(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の領域設定部は、前記第1の領域についての前記画像データの画素値に基づいて前記穿刺針の先端の位置である先端位置を求め、求めた前記先端位置に基づいて前記第2の領域を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のX線CT装置。
【背景技術】
【0002】
X線CT(Computed Tomography)装置は、被検体をX線でスキャンしてデータを収集し、収集されたデータをコンピュータで処理することにより、被検体の内部を画像化する装置である。
【0003】
具体的には、X線CT装置は、被検体に対してX線を異なる方向から複数回照射し、被検体を透過したX線をX線検出器にて検出して複数の検出データを収集する。収集された検出データはデータ収集部によりA/D変換された後、データ処理系に送信される。データ処理系は、検出データに前処理等を施すことで投影データを生成する。続いて、データ処理系は、投影データに基づく再構成処理を実行して断層画像データを生成する。また、データ処理系は、更なる再構成処理として、複数の断層画像データに基づきボリュームデータを形成する。ボリュームデータは、被検体の3次元領域に対応するCT値の3次元分布を表すデータセットである。
【0004】
X線CT装置は、ボリュームデータを任意の方向にレンダリングすることによりMPR(Multi Planar Reconstruction)表示を行うことができる。MPR表示された断面画像(以下、「MPR画像」と呼ぶ。)には、たとえば、体軸に対する直交断面を示すアキシャル像、体軸に沿って被検体を縦切りした断面を示すサジタル像、及び体軸に沿って被検体を横切りした断面を示すコロナル像がある。更には、ボリュームデータにおける任意断面の画像(オブリーク像)もMPR画像に含まれる。
【0005】
X線CT装置を用いて行うCT透視(CTF:Computed Tomography Fluoroscopy)では、検出データの収集レートを短くし、再構成処理に要する時間を短縮することで、画像を逐次生成している。このCT透視は、たとえば、生検中に穿刺針と検体を採取する部位との位置関係を確認する場合等に用いられる。
【0006】
X線CT透視で得られたボリュームデータに基づくMPR画像を参照しながら被検体に対して生検を行う場合、たとえば、スキャンと穿刺とを交互に行うことがある。具体的には、まず、CT透視により被検体のMPR画像を取得する。術者は、MPR画像を参照しながら穿刺を行う。この際、たとえば、穿刺針の先端と検体を採取する部位との位置関係を確認するため、ある程度、穿刺を行った段階で再度のX線CT透視を行う。術者は、再度のX線CT透視で得られたMPR画像を参照しながら、穿刺針の周辺に存在する血管等の周辺組織を傷つけないように穿刺針を進める。この動作を生検が完了するまで繰り返し行う。
【0007】
また、X線CT透視により生検を行う場合、予め穿刺計画を作成する場合がある。穿刺計画は、予め設定された被検体に対する穿刺針の挿入経路(以下、「穿刺経路」という場合がある)を含む情報である。穿刺計画は、たとえば、X線CT透視を行う前に予め取得されたCT画像において、マウス等の指示入力により穿刺経路を描くことにより設定される。術者等は、穿刺経路が示されたX線CT画像(計画画像)と、X線スキャンによりその都度得られるボリュームデータに基づくMPR画像とを参照しながら被検体に対して穿刺を行う。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、実施形態のX線CT装置1の構成を表すブロック図である。
【0014】
[構成]
図1を参照して、実施形態のX線CT装置1の構成例を説明する。X線CT装置1は、架台部2と、寝台部3と、コンソール部4とを有する。なお、「画像」と「画像データ」は一対一に対応するので、これらを同一視する場合がある。
【0015】
(架台部2)
架台部2は、被検体Eに対してX線を照射し、被検体Eを透過したX線の検出データを収集する。架台部2は、X線発生部20と、高電圧発生部21と、X線絞り部22と、X線フィルタ部23と、X線検出部24と、回転部25と、架台駆動部26と、データ収集部27とを有する。また、X線発生部20と、高電圧発生部21と、X線絞り部22と、X線フィルタ部23と、X線検出部24と、データ収集部27からなる集合を投影部とする。投影部は、被検体EをX線で照射し、被検体Eを透過したX線を検出する。
【0016】
X線発生部20は、X線を発生する。X線発生部20は、X線を発生させるX線管球(たとえば、円錐状や角錐状のビームを発生する真空管。図示なし)を含んで構成される。発生されたX線は被検体Eに対して照射される。高電圧発生部21は、X線発生部20に対して高電圧を印加する。
【0017】
X線絞り部22は、X線発生部20が発生したX線の照射野を第1の領域の範囲に制限する。第1の領域については後述する。X線絞り部22は、開口(スリット)を形成し、この開口のサイズ及び形状を変えることで、X線発生部20から出力されたX線のファン角(チャンネル方向の広がり角)とX線のコーン角(スライス方向の広がり角)とを調整する。X線フィルタ部23は、X線絞り部の前段又は後段に設けられる。X線フィルタ部23は、第2の領域の範囲について開口を形成可能に構成される。第2の領域については後述する。X線フィルタ部23は、X線フィルタを備える。X線フィルタは、該開口以外を通過するX線の強度を弱める。
図2A、
図2B及び
図2Cは、X線絞り部22及びX線フィルタ部23を概念的に表す模式図である。X線絞り部22は、遮断板COを複数有する。遮断板COは、X線を遮断する。遮断板COは、X線を遮断する部材によって構成される。X線絞り部22は、遮断板COの位置を移動することにより第1の開口A1を形成する。このとき、X線絞り部22は、後述する第1の領域の位置情報に基づく制御信号をシステム制御部41から受け、第1の開口A1を通過したX線が第1の領域に照射されるように第1の開口A1を形成する。X線フィルタ部23は、X線フィルタFIを複数有する。X線フィルタFIは、X線を低減する。X線フィルタFIは、例えば、遮断板COの前段又は後段に設けられる。X線フィルタ部23は、X線を低減する部材によるX線フィルタFIを複数有し、これらX線フィルタFIの位置を移動することにより第2の開口A2を形成する。このとき、X線フィルタ部23は、後述する第2の領域の位置情報に基づく制御信号をシステム制御部41から受け、第2の開口A2を通過したX線が第2の領域に照射されるように第2の開口A2を形成する。それにより、第1の開口A1を通過したX線のうち、X線フィルタFIを通過したX線は、第2の開口A2を通過したX線よりも強度が低減される。
【0018】
また、X線フィルタ部23は、第2の開口A2を閉じることが可能に構成される。X線フィルタ部23は、システム制御部41からの制御信号を受け、第2の領域の範囲について第2の開口A2を形成した状態である第1の状態(
図2B参照)と第2の開口A2を閉じた状態である第2の状態とを交互に切り替えてもよい。この場合、被検体Eに照射されるX線の一部が低減される状態と、被検体Eに照射されるX線の全体が低減される状態とが交互に切り替えられる。
【0019】
X線検出部24は、複数のX線検出素子(図示なし)を含んで構成される。X線検出部24は、被検体Eを透過したX線の強度分布を示すX線強度分布データ(以下、「検出データ」という場合がある)を検出し、その検出データを電流信号として出力する。
【0020】
回転部25は、X線発生部20とX線検出部24とを被検体Eを挟んで対向する位置に支持する部材である。回転部25は、スライス方向に貫通した開口を有する。開口には、被検体Eが載置された寝台部3が挿入される。回転部25は、架台駆動部26によって、被検体Eを中心とした円軌道に沿って回転される。架台駆動部26は、システム制御部41から制御信号を受け、回転部25を回転させる。
【0021】
データ収集部27(DAS:Data Acquisition System)は、X線検出部24(各X線検出素子)からの検出データを収集する。更に、データ収集部27は、収集された検出データ(電流信号)を電圧信号に変換し、この電圧信号を周期的に積分して増幅し、デジタル信号に変換する。そして、データ収集部27は、変換したデジタル信号を検出データとしてコンソール部4へ出力する。
【0022】
(寝台部3)
寝台部3には、被検体Eが載置される。寝台部3は、載置された被検体Eを、その体軸方向(z軸方向)に移動させる。また、寝台部3は、被検体Eを上下方向(y軸方向)に移動させてもよい。
【0023】
(コンソール部4)
コンソール部4は、X線CT装置1に対する操作入力に用いられる。また、コンソール部4は、架台部2から受けた検出データから被検体Eの内部形態を表すCT画像データ(断層画像データやボリュームデータ)を再構成する。コンソール部4は、穿刺支援部40と、システム制御部41と、データ処理部42と、表示部43と、操作部44とを有する。
【0024】
穿刺支援部40は、穿刺経路部400と、第1の領域設定部401と、第2の領域設定部402とを有する。穿刺経路部400は、予め取得されたボリュームデータに基づく画像に対し、被検体Eに対する穿刺針の挿入経路を設定するために用いられる。予め取得されたボリュームデータ(穿刺経路設定用データ)とは、生検を実施する前の段階で行われたX線スキャンにより得られたボリュームデータである。該ボリュームデータは、例えば、被検体Eの表面から穿刺がし易い向きや角度で寝台部3に載置され、保持具を用いて固定された被検体Eに対し、穿刺対象を含む部位を描出するためのボリュームデータである。また、該ボリュームデータは、血管等の重要組織が描出される程度の強度のX線を被検体Eに照射することによって取得される。穿刺対象を含む部位とは、例えば、穿刺対象が肺に存在するときは、胸部について術者が設定した所定範囲のことである。また、この所定範囲はプリセットされてもよい。通常、この所定範囲は、第1の領域より大きな領域である。挿入経路は、被検体Eに対してどのようなルートで穿刺針を挿入していくかを示す経路(穿刺経路)である。穿刺経路は、例えば、血管等の重要組織を避けて、肋骨の間から穿刺対象に穿刺針を到達させるための経路である。
【0025】
穿刺経路の設定について説明する。例えば、表示制御部410は、予め作成されたボリュームデータに基づく画像を表示部43に表示させる。術者は、予め作成されたボリュームデータに基づく画像に対し、操作部44を用いて、穿刺対象(生検を行う部位)の位置と穿刺針が被検体Eに挿入される位置(穿刺開始位置)とを設定する。穿刺経路部400は、設定された穿刺対象の位置と穿刺開始位置とを受け、これら2つの位置を結ぶ最短距離を算出し、その最短距離を結ぶ線分を穿刺経路として設定する。このとき、表示制御部410は、穿刺経路部400により設定された穿刺経路を受け、予め作成されたボリュームデータに基づく画像に重ねて表示させてもよい。また、術者は、予め作成されたボリュームデータに基づく画像に対し、穿刺経路を表す線分を直接描いてもよい。あるいは、穿刺経路部400は、予め作成されたボリュームデータに基づく画像に対して、エッジ検出等の画像解析処理を施して、穿刺対象の位置と該位置から最も近い被検体E表面の位置を求め、穿刺対象の位置と該位置から最も近い被検体E表面の位置とを結ぶ線分を穿刺経路として設定してもよい。穿刺経路部400は、設定した穿刺経路を記憶する。また、穿刺経路部400は設定した穿刺経路を後述するレンダリング処理部へ出力する。後述するが、CT透視中、レンダリング処理部は、受けた穿刺経路を含む断面画像データを生成し、表示制御部410へ出力する。
【0026】
第1の領域設定部は、予め設定された穿刺経路を含む領域である第1の領域を設定する。ここで、第1の領域設定部401は、穿刺経路部400から穿刺経路を受け、受けた穿刺経路に基づいて穿刺経路を含む領域である第1の領域を設定する。
図3は、第1の領域V1を概念的に表す模式図である。穿刺経路ROは、穿刺対象TAGと穿刺開始位置P0とを結ぶ経路であるので、第1の領域V1は、穿刺対象TAGと穿刺開始位置P0とを含む。第1の領域設定部401は、例えば、穿刺対象TAGからのy軸方向の余裕距離D1と穿刺対象TAGからのz軸方向の余裕距離D2とを予め記憶し、これら余裕距離に基づいて第1の領域V1を設定する。また、予め作成されたボリュームデータに基づく画像上に、術者が操作部44を用いて第1の領域V1を設定し、第1の領域設定部401は、この設定による位置情報を受け、第1の領域V1を設定してもよい。第1の領域設定部401は、設定した第1の領域V1をシステム制御部41へ出力する。システム制御部41は、受けた第1の領域V1に基づいて投影部のX線絞り部22を制御することによって、第1の領域V1を投影部に設定する。
【0027】
第2の領域設定部402は、穿刺中における画像データに基づいて、穿刺針の先端を含む領域である第2の領域を設定する。例えば、第2の領域設定部402は、CT透視中、第1の領域V1についての画像データの画素値に基づいて、穿刺針の先端の位置である先端位置を求める先端検出部403を有する。第2の領域設定部402は、先端検出部403が求めた先端位置に基づいて第2の領域を設定する。通常、穿刺針のCT値は被検体Eの組織よりも高く、それにより、画像データのうち穿刺針を表す画素の画素値(輝度値)も高い。例えば先端検出部403は、データ処理部42から第1の領域V1についての画像データを受け、また、穿刺経路部400から穿刺対象TAGの位置情報を受ける。また、先端検出部403は、画素値についての閾値を予め記憶する。先端検出部403は、画像データのうち閾値以上の画素値を有する画素を抽出する。先端検出部403は、抽出した画素のうち穿刺対象TAGの位置に最も近い画素を穿刺針の先端を表す画素とし、該画素の位置を穿刺針の先端位置として求める。先端検出部403は、求めた先端位置を第2の領域設定部402へ出力する。
【0028】
第2の領域設定部402は、先端検出部403が求めた先端位置を受け、第2の領域を設定する。
図4は、第2の領域V2を概念的に表す模式図である。第2の領域設定部402は、例えば、先端位置P1からの余裕距離D3を予め記憶し、この余裕距離D3に基づいて第2の領域V2を設定する。第2の領域設定部402は、設定した第2の領域V2をシステム制御部41へ出力する。システム制御部41は、受けた第2の領域V2に基づいて投影部のX線フィルタ部23を制御することによって、第2の領域V2を投影部に設定する。
【0029】
なお、先端検出部403は、穿刺中の穿刺針NEの先端位置P1を逐次求め、先端位置P1を求める度に、求めた先端位置P1を第2の領域V2へ出力する。例えば、先端検出部403は、データ処理部42が画像データを生成する度に、生成された画像データについて先端位置P1を求める。第2の領域設定部402は、先端検出部403から先端位置P1を受ける度にその都度第2の領域V2を新たに設定する。それにより、第2の領域設定部402は、穿刺作業によって挿入されるとともに移動する穿刺針NEの先端を追跡しながら第2の領域V2を設定することができる。
【0030】
図5Aは、第1の状態と被検体Eとの関係を概念的に表す模式図である。前述した第1の状態において、X線絞り部22は、システム制御部41からの制御信号によって、第1の領域設定部401が設定した第1の領域V1の設定を受ける。X線絞り部22は、設定された第1の領域V1に基づいて、第1の開口A1を通過したX線が第1の領域V1に照射されるように第1の開口A1を形成する。このとき、例えば、第1の領域設定部401は、第1の領域V1の位置情報(CT座標等)をシステム制御部41へ出力する。システム制御部41は、受けた第1の領域V1の位置情報に基づいて、第1の開口A1の大きさ及び位置を求め、求めた大きさ及び位置に基づく制御信号をX線絞り部22へ出力する。X線絞り部22は、受けた制御信号に基づいて第1の開口A1を形成する。また、X線フィルタ部23は、システム制御部からの制御信号によって、第2の領域設定部402が設定した第2の領域V2の設定を受ける。X線フィルタ部23は、設定された第2の領域V2に基づいて、第2の開口A2を通過したX線が第2の領域V2に照射されるように第2の開口A2を形成する。このとき、例えば、第2の領域設定部402は、第2の領域V2の位置情報(CT座標等)をシステム制御部41へ出力する。システム制御部41は、受けた第2の領域V2の位置情報に基づいて、第2の開口A2の大きさ及び位置を求め、求めた大きさ及び位置に基づく制御信号をX線フィルタ部23へ出力する。X線フィルタ部23は、受けた制御信号に基づいて第2の開口A2を形成する。それにより、第1の状態において、第1の領域V1のうち、第2の領域V2以外の領域についてX線フィルタFIを通過したX線が照射される。また、第2の領域V2についてX線フィルタFIを通過しないX線が照射される。このとき、第1の領域V1について照射されるX線のうちX線フィルタFIを通過したX線の強度は、第2の領域V2について照射されるX線の強度よりも低減される。それにより、第1の領域V1のうち、第2の領域V2以外の領域についての被曝量が低減される。また、第2の領域V2には、X線フィルタFIを通過しないX線が照射されるので、第2の領域V2を表す画像データは血管等の組織を描出することができる。第2の領域V2を表す画像データは穿刺針NEの先端の周辺を表すので、術者は穿刺針NEの先端の周辺組織を確認しながら穿刺作業を行うことができる。
【0031】
図5Bは、第2の状態と被検体Eとの関係を概念的に表す模式図である。前述した第2の状態において、X線絞り部22は、システム制御部41からの制御信号によって、第1の領域設定部401が設定した第1の領域V1の設定を受ける。X線絞り部22は、設定された第1の領域V1に基づいて、第1の開口A1を通過したX線が第1の領域V1に照射されるように第1の開口A1を形成する。このとき、例えば、第1の領域設定部401は、第1の領域V1の位置情報(CT座標等)をシステム制御部41へ出力する。システム制御部41は、受けた第1の領域V1の位置情報に基づいて、第1の開口A1の大きさ及び位置を求め、求めた大きさ及び位置に基づく制御信号をX線絞り部22へ出力する。X線絞り部22は、受けた制御信号に基づいて第1の開口A1を形成する。また、X線フィルタ部23は、システム制御部からの制御信号によって、第2の開口A2を閉じる。それにより、第2の状態において、被検体Eに照射されるX線の全部がX線フィルタFIを通過し、低減される。それにより、被検体Eに照射されるX線の全部が低減される。
【0032】
システム制御部41は、少なくとも第1の領域V1のうち第2の領域以外の領域に照射されるX線の強度を弱くするように投影部を制御する。また、システム制御部41は、X線絞り部22が第1の領域V1の範囲に第1の開口A1を形成し、X線フィルタ部23が第2の領域V2の範囲について第2の開口A2を形成した状態である第1の状態と、X線絞り部22が第1の領域V1の範囲に第1の開口A1を形成し、X線フィルタ部23が第2の開口A2を閉じた状態である第2の状態とを交互に制御する。ここで、システム制御部41は、操作部44を介して術者からの指示を受け、第1の状態と第2の状態とを交互に制御してもよい。例えば、術者は、穿刺針NEの先端の周辺組織を確認したい場合に第1の状態とする指示を入力し、その他の場合には、第2の状態とする指示を入力する。システム制御部41は、これらの指示を受けてX線フィルタ部23を制御することによって、術者が穿刺針NEの先端の周辺組織を確認したい場合には第2の領域V2にX線フィルタFIを通過しないX線を照射させるようにX線フィルタ部23を制御し、その他の場合には被検体Eに照射されるX線全体がX線フィルタFIを通過するようにX線フィルタ部23を制御する。それにより、第1の状態のまま穿刺作業を行う場合よりも、被検体Eの被曝量を低減することができる。また、第1の状態によって生成される画像において、穿刺針NEの周囲(断層画像データに基づく画像のうち、第2の領域V2を描出する部分)に金属アーチファクトが描出される場合がある。この場合において、第1の状態から第2の状態に切り替えることによって金属アーチファクトが低減された画像となる。それにより、術者は金属アーチファクトが低減された画像を確認しながら穿刺作業を行うことができる。このように、穿刺針NEの先端の周囲組織を確認するためには第1の状態が好ましく、金属アーチファクトの低減及び第2の領域V2についての被曝量の低減には第2の状態が好ましい。術者は、システム制御部41が第1の状態と第2の状態とを切り替える時間間隔を所望の時間間隔に設定し、システム制御部41はCT透視中(穿刺作業中)、設定された時間間隔に基づいて交互に第1の状態と第2の状態とを切り替える(自動)。また、システム制御部41はCT透視中、術者から第1の状態又は第2の状態への切り替え指示を受け、受けた指示に基づいて第1の状態又は第2の状態へX線フィルタ部23を切り替えてもよい(手動)。
【0033】
システム制御部41は、例えば処理装置と記憶装置とを含んで構成される。記憶装置には、X線CT装置1の各部の機能を実行するためのコンピュータプログラムが記憶されている。処理装置は、これらコンピュータプログラムを実行することで、上記機能を実現する。システム制御部41は、装置各部を制御する。例えばシステム制御部41は、X線によるスキャンに関する動作を統合的に制御する。この統合的な制御は、高電圧発生部21の制御と、架台駆動部26の制御と、X線絞り部22の制御と、X線フィルタ部23の制御と、寝台部3の制御とを含む。高電圧発生部21の制御は、X線発生部20に対して所定の高電圧を所定のタイミングで印加させるように高電圧発生部21を制御するものである。X線絞り部22の制御は、X線絞り部22の遮断板COが、第1の領域V1に基づく第1の開口A1を形成するようにX線絞り部22を制御するものである。X線フィルタ部23の制御は、前述の第1の状態(
図2B参照)と、第2の状態(
図2C参照)とが交互に切り替わるようにX線フィルタ部23を制御するものである。寝台部3の制御は、所定の位置に所定のタイミングで被検体Eを移動させるように寝台部3を制御するものである。なお、ボリュームスキャンでは、天板の位置を固定した状態でスキャンが実行される。
【0034】
表示制御部410は、データ処理部42が生成した画像データに基づく画像を表示部43に表示させる。表示制御部410は、画像表示に関する各種制御を行う。たとえば、レンダリング部422により作成された疑似三次元画像データやMPR画像データ等を表示部43に表示させる制御を行う。CT透視中、表示制御部410は、予め生成された穿刺経路設定用データに基づく画像と、CT透視中に逐次生成される第1の領域V1について生成されたボリュームデータに基づく画像とをともに表示部43に表示させる。このとき、表示制御部410は、これらの画像データに含まれる位置情報(CT座標)に基づいて、予め生成された穿刺経路設定用データに基づく画像と、CT透視中に逐次生成される第1の領域V1について生成されたボリュームデータに基づく画像との位置合わせを行い、これらの画像を重ねて表示させる。また、これらの画像を並べて表示させてもよい。
【0035】
データ処理部42は、投影部からの出力を受けて3次元領域を表す画像データを逐次生成する。データ処理部42は、投影部のデータ収集部27から検出データを受け、各種処理を実行する。データ処理部42は、前処理部420と、再構成部421と、レンダリング部422とを有する。また、CT透視中、データ処理部42は、データ収集部27から随時検出データを受け、後述の処理を随時実施する。
【0036】
前処理部420は、データ収集部27から受けた検出データに、対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の前処理を施して、投影データを生成する。前処理部420は、生成した投影データを再構成部421へ出力する。
【0037】
再構成部421は、前処理部420により生成された投影データを受け、CT画像データ(断層画像データやボリュームデータ)を生成する。断層画像データの再構成処理としては、例えば、コンボリューション・バックプロジェクション法等、任意の方法を適用してよい。ボリュームデータは、再構成された複数の断層画像データを補完処理することにより生成される。ボリュームデータの再構成処理としては、例えばコーンビーム再構成法等、任意の方法を適用してよい。
【0038】
レンダリング部422は、例えば、MPR処理とボリュームレンダリングとを実行することができる。MPR処理は、再構成部421により生成されたボリュームデータを受け、そのボリュームデータに任意の断面を設定してレンダリング処理を施すことにより、この断面を表すMPR画像データを生成する画像処理である。このとき、レンダリング部422は、穿刺経路部400から穿刺経路ROを受け、受けた穿刺経路ROを含む断面を表すMPR画像データを生成し、断面画像データとして表示制御部410へ出力する。また、ボリュームレンダリングは、任意の視線(レイ)に沿ってボリュームデータをサンプリングし、その値(CT値)を加算していくことにより、被検体Eの3次元領域を表す疑似的3次元画像データを生成する画像処理である。
【0039】
表示部43は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスによって構成される。なお、表示部43は、X線CT装置1に含まれてもよく、一般的なインターフェースを介してX線CT装置1の外部に設置されてもよい。
【0040】
操作部44は、X線CT装置1に対する各種の指示入力や情報入力に用いられる。操作部44は、例えば、キーボード、マウス等により構成される。また、操作部44は、表示部43に表示されたGUI(Graphical User Interface)を含んでいてもよい。なお、操作部44は、X線CT装置1に含まれてもよく、一般的なインターフェースを介してX線CT装置1の外部に設置されてもよい。
【0041】
[動作]
図6は、この実施形態のX線CT装置1がCT透視を開始する前の動作を表すフローチャートである。
【0042】
(S01)
X線CT装置1は、穿刺経路設定用データを取得する。このとき、X線CT装置1は、血管等の重要組織が描出される程度の強度のX線を被検体Eに照射する。
【0043】
(S02)
穿刺経路部400は、取得された穿刺経路設定用データに基づく画像に対し、穿刺経路ROを設定する。このとき、術者は穿刺開始位置P0を被検体Eの体表にマーキングしてもよい。
【0044】
(S03)
レンダリング部422は、取得された穿刺経路設定用データと設定された穿刺経路ROとを受け、受けた穿刺経路ROを含む断面を決定する。
【0045】
(S04)
第1の領域設定部401は、穿刺経路部400から穿刺経路ROを受け、受けた穿刺経路ROに基づいて穿刺経路ROを含む領域である第1の領域V1を設定する。
【0046】
(S05)
術者は、穿刺開始位置P0に穿刺針NEを挿入する。また、X線CT装置1は術者からの指示を受け、穿刺位置・角度確認用データを取得する。このとき、X線CT装置1は、X線フィルタ部23を用いて穿刺針NEや骨などのCT値が高い部分が描出される程度の低い強度のX線を被検体Eに照射する。X線CT装置1は、穿刺経路設定用データに基づく画像と、穿刺経路ROと、穿刺位置・角度確認用データに基づく画像とをこれらに含まれる位置情報に基づいて位置合わせをし、重ねて表示する。それにより、術者は、実際に挿入された穿刺針NEの位置及び角度と設定された穿刺経路ROにおける穿刺開始位置P0及び穿刺角度とが合っているか確認することができる。
【0047】
(S06)
システム制御部41は、第1の領域設定部401から第1の領域V1を受け、X線フィルタ部23を制御して第2の状態にさせる。
【0048】
(S07)
術者は、穿刺を開始する(穿刺針NEを被検体Eに挿入する)。このとき、システム制御部41は、術者からCT透視開始指示を受け、CT透視を開始する。
【0049】
(S08)
CT透視中、データ収集部27は検出データをデータ処理部42へ逐次出力し、データ処理部42は受けた検出データに基づいて画像データを逐次生成する。また、CT透視中、先端検出部403は、データ処理部42が生成した画像データに基づいて先端位置P1を求める。また、先端検出部403は、穿刺針NEの先端位置P1を逐次求め、先端位置P1を求める度に、求めた先端位置P1を第2の領域V2へ出力する。第2の領域設定部402は、先端検出部403から先端位置P1を受ける度にその都度第2の領域V2を設定する。また、CT透視中、システム制御部41は、X線フィルタ部23を制御して第1の状態と第2の状態とを交互に切り替えさせる。なお、システム制御部41がX線フィルタ部23を制御して第2の状態から第1の状態に切り替えるとき、システム制御部41はそのときの第2の領域V2を第2の領域設定部402から受け、受けた第2の領域V2に基づいてX線フィルタ部23のX線フィルタFIを移動させる。
【0050】
(S09)
穿刺針NEの先端が穿刺対象TAGに到達したら、術者は穿刺対象TAGの組織を採取し、穿刺針NEを抜く。X線CT装置1は、術者からの指示を受け、穿刺針NEが抜かれた後のボリュームデータを取得し画像を生成及び表示する。術者は、この画像によって、被検体Eに予定外の出血や組織の損傷が無いかを確認することができる。以上で
図6に示す動作を終了する。
【0051】
[効果]
この実施形態のX線CT装置1の効果を説明する。X線CT装置1は、投影部と、データ処理部42と、表示制御部410と、第1の領域設定部401と、第2の領域設定部402と、システム制御部41とを有する。投影部は、被検体EをX線で照射し、被検体Eを透過したX線を検出する。データ処理部42は、投影部からの出力を受けて3次元領域を表す画像データを生成する。表示制御部410は、画像データに基づく画像を表示部43に表示させる。第1の領域設定部401は、予め設定された穿刺経路ROを含む領域である第1の領域V1を設定する。第2の領域設定部402は、穿刺中における画像データに基づいて、穿刺針NEの先端を含む領域である第2の領域V2を設定する。システム制御部41は、少なくとも第1の領域V1のうち第2の領域V2以外の領域に照射されるX線の強度を弱くするように投影部を制御する。また、投影部は、X線発生部20と、X線絞り部22と、X線フィルタ部23とを有する。X線発生部20は、X線を発生する。X線絞り部22は、X線発生部20が発生したX線の照射野を第1の領域V1の範囲に制限する。X線フィルタ部23は、X線絞り部22の前段又は後段に設けられ、第2の領域V2の範囲について第2の開口A2を形成可能に構成される。X線フィルタ部23は、X線フィルタFIを有する。X線フィルタFIは、第2の開口A2以外を通過するX線の強度を弱める。また、X線フィルタ部23は、第2の開口A2を閉じることが可能に構成される。システム制御部41は、X線フィルタ部23が第2の領域V2の範囲について第2の開口A2を形成した状態である第1の状態と、X線フィルタ部23が第2の開口A2を閉じた状態である第2の状態とを交互に制御する。このように、X線CT装置1は、穿刺針NEの先端の周辺領域(第2の領域V2)には血管等の周辺組織を確認するための強度のX線を照射し、その他の領域にはX線フィルタFIを通過した低い強度のX線を照射する。また、X線CT装置1は、穿刺針NEの先端の周辺領域について、常に血管等の周辺組織を確認するための強度のX線を照射するわけではなく、X線フィルタFIを通過した低い強度のX線を照射する状態と切り替える。それにより、被検体Eにおける穿刺針NE及びその周辺組織を表す画像を表示し、被検体E及び術者への被曝を低減するX線CT装置1を提供することができる。
【0052】
また、第2の領域設定部402は、第1の領域V1についての画像データの画素値に基づいて穿刺針NEの先端の位置である先端位置P1を求め、求めた先端位置P1に基づいて第2の領域V2を設定する。また、第2の領域設定部402は、先端位置P1を逐次求め、先端位置P1を求める度にその都度第2の領域V2を新たに設定する。このように、X線CT装置1は、穿刺作業中に移動する穿刺針NEの先端位置P1を検出し、新たに第2の領域V2を設定する。それにより、穿刺針NEの先端の移動に追随し、その先端の周辺組織を描出する画像を生成し、その他の領域への被曝量を低減するX線CT装置1を提供することができる。
【0053】
〈変形例〉
[構成]
図7は、変形例のX線CT装置1に係る構成を表すブロック図である。第1の変形例のX線CT装置1は、前述の実施形態のX線CT装置1に加え、差分算出部411を有する。なお、前述の実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0054】
差分算出部411は、第1の領域V1についての画像データの画素値の時間的な差分を算出する。例えば、差分算出部411は、CT透視中に逐次生成される画像データをレンダリング部422から受け、最新フレームと所定時間過去のフレームとについて、画像データの画素値の平均値の差分を算出する。
【0055】
システム制御部41は、予め定められた閾値を記憶する。システム制御部41は、CT透視中、差分算出部411が算出した差分を逐次受け、記憶した閾値と比較する。システム制御部41は、受けた差分が閾値を超えたとき、投影部の高電圧発生部21を制御してX線発生部20によるX線の発生を停止させる。
【0056】
図8Aは、穿刺作業中の術者の手HAの位置を概念的に表す模式図である。また、
図8Bは、穿刺作業を中断したときの術者の手HAの位置を概念的に表す模式図である。なお、術者は防護手袋を着用することが一般的である。穿刺作業中、術者の手HAは第1の領域V1の中に位置する。それにより、CT透視中の画像に術者の手HAが描出される。術者が穿刺作業を中断して穿刺針NEから手HAを離し、第1の領域V1の外へ手HAを移動させたとき、CT透視中の画像には術者の手HAが描出されない。従って、第1の領域V1の中に術者の手HAが位置するとき(穿刺作業中)と、第1の領域V1の外に術者の手HAが位置するとき(穿刺作業中断)とでは画像の画素値に変化が生じる。差分算出部411はこの変化を画素値の時間的な差分を算出することによって検出し、システム制御部41は、この差分と閾値とを比較することによって術者の手HAが第1の領域V1の中に位置するか又は外に移動したかを判断する。システム制御部41が差分と閾値との比較によって術者の手HAが第1の領域V1の外に移動したと判断したとき、X線発生部20は、システム制御部41による高電圧発生部21への制御に基づいてX線の発生を停止する。
【0057】
また、システム制御部41は、架台部2に設置された超音波センサや赤外線センサを用いて、術者の手HAが穿刺針NEから離れたことを検知してもよい。システム制御部41は、術者の手HAが穿刺針NEから離れたことを検知したとき、投影部の高電圧発生部21を制御してX線発生部20によるX線の発生を停止させる。
【0058】
なお、穿刺作業を再開するとき、X線の照射を再開することになるが、安全のため、X線CT装置1が自動的にX線の照射を再開する構成よりも、X線CT装置1が術者からの指示(手動)を受けてX線の照射を再開する構成が安全のために好ましい。
【0059】
[効果]
変形例の効果について説明する。X線CT装置1は、投影部と、データ処理部42と、表示制御部410と、第1の領域設定部401と、第2の領域設定部402と、システム制御部41とを有する。投影部は、被検体EをX線で照射し、被検体Eを透過したX線を検出する。データ処理部42は、投影部からの出力を受けて3次元領域を表す画像データを生成する。表示制御部410は、画像データに基づく画像を表示部43に表示させる。第1の領域設定部401は、予め設定された穿刺経路ROを含む領域である第1の領域V1を設定する。第2の領域設定部402は、穿刺中における画像データに基づいて、穿刺針NEの先端を含む領域である第2の領域V2を設定する。システム制御部41は、少なくとも第1の領域V1のうち第2の領域V2以外の領域に照射されるX線の強度を弱くするように投影部を制御する。また、X線CT装置1は、差分算出部411をさらに有する。差分算出部411は、第1の領域V1についての画像データの画素値の時間的な差分を算出する。X線発生部20は、差分が閾値を超えたときX線の発生を停止する。このように、X線CT装置1は、穿刺針NEの先端の周辺領域(第2の領域V2)には血管等の周辺組織を確認するための強度のX線を照射し、その他の領域にはX線フィルタFIを通過した低い強度のX線を照射する。また、X線CT装置1は、穿刺作業が中断されたことを検知し、自動的にX線の照射を停止する。それにより、穿刺作業中、穿刺針NEの周辺組織を表す画像を表示し、穿刺作業中断時には、自動的にX線の照射を停止することができる。従って、被検体E及び術者への被曝を低減するX線CT装置1を提供することができる。
【0060】
以上述べた少なくともひとつの実施形態又は変形例のX線CT装置1によれば、CT透視中に画像データを取得する領域である第1の領域V1の内部に穿刺針の先端の周囲領域である第2の領域V2を設定することにより、穿刺針の先端の周囲組織を確認したいときに、第2の領域V2について周囲組織を描出可能な強度のX線を照射することができる。それにより、周囲組織を描出可能な強度のX線を照射する時間を短縮し、さらに周囲組織を描出可能な強度を照射する範囲を小さくすることができる。従って、被検体E及び術者への被曝を低減するX線CT装置1を提供することができる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。