第1NMOSトランジスタ90のチャネルの長さL11より短い(L22<L11)。これにより、第1及び第2NMOSトランジスタ90,92のドレインの電位は、電圧n1と電圧n2との差が限界リーク電流を超えるリーク電流を発生させる電圧差となるまで一定に維持される。第1及び第2NMOSトランジスタ90,92を設けるとき、このような条件を考慮して、チャネルの幅または長さを調節する。電圧n1と電圧n2との差が限界リーク電流を発生させる電圧差以上となるにつれ、第1NMOSトランジスタ90のドレインの電位がさらに高まり、比較器96で出力信号n3が発生し、制御ブロック22を通じてゲートドライバ24がオフ(OFF)となる。
【0039】
図8は、
図2の第2ゲートリーク電流検出器36の回路を示す。
【0040】
図8を参照すれば、回路は、比較器110と、第1ないし第4抵抗Rm1,Rm2,Rn1,Rn2を含む。第1及び第2抵抗Rm1,Rm2は、直列に接続されている。第3及び第4抵抗Rn1,Rn2も、直列に接続されている。第1抵抗Rm1の入力端は、
図2で、第1及び第2トランジスタ28,30と、電圧降下要素46との間に接続される。第1抵抗Rm1の出力端は、第2抵抗Rm2の入力端に接続される。したがって、第1抵抗Rm1の入力端には、第1及び第2トランジスタ28,30と、電圧降下要素46との間の電圧n11が印加される。第1抵抗Rm1の出力端と、第2抵抗Rm2の入力端とを接続する配線に、比較器110のポジティブ(+)入力端が接続される。第3抵抗Rn1の入力端は、
図2でパワー素子20のゲートと、電圧降下要素46との間に接続され、第3抵抗Rn1の出力端は、第4抵抗Rn2の入力端に接続される。したがって、第3抵抗Rn1の入力端には、パワー素子20のゲートと、電圧降下要素46との間の電圧n22が印加される。第3抵抗Rn1の出力端は、第4抵抗Rn2の入力端に接続される。第3抵抗Rn1の出力端と、第4抵抗Rn2の入力端とを接続する配線は、比較器110のネガティブ(−)入力端に接続される。第3抵抗Rn1の入力端に印加される電圧n22は、第1抵抗Rm1の入力端に印加される電圧n11より小さい(n22<n11)。第1抵抗Rm1は、第3抵抗Rn1より大きい(Rm1>Rn1)。または、第2抵抗Rm2は、第4抵抗Rn2より小さい(Rm2<Rn2)。これにより、電圧n11と電圧n22との差、すなわち、電圧降下要素46の両端の電位差が、設定された電位差となるまで、比較器110のポジティブ(+)入力端及びネガティブ(−)入力端に印加される電圧は、一定に維持される。電圧降下要素46の両端の電位差が、前記設定された電位差以上となるにつれ、比較器110の入力端に入力される電圧が変化し、その結果、比較器110からの出力信号n33が制御ブロック22に伝達され、制御ブロック22は、出力信号n33に対応してゲートドライバ24をオフ(OFF)にする。第1ないし第4抵抗Rm1,Rm2,Rn1,Rn2の大きさは、このような状況を考慮して決定することができる。この時、前記設定された電位差は、パワー素子20に限界以上のリーク電流を発生させるのに十分な電流が流れる電圧である。すなわち、前記設定された電位差による電流以上の電流がパワー素子20に供給されれば、パワー素子20から発生するリーク電流は、設定された限界値より大きくなる。
【0041】
前記説明で多くの事項が具体的に記載されているが、それらは、発明の範囲を限定するものではなく、望ましい実施形態の例示と解釈されねばならない。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態によって決定されず、特許請求の範囲に記載された技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、電子モジュール関連の技術分野に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
20 パワー素子
22 制御ブロック
24 ゲートドライバ
26 ゲートリーク電流検出器
28 第1トランジスタ
30 第2トランジスタ
n1 ゲート電圧
n2 ソース電圧
n3 出力信号